1・2限目の果樹実習。
まだ少し冷たい朝の空気の中、2年生たちが向き合っていたのは、黄金色に輝く「不知火(しらぬい)」でした。
今日の実習は、一玉ずつ丁寧にポリ袋に入れる「個包装」。
数日間にわたる「予措(よそ)」を終え、いよいよ長期の「貯蔵(ちょぞう)」へと入るための、大切な橋渡しです。
実習のポイント
「予措」とは、収穫した果実を一定期間置き、果皮の水分を適度に飛ばして乾燥を促す工程です。
これによって果実が引き締まり、貯蔵中の腐敗を防ぐことができます。
「貯蔵」は、そこからさらに寝かせることで酸味を抜き、まろやかな甘みを引き出すための時間です。
実習棟を見渡すと、生徒たちは皆、とても真剣な表情でした。
その手元には、真っ白な手袋。
「わずかに爪が当たるだけでも、果実には傷がついてしまう」
その緊張感を、言葉以上に、彼らの慎重な手つきが語っていました。
わが子を扱うようなその真剣な眼差しに、指導者として、頼もしさを感じるほどです。
これまでは、何かあればすぐに3年生の「先輩」に聞けばよかった。
けれど、もうここには先輩はいません。
これまでは「後輩」として背中を追ってきた彼らですが、この広大な果樹園も、芦北高校が守り続けてきた伝統の味も。
これからは、君たちの肩にかかっているんですよ。
袋に包んでいたのは、単なる果実ではありません。
それは、先輩から受け取った「責任」という名の重いバトン。
一玉一玉に集中して実習に没頭する彼らの横顔は、いつの間にか、立派な「農の担い手」の顔になっていました。
先日、卒業生に贈るためにみんなで真心を込めて箱詰めした「不知火」。
あの時感じた「贈る喜び」は、今日のこの地道な実習があるからこそ生まれるものです。
袋に包まれた「不知火」たちは、生徒たちの決意を閉じ込めたように、実習棟の中でつややかに並んでいます。
3年生がいない分、少し広く感じるこの場所で。
2年生たちの新しい季節が、確かに動き出しています。
来年は、君たちも不知火を「もらう喜び」を噛み締め、笑顔で卒業を迎えたいですね。
その日のために、この一玉を、自分たちの手で大切に守っていきましょう。
Global Series Vol. 2:Ashikita Connections
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第2回は、2月24日の「高齢者施設でのフラワーアレンジ交流会」の記録です。
[Global Series Vol. 1:Beyond One’s Sight, Into Our Shared Vision はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 2: Flower Arrangement Exchange at a Local Senior Care Facility (Feb 24th).
[Click here for Global Series Vol. 1:Beyond One’s Sight, Into Our Shared Vision]
— 2nd Year Floriculture Students: Flower Arrangement Workshop —
On Tuesday, February 24th, second-year students from the Agricultural Department specializing in Floriculture visited a local senior care facility. They served as instructors for a flower arrangement workshop, putting their daily studies into practice.
For this event, the students carefully selected and prepared floral materials based on a specific theme, planning every detail to ensure the residents would enjoy the experience.
■ Powering Practice with Lessons from the Welfare Department
A vital part of this exchange was the collaborative lesson held beforehand with our school's Welfare Department. Thanks to their professional guidance on "respecting others" and "eye-level communication," our students were able to connect with the residents naturally and confidently.
We extend our sincere gratitude to the Welfare Department. Those lessons truly allowed "flowers of smiles" to bloom at the facility today.
■ The Difficulty of Teaching and the Joy of Connecting
After the session, students shared their honest reflections on the challenges and rewards of real-world experience:
* "Teaching while making conversation was harder than I imagined, but it was rewarding to stay smiling and create arrangements together at eye level."
* "Everyone listened to me with such kindness and smiles that my nerves disappeared. What I learned from the Welfare Department was incredibly helpful."
* "I got a bit confused trying to help multiple people at once. I want to learn even more about flowers so I can give smoother explanations next time."
While facing the difficulty of putting thoughts into words, the joy of "having a wonderful conversation" was even greater. The students learned the importance of heartfelt interaction, going beyond just technical skills.
■ Aspirations Nurtured by the Community
We would like to express our deepest gratitude to the facility staff and residents for welcoming our students so warmly. The students' newfound motivation to "learn more" and "become experts" was sparked by these warm interactions.
With the support of our community, another lesson in the Agricultural Department has blossomed into a rich, life-changing experience.
明後日の日曜日は、いよいよ卒業式。
今日は午前中に設営と予行が行われ、校内はいよいよ「その日」を迎える緊張感と寂しさに包まれました。
そんな中、農業科の2年生たちは、3年生への感謝を形にしようと、午後の時間いっぱいそれぞれの持ち場で大忙しでした。
一部の生徒たちは、3年生の教室へ。
終礼が終わってからも教室に残り、がらんとした黒板を、輝く未来へのエールで彩る装飾を担当してくれました。
何を描くかは自分たちで考えてくれたのですが、チョーク一本で描き出される世界は驚くほどダイナミックで、そして温かい!
黒板いっぱいに広がる大胆な構図と、そこにちりばめられた可愛いイラストたち。
みんなの自由な芸術的センスが爆発しています。
ちなみに、担任の私の一押しは……この写真に写っている、この「宇宙人」?
(何とも言えない絶妙な表情に、思わず笑みがこぼれてしまいました。笑)
最後は、教室を仕上げてくれたメンバーで記念にパシャリ。やり切った、いい顔をしています。
さて、その裏側では、ほかのメンバーたちもフル回転。
教室装飾と同時進行で、卒業生の胸元を飾るコサージュ作りや、式典の顔となるステージの巨大なフラワーアレンジ作成に打ち込みました。
見事な完成品は当日の様子をお伝えするブログでご確認ください。
「3年生のために」と、放課後の時間も惜しんで真剣に花材と向き合う姿は、もう立派な農業科のリーダー候補たちです。
さらに、農業科の卒業生には特別な贈り物を準備しました。
私たちが丹精込めて育てた、芦北の宝物「不知火(しらぬい)」です。
昨日、2年生果樹専攻生が「喜んでくれるかな」と一玉ずつ丁寧に、真心を込めて箱詰めしたものです。
卒業して、新しい生活が始まって、ふとした時にこの甘酸っぱい香りを嗅いで…… 芦北高校で過ごした、泥臭くも輝いていた日々を思い出してくれたら。
そんな願いを込めて送り出しました。
3年生、卒業おめでとう。
明後日、最高の門出になりますように!
〜 熟練技能者に学ぶ、2年生草花専攻生フラワーアレンジ実技指導 〜
農業科2年生の草花専攻生を対象に、フラワーアレンジメント講習会を実施しました。
本講習会は「熊本県職業能力開発協会」のご協力のもと、第一線で活躍される熟練技能者の方を講師としてお招きし、直接手ほどきを受ける貴重な実技指導の場となっています。
芦北高校ではこの「本物の技」に触れる機会を大切にしており、2年生で年間6回、3年生では年間10回という継続的な指導を通じて、基礎から応用まで着実にステップアップを図っています。
■ 「自分らしさ」を形にする。感性と個性の探究
今回の実技指導では、基礎技術の習得はもちろんのこと、生徒一人ひとりの「感性」を磨き、内に秘めた「個性」を表現することに重点が置かれました。
色とりどりの花材を前に、最初は戸惑っていた生徒たち。
しかし、熟練の技を持つ講師の先生から、花それぞれの個性を生かす捉え方や、自由な発想を大切にする姿勢について助言をいただくと、実習室の空気は一変しました。
・高低差を活かしてダイナミックな流れを作る生徒
・繊細な小花を重ねて、静かな奥行きを表現する生徒
・色彩の調和にこだわり、独自の美意識を追求する生徒
熟練の技術に裏打ちされた自由な表現を間近で見ることで、生徒たちは「正解」をなぞるのではなく、自らの感性で作品を創り上げる喜びを深く実感していました。
■ 確かな技術指導への感謝と、深まる「寄り添う心」
全6回の講習を経て、2年生の生徒たちは見違えるほど成長しました。
道具の扱いといった基本所作から、空間を捉える造形力まで、熟練技能者の方による丁寧な実技指導が、生徒たちの自信へと繋がっています。
実は、こうした日ごろの真剣な学びが、先日の「高齢者施設でのフラワーアレンジ交流会」でも大いに生かされました。
プロから学んだ「花を通じて心を届ける技術」や「相手の感性を尊重する姿勢」があったからこそ、利用者の方々の笑顔を引き出すことができたのだと、改めて実感しています。
【あわせて読みたい】高齢者施設での交流会の様子はこちら
ご指導いただいた講師の先生、そして派遣いただいた熊本県職業能力開発協会の皆様、厚く御礼申し上げます。
プロの厳しさと温かさに触れるこの時間は、生徒たちが将来、農業やものづくりの担い手として、また心豊かな表現者として羽ばたくための大きな糧となりました。
来年度、3年生になれば全10回のさらに高度な講習が待っています。
今回磨いた技術と感性を大切に、さらなる高みを目指して歩みを進めていきます。
〜 北海道大学&先端企業と描く、未来の農業体験 〜
本日、本校農業科にて「スマート農業研修」を実施しました。
本研修は、本校卒業生が北海道大学に勤務されているご縁で始まり、今年で早くも3回目を迎えます。
開会行事では、校長先生が若かりし頃に在学されていた先輩との絆についても触れられ、伝統と未来が交差する特別な一日となりました。
■【午前】データと最新技術が変える農業の姿
座学では、北海道大学の星野教授やヤンマーアグリジャパン様より「経験と勘の農業から、データに基づいた再現性のある産業への変革」について学びました。
また、サングリン太陽園様による北海道の広大なドローン活用事例や、NTT e-Drone Technology様による最新の獣害対策など、スマート農業の最前線を凝縮して吸収しました。
■【午後】五感で学ぶ!最先端の「実学」を体感
午後は武道場と圃場に分かれ、最新機器の音や振動を肌で感じるローテーション研修を行いました。
① 農業用ドローン(NTT e-Drone Technology)
圃場では、実際に水を使った薬剤散布デモンストレーションを見学しました。
プロペラが空気を切り裂く力強い風圧と、低く響くローター音。
頭上を通過する瞬間の迫力に、生徒たちからは「おぉー!」と驚きの声が漏れます。
均一に、そして力強く水が噴霧される様子を間近に見て、空から行われる効率的な農作業の形をリアルに体感しました。
② ドローンサッカー体験(サングリン太陽園)
武道場ではドローンサッカーに挑戦。
球状のガードに包まれた機体を操りますが、これが至難の業。
スティックをほんの数ミリ動かすだけで、機体は敏感に反応して大きく揺れ、あらぬ方向へ。
生徒たちは機体の挙動を必死に目で追い、プロポを握る手にじわりと汗をかきながら、繊細かつダイナミックな操作に格闘。
最新技術を「操る」難しさと面白さに没頭していました。
③ 走行アシストトラクタ・ラジコン草刈機(ヤンマーアグリジャパン)
トラクタ試乗では、エンジンの心地よい振動を全身で感じながら、最新の運転支援技術を体感しました。
1.指示を受けて乗車:高い運転席からの視界に、背筋が伸びる思いでハンドルを握ります。
2.旋回後にこの「魔法のボタン」を押す:旋回を終え、基準線に合わせてスイッチをON!
3.手を放してもまっすぐ進む:ゴツゴツとした土の感触をタイヤが拾いながらも、ハンドルが勝手にスルスルと回り、寸分違わず直進。
自分の手を離れているのに意志を持って進む機械の動きに、感動が広がります。
4.見てください、全員まっすぐの走行跡です:実習を終え、振り返ると圃場には完璧に等間隔で引かれた直線の山。
自分たちの「操縦」がデータと融合して描いた美しい景色に、農業の新しい形を確信しました。
感謝を込めて
北の大地よりお越しいただいた北海道大学の皆様、そして情熱的なご指導をいただいた企業の皆様、誠にありがとうございました。
五感で刻んだこの貴重な学びを、これからの実習や自身の進路に力強く活かしていきます!
〒869‐5431
熊本県葦北郡
芦北町乙千屋20-2
熊本県立芦北高等学校
管理責任者
校長 草野 貴光
運用担当者 広報部
TEL 0966-82-2034
FAX 0966-82-5606
E-mail
ashikita-h@pref.kumamoto.lg.jp
URL http://sh.higo.ed.jp/ashikita
学校からの緊急連絡(休校、授業打切り等)、各種連絡、資料・アンケート等について、学校・保護者間連絡システム「すぐーる」にて配信しております。
また、欠席・遅刻等についても本システムから連絡いただくことが可能になっております。