秋風が心地よく実習園地を吹き抜ける季節となりました。
昨日、本校にて毎年恒例となっている「狩猟技術向上研修」が実施されました。
「くまもto☆農家ハンター」の稲葉様をはじめ、地元猟友会や振興局の皆様に毎年お越しいただき、果樹園や畑を守るための専門的なアドバイスを直接いただける、私たち教員にとっても実に貴重でありがたい機会となっています。
【受け継がれるバトン、静かに芽吹く変化】
思い返せば昨年のこの研修をきっかけに、当時の先輩(昨年度の卒業生)たちとともに果樹園の防除対策を本格的に強化しました。
※卒業生の活動の様子
それ以来、課題研究の果樹班は毎週のように現場へ足を運び、試行錯誤の対策を積み重ねてきたのです。
以前の「スイートスプリング」(上)と、今年の「スイートスプリング」(下)。
まだ果実こそ少ないものの、適切な獣害防除によって守られた樹の勢いや葉の青々とした輝きには、確かな違いが現れていました。
さらに隣の「はるか」の園地を覗くと、なんと生徒の膝ほどの低い位置にも綺麗な果実がしっかりと実を結んでいます。
来校いただいた講師の皆様からも、「積み重ねてきた対策のおかげで、目に見えて良い変化がたくさん出ていますね」と温かいお褒めの言葉をいただきました。
卒業していった先輩たちの想いと、在校生の粘り強さが静かに実を結んでいる——その事実が、教員として何よりの誇りであり、深く心に沁み入る瞬間でした。
【一筋縄ではいかないからこそ、探究は続く】
しかし、自然相手の取り組みに「終わり」はありません。
本日朝、課題研究果樹班の生徒たちは、さっそく「鹿フンマップ」作成のための果樹園巡回へと向かいました。
昨日お褒めいただいた園地とは別の区画を歩いていると――
「先生、ここ入られてますよー!」
「あ、これ鹿が食べたっぽいね……」
生徒たちの鋭い視線が、新たな被害の痕跡を見つけ出します。
評価していただいた喜びを糧にしながらも、まだまだ張り巡らさなければならない対策や、改善の余地が山積みであることを再確認しました。
この「山あり谷あり」の現場こそが、生徒たちをたくましく育ててくれる生きた教材です。
【向き合うものは変われど、目の前の課題に全力で】
ザクッ、ザクッ。
カリカリ、サラサラ。
こねこね、ペチッ。
1時間目に泥にまみれながら果樹園を巡回していた生徒たちは…
土と向き合う果樹の現場。
数式と向き合う黒板の前。
命の恵みと向き合うパンの生地。
1日の中で向き合う対象は次々と変わっていきますが、どの瞬間においても、目の前にある課題に対してひたむきに、一生懸命に汗を流す生徒たちの姿があります。
生徒たちのその健気で力強い眼差しに、教員である私たちが救われ、背中を押される毎日です。
果樹班の探究と防除の戦い、そして生徒たちの成長の物語は、これからも続いていきます。
本日10月8日は、二十四節気の「寒露(かんろ)」です。
露が冷たく感じられる頃とされ、日中はずいぶんと過ごしやすい気温となってきました。
澄み渡るすっきりと清々しい青空のもと、校内でも長袖姿の生徒を見かけることが増え、秋の深まりを肌で感じます。
特に朝晩は少し肌寒いくらいの冷え込みとなり、季節の移ろいを実感する日々です。
■ 実りの秋、たわわに育つ命
寒露の心地よい風が吹き抜ける農場では、植物たちがそれぞれのペースで力強く成長を続けています。
果樹ハウスの「不知火」はますます肥大し、枝をしならせるほどずっしりと豊かな実を太らせています。
草花温室に目を向けると、出荷に向けたシクラメンの「葉組み」実習がこれから本格化する時期を迎えます。
整然と並べられた鉢の中を覗いてみると、気の早い株が数鉢、一足先に可愛らしい花を咲かせていました。
シクラメンの中にも、どうやら少し「せっかち」な子がいるようです。
思わずクスッと微笑ましくなると同時に、季節が着実に前へ進んでいることを教えてくれます。
■ 16日の稲刈りを待ちわびて
そして水田に目を向ければ、一面に広がる黄金色の絨毯。
10月16日に控えた稲刈りの日を静かに待ちながら、丸々と実った稲穂たちが誇らしげに頭(こうべ)を垂れています。
1年生が大切に種をまき、荒天を乗り越えて泥にまみれながら植えたあの苗たちが、今こうして立派な実りを迎えています。
自然の厳しさと恵み、その双方に向き合いながら汗を流してきた生徒たちの努力が、目に見える形となって実結ぶ瞬間は、何度経験しても胸が熱くなるものです。
■ 秋空のもと、誇らしく前へ
せっかちに咲く花もあれば、じっくりと時を重ねて実る果実や稲穂もあります。
進路や考査、日々の実習に向き合う生徒たちの歩みもまた、それぞれのペースで着実に花開き、実を結んでいくはずです。
寒暖差の大きくなる季節です。
体調管理に気をつけながら、実りの秋を全身で感じて進んでいってほしいと願っています。
清々しい秋空のもと、ひたむきに頑張る芦北高校の生徒たちを、農業科一同、これからも温かく見守り、全力で応援していきます。
「寒露(かんろ)」
澄み渡る青空のもと、ずっしりと実る命と、それぞれのペースで前を向き歩む生徒たちのひたむきな姿に想いを重ねて。芦北高校より。
本日の農業科2年生の「食品製造」は、待ちに待った「ガトーショコラ」の製造実習。
実は今回のメニュー、先生方が年間の指導計画や生徒たちの技術習得状況、焼き菓子やケーキといった洋菓子の体系的な学びのバランスを綿密に計算した上で、生徒たちにいくつかの候補を提示し、みんなで話し合って決定したもの。
【手慣れた手つきと、プロの問いかけ】
トントン、サッサッ。
材料を正確に計量し、全卵を卵黄と卵白にサッと分ける手つきは、これまで実習を重ねてきた2年生にとってもうお手の物。
板チョコも細かく刻んで丁寧に湯煎で溶かし、薄力粉やココアパウダーをダマにならないようきれいにふるいにかけて準備を進めます。
シャカシャカ、とろ〜り。
生地を合わせていく工程では、甘いカカオの香りが漂う中で、先生からの鋭くも温かい問いかけやアドバイスが飛び交います。
・「砂糖を入れるタイミング」(一気に加えず分けることで、キメ細かく安定した泡に!)
・「作るものによる混ぜ方の違い」(さっくり切るように混ぜるのか、滑らかにつなぐのか)
・「メレンゲを少し入れる意味」(生地の比重を近づけ、全体の泡を潰さずに均一に混ぜ合わせるため!)
ただレシピ通りに手を動かすのではなく、「なぜそうするのか?」という化学的な理由と意味を一つひとつ理解しながら、最後は型へと丁寧に流し込んでいきます。
【理論が形になる、至福の焼き上がり】
じっくり、ふっくら。
オーブンに入れて待つこと約40分。
扉を開けると、芳醇なショコラの香りが実習室いっぱいに広がる立派なスイーツが焼き上がりました。
カットした断面を覗いてみると、中まで密度の詰まった、しっとりとなめらかな仕上がりに。
「なるほど、だからあの工程が必要だったんだ」
先生方の言葉の意味が、目の前の美しい断面と質感で証明された瞬間でした。
【体系的な学びを重ねて未来へ】
生徒たちの「作ってみたい!」という主体性を大切にしながら、その裏側に確かな技術理論と体系的な学びを組み込む「食品製造」の実習。
一つひとつの工程に込められた「意味」を納得しながら形にした今日の体験は、これからさらに高度な加工技術に挑んでいく2年生にとって、大きな自信と確かな基礎となったはずです。
自分たちの手で理論通りに焼き上げた、自信作のガトーショコラ。
確かな手つきと理論を身につけた2年生たち——これでいつ2月の「バレンタイン」がやって来ても、準備は万全です!
今日は持ち帰って、ご家庭で甘く誇らしい時間を過ごしてください。
Global Series Vol. 7:Ashikita Dedication
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第7回は、9月4日の「3年生果樹専攻・雨の日の実習(刈払機メンテナンス)」の記録です。
[Global Series Vol. 6:Tasting the Difference Today, Selling with Confidence Tomorrow はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 7: Junior Fruit Tree Practice — Rainy Day Maintenance (Sep 4th).
[Click here for Global Series Vol. 6:Tasting the Difference Today, Selling with Confidence Tomorrow]
— Junior Fruit Tree Practice: Expressing Gratitude Through Maintenance on a Rainy Day —
Before we realized it, a whole month had passed since our last post...!
After days of relentless heat, today brought a sudden shift to rain. While outdoor practical lessons were put on hold, there is no point in complaining about the weather! A rainy day has its own distinct work to be done.
With that mindset, the third-year Fruit Tree majors gathered in the practical training room.
Deciding today was the perfect "brush cutter maintenance day," they set out to thoroughly care for the trusty equipment they rely on every day.
■ Thorough Maintenance for Our Reliable Partners
Swish, swish, wipe.
The session began with cleaning the air filters—which support the engine's breathing—and the fuel filters that ensure a smooth supply of clean fuel. The students calmly brushed away the accumulated dirt. Next came the spark plugs, the very heart of the engines. They meticulously polished the soot-blackened tips until they were clean enough to strike powerful sparks once again.
■ No Shortcuts, Especially Where It Cannot Be Seen
Squeeze.
They carefully applied fresh grease to the gear cases.
Next was replacing the nylon cutting cords, a task that directly impacts work efficiency. Focusing intently on their hands to prevent tangling, they wound the cords with balanced tension—turning smoothly until a crisp snap signaled everything was set. In the workshop, where only the sound of falling rain resonated, a quiet yet intense atmosphere filled the room as each student silently faced their machine.
■ Ready for the Next Blue Sky
With all maintenance steps completed, it was time for the final test: starting the engines.
Vroom, vroom!
A powerful exhaust roar echoed through the room. The trusty machines seemed to come back to life, as if saying, "We're ready anytime." Once the rain stops, the relentless weed control work will resume. But our students are ready. The equipment they carefully tuned with their own hands on this rainy day will undoubtedly perform at its best when the sun shines again.
Doing what needs to be done, rain or shine—now fully prepared.
Team Fruit Tree is ready to roll anytime!
坂道を登りながら、生徒たちの足取りにはどこか緊張感が漂います。
「あの補修で止まっているだろうか……」
「また破られていたらどうしよう……」
ドキドキとした高鳴りを胸に、前回の実習で緊急対策を行った露地「不知火」園地へと向かいました。
前回の記事はこちら・・「鉄パイプ 打ち込み挑む 知恵比べ」
緊張の面持ちで現場に足を踏み入れると――鹿の侵入痕跡はゼロ!
自分たちの手で施した補修がしっかりと功を奏し、まずは第一関門突破です。
【凄まじい生命力と、新たな刺客】
ムクッ、青々と。
食害を受けた「不知火」の枝をよく観察すると、わずか2週間前に葉を削ぎ落とされた場所から、力強く新芽が吹き出しているのを確認。
このまま食べられ続ければ枝ごと枯れてしまうリスクもありましたが、「不知火」が見せた粘り強い生命力に生徒たちも驚きを隠せません。
しかし、ホッとしたのも束の間。
自動撮影カメラのデータを解析すると、なんと今度はイノシシの親子らしき姿が……!
鹿は防げたものの、油断は禁物です。
次回の実習では、さらに頑丈な獣害ネットの補修や張り替えを計画し、絶対に突破されない対策を検討していきます。
【逆転の発想!9月の剪定実験】
続いて、樹勢回復を目指す「スイートスプリング」の試験区へ。
現在、対象の樹は主幹や主枝から多くの新梢(新しい枝)が発生しているものの、樹全体に実がなっていないという課題を抱えています。
そこで果樹班は、「結実がない状態」を逆手に取った実験を試みることに!
本来なら冬季に行う剪定ですが、あえてこの9月に実施(比較のために剪定しない試験区も用意)。
特に今後「徒長枝(無駄に伸びる枝)」になりやすい主枝上面の新梢を、今のうちに早めに剪定していきます。
【見据えるのは、来年・再来年の姿】
パチ、パチッ、スーッ。
茂っていた新梢を切り落とすと、それまで混み合っていた主幹部が見違えるほどスッキリと風通し良くなりました。
果樹の研究は、今日実習したからといって明日にすぐ結果が出るものではありません。
この一手が、来年・再来年の開花や着果にどう影響してくるのか。
目先の変化に一喜一憂せず、未来の収穫を見据えた果樹班の探究と挑戦は、まだまだ続いていきます。
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