本日3・4限目、農業科2年生の「食品製造」の授業。
今日のブログのタイトルと、ここからお送りする製造工程の写真を見て、生徒たちが一体「何を作っているのか」、ぜひ画面の前で予想しながらご覧ください!
一見、よくある美味しそうな料理ですが、実は「小麦粉のグルテン形成」と「酵母菌(イースト)の発酵特性」を体感で学ぶ、農業科ならではの本格的な実習の記録です。
【前編:職人の技と、ミクロの科学】
1.まずは先生の説明を真剣に聞きます。
(仕上がりの食感を左右する、重要なポイントを頭に叩き込みます)
2.材料を正確に計量。
(食品製造において、1グラムの誤差は命取り。慎重に測ります)
3.ボウルに入れて、均一に混ぜ合わせます。
4.ここからが力仕事!まずは優しくこねる。
5.さらに全体重をかけて、力強くこねる!
(こねることで小麦粉のタンパク質が結合し、網目状の「グルテン」が形成され弾力とツヤが!)
6.丸めてラップに包み、しばらく寝かせます。
【後編:目の前で起きる、生命の神秘】
7.生地を休ませている間に、次の「盛り付け」の説明を聞きます。
8.……と、説明を聞いている間に、ラップがパンパンに膨らんでる!?
(これぞイースト菌の力!生地の中で二酸化炭素を発生させている証拠です。)
9.発酵した生地を、薄くまるく成形します。
10.ソースを均一に塗って……
11.彩り豊かな具材を、焼き上がりを計算しながら乗せていきます。
12.オーブンに入れて、高温で一気に15分!
【運命の正解発表!!】
13.焼き上がりました!
正解は、タイトル通り「ナポリ風ピザ」でした!
外はカリッと香ばしく、中は驚くほどモチモチ。
小麦粉の性質を知り、微生物の手を借りることで、ただの粉がこれほど美味しい「食品」へと姿を変える。
これこそが食品製造の醍醐味であり、面白さです。
14.学びの成果が詰まった、世界に一枚だけの特製ピザが完成です!
【おうちに持って帰ります!】
こうして焼き上がった最高のピザは、本日生徒たちが自宅へと持ち帰っています。
自分たちで粉から、科学の力を借りて一生懸命に作った自慢の味。
今夜はぜひ、ご家庭で今日の頑張りや学びの話を聞きながら、召し上がってください。
それでは皆様、家族みんなで――
「ブォナッペティート(召し上がれ)!」
本日7月7日は、二十四節気の「小暑(しょうしょ)」です。
文字通り、いよいよ本格的な夏の暑さが始まる節目の日。
そして、誰もが夜空を見上げ、星に願いを託す「七夕(たなばた)」でもあります。
ここ最近は重たい梅雨空が立ち込め、しとしとと雨が降り続く日が続いていましたが、今日は朝から一転、突き抜けるような青空と、力強い夏の白い雲が広がりました。
待ち望んだ晴天ではありますが、一気に気温も湿度も上昇。
ふと足元を見れば、ひまわりの黄色い花が咲き誇り、蜜蜂が忙しそうに飛び回るなど、農場はすっかり夏の装いです。
この急激な暑さは、外で活動する生徒たちにとっては身体に堪える非常に厳しい試練の始まりでもあります。
■ 暑さに負けず、農場で流すひたむきな汗
そんな過酷な暑さの中でも、農業科の生徒たちは決して歩みを止めません。
本日、果樹専攻の生徒たちは、照りつける太陽のもとで果樹園の草刈り実習に奔走しました。
草むした地面を、集中力を切らさずに一台一台丁寧に刈り進めていく作業は、体力的にも本当にタフな実習です。
しかし、すべては育てている命に豊かな栄養を行き渡らせるため。
生徒たちが大汗をかきながら実習に励むその傍らでは、期待のメロン「肥後グリーン」がネットをくっきりと浮き立たせて丸々と大きく実り、柑橘の「不知火」も青々とした力強い果実を太らせています。
また、温室の中では次の季節を待つシクラメンの瑞々しい緑の葉が、一鉢一鉢丁寧に整えられていました。
生徒たちの流した汗は、確実に農場の植物たちの生命力へと変わっています。
■ 天の川に想いを馳せ、それぞれの夢の舞台へ
実習でしっかりと汗を流した放課後、校内では七夕の心温まる風景が広がっていました。
図書室前の黒板には、彦星と織姫、そして夜空に流れる天の川を描いた見事な黒板アートが施され、紀友則(きのとものり)の歌が美しく添えられています。
「あまの河 あさ瀬しら波 たどりつつ 渡りはてねば 明けぞしにける」
黒板に書かれたその言葉のように、高校生活の限られた時間は、夢中になって走っているとあっという間に過ぎ去ってしまうものです。
だからこそ、今という時間を大切に、自分の「将来の夢」や目標に向かって一歩一歩、実直に突き進んでほしいと願っています。
梅雨を耐え抜き、今日の強い光を浴びて一段と色濃くなった農場の緑のように、生徒たちがこの試練の夏を超えて、自らの手で大きな未来を切り拓いていくことを信じています。
星が輝く今夜、芦北高校の生徒たちのすべての願いや挑戦が天に届き、それぞれの夢が豊かな実りを結びますよう、農業科一同、これからも見守り、全力で応援しています。
「小暑」
「七夕」を迎えて 一転した夏空のもと、命のきらめきと、自らの夢に向かって汗を流す生徒たちのひたむきな姿に未来を重ねて。芦北高校より。
「学校とバイトのバランスはどう取っていますか?」
「ひとり暮らしって、やっぱり難しいですか?」
「進路を決めるときに、一番大事にしていたことは何ですか?」
質疑応答の時間に入った瞬間、学年を問わず、次々と手が上がりました。
生活費のリアルなお金の話から入試対策まで、生徒たちから溢れ出す等身大の質問の数々。
これほど多くの質問が飛び交ったのは、生徒たちがただ聞いていただけではなく、自分の未来を重ね合わせ、それだけ強い興味を持って先輩の話に耳を傾けていた証拠です。
本日6限目、現在教育実習生として来られている本校卒業生のK先生による、「卒業生講話」を開催しました。
【担任の粋な企画で、農業科が全員集結!】
この講話を企画したのは、K先生の高校在学時に担任だったM先生です。
先生の熱い呼びかけに応え、農業科の1〜3年生全員が視聴覚室に大集結。
【芦高から大学へ。先輩が歩んだリアルな軌跡】
講話のなかで、K先生は自身の経験をもとに、生徒たちの未来に直結するたくさんのお話をしてくださいました。
・芦高への入学のきっかけ
・在学時に熱中したこと(フラワーアレンジメントや農業鑑定競技への挑戦)
・進路決定までのプロセス(担任の先生からの声掛けや、試験に向けた取り組み)
・大学で専門的に学んでいること(造園や栽培について)
さらに、高校生が一番気になっている「大学生活のリアル」についても、ひとり暮らしの工夫やアルバイト、現在の就職活動の様子まで、包み隠さず語ってくださいました。
【「やりたいことがない」と悩む後輩たちへ】
進路に迷う後輩たちに向けて、K先生が送ってくれたアドバイスは、心に深く刺さるものでした。
「進路を選ぶために、まずは資格や経験をたくさん積んで選択肢を広げてほしい。そして、周囲への感謝を伝えることを忘れないでください」
また、「将来やりたいことがまだ見つからない」という生徒に対しては、
「『これならちょっとやれそうかな』ということから始めてみればいい。自分のペースで『自分なりにはだいぶ良い方だな』と思える選択をしていけば大丈夫」
という、優しく背中を押してくれる言葉をかけてもらい、生徒たちは真剣な表情で深くうなずいていました。
【濃密な時間への感謝】
年齢が近い「先輩」だからこそ、どの言葉も説得力があり、生徒たちにとっては進路パンフレットを読むよりも何倍も大きな刺激になったはずです。
どんな質問にも笑顔で、かつ丁寧に答えてくれたK先生の姿勢からは、後輩への温かいエールが溢れていました。
企画してくださったM先生、そして本音で語ってくれたK先生、本当にありがとうございました。
この講話を聞いた生徒たちが、これからどんな進路を選び、どんな風に挑戦していくのか、今からとても楽しみです。
芦北町商工会様より熊本県商工会青年部連合会熊本県大会の出店者ブースの看板を作ってほしいとの依頼を受けました
そこで林業科の森育・木育班が魂を込めて看板を製作しました
それぞれに担当を決めて、お店を調べて看板のイメージをしました
生徒がデザインしたものを昨年導入したレーザー加工機で刻印していきます
その後、紙やすりで表面を整えて完成です
そして本日芦北町商工会へ贈呈式が行われました
芦北町商工会様より「地元高校生と一緒に色々なことに挑戦して芦北町を盛り上げていきましょう」というお言葉をいただきました
農業科3年、草花の授業。
ふと見ると、生徒に混じって、見慣れない職員の姿。
6月29日から本校農業科に教育実習生としてやってきた、卒業生の「K先生」です。
【頼もしい実績を持つ卒業生】
K先生は高校在学時、課題研究で草花を選択し、土日も惜しまず技術を磨いてフラワーアレンジの全国大会に出場した経験を持っています。
素人の私が「これは何の葉っぱですか?」と聞くと、迷うことなく「レザーファンです」と即答。
流石の一言です。
その知識と技術は、卒業してからも全く衰えていません。
実習中、手こずっている生徒を見つけると、サッと隣に寄り添って優しくアドバイスをされていました。
すでに先生らしい温かい眼差しで指導する姿に、生徒たちも真剣な表情で耳を傾けていました。
【授業だけじゃない、教員のリアルを学ぶ2週間】
実習の舞台は実習室だけではありません。
職員室では、指導教師の先生と2週間のびっしり詰まったスケジュールを確認していました。
授業見学や教材研究はもちろん、教務の仕事や生徒指導のあり方など、学ぶべき内容は多岐にわたります。
教科書を開くだけでは分からない、学校現場の「リアル」を肌で感じる、非常に濃い2週間になりそうです。
【充実した実習になりますように!】
3日には最初の授業実施、そして来週には実習の集大成となる「食品製造」の研究授業も控えています。
教える側として母校の教壇に立つ緊張と喜び。
K先生にとっても、農業科の生徒たちにとっても、これ以上ないほど充実した時間になりますように!
チーム農業科、全力で応援しています!
【今日の一枚】
先輩の技を、まさかの方法で吸収!?
K先生の熱心な指導が続く、3年生の草花実習。
カメラを向けるとポーズを取ってくれました。
K先生、個性が爆発する楽しい後輩たちですが、2週間どうぞよろしくお願いします!
Global Series Vol. 6:Ashikita Senses
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第6回は、6月4日の「2年生・果樹総合実習(不知火のブラインド・テイスティング)」の記録です。
[Global Series Vol. 5:The Chemistry of Baking and Respect for Professionals はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 6: Sophomore Fruit Tree Practice — Shiranui Blind Tasting (Jun 4th).
[Click here for Global Series Vol. 5:The Chemistry of Baking and Respect for Professionals]
— Sophomore Fruit Tree Practice: Unlocking the Secrets of Shiranui Through a Blind Tasting —
"It’s totally different! This one is so sour!"
"Don't you think this one has a richer flavor?"
"I think I prefer Option A!"
Today, the classroom for our second-year Agricultural Department students was buzzing. Arranged on the desks were two types of "Shiranui" citrus that looked absolutely identical. However, the moment the students tasted them, their expressions changed completely. The room filled with the raw, sensory exclamations of mixed confusion and excitement.
This lesson featured a "blind tasting" designed to help students understand the unique characteristics of different citrus varieties and strains. As students of Ashikita Agricultural High School, we want them to do more than just eat and say "delicious"—we want them to become experts who can discern the most subtle differences. This marked the beginning of a slightly challenging yet highly exciting practical lesson born from that very wish.
■ The Four-Stage Judgment: No Easy Way Out
The "Variety Tasting Worksheet" provided two clues: "Hinoyutaka," born in Kumamoto, known for its quick reduction in acidity and a mellow flavor; and "M16A," a classic strain that develops a deep richness and a punchy acidity through careful storage.
The worksheet listed specific evaluation items, such as the color of the pulp, the thinness of the inner skin, and the mildness of the acidity. Crucially, there was no option for "average" or "neutral." The teacher's voice echoed through the room: "Try to make your evaluations definitive. There is no single right answer, so trust your own senses."
Munch, munch... Gulp.
The students focused all their energy on their taste buds. If this were just an ordinary snack time, it would have ended with simple smiles. However, the profiles of these students—showing the burgeoning pride of future growers—were intensely serious.
■ Lost in a Maze of Senses "They Look the Same, But Taste Completely Different!"
After the initial tasting, a quiet passion enveloped the classroom. The students grew quiet, staring intently at their worksheets, sinking into deep reflection as they translated their sensations into words and numbers.
Carefully recalling the flavors lingering in their mouths, they pieced the clues together one by one. "Was that aftertaste the mellowness of Hinoyutaka, or the richness of M16A?" Comparing their memories with the hints before them, they trusted their intuition to guide them to their own answers. This is precisely what makes working with living agricultural products so fascinating and profound. Seeing the students hesitate, the teacher offered some guidance:
"The correct answer doesn't matter. It’s not about guessing right. What matters is knowing that a clear 'difference' exists in things that look identical, and discovering which one you prefer. Catching that feeling is the real goal."
The feedback from the students proved that they had turned a real page of agricultural science through their own physical experiences:
"They were different, but both were so delicious that I want to eat a lot more next time."
"The flavors were completely different, but I could barely see any difference in the color or the appearance of the pulp."
"The difference was clear and easy to understand. I want to utilize this knowledge when selling them."
■ A Single Bite Nurtures the "Eyes of a Professional" for Tomorrow
Cheers of excitement and groans of frustration erupted the moment the correct answers were revealed, followed by the teacher's commentary. As time passes on the tree or in the storage facility, the acidity of the Shiranui citrus decreases, causing its flavor to evolve period by period. Because the speed of this change and the sharpness of the flavor vary by strain, citrus cultivation is incredibly deep and interesting. The students listened quietly, discovering how much intricate natural drama is packed into every single Shiranui fruit they normally handle without a second thought in the orchard.
This opportunity to learn the differences between strains through physical experience is a precious moment limited only to this fruiting season. A single tasting session will not instantly turn them into all-knowing professionals. However, the seed of inquiry planted in their hearts today—"Why do they taste so different?"—will undoubtedly transform the way they look at things during future harvest and storage management practices.
Being moved by the complexity of nature beyond just "tasty," and by the incredible human skill required to master it—this is how Ashikita Agricultural High School "creates" dependable wisdom for the future of agriculture through real learning that engages all five senses. As the lesson concluded and the room was cleared, a faint, sweet-and-sour aroma of Shiranui lingered in the air. Having taken their first step toward becoming "growers who know the difference," we are already looking forward to the next harvest these sophomores will raise.
「わあ!」
「冷たーーい!」
本日5、6限目、1年生の「農業と環境」の授業で、待ちに待った田植え実習を行いました。
裸足になって、おそるおそる水田へと足を踏み入れる生徒たち。
一歩進むたびに、足の指の間をニュルッと抜けていく泥のなんとも言えない不思議な感触に、あちこちから大きな歓声(と悲鳴!?)が湧き上がりました。
最初は恐る恐るだった手つきも、次第に泥の感触を楽しみながら、一株一株、丁寧に苗を植え付けていきました。
【梅雨の合間の青空と、きらめく汗】
ここ数日は雨の日が続いていましたが、今日は見事な「梅雨の合間の青空」が広がりました。
じりじりと照りつける太陽のもと、額の汗を何度も拭いながら、一列に並んで泥にまみれる生徒たち。
泥だらけになった手足は、一生懸命に命と向き合った証です。
爽やかな風が吹き抜けるなか、みんなで声を掛け合いながら流した汗はどこか清々しく、クラスの絆もぐっと深まったように感じます。
【目指すは11月!全校生徒で食べる特製カレー】
今回植えたお米の品種は、ふっくらとした食感と甘みが特徴の「ヒノヒカリ」です。
陽の光を浴びて黄金色に輝く美味しいお米に育ってほしいのには、実は大きな理由があります。
なんと、秋の11月に開催される「収穫感謝祭」では、この自分たちが育てた新米を使い、全校生徒で一からカレーを調理して、みんなで美味しく食べる予定なのです!
「自分たちが植えた苗が、秋には全校のみんなを笑顔にするカレーになる」 そう考えると、これからの毎日の管理や、夏の暑い日の水やりにも自然と力が入ります。
お米作りの大変さと、それ以上の喜びを肌で感じる、農業科としての最高のスタートラインに立った1年生。
みんなの想いを乗せて、「ヒノヒカリ」よ、大きく元気に育て!
福祉科2年生による、福祉の視点から「みんなが暮らしやすい芦北町」を目指して、自分たちにできることを考え、実践する福祉探究学習がスタートしました。
第1回目は、芦北町役場 や 芦北町社会福祉協議会 の皆様にお越しいただき、芦北町の現状や地域で行われている取り組みについて学び、グループ協議を行いました。
協議では、子育てに関する課題や、障がいのある方の暮らし、地域での支え合い、防災のまちづくりなど、多様なテーマについて考えを深めることができました。
これから生徒たちは地域に出向き、さまざまな方々との出会いや対話を通して、課題を自分事として捉えながら学びを深めていきます。地域とのつながりの中で、一人ひとりがさらに大きく成長していきます!
数日前、暦の上では二十四節気の「夏至(げし)」を迎えました。
文字通り、いよいよ本格的な「夏に至る」季節の到来です。
農業にとっては、最も長い日長がこれから少しずつ短くなっていく重要な折り返し地点(節目)でもあります。
光の長さはピークを過ぎ、気温はこれから上がっていきますが、本格的な夏の暑さを迎える前に、九州地方の梅雨は一気に牙を剥きました。
本日26日は昨日からの大雨の影響を受け、本校は臨時休校の措置をとる事態となりました。
生徒たちの姿がない校舎は静まり返り、窓の外で激しく鳴り響く雨音だけが響いています。
今日は気温が下がり、幾分か過ごしやすさを感じる涼しさですが、雨は今も断続的に降り続いており、油断できない状況が続いています。
今はただ、生徒や保護者の皆様、そして地域の皆様のところに大きな被害が出ないことを、農業科一同、心から祈るばかりです。
■ 荒ぶる空と、リベンジの田んぼ
この激しい空模様を前に、農場では昨日25日、もうひとつの大きな挑戦である「田植え」の予定日を迎えていました。
実は昨年、現在の2年生たちが臨むはずだった田植えは、あいにくの天候不良により断念せざるを得ませんでした。
先輩たちが味わった自然の厳しさと悔しさを知るからこそ、今年かける農業科の想いはひとしおですが、自然相手の農業は人間の思い通りにはいきません。
昨日、そして本日と荒ぶる空を前に、田植えは一時見合わせとなっています。
しかし、1年生が大切にまいた種から育った苗は、この激しい雨をじっと耐え忍びながら、泥に深く根を張るリベンジの瞬間を今か今かと待っています。
今回の雨が落ち着き、安全が十分に確保され次第、改めて生徒たちと泥にまみれ、確かな一歩を踏み出す準備を進めてまいります。
■ 試練を超えて、確かな実りへ
夏至の時期にまかれ、梅雨の激しい雨のなかでじっと耐える苗は、これからの厳しい暑さや試練を超えて、やがて大きな黄金色の穂へと育ちます。
自然の猛威を目の当たりにしながらも、じっと前を向く生徒たちの学びの姿もまた、全く同じです。
まずは何よりも皆様の安全第一です。
この雨が上がり、再び農場や校舎に生徒たちの元気な声が戻ってくるのを待ちながら、私たちはこれからも、それぞれの場所で前を向く芦北高校の生徒たちを心からのエールとともに応援しています。
「夏至」
荒ぶる雨のなか、地域全体の安全と、前を向いて歩き出す生徒たちの未来を祈って。芦北高校より。
窓の外で、静かに、しかし容赦なく降り続く雨の音。
会場の入口にぽつんと置かれた、ハレの式典という見せ場をなくした立て看板。
本日、本校が事務局を担い開催された「令和8年度 第77回 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」。
無事にプログラムを終えた今、私たちの心の中には、大きな安堵感と、それと同じくらい、天候のせいとはいえどうしても拭いきれない、悔しく切ない気持ちが入り混じっています。
【2時間遅れの決断。繋いだ発表のバトン】
大会2日目は大雨の影響を受け、当初の予定よりも「2時間遅らせて」受付とプロジェクト発表を実施するという異例の対応となりました。
そんな緊迫した状況の中でも、大会のメインである「意見発表」と「プロジェクト発表」が最後まで滞りなくやり遂げられたことは、本当に良かったと思っています。
これまで放課後の農業実習室で、テストの疲れも見せず、何度も何度も声を枯らして練習を重ねてきた農業科の生徒たち。
本番の壇上で、堂々と自らの学びを伝える姿は立派そのものでした。
また、急な時間変更にも動じず、Ⅰ類の運営を担当し、緊張感の中で進行を力強く支えきってくれた運営担当の生徒たちには、感謝の言葉しかありません。
スケジュールが乱れる過酷な環境ではありましたが、このステージに立ったすべての発表者にとって、これまでの努力が報われる「充実した年次大会」になっていたら、事務局校としてこれほど嬉しいことはありません。
【発揮されなかった、机の上の努力の跡】
しかし、だからこそ――安全を最優先し、最後の「大会式典」が大雨の影響により中止せざるを得なくなったことが、残念で、悔しくてなりません。
式典運営のために、司会進行の生徒が用意していた原稿。
そこには、何度も読み返したことが一目でわかるカラフルなマーカーの線と、余白に書き込まれたメモやフリガナが残されていました。
発表補助者として、ステージへの登場のタイミングや賞状を渡すタイミング、並ぶ順番など、一歩一歩の動きを身体で覚えた生徒たちの動き。
来賓や表彰者の方々をスムーズに、精度高く、それ以上に気持ちよく誘導するために練習を重ねた、あのハキハキとした声掛けや美しい所作。
県連旗を先導とともに先頭を切って入場するはずだった、県連会長の凛とした晴れ姿も、披露する場面を失ってしまいました。
いつもお世話になっている花の先生が、この日のために心を込めて用意してくださっていた見事なアレンジメントが、誰もいない式典会場で静かに佇んでいるのを見たとき、生徒たちが最高の準備を発揮する場面を逸してしまった喪失感に、胸が締め付けられました。
天候という理由だからこそ、ぶつけようのない悔しさが募ります。
しかし、あのマーカーだらけの原稿も、身体に染み込ませた精緻な所作も、生徒たちが「誰かのために」最高の準備を尽くしたという紛れもない事実であり、彼らの確かな成長の証です。
【心からの感謝を込めて】
最後になりますが、事務局校として至らない点もあったかと思いますが、この悪天候の中でも、前を向いて最高の発表をしてくれた他校の農業クラブ員の皆さま。
急な時間変更にも柔軟にご対応いただき、生徒たちの頑張りを温かく見守り、運営を支えてくださった審査員の皆さまや、ご来賓の方々。
そして何より、この大雨のなか、大会のために素晴らしい会場を快く提供し、多大なるご協力をいただきました芦北町の皆さまに、チーム芦北一同、心より深く御礼申し上げます。
地域の温かい後ろ盾があったからこそ、私たちはこの困難な状況でも、発表の場を最後まで守り抜くことができました。
この複雑な心境をバネに、私たちはまた次のステージへと歩みを進めます。
ここで蓄えたエネルギーを、次の挑戦へと必ず繋げていきましょう。
本当に、お疲れ様でした!
シャカ、シャカ、シャカ……。
静かな実習室に響くのは、ワイヤーが擦れる音と、細かく鋏(はさみ)を動かす金属音。
農業科3年生が今、全神経を指先に集中させて取り組んでいるのは、衣服の胸元を飾る小さな花束「ブートニア」の制作です。
これは、国家資格である「フラワー装飾技能検定」の実技試験に含まれる重要な課題の一つ。
今回はクラス全員の講義の一環として、この高度な技術の習得にみんなで挑戦しています。
生徒たちの机の上には、鮮やかな紫色のデンファレや、青々とした美しいグリーンの植物など、たくさんの材料が並びます。
【プロから学ぶ、ミリ単位の熱血指導】
この日は特別な実習。
日頃の授業に加え、外部から専門の講師の先生にお越しいただき、実技の直接指導をしていただきました。
完成したブートニアはとても華やかで優美ですが、その美しさを支える裏側には、地道で非常に細かい職人技が隠されています。
まずは、植物の茎の代わりに細い金属のワイヤーを通していく作業。
絶妙な力加減で花を傷つけないよう固定し、その上からフローラルテープを隙間なく、均一に巻きつけていきます。
指先に残るテープのわずかな粘着感を感じながら、長さを測り、細かく鋏を動かしていく緻密な集中力が求められます。
「ここ、もう少し綺麗に巻けるかな?」
講師の先生のお手本の手元をじっと見つめ、プロの洗練された技術を少しでも自分のものにしようと、生徒たちは熱心に耳を傾けていました。
第一線で活躍される先生からのリアルなアドバイスは、生徒たちにとって何よりの刺激です。
裏側を覗いてみると、細いワイヤーが美しく張り巡らされ、鮮やかな緑色のテープできっちりと巻き上げられているのが分かります。
この見えない部分の丁寧さこそが、表にある主役の花々を一番美しい角度でキープする「魔法」なのです。
【それぞれの目標へ向けて、技術を研ぎ澄ます】
全員が検定を受験するわけではありませんが、こうしてプロの技に直接触れ、本物の技術を学ぶ時間は全員にとって貴重な経験です。
講師の先生の丁寧なご指導のおかげで、最初は一本のワイヤーに苦戦していた生徒たちも、手つきがどんどん滑らかに、そして素早くなってきました。
ただ花を組み合わせるだけでなく、植物それぞれの個性を活かしながら、規格通りの美しい形へ。
検定合格を目指してさらに腕を磨く生徒も、この講義を通じて花を扱う楽しさや奥深さを知った生徒も、それぞれが自分の感性を大きく成長させた一日となりました。
お忙しい中お越しいただいた講師の先生、本当にありがとうございました!
「先生、お久しぶりです!」
本日、農場にとても嬉しい来客がありました。
本校農業科の卒業生で、現在は「東海大学農学部農学科」の「3年生」として、大学での学習や研究に励んでいる「宮内愛理」さんです。
高校を卒業し、さらに専門的な学びの道へ進んだ彼女。
今回はただ遊びに来たわけではなく、大学での大切な「研究素材」を集めるために母校の門を叩いてくれました。
【スマホの画面に映る、専門的な研究の目】
現在、大学で「植物病理学研究室」に所属しているという宮内さん。
本校の野菜、草花、果樹の圃場(ほじょう)をまわり、「病徴(病気の症状)」が出ている植物体をサンプリングしにやってきたのです。
「持って帰って病徴から判断するとともに、病原を特定するんです」と熱心に語る彼女。
見せてもらったスマートフォンの画面には、顕微鏡で捉えた「ブロッコリーのスス病」の病原がくっきりと映し出されていました。
かつてこの農場で基礎を学んだ生徒が、今ではこうして専門の目を持ち、持ち帰る柑橘類の葉を手に笑顔を見せる姿は本当に頼もしい限りです。
その生き生きとした活躍ぶりに、立ち会った職員も胸が熱くなります。
【現役生と一緒に。先輩が気軽に溶け込める農場環境】
こうして無事に研究素材を集め終えた宮内さんですが、実は彼女の妹さんが現在、本校農業科の1年生に在籍しています。
終礼までの待ち時間を活かして、6限目に実施されていた2年生のフラワーアレンジメント実習にも急きょ飛び入り参加してくれました。
現役の高校生たちと同じ机に並び、ひまわりやカーネーションを器用に生けていく宮内さん。
卒業して数年が経っても、こうして後輩たちの輪の中に自然と溶け込み、一緒に実習を楽しめるのは、本校の農場ならではの自由で温かい雰囲気があるからこそです。
【卒業生の皆さまへ、農場からのお願い】
卒業しても、何かあったときにこうして気軽に足を運んでもらえる場所であり続けられることは、学校にとってこの上ない財産です。
宮内さん、大学での研究、大変だけど頑張ってください!
最後になりますが、本ブログをご覧の卒業生の皆さま。
「研究の素材を探したい」
「恩師に近況を報告したい」
「久しぶりに農場の空気を吸いたい」など、理由はなんでも大歓迎です。
ぜひ、いつでもお気軽に農場へ足を運んでください。
後輩たちと職員一同、皆さんの元気な姿に会えるのを楽しみに待っています。
「――それでは、発表を始めてください」
マイクを通じて部屋に響く、少し緊張を帯びた、けれどもしっかりとした声。
カーテンを閉め切った総合学習室の暗がりに、ぽっと浮かび上がるプロジェクターの白い光。
そして、手元の資料をめくるカサリという微かな紙の音。
昨日の考査最終日、テストが終わったばかりの放課後のことです。
総合学習室には、息をつく間もなく集まった生徒たちの静かな熱気が満ちていました。
来週の23日(火)と24日(水)の2日間、本校を事務局(会場)として「令和8年度 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」が開催されます。
【支える手、挑む声。それぞれの真剣練習】
この大会は、県内の農業高校から集まったクラブ員たちが、日頃のプロジェクト研究や自らの意見をステージで発表し合う、年に一度の大きな舞台。
本校は今年、その運営を担う事務局校を務めます。
昨日集まったのは、大会の成否を握る司会進行や計時などの「運営」を担う生徒たち、そして芦北高校の代表として壇上に立つ「意見発表」「プロジェクト発表」の生徒たちです。
発表チームは、スクリーンのタイミングを合わせながら、自分の言葉に熱を込めて語りかけます
一方の運営チームは、手元に置かれたマイクを前に、シナリオを何度も読み込みながら進行の流れを細かくチェックしていきます。
そこにあるのは、「自分たちの発表を成功させたい」という想いだけではありません。
「他校から参加する発表者の仲間たちが、少しでも気持ちよく壇上に立ち、日頃の成果を100%出し切ってほしい」
そんな、事務局校としての温かい「おもてなしの心」が、生徒たちの真剣な眼差し、そして何度も繰り返される練習の姿からひしひしと伝わってきました。
【最高の舞台を、私たちの手で】
テスト勉強の疲れも見せず、遅くまでリハーサルに邁進した生徒たち。
誰かの輝くステージは、こうして見えないところで汗を流し、準備を重ねる人の手によって創られていくのだと、改めて教えられる時間でした。
大会本番まで、あとわずか。
熊本県の農業を担う仲間たちを最高の舞台で迎えるために。
そして、自分たちの学びを堂々と伝えるために。
チーム芦北、一丸となって最後まで心を込めて舞台を整えていきます!
ピッ、ピッ。
静まり返った農場実習棟2階。
室内に響くのは、一定の間隔で鋭く鳴り響くタイマーのブザー音だけです。
その音が鳴るたびに、立ったまま問題と対峙していた生徒たちは一斉に動き出し、次の問題へと移動していく――。
4日間にわたる期末考査も、本日がいよいよ最終日。
農業科の締めくくりは、この試験時間内をフルに使って全学年が入れ替わりで挑む、「農業鑑定競技会」です。
【一瞬の迷いも許されない、専門知識の総力戦】
目の前に並んだ実物や写真を見て、その名称や特徴をわずか「20秒」で判別し、立ったまま解答用紙に滑り込ませるノンストップの知力戦。
日頃の授業や実習で培った「五感」のすべてが試される時間です。
例えば、草花分野の問題。
目の前に並ぶA、B、Cの苗をじっと見つめ、わずか20秒で特徴を見抜かなければなりません。
正解は「C」。
光沢のある葉と中央の白い葉脈が日々草の証です。
また、果樹分野から。
正解は「Bの採収ハサミ」。
果実を傷つけないよう刃先がわずかに曲がっています。
実習で使い慣れているはずの道具だからこそ、その細かな違いを見極める確かな「目」が試されます。
基本は20秒のハイテンポですが、うち2問だけ、タイマーが「40秒」へと切り替わる強敵が潜んでいます。
それが「計算問題」です。
総重量(2,800g)から個数(35個)を割り出し、「売り上げ(7,000円)」を導き出す。
20秒の波に乗っていた脳を瞬時にフル回転させ、立ち止まったまま、焦る気持ちを抑えて正確な数字を叩き出す40秒間。
次々と襲いかかってくる難問に、生徒たちは知識の引き出しをフルスピードで開け閉めしながら、限られた時間の中で解答用紙を埋めていきました。
【テスト終了の解放感、そして次へのステップへ】
最後のブザーが鳴り響き、これですべての考査が終了。
実習棟には、極限の緊張から解き放たれた生徒たちの、ホッとした笑顔と大きな歓声が広がりました。
しかし、農業科の夏はここからが本番です。
この鑑定競技は定期考査であると同時に、7月28日に開催される「熊本県大会」の予選。
さらに今日からは、来週に控える年次大会や部活動など、生徒それぞれが「次のステージ」へと一斉に走り出します。
ガチガチに縛られていたテストの時間が終わり、ようやく自分のために使える自由な時間が戻ってきた君たちに、この言葉を贈ります。
「時間は有限、その使い方は無限」
限られた時間の中で、どれだけ自分を磨き、輝かせることができるかは、これからの過ごし方次第。
ふと見上げると、朝からどんよりと曇っていた空には、いつの間にか目が覚めるような鮮やかな青空が広がっていました。まるで、張り詰めた緊張から解き放たれた生徒たちの心を映し出しているかのようです。
さあ、これから僕たちの「熱く」、そして「暑い」夏が始まります。
ここから選び抜かれる鑑定競技の代表メンバーも、それぞれの活動に全力で打ち込む仲間たちも、この青空のように真っ直ぐ、次の目標に向かって全力で駆け抜けていきましょう!
本日は定期考査の2日目。
静まり返った3年農業科の教室。
そこには朝から一点を見つめ、机にかじりつくようにして猛勉強に励む生徒たちの姿がありました。
一問一答に魂を込め、資料をめくる手にも熱が入ります。
すべては自分自身の理想の進路実現のため。
ここが踏ん張りどころです。
頑張れ、農業科三年!
【生徒が真っ直ぐ育つための環境づくり】
生徒たちが教室で未来を切り拓くためのテストに挑んでいる間、授業や実習がないこの時間を活かして、ある「奮闘」を続けていました。
それは、広大な実習園地の環境整備(草刈り)です。
今回は、長年タフに外を支えてくれている相棒の背負い式刈払機に加え、果樹の木々の間をスイスイと進む最新鋭のラジコン草刈機をフル稼働!
プロポを巧みに操りながら、傾斜にも力強くかじりつくようにして、生い茂る夏の草をスッキリときれいに刈り整えていきます。
ブーンと響くエンジン音のなか、ふと頭をよぎったのは、すでに退職されたかつての校長先生が遺してくださった、ある大切な言葉でした。
「環境は人を育む」
美しく整えられた園地、清潔な学び舎。
そうした清々しい環境があってこそ、生徒たちの心が真っ直ぐに育ち、豊かな感性や技術が磨かれていく――そう固く信じ、この手で環境を整え続けます。
【見えないエールを、刈り跡に込めて】
流す汗の先には、テストを終えて再びこの果樹園に戻ってくる生徒たちの笑顔があります。
教室で必死にペンを動かす君たちの熱気に負けないよう、私も外でプロポを握りしめ、全力で汗を流しています。
場所は違っても、目指すところは同じ。
私も頑張るから、君たちも最後まで諦めずに踏ん張ろう!
考査はまだまだ続きますが、一歩ずつ、共に乗り越えていきましょう!
今日は湿気も少なく、カラッと過ごしやすい天候に恵まれました。
絶好の実習日和のなか、食品製造室の扉を開けると、初夏の暑さを吹き飛ばすような、目が覚めるほど爽やかな香りが部屋いっぱいに広がります。
本日、農業科2年生の「食品製造」の時間は、これからの季節にぴったりな「甘夏ゼリー」の製造実習です。
【本校の果樹園が育んだ「紅甘夏」を贅沢に】
今回使用した原材料は、ただの甘夏ではありません。
本校の果樹園で、生徒たちが愛情を込めて大切に栽培してきた「紅甘夏(べにあまなつ)」です。
通常の甘夏よりも果皮の赤みが濃く、みずみずしい甘みと爽やかな酸味が詰まったこの大切な一玉を、自分たちの手で最高のスイーツへと仕上げていきます。
実習が始まると、教室内は一気に職人の現場へと変わりました。
まずはゴツゴツとした厚い皮を、生徒たちが一つひとつ丁寧にむいていきます。
皮がはがれるたびに、部屋中にフレッシュな柑橘の香調が弾け飛びました。
続いては、果汁を一滴も無駄にしないようギュッと力強く絞り出す作業。
それと同時に、もう一方では一粒ずつのぷりっとした食感を残すために、薄皮から果肉を美しくむき出していきます。
手際よく、かつ繊細に施される手仕事によって、黄金色の素材がどんどん集まっていきました。
集まった果汁を火にかけ、温度を見極めながら慎重に加熱し、ゼリー液を作っていきます。
そして今回の主役であり、最高のこだわりが「果肉もゴロッと」贅沢にカップへ忍ばせること。
温かいゼリー液をそっと注ぎ込むと、透明感あふれる、目にも鮮やかで爽やかな色のゼリーが姿を現しました。
あとは、冷蔵庫でしっかりと冷えれば完成です!
自分たちが育てた農産物が、技術の手によって美味しい食品へと形を変える。
そんな「ものづくり」の喜びと達成感を、生徒たちはキラキラとした表情で肌で感じていました。
【おまけの1コマ:昨日見上げた空に】
最後に、ちょっと素敵なエピソードを。
昨日の夜19時頃、一日の実習や実務を終えて「さあ帰宅しよう」とふと空を見上げると、そこには驚くほど大きくて綺麗な虹が架かっていました。
夕暮れの空に静かに輝く虹のアーチを見つめていると、一日の疲れもすっと溶けていくようでした。
このブログを読んでくださっている皆さまにも、なにか良いことが起こりますように。
【芦高図書館の何気ない日常の様子や読書活動の記録です。】
梅雨の合間の晴れた日、図書館での様子。
もうすぐ定期考査、勉強の息抜きに本を見にきたり友達と談笑する生徒たち。
放課後はまた試験勉強に集中…!
図書館の使い方が上手な生徒たちです。
せっかくの土曜日、心地よい休みの朝。
そんな日にもかかわらず、農業科の教室には熱心に机に向かう生徒たちの姿がありました。
先日6日(土)に行われたのは、農業科2年生による「フラワーアレンジメント講習会」。
休日であるにもかかわらず、7名もの熱意ある希望者が実習に参加してくれました。
【静けさと戸惑いから】
今回は外部から専門の講師の先生をお招きし、本格的なアレンジメント作成に挑戦しました。
まずは黒板の前で、先生によるデモンストレーションからスタート。
普段の授業とはまた一味違うプロの技を前に、生徒たちの視線も自然と引き込まれていきます。
しかし、いざ自分の机に戻り、目の前の真っ新なオアシス(吸水スポンジ)と大きな百合の花を前にすると、教室は一転して静まり返ります。
「本当にここにハサミを入れていいのかな……」
「どっちを向かせたら正解なんだろう」
ハサミを持ったまま「どう動くべきか」と、隣の席の様子をそっと覗き見ながら、最初の一歩を探る生徒たち。
そんな手探りの静けさから、実習は始まりました。
【先生の声掛けが導く、花との対話と広がる笑顔】
そんな戸惑いの空気を変えたのは、講師の先生が一人ひとりの席を丁寧に回りながら掛けてくださる、温かく具体的なアドバイスでした。
先生は生徒たちの手元にそっと寄り添いながら、大切なポイントを語りかけます。
「花の顔が見えるように挿してごらん」
「ここのスペースを埋めるようにしてみようか」
「全体の線を意識しよう」
それぞれの進み具合に合わせた的確な指導に背中を押され、生徒たちの表情がふっと和らぎます。
ヒマワリの鮮やかな黄色、ユリの高貴な白、そしてバラの可憐なピンク――。
ただ「飾られた植物」だった花々が、自分の手で向きを変え、ハサミを入れるたびに、まるで意思を持ったように生き生きと輝き始めます。
「あ、この向きにすると、すごく綺麗に目が合う!」
一本一本の「花の顔」と向き合い、対話を重ねるうちに、先ほどまでの緊張はどこかへ消え去り、教室には自然と柔らかな笑顔と充実した会話が広がり始めました。
【咲き誇る、7人7色の個性】
最初は一本の茎を切るのにも緊張していた生徒たちでしたが、終盤には教室のあちこちから、達成感に満ち溢れたとびきりの笑顔がこぼれるようになりました。
「最初はどうすればいいかわからなかったけど、完成したものは想像以上に上出来!」
「難しく考えすぎないほうが良いかも知れない。」
「でも、やっぱり表現するって難しい。」
生徒たちの口から漏れた感想は、楽しさのなかにも、ものづくりの奥深さと真剣に向き合ったからこそ湧き出る、確かな手応えそのものでした。
用意された花材はみんな全く同じものです。
しかし、完成した作品はどれ一つとして同じものはありません。
ダイナミックに線を強調したもの、花々をぎゅっと凝縮させて華やかさを演出したもの。
まったく同じ花を使っても、生ける人の捉え方ひとつでこれほど表情が変わる――それこそがアレンジメントの面白さであり、先生のアドバイスを吸収しながら、それぞれの感性を爆発させた「7人7色」の見事な芸術が出揃いました。
休日を返上して自らの技術と感性を磨き上げた2年生の挑戦者たち。
最初は戸惑いながらも、今日、花と向き合って掴んだ「空間を見極める目」や「美しさを構成する力」は、これからの農業の学び、精度高まる未来の様々な場面で、きっと大いに活きるはずです。
暦の上では明日、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」を迎えます。
昨日4日には九州北部地方の梅雨入りが発表され、本日の芦北は体にまとわりつくような、ずっしりとした湿気に包まれています。
この重たい曇り空の下、農場では今月1日に1年生が「稲の播種(はしゅ)」を終えたばかりの苗が、梅雨の潤いを歓迎するようにしっとりと、瑞々しい青葉をのぞかせています。
この小さな緑の命が目指すのは、来る6月25日の「田植え」です。
実は昨年、現在の2年生たちが臨むはずだった田植えは、あいにくの天候不良により断念せざるを得ませんでした。
先輩たちが味わった自然の厳しさと悔しさを胸に、今年かける農業科の想いはひとしおです。
雨空を見上げながら、リベンジの田んぼへ向けて、今、着々と準備が進められています。
■ 挑む心、次なる学びの舞台へ
農場が静かに湿気を吸い込む一方で、校内は今、いつもとは違う緊張感と静かな熱気に包まれています。
来週6月11日からは、いよいよ第1回考査が始まります。
これまでは農場での実習をはじめ、身体を動かす新しい学びに汗を流してきた生徒たちですが、ここからは「机の上」というもうひとつの大切な試練へと挑むことになります。
独特の蒸し暑さのなか、放課後の教室や図書室では、互いに教え合いながら熱心にノートを広げる姿が見られるようになりました。
実習で培われたあのタフさと集中力を、今度はペンと教科書に注ぎ込み、一歩も引くことなく自分自身の学びに実直に向き合っています。
■ 実りへの確かな一歩
芒種の時期にまかれ、梅雨の濃い空気のなかで育つ種は、やがて大きな黄金色の穂へと育ちます。
今、試験勉強という目の前の課題に向かって、じっと机に向かい努力を重ねている生徒たちの姿もまた、全く同じです。
明日の芒種を前に、梅雨の湿気が万物を育むこの良き日に。
自分の限界に挑戦し、確かな実りを結ぼうとしている芦北高校の生徒たちを、農業科一同、心からのエールとともに応援しています。
「芒種」
託した種と、ひたむきな学びが、梅雨の季節を経て大きな実りとなることを願って。芦北高校より。
「全然違う! こっちめっちゃ酸っぱい!」
「こっちは味が濃く感じない?」
「私はAの方が好きかも」
本日、2年農業科の総合実習の教室。
机の上に並べられたのは、文字通り「見た目はそっくり」な2種類の「不知火(シラヌイ)」でした。
しかし、それを口に含んだ瞬間、生徒たちの表情は一変します。
飛び交うのは、戸惑いと興奮が入り混じった、リアルな五感の叫びでした。
この日行われたのは、カンキツ類の品種・系統特性を理解するための「ブラインド・テイスティング(試食調査)」。
芦北高校農業科に入学したからには、ただ「美味しい」と食べるだけでなく、その繊細な違いまで完璧に見極められる人になってほしい。
そんな願いが込められた、ちょっと意地悪で、最高にエキサイティングな実習の幕開けです。
【「普通」という逃げ道のない、4段階の審判】
用意された資料『品種食べ比べワークシート』に書かれたヒントは2つ。
熊本生まれで酸抜けが早く、まろやかな味わいの「肥の豊」。
そして、じっくり貯蔵することで濃厚なコクとパンチのある酸味を引き出す王道系統「M16A」。
・品種の違いブログはこちら:【 M16 知ればあなたも 目利きなり】
手渡されたワークシートに並ぶのは、果肉の着色、内皮の薄さ、酸味のマイルドさといった評価項目。
しかし、そこには「普通(どちらとも言えない)」という逃げ道は一切ありません。
「なるべく極端に評価したほうがいいぞ。正解はないから、自分の感覚を信じろ」という先生の声が教室に響きます。
ーーモグモグ……。
ーーごくり。
生徒たちは全神経を舌に集中させていきます。
ただの「おやつとしての試食」なら笑顔で終わるはずの時間。
しかし、栽培技術者としてのプライドが滲む生徒たちの横顔は、真剣そのものでした。
【「同じに見えて、ぜんぜん違う!」感覚の迷路】
一通り口に含んだあと、教室は静かな熱気に包まれました。
生徒たちは言葉を止め、それぞれのワークシートをじっと見つめながら、自分の感覚を言葉と数値に置き換える「深い熟慮」の時間へと沈み込んでいきます。
先ほどまでの口の中の様子をじっくりと思い出し、与えられた手がかりを一つずつ手繰り寄せる生徒たち。
「さっきの余韻は、肥の豊のまろやかさなのか、それともM16Aのコクなのか」
目の前のヒントと自分の記憶を何度も重ね合わせながら、自らの感覚を信じて、自分なりの答えをシートへと導き出していきます。
これこそが、生きた農産物を相手にする面白さであり、奥深さです。
迷う生徒たちに、先生が言葉を掛けます。
「正解はどっちでも良いんだよ。
当てること自体が大事なんじゃない。
同じに見えるものに確かな『違い』があることを知って、自分がどっちを好むかを見極めること。
その感覚を掴むことこそが大切なんだ」
生徒たちの口から漏れた感想は、まさに自分自身の身体を通して、農業科学のリアルな1ページをめくった証拠でした。
・「どちらも違うけど同じくらいおいしくて、また今度たくさん食べたいと思った。」
・「味は全然違ったが、見た目の色や果肉の様子などの違いはほとんどわからなかった。」
・「違いがはっきりしていてわかりやすかった。販売のときに活かしたい。」
【その一口の記憶が、未来の「プロの目」を育てる】
ドキドキの正解発表の瞬間にあがった歓声と悔しがるの声。
その後の先生の講評。
「不知火」は、樹の上や貯蔵庫の中で、時間が経ち「酸が抜ける」ごとに、その時期その時期によって味わいが変化していきます。
その変化のスピードや味の引き締まり方が系統によって異なるからこそ、カンキツ栽培は奥が深く、面白いのです。
自分たちが普段、実習園地で何気なく触れている「不知火」の一玉一玉に、どれほど緻密な生き物のドラマが詰まっているのかを、生徒たちは静かに聞き入っていました。
この「系統の違い」を身体で覚えるチャンスも、果実が実るこの季節だけの、限られた貴重な瞬間です。
一度の試食で、すべてを見通せるプロになれるわけではありません。
しかし、今日生徒たちの心に植え付けられた「なぜこんなに味が違うのだろう?」という探究の種は、これからの収穫や貯蔵管理の実習で、必ず「見る目」を変える力になります。
「美味しい」の先にある、自然の複雑さと、それをコントロールする人間の技術の凄みに感動すること。
芦北高校農業科では、こうした五感をフルに使うリアルな学びを通して、未来の農業を支える確かな知恵を「創造」しています。
実習が終わり、片付けられた教室には、かすかに甘酸っぱい「不知火」の残香が漂っていました。
「違いのわかる技術者」への第一歩を踏み出した2年生。
彼らが育てる次の実りが、今から楽しみです。
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