球磨工ブログ

2013年7月の記事一覧

化学基礎

 期末考査も終わり、1学期の授業もあとわずかとなりましたが、集中して取り組んでください。最近、暑さや部活動で疲れ、授業に集中できていない生徒が多いように感じます。
 化学基礎では、期末考査前、6月中旬に温度に関する勉強と実験を行いました。


化学実験04 温度の学習

 日本で一般的に使用されている温度はセルシウス度(セルシウス温度)(単位:°C)といいます。スウェーデンのアンデルス・セルシウスが考案したものに基づいており、現在は「ケルビン(K)で表した熱力学温度(絶対温度)の値から273.15を減じたもの」と定義されています。

 アメリカなどではファーレンハイト度(ファーレンハイト温度)(単位:°F)が使われます。セルシウス度に9をかけて、5で割り、32を足すと、ファーレンハイト度になります。例えば、体温37°Cは、37×9÷5+32=98.6°Fとなります。アメリカでは天気予報の気温も体温も大きな数値で示されるので、慣れないとびっくりします。

 温度の上限は分かりません。(人間のつくり出した最高温度は、ギネス世界記録では約4兆°Cとなっているようですが、スイスにある大型ハドロン衝突型加速器は約8京°Cを達成したはず?)

 温度の下限は分かっており、-273.15°Cです。授業では-273°Cと教えています。セルシウス度に273を足したものを熱力学温度(絶対温度)といい、単位はK(ケルビン)となります。化学では熱力学温度をよく使います。

 文章だらけになりましたが、実験の前にセルシウス度と熱力学温度の関係を理解できたか確認するために、計算させてみました。
 -273°Cは、-273+273=0K(この温度を絶対零度、absolute zeroといいます)
 気温27°Cは、27+273=300K
 鉄の沸点3135Kは、3135-273=2862°C(昔のデータでは鉄の沸点は、2750°Cとなっています。皆さんが使っている教科書では、2750°C・・・何ヶ所か古いデータや定義などが残っているのが気になる教科書です。)

 温度の学習を終え、やっと実験です。
 試験管に入った少量の塩化ナトリウムを加熱し、融解します。塩化ナトリウムの融点は801°C(1074K)です。融点が高いということは、その結晶をつくっている粒子が強く結びついていることを意味しています。
化学実験4-1 化学実験4-2

 塩化ナトリウムが解ける前に、試験管の周囲に赤い炎が見えます。しばらく待つと、塩化ナトリウムが融解します。熱くなっている試験管の底に、マッチを当てると火がつきます。可燃性物質は、火がなくても高温になれば自然に火がつきます。(虫眼鏡で紙を燃やしたことがありませんか?)可燃性物質が自然発火する温度を発火点と言います。
化学実験4-3 化学実験4-4


 2つ目の実験は、氷を使います。まず、氷の温度を測ります。温度計自身の誤差もありますが、気温の影響を受けてしまうため、0°Cにはなりません。実験には誤差が付きものですが、その原因を考えられるようになりましょう。
 次に、氷に塩化ナトリウムをかけたときの温度を測ります。うまく温度を下げることができれば、-20°C程度まで下がります。
化学実験4-5 化学実験4-6

 氷(固体)が、水(液体)に変わるとき周囲からエネルギーを奪います。よって周囲の温度は下がります。この奪われたエネルギーを融解熱といいます。
 物質が水などに溶けるとき温度が上がったり、下がったりします。溶解するときに出入りする熱を溶解熱と言います。塩化ナトリウムでは温度は下がります。
 融解熱と溶解熱の2つの効果で、温度が-20°C近くまで下がります。
 温度という、身近で簡単なものですが、学ぶことはたくさんあります。