新学期が始まってしばらく経ち、学校生活が充実する一方で、少しずつ疲れが溜まってくる時期でもありますね。生徒たちが自分自身の心と体に向き合い、健やかに学校生活を送るためのヒントを学ぶ「ストレス対処教育講演会」を開催しました
思春期という大切な時期を生きる生徒たちへ向けて、スクールカウンセラー 坂本 謙太郎 先生から温かく、そして非常に実践的なアドバイスをいただきました
そもそも「ストレス」ってなに?
講演は、「ストレスの仕組み」を知ることからスタートしました。
ストレスはよく「ボール」に例えられます。外側からボールを押しつぶす力を「ストレッサー」、それによってボールが歪んだ状態を「ストレス反応(症状)」と呼びます。
一口にストレッサーと言っても、実は様々な種類があります。
物理的・化学的ストレッサー:暑さ・寒さ、騒音、満員電車など
心理社会的ストレッサー:テストのプレッシャー、友人関係の悩み、将来への不安など
これらが原因となり、イライラする(心理面)、頭痛や腹痛がする(身体面)、引きこもりがちになる(行動面)といった様々な症状として現れるのです。
「体や心のサインにいち早く気づくことが、自分を大切にする第一歩」
自分に合った「ストレスコーピング(対処法)」を見つけよう!
①問題焦点型
②情動焦点型
③気晴らし型
④社会的支援探索型
どれか一つだけが正解というわけではありません。「いくつかの引き出しを持っておき、状況に合わせて使い分けることが大切」と先生は教えてくださいました大人の世界でも活用できそうですね
◆ いま、この瞬間に集中する「マインドフルネス」(瞑想)!
今注目されているメンタルケア「マインドフルネス」いわゆる瞑想です
過去の後悔や未来の不安にとらわれず、「いま、この瞬間」の自分の状態に意識を向けること。静かに目を閉じ、自分の「呼吸」にただ意識を向ける数分間の瞑想・・・今日からさっそく試してみませんか?
Global Series Vol. 5:Ashikita Craftsmanship
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第5回は、5月20日の「2年生・食品製造実習(シュー・ア・ラ・クレーム)」の記録です。
[Global Series Vol. 4:Weeds, Buds, and a Farmer’s Dilemma はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 5: Sophomore Food Processing Practice — Choux à la Crème (May 20th).
[Click here for Global Series Vol. 4:Weeds, Buds, and a Farmer’s Dilemma]
— Sophomore Food Processing Practice: Science and Senses in Pastry Making —
Today, the food processing lab for our second-year Agricultural Department students was filled with a sharper sense of tension than usual, alongside a sweet, aromatic fragrance. The challenge was making "Choux à la Crème" (cream puffs)—a classic pastry that requires advanced technique and intense concentration.
■ Observation with the Five Senses, Not Just Mixing
Whether making the custard cream filling or the choux pastry base, the most crucial point in both processes is that it is "not just mechanical mixing."
To prevent scorching and lumps while achieving a smooth texture, the students constantly focused on the feel at the bottom of their pots and bowls, carefully observing whether the overall color change was uniform.
Their eyes, as they lifted wooden spatulas to check the consistency, were those of true professional artisans.
■ The Challenge of Gelatinization
The Golden Rule for Rising. Furthermore, choux pastry comes with a strict, minimum requirement: the dough must rise beautifully and significantly. By bringing butter to a complete boil in a pot, adding flour all at once, and mixing rapidly, the heat triggers the starch molecules to bind—a process known as "gelatinization" (koka).
This is where the lab earned its name, "Food Processing." From the precise measurement of ingredients to the exact second the pot is removed from the heat, the optimal ratio for adding eggs while judging the dough's temperature, and the tactile sensation of thickness felt through the spatula to their fingertips—everything relies on logical conditions. If even one measurement or sensation is off, the pastry will never rise in the oven. Food processing is a highly delicate world of "chemistry" controlled by the five senses and scientific knowledge.
■ Beautiful Results and the Physics of Baking
For most groups, the pastry puffed up into a beautiful golden brown through the oven glass, resulting in wonderful choux shells.
Amid cheers of success, they piped in plenty of smooth custard, completing beautiful "Choux à la Crème" one after another.
However, out of the ten groups in the practical lesson, there was one group whose pastry just wouldn't rise properly.
The cause traced back to a slight variance in heat control during the dough-making process. While those around them succeeded, they fell short of the ideal shape, leaving a lingering sense of frustration. Yet, when it came time to taste—"It actually tastes delicious!"—smiles broke out at the quality of the flavor.
Following the lesson, students shared that their perspective on the cream puffs they casually see in convenience stores and supermarkets had completely changed. They felt firsthand the incredible craftsmanship and corporate effort behind products that always rise beautifully and uniformly.
The students did not just gain confidence from success; they analyzed the causes of failure, turning an everyday sight into a learning experience. It was a lesson that made us look forward to the further growth of these second-year students, who use their own hands and five senses to "create" new value and insights.
先週5月28日(木)、3年農業科の「食品製造」で製パン実習が行われた様子をお届けします。
「今日も実習棟からいい匂いがするぞ!またいつもの製パン実習かな?」
いえいえ、本日の3年農業科「食品製造」の主役は、前回のパン実習とはちょっと違います。
そう、今日のポイントはこの子たち。ツヤツヤの「あんこ」です!
先日の丸めるだけの「まるパン」実習とは違い、今回はワンランク上の成形技術に挑みます。和菓子のあんこを生地で「包む」という実習です。
・前回の「製パン実習」ブログはこちら:【慣れた手に 想いをのせて 笑顔売る】
【これぞ手仕事!「包む」成形への挑戦】
まずは、発酵した生地を麺棒を使って「こぶし大」の綺麗な円形にのばしていきます。
厚みが均一になるように広げたら、いよいよここからが本番。
生地のど真ん中に、丸いあんこをぽんと乗せます。
ただ包むだけに見えて、実はこれがとっても難しい!
あんこがはみ出さないように、生地の厚みが偏らないように包むには、絶妙な指先のコントロールが必要です。
「あれ?うまく閉じられないぞ……」というときは、たまには指導者の先生にマンツーマンでコツを教わりながら、全集中。
先生の鮮やかな手つきを真似しながら、みんな少しずつコツを掴み、最後はきれいにあんこを包み込むことができました。
【焼き上がり!そして「15個!?」】
2度目の発酵を終えたら、仕上げに表面に卵黄をていねいにぬっていきます。
オーブンに入れてじっくり焼き上げると……実習室に広がったのは、なんとも香ばしい甘い香り!
中から出てきたのは、表面がツヤツヤ、ピカピカに輝く、お店顔負けの完璧なあんパンたちです!
この最高の焼き上がりを待つ間、担当職員から生徒たちへ「自分で買いたい生徒は、名前と個数を言ってね〜」と声がかかりました。
すると、生徒たちが自ら大きな声を発して、次々と個数をコールし始めます。
「〇〇、3個!」
「△△、5個!」
教室が賑わうなかに、まさかの声が響き渡りました。
「★★、15個!!」
「15個!?」と思わず職員もびっくりして聞き返すと、聞けばご家族に食べてもらいたくて購入するとのこと。
自分たちが実習で製造したものが、大切な家族に「美味しいから食べて!」と持って帰りたくなる製品になっていること。
生徒自らが食べたくなる製品をつくれているという事実に、農業科職員として本当に嬉しさを感じた瞬間でした。
【いってらっしゃい校内販売へ】
焼き上がった最高のあんパンたちを素早く袋詰めして、「さあ、行ってらっしゃい!校内販売へ!」と、3年生の心のこもったあんパンたちが学校中へ旅立っていきました。
この日の学級日誌を覗くと、日直の生徒の欄に嬉しい言葉が残されていました。
「校内販売で先生方がとっても嬉しそうに買って下さったのが、とても嬉しかった」
自分たちの手で作り上げたものを、目の前の人が笑顔で受け取ってくれる。
その喜びは、生徒たちにとって何にも代えがたい自信になったようです。
……ちなみに。
中のあんこが偏っていないか、空洞ができていないか、しっかり「技術の確認(断面チェック)」をするために、半分に切ったあんパンを少しだけ味見させていただきました。
形が少しだけ基準に届かなかった、あくまで“売り物にならないやつ”ですからね!(笑)
普通の生活のなかで、「あんこがアツアツのあんパン」を食べられる機会なんて、そうそうありませんよね。
実習ならではの、できたてアツアツのあんパンは……もう、めっちゃ美味しかったです!!
ふっくら生地と温かい餡のバランスが最高でした。
前回学んだ製造の基礎から一歩進み、今回は「包む」という新しい成形技術に挑戦した3年生。
甘いあんこと一緒に、大切な家族や買ってくれる先生方への温かい気持ちまで、一粒一粒ていねいに包み込んだからこそ、あんなにピカピカで誰もが食べたくなる最高のあんパンになったのだと思います。
芦北高校農業科では、こうして日々の実習の中で、昨日より少し高い技術へと自ら「挑戦」し、新しい美味しさとたくさんの笑顔を「創造」しています。
次はどんな技術が登場するのか、これからの食品製造実習もどうぞお楽しみに!
高校総体は、いよいよ最終日・大会4日目を迎えました。
4日間にわたって部員たちの歓喜と悔し涙、そして容赦ない酷暑を受け止めてきたスタジアムも、どこか祭りの終わりを前にしたような、独特の熱気と静けさに包まれています。
芦北高校の今大会、最後の戦いの舞台は男子三段跳び。
そこに立ったのは、これが「初挑戦」となる2年生の男子生徒。
【未知なるピットへ、未来を占う『三歩』の挑戦】
彼が今回、未経験の三段跳びに出場することになったきっかけは、指導者である先生の鋭い眼差しでした。
「彼のストライド(歩幅)なら、三段跳び特有のリズムに綺麗に合うのではないか」
先生のその一言に背中を押され、新しい可能性を信じて未知のピットに立つことを決意しました。
競技開始前、彼は「緊張もあるけれど、それ以上に楽しみです!」と、ハツラツとした笑顔を見せてくれました。
ピットのスタートラインに立ち、深く息を吐き出す。
静まり返る直線の助走路をじっと見据えた次の瞬間、力強く地を蹴り出しました。
一歩、また一歩とスピードに乗るたび、その大きなストライドがスタジアムの風を切り裂いていきます。
最高速に達したその時、踏み切り板を力強く捉えました。
Hop, Step, Jump――。
初めて挑む三段跳びの複雑なリズム、そして大舞台のプレッシャーのなかで、身体全体を使って必死に前方へとステップを刻みます。
結果は、三段跳びの壁の厚さを知り、思うような跳躍には届かなかったかもしれません。
しかし、ピットから戻ってきた彼の表情は、驚くほど晴れやかで、次なる野心に満ちあふれていました。
「実際に跳んでみて、コツさえ掴めれば、もっともっと跳べそうな気がします!」
現状に臆することなく、早くも次の成長のイメージを描いている頼もしい姿。
先生が見抜いたその大きなストライドは、来年のチームを引っ張っていくための、未来への偉大な「最初の一歩(三歩)」となりました。
【焦がれる舞台、 そしてスタジアムの影のラストミーティング】
自分たちの出場競技がすべて終了した最終日の午後、部員たちはスタンドに身を寄せ合い、トラックで行われているマイルリレーの決勝を見つめていました。
決勝のトラックを凄まじいスピードで駆け抜けていくのは、他校の代表選手たち。
そして、スタンドでメガホンを強く握りしめ、割れんばかりの声を枯らしてスタジアムを揺らしているのもまた、他校の応援団の生徒たちでした。
会場全体が一つになって最高潮の盛り上がりを見せるなか、その熱狂の輪に、自分たちは入ることができていないという、突きつけられた現実。
押し寄せる静かな寂しさと、言いようのない悔しさが、スタンドの部員たちの間にじわりと広がっていきました。
しかし、その悔しさをじっと堪えながらトラックを食い入るように見つめる下級生たちの目には、新たな闘志が灯っていました。
「いつかは自分たちが、あの熱狂の中心に立ちたい」
この場所で味わったすべての感情を忘れないと誓うような、そんな心震える観戦となりました。
その後、スタジアムの外でのラストミーティング。
4日間の激闘、そしてこれまでの厳しい練習を闘い抜いた部員たちへ、先生から心からの慰労と、ひたむきな頑張りに対する感謝の言葉が贈られました。
同時に、大舞台を経験して一回り大きくなった下級生たちへの熱い鼓舞と、これで一つの区切りを迎える3年生のこれからの人生に向けた、最高の応援エール。
先生の言葉をじっと聞き入る部員たちの表情には、悔しさを越えた先にある、やりきった充実感が満ちていました。
【4日間の感謝を込めて。芦北高校陸上競技部、完結】
泣いても笑っても、これで私たちの高校総体はすべて終了しました。
振り返れば、この4日間は「終わりと始まり」が目まぐるしく交錯する時間でした。
3年生が笑顔と涙で結実させた集大成のバトンは、現状に満足せず牙を研ぐ2年生へ、数々の驚きを吸収して芽吹こうとする1年生へと、今、確かに引き継がれました。
明日からは、新チームとしての新しい日常が始まります。先輩たちが命を吹き込んでくれたこのバトンを大切に握りしめ、私たちはまた、それぞれの自己ベストに向かって泥臭く走っていきます。
最後になりますが、この4日間、倒れそうなほどの猛暑のなかで大会を運営してくださった役員の皆様、審判員の皆様、本当にありがとうございました。
何より、連日朝早くからお弁当を準備し、一番近くから熱いエールを送り続けてくださった保護者の皆様。
皆様の支えがあったからこそ、最後まで誰一人諦めずに戦い抜くことができました。
心より、深く感謝申し上げます。
ミーティングを終え、いよいよスタジアムを後にする生徒たちの後ろ姿。
そのバックパックには、この過酷な夏を共に乗り越えた証である、お揃いのマスコットチャームが優しく揺れていました。
これからも芦北高校陸上競技部は、全員で前を向き、一歩ずつ進んでまいります。
4日間の温かいご声援、本当にありがとうございました!
この夏を共に駆けた、かけがえのない絆を胸に。
私たちは今、それぞれの新しい明日へと歩き出します。
さあ、部員全員、それぞれのスタートラインへ。
次のステージへ 「On your marks!」
高校総体は大会3日目を迎えました。
会場のスタジアムは見上げるほどの雲一つない快晴。
時折吹き抜ける風が心地よく頬を伝いますが、一歩日向に出ればじっとりと汗ばみ、強い日差しが露出した肌を容赦なく焼きつけます。
陽を浴び続けたスタンドの座席は熱々に熱せられ、そのままでは座れないほど。
そんな文字通りの「酷暑」のなか、スタジアムは連日以上の熱気に包まれています。
この過酷な舞台の上で、同じ芦北高校のユニフォームをまといながらも、それぞれの学年が全く異なる「想い」の現在地を走っていました。
歴史を紡いできた先輩から、未来を繋ぐ後輩へ。
この場所で、確かな「終わり」と「始まり」、そして「次への決意」が、みずみずしく交錯していました。
【3つの学年、それぞれの現在地】
数えきれないほどの厳しい練習を乗り越え、競技人生の集大成としてこの総体に挑んだ3年生。
女子800メートルに出場した3年生の女子生徒は、レース後に晴れやかな充実感を滲ませて語ってくれました。
「練習では200メートルのインターバルを何度も繰り返してきました。そのおかげで、本番ではしっかりとスピードを出すことができました。最後に、心から楽しく走れました!」
苦しかった日々の記憶が、裏切らない強さとなって自分の身体に宿っている。
その確信があったからこそ、すべてを出し切った彼女の快走は、これまでに培った努力のすべてを結晶化させたかのように、眩しく、そして華やかでした。
そんな先輩の背中を追いかけ、最も貪欲に自らの課題と向き合っているのが2年生です。
女子200メートルに出場した2年生の女子生徒。
レースを終えた彼女の言葉には、現状に甘んじることのない強い意志が込められていました。
「昨日よりは良かったです。でも、まだまだ満足する内容ではありません」
昨日の自分より確実に前へ進んだ手応えを感じつつも、見つめているのはもっと高いステージ。
「これで終わりではない、もっと強くなれるはずだ」という滲み出るような悔しさは、来年のチームを引っ張っていく頼もしい強さとなって、その眼差しに宿っています。
その一方で、まぶしいほどに瑞々しい光を放っているのが、今回が初めての総体となる1年生たちです。
男子走り幅跳びに出場した1年生の男子生徒は、先輩たちの驚異的な跳躍を目の当たりにし、新鮮な驚きを言葉にしてくれました。
「周りの選手たちが、めっちゃ跳ぶな……!と思いました。先輩たちとの間には、経験に本当に大きな差があるんだなと身に染みて感じました」
「実力の差」「経験の差」を肌で知ることは、時にちょっぴり悔しく、圧倒される経験かもしれません。
しかし、それは裏を返せば、これから彼が手にする伸びしろそのものです。
驚きをエネルギーに変えて突き進む姿は、まるで今まさに花開こうとする「芽吹きのつぼみ」のように、圧倒的な生命力に満ちて輝いていました。
【背中を押す、フィールドの上の「もう一つの眼差し」】
そんな1年生が挑んだ走り幅跳びのピットには、もう一つの温かいドラマがありました。
本校の指導者の一人は、走り幅跳びの専門家です。
この日は大会の競技運営役員として、遮るもののない炎天下のなか、真剣な表情で記録の計測にあたっていました。
じっと座っているだけでも汗が噴き出すような過酷な環境下で、大会の厳正な運営に全力を注ぎながらも、先生の目は、大舞台に緊張しながら挑む教え子の姿を決して見逃しません。
助走から踏み切り、 そして砂場へ――。
1年生の選手が全力を尽くした跳躍を終え、砂場から起き上がってふとピットを振り返った、まさにその瞬間でした。
運営のポジションから遠く離れた場所で、先生が温かい笑顔でたたえてくれていたのです。
「今の跳躍、思い切りよくて良かったぞ!次もいける!」
言葉は交わせなくても、跳び終えた直後の張り詰めた心のなかに、先生の表情と手振りに込められた想いがダイレクトに届きました。
専門家としての確かな信頼と、教え子を一番近くで見守り、次へと導く温かい眼差し。
このタイミングだからこそ、孤独に戦う選手にとって、どれほど心強い支えになったことでしょう。
【下級生の目に焼き付いた、偉大な3年生の背中】
夕暮れが近づくスタジアムで、この日、さらに誰もが胸を熱くする光景がありました。
400メートル×4リレーでは、3年生から1年生へ、一本のバトンが直接手から手へと手渡されました。
ただの道具ではない、3年間の汗と想い、芦高の伝統そのものが、確かに次の世代へと託された瞬間でした。
さらに、過酷を極める5000メートルでは、3年生の先輩が自らの限界のその先を削り出すようにしてトラックを走り抜き、ゴールラインへ倒れ込むようにフィニッシュしていきました。
前を走る先輩の、大きく、そして必死に もがく背中。
すべてを出し切って崩れ落ちる誇り高き姿。
その圧倒的な背中は、見つめる下級生たちの目に、一体どんな風に映っていたのでしょうか。
「いつか、自分もあの背中のようになりたい」
言葉にせずとも、彼らがスタジアムに残した魂の走りは、後輩たちの心に強烈な憧れと決意を植え付けていました。
【いよいよ明日が最終日!最後まで応援お願いします】
すべてを出し切り、「やりきった、楽しかった」と笑う3年生の誇り高き「終わり」。
手応えと悔しさを胸に、「もっと上へ」と牙を研ぐ2年生の「決意」。
世界の広さを知り、「もっと強くなりたい」と未来を見据える1年生の瑞々しい「始まり」。
そして、それをフィールドの真ん中から温かく見守り、支え続ける指導者の情熱。
陸上競技部という一つの大きなつながりの中で、たくさんの感情が美しく交わった3日目が幕を閉じます。
泣いても笑っても、大会は明日がいよいよ「最終日」です。
これまで紡いできたチームの想い、支えてくださった方々の応援、そのすべてをバトンに込めて、最後の1秒、最後の1歩まで、私たちはスタジアムを全力で駆け抜けます。
皆様、どうか陸上競技部の最後の挑戦に、熱いエールをよろしくお願いいたします。
高校総体、大会2日目。
スタジアムは初日以上の熱気に包まれています。
陸上競技場のスタートラインに横一列に並び、引き締まった空気のなか、静かに白線に手をつく。
ふと見上げると、真っすぐに伸びるレーンの向こう、ゴールは100メートル先。
その時、生徒たちの心の中には、一体どんな景色が見えているのでしょうか。
【張り詰めた静寂と、約10秒間のドラマ】
「いつも通り、いつも通り……」と、これまでの苦しい練習を信じて自分に言い聞かせているのか。
あるいは、「私はできる!」と、心の中で強くおまじないのように唱えているのか。
まわりの歓声が消え去ったかのような静寂のなか、緊張を胸にゴールを見据えるその眼差しは鋭く、そして同時に、大舞台特有のほんの少しの「不安」を映し出しているようでもありました。
しかし、その不安さえも力に変えるように、ピストルの音と共に力強く大地を蹴り出します。
100メートル、時間にすれば、わずか約10秒。
スタート前の息が詰まるような静寂、走っているときの風を切り裂くような疾走感、そしてゴール後に押し寄せる圧倒的な達成感や悔しさ。
その一瞬一瞬に、生徒たちはこれまでにない濃密な感覚を体中ではっきりと受け止めていました。
【スタンドに見つけた、この上ないエネルギー】
そんな極限のプレッシャーのなかでも、ふとした瞬間に張り詰めた糸が優しくほどける瞬間があります。
レース直前、緊張のあまり、そっと胸に手を当てて深呼吸をする生徒。
その視線が観客席へと向いた次の瞬間、スタンドの中に大好きなお母さんの姿を見つけました。
さっきまでの鋭く不安げな表情から一転、パッと咲いたようなあどけない笑顔がこぼれます。
「大丈夫、見てるよ」
言葉は届かなくても、ただそこにいてくれるだけで、張り詰めていた心がすっと軽くなる。
生徒にとって、これ以上ない最高のお守りであり、最高の応援がそこにはありました。
【何よりの回復、愛情たっぷりのお弁当】
全ての力を出し切り、ゴールを駆け抜けたあとの楽しみは、やっぱりこれです。
ご家族が作ってくれたお弁当のフタ、そこには「おつかれ」の文字が優しく添えられていました。
走りきった身体と、戦い抜いた心に、これ以上のサプリメントはありません。
一口食べるごとに、じんわりと元気が満ちていく。
何よりの回復薬となったお弁当を胸に、生徒たちは再び明日へのエネルギーを蓄えていました。
【すべてが、私を創る糧になる】
スタート前の極限の緊張、走っているときの躍動、ゴール後に込み上げるすべての感情。
日常では決して味わえないこの強烈な体験と、そこで感じた特別な感覚の一つひとつが、高校総体という大きな舞台だからこそ得られる宝物です。
ここで自分自身と向き合い、壁を乗り越えようとした経験は、これからの彼らの大きな「成長」へと間違いなくつながっていくはずです。
明日もスタジアムでの挑戦は続きます。
一瞬の景色にすべての想いを懸けて駆ける陸上競技部へ、明日も温かい声援をよろしくお願いいたします!
昨日5月29日(金)、高校総体(熊本県高等学校陸上競技対校選手権大会)が開催されました。
スタジアムを照らす太陽よりも熱い熱気に包まれた競技場。
3年生の部員たちにとって、今回の大会はこれまでの汗と涙、長かった練習の日々、そして仲間と過ごした時間すべてをぶつける「集大成」の舞台です。
ピストルの音が響く直前、スタートラインに立つ選手たちの横顔には、これまでにない引き締まった緊張感が漂っています。
【「悔いはない」 走り抜いたその表情に】
いざレースが始まると、一歩一歩に3年間の想いを込めるように、選手たちはトラックを駆け抜けます。
スタンドからの声援、これまでの苦しかった練習、怪我に悩まされた日々……。
様々な想いが交錯する中、全員が限界を超えてゴールを駆け抜けました。
走り終えた直後、息を切らしながらも、ある選手がポツリ。
「悔いのないように、全力で走りました」
その言葉と共にこぼれた表情は、結果の成否を超えて、すべてを出し切った者だけが持つ、どこか晴れやかで充実感に満ちた最高の笑顔でした。
スタジアムの真ん中で輝いたその一瞬のきらめきは、見守る私たちの胸を熱くさせるのに十分なものでした。
【2週間前から紡がれた、もう一つの「絆」】
実は、今回の大会に挑む選手たちのバックパックには、心強いお守りが揺れています。
それがこの、とても可愛い手作りのマスコットです。
大会の2週間前、マネージャーたちが「選手たちに少しでもパワーを届けたい」と、一針一針、心を込めてコツコツと作り上げてくれたものです。
そして、選手たちを支えていたのはマネージャーだけではありません。
毎日朝早くからお弁当を準備し、汗に濡れた練習着を洗濯し、時には優しく、時には厳しく背中を押し続けてくださった保護者の皆様の存在があります。
「これまで頑張ってきたんだから、とにかく楽しんでおいで」
そんな温かい家庭での送り出しがあったからこそ、選手たちはプレッシャーを跳ね除け、前だけを向いてスタートラインに立つことができます。
スタジアムで闘うのは選手一人ひとりですが、心は決して一人ではありません。
マネージャーの真心、数々の言葉で支えてくれた仲間、そして保護者の皆様のこれまでの大きな愛情という「目に見えないバトン」をその背中にしっかりと背負い、チームはまさに「一丸」となってこの大舞台に挑んでいます。
【戦いはまだ続く!次なる挑戦へ】
高校総体はまだ始まったばかり。
陸上競技部の熱い夏は、ここからさらに加速していきます。
初日でひと区切りを迎え、次なる目標へ向かうメンバーの想いも一緒に受け継ぎ、チームの絆はさらに強くなっています。
スタジアムで得た確かな手応えと悔しさを胸に、残る期間も私たちはそれぞれの種目で自らの限界に「挑戦」し続けます。
……さて、明日以降もまだまだ劇的なドラマや、選手たちの躍動の瞬間が続きます!
大会2日目以降の模様もお届けする予定です。
陸上競技部が次にどんな快走を見せてくれるのか、これからの投稿もどうぞお楽しみに!
本日大会運営に関わってくださった皆様、そして日頃から一番近くで支え、応援してくださる保護者の皆様、本当にありがとうございました。
本日も引き続き、熱い応援をよろしくお願いいたします!
今年3月、本校と日本製紙株式会社がガッチリ手を組んだ「産学連携協定」。
今回は、その日本製紙グループの株式会社豊徳様が、本校の果樹実習のためにと特別に送付してくださった高品質な特殊肥料「みみず太郎100」を使い、農業科2年生が土作りに挑戦した様子をお届けします!
・学校ブログはこちら:[日本製紙との産学協定について]
【問いから始まった驚きの授業】
授業の冒頭、まずは生徒たちに謎のサラサラした粉末を配布。
「これ、何だと思う?」と問いかけてみました。
実際に触ってみた生徒たちからは、次々とリアルな声が飛び交います。
「めっちゃサラサラ!」
「なんも臭わんよ?」
「土……? でも、火山灰じゃね!?」
「なんかコーヒー粕っぽくない?」
みんなであれこれ予想を膨らませたところで、「実はこれ、ミミズのフンなんだよ」と答えを明かすと、教室からはまさかの真実に「ええーっ!?」と大歓声が!
女子生徒からは「触っちゃったぁ〜!」と、ちょっとした悲鳴もあがっていました(笑)。
【すごいぞ!「みみず太郎100」の秘密】
ひとしきり盛り上がったあとは、授業担当からこの肥料のすごさについて詳しい説明がありました。
この「みみず太郎100」は、シイタケを育て終わったあとの廃菌床に牛糞や米糠を混ぜて発酵させ、それをミミズに食べてもらい、その糞土を集めて作られた究極のリサイクル肥料なのです。
この肥料のおかげで、
・土がふっかふかの「団粒構造」になる
・有機物たっぷりで、土のなかの微生物のエサが豊富になる
という素晴らしい効果があることを学び、生徒たちも「触っちゃった」驚きから、一気に「これ、めちゃくちゃ凄い肥料なんだ!」とリスペクトの目に変わっていました。
【いざ果樹園地へ!紅甘夏と柚子に想いを込めて】
仕組みを理解したら、さっそく果樹園地に移動して実習スタートです。
今回は園地にある5本の紅甘夏(ベニアマナツ)と、10本の柚子(ユズ)の樹をターゲットに施用を行いました。
プロの担当者の方から「紅甘夏1本につき6〜5kgがベスト」とアドバイスをいただき、今回の5月下旬(1回目)と、次回11月(2回目)の計2回に分けてじっくり施肥していく計画です。
2年生は、先ほど五感で確かめた肥料を、樹のまわりへ丁寧に一握りずつ撒いていきました。
生徒たちからは、
・「サラサラで全然堆肥っぽくなくて、めっちゃまきやすい!」
・「触り心地が良いけど、手にたくさんついて爪の中まで入っちゃいました(笑)」と、実際に泥臭く実習に励んだからこそのリアルな感想が。
「この肥料をたくさん吸って、甘夏たちに元気に育ってほしいな」と願いを込めながら、無事に1回目の施用を終えました。
今後は、この「みみず太郎100」を施用した紅甘夏と、そうではない通常の樹との間で、葉の繁り方や実の付き方、そして糖度などにどんな変化や違いが現れるのかを、しっかりと継続して観察・比較していく予定です。
【オフショット:実習の合間のスマイル】
実習の合間のひとコマにも、2年生らしい明るい笑顔があふれていました。
なんと、わずかな休み時間を使って、みんなで四葉のクローバー探しがスタート。
「そんな短時間で見つかるわけが……」と思いきや、
「あった!見つかった!」とまさかの大発見(笑)。
見つけるんかいっ!と突っ込みたくなるような強運を発揮していました。
ふかふかの土作りは、さっそく幸せを運んできてくれたようです。
また、施用実習を終えた男子生徒たちが仲良く一列に並んで休憩している様子も。
ひたむきな実習と、こうした爽やかな笑顔のオン・オフの切り替えが、農業科2年生の素敵なところです。
最先端の企業の技術と地域からの温かい応援を、教室でのワクワクする学びへと繋げ、それを「美味しい農産物」という形で地域へお返しする。
芦北高校農業科では、こんな地域とのリアルな結びつきを大切にしながら、これからの食と環境を支える知恵を「創造」しています。
特別にいただいた肥料の力を借りて、これから果樹たちがどんな変化を見せてくれるのか、今から観察の時間が待ちきれません。
株式会社豊徳様、日本製紙株式会社の皆様、素敵な贈り物を本当にありがとうございました。
生徒たちの夢と驚き、そして探究心をのせてスタートした新しい土作り、これからの果樹たちの成長をどうぞお楽しみに!
福祉科3年生の生徒たちは、6月から1ヶ月間、
地域の福祉・介護施設にて、介護実習を行います。
現場での実践力を高めるために、福祉・介護のプロの方々に学校に来ていただき
生活支援技術の授業を行いました。
北海道から、株式会社Start movementの大堀具視様、
そして、熊本県介護福祉士会(水俣芦北津奈木ブロック)の皆様
医療福祉考動塾PLUSONE様と、多くのプロの方々に見守られて授業を行いました。
利用者の方にとって、本当にやさしい介護…
それは、「利用者本人が動き出す」そのタイミングをしっかり待って、感じて
動きを支える技術です。
介護現場に勤務する2名の卒業生も、
自分の技術をさらに高めるために、授業に一緒に参加しました。
プロの方々に、現場で必要とされ、すぐに実践できる技術を習い
またひとつ、力をつけた3年生です。
来月6月23日(火)・24日(水)の2日間にわたり開催される「令和8年度 第77回熊本県学校農業クラブ連盟年次大会」。
今年度は私たち芦北高校が「担当校(開催校)」を務めるため、校内では着々と準備が進められています。
本日は、この記念すべき地元開催の舞台に向けて地道な努力を重ねる、農業科3年の「2人のトップランナー」をご紹介します。
【朝:県連会長としての決意と、野菜での全国リベンジ】
大会の公式ポスターを掲げるのは、熊本県学校農業クラブ連盟の「県連会長」を務める高野くんです。
「県連会長として発表者の皆さんが発表しやすい環境を作れるように、芦北高校農業クラブ員一同頑張ります」と、頼もしい決意を語ってくれました。
そんな彼は一人の競技者として、7月28日の「農業鑑定競技会(分野:野菜)」での全国出場を目指しています。
昨年あと一歩で全国を逃した悔しさをバネに、現在は朝早くから自主登校して自習に励む日々。
隣の席で「農業技術検定」の勉強に集中するクラスメートと互いに刺激し合いながら、「昨年の反省を活かして、今年は全国目指します」と、静かな教室でひたむきにペンを走らせています。
【放課後:未来へのビジョンを言葉に宿す学校代表】
一方、日の傾きかけた放課後の教室でストップウォッチを握り締め、練習に励んでいるのが「意見発表会」で学校代表を勝ち取った内田くんです。
日頃の学びから導き出した「スマート農業を導入した稲作・畜産の複合経営」という熱いビジョンを、7分間の限られた時間で伝えるため、一言一言の表現力を研ぎ澄ましています。
体育大会では農業科の団長を務め、空手道部では未経験から全国の舞台に立った内田くん。
持ち前の不屈の精神を原稿に込め、本番のステージを見据えて熱い声を響かせています。
朝の光のなか、クラスメートと机を並べて知識を蓄える高野くん。
放課後の教室で、自らの言葉と未来に向き合う内田くん。
努力する時間や目指す舞台は違えども、同じ志を持った3年生の2人が、これからの日本の食と農を「創造」する担い手として、今、最高の輝きを放とうとしています。
大会まであと1ヶ月。
朝夕の努力を背に突き進む2人への温かい応援を、よろしくお願いいたします。
「先生、これ本当に切って良いんですか?」
「ホントにこれ……? もったいなくない?」
「なんでこれ切るん?」
本日5月26日(火)、3年農業科の「果樹」の実習園地。
5月の爽やかな青空とは裏腹に、飛び交っていたのは生徒たちの戸惑いと驚きが入り混じったリアルな声でした。
この日行われたのは、露地「不知火(シラヌイ)」の剪定実習。
例年に比べると少し時期が遅れての実施となりましたが、最高学年となった生徒たちは、真剣な表情でノコギリを握り締め、樹木へと向かい合いました。
【チョークの印を追いかける、ノコギリの音】
果樹栽培において、実の付き方や樹の寿命そのものを左右する最も重要な実習、それが「剪定(不要な枝を切り落とす実習)」です。
今回の実習では、指導する実習教師がチョークを使い、切るべき太い枝に一本ずつ「印」を付けていきました。
生徒たちの役割は、その印をめがけてノコギリを入れ、枝を落とすこと。
ーーギコギコ、ギコギコ。
ーーバサッ!
切り方そのものは非常にシンプルで、迷う余地はありません。
しかし、先生が迷いなく付けるチョークの印を見るたびに、生徒たちのノコギリを持つ手はどこか不思議そうで、実習は慎重に進んでいきます。
「切る場所」を自分たちで選んでいるわけではないからこそ、一本切り落とすたびに「なぜここを落としたのだろう?」と、その断面を真剣に見つめる生徒たちの目が印象的でした。
【「さっきの樹とぜんぜん違う!」答え合わせは数年後】
一本の樹の剪定を終え、隣の樹へと向かった生徒。
しかし、次の樹の前に立った瞬間、ある重大な事実に気がつきます。
目の前の枝ぶりをまじまじと見つめながら、ポツリ。
「さっきの樹とぜんぜん違うじゃん!」
これこそが、生きた自然を相手にする農業の難しく、見事な奥深さ。
教科書のページを開けば、理想的な樹形が綺麗な図やイラストで描かれています。
しかし、実際の園地にある「不知火」の樹は、一本として同じ形のものはありません。
成長の歴史、日当たり、風の抜け方――目の前の樹々はまさに、教科書の図とは全く違う「生きた樹が書いた難解な問題集」そのものです。
しかもこの問題集、普通の勉強とは違って、すぐに答え合わせをすることができません。
今日落とした枝の判断が正しかったのか、本当の「答え」が出るのは、次の季節、あるいは数年後の実りの姿となって現れます。
そんな簡単にはいかない時間軸のなかで「切る場所を選ぶ」というのは、先生が何年もかけて泥臭く培ってきた、文字通り職人技の領域なのです。
【限られたチャンスだからこそ、泥臭く「解き続ける」】
この「剪定」の機会は、一年にたったの一回。
高校生活の3年間をすべて合わせても、多くて3回しか訪れない、極めて貴重な瞬間です。
当然、たった1回や2回、この実習をなぞっただけで、数年後に答えが出る難問を完璧に解き明かせるような世界ではありません。
「一度でわかることではない」からこそ、生徒たちの頭の中に撒かれた「なぜ?」という探究の種が宝物になります。
この限られたチャンスのなかで何度も樹に向き合い、泥臭くノコギリを動かし続けること。
その一瞬一瞬の継続だけが、教科書を超えた本物の技術を育ててくれます。
「なぜだろう?」と立ち止まり、生きた自然の複雑さと、時間とともに導き出される答えの重みに感動すること。
芦北高校農業科では、こうした教科書には載っていないリアルな「問題集」に真っ向から挑むことで、生徒一人ひとりが未来を生きる知恵を「創造」しています。
実習が終わる頃、生徒たちが落とした枝の隙間から、心地よい初夏の光が差し込んでいました。
数年後の最高の答え合わせを目指して、3年生の挑戦はこれからも続いていきます。
5月25日青空の下、1年生にとっては初となる演習林での実習が行われました
今回の実習は、初夏を迎える山の手入れに欠かせない「下草刈り(したくさかり)」。 しかも、今回は初めて「刈払い機(エンジン式の草刈り機)」を使用します!緊張感に包まれた実習になりました
安全第一!徹底的な「安全講習」から
刈払い機は、鋭い刃が高速で回転する強力な機械です。一歩間違えれば大怪我に繋がるため、事前に実習は先生からの厳しい安全講習を行っています
正しい服装のチェック: フェイスガード、防振手袋、すね当ての着用
キックバック(跳ね返り)の危険性: 刃のどの部分で草を刈るべきかの確認
周囲との距離: お互いに15メートル以上離れて作業すること
実習が終わる頃には、山の斜面が見違えるほどすっきりと整備されました
初めて重い機械を扱い続けた生徒たちの腕や肩はパンパン!
「腕がプルプルします(笑)。でも、山がキレイになってめちゃくちゃ気持ちいい!」
「いつも使っているお父さんの草刈り機、こんなに大変だったんだって分かりました」
お互いの健闘を称え合いながら飲む冷たいお茶は、最高に美味しかったようです
本日5月25日(月)の6限目。
外は「爽やか」という言葉が吹き飛ぶほど、ジリジリと強い日差しが肌を焼き、じっとしていても汗が止まらないほどの暑さとなりました。
そんな中、農業科の農場や実習室を少し覗いてみました。
すると、外の猛暑に負けない熱気で、1年生から3年生までがそれぞれの専門科目に向き合い、まさにバラエティ豊かな「多彩な学び」を同時に展開していました。
学年を追うごとにステップアップしていく、活気あふれる授業風景をご紹介します。
【1年生:農業と環境】栽培を支える土台!植物の器官を学ぶ
高校生活にもすっかり慣れてきた1年生。
この時間の「農業と環境」では、学校の農場でも栽培している「スイートコーン(トウモロコシ)」を題材に、植物の器官(体のつくりや各部位の役割)についての学習を行っていました。
これからの実習や栽培を支える大切な理論の第一歩。
慣れない専門用語や複雑な植物の構造を真剣にノートに書き留め、丁寧に図を描いていく姿は、すっかり未来の農業人の顔です。
自分たちの手で美味しい作物を育てるための知識を、しっかりと頭に叩き込んでいました。
【2年生:草花】 教科書とワークシートで探究する「園芸療法」
続いて2年生の「草花」の授業を覗いてみると、栽培技術からさらに一歩進んだ、植物の応用価値について考えていました。
テーマは、植物をとおして人の心や体を元気にする「園芸療法」です。
花を育てること、その美しさや香りが人間の心身にどのような好影響をもたらすのか。
生徒たちは教科書とワークシートに向き合い、集中してペンを走らせていました。
「私たちが育てる草花で、誰かを笑顔にできるかもしれない」という、植物が持つ福祉的な新しい価値を、一人ひとりが自分のなかにしっかりと落とし込む実直な時間となっていました。
【3年生:食品製造】地域を五感で加工する!地元の宝「甘夏」の実習
最後に3年生の「食品製造」の加工実習室へと足を運ぶと、そこには最高学年らしいプロフェッショナルな空間が広がっていました。
挑んでいたのは、地元・芦北の誇る特産品である「甘夏」を使った加工実習です。
衛生管理を徹底した白衣に身を包み、一房ずつ丁寧に剥いていく姿は、まるで本物の食品工場の生産ラインさながら。
地域の大切な資源を預かり、付加価値の高い製品へと生まれ変わらせるこの実習は、3年生がこれまで磨いてきた技術と集中力が試される瞬間です。
外の暑さを忘れるほどの緊張感のなか、お換いに声を掛け合いながらテキパキと動く姿に、最上級生としての頼もしさが溢れていました。
1年生の「これからの栽培を支える器官の学習」、
2年生の「知見を深める園芸療法の探究」、
そして3年生の「地域に貢献する製造実習」へ。
同じ時間、同じ暑さのなかでも、芦北高校農業科では多角的な視点から「食と農」を学び、未来を切り拓く力を「創造」しています。
これからも生徒一人ひとりが個性を輝かせながら成長していく日常を、少しずつ地域にお届けしていきます。
【「最初はグー!」実習室に響く、お昼前の熱きバトル】
「じゃんけんぽん! よっしゃあー!」
本日5月22日(金)、4限目の終わりを告げるチャイムが鳴る直前、農業科3年生の男子生徒たちが集まるテーブルから、地鳴りのような歓声が湧き上がりました。
ペコペコに空いたお腹を満たすため、目の前にある極上の肉を誰が勝ち取るか――。
高校生らしい元気いっぱいのじゃんけんバトルが勃発した瞬間でした。
一見、賑やかな調理実習のご褒美タイムに見えるこの光景。
しかし実はこれ、地域の最重要産業を五感すべてで学び尽くす、非常に贅沢で真剣な特別講座の締めくくりだったのです。
【専門科目がないからこそ、貪欲に学ぶ「畜産」】
時計を少し巻き戻して、3限目。
この日、農業科3年生を対象に開催されたのは「あか牛出前講座及び試食会」です。
水俣市肉用牛繁殖農家の友田勝久様をはじめ、JAあしきた、芦北町農林水産課、芦北地域振興局の皆様をお招きしました。
現在、芦北高校農業科には「畜産」の独立した専門科目がありません。
だからこそ、大型モニターに映し出される「黒毛和牛」や「褐毛和種(あか牛)」の特徴、枝肉の格付方法、数値を左右する飼料(米ぬか)の影響など、最前線の知識に生徒たちは貪欲に耳を傾け、熱心にメモを取っていました。
普段の授業では触れる機会の少ない未知の領域は、生徒たちにとって非常に新鮮で、大きな刺激となります。
【五感を揺さぶる!4限目の贅沢な試食会】
知識を頭に叩き込んだ後は、お待ちかねの試食(官能評価)へ。
用意されたのは、贅沢にも次の2種類のモモサイコロステーキです。
A:黒毛和牛(あしきた牛)
B:くまもとあか牛
お昼ご飯前の空腹という「最高のスパイス」も手伝う中、フライパンにお肉を落とした瞬間、「ジューッ!」と弾ける小気味よい音が室内に響き渡ります。
立ち上る芳醇で香ばしい香りの湯気が鼻腔をくすぐり、じわじわとあふれ出る美しい肉汁のきらめきが食欲をそそります。
トングを持つ手にも、お肉の柔らかさと確かな弾力が伝わってきました。
焼く工程までは、みんなで「ワイワイ」と笑顔を交わしながら、素材そのものの破壊力抜群の香りに五感を刺激されていきました。
【一転して「静寂」へ。自分の味覚と向き合う時間】
しかし、いざ試食が始まると、先ほどまでの賑やかさが嘘のように、実習室は一瞬にして心地よい緊張感に包まれました。
「普段、2種類のお肉を食べ比べすることはあまりないので、すごく楽しい!」
そんなワクワクを胸に秘めながらも、生徒たちは一切れごとに口直しのお水を飲み、無言で自分の味覚と実直に向き合います。
これこそが、味の違いを正しく見極める「消費者型官能評価(味覚テスト)」の真剣勝負です。
試食を終えるとすぐに各自タブレットへと向かい、集中した様子でアンケート調査票へ評価を入力していきました。
その後、感想を聞くと実際に味わった生徒たちからは、
「わたしはあしきた牛の方が好き。味が濃くジューシー!」
「私はあか牛派。柔らかくて食べやすかった!」
「真剣に悩んだけど、結局どっちもうまい!」
といった確かな舌応えが。
――そして、すべてのデータ入力を終えて張り詰めていた緊張の糸が解けた直後、冒頭の賑やかな「じゃんけんバトル」へと繋がったのです。
地域の豊かな自然と生産者の熱意が育んだ、誇るべき2つのブランド牛。
普段は学ぶ機会のない「畜産」という分野に触れ、楽しむところは全力で楽しみ、見極めるときはプロの目で真剣に向き合うという、メリハリのある素晴らしい実習となりました。
命をいただく感謝の気持ちを胸に、今回の学びをこれからの探究へと繋げ、地域の未来を「創造」していく3年生。
素晴らしい刺激をくださった講師の皆様、本当にありがとうございました!
暦の上では本日、二十四節気の「小満(しょうまん)」を迎えました。
あらゆる生命が次第に満ち満ちていく、という意味があるこの季節。
近頃は真夏日を記録するほどの厳しい暑さが続いていましたが、小満の当日はあいにくの、いえ、万物を潤す恵みの雨模様となりました。
真っ青な空に響く蝉の鳴き声すら予感させたこれまでの熱気を、優しく静めるように降り注ぐ雨。
農場を歩けば、この潤いを待っていたかのように植物たちが生き生きと緑を濃くし、まさに命が「満ちていく」エネルギーを全身で放っています。
■ 学校全体で繋ぐ、応援のバトン
雨の涼しさとは裏腹に、校内は今、静かな熱気に包まれています。
いよいよ来週には、高校総体、そして高校総合文化祭(総文祭)の開会式が控えています。
ふと図書館に足を運ぶと、そこには総体・総文に向けて用意された「部活小説」の特設コーナーが設けられていました。
ページをめくれば、そこにあるのは主人公たちのひたむきな汗と涙。
これから大舞台へ臨む仲間たちの背中を、言葉の力で後押ししたい――そんな温かい想いが、ディスプレイから伝わってくるようです。
グラウンドや体育館、部室棟だけでなく、この雨の日の静かな図書館まで。
学校全体がひとつのチームとなって、次なる舞台へ挑む生徒たちを盛り上げる。
そんな一体感が校内のあちこちに満ち満ちています。
■ 実りへの確かな一歩
運動部・文化部を問わず、それぞれの部活動に所属する生徒たちにとっては、これまでの努力の集大成を発揮する特別な舞台です。
週4日のタフな実習や課題研究をこなし、雨にも負けず、放課後はそれぞれの場所で一歩も引くことなく汗を流し、また感性を磨く。
じりじりと照りつける太陽のもとでも、今日のような雨の中でも、ひたむきに自らを高めようとする生徒たちの姿は、農場で力強く根を張る植物たちと見事に重なります。
大切なのは、結果の先にあるもの。
これまでの努力のすべてを注ぎ込み、自らの力を100%出し切ること。
激しい一戦のなかでも、繊細な表現や発表のなかでも、壁を乗り越えた先にある「やりきった」という本物の充実感を、その肌で、心で掴み取ってくれることこそが、私たちの一番の願いです。
雨が万物を潤し、さらなる成長を促すこの良き日に、自分の限界に挑戦する芦北高校の生徒たち。
来週の総体・総文祭という大きな舞台で、彼らの情熱が最高の形で完全燃焼することを、農業科一同、心から応援しています。
「小満(しょうまん)」
満ちゆく緑と、雨にも負けない生徒たちのひたむきな情熱に未来を重ねる芦北高校より。
本日の農業科2年生「食品製造」の実習室は、いつも以上にピリッとした緊張感と、甘く香ばしい香りに包まれました。
挑戦したのは、洋菓子の定番でありながら、高度な技術と集中力を要する「シュー・ア・ラ・クレーム(シュークリーム)」の製造です。
【ただ混ぜるのではなく、五感での観察】
中に詰めるカスタードクリーム、そして土台となるシュー生地。
どちらの製造においても、最大のポイントは「ただ機械的に混ぜるのではない」という点にあります。
焦げ付きやダマを防ぎ、なめらかに仕上げるため、生徒たちは絶えず鍋底やボウルの感触に集中し、全体の色の変化が均一であるかを注意深く観察し続けました。
木べらを掲げて状態を確認するその目は、まさにプロの職人そのものです。
【膨らむための絶対条件「糊化」(こか)への挑戦】
さらに、シュー・ア・ラ・クレームには「生地が大きく美しく膨らむこと」という厳しい最低条件があります。
鍋でバターを完全に沸騰させ、一気に小麦粉を投入して手早く混ぜることで、熱によりデンプンを結合させる「糊化(こか)」を促します。
ここからが、まさに「食品製造」という名の実験室。
材料の正確な「計量」はもちろん、火からおろす一瞬の「タイミング」、生地の温度を見極めながら卵を加えていく最適な「割合」、そして木べらを通じて指先に伝わる生地の粘り気の「感覚」まで。
そのすべてが論理的な条件で成り立っています。
どれか一つでも数値や感覚が狂えば、オーブンの中で生地は絶対に膨らみません。
「食品製造」とは、五感と知識でコントロールする極めて繊細な「化学」の世界です。
【見事な焼き上がり、解き明かされる明暗】
多くの班では、オーブンのガラス越しに生地がふっくらと黄金色に立ち上がり、見事なシュー皮が焼き上がりました。
綺麗に膨らんだ歓声のなか、なめらかなカスタードをたっぷりと絞り入れ、美しい「シュー・ア・ラ・クレーム」が次々と完成していきます。
しかし、実習を行った10班のうち、1班だけどうしても上手く膨らまない班がありました。
原因を突き詰めると、生地作りの工程におけるわずかな「火加減」のズレ。
周囲が成功する中で理想の形には届かず、悔しさが残る結果となりましたが、いざ試食してみると
――「食べたら美味しい!」と、味の仕上がりには笑みがこぼれました。
実習を終えた生徒たちからは、「コンビニやスーパーで何気なく並んでいるシュークリームを見る目が変わった」という声が。
いつも均一に、美しく膨らんでいる商品の裏にある職人技や企業努力の凄さを、身をもって実感しました。
成功から自信を得るだけでなく、失敗から原因を分析し、日常の景色さえも学びに変えていく。
自らの手と五感を使って、新しい価値や気づきを「創造」していく2年生の、さらなる成長が楽しみになる実習となりました。
── 相棒図鑑 其の四 「三脚脚立」 ──
果樹園の隅、出番を待つアルミニウムの塊があります。
エンジンもなければ、華やかなハイテク機能もありません。
状態を知らせる液晶画面も、始動するためのスイッチやボタンすら、そこには一切存在しないのです。
しかし、彼らがいなければ、私たちは樹の頂で「一番良い顔」をして実る果実に触れることすら叶いません。
今回の相棒は、不動の構えで高みを目指す「三本足の修行僧」、三脚脚立(さんきゃくきゃたつ)です。
本校の「修行場(果樹園)」には、可愛らしい3段から、見上げるような12段まで、歴代の相棒たちが揃っています。
彼らの最大の特徴は、四本足ではなく「三本足」であること。
不整地や傾斜地という不安定な大地において、一点の迷いもなく地面を確実に捉える。
それは、自然という厳しい道場で生き抜くために研ぎ澄まされた、究極の機能美です。
時には、木の枝をまたぐようにして、一本の後脚を樹の懐深くへと滑り込ませることもあります。
もし彼らに心があるならば、自らの身を挺して、乗り手が最も安全に空へと手を伸ばせる「座禅の場(足場)」を足元で整えてくれているのかもしれません。
この修行僧と呼吸を合わせ、その不動の境地を共有するには、単なる「道具扱い」を超えた、現場に対する深い畏敬の念が必要なのです。
しかし、この相棒は実直であると同時に、掟(ルール)に極めて厳格な側面も持っています。
もし乗り手が慢心し、設置の甘さやチェーンの緩みを見過ごせば、修行僧は沈黙したまま、静かにその構えを崩します。
ほんの数センチのズレ、あるいは「これくらい大丈夫だろう」という甘い見通し。
それは修行僧にとって、最も許しがたい不作法です。
一瞬の揺らぎとともに地面へと叩きつけられる衝撃は、慢心した乗り手への「修行僧からのお仕置き」。
怪我と隣り合わせのその厳しさは、命を預かる現場の重さを教え込む、寡黙な教育者の姿でもあります。
だからこそ、私たちは彼らと向き合うとき、決して欠かさない「対話(儀式)」があります。
・「間のチェーン」をピンと張り、足が広がるのを防ぐこと。
・「設置の角度」を厳しく見極め、安定を確保すること。
・「天板(一番上)には決して乗らない」という、相棒との絶対の掟。
生徒たちが踏みしめるステップの擦り減りは、歴代の先輩たちが安全と向き合い、一歩ずつ高みを目指した「修行の足跡」そのものです。
派手な主役ではないけれど、誰かが理想の果実を求めて「高度」を上げるとき、必ずその足元を支えている。
厳しさがあるからこそ、本物の信頼が生まれる。
芦北高校の果樹園には、今日も静かに、そして力強く大地を掴む「相棒」の姿があります。
「道具の限界を知り、その掟を敬う。安全を確保するその手間こそが、自分と仲間を守るプロへの第一歩です」
林業科の大きな特色の一つである「演習林実習」1年生にとっては、大自然の中で本格的な林業や環境について学ぶ一大イベントです
実習を安全に、そして充実したものにするために、先日、1年生を対象とした「刈払い機(草刈り機)の始動・操作方法実習」を行いました
刈払い機は、生い茂る草を効率よく刈り取ってくれる非常に便利な道具ですが、一歩間違えれば大怪我につながる危険な機械でもあります
「最初は音が大きくて怖かったけど、先生が丁寧に教えてくれたのでコツが掴めました。演習林では、今日習った安全第一の意識を絶対忘れないようにします!」
便利な道具だからこそ、正しい知識と技術、そして何より「油断しない心」が大切です。今回の講習で、1年生は安全に実習を行うための素晴らしい第一歩を踏み出しました
来週25日(月)には初めての演習林実習があります
全然第一で頑張ります!!
5月も半ばを過ぎ、芦北高校の農場には今日も初夏らしい元気な声が響いています。
これまでも日々ひたむきに実習に励んできた1年農業科の面々ですが、本ブログに登場するのは今回が初めて。
まだピカピカで真新しい実習服に身を包み、農場をエネルギッシュに駆け回る40名の生き生きとした姿をお届けします。
【夏を思わせる日差しの中、それぞれの実習を展開】
この日は、真夏を思わせる強い日差しと気温。
ジリジリと照りつける太陽の下、生徒たちはそれぞれ分担された実習に分かれ、暑さにも負けずスイートコーンへの液肥施用とキュウリの袋詰めに並行して取り組みました。
【スイートコーン:秀品づくりのポイントを学ぶ液肥やり】
スイートコーンを担当する生徒たちは、なかなかの重さがあるジョウロを手に、一株ずつ丁寧に液体肥料をまいていきました。
スイートコーン栽培において、今回の液肥やりは「秀品(質の高い美しい成果物)」を育てるための極めて重要なポイント。
暑さのなか、額に汗を浮かべながら一本一本へ真摯に向き合う実習。
重いジョウロを抱えた生徒からは、「おもいわぁ……」と思わず本音がポロリ。
その言葉通り、作物へ注ぐ「重い(強い)想い」がたっぷりと詰まった時間となりました。
【キュウリ:向きが逆!?失敗から生まれるプロの視点】
一方、キュウリを担当する生徒たちは、実習室での袋詰め実習に集中。
立派に育ったキュウリを前に、農場でのダイナミックな動きとは一転して、みんな真剣で繊細な手つきになります。
大切な農産物を傷つけないよう、プロの商品として丁寧に袋へと収めていきました。
そんな実習の最中、詰められたキュウリを確認すると、綺麗に並ぶ中で「逆向き」に入っているものが数本。
「だれだぁ、逆に入れたのぉ〜」
実習室にそんな微笑ましい声が響くのも、教科書には載っていない生きた学びの瞬間です。
ただ袋に入れるだけではなく、「お店に並んだとき、どうすれば美しく見えるか」。
自分たちの手がけた作物を手に取る消費者の気持ちを想像し、思いやりを持てるプロの農業人を目指して、40名は失敗さえも確かな経験へと変えていきます。
それぞれの場所で、真新しい実習服を土や汗で少しずつ汚していく生徒たち。
その汚れこそが、立派な農業人へと歩みを進めている誇り高き証拠です。
日々の実習から多くの気づきを得て、彼らは自分たちの手で未来の「みのり」を「創造」していきます。
これからの1年農業科の確かな歩みと成長を、どうぞ温かく見守りください。
芦北高校農業科 「品種名鑑」 #03
【品種名鑑 #02:「M16 知ればあなたも 目利きなり】はこちら
果樹専攻の主役が「不知火」なら、本校草花専攻を支える不動の主役は、やはりこの花。
「シクラメン」です。
※昨年11月の温室内の様子
●品種データ
科名: サクラソウ科
和名: 篝火花(カガリビバナ)
花言葉: 「内気」「はにかみ」「遠慮」
この「内気」「遠慮」という控えめな花言葉。
温室の片隅で、俯きかげんに、けれど凛と咲くその佇まいは、生徒たちの実習の様子とどこか重なります。
華やかな舞台では少し照れくさそうに言葉を飲み込み、けれど実習棟の中では誰よりもひたむきに、土の匂いに包まれながら黙々と花と向き合い続ける草花専攻生たち。
その「はにかみ」ながらも内に熱い想いを秘めた誠実な背中は、どこかシクラメンの美しさと似ている気がします。
●教室で共に過ごした半年間
本校のシクラメンは、その「息の長さ」が自慢です。
昨年11月に温室を出て、教室へと置かれた一鉢。
半年が過ぎた5月の今、ようやく花を休め、青々とした葉を蓄えた状態で農場へ戻ってきました。
毎日、生徒たちが登校し、チャイムが鳴り、放課後を迎える。
その日常の風景の中に、いつもこの花がありました。
花が上がらなくなった今の姿は、半年間、教室の主役として共に過ごした時間の証でもあります。
●命を繋ぐ、一年のバトン
役目を終えて戻ってきた株の近くでは、次の冬に向けて命を繋ぐ「新しい苗」たちが、小さな葉を一生懸命に広げ始めています。
シクラメンの栽培期間は、実に1年。
ようやく今、力強い葉を広げ始めたところです。
この長い時間のバトンタッチは、農業高校ならではの「命の授業」です。
●葉の数だけ、花は咲く
そんな彼らが学ぶ、栽培の鉄則があります。
それは、「たくさんの花を咲かせることは、まず葉を増やすことから始まる」ということ。
シクラメンには「葉の数だけ花が咲く」という言葉があります。
葉の1枚1枚が、その付け根に眠る花芽の大切なエネルギー源だからです。
溢れんばかりの花を咲かせたいなら、まずは地道に、健康な葉を1枚ずつ丁寧に育てる。
急がば回れ。
この自然の摂理こそが、シクラメン栽培の極意です。
※花苗を持つ草花専攻性
1滴の水やり、1℃の温度管理、そしてこれから始まる「葉組み(はぐみ)」という指先の魔法。
今、ポットの中で並んでいる小さな葉の1枚1枚が、冬には燃えるような「カガリビバナ」へと姿を変えます。
目に見えない「根」や「葉」の成長を信じてお世話を続ける。
それは、自分たちの将来の可能性を信じて学ぶ、生徒たちの姿その物です。
和名である「カガリビバナ」の名の通り、鮮やかな花弁には、生徒たちが注いできた粘り強い愛情の火が灯っています。
「1年の月日を詰め込んだ、命の結晶。芦高のシクラメンには、生徒たちの粘り強い愛情が息づいています」
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