日誌

カテゴリ:農業科

鉛筆 研究の 種をまく日々 PDCA

 先週17日から本日24日にかけて。

 農業科3年生の集大成である「課題研究」が、いよいよ本格始動しました。

 生徒たちは4つの専門班に分かれ、1月の発表会というゴールを目指して1年間走り抜けます。

 (※昨年度の先輩たちの勇姿はこちら)

 

■現場はすでにフル回転!

 実習の時間ながら、ICTの活用や黒板を前にした議論など、各班の個性が光るスタートとなった1週間でした。

 

 「次はどうする?」(食品班)

  タブレット端末を駆使して先輩の研究を徹底分析。

  自分たちが追求すべき新たなテーマを絞り込みます。

 

 

 「納得いくまで!」(草花班)

  黒板の前に集まり、年間の栽培・研究スケジュールを検討。

  白熱した議論で自分たちのロードマップを描きます。


 「待ったなし!」(果樹班)

  容赦なく襲来する獣害への対策に、さっそく追われる日々。

  「自分たちの園地を守る」という自覚がその表情に宿っています。


 「前例なき挑戦」(野菜班)

  ペピーノ、水耕栽培、高濃度酸素水。

  未知の領域へ踏み出すべく、まずは多様な試行錯誤からスタートです。

 


■一生モノの「思考のツール」

 課題研究の肝は、「PDCA(計画・実行・評価・改善)」のサイクルにあります。

 農業は自然相手。

 計画通りにいかないことの連続ですが、上手くいかない時こそPDCAの回しどきです。

 「次はどうする?」と仲間と話し合い、改善を繰り返すその時間こそが、実は一番の学びになります。

 壁にぶつかり、悩み、試行錯誤するプロセスすべてを「楽しんで」ほしい。

 ここで身につける思考法は、卒業後、どんな道に進んでも皆さんを支える強力な武器になります。

 1月、彼らがどんな「答え」を収穫するのか。

 このブログでも随時、その過程をお伝えしていきます。

 農業科3年生の挑戦を、どうぞ温かく見守ってください!

鉛筆 ピンマイク 「これが業界」 加工室

 本日は3年農業科の「食品製造」の実習。

 今日はいつもと少し雰囲気が違います。

 なんと、RKK熊本放送が番組「ミライのタネ」の取材のために、食品加工実習室へ来てくれました!

 

 

■剪定から瓶詰めまで 自分たちの手で

 今回製造したのは、本校自慢の「甘夏マーマレード」

 

 この甘夏は、木々の剪定(せんてい)から収穫、そして一つひとつの選別に至るまで、すべて生徒たちが自分たちの手で丁寧に行ってきたものです。

 そんな思い入れの深い自分たちの製品が、先日2年生が一生懸命に準備してくれた材料(※準備の様子はこちら)を経て、いよいよ最終工程の瓶詰めへ。

 丹精込めて育てた素材が形になっていく喜びと、それをプロのカメラが追いかけているという高揚感が、実習室に満ちていました。

 

■さながらアナウンサー!?

 実習中、一人の生徒がインタビューを受けることに。

 プロのスタッフさんと入念に打ち合わせをし、襟元にピンマイクをつけてもらうその姿は、まるで本物のアナウンサーか女優さんのよう!

 収録後、カメラマンと一緒にモニターに映し出された自分のインタビュー映像を真剣な表情で確認する姿は、まさに現場の表現者そのものでした。

 一連の撮影を終えた彼女に、私が「取材を受けてみた感想は?」と尋ねてみました。

 すると、その答えがまた秀逸でした。

 「これがテレビ業界ですね。」

 その落ち着き払った、どこか達観したような一言に、少し笑ってしまいました。

 テレビの裏側を肌で感じ、緊張すらもユーモアに変えて楽しんでしまう彼らの姿に、日頃の実習とはまた違う、頼もしさと個性を感じる一幕でした。

 

■食レポの行方は……?

 試食シーンでは、急きょ「食レポ」を求められる場面も。

 味の魅力を上手く表現できて満足げな生徒、言葉が出てこず悔しがる生徒、そして「映りたくない!」と必死にカメラを避ける生徒……。

 果たして、本番の放送で彼らの奮闘は採用されるのか!?

 

 最後にはクラス全員での撮影も行い、無事に取材が終了しました。

 プロの仕事に触れ、自分たちの学びを言葉にする。

 3年生にとって、また一つ、忘れられない良い経験となりました。

■放映予定のお知らせ

 今回の実習の様子は、以下の日程で放映される予定です。

 5月9日(土曜日) RKK熊本放送「ミライのタネ」 16:54~

 

 皆様、本番の放送をぜひお楽しみに!

鉛筆 顔を見て 心通わす 体育館

 体育大会本番まで、登校する日は残すところあと10日。

 今日の学年練習のメニューは、注目の「ダンス練習」です。

 

■農場では見せない「熱」

 舞台は農場から体育館へ。

 農業科3年生のダンスリーダーたちが中心となり、練習の指揮を執ります。

 体育館に移動させた電子黒板には、スロー再生される振り付けの動画。

 リーダーたちは画面を食い入るように見つめ、一つひとつの動きを確認します。

 その表情からは、普段の実習中とはまた違う、行事にかける並々ならぬ「熱」が伝わってきます。

 

■至難の業「笑顔のメンタルをのせる」

 複雑な振りを覚え、それを仲間に教えるだけでも大変な大役です。

 しかし、リーダーたちが目指しているのはさらにその先。

 ステップやキレといった「技術」以上に、いかにして「皆が楽しめる気持ち」「笑顔でやり切れるメンタル」を、クラス全体に浸透させていくか――。

 ただ正確に踊るだけでなく、見ている人も思わず笑顔になるような、農業科らしい一体感。

 そのポジティブな空気感を全員で共有するのは、まさに至難の業です。

 

■歩み寄るリーダー、食らいつく仲間

 「こないだやったとこだよぉ、頑張ろう!」

 「今の動き、うまいうまい!」

 「みんなできてる? わからない人いるかな?」

 

 体育館には、リーダーたちの鼓舞する声と、周囲を置いていかないための細やかな気遣いが響きます。

 一方、ダンスが苦手な生徒たちも、必死にリーダーの動きを追い、何度も手足を動かして食らいついていきます。

 戸惑いながらも、教えに耳を傾け、一歩ずつ振りを揃えていく仲間たち。

 高い目標を掲げ、クラスのために奔走するリーダー。

 そして、その熱意に応えようと、苦手なりに一生懸命ついていく生徒たち。

 互いに歩み寄りながら、一つのものを作り上げようとするその姿に、「やっぱり、この子達いいものもっているなぁ」と、改めて彼らの魅力を再発見した思いです。

 

■頑張れ! 農業科!

 残された時間はあとわずか。

 けれど、この試行錯誤と歩み寄りの時間が、本番で「最高の笑顔」が溢れ出すパフォーマンスに変わるはずです。

 頑張れ、ダンスリーダー! 頑張れ、農業科3年生!

 保護者の皆様、彼らが心を通わせ、笑顔で作り上げるステージを、当日どうぞお楽しみに!

鉛筆 伸びる草 芽吹く喜び 板挟み

 夏を予感させる抜けるような青空。

 じりじりと照りつける日差しに汗ばむ陽気の中、実習室周辺には準備で漂うオイルの香りが広がります。

 やがて静寂を破るように響き渡るエンジン音――。

 本日は3年農業科の「果樹実習」として、果樹園の草刈りを行いました。

 

■機械講習の成果を発揮!

 今回の実習では、二人一組のペアを組み、15分交代で2セット実施。

 使用したのは、安全性を考慮したナイロンコードのカッターです。

 これまでに受けてきた機械講習の成果を、本番の現場で発揮するとき。

 操作に慣れるまでは慎重に、けれど講習で学んだ知識を頼りに、着実に実習を進めていきました。

 特に樹の株元は、機械を当てることなく草だけを刈る繊細なコントロールが求められます。

 刈り払い機を自在に操る3年生の背中は、頼もしさを増していました。

 

■いよいよ春芽が動きだす

 ふと視線を樹に向ければ、スイートスプリングの枝には無数の花の蕾がつき、開花はもう目前です。

 主幹部からも勢いよく新芽が芽吹き出し、いよいよ春芽が本格的に動き出す鼓動を感じます。

 

■担当者の「わがままな願い」

 実習を終え、スッキリと整った果樹園を眺めながら、ふと思うことがあります。

 足元の草は、できることなら生えないでほしい。

 でも、樹木の芽や花は、どこまでも旺盛に育ってほしい。

 

 「草は枯れろ、芽は伸びろ」なんて、我ながらなかなかわがままな願いだな……と苦笑いしてしまいました。

 しかし、そんな矛盾した板挟みの中にこそ、命を慈しむ農業の奥深さがあるのかもしれません。

 

 講習の成果をしっかりと形にしてくれた3年生。

 彼らの丁寧な実習のおかげで、スイートスプリングも気持ちよく開花を迎えられそうです。

鉛筆 期待受け 思う心は 責任感

 二十四節気では、まもなく「穀雨(こくう)」を迎えます。

 「百穀(ひゃっこく)を潤す春の雨」という意味があり、種まきを終えた田畑に恵みの雨が降り注ぎ、作物が力強く芽吹く大切な時期です。

 

 今日は穏やかな晴天に恵まれましたが、ここ数日のしっとりとした雨のおかげで、農場の植物たちは潤いをたっぷりと湛え、日に日にその緑を濃く、大きく成長しています。

 冬の刺すような冷たさが消え、風の中に初夏の湿度を感じるこの頃。

 季節は着実に次へと動いています。

 

■ 三者三様、それぞれの「一歩」

 新年度が始まって約二週間。

 農場では各学年がそれぞれの「新しい顔」を見せてくれています。


● 1年生:まっさらな実習服と、学びの予感

 先日、新入生たちの実習服の試着が行われました。

 まだ糊の効いた、まっさらな実習服。

 袖を通した時の少しはにかんだような、それでいてピリッと引き締まった表情が印象的でした。

 彼らがこれから土に触れ、命を育てる「農業」という営みから、一体何を学び、どんな発見をしていくのか。

 その成長の過程を見守るのが、今から楽しみでなりません。

● 2年生:葛藤を越えた先の「総合実習」

 2年生は「果樹」と「草花」の班分けが行われました。

 より専門的な学びへと足を踏み入れる大切な分かれ道ですが、人数の都合上、全員が希望通りというわけにはいきませんでした。

 そんな中、全体のバランスを考えて自ら希望を変更してくれた生徒、そして面談を重ねて納得し、新たな道を選んでくれた生徒たちがいました。

 自分の希望を譲り、仲間のために、そして科全体の学びのために一歩引いてくれたその姿勢に、深い敬意を表したいと思います。

 その利他の心こそが、これからの実習をより豊かなものにしてくれるはずです。

●3年生:さらなる成長への「四日間」

 そして3年生。

 彼らは木曜日を除く週4日間、実習を伴う授業に臨んでいます。

 農場の中心として動く彼らの動きには、もはや迷いはありません。

 下級生を導き、最高学年としての確かな「自覚」を背中で語る姿は、後輩たちにとって何よりの道標です。

 実習の多さは、それだけ命と向き開う時間が多いということ。

 この濃密な日々を経て、彼らがさらに逞しく成長していくことを心から期待しています。

■ 志(ね)を張る季節

 「穀雨」の雨が植物の根を強くするように、1年生の期待、2年生の思いやり、そして3年生の責任感という名の「志」も、この芦北の豊かな土壌にしっかりと根を張ろうとしています。

 雨の日も晴れの日も、私たち農業科一同、焦らず、着実に、自分たちの「実り」を目指して歩みを進めていきたいと思います


「穀雨(こくう)」

 雨を味方に、成長を加速させる芦北高校より。

鉛筆 春風に 三年の知恵 知る二年

 じりじりと肌を焼く夏を思わせる日差し。

 けれど、一歩木陰に入れば、頬をなでる春風の涼しさにホッとする。

 そんな季節の変わり目を感じさせる空の下、今日は2年生にとって、初めての「果樹実習」が行われました。

 

「はじめて」の連続

 学校生活には慣れている2年生ですが、果樹園に一歩入れば、そこは未知の世界です。

 ●道具(鋏やノコギリ)の名称と正しい扱い方

 ●道具の置き場所、さらに徹底した片付け方

 ●果樹園の場所と、そこに並ぶ品種の名前

 ●実習日誌の書き方


 覚えるべきことは山ほどあります。

 特に果樹の実習では、鋭利な道具の使用やハウス内での高所作業、脚立の上での作業など、一歩間違えれば怪我に繋がる場面も少なくありません。

 まずは何よりも「安全第一」

 その基本を体に叩き込むことから始まります。

 

■改めて感じる「3年生」の偉大さ

 一つひとつ丁寧に指導しながら、ふと思い出したのは3年生たちの姿です。

 安全を当たり前に確認し、流れるように準備と片付けを済ませる。

 昨日も当たり前のようにこなしていたあの姿は、決して一朝一夕で身についたものではなかったのだと、2年生の初々しい格闘ぶりを見て改めて痛感しました。

 

 「あいつら、実はすごいことやってたんだな……」

 

 そんな思いが込み上げ、「明日の実習では、いつもより少し多めに3年生のことを褒めよう」と心の中で決めました。

■まだ、始まったばかり

 慣れない手つきで甘夏の剪定に挑む2年生たち。

 今はまだ、道具の名前を覚えるだけで精一杯かもしれません。

 けれど、この一歩一歩が、いつか先輩たちのような頼もしい背中へと繋がっていきます。

 始まったばかりの彼らの成長を、そして頼れる先輩へと育った3年生たちの姿を、これからもじっくりと見守っていきたいと思います。

鉛筆 苦み抜き 知恵を煮詰める 春の雨

 あいにくの雨となった今日、実習室では2年生による「食品製造」の実習が行われました。

 作るのは、爽やかな香りが広がる「甘夏マーマレード」です。

 

■丁寧な下準備から始まる

 今日は仕上げに向けた大切な下準備。

 まずは皮を一つひとつ四角く成形し、機械へ投入します。

 すると機械からは、細長い短冊状にカットされた皮が次々と出てきます。

 

 一方で、甘夏の実(じょうのう)は熱湯へと移されます。

 「熱湯へ入れ、取り出す」

 この実習工程を、3回。

 その後、じっくりと熱湯で煮詰めていきます。次回はいよいよ仕上げの予定です。

 

■「なぜ?」から始まる学び

 実習中、実を熱湯に入れている男子3人組に声をかけてみました。

 「なぜ、3回も熱湯に浸すのかな?」

 すると、生徒からは自信満々にこんな答えが。

 「冷凍保存していたので、解凍してるんです!」

 確かに、素材の状態を考えれば「解凍」も間違いではありません。

 ……が、あと一歩足りなかった!

 

 そばにいた担当職員からは、すかさず愛のある訂正と嘆きが入ります。

 「苦みを抜くためたいっ! 頼むから、話をきいといてくれよぉ……」

 

■工程の意味を考える

 言われた通りに実習をこなすだけでなく、「なぜこの工程が必要なのか?」を考える。

 「3回繰り返す」という手間には、甘夏特有の強い苦みを和らげ、最高に美味しいマーマレードにするための先人の知恵が詰まっています。

 今回のユニークな回答も、本質を知るための大切なステップ。

 「なぜだろう?」と疑問を持ち、先生の話をしっかり聞いて、その理由を深く考える。

 そんな積み重ねが、技術だけでなく「食」に向き合う姿勢を育ててくれるはずです。

 次回の仕上げ実習では、苦みがきれいに抜けた甘夏の香りが、実習室いっぱいに広がるのが楽しみです。

鉛筆 笑顔へと 届ける一玉 雨の日に

 今日はあいにくの雨。

 ハウスの中では昨日に引き続き、役目を果たした紐の撤去が淡々と進められています。

 一方で、実習室は「不知火(しらぬい)」の出荷調整で活気づいています。

 

■卒業生から受け継ぐ「実り」

 並んでいる不知火の多くは、この春に学び舎を巣立っていった先輩たちが、一年かけて大切に育て、2月に収穫してくれたものです。

 収穫後の予措(よそ)、貯蔵、そして厳密な計量。

 卒業生たちが一つひとつ積み重ねてきた丁寧な仕事のバトンを、今度は最高学年となった3年生たちがしっかりと受け取ります。

 

■一玉に込める「想像力」

 出荷調整に臨む3年生たち。

 検定を行い、一玉一玉を優しく拭き上げ、キャップを被せ、仕上げのシールを丁寧に貼っていきます。

 

 「手に取ってくださる方は、どんな笑顔で食べてくれるかな?」

 と想像を膨らませながら扱う手つきには、これまでの実習で培ってきた確かな優しさと責任感が宿っています。

 

 先輩たちが守り抜いてきた実りを、最高の状態で届けたい。

 外の雨音を忘れるほど集中した実習室で、3年生の手によって磨き上げられた不知火が、誇らしげに輝いています。

鉛筆 結び目に 宿る苦労と 夏の予感

 2月に「不知火」の収穫を終えたハウス。

 今日は、役目を果たした麻ひもを、誘引用のワイヤーから撤去する実習です。

 

■地道な実習、時々「強敵」

 外はまだ穏やかな春の陽気ですが、一歩ハウスに足を踏み入れると、そこには初夏を思わせる熱気と湿度が立ち込めていました。

 汗を拭いながら、ワイヤーに結わえられた無数のひもを一つずつ切り取っていきます。

 実習自体は淡々と進みますが、時折、思わぬ「伏兵」に遭遇します。

 大半のひもはスルスルと解けるのに、ふとした拍子に、なぜかガチガチに固まってワイヤーに食い込んでいる結び目が……。

 そんな時、静かなハウスのどこからか、ボソッとツッコミが漏れます。

 

 「ちょ、誰やねん……こんなガチガチに結んだの(笑)」

 「これ絶対、後の人のこと考えてないやろ〜」

 

 格闘すること数十秒。

 ようやくパチンと切り落とした瞬間、小さく漏れる「ふぅ」という溜息。

 そんな光景が、実習のあちこちでポツリポツリと見受けられました。

 

■「苦戦」が教える、未来の知恵

 この「たまにやってくる苦労」を通して、生徒たちは大切なことを学びます。

 吊るす時にしっかり結ぶのはプロとして当然。

 けれど、「解く時の効率」まで考えて結べてこそ、本当に仕事ができるということ。

 「取りやすい結び方」を習得するのは簡単ではありませんが、その一工夫が、未来の自分や仲間の時間を生む。

 その重要性を、頑固な結び目と対峙することで、身をもって実感したようです。

■スッキリの裏側にある「誓い」

 「次はもっと、スマートに解ける結び方にしたる……」と心の中でリベンジを誓いながら、最後の一本まで地道に撤去。

 ワイヤーがスッキリと整った頃には、生徒たちの手も、そして「効率への意識」も、ひと回り成長したように見えました。

 

 次にこのワイヤーが使われるのは、さらに気温が高くなる夏。

 今日の湿気と熱気は、まさにその季節が近づいている合図でもあります。

 再びやってくる「玉吊り・枝吊り」のシーズンには、今日の苦戦を糧にした、機能美あふれる結び目がハウス中を彩るはずです。

鉛筆 錆を脱ぎ 「いざ出陣」と 胸を張る

 

── 相棒図鑑 其の参 「柑橘選果機」 ──

(其の二 「鋏(はさみ)一族」はこちら)

 

 機械倉庫の二階。

 薄暗い隅で、十年の眠りについていた一台の機械がありました。

 収穫した果実を大きさごとに転がして仕分ける「選果機(せんかき)」です。

 かつては本校の出荷を支えた功労者でしたが、いつしか時代の流れとともにその役目を終え、静かな隠居生活を送っていました。

 

「……もう一度、あいつの力を借りたい。機械があるなら、使わない手はないじゃないか」

 

 その復活劇が始まったのは、まだ寒さの厳しい昨年の12月のことでした。

 甘夏の収穫を前に、私たちは倉庫で眠る「古兵(ふるつわもの)」のもとを訪ねました。

 大人の腰ほどの高さでどっしりと構えるその姿は、長い年月を孤独に耐え抜いた風格を漂わせていました。

 クレーンで吊り上げられ、十年ぶりに地上へ帰還した老将。

 入念に埃を払い、一箇所ずつ丁寧に油を差し直してスイッチを入れた瞬間、低く唸るようなモーター音が響きました。

 それは、老将が再び誇りを取り戻し、力強く鼓動を始めた音でした。

 もし、この相棒に心があるならば、再び鎧を纏(まと)い、豪快に笑っているかもしれません。

 

 「十年間、倉庫の二階で出番を待っておったぞ。

  油を差されれば、体も心も熱くなる。

  まだまだ、若造には負けませぬぞぉー!

  さあ、生徒たちの『一年の証』、一玉残らず見極めてくれよう!」

 コンベアの上を転がり、ブラシに磨かれ、サイズごとの穴へと吸い込まれていく甘夏たち。

 その規則正しく滑らかな流れは、不思議といつまでも眺めていられるような心地よいリズムを刻んでいます。

 

 スマートな最新技術の「新しさ」はもちろん素晴らしいものです。

 しかし、こうした古く頑丈な道具が、手入れによって何度でも息を吹き返し、現場の第一線で働き続ける姿にも、捨てがたい良さがあります。

 生徒たちが丹精込めて育てた一年の成果を、一分の狂いもなく仕分け、次なるステージへと送り出していく。

 その姿はまさに、最前線に復帰した百戦錬磨の老將です。

 十年の眠りから覚めた「相棒」は、今日も実習室に力強いリズムを響かせています。


 「古いからと諦めるのではなく、手を入れ、磨き上げる。その手間こそが、道具を『相棒』へと変えていきます」