2023年3月の記事一覧
令和4年度卒業式
3月1日
芦北高校の卒業式が行われました。
新型コロナウイルス感染症や熊本豪雨災害で全校生徒が集まっての卒業式は3年ぶりとなりました。農業科、林業科、福祉科の代表が卒業証書を授与されました。
在校生送辞では生徒会長の吐合さんが先輩との思い出を話してくれました。
それに対し、卒業生答辞では、農業科の川本さんが涙ながらに思いを伝えてくれました。
最後は、3年ぶりに校歌や式歌を歌いました。
卒業式後は、震災直後、芦北高校を支えてくれた芸能人やアーティストなどのビデオメッセージが流れ、歓声があがりました。素晴らしい卒業式となりました。卒業生の皆さん、社会に出ても頑張ってくださいね。
答辞
春の暖かさが感じられ、峰崎の桜も開花を待ちわびる今日の良き日に、私達3年生は卒業の日を迎えました。私達卒業生のために、このように晴れやかな卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。ご臨席いただいたご来賓の皆様、先生方と保護者の皆様、在校生の皆さんに心より感謝申し上げます。
本日いただきましたご祝辞に込められた励ましのメッセージや在校生代表からの餞の言葉に、卒業生一同大変勇気づけられました。そして、この3年間芦北高校で過ごした日々が思い出されました。
私は、興味を持っている草花について学ぶことができることを知り芦北高校への進学を決意しました。教室の授業だけではなく実習や交流学習などの体験的な学びができる農業科に魅力を感じました。それまでの私には全く関わりの無かった農業の道に進んだことは、今思うと私の人生を大きく変える大切な決断となりました。
高校に入学し、新しい環境や友達との出会いに期待を膨らませていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う臨時休校、そして、登校再開から僅か2週間後、熊本豪雨災害に見舞われました。
私は水俣市から通学しており、すごい雨が降っているなというくらいにしか感じていませんでした。しかし、テレビに映った光景は、学校近くの道路が泥水で溢れ、事の重大さを実感し体が震えました。
私には他校に通う双子の姉がいます。水害の後、学校で復旧作業をしている私の生活と比べて、毎日普通に学校で授業を受ける姉の姿に、羨ましい気持ちや、時には悲しささえも感じていました。
しかしながら、復旧に向けて先生も生徒も泥だらけになりながら農場の溝上げや校舎の清掃活動をしていると、皆が一丸となって、日常を取り戻すために必死に頑張る前向きなエネルギーを感じました。今こうして、生活を送っているのは、あのときを皆で乗り越えたからこそです。
この経験から、当たり前の有り難さを知りました。また、苦く辛い経験であったかも知れませんが、成長のきっかけを得ることができました。どんな苦境に立たされても諦めず、何が何でも前向きに生きようとする思いは、私たちは誰にも負けないと思っています。このことをこれからの人生の糧にします。
通常の高校生活を取り戻し、私が打ち込んだ事は草花の学習活動です。フラワーアレンジメントの大会では、私にしか作れない唯一無二の作品を作りたいと思い、何度も何度もデザインを練り直しました。納得できず、最初からやり直し。自分が好きで始めたことなのに投げ出したくなったこともありました。それでも諦めずに、頑張り続ける事ができたのは、共に練習に取り組む友人がいたからです。一つのことに、一切の妥協なく打ち込む、私にとって初めての経験をして、自信が身につきました。他の人たちも同じような経験をして、今、この場にいます。
3年生になると、進路決定に向けた活動が本格的に始まり、未来への一歩を定めなければならない不安と重圧がありました。想像もつかない未来への一歩を、自分の意思で決定しなければならない緊張感。面接などいくら練習を重ねても、自分の中にある不安が消えなかった日々。そんな時、生徒のためにいつも真剣に向き合ってくださる先生方の姿がありました。私がそうしてもらったように、生徒に目標や夢を持たせる、そんな仕事がもし私にできたら幸せなことだと考え、農業を教える先生になることを将来の目標に定めました。
大学進学を決意し、受験のための学習や面接練習に励み、志望大学の合格を勝ち取ることができました。ただ、今の私には農業の先生の仕事をするうえで、まだ沢山学ぶべき事があります。目指すからには自信を持って生徒に向き合う先生になるために、大学生活で多くのことに励みます。
今ここにいる卒業生のそれぞれが、これからの生活に期待や不安を持っています。この芦北高校で一緒に学んできた仲間の存在を心の支えに頑張ります。
別れの時が近づきました。入学式の緊張感、教室では見られない姿が見えたクラスマッチや体育大会。収穫感謝祭で食べたカレーの味。修学旅行の代替旅行で行ったグリーンランド。改めて3年間を振り返れば、なぜか楽しかった事だけが思い出されます。二度とない高校生活を共にした皆さん、芦高でしかできない、体験と思い出をありがとうございました。
在校生のみなさん。先輩らしいことは、できていませんが私達は、上級生として、手本を示さないといけないと努力することで、私達自身を高めることができました。そう思わせてくれる、明るく元気な皆さんの存在に感謝しています。これからの芦高を盛り上げていって下さい。
いつも支えてくれる保護者の皆さん。酷いことを言ってしまった日もありました。それでも支えて、見守ってくれてありがとう。辛いことがあっても、安心できる居場所を作ってくれたから、今日まで頑張ってこれました。どんな感謝の言葉でも伝えきれないほど、当たり前に支えてくれる人のありがたさは、かけがえのないものです。
改めて保護者の皆さん、そして先生方。どんな時も私達を支えて下さりありがとうございました。これから、少し遠く離れてしまいますが、変わらず見守って下さい。いつか成長した姿を見せられるように、これからも精一杯頑張ります。
結びに、歴史ある母校、芦北高校が、今後更なる発展を遂げることを願いまして、答辞といたします。
令和5年 3月1日 卒業生代表 川本 愛美