宮崎県は都城市。
聞き書き甲子園の受け入れ先として今年度認定されている当市に、県産材にこだわった木製家具造りに取り組まれる「家具のきよみず」があります。
その代表を務めておられるのが森(木)の名人 清水克己 さんです。
今年の8月より、環境コースの生徒が聞き書き甲子園18期生として名人への取材を続けています。
「聞き書き」とは、農山漁村における過疎化が進み、暮らしに必要なものを森や海、川から得て暮らしていた先人たちの知恵や技術が失われつつある中、全国から選ばれた80人の高校生が、森や海、川とともに生きる知恵や技を持つ「名人」を訪ね、一対一で「聞き書き」し、その成果を発信する活動です。
農林水産省や文部科学省、NPO法人主催で毎年実施されており、昨年も環境コースの女子生徒が全国応募から選考され参加しました。本校職員にも、高校生時代に聞き書き甲子園に参加した経験があられる先生もいらっしゃいます。
天候にも恵まれた今週末、都城市での取材を終えました。
家具や木工品づくりに用いられる木材を集積する土場には県産ヒノキやスギが並びます。
この丸太を製材する所から、名人の仕事は始まっていきます。
高等技術である「ほぞ接ぎ」は2つの木材を組み合わせる方法のひとつで、接合強度が木ネジによる接合よりもが 大きく向上します。
写真の様に一方は凸部に加工し、もう一方を凹部に加工しはめ合わせます。
パネルソーや超仕上げ鉋盤などの大型の木材加工機械も工場内には数多くありました。
長年の経験から得た手作業の技術、精密な機械作業を組み合わせて、何十年と使用可能な木製品を丁寧につくり上げる過程は、正に名人の生き様そのものであったように感じます。
名人は小学生を対象とした木育教室も実践されており「子どもの頃から木に触れることで木の温もりや物を大切にする感性が磨かれ、人生が豊かになる」とおっしゃいました。
森林・林業を学ぶ私たちに今後の活動の指針を示していただいた様にも感じました。
今回の名人との出会いがきっかけとなり、今後の更なる成長と飛躍に繋がっていくことでしょう。
「聞き書き」としては今後、12月にかけて取材内容をレポートにまとめ上げます。その後2月に東京で開催される報告会に出席します。全国の高校生の報告内容は全てが一冊の本に製本され、将来に受け継がれていきます。