学校生活(芦高ブログ)

カテゴリ:農業科

鉛筆 結び吊り 黄色く染まる その日まで

 本日の農業科2年生「総合実習」は、ハウス内での「不知火(しらぬい)」の枝吊り実習です

 果実が順調に肥大してくると、その重みで枝がぐんぐんと垂れ下がってきます。

 そのままにしておくと、最悪の場合は枝が折れてしまうことも……。

 そこで、ハウスの上に張り巡らされたワイヤーから麻紐を伸ばし、果実のついた枝を吊り上げて支える技術を学びます。

 

【プロの技「一工夫」を体得する】

 キュッ、シュッ。

 一見、ただ紐を結んでいるだけのように見えますが、実はここに必要なのが農業科ならではの「一工夫」です。

  ・果実の成長に合わせて「高さ調整」が簡単にできること

  ・果実を傷つけず、でもしっかり固定できること

  ・収穫後の「撤去」のときに、サッと簡単に解けること

 2年生たち、この結び方を夏休みの間に実習室内で何度も何度も繰り返し練習してきました。

 指先が覚えるまで叩き込んだあの成果を、現場の実習で発揮する時がまさに今です。

 

【指先に込める、未来の収穫への想い】

 「よし、この高さでバッチリ!」

 手元に集中しながら、一本一本の枝と丁寧に向き合う生徒たち。

 夏休みに実習室でトレーニングを重ねていた姿から一転、実際のハウス内で迷いなくサクサクと結び目を作っていく姿には、頼もしい成長が感じられます。

 

【見事な黄色に染まるその日まで】

 枝を吊り上げてもらい、どこか誇らしげに青空に向かって持ち上がった「不知火」の果実たち。

 しかし、本格的な収穫はまだまだ先です。

 これから秋を越し、緑色の果実が鮮やかな黄色へと色づき、甘みが乗った見事な果実に育つまで。

 生徒たちの手による細やかな管理実習は、これからも続いていきます。

 自分たちの手でしっかり支えた「不知火」

 最高の収穫期を迎えるのが今から楽しみです。

鉛筆 一瓶に 詰める成長 一歩ずつ

 本日の農業科2年生の「食品製造」は、実習室で「イチゴとブルーベリーのミックスジャム」製造に挑戦です!

 実習に入る前の全体説明では、先日教室の座学で学んだ「ゲル化の三要素(糖度・酸度・ペクチン)」について、振り返りました。

 めざす目標糖度は60度。

 理論で学んだ知識が、いよいよ目の前の実習とつながっていきます。

 

【一滴一滴に込める緊張感】

 全体説明を終えたら、充填作業へ。

 熱々のジャムを扱うのは、2年生にとって今回が初めての実習です。

 微調整の基準は「ビンの首まで確実に入っているか」

 少なすぎても多すぎてもいけないため、目の前の瓶をじっと見つめながら「あと数ミリ……!」と慎重にスプーンを動かします。

 熱い瓶をこぼさないよう丁寧に拭き上げる手元には、心地よい緊張感が漂います。

 

【密閉直前!最後の最後まで手抜きなし】

 いよいよ最終段階、キャップを締める「密閉」の工程へ。

 ここでしっかりチェックすると、中にはほんの少しだけ量が足りず、急遽ジャムを注ぎ足して微調整する瓶もいくつかありました。

 「もうちょっと足そう!」

 「よし、これで首までピッタリ!」

 最高のジャムを届けるため、最後の1瓶まで妥協せず、声を掛け合いながら丁寧に仕上げていきます。

 

【未来の名人に育つ日まで】

 そんな2年生の奮闘を見守りながら、ふと頭をよぎったのは、以前投稿した先輩たち(現3年生)の手際の良さでした。

 

 過去のブログはこちら→「共に行く 地域と歩む この一歩」

 

 無駄のない動きでテキパキと実習を進める先輩たちも、最初から完璧だったわけではありません。

 今日の2年生のように、座学の知識を現場で試し、量の加減に悩み、注ぎ足しながら一歩ずつプロの技術を身につけてきたのです。

 教室で学んだ知識が、今日の手探りの実習を通して一つひとつ自分の技術へと昇華していきます。

 先輩たちの背中を追いかけながら、ここからどんどんレベルアップしていこう、2年生!

鉛筆 鉄パイプ 打ち込み挑む 知恵比べ

 昨日の1限目、農業科3年生の「課題研究(果樹班)」での出来事です。

 

 「獣害から果樹園を守る」をテーマに掲げる彼らが、日課である果樹園の見回りのため坂道を登っていたときのこと。

 

 「あれ……? ネット倒れてない?」

 「あっ……!」

 目の前に広がっていたのは、見事に倒された露地不知火園のネットでした。

 

【現場に残されたくっきりと重い痕跡】

 ゾクッ……。

 一歩園地に足を踏み入れると、異変はすぐに分かりました。

 足元には無数の鹿のフン。

 さらに不知火の木を観察すると、鹿の口が届く高さの葉が見事に削ぎ落とされ、綺麗な「ディアライン(鹿の採食線)」が出来上がっていたのです。

 

「これがあいつらのやり方かぁ〜〜!」

 

 被害の大きさに驚きつつも、即座に対応策会議をスタート。

 まずは設置していた自動撮影カメラの位置を変更して犯人を特定することにし、本格的な復旧作業は翌日の課題研究で行うことに決定しました。

 

【深夜1:38、カメラが捉えた犯人!】

 カシャリ。

 翌朝、回収した自動撮影カメラのデータをチェックすると……そこには深夜1:38、暗闇の中で堂々とたたずむ「鹿」の姿がくっきりと写っていました。

 

 犯人確定です!

 

 「絶対にこれ以上侵入させない!」

 生徒たちのエンジンが一気に回ります。

 

【即行動!廃材を活かした補修作業】

 ビィーン、ガツン!

 早速、廃材の鉄パイプをカットし、倒れたネットを補修しながら頑丈な支柱を追加していきます。

 支柱作成や杭打ちも、これまでの実習で鍛えたチームワークで手際よく進め、ひとまず鹿が入らないよう防御陣形を完成させました。

【戦いは、ここからが本番!】

 物理的な防御は一旦完了しましたが、これで終わりではありません。

 今後は「音」「匂い」など、どうやって鹿を遠ざけるか(忌避対策)の実証実験に入っていきます。

 相手は山の野生動物。

 一筋縄ではいきませんが、自分たちの「不知火」を守るため、そして課題研究を成功させるため!

 果樹班と鹿との知恵比べ、まだまだ熱い戦いは続きそうです!

鉛筆 重ねる手 夢も膨らむ メロンパン

 本日の農業科3年生「食品製造」は、実習室全体が甘〜い香りに包まれる人気メニュー、「メロンパン」製造です。

 これまで何度も作ってきた基本の丸パン。

 今回はその上にサクサクのクッキー生地を被せ、格子模様を入れて焼き上げます。

 実習自体はとっても楽しくてワクワクするものですが……実はこのメロンパン、これまでのパン作りとは一味も二味も違います。

 

【楽しさの裏に、計算されたプロの技】

 ペタッ、サクッ、パラパラッ。

 クッキー生地の大きさや形、手の熱でダレない絶妙な温度管理、そして全体を包み込む丁寧な手つき。

 さらに、仕上げのグラニュー糖のまぶし方ひとつで、見た目も食感もガラリと変わります。

 声を掛け合いながら成形していく時間は、やっぱり製パン実習ならではの楽しさ。

 こうやって一つずつコツを掴むたび、確実にレベルアップしていきます!

 

【目の色が変わった!勝負の夏】

 しかし、ふと生徒たちの手元や表情に目をやると……いつにも増して、真剣そのもの!

 現在、3年生はまさに就職活動の真っ只中。

 来年4月から実際に「食品製造」の現場へ飛び込もうとしている生徒もいます。

 自分の将来がリアルに見えてきた今、実習に向き合う「目の色」が完全に変わってきました。

 

 「もっと上手くなりたい」

 「一発で綺麗な形にしたい」

 ——その真っ直ぐな想いが、手先の集中力に現れています。

 

【取材の特権!焼き立てをいただきます】

 サクッ……フワッ! というわけで、取材の特権(?)として焼き立てを1つ試食させてもらいました。

 ……はい、文句なしのメチャウマです!

 外側のクッキー生地は香ばしくサクサク、中のパンは驚くほどふんわり。

 絶妙な温度管理と丁寧な成形が、そのままこの最高の食感に表れています。

 作る楽しさを全力で味わいながら、自分の未来へ向かって本気で挑む3年生。

 見事に焼き上がったこのメロンパンのように、みんなの夢もでっかく膨らむよう、全力で応援しています!

鉛筆 雨ならば 雨の仕事を 黙黙と

 気がつけば、前回の投稿から一ヶ月が過ぎていました……!

 連日の猛暑から一転、本日はあいにくの雨。

 外での実習はストップですが、天気と喧嘩してもしょうがない!

 雨には雨の日の、やることがあります。

 

 というわけで、農業科3年生の果樹専攻生たちは実習室へ集合。

 今日は絶好の「刈払機メンテナンス日和」として、日頃お世話になっている相棒たちを徹底的に手入れすることにしました。

 

【相棒への感謝を込めて、フルコース】

 シャカシャカ、キュッ。

 まずはエンジンの呼吸を支える「エアフィルタ」や、綺麗な燃料を送る「燃料フィルタ」の清掃からスタート。

 溜まった汚れを淡々と払い落としていきます。

 続いて、エンジンの心臓部である「スパークプラグ」

 煤(すす)で真っ黒になった先端を丹念に磨き上げ、力強い火花が飛ぶように復活させます。

 

【見えない場所こそ、手抜きなし】

 ニュルッ。

 ギヤケースへ新しい「グリス」をしっかり注入。

 さらに作業効率を左右する「ナイロンコード」の巻き替えです。

 絡まないよう手元に集中し、均一な力加減でくるくる、パチッとセットしていきます。

 雨音だけが響く実習室で、各自が黙々と機械と向き合う静かな熱気が心地よい時間です。

 

【次の青空の下へ向けて】

 すべてのメニューを終え、最後はエンジン始動。

 ブォン、ブォーン!

 実習室に響き渡る力強い排気音。

 相棒たちも「いつでもいけるぞ」と言わんばかりに息を吹き返しました。

 雨が上がれば、また容赦ない草刈りとの戦いが始まります。

 でも大丈夫。

 雨の日に自分たちの手でしっかり仕立て上げた相棒たちが、次の晴れ舞台で最高の仕事をしてくれるはずです。

 雨は雨なりに、やることやって準備万端。

 チーム果樹、いつでも出動OKです!

鉛筆 大暑の陽 ヤシは無くとも アオハルか

 本日7月23日は、二十四節気の「大暑(たいしょ)」です。

 快晴の空を見上げれば、見事なまでに突き抜ける青い空、モクモクと湧き立つ白い雲、そして容赦なく照りつける太陽。

 あとは揺れるヤシの木と白い砂浜さえ揃えば、まるで南国のビーチのようなロケーションですが、ここは芦北高校の農場です。

 

 学校は夏休みに入りましたが、校内や農場は今も生徒たちの元気な声と活気に満ちあふれています。

 

■ 操縦レバーを握り、未来を拓く挑戦

 農場の一角では、「小型車両系建設機械」の特別講習が行われていました。

 重厚なエンジン音とともに、真剣な眼差しで機械に向き合う生徒たち。

 受講した生徒からは、「思った以上に揺れます!でも、操作には自信があります!」という何とも頼もしい声を聞かせてくれました。

 ただ座って学ぶだけでなく、実際に自らの手で重機を動かし、身体で感覚を覚えていく。

 こうした実用的な資格取得や技術の習得に汗を流す姿は、まさに農業高校ならではの力強い夏の風景です。

 

■ 明後日の体験入学へ。心を込めたおもてなし

 外の農場が熱気に包まれる一方、食品製造実習室のなかでも熱い準備が進められていました。

 生徒たちが取り組んでいるのは、明後日に控えた「体験入学」の準備です。

 実習室の隅々まで行き届いた徹底的な清掃をはじめ、中学生たちが迎える体験活動のセッティングなど、準備に追われる生徒たち。

 自分たちが学んできた楽しさや魅力を「少しでも中学生に伝えたい」「楽しんでもらいたい」という一心で、細かなところまで心を配りながら作業に励んでいます。

 

■ 汗の数だけ、成長する夏

 その他にも、草花や果樹の各専攻の生徒たちが「時間外総合実習」のために登校し、太陽の下で爽やかな汗を流しています。

 大暑という一年で最も暑い時期に、自らの成長のために学び、誰かの笑顔のために準備を重ねる生徒たち。

 厳しい暑さに負けず、ひたむきに汗を流すその一瞬一瞬が、彼らの未来を照らすかけがえのない経験へと変わっていきます。

 明後日、芦北高校の門をくぐる中学生のみなさんを、最高の笑顔と準備でお迎えします。

 暑さのなかでも輝きを放ち続ける生徒たちの成長を、農業科一同、これからも温かく見守り、応援していきます。

 

「大暑」

 照りつける太陽のもと、資格取得や後輩を迎える準備に汗を流す、生徒たちの頼もしく輝かしい夏。芦北高校より。

鉛筆 高所でも 安全第一 果樹専攻

 ジリジリ、ピカーッ!

 長かった梅雨がようやく明け、青空から強烈な太陽が照りつける本格的な夏がやってきました。

 気温はぐんぐん上昇し、果樹専攻が管理する「不知火」のハウス内は、なんと40℃を超えることも……!

 このままでは「不知火」も、私たち人間もバテてしまいます。

 そこで本日の実習は、ハウスの天井ビニールを巻き上げて一気に換気する大作戦を決行しました。

 

【油断大敵!ハウスの上の大仕事】

 するする、ギュッ。

 まずはハウスをがっちり固定しているバンドを緩め、大きなビニールを最上部まで巻き上げていきます。

 写真の通り、ハウスのてっぺんへ登っての非常に高い場所での実習です。

 一歩間違えれば大怪我に繋がるため、一瞬の油断も許されません。

 全員が細心の注意を払い、神経を研ぎ澄ませます。

 

【響き渡る声、安全第一のチームワーク】

 高所と地上でガッチリとタッグを組み、声を掛け合いながら進めます。

 「結んだかぁい!」

 「巻き上げまぁす!」

 「バンド締めるよぉ!」

 元気な声が夏の青空に響き渡り、お互いの安全を確認しながら、無事に全てのビニール巻き上げを終えることができました。

 

【10月まで、ここからは開けっ放し!】

 これでハウスの天井は防鳥ネットだけになり、中にスーッと心地よい風が通り抜けるようになりました。

 次にこのビニールを閉めるのは、涼しくなる10月以降。

 それまでの長い夏の間、ハウスは実質「開けっ放し」の状態になります。

 これで「不知火」たちも、厳しい夏の暑さをしのぎながら、のびのびと大きくなってくれるはずです。

 

【体調第一!ミストでクールダウン】

 実習室には暑さ対策のため「ミスト」が設置されています。

 シュワーッと吹き出す冷たい霧が、火照った体に最高の癒やしをくれます。

 「生き返る〜!」と思わず笑顔がこぼれる大活躍のスポットです。

 

 「不知火」も自分たちも、暑すぎるのはちょっと苦手。

 これからも「体調第一・安全第一」をモットーに、この熱い夏を果樹専攻生一丸となって乗り切っていきます。

鉛筆 最終日 先生の笑顔 忘れない

 教育実習の最終日に、実習生の先生とクラス全員で記念撮影をしました。

 この数週間、共に学び、笑い、過ごした時間は、生徒たちにとってかけがえのない思い出となりました。

 

 

 K先生、熱心なご指導とたくさんの笑顔を本当にありがとうございました。

 チーム農業科一同、先生のこれからのご活躍を心より応援しています!

鉛筆 ひたむきな 姿が照らす 我が初心

 「パン製造で、ガス抜きをする目的は何だと思いますか?」

 教室に響く、少し緊張しながらも通る声。

 本日、教育実習生のK先生による研究授業が行われました。

 テーマは「パンの製造工程の意味」です。

 

 授業の冒頭、生徒たちに投げかけられたこの一つの問いから、教室の空気がガラリと変わりました。

 対象となったのは、先日実施した惣菜パン「ハムマヨパン」の製造工程。

 普段の調理や食べる時には「なんとなく」通り過ぎてしまう工程の裏側にある一つひとつの意味へと、生徒たちの思考を誘導していきます。

 

【疑問を置き去りにしない、丁寧なアプローチ】

 普段私たちが何気なく選んでいるパン。

 K先生は、生徒たちが日々感じる「パンを選ぶ基準」や、工程のなかで生まれる小さな疑問を、授業の中でひとつひとつ丁寧に拾い上げていきました。

 生徒たちが直感的に理解できるよう工夫されたワークシートの作成、どこに何を書き、どう見せるかが計算され尽くした板書計画。

 そのどれをとっても、「どうすれば生徒に伝わるか」を考え抜き、準備してきたK先生の真摯な気持ちが溢れていました。

 

【授業を終えて――それぞれの声】

 授業後、大役を終えたK先生と、授業を受けた生徒たちに感想を聞いてみました。

 K先生のコメント:「とにかく緊張しました。時間配分が難しかったです……!」

 時間内にすべての内容を収める難しさは、プロの教員でも毎日向き合う壁。

 真剣に授業と向き合ったからこその、本音の感想を漏らしてくれました。

 しかし、その努力は生徒たちに100%届いていたようです。

 生徒たちのコメント:「説明がすごくわかりやすかったです!」

           「黒板の書き方のバランスが良くて、字も大きくて見やすかったです」

 

【同じ職員室の仲間として、感謝を込めて】

 この2週間、私たち農業科の職員は、同じ職員室でK先生と共に時間を過ごしてきました。

 遅くまで机に向かい、授業に対してどこまでも真摯に向き合う姿。

 「生徒の気持ちを第一に考えよう」と、何度も頭を悩ませながら教材研究に没頭する姿を、私たちはすぐ隣でずっと見てきました。

 K先生のその真っ直ぐでひたむきな姿は、私たち農業科職員にとっても、「自分たちの普段の授業はどうか」「生徒にこれほど真剣に向き合えているか」と、自らの姿勢を見直す素晴らしい機会をくれました。

 K先生、本当にありがとうございました。

 母校の教壇で見せたその確かな一歩を、チーム農業科一同、これからもずっと応援しています。

鉛筆 こねる手に ナポリの風が 吹く実習

 

 本日3・4限目、農業科2年生の「食品製造」の授業。

 今日のブログのタイトルと、ここからお送りする製造工程の写真を見て、生徒たちが一体「何を作っているのか」、ぜひ画面の前で予想しながらご覧ください!

 

 一見、よくある美味しそうな料理ですが、実は「小麦粉のグルテン形成」「酵母菌(イースト)の発酵特性」を体感で学ぶ、農業科ならではの本格的な実習の記録です。

 

【前編:職人の技と、ミクロの科学】

1.まずは先生の説明を真剣に聞きます。

(仕上がりの食感を左右する、重要なポイントを頭に叩き込みます)

 

2.材料を正確に計量。

(食品製造において、1グラムの誤差は命取り。慎重に測ります)

 

3.ボウルに入れて、均一に混ぜ合わせます。

 

4.ここからが力仕事!まずは優しくこねる。

 

5.さらに全体重をかけて、力強くこねる!

(こねることで小麦粉のタンパク質が結合し、網目状の「グルテン」が形成され弾力とツヤが!)

 

6.丸めてラップに包み、しばらく寝かせます。

 

【後編:目の前で起きる、生命の神秘】

7.生地を休ませている間に、次の「盛り付け」の説明を聞きます。

 

8.……と、説明を聞いている間に、ラップがパンパンに膨らんでる!?

(これぞイースト菌の力!生地の中で二酸化炭素を発生させている証拠です。)

 

9.発酵した生地を、薄くまるく成形します。

 

10.ソースを均一に塗って……

 

11.彩り豊かな具材を、焼き上がりを計算しながら乗せていきます。

 

12.オーブンに入れて、高温で一気に15分!

 

【運命の正解発表!!】

13.焼き上がりました!

 正解は、タイトル通り「ナポリ風ピザ」でした!

 

 外はカリッと香ばしく、中は驚くほどモチモチ。

 小麦粉の性質を知り、微生物の手を借りることで、ただの粉がこれほど美味しい「食品」へと姿を変える。

 これこそが食品製造の醍醐味であり、面白さです。

 

14.学びの成果が詰まった、世界に一枚だけの特製ピザが完成です!

 

【おうちに持って帰ります!】

 こうして焼き上がった最高のピザは、本日生徒たちが自宅へと持ち帰っています。

 自分たちで粉から、科学の力を借りて一生懸命に作った自慢の味。

 今夜はぜひ、ご家庭で今日の頑張りや学びの話を聞きながら、召し上がってください。

 それでは皆様、家族みんなで――

 

 「ブォナッペティート(召し上がれ)!」

 

鉛筆 小暑の日 夏空仰ぎ 夢を祈(こ)う

 本日7月7日は、二十四節気の「小暑(しょうしょ)」です。

 文字通り、いよいよ本格的な夏の暑さが始まる節目の日。

 そして、誰もが夜空を見上げ、星に願いを託す「七夕(たなばた)」でもあります。

 ここ最近は重たい梅雨空が立ち込め、しとしとと雨が降り続く日が続いていましたが、今日は朝から一転、突き抜けるような青空と、力強い夏の白い雲が広がりました。

 待ち望んだ晴天ではありますが、一気に気温も湿度も上昇。

 ふと足元を見れば、ひまわりの黄色い花が咲き誇り、蜜蜂が忙しそうに飛び回るなど、農場はすっかり夏の装いです。

 この急激な暑さは、外で活動する生徒たちにとっては身体に堪える非常に厳しい試練の始まりでもあります。

 

■ 暑さに負けず、農場で流すひたむきな汗

 そんな過酷な暑さの中でも、農業科の生徒たちは決して歩みを止めません。

 本日、果樹専攻の生徒たちは、照りつける太陽のもとで果樹園の草刈り実習に奔走しました。

 草むした地面を、集中力を切らさずに一台一台丁寧に刈り進めていく作業は、体力的にも本当にタフな実習です。

 しかし、すべては育てている命に豊かな栄養を行き渡らせるため。

 生徒たちが大汗をかきながら実習に励むその傍らでは、期待のメロン「肥後グリーン」がネットをくっきりと浮き立たせて丸々と大きく実り、柑橘の「不知火」も青々とした力強い果実を太らせています。

 また、温室の中では次の季節を待つシクラメンの瑞々しい緑の葉が、一鉢一鉢丁寧に整えられていました。

 生徒たちの流した汗は、確実に農場の植物たちの生命力へと変わっています。

 

■ 天の川に想いを馳せ、それぞれの夢の舞台へ

 実習でしっかりと汗を流した放課後、校内では七夕の心温まる風景が広がっていました。

 図書室前の黒板には、彦星と織姫、そして夜空に流れる天の川を描いた見事な黒板アートが施され、紀友則(きのとものり)の歌が美しく添えられています。

「あまの河 あさ瀬しら波 たどりつつ 渡りはてねば 明けぞしにける」


 黒板に書かれたその言葉のように、高校生活の限られた時間は、夢中になって走っているとあっという間に過ぎ去ってしまうものです。

 だからこそ、今という時間を大切に、自分の「将来の夢」や目標に向かって一歩一歩、実直に突き進んでほしいと願っています。

 梅雨を耐え抜き、今日の強い光を浴びて一段と色濃くなった農場の緑のように、生徒たちがこの試練の夏を超えて、自らの手で大きな未来を切り拓いていくことを信じています。

 星が輝く今夜、芦北高校の生徒たちのすべての願いや挑戦が天に届き、それぞれの夢が豊かな実りを結びますよう、農業科一同、これからも見守り、全力で応援しています。

 

「小暑」

 「七夕」を迎えて 一転した夏空のもと、命のきらめきと、自らの夢に向かって汗を流す生徒たちのひたむきな姿に未来を重ねて。芦北高校より。

鉛筆 先輩の 言葉が照らす 道しるべ

 「学校とバイトのバランスはどう取っていますか?」

 「ひとり暮らしって、やっぱり難しいですか?」

 「進路を決めるときに、一番大事にしていたことは何ですか?」

 質疑応答の時間に入った瞬間、学年を問わず、次々と手が上がりました。

 生活費のリアルなお金の話から入試対策まで、生徒たちから溢れ出す等身大の質問の数々。

 これほど多くの質問が飛び交ったのは、生徒たちがただ聞いていただけではなく、自分の未来を重ね合わせ、それだけ強い興味を持って先輩の話に耳を傾けていた証拠です。

 本日6限目、現在教育実習生として来られている本校卒業生のK先生による、「卒業生講話」を開催しました。

 

【担任の粋な企画で、農業科が全員集結!】

 この講話を企画したのは、K先生の高校在学時に担任だったM先生です。

 先生の熱い呼びかけに応え、農業科の1〜3年生全員が視聴覚室に大集結。

 

【芦高から大学へ。先輩が歩んだリアルな軌跡】

 講話のなかで、K先生は自身の経験をもとに、生徒たちの未来に直結するたくさんのお話をしてくださいました。

 ・芦高への入学のきっかけ

 ・在学時に熱中したこと(フラワーアレンジメントや農業鑑定競技への挑戦)

 ・進路決定までのプロセス(担任の先生からの声掛けや、試験に向けた取り組み)

 ・大学で専門的に学んでいること(造園や栽培について)

 さらに、高校生が一番気になっている「大学生活のリアル」についても、ひとり暮らしの工夫やアルバイト、現在の就職活動の様子まで、包み隠さず語ってくださいました。

 

「やりたいことがない」と悩む後輩たちへ】

 進路に迷う後輩たちに向けて、K先生が送ってくれたアドバイスは、心に深く刺さるものでした。

 「進路を選ぶために、まずは資格や経験をたくさん積んで選択肢を広げてほしい。そして、周囲への感謝を伝えることを忘れないでください」


また、「将来やりたいことがまだ見つからない」という生徒に対しては、

 「『これならちょっとやれそうかな』ということから始めてみればいい。自分のペースで『自分なりにはだいぶ良い方だな』と思える選択をしていけば大丈夫」

 という、優しく背中を押してくれる言葉をかけてもらい、生徒たちは真剣な表情で深くうなずいていました。

 

【濃密な時間への感謝】

 年齢が近い「先輩」だからこそ、どの言葉も説得力があり、生徒たちにとっては進路パンフレットを読むよりも何倍も大きな刺激になったはずです。

 どんな質問にも笑顔で、かつ丁寧に答えてくれたK先生の姿勢からは、後輩への温かいエールが溢れていました。

 企画してくださったM先生、そして本音で語ってくれたK先生、本当にありがとうございました。

 この講話を聞いた生徒たちが、これからどんな進路を選び、どんな風に挑戦していくのか、今からとても楽しみです。

鉛筆 後輩に 技とエールを 届ける日

 農業科3年、草花の授業。

 ふと見ると、生徒に混じって、見慣れない職員の姿。

 6月29日から本校農業科に教育実習生としてやってきた、卒業生の「K先生」です。

 

【頼もしい実績を持つ卒業生】

 K先生は高校在学時、課題研究で草花を選択し、土日も惜しまず技術を磨いてフラワーアレンジの全国大会に出場した経験を持っています。

 素人の私が「これは何の葉っぱですか?」と聞くと、迷うことなく「レザーファンです」と即答。

 流石の一言です。

 その知識と技術は、卒業してからも全く衰えていません。

 実習中、手こずっている生徒を見つけると、サッと隣に寄り添って優しくアドバイスをされていました。

 

 すでに先生らしい温かい眼差しで指導する姿に、生徒たちも真剣な表情で耳を傾けていました。

 

【授業だけじゃない、教員のリアルを学ぶ2週間】

 実習の舞台は実習室だけではありません。

 職員室では、指導教師の先生と2週間のびっしり詰まったスケジュールを確認していました。

 授業見学や教材研究はもちろん、教務の仕事や生徒指導のあり方など、学ぶべき内容は多岐にわたります。

 教科書を開くだけでは分からない、学校現場の「リアル」を肌で感じる、非常に濃い2週間になりそうです。

 

【充実した実習になりますように!】

 3日には最初の授業実施、そして来週には実習の集大成となる「食品製造」の研究授業も控えています。

 教える側として母校の教壇に立つ緊張と喜び。

 K先生にとっても、農業科の生徒たちにとっても、これ以上ないほど充実した時間になりますように!

 チーム農業科、全力で応援しています!

 

【今日の一枚】

 先輩の技を、まさかの方法で吸収!?

 K先生の熱心な指導が続く、3年生の草花実習。

 カメラを向けるとポーズを取ってくれました。

 K先生、個性が爆発する楽しい後輩たちですが、2週間どうぞよろしくお願いします!

鉛筆 Tasting the Difference Today, Selling with Confidence Tomorrow

Global Series Vol. 6:Ashikita Senses

[JP]

 芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。

 私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。

 第6回は、6月4日の「2年生・果樹総合実習(不知火のブラインド・テイスティング)」の記録です。

 [Global Series Vol. 5:The Chemistry of Baking and Respect for Professionals はこちら]

 

[EN]

Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 6: Sophomore Fruit Tree Practice — Shiranui Blind Tasting (Jun 4th).

[Click here for Global Series Vol. 5:The Chemistry of Baking and Respect for Professionals]

 

— Sophomore Fruit Tree Practice: Unlocking the Secrets of Shiranui Through a Blind Tasting —

"It’s totally different! This one is so sour!"

"Don't you think this one has a richer flavor?"

"I think I prefer Option A!"

 

Today, the classroom for our second-year Agricultural Department students was buzzing. Arranged on the desks were two types of "Shiranui" citrus that looked absolutely identical. However, the moment the students tasted them, their expressions changed completely. The room filled with the raw, sensory exclamations of mixed confusion and excitement.

This lesson featured a "blind tasting" designed to help students understand the unique characteristics of different citrus varieties and strains. As students of Ashikita Agricultural High School, we want them to do more than just eat and say "delicious"—we want them to become experts who can discern the most subtle differences. This marked the beginning of a slightly challenging yet highly exciting practical lesson born from that very wish.

 

■ The Four-Stage Judgment: No Easy Way Out

The "Variety Tasting Worksheet" provided two clues: "Hinoyutaka," born in Kumamoto, known for its quick reduction in acidity and a mellow flavor; and "M16A," a classic strain that develops a deep richness and a punchy acidity through careful storage. 

The worksheet listed specific evaluation items, such as the color of the pulp, the thinness of the inner skin, and the mildness of the acidity. Crucially, there was no option for "average" or "neutral." The teacher's voice echoed through the room: "Try to make your evaluations definitive. There is no single right answer, so trust your own senses."

Munch, munch... Gulp.

The students focused all their energy on their taste buds. If this were just an ordinary snack time, it would have ended with simple smiles. However, the profiles of these students—showing the burgeoning pride of future growers—were intensely serious.

 

■ Lost in a Maze of Senses "They Look the Same, But Taste Completely Different!"

After the initial tasting, a quiet passion enveloped the classroom. The students grew quiet, staring intently at their worksheets, sinking into deep reflection as they translated their sensations into words and numbers.

Carefully recalling the flavors lingering in their mouths, they pieced the clues together one by one. "Was that aftertaste the mellowness of Hinoyutaka, or the richness of M16A?" Comparing their memories with the hints before them, they trusted their intuition to guide them to their own answers. This is precisely what makes working with living agricultural products so fascinating and profound. Seeing the students hesitate, the teacher offered some guidance:

"The correct answer doesn't matter. It’s not about guessing right. What matters is knowing that a clear 'difference' exists in things that look identical, and discovering which one you prefer. Catching that feeling is the real goal."

The feedback from the students proved that they had turned a real page of agricultural science through their own physical experiences:

"They were different, but both were so delicious that I want to eat a lot more next time."
"The flavors were completely different, but I could barely see any difference in the color or the appearance of the pulp."
"The difference was clear and easy to understand. I want to utilize this knowledge when selling them."

■ A Single Bite Nurtures the "Eyes of a Professional" for Tomorrow

Cheers of excitement and groans of frustration erupted the moment the correct answers were revealed, followed by the teacher's commentary. As time passes on the tree or in the storage facility, the acidity of the Shiranui citrus decreases, causing its flavor to evolve period by period. Because the speed of this change and the sharpness of the flavor vary by strain, citrus cultivation is incredibly deep and interesting. The students listened quietly, discovering how much intricate natural drama is packed into every single Shiranui fruit they normally handle without a second thought in the orchard.

This opportunity to learn the differences between strains through physical experience is a precious moment limited only to this fruiting season. A single tasting session will not instantly turn them into all-knowing professionals. However, the seed of inquiry planted in their hearts today—"Why do they taste so different?"—will undoubtedly transform the way they look at things during future harvest and storage management practices.

Being moved by the complexity of nature beyond just "tasty," and by the incredible human skill required to master it—this is how Ashikita Agricultural High School "creates" dependable wisdom for the future of agriculture through real learning that engages all five senses. As the lesson concluded and the room was cleared, a faint, sweet-and-sour aroma of Shiranui lingered in the air. Having taken their first step toward becoming "growers who know the difference," we are already looking forward to the next harvest these sophomores will raise.

 

鉛筆 泥のなか 歓声響く 青空へ

 「わあ!」

 「冷たーーい!」

 

 本日5、6限目、1年生の「農業と環境」の授業で、待ちに待った田植え実習を行いました。

 裸足になって、おそるおそる水田へと足を踏み入れる生徒たち。

 一歩進むたびに、足の指の間をニュルッと抜けていく泥のなんとも言えない不思議な感触に、あちこちから大きな歓声(と悲鳴!?)が湧き上がりました。

 最初は恐る恐るだった手つきも、次第に泥の感触を楽しみながら、一株一株、丁寧に苗を植え付けていきました。

 

【梅雨の合間の青空と、きらめく汗】

 ここ数日は雨の日が続いていましたが、今日は見事な「梅雨の合間の青空」が広がりました。

 じりじりと照りつける太陽のもと、額の汗を何度も拭いながら、一列に並んで泥にまみれる生徒たち。

 泥だらけになった手足は、一生懸命に命と向き合った証です。

 爽やかな風が吹き抜けるなか、みんなで声を掛け合いながら流した汗はどこか清々しく、クラスの絆もぐっと深まったように感じます。

 

【目指すは11月!全校生徒で食べる特製カレー】

 今回植えたお米の品種は、ふっくらとした食感と甘みが特徴の「ヒノヒカリ」です。

 陽の光を浴びて黄金色に輝く美味しいお米に育ってほしいのには、実は大きな理由があります。

 なんと、秋の11月に開催される「収穫感謝祭」では、この自分たちが育てた新米を使い、全校生徒で一からカレーを調理して、みんなで美味しく食べる予定なのです!

 「自分たちが植えた苗が、秋には全校のみんなを笑顔にするカレーになる」 そう考えると、これからの毎日の管理や、夏の暑い日の水やりにも自然と力が入ります。

 お米作りの大変さと、それ以上の喜びを肌で感じる、農業科としての最高のスタートラインに立った1年生。

 みんなの想いを乗せて、「ヒノヒカリ」よ、大きく元気に育て!

鉛筆 休校の 静けさのなか 無事を祈(こ)う

 数日前、暦の上では二十四節気の「夏至(げし)」を迎えました。

 文字通り、いよいよ本格的な「夏に至る」季節の到来です。

 農業にとっては、最も長い日長がこれから少しずつ短くなっていく重要な折り返し地点(節目)でもあります。

 光の長さはピークを過ぎ、気温はこれから上がっていきますが、本格的な夏の暑さを迎える前に、九州地方の梅雨は一気に牙を剥きました。

 本日26日は昨日からの大雨の影響を受け、本校は臨時休校の措置をとる事態となりました。

 生徒たちの姿がない校舎は静まり返り、窓の外で激しく鳴り響く雨音だけが響いています。

 今日は気温が下がり、幾分か過ごしやすさを感じる涼しさですが、雨は今も断続的に降り続いており、油断できない状況が続いています。

 今はただ、生徒や保護者の皆様、そして地域の皆様のところに大きな被害が出ないことを、農業科一同、心から祈るばかりです。

 

■ 荒ぶる空と、リベンジの田んぼ

 この激しい空模様を前に、農場では昨日25日、もうひとつの大きな挑戦である「田植え」の予定日を迎えていました。

 実は昨年、現在の2年生たちが臨むはずだった田植えは、あいにくの天候不良により断念せざるを得ませんでした。

 先輩たちが味わった自然の厳しさと悔しさを知るからこそ、今年かける農業科の想いはひとしおですが、自然相手の農業は人間の思い通りにはいきません。

 昨日、そして本日と荒ぶる空を前に、田植えは一時見合わせとなっています。

 しかし、1年生が大切にまいた種から育った苗は、この激しい雨をじっと耐え忍びながら、泥に深く根を張るリベンジの瞬間を今か今かと待っています。

 今回の雨が落ち着き、安全が十分に確保され次第、改めて生徒たちと泥にまみれ、確かな一歩を踏み出す準備を進めてまいります。

 

■ 試練を超えて、確かな実りへ

 夏至の時期にまかれ、梅雨の激しい雨のなかでじっと耐える苗は、これからの厳しい暑さや試練を超えて、やがて大きな黄金色の穂へと育ちます。

 自然の猛威を目の当たりにしながらも、じっと前を向く生徒たちの学びの姿もまた、全く同じです。

 まずは何よりも皆様の安全第一です。

 この雨が上がり、再び農場や校舎に生徒たちの元気な声が戻ってくるのを待ちながら、私たちはこれからも、それぞれの場所で前を向く芦北高校の生徒たちを心からのエールとともに応援しています。

 

「夏至」

  荒ぶる雨のなか、地域全体の安全と、前を向いて歩き出す生徒たちの未来を祈って。芦北高校より。

鉛筆 雨の音 滲む台本 抱きしめて

 窓の外で、静かに、しかし容赦なく降り続く雨の音。

 会場の入口にぽつんと置かれた、ハレの式典という見せ場をなくした立て看板。

 本日、本校が事務局を担い開催された「令和8年度 第77回 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」

 無事にプログラムを終えた今、私たちの心の中には、大きな安堵感と、それと同じくらい、天候のせいとはいえどうしても拭いきれない、悔しく切ない気持ちが入り混じっています。

 

【2時間遅れの決断。繋いだ発表のバトン】

 大会2日目は大雨の影響を受け、当初の予定よりも「2時間遅らせて」受付とプロジェクト発表を実施するという異例の対応となりました。

 そんな緊迫した状況の中でも、大会のメインである「意見発表」「プロジェクト発表」が最後まで滞りなくやり遂げられたことは、本当に良かったと思っています。

 これまで放課後の農業実習室で、テストの疲れも見せず、何度も何度も声を枯らして練習を重ねてきた農業科の生徒たち。

 本番の壇上で、堂々と自らの学びを伝える姿は立派そのものでした。

 また、急な時間変更にも動じず、Ⅰ類の運営を担当し、緊張感の中で進行を力強く支えきってくれた運営担当の生徒たちには、感謝の言葉しかありません。

 スケジュールが乱れる過酷な環境ではありましたが、このステージに立ったすべての発表者にとって、これまでの努力が報われる「充実した年次大会」になっていたら、事務局校としてこれほど嬉しいことはありません。

 

【発揮されなかった、机の上の努力の跡】

 しかし、だからこそ――安全を最優先し、最後の「大会式典」が大雨の影響により中止せざるを得なくなったことが、残念で、悔しくてなりません。

 式典運営のために、司会進行の生徒が用意していた原稿。

 そこには、何度も読み返したことが一目でわかるカラフルなマーカーの線と、余白に書き込まれたメモやフリガナが残されていました。

 発表補助者として、ステージへの登場のタイミングや賞状を渡すタイミング、並ぶ順番など、一歩一歩の動きを身体で覚えた生徒たちの動き。

 来賓や表彰者の方々をスムーズに、精度高く、それ以上に気持ちよく誘導するために練習を重ねた、あのハキハキとした声掛けや美しい所作。

 県連旗を先導とともに先頭を切って入場するはずだった、県連会長の凛とした晴れ姿も、披露する場面を失ってしまいました。

 いつもお世話になっている花の先生が、この日のために心を込めて用意してくださっていた見事なアレンジメントが、誰もいない式典会場で静かに佇んでいるのを見たとき、生徒たちが最高の準備を発揮する場面を逸してしまった喪失感に、胸が締め付けられました。

 天候という理由だからこそ、ぶつけようのない悔しさが募ります。

 しかし、あのマーカーだらけの原稿も、身体に染み込ませた精緻な所作も、生徒たちが「誰かのために」最高の準備を尽くしたという紛れもない事実であり、彼らの確かな成長の証です。

 

【心からの感謝を込めて】

 最後になりますが、事務局校として至らない点もあったかと思いますが、この悪天候の中でも、前を向いて最高の発表をしてくれた他校の農業クラブ員の皆さま。

 急な時間変更にも柔軟にご対応いただき、生徒たちの頑張りを温かく見守り、運営を支えてくださった審査員の皆さまや、ご来賓の方々。

 そして何より、この大雨のなか、大会のために素晴らしい会場を快く提供し、多大なるご協力をいただきました芦北町の皆さまに、チーム芦北一同、心より深く御礼申し上げます。

 地域の温かい後ろ盾があったからこそ、私たちはこの困難な状況でも、発表の場を最後まで守り抜くことができました。

 この複雑な心境をバネに、私たちはまた次のステージへと歩みを進めます。

 ここで蓄えたエネルギーを、次の挑戦へと必ず繋げていきましょう。

 本当に、お疲れ様でした!

鉛筆 華やかさ 支える裏の ワイヤーワーク

 シャカ、シャカ、シャカ……。

 静かな実習室に響くのは、ワイヤーが擦れる音と、細かく鋏(はさみ)を動かす金属音。

 農業科3年生が今、全神経を指先に集中させて取り組んでいるのは、衣服の胸元を飾る小さな花束「ブートニア」の制作です。

 

 これは、国家資格である「フラワー装飾技能検定」の実技試験に含まれる重要な課題の一つ。

 今回はクラス全員の講義の一環として、この高度な技術の習得にみんなで挑戦しています。

 生徒たちの机の上には、鮮やかな紫色のデンファレや、青々とした美しいグリーンの植物など、たくさんの材料が並びます。

 

【プロから学ぶ、ミリ単位の熱血指導】

 この日は特別な実習。

 日頃の授業に加え、外部から専門の講師の先生にお越しいただき、実技の直接指導をしていただきました。

 完成したブートニアはとても華やかで優美ですが、その美しさを支える裏側には、地道で非常に細かい職人技が隠されています。

 まずは、植物の茎の代わりに細い金属のワイヤーを通していく作業。

 絶妙な力加減で花を傷つけないよう固定し、その上からフローラルテープを隙間なく、均一に巻きつけていきます。

 指先に残るテープのわずかな粘着感を感じながら、長さを測り、細かく鋏を動かしていく緻密な集中力が求められます。

「ここ、もう少し綺麗に巻けるかな?」

 講師の先生のお手本の手元をじっと見つめ、プロの洗練された技術を少しでも自分のものにしようと、生徒たちは熱心に耳を傾けていました。

 第一線で活躍される先生からのリアルなアドバイスは、生徒たちにとって何よりの刺激です。

 裏側を覗いてみると、細いワイヤーが美しく張り巡らされ、鮮やかな緑色のテープできっちりと巻き上げられているのが分かります。

 この見えない部分の丁寧さこそが、表にある主役の花々を一番美しい角度でキープする「魔法」なのです。

 

【それぞれの目標へ向けて、技術を研ぎ澄ます】

 全員が検定を受験するわけではありませんが、こうしてプロの技に直接触れ、本物の技術を学ぶ時間は全員にとって貴重な経験です。

 講師の先生の丁寧なご指導のおかげで、最初は一本のワイヤーに苦戦していた生徒たちも、手つきがどんどん滑らかに、そして素早くなってきました。

 ただ花を組み合わせるだけでなく、植物それぞれの個性を活かしながら、規格通りの美しい形へ。

 検定合格を目指してさらに腕を磨く生徒も、この講義を通じて花を扱う楽しさや奥深さを知った生徒も、それぞれが自分の感性を大きく成長させた一日となりました。

 お忙しい中お越しいただいた講師の先生、本当にありがとうございました!

鉛筆 病徴を 探す瞳は 専門家

 「先生、お久しぶりです!」

 

 本日、農場にとても嬉しい来客がありました。

 本校農業科の卒業生で、現在は「東海大学農学部農学科」「3年生」として、大学での学習や研究に励んでいる「宮内愛理」さんです。

 高校を卒業し、さらに専門的な学びの道へ進んだ彼女。

 今回はただ遊びに来たわけではなく、大学での大切な「研究素材」を集めるために母校の門を叩いてくれました。

 

【スマホの画面に映る、専門的な研究の目】

 現在、大学で「植物病理学研究室」に所属しているという宮内さん。

 本校の野菜、草花、果樹の圃場(ほじょう)をまわり、「病徴(病気の症状)」が出ている植物体をサンプリングしにやってきたのです。

 「持って帰って病徴から判断するとともに、病原を特定するんです」と熱心に語る彼女。

 見せてもらったスマートフォンの画面には、顕微鏡で捉えた「ブロッコリーのスス病」の病原がくっきりと映し出されていました。

 かつてこの農場で基礎を学んだ生徒が、今ではこうして専門の目を持ち、持ち帰る柑橘類の葉を手に笑顔を見せる姿は本当に頼もしい限りです。

 その生き生きとした活躍ぶりに、立ち会った職員も胸が熱くなります。

 

【現役生と一緒に。先輩が気軽に溶け込める農場環境】

 こうして無事に研究素材を集め終えた宮内さんですが、実は彼女の妹さんが現在、本校農業科の1年生に在籍しています。

 終礼までの待ち時間を活かして、6限目に実施されていた2年生のフラワーアレンジメント実習にも急きょ飛び入り参加してくれました。

 現役の高校生たちと同じ机に並び、ひまわりやカーネーションを器用に生けていく宮内さん。

 卒業して数年が経っても、こうして後輩たちの輪の中に自然と溶け込み、一緒に実習を楽しめるのは、本校の農場ならではの自由で温かい雰囲気があるからこそです。

 

【卒業生の皆さまへ、農場からのお願い】

 卒業しても、何かあったときにこうして気軽に足を運んでもらえる場所であり続けられることは、学校にとってこの上ない財産です。

 宮内さん、大学での研究、大変だけど頑張ってください!

 

 最後になりますが、本ブログをご覧の卒業生の皆さま。

 「研究の素材を探したい」

 「恩師に近況を報告したい」

 「久しぶりに農場の空気を吸いたい」など、理由はなんでも大歓迎です。

 ぜひ、いつでもお気軽に農場へ足を運んでください。

 後輩たちと職員一同、皆さんの元気な姿に会えるのを楽しみに待っています。

鉛筆 考査抜け 息つく間なく マイク持つ

 「――それでは、発表を始めてください」

 

 マイクを通じて部屋に響く、少し緊張を帯びた、けれどもしっかりとした声。

 カーテンを閉め切った総合学習室の暗がりに、ぽっと浮かび上がるプロジェクターの白い光。

 そして、手元の資料をめくるカサリという微かな紙の音。

 昨日の考査最終日、テストが終わったばかりの放課後のことです。

 総合学習室には、息をつく間もなく集まった生徒たちの静かな熱気が満ちていました。

 

 来週の23日(火)と24日(水)の2日間、本校を事務局(会場)として「令和8年度 熊本県学校農業クラブ連盟 年次大会」が開催されます。

 

【支える手、挑む声。それぞれの真剣練習】

 この大会は、県内の農業高校から集まったクラブ員たちが、日頃のプロジェクト研究や自らの意見をステージで発表し合う、年に一度の大きな舞台。

 本校は今年、その運営を担う事務局校を務めます。

 昨日集まったのは、大会の成否を握る司会進行や計時などの「運営」を担う生徒たち、そして芦北高校の代表として壇上に立つ「意見発表」「プロジェクト発表」の生徒たちです。

 発表チームは、スクリーンのタイミングを合わせながら、自分の言葉に熱を込めて語りかけます

 一方の運営チームは、手元に置かれたマイクを前に、シナリオを何度も読み込みながら進行の流れを細かくチェックしていきます。

 そこにあるのは、「自分たちの発表を成功させたい」という想いだけではありません。

「他校から参加する発表者の仲間たちが、少しでも気持ちよく壇上に立ち、日頃の成果を100%出し切ってほしい」

 

 そんな、事務局校としての温かい「おもてなしの心」が、生徒たちの真剣な眼差し、そして何度も繰り返される練習の姿からひしひしと伝わってきました。

 

【最高の舞台を、私たちの手で】

 テスト勉強の疲れも見せず、遅くまでリハーサルに邁進した生徒たち。

 誰かの輝くステージは、こうして見えないところで汗を流し、準備を重ねる人の手によって創られていくのだと、改めて教えられる時間でした。

 大会本番まで、あとわずか。

 熊本県の農業を担う仲間たちを最高の舞台で迎えるために。

 そして、自分たちの学びを堂々と伝えるために。

 チーム芦北、一丸となって最後まで心を込めて舞台を整えていきます!