日誌

鉛筆 雨の音 滲む台本 抱きしめて

 窓の外で、静かに、しかし容赦なく降り続く雨の音。

 会場の入口にぽつんと置かれた、ハレの式典という見せ場をなくした立て看板。

 本日、本校が事務局を担い開催された「令和8年度 第77回 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」

 無事にプログラムを終えた今、私たちの心の中には、大きな安堵感と、それと同じくらい、天候のせいとはいえどうしても拭いきれない、悔しく切ない気持ちが入り混じっています。

 

【2時間遅れの決断。繋いだ発表のバトン】

 大会2日目は大雨の影響を受け、当初の予定よりも「2時間遅らせて」受付とプロジェクト発表を実施するという異例の対応となりました。

 そんな緊迫した状況の中でも、大会のメインである「意見発表」「プロジェクト発表」が最後まで滞りなくやり遂げられたことは、本当に良かったと思っています。

 これまで放課後の農業実習室で、テストの疲れも見せず、何度も何度も声を枯らして練習を重ねてきた農業科の生徒たち。

 本番の壇上で、堂々と自らの学びを伝える姿は立派そのものでした。

 また、急な時間変更にも動じず、Ⅰ類の運営を担当し、緊張感の中で進行を力強く支えきってくれた運営担当の生徒たちには、感謝の言葉しかありません。

 スケジュールが乱れる過酷な環境ではありましたが、このステージに立ったすべての発表者にとって、これまでの努力が報われる「充実した年次大会」になっていたら、事務局校としてこれほど嬉しいことはありません。

 

【発揮されなかった、机の上の努力の跡】

 しかし、だからこそ――安全を最優先し、最後の「大会式典」が大雨の影響により中止せざるを得なくなったことが、残念で、悔しくてなりません。

 式典運営のために、司会進行の生徒が用意していた原稿。

 そこには、何度も読み返したことが一目でわかるカラフルなマーカーの線と、余白に書き込まれたメモやフリガナが残されていました。

 発表補助者として、ステージへの登場のタイミングや賞状を渡すタイミング、並ぶ順番など、一歩一歩の動きを身体で覚えた生徒たちの動き。

 来賓や表彰者の方々をスムーズに、精度高く、それ以上に気持ちよく誘導するために練習を重ねた、あのハキハキとした声掛けや美しい所作。

 県連旗を先導とともに先頭を切って入場するはずだった、県連会長の凛とした晴れ姿も、披露する場面を失ってしまいました。

 いつもお世話になっている花の先生が、この日のために心を込めて用意してくださっていた見事なアレンジメントが、誰もいない式典会場で静かに佇んでいるのを見たとき、生徒たちが最高の準備を発揮する場面を逸してしまった喪失感に、胸が締め付けられました。

 天候という理由だからこそ、ぶつけようのない悔しさが募ります。

 しかし、あのマーカーだらけの原稿も、身体に染み込ませた精緻な所作も、生徒たちが「誰かのために」最高の準備を尽くしたという紛れもない事実であり、彼らの確かな成長の証です。

 

【心からの感謝を込めて】

 最後になりますが、事務局校として至らない点もあったかと思いますが、この悪天候の中でも、前を向いて最高の発表をしてくれた他校の農業クラブ員の皆さま。

 急な時間変更にも柔軟にご対応いただき、生徒たちの頑張りを温かく見守り、運営を支えてくださった審査員の皆さまや、ご来賓の方々。

 そして何より、この大雨のなか、大会のために素晴らしい会場を快く提供し、多大なるご協力をいただきました芦北町の皆さまに、チーム芦北一同、心より深く御礼申し上げます。

 地域の温かい後ろ盾があったからこそ、私たちはこの困難な状況でも、発表の場を最後まで守り抜くことができました。

 この複雑な心境をバネに、私たちはまた次のステージへと歩みを進めます。

 ここで蓄えたエネルギーを、次の挑戦へと必ず繋げていきましょう。

 本当に、お疲れ様でした!