「わあ!」
「冷たーーい!」
本日5、6限目、1年生の「農業と環境」の授業で、待ちに待った田植え実習を行いました。
裸足になって、おそるおそる水田へと足を踏み入れる生徒たち。
一歩進むたびに、足の指の間をニュルッと抜けていく泥のなんとも言えない不思議な感触に、あちこちから大きな歓声(と悲鳴!?)が湧き上がりました。
最初は恐る恐るだった手つきも、次第に泥の感触を楽しみながら、一株一株、丁寧に苗を植え付けていきました。
【梅雨の合間の青空と、きらめく汗】
ここ数日は雨の日が続いていましたが、今日は見事な「梅雨の合間の青空」が広がりました。
じりじりと照りつける太陽のもと、額の汗を何度も拭いながら、一列に並んで泥にまみれる生徒たち。
泥だらけになった手足は、一生懸命に命と向き合った証です。
爽やかな風が吹き抜けるなか、みんなで声を掛け合いながら流した汗はどこか清々しく、クラスの絆もぐっと深まったように感じます。
【目指すは11月!全校生徒で食べる特製カレー】
今回植えたお米の品種は、ふっくらとした食感と甘みが特徴の「ヒノヒカリ」です。
陽の光を浴びて黄金色に輝く美味しいお米に育ってほしいのには、実は大きな理由があります。
なんと、秋の11月に開催される「収穫感謝祭」では、この自分たちが育てた新米を使い、全校生徒で一からカレーを調理して、みんなで美味しく食べる予定なのです!
「自分たちが植えた苗が、秋には全校のみんなを笑顔にするカレーになる」 そう考えると、これからの毎日の管理や、夏の暑い日の水やりにも自然と力が入ります。
お米作りの大変さと、それ以上の喜びを肌で感じる、農業科としての最高のスタートラインに立った1年生。
みんなの想いを乗せて、「ヒノヒカリ」よ、大きく元気に育て!
数日前、暦の上では二十四節気の「夏至(げし)」を迎えました。
文字通り、いよいよ本格的な「夏に至る」季節の到来です。
農業にとっては、最も長い日長がこれから少しずつ短くなっていく重要な折り返し地点(節目)でもあります。
光の長さはピークを過ぎ、気温はこれから上がっていきますが、本格的な夏の暑さを迎える前に、九州地方の梅雨は一気に牙を剥きました。
本日26日は昨日からの大雨の影響を受け、本校は臨時休校の措置をとる事態となりました。
生徒たちの姿がない校舎は静まり返り、窓の外で激しく鳴り響く雨音だけが響いています。
今日は気温が下がり、幾分か過ごしやすさを感じる涼しさですが、雨は今も断続的に降り続いており、油断できない状況が続いています。
今はただ、生徒や保護者の皆様、そして地域の皆様のところに大きな被害が出ないことを、農業科一同、心から祈るばかりです。
■ 荒ぶる空と、リベンジの田んぼ
この激しい空模様を前に、農場では昨日25日、もうひとつの大きな挑戦である「田植え」の予定日を迎えていました。
実は昨年、現在の2年生たちが臨むはずだった田植えは、あいにくの天候不良により断念せざるを得ませんでした。
先輩たちが味わった自然の厳しさと悔しさを知るからこそ、今年かける農業科の想いはひとしおですが、自然相手の農業は人間の思い通りにはいきません。
昨日、そして本日と荒ぶる空を前に、田植えは一時見合わせとなっています。
しかし、1年生が大切にまいた種から育った苗は、この激しい雨をじっと耐え忍びながら、泥に深く根を張るリベンジの瞬間を今か今かと待っています。
今回の雨が落ち着き、安全が十分に確保され次第、改めて生徒たちと泥にまみれ、確かな一歩を踏み出す準備を進めてまいります。
■ 試練を超えて、確かな実りへ
夏至の時期にまかれ、梅雨の激しい雨のなかでじっと耐える苗は、これからの厳しい暑さや試練を超えて、やがて大きな黄金色の穂へと育ちます。
自然の猛威を目の当たりにしながらも、じっと前を向く生徒たちの学びの姿もまた、全く同じです。
まずは何よりも皆様の安全第一です。
この雨が上がり、再び農場や校舎に生徒たちの元気な声が戻ってくるのを待ちながら、私たちはこれからも、それぞれの場所で前を向く芦北高校の生徒たちを心からのエールとともに応援しています。
「夏至」
荒ぶる雨のなか、地域全体の安全と、前を向いて歩き出す生徒たちの未来を祈って。芦北高校より。
窓の外で、静かに、しかし容赦なく降り続く雨の音。
会場の入口にぽつんと置かれた、ハレの式典という見せ場をなくした立て看板。
本日、本校が事務局を担い開催された「令和8年度 第77回 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」。
無事にプログラムを終えた今、私たちの心の中には、大きな安堵感と、それと同じくらい、天候のせいとはいえどうしても拭いきれない、悔しく切ない気持ちが入り混じっています。
【2時間遅れの決断。繋いだ発表のバトン】
大会2日目は大雨の影響を受け、当初の予定よりも「2時間遅らせて」受付とプロジェクト発表を実施するという異例の対応となりました。
そんな緊迫した状況の中でも、大会のメインである「意見発表」と「プロジェクト発表」が最後まで滞りなくやり遂げられたことは、本当に良かったと思っています。
これまで放課後の農業実習室で、テストの疲れも見せず、何度も何度も声を枯らして練習を重ねてきた農業科の生徒たち。
本番の壇上で、堂々と自らの学びを伝える姿は立派そのものでした。
また、急な時間変更にも動じず、Ⅰ類の運営を担当し、緊張感の中で進行を力強く支えきってくれた運営担当の生徒たちには、感謝の言葉しかありません。
スケジュールが乱れる過酷な環境ではありましたが、このステージに立ったすべての発表者にとって、これまでの努力が報われる「充実した年次大会」になっていたら、事務局校としてこれほど嬉しいことはありません。
【発揮されなかった、机の上の努力の跡】
しかし、だからこそ――安全を最優先し、最後の「大会式典」が大雨の影響により中止せざるを得なくなったことが、残念で、悔しくてなりません。
式典運営のために、司会進行の生徒が用意していた原稿。
そこには、何度も読み返したことが一目でわかるカラフルなマーカーの線と、余白に書き込まれたメモやフリガナが残されていました。
発表補助者として、ステージへの登場のタイミングや賞状を渡すタイミング、並ぶ順番など、一歩一歩の動きを身体で覚えた生徒たちの動き。
来賓や表彰者の方々をスムーズに、精度高く、それ以上に気持ちよく誘導するために練習を重ねた、あのハキハキとした声掛けや美しい所作。
県連旗を先導とともに先頭を切って入場するはずだった、県連会長の凛とした晴れ姿も、披露する場面を失ってしまいました。
いつもお世話になっている花の先生が、この日のために心を込めて用意してくださっていた見事なアレンジメントが、誰もいない式典会場で静かに佇んでいるのを見たとき、生徒たちが最高の準備を発揮する場面を逸してしまった喪失感に、胸が締め付けられました。
天候という理由だからこそ、ぶつけようのない悔しさが募ります。
しかし、あのマーカーだらけの原稿も、身体に染み込ませた精緻な所作も、生徒たちが「誰かのために」最高の準備を尽くしたという紛れもない事実であり、彼らの確かな成長の証です。
【心からの感謝を込めて】
最後になりますが、事務局校として至らない点もあったかと思いますが、この悪天候の中でも、前を向いて最高の発表をしてくれた他校の農業クラブ員の皆さま。
急な時間変更にも柔軟にご対応いただき、生徒たちの頑張りを温かく見守り、運営を支えてくださった審査員の皆さまや、ご来賓の方々。
そして何より、この大雨のなか、大会のために素晴らしい会場を快く提供し、多大なるご協力をいただきました芦北町の皆さまに、チーム芦北一同、心より深く御礼申し上げます。
地域の温かい後ろ盾があったからこそ、私たちはこの困難な状況でも、発表の場を最後まで守り抜くことができました。
この複雑な心境をバネに、私たちはまた次のステージへと歩みを進めます。
ここで蓄えたエネルギーを、次の挑戦へと必ず繋げていきましょう。
本当に、お疲れ様でした!
シャカ、シャカ、シャカ……。
静かな実習室に響くのは、ワイヤーが擦れる音と、細かく鋏(はさみ)を動かす金属音。
農業科3年生が今、全神経を指先に集中させて取り組んでいるのは、衣服の胸元を飾る小さな花束「ブートニア」の制作です。
これは、国家資格である「フラワー装飾技能検定」の実技試験に含まれる重要な課題の一つ。
今回はクラス全員の講義の一環として、この高度な技術の習得にみんなで挑戦しています。
生徒たちの机の上には、鮮やかな紫色のデンファレや、青々とした美しいグリーンの植物など、たくさんの材料が並びます。
【プロから学ぶ、ミリ単位の熱血指導】
この日は特別な実習。
日頃の授業に加え、外部から専門の講師の先生にお越しいただき、実技の直接指導をしていただきました。
完成したブートニアはとても華やかで優美ですが、その美しさを支える裏側には、地道で非常に細かい職人技が隠されています。
まずは、植物の茎の代わりに細い金属のワイヤーを通していく作業。
絶妙な力加減で花を傷つけないよう固定し、その上からフローラルテープを隙間なく、均一に巻きつけていきます。
指先に残るテープのわずかな粘着感を感じながら、長さを測り、細かく鋏を動かしていく緻密な集中力が求められます。
「ここ、もう少し綺麗に巻けるかな?」
講師の先生のお手本の手元をじっと見つめ、プロの洗練された技術を少しでも自分のものにしようと、生徒たちは熱心に耳を傾けていました。
第一線で活躍される先生からのリアルなアドバイスは、生徒たちにとって何よりの刺激です。
裏側を覗いてみると、細いワイヤーが美しく張り巡らされ、鮮やかな緑色のテープできっちりと巻き上げられているのが分かります。
この見えない部分の丁寧さこそが、表にある主役の花々を一番美しい角度でキープする「魔法」なのです。
【それぞれの目標へ向けて、技術を研ぎ澄ます】
全員が検定を受験するわけではありませんが、こうしてプロの技に直接触れ、本物の技術を学ぶ時間は全員にとって貴重な経験です。
講師の先生の丁寧なご指導のおかげで、最初は一本のワイヤーに苦戦していた生徒たちも、手つきがどんどん滑らかに、そして素早くなってきました。
ただ花を組み合わせるだけでなく、植物それぞれの個性を活かしながら、規格通りの美しい形へ。
検定合格を目指してさらに腕を磨く生徒も、この講義を通じて花を扱う楽しさや奥深さを知った生徒も、それぞれが自分の感性を大きく成長させた一日となりました。
お忙しい中お越しいただいた講師の先生、本当にありがとうございました!
「先生、お久しぶりです!」
本日、農場にとても嬉しい来客がありました。
本校農業科の卒業生で、現在は「東海大学農学部農学科」の「3年生」として、大学での学習や研究に励んでいる「宮内愛理」さんです。
高校を卒業し、さらに専門的な学びの道へ進んだ彼女。
今回はただ遊びに来たわけではなく、大学での大切な「研究素材」を集めるために母校の門を叩いてくれました。
【スマホの画面に映る、専門的な研究の目】
現在、大学で「植物病理学研究室」に所属しているという宮内さん。
本校の野菜、草花、果樹の圃場(ほじょう)をまわり、「病徴(病気の症状)」が出ている植物体をサンプリングしにやってきたのです。
「持って帰って病徴から判断するとともに、病原を特定するんです」と熱心に語る彼女。
見せてもらったスマートフォンの画面には、顕微鏡で捉えた「ブロッコリーのスス病」の病原がくっきりと映し出されていました。
かつてこの農場で基礎を学んだ生徒が、今ではこうして専門の目を持ち、持ち帰る柑橘類の葉を手に笑顔を見せる姿は本当に頼もしい限りです。
その生き生きとした活躍ぶりに、立ち会った職員も胸が熱くなります。
【現役生と一緒に。先輩が気軽に溶け込める農場環境】
こうして無事に研究素材を集め終えた宮内さんですが、実は彼女の妹さんが現在、本校農業科の1年生に在籍しています。
終礼までの待ち時間を活かして、6限目に実施されていた2年生のフラワーアレンジメント実習にも急きょ飛び入り参加してくれました。
現役の高校生たちと同じ机に並び、ひまわりやカーネーションを器用に生けていく宮内さん。
卒業して数年が経っても、こうして後輩たちの輪の中に自然と溶け込み、一緒に実習を楽しめるのは、本校の農場ならではの自由で温かい雰囲気があるからこそです。
【卒業生の皆さまへ、農場からのお願い】
卒業しても、何かあったときにこうして気軽に足を運んでもらえる場所であり続けられることは、学校にとってこの上ない財産です。
宮内さん、大学での研究、大変だけど頑張ってください!
最後になりますが、本ブログをご覧の卒業生の皆さま。
「研究の素材を探したい」
「恩師に近況を報告したい」
「久しぶりに農場の空気を吸いたい」など、理由はなんでも大歓迎です。
ぜひ、いつでもお気軽に農場へ足を運んでください。
後輩たちと職員一同、皆さんの元気な姿に会えるのを楽しみに待っています。
〒869‐5431
熊本県葦北郡
芦北町乙千屋20-2
熊本県立芦北高等学校
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