芦北高校農業科 「品種名鑑」 #03
【品種名鑑 #02:「M16 知ればあなたも 目利きなり】はこちら
果樹専攻の主役が「不知火」なら、本校草花専攻を支える不動の主役は、やはりこの花。
「シクラメン」です。
※昨年11月の温室内の様子
●品種データ
科名: サクラソウ科
和名: 篝火花(カガリビバナ)
花言葉: 「内気」「はにかみ」「遠慮」
この「内気」「遠慮」という控えめな花言葉。
温室の片隅で、俯きかげんに、けれど凛と咲くその佇まいは、生徒たちの実習の様子とどこか重なります。
華やかな舞台では少し照れくさそうに言葉を飲み込み、けれど実習棟の中では誰よりもひたむきに、土の匂いに包まれながら黙々と花と向き合い続ける草花専攻生たち。
その「はにかみ」ながらも内に熱い想いを秘めた誠実な背中は、どこかシクラメンの美しさと似ている気がします。
●教室で共に過ごした半年間
本校のシクラメンは、その「息の長さ」が自慢です。
昨年11月に温室を出て、教室へと置かれた一鉢。
半年が過ぎた5月の今、ようやく花を休め、青々とした葉を蓄えた状態で農場へ戻ってきました。
毎日、生徒たちが登校し、チャイムが鳴り、放課後を迎える。
その日常の風景の中に、いつもこの花がありました。
花が上がらなくなった今の姿は、半年間、教室の主役として共に過ごした時間の証でもあります。
●命を繋ぐ、一年のバトン
役目を終えて戻ってきた株の近くでは、次の冬に向けて命を繋ぐ「新しい苗」たちが、小さな葉を一生懸命に広げ始めています。
シクラメンの栽培期間は、実に1年。
ようやく今、力強い葉を広げ始めたところです。
この長い時間のバトンタッチは、農業高校ならではの「命の授業」です。
●葉の数だけ、花は咲く
そんな彼らが学ぶ、栽培の鉄則があります。
それは、「たくさんの花を咲かせることは、まず葉を増やすことから始まる」ということ。
シクラメンには「葉の数だけ花が咲く」という言葉があります。
葉の1枚1枚が、その付け根に眠る花芽の大切なエネルギー源だからです。
溢れんばかりの花を咲かせたいなら、まずは地道に、健康な葉を1枚ずつ丁寧に育てる。
急がば回れ。
この自然の摂理こそが、シクラメン栽培の極意です。
※花苗を持つ草花専攻性
1滴の水やり、1℃の温度管理、そしてこれから始まる「葉組み(はぐみ)」という指先の魔法。
今、ポットの中で並んでいる小さな葉の1枚1枚が、冬には燃えるような「カガリビバナ」へと姿を変えます。
目に見えない「根」や「葉」の成長を信じてお世話を続ける。
それは、自分たちの将来の可能性を信じて学ぶ、生徒たちの姿その物です。
和名である「カガリビバナ」の名の通り、鮮やかな花弁には、生徒たちが注いできた粘り強い愛情の火が灯っています。
「1年の月日を詰め込んだ、命の結晶。芦高のシクラメンには、生徒たちの粘り強い愛情が息づいています」
本日の3年農業科「食品製造」は、製パン実習。
最高学年として、材料の計量から袋詰め、そして自分たちの手による校内販売まで、「製造から流通までの一連の流れ」を実践的に学びました。
【身だしなみと正確さ、それが信頼の証】
鏡の前で髪一本落とさないよう身だしなみを整えるところから、私たちの「実習」は始まります。
実習が始まれば、リズムよく生地を切り分け、手際よく計量。
3年生ともなればその手つきは慣れたもので、迷いなく正確に分量を導き出していきます。
この地道なプロ意識の積み重ねが、美味しい製品への第一歩です。
【協力して命を吹き込む「成形」】
最も技術を要する「成形」の工程では、手のひらで生地の感触を確かめ、丁寧に丸めていきます。
実習室ではお互いにアドバイスを送り合い、協力して一つひとつのパンを最高の形に仕上げていきました。
【届けたいのは、焼きたての温もり】
オーブンから黄金色のパンが焼き上がると、すぐに袋詰めをして校内販売へ。
自分たちで作ったものを、自分たちの手で、直接お客様へ届ける。
手渡した瞬間に「ありがとうございます!」と感謝を伝える。
その時に広がる相手の喜びこそが、教室だけでは学べない、この実習の真の醍醐味です。
真っさらな粉から、心を込めて形を創り、届ける。
私たちが今日、実習室で作っていたのは、単なるパンではありません。
その一口で誰かを幸せにするための、たくさんの「笑顔」です。
今週の芦北高校は、全国への発信から農場での真剣勝負まで、熱いニュースが目白押しです!
「観る・守る・繋ぐ・彩る」の4つの視点から、私たちの現在地をお届けします。
1.【観る】「ミライのタネ」アーカイブ公開!
5月9日に放映された番組が、ついにYouTubeで公開されました。
伝統の「甘夏マーマレード製造」に打ち込む生徒たちの瑞々しい姿を、ぜひご覧ください。
受け継がれてきた味を、次の時代へとつなぐ情熱が詰まっています。
●ミライのタネ RKK熊本放送: [番組アーカイブはこちら]
●取材の様子はこちら: [ブログ:ピンマイク 「これが業界」 加工室]
2.【守る】謎の影を特定。だが、戦いはこれから。
先日の「草刈り作戦」が功を奏し、自動撮影カメラが深夜の訪問者を捉えました。
画像をAIで解析し、対話を重ねて導き出された正体は「おそらくアナグマ」。
しかし、姿を捉えたのは対策の第一歩に過ぎません。
正体が判明した今、ここからが防除の「本番」です。
大切な果樹を守り抜くため、さらなる知恵を「創造」し、私たちは立ち向かいます。
●対決の始まりはこちら: [ブログ:グラウンド 砂舞う裏で 獣(しし)を追う]
3.【繋ぐ】ふるさと納税、出品完了。
生徒たちが丹精込めて作り上げた実習製品が、今年度「ふるさと納税」の返礼品として出品されました。
私たちの活動を支えてくださる全国の皆様へ、芦北の豊かな恵みを感謝とともに届けます。
地域への貢献を実感する、私たちの誇りです。
関係者の皆様、出品にご尽力いただいた皆様大変ありがとうございました。
※写真は昨年度の卒業生です
●ふるさと納税ポータルサイトの例: [ふるさとチョイス] [ふるなび] [楽天市場]
●こだわりの撮影風景はこちら: [ブログ:「不知火」に 生徒の真心 「あしポン」へ]
4.【彩る】プロの感性に触れる、フラワーアレンジ実習
農場での「静かな戦い」の一方で、実習室は鮮やかな花々に包まれました。
本日は外部講師をお招きし、フラワーアレンジメントの授業を実施。
プロの技術と感性に触れながら、生徒たちはそれぞれの個性を形にしていきました。
農業高校ならではの、豊かな感性と「美しさを創る」学びの時間です。
【今日の一枚:旬を味わい、次を創る】
最後は、3年生の果樹専攻生による試食の様子。
自分たちが育てた果実の味を知ることも、次なる「美味しい」を「創造」するための大切なステップ。
弾ける笑顔とともに、次代への意欲が溢れます!
5月12日、農業科2年生を対象に「お茶の出前講座」を実施しました。
水俣・芦北地域において、お茶は柑橘やサラダタマネギに次ぐ主要な農産物です。
地域の伝統産業を次代へ繋ぐため、専門の講師をお招きして、その歴史から淹れ方までを深く学びました。
【「急須がない」からのスタート】
授業の冒頭、生徒たちに「普段、お茶を飲みますか?」と問いかけると、ほとんどの生徒が「あまり飲まない」との回答。
中には「家に急須がない」という生徒もおり、現代のリアルな食生活が浮き彫りになる幕開けとなりました。
しかし、そんな「身近なようで遠い」お茶の世界を紐解く2時間は、驚きと発見の連続でした。
【五感で驚く、6種類の飲み比べ】
後半の「淹れ方教室」では、豪華6種類の試飲に挑戦。
ウーロン茶・紅茶・緑茶・煎茶・釜炒り製玉緑茶・ほうじ茶
同じ茶葉から作られるお茶が、加工一つでこれほどまでに変化することに、生徒たちは釘付けです。
「茶葉によって味がこんなにも違うことに驚いた!」
「飲み比べが楽しくて、お茶のイメージが変わった」
実習室にはそんな弾んだ声が響き、最後には「今日で『お茶のちがいがわかる農業高校生』になれたと思う」という頼もしい宣言も飛び出しました。
【伝統をつなぐ、最初の一杯】
地域の農産物を知り、その価値を五感で理解することは、伝統を未来へ繋ぐ大切な一歩です。
「家に急須がない」と言っていた生徒たちも、今日をきっかけに、まずは自分の一杯を淹れてみませんか?
本日学んだ知識と「ちがい」がわかる自信が、いつか地域の農業を支える誇りへと育っていくことを願っています。
講師を務めていただいた芦北地域振興局の吉川様、貴重な学びをありがとうございました!
5月8日。
校内は明日9日に控えた「体育大会」の準備で沸き立っています。
練習に励む生徒たちの熱気と砂埃、そして響き渡る歓声。
しかし、その華やかな喧騒から離れた静かな果樹園では、もう一つの「負けられない戦い」が続いています。
【深夜の果樹園、カメラが捉えた動かぬ証拠】
生徒たちがグラウンドで汗を流している間も、果樹園に潜む「敵」には関係ありません。
設置した自動撮影カメラを確認すると、深夜の静寂を破り、不気味にうごめく「謎の獣」の姿が記録されていました。
白黒の映像に浮かび上がるシルエット……。
イノシシか、あるいはアナグマか。
繁茂した草に遮られ、その正体を特定するには至りません。
ただ、私たちの果樹園を荒らす存在であることは確かです。
「今度こそ、その姿を鮮明に捉えてやる!」
正体を突き止め、万全の対策を講じるため、急遽カメラ周辺の草刈りを実施。
障害物を取り除き、次なる決戦に備えます。
【告知:明日放映!伝統をつなぐ「甘夏マーマレード」】
農場を守り抜くこうした地道な日常を、別角度から取材していただいた番組がいよいよ明日、放映されます。
テーマは、本校が長年大切にしてきた実習「甘夏マーマレード製造」(教科:食品製造)です。
●番組名: ミライのタネ(公式ホームページ)
●放映日時: 5月9日(土) 午後4時54分〜
●取材の様子はこちら ⇒ 「ピンマイク 「これが業界」 加工室」
実習室で甘夏と向き合い、先輩たちから受け継いだ独自の味、その伝統をつなぐべく奮闘する生徒たちの姿をぜひご覧ください。
【つなぐ、守る、未来へ。】
グラウンドでバトンを繋ぎ、果樹園で伝統の樹を守り、実習室で伝統の味をつなぐ。
一見バラバラに見える活動も、その根底にあるのは「大切なものを次代へ届けたい」という生徒たちの純粋な想いです。
その想いこそが、まさに未来を創る「ミライのタネ」なのだと感じます。
明日はグラウンドで青春を爆発させ、夕方は画面越しに私たちの情熱をお届けします。
皆様、どうぞ温かいご声援をよろしくお願いいたします!
Global Series Vol. 4:Ashikita Vitality
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第4回は、4月21日の「3年生・果樹実習(草刈り)」の記録です。
[Global Series Vol. 3:Golden Fruits, Shared Dreams はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 4: Senior Fruit Tree Practice — Orchard Mowing (Apr 21st).
[Click here for Global Series Vol. 3:Golden Fruits, Shared Dreams]
— Senior Fruit Tree Practice: Mowing the Orchard Under the Spring Sun —
A clear blue sky hints at the coming summer. Under the stinging sunlight, the scent of engine oil wafts through the air—a sign of preparation. Soon, the roar of engines shatters the silence. Today, our third-year students conducted orchard mowing as part of their "Fruit Tree Practice."
■ Putting Machinery Training into Action!
Working in pairs, the students took turns every 15 minutes. They used brush cutters equipped with nylon cords for enhanced safety. This was the moment to apply the results of their previous machinery training to a real-world setting. Though cautious at first, they moved forward steadily, relying on the knowledge they had worked hard to gain.
The area around the base of the trees requires delicate control to clear the weeds without nicking the trunk. Watching the seniors skillfully maneuver their machines, their backs looked more dependable than ever.
■ Spring Buds are Waking Up
Turning our gaze toward the trees, we see countless flower buds on the "Sweet Spring" citrus branches, nearly ready to bloom.
New shoots are sprouting vigorously from the main trunks; you can almost feel the heartbeat of spring growth.
■ A "Selfish Wish" from the Instructor
Looking out over the neatly trimmed orchard after the practice, a thought often crosses my mind. "I wish the weeds at my feet wouldn't grow at all. Yet, I want the buds and flowers on the trees to grow with limitless vitality."
"Dry up, weeds; grow tall, buds." I couldn't help but smile at my own selfish desire. However, perhaps it is within this contradictory dilemma that the true depth of agriculture—the act of cherishing life—resides.
The third-year students successfully turned their training into tangible results. Thanks to their careful work, our Sweet Spring trees are ready to welcome their blossoms in comfort.
暦の上では、まもなく5月5日に二十四節気の「立夏(りっか)」を迎えます。
春が極まり、夏の気配が立ち始めるこの時期。
今日は清々しい晴天に恵まれました。
日差しには力強さが増していますが、農場を歩けば、木陰を吹き抜けるそよ風が少し冷たく、心地よく肌を撫でていきます。
農場では、出番を待つ花や野菜の苗たちが、今か今かとその時を待っています。
瑞々しく青々と育った苗たちの姿は、これから始まる眩しい季節への期待感を高めてくれるようです。
明日からはいよいよゴールデンウィーク。
ですが、学校は今日から5月9日の体育大会に向けた、終日の練習や準備という大きな節目を迎えました。
■ 団結の汗、初夏の風に乗せて
今日から始まった体育大会の全体練習。
グラウンドや体育館からは、生徒たちの活気ある声が響いています。
農場での実習で見せる真剣な眼差しはそのままに、各団が一致団結し、練習は初日から熱を帯びています。
今年度は全校生徒によるフォークダンスも行われます。
練習の輪の中では、少し照れくさそうにしながらも、弾けるような笑顔で楽しんでいる生徒たちの姿が印象的でした。
ダンスの練習もいよいよ佳境。
時折吹き抜ける涼やかな風は、全力で体を動かす生徒たちの熱を心地よく鎮め、次の一歩を後押ししてくれる「恵みの風」となっています。
■ 眩しい舞台を待つ、静かな情熱
立夏を過ぎれば、季節はいよいよ眩しい夏へと向かいます。
最後に、本校農業科を牽引する団長と副団長の3人をパシャリ。
頼もしい彼らのリーダーシップに、本当に期待しています!
生徒たちのひたむきな努力が結実する体育大会。
その舞台を最高のコンディションで迎えられるよう、この連休でしっかりと英気を養い、心身ともに「立夏」にふさわしい清々しい姿で再会できることを楽しみにしています。
皆さま、どうぞ素敵なゴールデンウィークをお過ごしください。
「立夏(りっか)」
初夏の風と、生徒たちの歓声が響く芦北高校より。
4月30日、本日はあいにくの雨。
晴れていれば農場で「甘夏」の剪定に汗を流す予定でしたが、本日は室内での実習に切り替えました。
●初めて手にする「不知火」の重み
2年生の果樹班は、本校の特産品「不知火(しらぬい)」の出荷調整に取り組みました。
1年生のときには触れる機会のなかった果実。
それを一つひとつ丁寧に拭き上げ、箱に詰め、お客様へ届ける形に整えていきます。
先輩たちが繋いできた努力を、自分たちの手で「商品」として完成させる瞬間。
そこには、単なる作業以上の、プロとしての責任感が漂います。
●食レポの向こう側にあるもの
実習の合間、味を確認するために試食を行いました。
感想を尋ねると、返ってきたのは「……甘いです!」という、真っ当で、でも少し素朴すぎる答え。
「もっと上手に食レポしてよ!」と笑い合いながら、ふと思いました。
農業科職員室の出入り口にある掲示板。
そこに私が掲げている「あの言葉」を、今、この実習を通して肌で感じてほしい、と。
私たちが箱詰めしているのは、単なる果実ではありません。
それを手に取り、口にした瞬間にこぼれる「笑顔」そのものを作っているのです。
「どんな味?」という問いに言葉を尽くそうとする姿勢は、その先にいる誰かの喜びを、どれだけ真剣に想像できているかの証(あかし)でもあります。
●想像力が「創造」を変える
雨音を聞きながら向き合った不知火の味。
次に「どんな味?」と聞かれたときには、今日感じたみずみずしさの先に、誰かの喜ぶ顔を思い浮かべて語れるようになってほしい。
毎日、職員室の前を通るたびに目にするあの言葉が、知識ではなく「実感」として彼らの中に溶け込んでいくことを願っています。
技術を磨き、感性を磨き、そして「笑顔」を届ける。
雨の日の静かな学びは、農業科としてのプライドを育む大切な時間となりました。
本日の農業科は、いつもの農場とは少し違う風景。
「泥にまみれてばかりではない」農業科の、知的探究の一日をご紹介します。
【3年:農業機械】トラクタの「心臓部」を解き明かす
3年生は、農業を支える動力源「エンジン」の座学。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いを学び、さらに「乗用車とトラクタの構造的な違い」についても例を挙げながら学習しました。
スピードを追求する乗用車と、過酷な現場で粘り強い力を発揮するトラクタ。
その設計思想の違いを学ぶことで、普段操作している機械への敬意と理解がより一層深まったようです。
【2年:農業と情報】「音」が変わったタイピング
2年生の教室では、ICTの基礎体力を養うタイピング練習に励んでいました。
当初はキーの場所を「確認しながら」叩いていた生徒たちも、今では「パチ、パチ、パチ!」とリズム良い音に変わってきています。
もともと入力が早かった生徒はさらにその精度を上げ、クラス全体で現代農業に必須の「情報を扱うスキル」を着実に自分のものにしています。
■洗練されたスマート農業を目指して
今、農業界では自動運転やAI活用といった「洗練されたスマート農業」が注目されています。
しかし、それらを自在に使いこなすために必要なのは、機械の仕組みを知る「基礎」であり、情報を正確に扱う「基本」です。
泥臭い現場の実習と、教室での緻密な座学。
どちらもスマートな未来を創るために欠かせない、学びの「両輪」として私たちは大切にしています。
本日は「甘夏」と「露地不知火(しらぬい)」の草刈りを行いました。
この時期、どうしても草刈りの投稿が続いてしまいますが、今の農場にはこの季節にしか出会えない風景があります。
■無数の白い花と、虫たちの往来
今、甘夏の木々を埋め尽くしているのは、可憐な真っ白の花。
顔を近づけると、控えめで上品な香りがかすかに漂います。
その花々の間を、蜜を求めて虫たちがせわしなく飛び交う様子は、まさに初夏の農場ならではの光景です。
この小さな花一つひとつが、やがて大きな果実へと育っていく——。
そんな生命のサイクルを感じながら、晴れ間を縫って一歩ずつ作業を進めました。
■「環境を整える」という仕事
草刈りは、単に見た目をきれいにするだけではありません。
足元を整えることで、木々への日当たりを確保し、風通しを良くする。
地道な実習ですが、美味しい果実を育てるための「土台づくり」として欠かせない工程です。
真っ白な花に囲まれて進める作業は、どこか背筋が伸びるような心地よさがあります。
12月の収穫の日を思い描きながら、明日からも丁寧な管理を続けていきます!
先週17日から本日24日にかけて。
農業科3年生の集大成である「課題研究」が、いよいよ本格始動しました。
生徒たちは4つの専門班に分かれ、1月の発表会というゴールを目指して1年間走り抜けます。
■現場はすでにフル回転!
実習の時間ながら、ICTの活用や黒板を前にした議論など、各班の個性が光るスタートとなった1週間でした。
「次はどうする?」(食品班)
タブレット端末を駆使して先輩の研究を徹底分析。
自分たちが追求すべき新たなテーマを絞り込みます。
「納得いくまで!」(草花班)
黒板の前に集まり、年間の栽培・研究スケジュールを検討。
白熱した議論で自分たちのロードマップを描きます。
「待ったなし!」(果樹班)
容赦なく襲来する獣害への対策に、さっそく追われる日々。
「自分たちの園地を守る」という自覚がその表情に宿っています。
「前例なき挑戦」(野菜班)
ペピーノ、水耕栽培、高濃度酸素水。
未知の領域へ踏み出すべく、まずは多様な試行錯誤からスタートです。
■一生モノの「思考のツール」を
課題研究の肝は、「PDCA(計画・実行・評価・改善)」のサイクルにあります。
農業は自然相手。
計画通りにいかないことの連続ですが、上手くいかない時こそPDCAの回しどきです。
「次はどうする?」と仲間と話し合い、改善を繰り返すその時間こそが、実は一番の学びになります。
壁にぶつかり、悩み、試行錯誤するプロセスすべてを「楽しんで」ほしい。
ここで身につける思考法は、卒業後、どんな道に進んでも皆さんを支える強力な武器になります。
1月、彼らがどんな「答え」を収穫するのか。
このブログでも随時、その過程をお伝えしていきます。
農業科3年生の挑戦を、どうぞ温かく見守ってください!
本日は3年農業科の「食品製造」の実習。
今日はいつもと少し雰囲気が違います。
なんと、RKK熊本放送が番組「ミライのタネ」の取材のために、食品加工実習室へ来てくれました!
■剪定から瓶詰めまで 自分たちの手で
今回製造したのは、本校自慢の「甘夏マーマレード」。
この甘夏は、木々の剪定(せんてい)から収穫、そして一つひとつの選別に至るまで、すべて生徒たちが自分たちの手で丁寧に行ってきたものです。
そんな思い入れの深い自分たちの製品が、先日2年生が一生懸命に準備してくれた材料(※準備の様子はこちら)を経て、いよいよ最終工程の瓶詰めへ。
丹精込めて育てた素材が形になっていく喜びと、それをプロのカメラが追いかけているという高揚感が、実習室に満ちていました。
■さながらアナウンサー!?
実習中、一人の生徒がインタビューを受けることに。
プロのスタッフさんと入念に打ち合わせをし、襟元にピンマイクをつけてもらうその姿は、まるで本物のアナウンサーか女優さんのよう!
収録後、カメラマンと一緒にモニターに映し出された自分のインタビュー映像を真剣な表情で確認する姿は、まさに現場の表現者そのものでした。
一連の撮影を終えた彼女に、私が「取材を受けてみた感想は?」と尋ねてみました。
すると、その答えがまた秀逸でした。
「これがテレビ業界ですね。」
その落ち着き払った、どこか達観したような一言に、少し笑ってしまいました。
テレビの裏側を肌で感じ、緊張すらもユーモアに変えて楽しんでしまう彼らの姿に、日頃の実習とはまた違う、頼もしさと個性を感じる一幕でした。
■食レポの行方は……?
試食シーンでは、急きょ「食レポ」を求められる場面も。
味の魅力を上手く表現できて満足げな生徒、言葉が出てこず悔しがる生徒、そして「映りたくない!」と必死にカメラを避ける生徒……。
果たして、本番の放送で彼らの奮闘は採用されるのか!?
最後にはクラス全員での撮影も行い、無事に取材が終了しました。
プロの仕事に触れ、自分たちの学びを言葉にする。
3年生にとって、また一つ、忘れられない良い経験となりました。
■放映予定のお知らせ
今回の実習の様子は、以下の日程で放映される予定です。
5月9日(土曜日) RKK熊本放送「ミライのタネ」 16:54~
皆様、本番の放送をぜひお楽しみに!
体育大会本番まで、登校する日は残すところあと10日。
今日の学年練習のメニューは、注目の「ダンス練習」です。
■農場では見せない「熱」
舞台は農場から体育館へ。
農業科3年生のダンスリーダーたちが中心となり、練習の指揮を執ります。
体育館に移動させた電子黒板には、スロー再生される振り付けの動画。
リーダーたちは画面を食い入るように見つめ、一つひとつの動きを確認します。
その表情からは、普段の実習中とはまた違う、行事にかける並々ならぬ「熱」が伝わってきます。
■至難の業「笑顔のメンタルをのせる」
複雑な振りを覚え、それを仲間に教えるだけでも大変な大役です。
しかし、リーダーたちが目指しているのはさらにその先。
ステップやキレといった「技術」以上に、いかにして「皆が楽しめる気持ち」や「笑顔でやり切れるメンタル」を、クラス全体に浸透させていくか――。
ただ正確に踊るだけでなく、見ている人も思わず笑顔になるような、農業科らしい一体感。
そのポジティブな空気感を全員で共有するのは、まさに至難の業です。
■歩み寄るリーダー、食らいつく仲間
「こないだやったとこだよぉ、頑張ろう!」
「今の動き、うまいうまい!」
「みんなできてる? わからない人いるかな?」
体育館には、リーダーたちの鼓舞する声と、周囲を置いていかないための細やかな気遣いが響きます。
一方、ダンスが苦手な生徒たちも、必死にリーダーの動きを追い、何度も手足を動かして食らいついていきます。
戸惑いながらも、教えに耳を傾け、一歩ずつ振りを揃えていく仲間たち。
高い目標を掲げ、クラスのために奔走するリーダー。
そして、その熱意に応えようと、苦手なりに一生懸命ついていく生徒たち。
互いに歩み寄りながら、一つのものを作り上げようとするその姿に、「やっぱり、この子達いいものもっているなぁ」と、改めて彼らの魅力を再発見した思いです。
■頑張れ! 農業科!
残された時間はあとわずか。
けれど、この試行錯誤と歩み寄りの時間が、本番で「最高の笑顔」が溢れ出すパフォーマンスに変わるはずです。
頑張れ、ダンスリーダー! 頑張れ、農業科3年生!
保護者の皆様、彼らが心を通わせ、笑顔で作り上げるステージを、当日どうぞお楽しみに!
夏を予感させる抜けるような青空。
じりじりと照りつける日差しに汗ばむ陽気の中、実習室周辺には準備で漂うオイルの香りが広がります。
やがて静寂を破るように響き渡るエンジン音――。
本日は3年農業科の「果樹実習」として、果樹園の草刈りを行いました。
■機械講習の成果を発揮!
今回の実習では、二人一組のペアを組み、15分交代で2セット実施。
使用したのは、安全性を考慮したナイロンコードのカッターです。
これまでに受けてきた機械講習の成果を、本番の現場で発揮するとき。
操作に慣れるまでは慎重に、けれど講習で学んだ知識を頼りに、着実に実習を進めていきました。
特に樹の株元は、機械を当てることなく草だけを刈る繊細なコントロールが求められます。
刈り払い機を自在に操る3年生の背中は、頼もしさを増していました。
■いよいよ春芽が動きだす
ふと視線を樹に向ければ、スイートスプリングの枝には無数の花の蕾がつき、開花はもう目前です。
主幹部からも勢いよく新芽が芽吹き出し、いよいよ春芽が本格的に動き出す鼓動を感じます。
■担当者の「わがままな願い」
実習を終え、スッキリと整った果樹園を眺めながら、ふと思うことがあります。
足元の草は、できることなら生えないでほしい。
でも、樹木の芽や花は、どこまでも旺盛に育ってほしい。
「草は枯れろ、芽は伸びろ」なんて、我ながらなかなかわがままな願いだな……と苦笑いしてしまいました。
しかし、そんな矛盾した板挟みの中にこそ、命を慈しむ農業の奥深さがあるのかもしれません。
講習の成果をしっかりと形にしてくれた3年生。
彼らの丁寧な実習のおかげで、スイートスプリングも気持ちよく開花を迎えられそうです。
二十四節気では、まもなく「穀雨(こくう)」を迎えます。
「百穀(ひゃっこく)を潤す春の雨」という意味があり、種まきを終えた田畑に恵みの雨が降り注ぎ、作物が力強く芽吹く大切な時期です。
今日は穏やかな晴天に恵まれましたが、ここ数日のしっとりとした雨のおかげで、農場の植物たちは潤いをたっぷりと湛え、日に日にその緑を濃く、大きく成長しています。
冬の刺すような冷たさが消え、風の中に初夏の湿度を感じるこの頃。
季節は着実に次へと動いています。
■ 三者三様、それぞれの「一歩」
新年度が始まって約二週間。
農場では各学年がそれぞれの「新しい顔」を見せてくれています。
● 1年生:まっさらな実習服と、学びの予感
先日、新入生たちの実習服の試着が行われました。
まだ糊の効いた、まっさらな実習服。
袖を通した時の少しはにかんだような、それでいてピリッと引き締まった表情が印象的でした。
彼らがこれから土に触れ、命を育てる「農業」という営みから、一体何を学び、どんな発見をしていくのか。
その成長の過程を見守るのが、今から楽しみでなりません。
● 2年生:葛藤を越えた先の「総合実習」
2年生は「果樹」と「草花」の班分けが行われました。
より専門的な学びへと足を踏み入れる大切な分かれ道ですが、人数の都合上、全員が希望通りというわけにはいきませんでした。
そんな中、全体のバランスを考えて自ら希望を変更してくれた生徒、そして面談を重ねて納得し、新たな道を選んでくれた生徒たちがいました。
自分の希望を譲り、仲間のために、そして科全体の学びのために一歩引いてくれたその姿勢に、深い敬意を表したいと思います。
その利他の心こそが、これからの実習をより豊かなものにしてくれるはずです。
●3年生:さらなる成長への「四日間」
そして3年生。
彼らは木曜日を除く週4日間、実習を伴う授業に臨んでいます。
農場の中心として動く彼らの動きには、もはや迷いはありません。
下級生を導き、最高学年としての確かな「自覚」を背中で語る姿は、後輩たちにとって何よりの道標です。
実習の多さは、それだけ命と向き開う時間が多いということ。
この濃密な日々を経て、彼らがさらに逞しく成長していくことを心から期待しています。
■ 志(ね)を張る季節
「穀雨」の雨が植物の根を強くするように、1年生の期待、2年生の思いやり、そして3年生の責任感という名の「志」も、この芦北の豊かな土壌にしっかりと根を張ろうとしています。
雨の日も晴れの日も、私たち農業科一同、焦らず、着実に、自分たちの「実り」を目指して歩みを進めていきたいと思います
「穀雨(こくう)」
雨を味方に、成長を加速させる芦北高校より。
じりじりと肌を焼く夏を思わせる日差し。
けれど、一歩木陰に入れば、頬をなでる春風の涼しさにホッとする。
そんな季節の変わり目を感じさせる空の下、今日は2年生にとって、初めての「果樹実習」が行われました。
■「はじめて」の連続
学校生活には慣れている2年生ですが、果樹園に一歩入れば、そこは未知の世界です。
●道具(鋏やノコギリ)の名称と正しい扱い方
●道具の置き場所、さらに徹底した片付け方
●果樹園の場所と、そこに並ぶ品種の名前
●実習日誌の書き方
覚えるべきことは山ほどあります。
特に果樹の実習では、鋭利な道具の使用やハウス内での高所作業、脚立の上での作業など、一歩間違えれば怪我に繋がる場面も少なくありません。
まずは何よりも「安全第一」。
その基本を体に叩き込むことから始まります。
■改めて感じる「3年生」の偉大さ
一つひとつ丁寧に指導しながら、ふと思い出したのは3年生たちの姿です。
安全を当たり前に確認し、流れるように準備と片付けを済ませる。
昨日も当たり前のようにこなしていたあの姿は、決して一朝一夕で身についたものではなかったのだと、2年生の初々しい格闘ぶりを見て改めて痛感しました。
「あいつら、実はすごいことやってたんだな……」
そんな思いが込み上げ、「明日の実習では、いつもより少し多めに3年生のことを褒めよう」と心の中で決めました。
■まだ、始まったばかり
慣れない手つきで甘夏の剪定に挑む2年生たち。
今はまだ、道具の名前を覚えるだけで精一杯かもしれません。
けれど、この一歩一歩が、いつか先輩たちのような頼もしい背中へと繋がっていきます。
始まったばかりの彼らの成長を、そして頼れる先輩へと育った3年生たちの姿を、これからもじっくりと見守っていきたいと思います。
あいにくの雨となった今日、実習室では2年生による「食品製造」の実習が行われました。
作るのは、爽やかな香りが広がる「甘夏マーマレード」です。
■丁寧な下準備から始まる
今日は仕上げに向けた大切な下準備。
まずは皮を一つひとつ四角く成形し、機械へ投入します。
すると機械からは、細長い短冊状にカットされた皮が次々と出てきます。
一方で、甘夏の実(じょうのう)は熱湯へと移されます。
「熱湯へ入れ、取り出す」
この実習工程を、3回。
その後、じっくりと熱湯で煮詰めていきます。次回はいよいよ仕上げの予定です。
■「なぜ?」から始まる学び
実習中、実を熱湯に入れている男子3人組に声をかけてみました。
「なぜ、3回も熱湯に浸すのかな?」
すると、生徒からは自信満々にこんな答えが。
「冷凍保存していたので、解凍してるんです!」
確かに、素材の状態を考えれば「解凍」も間違いではありません。
……が、あと一歩足りなかった!
そばにいた担当職員からは、すかさず愛のある訂正と嘆きが入ります。
「苦みを抜くためたいっ! 頼むから、話をきいといてくれよぉ……」
■工程の意味を考える
言われた通りに実習をこなすだけでなく、「なぜこの工程が必要なのか?」を考える。
「3回繰り返す」という手間には、甘夏特有の強い苦みを和らげ、最高に美味しいマーマレードにするための先人の知恵が詰まっています。
今回のユニークな回答も、本質を知るための大切なステップ。
「なぜだろう?」と疑問を持ち、先生の話をしっかり聞いて、その理由を深く考える。
そんな積み重ねが、技術だけでなく「食」に向き合う姿勢を育ててくれるはずです。
次回の仕上げ実習では、苦みがきれいに抜けた甘夏の香りが、実習室いっぱいに広がるのが楽しみです。
今日はあいにくの雨。
ハウスの中では昨日に引き続き、役目を果たした紐の撤去が淡々と進められています。
一方で、実習室は「不知火(しらぬい)」の出荷調整で活気づいています。
■卒業生から受け継ぐ「実り」
並んでいる不知火の多くは、この春に学び舎を巣立っていった先輩たちが、一年かけて大切に育て、2月に収穫してくれたものです。
収穫後の予措(よそ)、貯蔵、そして厳密な計量。
卒業生たちが一つひとつ積み重ねてきた丁寧な仕事のバトンを、今度は最高学年となった3年生たちがしっかりと受け取ります。
■一玉に込める「想像力」
出荷調整に臨む3年生たち。
検定を行い、一玉一玉を優しく拭き上げ、キャップを被せ、仕上げのシールを丁寧に貼っていきます。
「手に取ってくださる方は、どんな笑顔で食べてくれるかな?」
と想像を膨らませながら扱う手つきには、これまでの実習で培ってきた確かな優しさと責任感が宿っています。
先輩たちが守り抜いてきた実りを、最高の状態で届けたい。
外の雨音を忘れるほど集中した実習室で、3年生の手によって磨き上げられた不知火が、誇らしげに輝いています。
2月に「不知火」の収穫を終えたハウス。
今日は、役目を果たした麻ひもを、誘引用のワイヤーから撤去する実習です。
■地道な実習、時々「強敵」
外はまだ穏やかな春の陽気ですが、一歩ハウスに足を踏み入れると、そこには初夏を思わせる熱気と湿度が立ち込めていました。
汗を拭いながら、ワイヤーに結わえられた無数のひもを一つずつ切り取っていきます。
実習自体は淡々と進みますが、時折、思わぬ「伏兵」に遭遇します。
大半のひもはスルスルと解けるのに、ふとした拍子に、なぜかガチガチに固まってワイヤーに食い込んでいる結び目が……。
そんな時、静かなハウスのどこからか、ボソッとツッコミが漏れます。
「ちょ、誰やねん……こんなガチガチに結んだの(笑)」
「これ絶対、後の人のこと考えてないやろ〜」
格闘すること数十秒。
ようやくパチンと切り落とした瞬間、小さく漏れる「ふぅ」という溜息。
そんな光景が、実習のあちこちでポツリポツリと見受けられました。
■「苦戦」が教える、未来の知恵
この「たまにやってくる苦労」を通して、生徒たちは大切なことを学びます。
吊るす時にしっかり結ぶのはプロとして当然。
けれど、「解く時の効率」まで考えて結べてこそ、本当に仕事ができるということ。
「取りやすい結び方」を習得するのは簡単ではありませんが、その一工夫が、未来の自分や仲間の時間を生む。
その重要性を、頑固な結び目と対峙することで、身をもって実感したようです。
■スッキリの裏側にある「誓い」
「次はもっと、スマートに解ける結び方にしたる……」と心の中でリベンジを誓いながら、最後の一本まで地道に撤去。
ワイヤーがスッキリと整った頃には、生徒たちの手も、そして「効率への意識」も、ひと回り成長したように見えました。
次にこのワイヤーが使われるのは、さらに気温が高くなる夏。
今日の湿気と熱気は、まさにその季節が近づいている合図でもあります。
再びやってくる「玉吊り・枝吊り」のシーズンには、今日の苦戦を糧にした、機能美あふれる結び目がハウス中を彩るはずです。
── 相棒図鑑 其の参 「柑橘選果機」 ──
機械倉庫の二階。
薄暗い隅で、十年の眠りについていた一台の機械がありました。
収穫した果実を大きさごとに転がして仕分ける「選果機(せんかき)」です。
かつては本校の出荷を支えた功労者でしたが、いつしか時代の流れとともにその役目を終え、静かな隠居生活を送っていました。
「……もう一度、あいつの力を借りたい。機械があるなら、使わない手はないじゃないか」
その復活劇が始まったのは、まだ寒さの厳しい昨年の12月のことでした。
甘夏の収穫を前に、私たちは倉庫で眠る「古兵(ふるつわもの)」のもとを訪ねました。
大人の腰ほどの高さでどっしりと構えるその姿は、長い年月を孤独に耐え抜いた風格を漂わせていました。
クレーンで吊り上げられ、十年ぶりに地上へ帰還した老将。
入念に埃を払い、一箇所ずつ丁寧に油を差し直してスイッチを入れた瞬間、低く唸るようなモーター音が響きました。
それは、老将が再び誇りを取り戻し、力強く鼓動を始めた音でした。
もし、この相棒に心があるならば、再び鎧を纏(まと)い、豪快に笑っているかもしれません。
「十年間、倉庫の二階で出番を待っておったぞ。
油を差されれば、体も心も熱くなる。
まだまだ、若造には負けませぬぞぉー!
さあ、生徒たちの『一年の証』、一玉残らず見極めてくれよう!」
コンベアの上を転がり、ブラシに磨かれ、サイズごとの穴へと吸い込まれていく甘夏たち。
その規則正しく滑らかな流れは、不思議といつまでも眺めていられるような心地よいリズムを刻んでいます。
スマートな最新技術の「新しさ」はもちろん素晴らしいものです。
しかし、こうした古く頑丈な道具が、手入れによって何度でも息を吹き返し、現場の第一線で働き続ける姿にも、捨てがたい良さがあります。
生徒たちが丹精込めて育てた一年の成果を、一分の狂いもなく仕分け、次なるステージへと送り出していく。
その姿はまさに、最前線に復帰した百戦錬磨の老將です。
十年の眠りから覚めた「相棒」は、今日も実習室に力強いリズムを響かせています。
「古いからと諦めるのではなく、手を入れ、磨き上げる。その手間こそが、道具を『相棒』へと変えていきます」
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