校長室より

校長室よりブログ

ハート 天高生とは 何ぞや

昨日は美しい十三夜の月が 海の面を照らして輝いていました。

爽やかな秋の到来です。

 

今 天草中央消防署の小平署長から

「昨日夕方 ある女性が、城下で転倒して頭から血を流しておられたのを

 通りがかった天草高校生10名ぐらいが見つけて

 ハンカチで傷を覆ったり、カバンを枕代わりにさし出したりして

 救急車も呼ぶなど てきぱきと丁寧に対応してくれて

 救急対応上も大変助かりました。 何かの機会にぜひ生徒たちにもお声かけください」 

との うれしい電話をいただきました。

 

これには

実は余談があって

「城下の交差点付近に天草高校生がいっぱい集まっているが

 ひょっとして事故があったのではないでしょうか?」

という地域の方からのお電話も 実は 昨夕受け取っていました。

本校職員が確認のために 昨夕出かけていたのですが

生徒たちがご婦人を優しく介護している姿を見て胸が熱くなったそうです。

「天草高校生は 立派に育っていっています。

 対応してくれていたのは 寮生たちでした」

と 朝から報告を受けたばかりでした。

 

生徒たちが心配だと 昨夕 城下の現場に駆け付けた先生は

いつも

「天高生とは 何ぞや!」と 問い続けている先生です。

さわやかな秋空の下、

熱くて優しい思いが 天高生の心にもしみこみつつあるようです。

ハート ようこそ 先輩!

今日 サプライズで、演歌歌手の 原田悠里さんが 学校においでになりました。

天草高校の、安田同窓会長、池田同窓会副会長が

「原田さんは今年でデビュー40周年です。
 懐かしいかなと思って、母校・天草高校に連れてきました」
とのこと。

吹奏楽部の音色が聞こえ始めると                
校長室でのあいさつもそこそこに
4階の音楽室に。
「この窓からの風景 懐かしいなぁ。
 私も自転車で毎日通ったんですよ。」
と満面の笑みです。

廊下から窓越しに吹奏楽部の演奏を見ていたら やはり我慢できなくなったようで
原田さんは 吹奏楽部の練習に飛び込んでいきました。

音楽好きの魂は、すぐに交歓しあいます。
原田さんは 自分の高校時代の話や
小さいころから歌手になりたかったけれど親から反対されたので
鹿児島大学の教育学部で音楽専科に入り声楽を学んだことや
親を納得させるために横浜で3年間小学校の先生を勤め
その後北島音楽事務所に入って歌手を目指したこと
今では全国各地を巡っているけれど
天草ほど心に響く地も言葉もないということ
「徒然なか」という言葉が残る天草は素敵な故郷だということ
次から次に思いが迸り出てきます。
そして
「夢は叶うよ。私は遠回りしたけれどしっかり叶った。皆も夢をしっかり追いかけなさい」
と 熱いメッセージをいただけました。

「来年1月21日に デビュー40周年を記念してチャリティーコンサートを開きます。
 天草高校の吹奏楽部の皆さんとコラボしたいと思います!」
と 原田さんは 大きなプレゼントまで用意してくださっていました。

天高生と話している間中
原田さんの瞳が潤んだように見えていたのは 私だけだったのでしょうか?

蝉しぐれと小雨の降る中 とても爽やかな素敵なひとときでした。

 

 

ピース ”間に合わせる” という強い「覚悟」

  5月の連休明け

 「今から志望を国公立大学に変えても間に合うでしょうか?」

  と尋ねてきた3年生に、

 その生徒の瞳をじっと見つめ

 「間に合わない!」と言った先生がいます。


  「間に合う、間に合わないは、私達が言うことではない。

  君が、”間に合わせる” という強い「覚悟」を持っているかどうかだ。

  他人任せの気持ちのままだったら、到底間に合わない。

  ”間に合わせる”という思いを持って、残り半年を全力で頑張るのなら、

  私達も全力でバックアップするぞ。」

  と野太い声で励ましたところ

 その生徒は、それから毎時間予習して授業に臨み、

 苦手なジャンルを繰り返し演習して、みるみる成績を伸ばしてきたそうです。

  その先生曰く「6月模試では、学年一の伸びでした。」


 自分の人生を決める大きな分岐点となると考えると、やはり不安が先に立ちます。

 「自分の将来を担保してほしい」という思いも出てくるでしょう。

 しかし、将来を担保された人生はどこにもないのです。


 この道に進みたい、

 この大学のこの教授の下で学びたい、

 という意志を、ぶれさせずに持ち続け

 努力し続けるしかありません。

 

 受験システムは、

 単に大学の入学を決めるというだけでなく、

 自分の人生を生ききる「覚悟」を育てる 良いハードルになっているようにも思います。

 

 「先の見えない不安を乗り越えるということ」

 これこそが、この受験の学びの中での一番大きな収穫物なのかもしれません。

ハート 生徒の姿を見れば

今月半ばまで、教育実習生が来ていました。
その中の一人から心温まる手紙が届きました。

「 私が高校生だったころに感じていたよりもさらに先生方は生徒一人ひとりを愛し、真摯に
 向き合っておられたことにも、おそばで実習させていただいてあらためて気づき、感動いた
 しました。
  この、先生が一丸となって生徒のことを考えておられる姿を拝見できたことは本当に貴重
 な体験であったと今でも感じています。また、その気持ちにこたえるように生徒たちも日々
 の生活や学習、部活動等一生懸命に過ごしており、私もすごく元気づけられました。
  実習初日の校長先生の訓話でもありましたように、どれだけ教師生活は忙しくとも生徒の
 姿を見ればつらさも忘れてしまう、というお言葉の意味が分かったような気がしました。
  今回の実習を終えて、より一層教職の奥深さを感じ、将来、教師として生徒たちの未来を
 見届けたいという思いが強くなりました。
  来月には教員採用試験を控えておりますが、今回お世話になった先生方の背中を追いかけ
 て試験勉強に励むとともに、残りの大学生活で様々な経験を積みながら日々自分自身の人間
 性も育んでいきたい、と考えております。」

私たちの仕事は、子どもたちに、将来の夢を叶える種を播くことなのかもしれません。
それは、大学生に育ちあがった子どもたちへも同じです。
僅か3週間の出会いでしたが、先生と子どもたちとの息遣いは、彼ら彼女らの中に宿り、
大きな推進の力となりつつあるようです。

教師に限らずどの仕事も、やりがいはあります。楽しさも苦しさもあります。
しかし大事なのは、
投げ出さないこと、かもしれません。

職人さんの道具は、
使い込むにつれて手になじむように変形していきます。
そして、職人さん自らの手も 変形していきます。
私は、その変形した道具や手を、
たとえようもなく〈美しい〉と感じてしまうのです。

長い間、繰り返し、繰り返し、取り組むことで形を変える。
形をかえるだけの時間の蓄積が、そこにある。
「続けたら天職になった」
が真実なのではないか、と、近頃、漠然と思います。

「続けること」です。

ハート 一笑懸命 ~楽しんだもの勝ち!!~

 各地区の天草高校同窓会支部から「同窓会報」が送られてきています。中京支部も関西支部も、母校・天草高校を想う言葉が溢れ、頁をめくりながら、私も、天草高校で青春を送ることができて幸せだったと実感しています。

 今、天草高校には、多くの教育実習生が来て生徒たちとの学びの時間を過ごしています。「天草高校で教育実習できて本当に良かったと思っています。絶対、教員になりたい、再び母校の教壇に立ちたいと思いが強くなりました。来月の教員採用試験は、死ぬ気で頑張ります。」と、今朝、熱く語ってくれた実習生がいます。そんな実習生たちの言葉に頷きながら、教員というのは、人と関わりながら、その子どもの人生の節目に立ち会うことができる、何て素敵な職業なんだろうと、いまさらながらに感じ入っている自分がいます。

 高校時代の友人から電話をもらいました。
「癌にかかり、いま、久留米大学附属病院で治療を続けている。馬場君が天高の校長になったと聞いたから、僅かばかりだけれど、後輩たちのために役立ててほしいから寄附をしたい。今度、学校に来るよ」訥々とした語り口は、高校時代の、元気が走り回っているような面影が全く感じられません。高校時代は、廊下の向こうの端で話していても話が筒抜けでやかましいぐらいだったのに。電話越しに「心配している」と告げると、「治療は順調に進んでいるから大丈夫だよ」とのこと。「久しぶりの里帰りだね。寄附とかじゃなくて、ついでに学校に遊びに来たぐらいの気分でいいよ」と言うと、「HPで写真見たけれど、髪も薄くなったし、ずいぶん太ったねー」と、昔の明るい笑い声が戻ってきました。

 6月19日(日)は、天草高校倉岳校で恒例の海の運動会マリンフェスタが開催されます。今年のテーマは「一笑懸命 ~楽しんだもの勝ち!!~」。この春入学した1年生が考案してくれたものですが、子どもたちの柔軟で大らかな発想力に脱帽です。コロナへの不安や、それぞれがいろいろ背負わされている重たいものを、一度、ちょっとだけ下して、周りを見渡しながら笑って(笑んで)みましょうか。 人生は楽しんだもの勝ちです!!

美術・図工 ふるさとを思う

ちょっと前の話です。3月に行われた十万山スケッチ大会で、雨の中、天高生たちが、地域の小学生のスケッチ大会の補助に動いてくれました。
その後、主催者のご老人が、高校生にお礼を言いたいと、先日、学校に訪ねてきてくださいました。
「10年以上前から、天草の人たちに、ふるさとの宝として十万山からの見た風景を残してあげたい、と関東に住む天草出身の方々が有志で十万山公園の整備活動を行ってきました。その後、少しずつ地元の人たちにもその活動の輪が拡がり、みんなで雑木の伐採を行い、本渡市街を一望できるようにしました。そして、河津桜を植え、ベンチや歩道の整備と様々に動いてきました。数年前からは、桜の名所だった十万山で、また、薄ピンクの桜が咲き誇るようになりました。この風景を、子どもたちの瞳に焼き付けたいと、天草市と共同で、小学生スケッチ大会を始めました。天高生を始め、地域の高校生たちがボランティアスタッフとして協力してくれるおかげで、ここまで繋がってきました。今年も、コロナ禍でスケッチ大会の開催も危ぶまれていましたが、天草市も開催に舵を切ってくれ、そして、天草高校生たちがボランティアスタッフとして加わってくれて、こんなに心温まる大会になったのは、初めてでした。本当にありがとう。」と、深々と頭を下げて行かれました。

遙か遠く、東京に住む人たちの、ふるさとを思う心が、このように繋がり、ふるさとづくりが形をなしていく、素晴らしいなと思います。天高生たちにも、かけがえのない宝物〈ふるさと〉を創るために学び、行動する人であってほしいと思います。

目を世界に転じると、そのふるさとを力で奪われようとしている人たちがいます。
テレビの画面を通じて見えてくる不安な瞳を見る度に心が痛みます。私は当事者ではありませんし、入ってくる情報はバイアスがかかっていますから、軽々にどちらが良いかと悪いとか論じるのは避けなければなりません。しかし、自らの主張を通すために、人々の生活や命を潰えさせるという手段を取ることは、決してあってはなりません。そして、力で奪うふるさとは、果たして、自ら誇りとすることができるのか、はなはだ疑問です。

「答えの出ない問いを、生涯かけて考え抜き、よりよい答えを導き出そうとすること」
これこそが、人類の智慧であると思います。

私は、いつも皆さんたちに問い続けています。「何のために 学ぶのか?」と。
今、世界で起きていることを、見ながら、切実に思います。
一人でも多くの人が笑顔で幸せに暮らせるようにするために、そして自らのふるさとを誇らしく語ることができるようにするために、私たちは学び、そして行動しなければならないのです。

地球市民として、未来の扉を開くのは、あなたたちです。

鉛筆 あの頃 先生がいた 1

5月8日(日)は、母の日でした。
私にも、コロナでなかなか会いに行けませんが90歳を過ぎた老母がいます。80を過ぎたあたりから気持ちと記憶がどんどん若返りはじめ、今は昭和の十代の乙女に戻っています。当然、昭和の後半に生まれた私は、まったく見知らぬ未来からの訪問者なので、いつも訝しがられるのですが、「ととさんと火鉢」の話をするといつも笑ってくれます。本当に可愛らしい乙女です。

私が小さいころ、母は「大きゅうなったら、お医者さんになっとだろ」と言っていました。
しかし、私は人一倍血を見るのが苦手だったので、嫌でした。むしろ家の近所にいた大工の棟梁がトンテンカン家を建てていくのが見事で憧れていました。職人さんが、玄能でカンナの頭を叩き、しゅっとカンナを引くと、とてもいい香りのする薄い木の膜が刃の隙間から飛び出てきました。雨降りの日などは次の日の作業用の柱に墨付けし、鋸を引いたり、ノミでホゾを切ったり、カンナを掛けたり、職人さんが動くたびにきれいな形が仕上がっていくのです。一日中見ていても全く飽きませんでした。

私は、手先が不器用で、肥後守でしょっちゅう手を切っていましたので、大工の夢は諦めましたが、近所の友人や先輩たちは何人も長崎や大阪に出て修行し、棟梁への道を目指しました。そして、親の住む家を自分の組の職人さんたちと新しく建て直すのです。田舎の古びた住居が、私が帰省するたびにぽつんぽつんとモダンな建物に建て替わっていきました。私の家に上る小川の河原でいつもメジロの水浴びをさせていたSさんの家は、土間に縁側と小上がりの付いた一間きりの小ぶりな家でした。私が生まれたとき、病弱な母の乳が出なかったために、もらい乳に訪れ、よく縁側で寝かせてもらっていた家でした。その家もいつの間にか瀟洒な2階建てに建て変わっていました。メジロ籠は、縁側のあった場所に新たに作られた玄関の横壁に変わらずに掛けてあり、深緑色のメジロが竹ひごの間をひっきりなしに跳び回っていました。

小学校6年から中学校にかけて、私は、たびたび下血をしては意識を失って倒れ、入退院を繰り返しました。
同室の入院患者には、炭鉱の粉塵で片肺を取った人や、運送会社の社長でいつも大きな注射を打たれている人が居ました。しかし、皆陽気で、病室とは思えないほど笑い声が絶えませんでした。私も毎日真っ黒い鉄分造血剤を注射され、することもなく本を読み続けました。中1の夏だったでしょうか、外国航路のタンカーに乗船していた父が吐血し、療養のために天草に戻ってきました。ほとんど口をきくこともなく眠ったままの父のベッドの横に、母はいつも団扇を持って座り、父の額に浮かんだ汗をタオルで拭っていました。廊下から覗き込んで、「死ぬと?」私が発した言葉に、一瞬目を見開いた母は、無言で首を振りました。いつの間にか生きることの意味や死について考えるようになりました。

花丸 天高生 最高!

 5月8日(日)爽やかすぎるほどの晴天のもと、第77回天草高校体育大会が開催されました。生徒たちの気魄のこもった演技、土ぼこりを巻き上げて疾走する姿、張り詰めた緊張感の中で展開された応援の人文字、そして全体を締めた応援演舞、あの「気」が満ち満ちた空気はめったに味わえるものではなりません。本当に圧倒されました。

 コロナの感染防止の観点から、ご来場については3年保護者のみとし、声援も禁止とさせていただいたのですが、保護者の皆さん方からの地鳴りのような拍手に、生徒たちは背中を押され、持てる力を全て出し切ったようです。

 当日ご来場いただけなかった皆様方には、ホームページに当日の様子が続々とアップされる予定です。ご期待ください。

お祝い 麻布大学 増井光子賞 受賞!

麻布大学から嬉しいお知らせが届きました。

2015年に麻布大学獣医学部獣医学科に入学し,今春卒業した天草高校卒の黒木翔君が
令和3年度麻布大学「増井光子賞」を受賞したそうです。


「増井光子賞」とは,故・増井光子博士のご遺族から寄贈されたご遺志を活かす形で設立された賞で,専門領域において各賞の受賞など学会等で高く評価され,今後の可能性が期待されるもの又は社会活動等で顕著な功績を上げたものに寄贈される賞だそうです。

故・増井光子博士は,麻布獣医科大学(現・麻布大学)獣医学部獣医学科卒業の獣医師で,1985年(昭和60年)日本で初めてパンダの人工繁殖に成功した方として知られています。1990年(平成2年)女性初の多摩動物公園長に就任。2年後の1992年には,女性初の上野動物公園長に就任されるなど,日本の女性獣医師の草分けです。1999年(平成11年)にはよこはま動物園ズーラシア初代園長に就任,兵庫県立コウノトリの郷公園の初代園長も兼務されました。2010年(平成22年)イギリスでの馬術大会の競技中に落馬し,搬送先のケンブリッジ大学病院でお亡くなりになっています。享年73でした。


黒木 翔 君は

 第8回日本獣医病理学専門家協会学術集成 大会長賞
 日本養豚開業獣医師会会報32号 2020年度日本養豚開業獣医師協会学生アワード
の受賞が認められ,増井光子賞の受賞となったようです。

天高生は,
在校生も,卒業生もそれぞれのステージで研究に邁進し,各界に認められています。
ここ天草で揺籃の時を過ごし,学んだ内容を極めながら社会に貢献する若者が育ちつつあることを,
本当に誇らしく感じています。


詳細は麻布大学のホームページからご覧ください。
 麻布大学増井光子賞 https://www.azabu-u.ac.jp/topics/2021/0629_35272.html
 表彰式動画 https://www.azabu-u.ac.jp/movie_archives/2021/0630_35327.html

音楽 音楽と自然大好き!

新型コロナの影響で来日が遅れていたALTの先生が今日から着任です。
ウイリアム・ブラックストーン先生。音楽と自然が大好きな陽気な先生です。
天草の豊かな自然に育まれた本校生と波長が合うような予感がしています。

まん延防止重点措置も9月いっぱいで解除の方向性が見えてきました。
10月からは,部活動も含めて平常通りの学校生活が取り戻せそうです。
やっと 吹奏楽の音や部活動の生徒たちの歓声が響き合う学校生活の復活です。

ブラックストーン先生には準備が整い次第,「コミュニケーション英語」の授業を担当してもらうことになりますが,生徒諸君には,授業だけでなく放課後等も,ブラックストーン先生を囲んで会話を楽しみながら,世界の様々な価値観を知り,多文化共生に向けての力強い第一歩を踏み出してくれることを願っています。

ハート 野の花を

天草の名宿「五足の靴」オーナーの山崎博文さんが,以前,

「僕の一番の贅沢は,切り花を飾ること。
 野の花を一輪手折ってきて,花瓶に指し,毎日水をやりながら会話するのが
 一番の至福の時だね」

と話してくれたことがあります。もう何十年も前の話です。

4月から校長室には何かと季節の花があふれ,毎日至福を感じていましたが,
9月に入って,蘭も終わってしまいました。
そこで家にあった橋本不二子さんの絵ハガキを机に飾っていたら,
事務室の宮﨑先生が
「しばらく花を活けていなかったので,うまくできませんでした」と言いながら,
素敵な野の花をテーブルに活けてくださいました。
町山口川から吹き込む柔らかな風にオレンジの花が揺れています。

キラキラ 学校は 幸せをつくっている

先週受けた,小林嘉男さん((株)ディスコ経理部長)の講義の中に
素敵な言葉がありました。

  学校は 幸せをつくっている
  生徒の幸せ
  生徒の保護者の幸せ
  地域の方々の幸せ
  学校の同窓生の幸せ
  学校に関わる全ての人の幸せ

  だから
  校長は すべてを幸せにできなければならない
  「幸せの専門家」じゃないといけない
 
  どうやったら
  学校に関わるすべての人が幸せになれるか
  校長は死ぬほど考えなければならない
  幸せについて もっともっと 勉強しなければならない

  それが 校長の仕事
 
講義を聞きながらメモった中身なので
ひょっとしたら間違っているかもしれませんが
「どうやったら 学校に関わるすべての人が幸せになれるか
 校長は死ぬほど考えなければならない」
重い しかし 素敵なメッセージです。

幸せって何でしょう?
生徒の幸せ
保護者の幸せ
地域の人々の幸せ
同窓会の方々の幸せ
そして学校を取り巻く方々すべての人の幸せ・・・

イソヒヨドリのつがいが 鈍色の空に澄んだ声を響かせています。
少なくとも 一人一人を笑顔にできたら すべての人の幸せに近づいているのでしょう。

友人の詩人がこう言いました。
「私は
 誰かの心に刺さっている棘(とげ)を
 一本ずつ抜くために
 こうやって詩を詠んでいる」 と。

みんなを笑顔にできる方法――職員・生徒・保護者の方々みなさんで
一緒に しっかり 考え続けていきたいと思います。

ハート 必勝 アルコール

熊本県内の新型コロナは ピークは過ぎたようですが,
10代以下の感染は,依然高い頻度で続いているようです。
県内の小中高では,短縮授業や部活動の休止等の対応が,月末まで更に延長され,
学校活動や行事計画等にも変更が相次いでいます。

本校でも,9月10日(金)に予定していた文化祭を17日(金)に延期し,
内容も,各クラスにオンラインで配信する内容と展示部門とに編成し直して,
安全と感染防止に配慮しながら準備を進めているところです。

そんな中,本校PTAから,
進路決定を控えた3年生への激励グッズとして
「必勝 アルコール」が届けられました!!

親御さん方の思いがぎっしり詰まったこのアルコールを
両手にしっかり振りかけて
Virus と 菌 と 邪念 とを払い
残り4カ月 ともにゴールまで駆け抜けていきたいと思います。

鉛筆 ゾーンに入る

先日,校内の進路検討会で,石田教頭先生が職員に話した言葉が耳に残りました。

「ゾーンに入ると すべての感覚が研ぎ澄まされて,スローモーションを見ているような状態になるそうです。
 部活動でその経験を持つ生徒もいると思います。
 勉強でゾーンに入ったら,3倍のスピードで学ぶことができます。
 ということは,3年生は,残り6か月で18か月分の学びができるということです。
 是非,集中度をUPさせて,時間を引き延ばしてください。」

私は以前,熊本近代文学館に勤務していました。
年間3回の企画展示と,資料調査・収集・研究という膨大な作業を1人でやらなければなりません。仕事は山積みで,休日も書庫に籠る毎日です。しかし,作家さんたちの隠された一面を垣間見ることができて,とても楽しい日々でした。

その熊本近代文学館勤務で一番胃が痛かったのが,展示会のオープンでした。
まだまだ,読まなければならない資料は山積みなのに,展示会初日は確実に迫ってきます。もしオープンできなかったら,と思うと夜も眠れません。

しかし「やるしか無い」と腹を括ると,不思議なことに,展示原稿締め切り日が迫るにつれてどんどん集中力が増して,普段なら読むのに何日もかかる資料が数時間で読めてしまうし,検討しなければいけない事柄が,ページから,立体写真のように文字が浮き上がってくるのです。普段何気なく聞き流していた同僚の言葉も,VTRが巻き戻されるかのように映像として立ち上がり,別角度からの検討資料が見つかるということもよくありました。そして,一気に原稿を書き上げ,気づくと朝だった,ということもしばしばでした。

学びの世界にも,ゾーンは,確実にあります。
私の場合は,ウルトラマンのように,追い込まれなければゾーンに入ることはできませんでしたが,誰でもゾーンに入ることはできます。

石田教頭先生は言います。
「『集中力がない』と生徒たちは言いますが,
 模試等の振り返りで渡された百ページを超える解説書を,
 それこそ1日半で読み込み,チェックできているんです。
 普段これだけの厚さのレポートを渡されて,読みなさいと言われたら,何日かかりますか?
 『集中力』は,本人が気づいていないだけで,みんなが持っている能力なんです。」

2学期のテーマは「自分の良さや可能性を自ら認識して,本質を学び続ける」です。

総合型選抜,就職試験・公務員試験はいよいよ本番です。
共通テストまでは,あと4カ月となりました。みんな,腹を括って頑張れー!!

 

学校 心には何人かの自分がいます

9月1日(水)
定時制の2学期始業式で,松下宏則副校長が行った講話はとても素敵なものでしたので、紹介させてください。


 私はなまけ者で大ざっぱ,いい加減な性格ですが,周りの人からは,きっちりしていると言われます。私のことを「すぐ怒る」と言う人もいれば,いつもニコニコしているという人もいます。

 高校時代の私の部屋(弟と一緒でしたが…)は散らかり放題でしたが,ときどき整理整頓の神様が降りてきて,朝から夜中まで掃除することがありました。(弟には迷惑な話。)

 毎日決めた時間勉強しないとイライラするのに,部活動は手抜き。感情のブレが大きくて,自分勝手な行動をするので,家族や周りの人には迷惑をかけました。

 自分の中の「きっちり」さんが出てきて,友だちに強い言葉を言ってケンカに。「なまけ者」さんがひょっこり出てきて,部活動(チーム競技)に迷惑をかけたり,「イライラ」さんが出すぎて,モノを投げつけたり。なかなか自分をコントロールできず,すごくきつかった毎日を思い出します。

 でも,怒られてへこんだり,ケンカして一人ぼっちになったり,仲直りして明るい気分になったり…,いろいろな経験をとおして,「きっちり」さんも「なまけ者」さんも「イライラ」さんも,どれも自分だって思えたら,仲良く付き合うことができるようになりました。

 大人になり,仕事の時は「きっちり」さんと「ニコニコ」さんに頑張ってもらっていますが,やっぱり毎日だと疲れます。ただ,それぞれ役割分担がはっきりしてきて,仕事を一所懸命やったら,だらーっと休むし,勉強を頑張ったら,趣味を楽しんで心と体のバランスをとっています。

 心には何人かの自分がいます。特に思春期では,どれが本当の自分かわからなくなる時があります。学校は同じ世代の人が多いので,うれしいことや悩みを共感したり,ケンカしたり,毎日いろいろなことが起こります。そんな毎日を積み重ねながら,心の中にいる何人かの自分と仲良くなってください。自分を好きになると,周りの人のことももっと好きになります。

 2学期は,自分と,ここで出会った仲間のことを大切にしながら,健康に過ごしてくださいね。水前寺清子さん(知っていますか?)の歌の歌詞「一日一歩,三日で三歩,三歩進んで二歩下がる」…
 今日は,昨日よりちょっぴり成長できますように。

 

学校 全日制 2学期始業式あいさつ 「五感で学べ」「イメージせよ」

 皆さん 今年の夏休みは,どうでしたか?
 1学期終わりに 各学年「勝負の夏」と発破をかけられていたと思います。例年と比べて,一歩先へ進む取組ができたでしょうか?
 
 この夏,天草市が行った講演会に スタディサプリAI研究所所長で、東京学芸大学大学院准教授 小宮山利恵子さんの「変化の激しい時代だからこそ地方においてできること」という講演がありました。
 今から24年後の2045年,シンギュラリティ(AIやコンピュータが、大部分の人間の仕事に取って代わる転換点)を迎えると予測されているという説を引きながら,コンピュータが追いつけない世界を創り出していくためには,「共感する力」と「イメージする力」を身に付けなければならない。その力を養うための「教育資源」は,地方に,天草にこそある,という講話でした。

 シンギュラリティと大げさに言わなくとも,車の自動運転や自動精算システムはどんどん進んでいますし,NetflixやAmazon prime等の動画配信サービスに押されて,TSUTAYAもCDやDVDレンタルから撤退しそうな勢いです。皆さんが壮年期を迎える頃には,本当に今ある仕事の半分はなくなってしまっているのかもしれません。
 
 私には,この30年間 ずっと忘れることができない詩のフレーズがあります。
 「あさはこわれやすいがらすだから 東京へゆくな ふるさとを創れ」
 谷川雁という水俣出身の詩人が読んだ「東京へゆくな」という詩の一節です。
 「朝」=「壊れやすいガラス」という等式を示され,それに一点の疑いも抱くことができない以上,それに続く「東京へゆくな」「ふるさとを創れ」という二つのメッセージにも一点の疑いも抱くことはできません。このメッセージには100%頷いてしまうのです。
 事実,1950年代このメッセージを受け止めた多くの若者が,東京に行くのをやめ,自らのふるさとを「根拠地」として活動を始めました。この言葉は、当時の多くの若い日本人の心を揺り動かし,一時代を創り出す言葉となったのです。
 
 全く脈絡のない言葉から一つの象徴的なイメージを創り上げ,人々の心を貫き通すことができるのは,人間だけです。どんなに膨大な知識データを蓄積しようとも,最先端の科学データを駆使しようとも,”規則に基づいたデータ処理”という大前提がある以上,現在のスーパーコンピュータ,量子コンピュータであっても,成しえません。
 そして,人間の中にあっても,このシンボリックなイメージ作りは,五感を使ったリアルな学びで感覚を研ぎ澄ませた人々の中からしか出てきません。これこそが,「地方にこそ人間教育のための教育資源がある」といった小宮山さんの主張の根幹でしょう。
 
 そこで,皆さんに望むことは,「五感で学べ」「イメージせよ」ということです。
 目の前の一つの事柄には,その出来事が起きた背景があります。「朝」を「壊れやすいガラス」と言われて,抵抗できなくなくなってしまうのは,我々の持つ「朝」の光の中に,壊れやすいキラキラとした硬質な光を感じているからです。その本質を突かれて,無条件に納得してしまうのです。
 日々「この背景は何だろうか?」とイメージし,仲間たちと「この本質は何だろうか?」と討議を繰り返すことで,全体を覆うイメージを構築することができます。
 本当に真実を捉えたイメージならば,世界の片隅から発信されたとしても,それは瞬く間に世界を覆いつくすことができるでしょう。その発信を許容する情報ネットワークは,いま世界中に張り巡らされているのです。
 
 2学期の開始を前に,科学部が シンガポール・ベトナム・タイ・台湾等を含めた,国際大会「Global link Online2021 General部門」で,本年度の最優秀賞を受賞したというニュースが飛び込んできました。
 濱昂輝さん,小松奈桜さん,田中翔大さん,濵﨑鴻さんの4人です。
 研究発表タイトルは”Toward a more accessible global warming countermeasure to protect the future by combining sea-level prediction and eelgrass planting.”(未来を守るよりアクセス可能な地球温暖化対策としての海面予測とアマモの移植研究)。
 地球温暖化を防ぐために,天草に住む我々はどうしたら良いのか,何ができるのか、という一つ突き抜けた思いが,言葉や文化習慣を超えて,集まった他の国の人々の心も動かしたようです。「日々学んだ中身で、何ができるのかが大事だ」という,これから先の新しい教育観を自ら達成してくれた天草高校生のもつポテンシャルの高さに敬服しきりです。おめでとう。更に世界に打って出る人が続いてほしいと思っています。
 
 最後に,皆さんにお願いです。
 いよいよ,3年生にとっては,本当に勝負の2学期となります。2年生にとっては,天高の屋台骨を背負ってもらうスタートとなります。1年生にとっては,天高生として,その才能を開かせ始める時期です。
 そこで,新型コロナウイルス感染拡大防止のために,もう一度,マスクをきちんと付け続けること,食事や歯磨きでマスクを外す際には喋らないことを徹底して,安心して学べる環境づくりに協力してください。
 2学期は,文化祭も控えています。一人ひとりが持てる力を存分に発揮して,とことん成長する秋にしていきましょう。

 

学校 全日制 1学期終業式あいさつ「社会と関わるということ,未来を創るということ」

社会と関わるということ,未来を創るということ

 

 今年も 新型コロナウイルスに振り回された1学期でしたが,一人一人が自覚して,様々な工夫を凝らしながら,「先の見通せない中でも 今 自分たちにできる最大限の努力」を積み重ねてくれています。本当にありがとう。

 先日,天草の地域の方々に,「天草高校に期待すること」というテーマで,アンケート調査を行いました。寄せられた意見を集約すると,二つの柱が見えてきました。
 「天草地域唯一の進学校として,上位学校への進学率向上」
 「将来にわたり,地域を担い,地域を活性化できる人材の育成」
 どちらも,長年天草高校を支え続けてくださっている方々の,最大公約数の思いです。

 そこで,敢えて私は 皆さんに「何のために 学ぶのか?」と 問い直したいと思います。
 毎日毎日 難しい勉強を いったいなんのために 学んでいるのでしょう?
 志望校に通るため? 難関大学に通るため? 親を喜ばせるため? いいえ違います。
 答は 単純です。 「未来を創るため」です。
 「世の中の,一人でも多くの人が,笑顔で幸せに暮らせるようにするため」に,私たちは学び,そして働いているのです。
 私たち「大人」は,これまで一生懸命学んで,働いて,皆さんに「未来」を渡せるように努力してきました。しかし,私たちは「過去の住人」です。皆さんの「未来」を全部創り上げることはできません。
 皆さんの「未来」を創るのは「未来の住人」である,あなたたち自身なのです。

 改めて尋ねます。「『未来を創る』ということは あるいは 『地域を活性化する』ということは,大学に入った後じゃないとできない学びなのでしょうか?」
 たくさんの大学や専門学校が,「未来を拓く」ための挑戦を続けています。
 「地域活性化」についても,多くの大学が,例えば熊大や県立大学でも取り組んでいます。これらの学びは,大学に行かないとできないことなのでしょうか?
 いま,天草高校・天草工業高校・天草拓心高校の生徒たちが協働で,本渡中央銀天街を活性化させるための「社会実験」に取り組み始めています。
 天草島内の100名を超える高校生たちが,地域の課題を学び,地域を活性化させるための「起業」の学びを始めています。
 社会と関わるということは,いつだって誰にだって,どこでだってできます。「できる」ということに気づいていないだけです。

 私は,この1学期に,一人の社会人として,熊本市の「6割の街路樹を伐採する」という計画に対し,アクションを起こすべきだと考え,友人たちとこの問題の勉強会を開いてきました。そして,この課題の背景や他所の国での取組や熊本市の活動についても調べ,情報共有してきました。勉強会の数名が,熊日新聞に意見文を書き,ツイッターで事実を広げ,そして,熊本市長に提言書を提出しました。
 私も,熊本市長に
「熊本市の「街路樹再生計画」では,街路樹の維持管理のために,市民の協力も願うという方向性が出されています。そうであるならば,是非,次世代を担う若者も入れて,街路樹再生計画を再考いただけないでしょうか?」と6月10日に手紙を出しました。
 そして,約2週間後の6月26日,熊本市の大西市長は「街路樹再生計画の中断」と「再生計画策定員会」の再開を表明しました。この大英断には深く感謝したい思いです。
 私の手元には,7月7日付で,大西市長から「新たな視点や市民の皆様のご意見を幅広くいただきながら,必要な見直しも行い,景観や街並みの将来の姿や,十年後,五十年後,市民が誇れる街路樹再生を考えてまいります。」というお手紙もいただきました。

 世の中には「先が見通せない」中でも,判断をしなければならない場面がたくさんあります。その時は良かれと思ってやったことが,後でとんでもない間違いだったということもたくさんあります。私たちの行動もひょっとしたら50年後,間違いだったという結論が出されているかもしれません。しかし,そうならないために,常にアンテナを高くし,正確な情報を収集して,様々な人々と意見交換し,自らの取ろうとしている行動の可否判断を行う必要があるのです。ここにこそ,「学ぶ」ということの,本当の意味があります。

 皆さんに渡す「未来」は,私たち大人がしっかり智慧を絞って創っていきます。
 しかし,「未来の天草」を,そして「これからの世界」を創っていくのは,あなたたち以外には居ません。大西市長への手紙の結びに「是非,次世代を担う若者も入れて,街路樹再生計画を再考いただけないでしょうか?」と入れたのも,まさにこの思いからです。

 皆さんの「未来」を創るのは「未来の住人」である,あなたたち自身なのです。
 社会と関わること,未来を創ることは,今この瞬間からも始められます。皆さん,どうか,先の見えないことを恐れず,前を向いて,今この瞬間にできることはないかと考え,行動し学び続けてください。そして,その大きな志を持って上級学校進学・公務員を目指してください。そのことが必ずやあなたの道を拓いていくことになると信じています。

 将来の目標のために,新たな決意を抱いて,有意義な夏休みにしてください。

学校 定時制 1学期終業式あいさつ「ことばの 一つひとつを 大切にするということ」

ことばの 一つひとつを 大切にするということ

 

 今年も 新型コロナウイルスに振り回された1学期でした。しかし,一人一人が自覚して学校生活に取り組み,先生方も様々な工夫を凝らして,日々の学びと,学校行事を進めてくださっています。本当にありがとう。

 先日,天草高校と交流している韓国の土坪高校の生徒 キム ガヒョン さんから 素敵な手紙をもらいました。
中には,「私の大好きな詩を 一生懸命 日本語に訳してみました。 読んでみてください」という手紙とともに 次のような詩が入っていました。

    「揺れながら咲く花」 ト ジョンファン

  ぐらつかずに咲く花が どこに あるだろうか
  この世の どんなに美しい花たちも みな 揺れながら咲いたのだ
  揺らぎながら 茎をまっすぐに 伸ばしたのだ
  揺らがずに行く愛が どこに あるだろうか

  濡れずに咲く花が どこにあるだろうか
  この世の どんなに輝く花たちも みな 雨に打たれて咲いたのだ
  風と雨に濡れながら 自らの花びらを温かく咲かすのだ
  濡れないでいく人生が どこに あるだろうか

 この詩は 韓国ドラマ「学校2013」の中でも,お互いの気持ちがバラバラになりそうな中で,担任の先生が クラスの子どもたちに向けて朗読する場面でも使われているということです。人生の応援歌みたいでとても素敵な詩ですね。


 私の好きな詩集に,『世界はもっと美しくなる』(寮美千子編 ロクリン社 2016年)という本があります。その中の詩をいくつか紹介します。

    「弱い自分・デキない自分」

  何をしても 失敗ばかりな自分
  どんなに努力しても 空回りするばかり
  どんなに集中しても たいした結果を出せず
  頭ではわかっているのに ミスを繰り返す自分
  注意されると 反抗的な態度をとってしまう自分
  感情が 顔や態度に すぐに出てしまう自分
  短気でどうしようもない自分
  がんばって口に出さずに タメた結果
  自分を責めて モノにあたってしまう自分
  いつまでたっても 成長しない自分
  そんな自分にウンザリだし 嫌いで仕方ない

  「ガキ」みたいに なれたら
  「ガキ」みたいに いまの生活を楽しめたら
  一体どんだけ 居心地がいいだろうか

  弱音を吐きまくる自分が 情けない
  強い自分・デキる自分に なりたい


    「うれしかったこと」

  ぼくは スーパーで4年 仕事をしていました
  1年は青果部で あとの3年は鮮魚です
  最初はすごく怒られ もうやめようと思ったときもありました
  でも あきらめずに一生懸命働きました
  勤めて2年目のときに 店長から呼び出しがありました
  「社員をしないか」といわれました
  とても びっくりしました
  そして ぼくは社員になったのです
  このことが 人生で一番うれしかったことです

他にも私の好きな詩を紹介しますね。次は私の一番好きな詩です。

    「3時のホットケーキ」

  小学校3年生のとき 学校から帰ってくると
  おやつは いつも ホットケーキ
  決まって お皿の上に3枚
  友だちのところにいくときも
  ラップに包んで持っていくのが 当たり前だった

  小学校4年生のとき
  お菓子屋さんでおやつを買って食べている子たちに
  ホットケーキをバカにされた
  それが すごく悔しくて恥ずかしくて
  次の日 お皿の上のホットケーキには手をつけず
  友だちのところへ行った

  そしたら次の日 テーブルの上に ホットケーキはなかった
  次の日も その次の日も
  おやつのない日々に ガマンできなくなったぼくが
  「おやつ代 ちょうだい」といったら すごく怒られた
  「みんなと同じように お菓子屋さんでおやつを買って
   みんなといっしょに 食べたいんだよ」
  そう訴えると すごく悲しそうな顔をされた
  なんで そんな顔をするのか ぼくにはわからなかった

  いまになって わかる
  まだ若くて 急にぼくといっしょに暮らすことになった あなたは
  どう接したらいいかわからなくて 一生懸命考えて
  ホットケーキを焼いてくれていたんだね

  いま 義母のことを「オカン」と呼べるようになった
  いろんなことがあったけど 育ててくれてありがとう
  あのホットケーキ もう一度 食べたいな


 この詩集は,誰が書いたのか? イニシャルがところどころ記しているだけです。
 なぜなら 奈良少年刑務所に入所していた少年たちが書いた詩だからです。
 この少年刑務所で詩を教えることになった 詩人の 寮美千子(りょう みちこ)さんは,最初とても躊躇したと記しています。しかし
 「彼らはみな,加害者になる前に,被害者であったような子たちなんです。極度の貧困のなか,親に育児放棄や虐待をされてきた子。発達障害をかかえているために,学校でひどいいじめを受けてきた子。厳しすぎる親から,拷問のようなしつけをされてきた子。親の過度の期待を一身に受けて,頑張りすぎて心が壊れてしまった子。心に深い傷を持たない子は,一人もいません。その傷を癒せなかった子たちが,事件を起こして,ここに来ているんです。本当は,みんなやさしい,傷つきやすい心を持った子たちなんです。」と刑務官の方に話をされて,通い始めます。
 そして,詩の教室を開く中で,固く閉ざされた心の扉が開かれたとき,溢れ出てくるのは「やさしさ」でした,と語ります。


 私にとっても,この詩集の子どもたちの言葉は宝物です。

 しかし,みんなの心の扉が開かれたときに出てくる言葉は,もっともっと宝物です。
 天定(あまてい)の先生方は,毎日毎日みんなの言葉の奥底にある思いを掬えないかなと思って,何度も何度も反芻し,イメージし,考え続けています。
 同じように,彼の 彼女の あの言葉の後ろには どんな思いがあったのかな? どんな背景があったのかな? とイメージしてみると お互いの関係性が もっと 広がっていくかもしれません。

 言葉の一つ一つを大事にしながら お互いに育ちあがっていきましょう。

 夏場のキツイ時期に仕事が続く人もいるでしょうが,少しでも心と体のリセットをして,二学期また元気に会いましょう。一学期間 お疲れさまでした。

了解 失敗したら まず。。。

「校長先生 少しよろしいでしょうか」と ある先生が深刻そうな表情で訪ねてきました。

 尋ねてみると,先日,実験教室を出る際,最後のチェックを忘れ,一か所棚の鍵が掛かっていなかったのを,別の先生が見つけて対処してくれたとのこと。
「申し訳ありませんでした」と平謝りです。

 その日は,ギリギリまで翌日の実験の準備を行っていて,気が付くと保育園の迎えの時間。気が焦っていて,点検したつもりだったが,やはりきちんと施錠できていなかった。翌日,同僚から鍵の件を教えられ,やってしまったぁ,と落ち込んでいたとのこと。
 そして,家に戻って,娘に「ママ失敗しちゃった」と話すと,娘から「失敗したら,まずゴメンナサイでしょ。」と言われ,そうだ,校長先生にまだ謝っていないと,また落ち込んでしまって。。。
 目には,うっすらと涙をためています。

 保育園に通う女の子の諭す言葉は,彼女の心の奥を貫いたようです。素敵な親子です。

 我が子を思う母がいて,母に教えられた言葉を素直に口にする娘がいる。
 そして,さりげなく支えてくれる同僚。

 温かなつながりの中で いま 心の触手が伸びつつあります。

お祝い 天草高校の新生徒会役員が選出されました!

 天草高校の新生徒会役員が選出されました!

 天草高校の新生徒会役員選挙には会長候補2名,副会長候補6名が立候補するという大混戦。

 ある若手の先生は,
「2年生は例年に比べおとなしい生徒が多いのかなと思っていたけれど,一人一人しっかり主張を持っていて,
『このメンバーになら天草高校の明日を託せる!』とワクワクしながら演説を聞くことができました」
 と語ってくれました。

 コロナ対策で,テレビ画面を通しての立会演説会となってしまいましたが,その熱は天草高校生徒たち一人一人の胸に届いたようです。

 投票集計も、僅差の判定となり、間違いがないよう繰り返し点検を行って 当選者が確定しました。

 

 今回,生徒会長に当選した杉尾くんの立候補の理由は,
 コロナ禍というこれまでに誰も経験したことのない状況の中で,工夫を凝らし,各学校行事を盛り上げ,成功に導いた先輩の姿に触発されたからでした。

 天高がさらにステップアップできるよう,天草から輩出した多くの優秀な人財との繋ぎ合わせにより,天高ルネッサンスを興そうというものです。杉尾くんは言います。

私が考えた公約は『天草で活躍されている方や,天草出身の有名人と,天高生とを繋ぐ取組を行う』というものです。同じ天草で生まれ育った偉大な先輩方の存在を身近に感じられれば,希望や自信につながります。この取組を通して皆が広い視野を持ち,一人一人が今よりもっと自信と希望をもって学校生活を送れたら,天高全体のステップアップにつながると思います。

 副会長に当選した金子くんは,「生徒が自分の力を主体的に発揮することができる学校にしたい」と考え,立候補に踏み切りました。

皆さんは,〈主体的〉という言葉を,どのように捉えますか? 言われるからやるのではなく,自分からやるという風に捉える方が多いと思います。それは間違っていませんが,私が思う〈主体的〉という言葉の意味は,〈自分が集団を引っ張っていくという意志を持って行動する〉ということです。天高生一人一人が『自分がこの学校,集団を,勉強・部活動で引っ張るんだ』ということを意識して行事などに取り組めば,この学校はもっと活気に満ちたものになると思います。

 もう一人の副会長に当選した山田くんは,「常識を振り返り,礼節ある活気あふれたにぎやかな学校にしたい」と訴えています。

皆さんは,先生方や地域の方々にあいさつするとき,一度立ち止まっていますか? しっかり目を見ていますか? 当たり前のことがおろそかになっているのではないでしょうか? コロナウイルス感染拡大のため,活動が制限されている私たちの一度きりの高校生活を,悔いの残らないよう,生徒全員にとって最高のものとするために全力を尽くします。

 どの思いも,しっかり天高生一人一人の胸に届き それぞれの共感を呼んだのでしょう。


 また惜しくも落選とはなってしまいましたが,天高の将来を考えた,高校生としてのあり方を考えた,大切な意見も多く出されましたので,紹介します。

校則のアップデート
 伝統には引き継ぐ重みがある。時には変化も必要。
 現代も新型コロナによって変革の時を迎えている。伝統の継承と発展を。

生徒会と生徒一人一人を繋ぐ
 これまでリーダーとして皆をまとめる難しさを分かっている。
 何かと孤立しがちな生徒会と皆とを繋ぐ存在になりたい。

全員が自分の目標に向かって努力する学校
 コロナ禍で,毎日友達と会い授業を受け部活ができるという,当たり前の有難さを知った。
 一人一人が,様々な可能性に挑戦できる学校へ。

誰かのために動くことができる生徒会
 先輩方の努力により学校行事が継承できた。誰かのために動く生徒会は魅力的。
 自分が誰かの役に立ちたい。

皆が過ごしやすい雰囲気の学校づくり
 昨年不登校を経験した。担任の先生方が親身に向き合ってサポート。登校できるようになった。
 天高の一人一人を支えていきたい。


 こんなにもたくさんの天高愛を聞きながら,
「創立200周年に向かうこの天高の舵取りを,安心して任すことができる!」と,嬉しくなってきました。

 また,一人一人がこれほどまでに赤裸々な思いを語ることができたのも,天高の仲間に支えられているという実感があるからでしょう。

 天草高校は これからも ますます輝き続けます。声援よろしくお願いいたします。

! ある壺の話 その2

 図書館の宮本先生が継続調査中です!
 前回以降 分かったことをご紹介します。

 前回,「小川広山さんが ひょっとして旧制天草中学校の窯業部を指導かも」,としていましたが,実際に指導していたのは,丸尾焼三代目金澤武雄(かなざわ たけお)さんでした。

『AMACUSA NO TOUJIKI Kako.Genzai.Mirai』(金澤一弘編 天草陶磁器振興協議会 平成12年10月)にその記述ありました。以下,関係個所を抄出します。
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明治24年(1891年)3月18日,丸尾焼二代目金澤久四郎の四男として生まれた武雄は,
明治37年(1904年)熊本県立中学済々黌天草分校に入学し,
明治39年(1906年)佐賀県立有田工業学校に転入。
明治43年(1910年)3月,同校陶業科を卒業。農商省工業試験所を皮切りに山形県下各所で窯業所や製瓦会社を新設し,所長として技術指導に尽力した。
大正11年(1921年)30歳で天草に戻り,天草窯業株式会社技術顧問。続けて工務部長,技師長となる。
同年7月 同社退社後営農に従事しながら丸尾焼にも携わり,主に甕類,壺容器の製造に従事する。
大正14年(1924年)には,熊本県から陶器製造講習会講師を嘱託され,後に熊本県地方商工技師に任命される。
昭和2年(1927年),商工省より沖縄県商工技師に任ぜられ渡沖。
昭和4年(1929年)新設された沖縄旭窯業株式会社の技術指導にも尽力した。
昭和7年(1932年)父金澤久四郎病没のため沖縄での公職を辞して天草に帰郷。
帰郷後,三代目金澤武雄として,家業に勤しむこととなったが,時代の動きと社会の変化に伴い,小規模経営による陶磁器製造では工業的な製品に太刀打ちできない状況となっており、戦争拡大の機運により,資源枯渇に対抗する陶磁器製品の工業的大量生産を必要とする声も高まっていた。


そこで武雄は,昭和7年(1932年)天草中学校の嘱託となり,校内に窯業部を創設すべく奔走した。そして,同年、天草中学校内に窯業部実習工場が設置されている。(※天草中学校窯業部の教育開始は昭和9年度(1934年度),窯業試験場創設は昭和10年度(1935年度))。

       写真右奥に立つのが金澤武雄氏 ➡
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 『天草高校百年史』の中にも「嘱託」として,「金澤武雄 昭和7・6~昭和10・12」という記述が見られます。
 旧制天草中学校で窯業部を立ち上げ,窯業試験場完成まで技術指導にあたっていたのは,丸尾焼三代目・金澤武雄さんでした。

 前掲書の編集子は,武雄氏が,天草中学校での指導と同時期に肥洲窯業株式会社の総務部長になっていることを指摘しながら「武雄が,次世代の技術者を養成し,陶磁器製品の工業的大量生産によって地域振興を目指し,製陶業を元にした産業化をねらっていたことがよく伺える」と評しています。

 全国の窯業試験場を立ち上げながら次世代の育成に力を注いでいた武雄にとって,天草はまさに「宝島」と映っていたのでしょう。近代工業殖産期の浪漫が感じられる展開になってきました。

 しかし,肝心の天草高校校長室に置かれている優美な壺の正体は,いまだ判然としません。金澤武雄さんが関わっているであろうことは想像に難くないのですが。とりあえず,今回の調査報告はここまで。

 前・平田浩一校長先生から
「壺の底には「苓州」という署名が入っている。何かヒントになれば」と連絡をいただきました。

 引き続き調査を続けます!

?! ある壺の話

 天草高校校長室に入ってすぐ左手に 乳白色の釉薬が光る高さ1mちょっとの大きさの優美な壺が置かれています。「銘板もなく,どなたの作なのだろうか?」と,歴代校長先生の間でも話題になっていたそうです。

 今朝(6月15日),天草高校同窓会の安田会長と池田副会長がお見えになり,「昨日,丸尾焼の金澤さんと会って話している時にこの壺の話題となりました。金澤さんが仰るには『昭和16,17年ごろの天草中学窯業試験場の時のものではなかろうか?』ということだったので,確かめに来ました」とのこと。
 また池田副会長が仰るには,「この壺の釉薬の感じからすると,小川広山(おがわ こうざん)さんの指導によるものじゃなかろうか。小川広山さんは,知る人ぞ知る,近代の天草を、いやいや日本を代表する作陶家ですよ」と。

「天草高校の前身である旧制天草中学校に,窯業試験場があった?」にわかには信じがたい話なので,図書館の宮本先生にレファレンスを申し込むと,日本史の宮部先生と2時間がかりで,いくつかの資料を見つけ出してくれました。

 結論から言うと,確かに昭和10年代,旧制天草中学校には「窯業試験場」が設置されていました。

「天草の(中略)製陶業が発展する中で,昭和10年4月より天草中学校内に窯業試験場が創設された。従来は利用されていなかった酸化鉄含有量の多い廃石を原料とする製品の研究を目的とした。」(『ふるさとの想い出 写真集 明治大正昭和 天草』鶴田文史編著 昭和54年11月 国書刊行会)
 写真はその当時の天草中学につくられた窯業試験場の写真です。


 場所は,現在の天草高校のプールがあるところの横,町山口川沿いの場所に建てられていたようです。同様の記事は『天草陶磁焼の歴史研究―苓州白いダイヤの巧』(鶴田文史著 天草民報社)にも「昭和10年4月 本渡の天草中学校に窯業試験場を創設」と見られます。

 また,『天草高校百年史』(「天草高校百年」編集委員会編 平成10年3月 イナガキ印刷刊)の記述によると,昭和10年代の天草高校の授業科目・教育課程の欄に「實業『商業・窯業』」という記述も見られ,旧制天草中学校で新しい製陶を目指して,窯業の授業が行われていたことも間違いないようです。

 では,その指導者は誰なのか? 池田副会長が仰るように小川広山さんなのでしょうか?
 当時の天草中学校教職員名簿には,氏名と教科名が載っているのですが,實業または窯業という科目名は見当たりません。ということは外部から教授者を招聘していたのではなかろうかと想像されます。

 宮部先生・宮本先生がまた興味深い資料を見つけておいでになりました。

 当時天草には4つの近代窯業株式会社があったというのです。
「天草の窯業は近代に入って伝統的なもののほかに新しく株式会社形態が成立し創業する。その一つは大正9年12月創業の南九州窯業株式会社で,これは近代楠浦焼の和田・森下製陶所のあとにできた小川富作の大門工場と,小川製陶所に出来た小川富彦の廣瀬工場からなっていた。さらに昭和8年3月には楠浦の錦島に肥州窯業株式会社が創立された。(中略)天草の近代的窯業の株式会社はもう一か所志岐(苓北町)に創業する。大正9年4月創業の天草窯業株式会社である。」(『ふるさとの想い出 写真集 明治大正昭和 天草』同前)

 本当に近代期の天草は、製陶業の一大中心地とも呼べそうな勢いがあったんですね。

 ところで 楠浦の大門にあった「南九州窯業株式会社」大門工場,
 同じく広瀬にあった「南九州窯業株式会社」廣瀬工場,
 楠浦錦島に出来た「肥州窯業株式会社」,
 苓北町志岐に出来た「天草窯業株式会社」。
 この4つの窯業株式会社で,地理的な位置関係でみると,旧制天草中学校に一番近いのは「南九州窯業株式会社」廣瀬工場です。正確な位置は分かりませんが,学校まで1.5~2kmといったところでしょうか。
他は楠浦ならば約7km,志岐ならば約20km程度。授業に頻繁に指導にやってくるとしたら,この廣瀬工場が最も可能性は高いでしょう。

 そして,その廣瀬工場の責任者は,小川富彦さん。池田副会長が仰っていた小川広山の本名は,小川富彦。何やら急に運命の糸が絡みだしたようですね。

 しかし,今回の調査はここまで。
 また,調査に進展がありましたら,ご報告いたします。

 「調べる」って面白いですね。宮部先生,宮本先生の話を聞きながら,私もワクワクしてきました。
 天草高校の生徒諸君,「調査・探究活動」は奥が深いよー。 楽しいよー!

? 21世紀を拓く力

 いま教育界は、世界的な産業構造の変化により「知育偏重」から「自ら考え、行動する主体的な人間育成の教育」に大転換しつつあります。
 本校でも新教育計画(雛鵬プラン)を作成し、「SSH指定校」「一人一台端末先行実践校」「学力向上研究指定校」として「探究学習」及び「ICT活用授業」の先行研究を行っております。今春、東京大学を始め大阪大学、九州大学、慶応大学、早稲田大学等の難関大学や、三年連続で熊本大学医学部医学科に合格者を出したのも、その成果の一つであろうと考えております。

 しかし本校が目指すのは、単純な大学合格者数ではありません。「21世紀型スキル」を備えた人材の育成です。

「何を理解しているかを自ら振り返り、その知識を使ってどのように自分が世界と関わるか、どのように社会に適応するかを考え、周囲を巻き込みながら実践できる」能力と実践力を備えた人間の育成
―言葉で記すと至極当り前の資質能力ですが、様々な価値観が対立し、容易に解決の糸口が見いだせない新世紀のとば口に立っている若者たちだからこそ、日々の教育活動で常に主体的に思考させ、世界を視野に入れた「21世紀を支える人間」を育てていきたいと思います。

 例えば、これまで生徒たちに提示した課題に「水不足の解決」があります。世界で水を使わない水洗トイレの開発にしのぎを削っている様子等を紹介し、あなたならどうすると問いかけました。3年生の廊下掲示板には「再生可能エネルギーの可能性」について、様々な資料が掲示されています。本校のSSH研究班でも潮力発電の可能性を研究し始めています。

 そして、いま私が、身近な問題として関心を寄せているのが、「緑との共生」問題です。
 最近、熊本日日新聞でも取り上げられるようになり私も知ったのですが、熊本市の街路樹再生計画をめぐり様々な立場の意見が表出しているようです。
 興味ある方は、5月22日の熊本日日新聞「SNSこちら編集局」、6月4日「『森の都』原点帰り再考を」矢加部和幸氏の署名記事、6月8日射程「緑との共生」浪床敬子氏の署名記事等をお読みください。

 概要は、熊本市の電車通り及び熊本県庁前を抜けて第二空港線沿線の街路樹の約6割をこれから3年間かけて伐採するという計画についての是非です。
「SNSこちら熊日編集局」によると、「熊本市内の街路樹は249路線に約1万5千本の樹木があり、成長しすぎた木が歩行者の妨げになったり、根が歩道を押し上げたりするようになり、強風による倒木も発生している。管理費も年々増大し、2018年度の6億1400万円が10年後には10億円に膨らむという試算もある。沿線住民からは「害虫がいる」「落ち葉で側溝が詰まる」「鳥の糞が汚い」などの苦情も寄せられているため、熊本市は対応を迫られている。」ということのようです。
 そのため熊本市は令和2年(2020年)3月に「街路樹再生計画」を策定し、重点路線に電車通りと第二空港線を選定し、前段のとおり、約6割の樹木が伐採対象となったというわけです。

 しかし、調べてみるとこれは熊本市だけの問題にはとどまらないようです。
 熊本市が策定した「街路樹再生計画書」を読んでいくと、現在の熊本市の担当の方々が置かれている状況、苦悩が窺われます。
 平成27年(2015年)に改正された国土交通省の「道路緑化技術基準」は、それまでの柱としてきた〈自然環境の保全〉から、〈道路交通機能の確保〉を前提とする価値基準への大転換であり、〈交通の安全、適切な維持管理及び周辺環境との調和に留意しなければならない〉とする「道路緑化基本方針」の文言は、地域住民や運転者等からの苦情・不安には、積極的に対応する義務が生じているようにも読めます。
 そのために、苦肉の策として、熊本市の街路樹の問題を、安全性の低下や景観性の低下、維持管理における経済的課題を含めて抜本的に解決しようと今回の計画を策定し、審議会で協議を行ってきたという流れが透けて見えてきます。
 また一方で、この計画を知った人々が、「6割も伐採を行うのはちょっと待って。“森の都”熊本にはふさわしくない計画です」「緑と共生できる方法はないかを探りましょう」との声を上げ始めているのです。

 この「道路緑化技術基準」は、街路樹等を管理するすべての市町村に当てはまります。決して他所事ではありません。

 前置きが大変長くなってしまいました。
 そこで、それでは、次世代を担う若者たち、次の街づくりを主体的に進める若者たちが、この問題に対し、どのようにアプローチし、どのような解決策を見出そうとするのか、私としては大いに興味があります。自分たちの将来Visionに直結する問題ですから。

 簡単に解決策が見つかる問題ではないでしょう。
 しかし、だからこそ粘り強く皆の智慧を絞り合って考え抜く必要があるのではないかと考えています。

「何を理解しているかを自ら振り返り、その知識を使ってどのように自分が世界と関わるか、どのように社会に適応するかを考え、周囲を巻き込みながら実践できる」能力と実践力を備えた人間の育成―天草高校の教育の旗印に、この「21世紀型スキル」の理想を掲げる以上、これからも答えの出ない課題を提示し続けます。
 そして、一つでも二つでも解決に向かって歩みをスタートさせる若者が出れば、と願っているところです。

ハート 揺れながら咲く花

6月8日(火)
天草高校と交流している韓国土坪(トピョン)高校の生徒 キム ガヒョンさんから
私に一通の手紙が届きました。

「こんにちは 馬場純二校長先生
 私は トピョン高校3年に在学中のキム ガヒョンと申します。
 私は 高校3年生なので 大学入試に対するストレスが多いですが,
 楽しい国際交流活動をする時には,そのストレスを振り払うことができます!

 今年も 去年のようにcovid-19で直接お会いできなくて 本当に残念です。
 しかし,オンライン国際交流のおかげで校長先生にお目にかかれて本当にうれしいです!!
 最近covid-19でとても大変な時間を過ごされそうなので,
 私が好きな韓国の詩を翻訳してみました。」

この言葉に続けて,可愛らしいチマチョゴリの便せんに,次のような詩が記されていました。

   揺れながら咲く花
                 ド ジョンファン(訳キム ガヒョン)

 ぐらつかずに咲く花が どこにあろうか
 この世の どんな美しい花たちも みな 揺れながら咲きました
 揺らぎながら 茎をまっすぐにたてました
 揺らがずに行く愛は どこにありますか

 雨に降られないで咲く花が どこにあろうか
 この世で どんなに輝く花たちも みな 雨に濡れて咲きました
 風と雨に濡れて 花びらをあたたかく咲かせました
 濡れない人生なんて ありえないでしょう

 

素敵な詩です。
日本語を学びながら この詩を日本の友人たちにも紹介したいと
そして 一日も早くcovid-19が終息し 平穏な日々が戻ってくることを願う
ガヒョンさんの優しいぬくもりも伝わってきます。

厳しい韓国の大学受験を前にして,
日本の高校生たちと将来を語り,未来を切り拓く夢に向かって手を携える存在を得たということは,
彼女にとっても,力強い支えとなっているのでしょう。

困難な出来事はあっても
困難の分だけ 美しい花を咲かせることができる!
私たちも「揺れながら咲く花」を口ずさみながら,前を向いて誠実に生きていきましょう。

キラキラ 世界が一つになる

5月21日(金)韓国土坪高校とのオンライン交流が始まりました。

 16時20分開始予定が 音声の不調で20分ずれて 16時40分スタートです。
 お互いに 与えられた時間をいっぱいに使って(少々オーバーもしていましたが)自己紹介です。
 名前の発音を韓国語で解説したり
 (例えば メ〈매일 매일 メイルメイル〉 グ〈구빤찌グーパンチ〉 =意味は毎日毎日 グーパンチ!!
  ずいぶんストレスが溜まっているのねと思ったら 横に可愛らしいアンパンマンのイラストが^^)
 メッセージボードを使ったり
 パワーポイントで韓国のはやりのファッションを披露したり
 グループダンスを披露したり と
 ちょっとした文化祭並みです。笑いが出て 拍手が沸き起こり あっという間の1時間半でした。

その後,韓国の土坪高校 朴仁淑校長先生からメールが届きました。

 「今回,長い歴史を持っている天草高校の伝統や勤勉な国民性を実感しました。
  天草高校の生徒たちが,自己紹介を,韓国語まで学んで発表してくれる姿に,心から拍手を送ります。

  本校には,授業で第二外国語に日本語を選択している生徒がいます。
  上手な生徒もいますし,これから学んでいく生徒もいます。
  今までは,表現力が良い生徒は 女学生に多かったのですが,
  今年は,男子生徒たちも何人も学びに参加して,
  ずいぶん,雰囲気が変わってきたように思います。
  先日の交流会に先立ち,5月19日(水),我が校では「日本の文化紹介祭」を開催しました。
  その時,男子生徒たちが展示場を設け,朝早くから熊本の「くまモン」の着ぐるみを着て,
  女子生徒たちはゆかたを着て,登校する生徒にプレゼントをあげたりして,
  一生懸命ミッションを実行している姿が目を引きました。

  世界市民を目指す皆さん。
  まだ十分に言葉は通じませんが,私たちは教育を通じて,文化を通じて世界が一つになる先鋒に立ちましょう。
  皆さん 愛してます。」

朴校長先生の「教育を通じて,文化を通じて世界が一つになる先鋒に立ちましょう」には,本当に勇気づけられます。

「世界が一つになる」― 少し前までは 夢の中のことばでした。
(今も 世界のいたるところで紛争が続いていますが 若者たちから様々なメッセージが発信され始めています。)

 ハートに熱いものを持っていても 皆の前では「尻込みする日本人」というイメージも強くありました。

しかし
子どもたちの生き生きとした姿を見ていると
あっさりと “一歩” を踏み越えてくれたような気がします。

「世界が一つになる」― 21世紀の子どもたちの手の届くところにあるのかもしれません。
この大いなる日に向けて 皆で手を携え 少しずつその輪を広げていきたいとおもいます。

ハート 認めてもらえるって 嬉しい!!

5月24日(月)
朝からの雨が小降りになってきたと思ったら,天草市の子育て支援課の課長から お電話をいただきました。

課長の優しい語り口の向こうから 電話のベルが響いています。
スタッフの方々が,子どもたちのケアや,家族の支援に奮闘されているのでしょう。

「先日の定時制の子どもの作文 感激しました。
 認めてもらえるって 嬉しいですよね。
 私たちだって嬉しいんですから,
 子どもたちはなおさらですよね。
 天草市にも様々な境遇を背負わされている子どもたちがいます。
 その一人ひとりを支えて その子を〈認めるということ〉が
 一番大事だと思って 改めて 課内のスタッフと声かけあったところです。」

ぬくもりの感じられる言葉一つひとつに 
私は 「ありがとうございます」の言葉しか返すことができず
受話器を握りしめたまま 何度も何度も深く頭をさげていました。


先日の作文を書いた定時制の子どもと 子育て支援課の方と どのようなやりとりがなされたのか
子どもから直接 話は聞けていません。
しかし二人のシルエットが浮かんでくるのです。
 ― 将来どうする? 学校(高校)には行っといたほうがいいかもね
 ― でも ずっと授業受けていないし 勉強についていけるか。。。
 ― だったら 定時制に行ってみない? ゆっくり自分のペースで勉強できるよ


定時制には 様々な子どもたちが集まってきます。
不登校を経験した子もいれば,いじめられたショックから学校に足が向かなくなった子,家計が厳しいため上級学校進学をあきらめ働くということを選択した子,複雑な家庭境遇のもとに育ち自分の居場所探しを続けている子 実に様々です。

でも そんな子どもたちが,同じように
「定時制に来たら 息をするのがラクになった」と言います。
これまで様々なストレス(「・・・ねばならない」の世界)に虐げられていたのかと思うと胸塞がれる思いです。

定時制に来たからといって,それまでのキツさがなくなってしまうわけではありません。
しかし,定時制の先生方は,毎日「始まりの会」で
生徒たちの昨日の言動からの〈気づき〉を報告し合い,情報を共有して,
どのような支えができるか,どのような導きができるかを考えていきます。
〈少しでもあの子の心の重荷が軽くなれば〉〈少しでも自分の将来に向かう勇気が出れば〉
定時制の先生方が共通して抱いている思いです。

「先生(大人)との垣根が低くなった」という言葉もよく聞く言葉です。
子育て支援課の方々と接した際も 多分同じような言葉を漏らしていただろうなと考えます。
ある定時制の卒業生が仰いました。
「あなたたちは未来を背負って立つ〈貴重な宝〉=〈人財〉なんですよ」。
とても素敵な言葉だと思います。

いまは
子育て支援課の方々や,地域の方々,中学校の先生方に繋いでいただいた
この貴重な宝の子どもたち 一人ひとりの
人生の伴走者として
ゆっくりと歩き続けられたら と考えています。

ハート 私の心は 解きほぐされ 軽くなっていきました

 天草高校の定時制では,毎日,様々な子供たちが,夕方から学校に集まり,「夢」実現のために勉強を続けています。

 その中の一人に 次のような作文を書いてきた子がいます。
 

 私は中学校二年生の時に学校へ行けなくなりました。

 私が家にいると家族から登校を強く促されるようになりました。

 自分でも「学校へ行かなくてはならない」と思いながら,どうしても登校できません。担任の先生が家庭訪問をしてくださいますが,状況は変わりませんでした。

 しばらくして,天草市の子育て支援課の方が自宅へ訪れるようになりました。
 初めは,その方との会話が成り立つこともなく,気まずい空気が流れるだけでした。
 しかし,何度かお会いするうちに私の心は解きほぐされ軽くなっていきました。やがて,次の訪問が待ち遠しくなりました。

 私は職員の方の包容力のある人柄に触れ,私の心の奥底に潜む得体の知れない何かを取り除いてくれたコミュニケーションの力のおかげで,再び歩みを始めることができました。

 私はいま定時制高校に進学し学んでいます。在籍している生徒たちの中には,天草市の子育て支援課のお世話になったことがある生徒が少なくないことを知りました。

 私はいま,夕方からの授業が始まる前に,公務員試験の勉強をしています。自分自身の経験を,自分と同じような状況にある人たちへの支援に生かし,市の職員として地元の人たちと関わっていきたいと思うようになったからです。

 先生方は,私の決意を知って応援してくださいます。

 引き続き,定時制の仲間たちとより良い学校生活を続けていくために,そして,将来,自分の経験が同じような境遇にある地元の子どもたちに生かしていくために,毎日勉強を頑張っていきたいと思います。

 静かな語り口ながら,天草市子育て支援課の方との貴重な出会いへの感謝が,じんわりと伝わってきます。サン=テグジュペリ『星の王子さま』の,王子に語り掛けるキツネの言葉のようでもあります。

 天草市子育て支援課の方々の,急がない 丁寧な そして継続的な支援に 心から感謝しています。

 学校の勉強も,公務員の勉強も,友達づくりも,必死に頑張っている彼には,将来,是非天草市の職員として,地域の若者や,すべての人々を支える役割を担って活躍してほしいと思っています。
 そしてその「夢」実現のために,これからも全力で,応援していきたいと思います。

 

「おれの目から見ると、あんたはまだ、ほかの十万もの男の子とべつに変わりない男の子なのさ。だからおれは、あんたがいなくたっていいんだ。あんたもやっぱりおれがいなくたっていいんだ。
 だけど、あんたがおれを飼いならし仲良くなると、おれたちはもうお互いに離れられなくなるよ。あんたはおれにとって、この世でたったひとりの人になるし、おれはあんたにとって、かけがえのないものになるんだよ」(サン=テグジュペリ『星の王子さま』内藤濯訳より)

キラキラ 素敵なおくりもの

 5月12日(水)夜遅く 官舎の玄関の呼び鈴が鳴るので出てみると
 一人の女性が 暗い雨の中立っていました。

「突然 すみません 覚えていらっしゃいますか? 先日の自転車の・・・」
 と女性が話し始めると 後ろからぴょこんとお辞儀をして 笑顔の女の子が立っています。

「あーっ 愛ちゃん!」
 先日 官舎の前でゴムひもを自転車のギアに絡ませて途方に暮れていた女の子です。
 今日は いっぱいの笑顔です。

「先日は本当にお世話になりました。 何度かお伺いしたのですが いらっしゃらなかったので」
 というお母さんの言葉に続いて 女の子が

「ありがとうございました。自転車もちゃんと直りました。
 いまは 体育祭の練習に頑張っています!」

 と可愛らしい笑顔を見せてくれました。

 

 二人が帰った後
「これ どうぞ」と
 手渡してくれたものを見ると 女の子が一生懸命書いたメッセージです。

 笑顔通りの純な心が すーっとしみ込んできます。
 「このあとどのようにすればいいかまで教えてくださり」
 あの時の 不安だった気持ちが手に取るようにわかります。
 

 いつも思うのですが 私たちは 一人では何もできません。
 事実 この間も 私は 女の子の自転車のゴムひもを外すことはできませんでした。
 しかし 誰かの不安に寄り添うことは できるような気がします。
     周囲にSOSを出すことも できるような気がします。
 そして この先どうしたらよいのかを一緒に考えることも できるような気がします。

 あの時 おじさん三人組が 女の子の不安な心を少しでも支えることができたのならば
 本当にうれしい限りです。

 早速 今朝(5月13日)、朝礼が始まる前に、岩間先生たちに見せると
「うわーっ 素晴らしいですね!」
「ちょっと、聞いて 聞いて!」と周囲に先生方を集め メッセージの言葉を読んで聞かせています。


 またあの中学生の女の子から
 素敵な宝物をいただきました。
 今日も、素敵な木曜日の朝です!

 

追記

 おじさん三人組はあまりにうれしかったので 手書きで 愛ちゃんに手紙を書くことにしました。
 残念ながらその手紙は愛ちゃんのところに届けられて残っていないのですが
 手紙の内容が残っていたので 紹介します。

 

 先日は 朝から大変でしたね。
 このたびは お手紙付きのお礼までいただき ありがとうございました。
 お手紙を拝見したところ 自転車も無事修理が終わったようで
 新しい中学生活を楽しんでいることと思います。

 人との出会いには色んな出会いがあります。
 登校中の自転車のトラブルという形での今回の出会いは
 愛さんにとって 本意ではなかったことでしょう。
 ただ、あの日 愛さんがお礼を言って自転車に乗って去っていく姿を見た時
 私自身困っている人の役に少しでも立てたことを 嬉しく思いました。

 私は、優しさは リレーの「バトン」のようなものだと思っています。
 私もこれまで多くの人からその「バトン」を受けながら生きてきました。
 いや 今だってそうです。
 愛さんの これからの人生でも たくさんの人々と色んな出会いがあると思います。
 もし、その出会いが 何か困っている人との出会いであったならば、
 今度は 愛さんが その「バトン」をつないでくれたら嬉しく思います。

 最後になりましたが、愛さんの中学生活が充実したものになるよう 期待しています。
 頑張ってくださいね。

                        天草高校 岩間 智徳

 

 ご丁寧にお礼のメッセージをいただきありがとうございます。
 先日は 朝から 大変でしたね。
 その後 無事学校に着くことができ、自転車も修理できて元通りに乗れていると聞き、
 安心しました。

 私も 今まで生きてきた中で いろいろと困ったことがあったり
 どうすれば良いかわからないことになったりという場面をたくさん経験してきましたが
 その度に 周りの人に助けていただきました。

 愛さんも 今後 そのような場面に出会った時には
 困っている人に力を貸してあげられるようになっていただければ 嬉しく思います。

                        天草高校 内村 幸平

 

 先日は 雨の中 お母さんと わざわざあいさつに訪ねてきてくれてありがとうございました。
 しかも何度も訪ねてきて下さったとのこと 本当に申し訳ありませんでした。
 愛さんの笑顔を見ることができて本当に嬉しかったよ!

 私は 天草町高浜の出身です。
 中学に入学したばかりの時、小学校からの友人が苓北町の医師会病院に入院したので、
 バスを乗り継いでお見舞いに行ったことがあります。
 しかし 話に夢中になって、母と約束した午後四時過ぎのバスに乗り遅れてしまいました。
 バスの時刻表を見ると、次の最終バスが出るのは午後六時過ぎ。二時間ほどあります。
 当時はスマホもなく、親に連絡する手段もないので、『母が心配するだろうな』と思うと
 いつの間にか 海岸沿いの道を歩き始めていました。
 やがて 辺りを夕日が赤く染め、そして、日が落ち、足元も見えないくらいの闇がやってきました。
 怖くて歩を進めるのだけれど、行っても行っても灯り一つ見えてきません。波の音が静かに響いているだけです。
 やっと道のはるか遠くに灯りが見え始め、泣きながら必死に走ってたどり着いたのは、下田温泉の停留所でした。
 ベンチに座って泣き声を必死にこらえながら泣いていると
 『どうして もっと早く帰らなかった』と自分を責める声が響いてきます。
 しかしそれに答えることができないので また 涙を流すのです。
 あの時 あのバス停に人が居たら、たぶん、変な子供だと思われたかもしれませんが、
 抱き着いて泣いていたような気がします。

 しばらくすると 丸い灯りを灯したボンネットバスがやってきて、無事高浜まで帰ることができました。
 案の定 母にはこっぴどく叱られました。
 しかし、母のもとに帰ってくることができたというのがとても嬉しかったのを覚えています。

 だから、というわけではないのですが
 困っている人を見ると 自分ができる できない ということを飛び抜かして 声を掛けてしまうのです。
 誰かが横にいてくれるというだけで心が安らぐ 安心できるということを体験したから。

 ゴメンナサイ 余計な話を長々としてしまいました。
 愛さんの中学生活は これからがスタートです。
 たくさんの仲間に恵まれて 充実した楽しい三年間が送れることを願っています。
 お母さま方にもよろしくお伝えください。

         五月十四日          天草高校 馬場 純二

 

イベント いよいよ 明日は 第76回体育大会です!

 5月6日(木)抜けるような青空の下,体育大会の予行練習が始まりました。

 予行練習は,選手たちにとっては,大会当日の競技の流れを確認して,競技の手順等を確認するのが目的ですが,大会進行役の生徒会にとっては,大会当日の進行上の問題点を洗い出すのが大きな目的です。
 招集・準備・誘導のタイミング調整,選手名簿照合,出発・決勝の位置確認,放送のタイミング確認と,トランシーバーで各所を繋ぎながら,見事に進行表の隙間を埋め,放送原稿の書き直しを進めていきます。

「先生 この出発構成は,ラストの走者が3名になってしまいます。走る側からすると,とても走りづらい人数ですので,ラストから3チームを組み替えて,5・5・5で走らせたいと思いますが,どうですか?」
 招集担当の生徒会役員が,本部席の生徒会担当職員の所に協議に来ています。走る側の心情を汲み取って解決策を提案してくるところなど,さすが天高生です。

 最後の種目,団対抗リレーは,一番のクライマックスです。
「練習だと思うな! 本番のつもりで行くぞ!」
 団長から開始前に掛けられた一言が,みんなの心にも浸透しているようです。
 体育科主任の長田先生の判断で,全員のバトンリレーを確認させるため,本番どおりに走らせることにしました。団対抗リレーのアンカーは団旗を持って走ります。万が一にも事故があってはならないと,事故が起こる要素はないか洗い出しのためのリレーです。
「無理すんなよ。怪我せんごてな」アンカーに長田先生が優しく声かけると,いよいよスタートです。

 練習とはいえ,やはり全力疾走は,みんなの目と気持ちとを揺さぶります。
 大きな声を出せない分,両手を打ち鳴らして,全身を叩いて,全校生徒が必死に応援です。コーナーで,直線で,紅団,白団の選手が抜き返すたびに大きな拍手が起こります。バトンが落ちると,放送の声が一段と大きくなります。「頑張ってください!」
 見ているこちらも熱くなってきました。

 

 本当は,「体育大会に,是非,皆さんおいでください! 若者の真剣な勝負を目の当たりにして元気を得てください!」と言いたいところなのですが,コロナ感染拡大防止のため,保護者の入場は3年生一家族1名までに制限せざるを得ません。
 その他の学年保護者,地域の方々の観戦はご遠慮いただいております。本当に申し訳ございません。

 目に見えぬ誰かの思いを察し,直向きに仲間の力を信じて真剣に取り組む子どもたちは,この体育大会を自らの手で創り上げる経験を通して,胸に熱い焔を灯し,必ずや天草から世界を拓く若者に育っていくと信じております。

 当日の生徒たちの躍動する様子は,後日,HP等で発信していきます。
 今後とも天草高校の若者たちをご声援ください。よろしくお願いします。

汗・焦る チャリに ゴムひも巻き付き SOS!

 4月30日(金)午前7時半ごろ 校長官舎を出ると,真新しい中学の制服を着た女の子が,必死に,自転車のギアに巻き付いたゴムの荷紐を外そうとしていました。手には機械油がべっとり付いています。

 「ゴムが巻き付いた? おじさんが外してみようか」
と声をかけてしゃがんだものの,ギアに嚙みこんでなかなか外れません。新品の自転車を傷つけないように少しずつ噛みこみを外して,やっと最後の一巻き。しかし,この一巻きが,ギアの心棒に深く巻き付いていて,手も足も出ません。

 女の子が通う中学校の始業時間もどんどん迫ってきて,女の子は,目にいっぱい涙をためています。家には誰も居ないとのこと。そこで,女の子の通う中学校に電話して事情を説明し,少し遅れそうなことを伝えました。そして私も天草高校にSOSを送ることにしました。すると早速,電話のSOSを聞いた岩間先生や内村先生が,両手いっぱいにハサミやカッターやスパナ等を持って全力ダッシュで駆けつけてくれました。女の子の顔も少し和らいだようです。

 そして格闘すること15分,心棒に巻き付いた最後の紐をカッターで切断すると,ゴム紐はするりと岩間先生の手から落ちていきました。あとは外れたチェーンをはめて,ギアの変換を確認して,「よーっし 大丈夫だよ! 待たせたね。 中学校の手前の交差点に自転車屋さんがあるから,行きがけに寄って『荷紐が食い込んだから点検してください』って言って預けるといいよ。」よく響く声で岩間先生が女の子に告げると,内村先生が「じゃあ学校に行く前に 手をきれいにしていこうか。」と官舎の散水栓をひねって優しく女の子の手に水をかけています。「スカートが濡れるから立ったままで良いよ」よく気の付く先生たちです。
 女の子もヘルメットをかぶった小さな頭をぺこりと下げて,勢いよく自転車を漕ぎだしていきました。

 三人 油で真っ黒になった手を見つめながら,「朝から 可愛らしい笑顔を見ることができてよかったね」と,爽やかな気分で,始業時間を過ぎた学校に向かいました。

 三年後,今度は,天草高校の制服を着た女の子と再会できるかな?

キラキラ 実乗(みの)る稲田(いなだ)は頭(こうべ)垂(た)る

4月9日(金)の午前中,新一年生に「実乗る稲田は頭垂る」の話をしました。

 一般には「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の言葉の方が知られていると思います。
 以前,自然写真家の赤坂友昭さんから教えてもらったのですが,元は「実乗る稲田は頭垂る」のようです。カメラのMINOLTAの社名もこの「実る稲田は頭垂る」から来ているということでした。意味はどちらも「学識や徳を積んだ行いが深まるほどに(学べば学ぶほどに人間性が高まって)謙虚になっていく」ということです。

 私が,この言葉を一年生諸君に紹介したのは「これから天草高校で学び,人間性を磨いて,他者に感謝して自然と頭を下げられるような人間になってほしい」という思いからでした。
 では,何故,私は一般に知られている「実るほど・・・」の言葉ではなく,「実乗る稲田は頭垂る」を紹介したのでしょうか?
「語源を知るということが大事だから」という思いもありました。しかし,一番の理由は,目に浮かぶ風景が違うからです。

 一年生諸君にも話しましたが,「実るほど・・・」は,一本の稲穂が目に浮かんできます。
 金色にぎっしり実を詰まらせた稲穂が,次第にその穂を垂らせている姿にしっかりフォーカスされていきます。
 一方,「実乗る稲田は頭垂る」はどうでしょうか?
 一面金色に輝く稲穂が,実を詰まらせた稲穂が,垂れて風になびいている広い稲田の風景が浮かんできませんか?
 私は、このような天高になってほしいのです。

 自ら精進鍛錬して己の徳性を高めていく「実るほど・・・」は素晴らしいと思います。
 しかし一人ではダメなんです。
 私は,天高のすべての生徒たちがそれぞれに努力を続け,時には隣人に肩を貸し,励ましあって,一枚の美しい田んぼに仕上がってほしいと願っています。一人の成功だけではなく,この天高に学ぶ皆が互いに協力し合い,互いを高め合って,一人では決して見ることのできない高みの光景を作り上げてほしいのです。

 私には,忘れられない「礼」があります。
 今から40年近く前,天草高校時代,私が学んだ体育の先生に,とても美しい礼をなさる先生がいらっしゃいました。今なおそのお姿が目に焼き付いて離れません。
 毎時間,毎時間,授業の始まりと終わりに,すっと背筋を伸ばし,両掌をお尻の後ろに当てて,緩やかに礼を始めます。静かな無言礼。「よろしくお願いします」「ありがとうございました」という声が全身から伝わってくるような凛とした「礼」です。一瞬空気がピンと張りつめ,そして温かなものがこちらの胸の中に流れ込んできます。
 私も,あんな気持ちのこもった美しい「礼」をしたいと常々思っていますが,まだまだです。

 私は,他者に頭を下げることができるというのは,最高の美徳だと思っています。
 自然体で頭を下げられる人になりたいと,高校以来思っていたからでしょうか,「実る稲田は頭垂る」の美しい田んぼの風景が頭に焼き付いて離れないのです。

 お互いを認め,思いやり,助け合う学び舎,自然体で美しい礼ができる学び舎「天高」を目指していきたいと思います。

晴れ 天高生とは何ぞや!

「天高生とは何ぞや!」
岩間先生の野太い声が澄み渡った青空に響きました。
結団式後の集会での一コマです。

札幌農学校を開いたクラーク博士は,生徒たちに「Be Gentlman!(紳士たれ!)」と呼びかけ続けました。
そして これを札幌農学校唯一のルールとしたのです。

岩間先生は,自らの頭で考え行動で答えを探し続けることを求めます。
「何のために学んでいるのか」「何のために生きているのか」
学びの根源的な問いが「天高生とは何ぞや!」の響きには込められているような気がします。

そして,この根源的な問いに応えてくれるという実感があるからこそ
発せられた言葉でもあるのです。

天草の空ははるか上空まで澄み渡っています。
生徒たちの澄み切った心を象徴するかのような一日でした。

ところで
その日の夕刻 もう日暮れてあたりも暗くなっていた頃のことです。
私が地域の区長さんのところで用事を済ませ
睦橋を渡って歩いて官舎に戻っていると
すれ違う天高生が 自転車に乗っている生徒も 歩いている生徒も
口々に「こんばんは」と声を掛けてくれます。
懐中電灯で足下を照らさないといけないほどの暗さで
しかも私は私服で歩いていましたので
おそらくは地域の方だと思って声を掛けてくれているのでしょう。
一人ひとりに「こんばんは」と返す毎に嬉しくなってきました。

「天高生とは何ぞや!」

一人ひとりが胸に宿して 天高生らしい行動を続けてくれることを願います!

 

 

着任のごあいさつ【校長ブログ】

みなさん こんにちは
この4月に天草高校に校長として着任しました馬場と申します。
少し遅くなりましたが、着任のごあいさつを申しあげます。

天草高校は5年ぶりとなります。
毎日 登下校の生徒たちが こぼれんばかりの笑顔であいさつしてくれます。
掃除の時間には 生徒たちが雑巾で床を丁寧に拭きあげています。
一緒に着任した多くの先生方が「天草高校は良いですね。大好きになりました!」と話しています。
素敵な生徒たちに囲まれ 心温かな先生方に恵まれ 再びこの天草高校に着任できたことを嬉しく思います。

着任初日に,私は先生方に「天高に来てよかった」「天高にやってよかった」「天高に勤めてよかった」「天高がここにあってよかった」とみんな言えるような学校にしたい,と話しました。
そのためには「進路志望の実現」と「生涯繋がりあえる友人の獲得」,そして「将来を生きる道標づくり」と「保護者同士の繋がり」が欠かせません。
しかし 天草高校としてできることや,しなければならないことを,ただ列挙しても,そこに心が寄り添っていなければ,この弾けるような生徒たちの笑顔は保てないのではないかと考えています。

今日 「天高ラジオ」に出演すると パーソナリティを務める2人の放送委員が笑顔いっぱいで話しかけてくれました。二人の笑顔と、周囲のスタッフの生徒たちの笑顔に囲まれ、いつの間にか自分も笑顔で高校時代のいろんなしくじりを話していました。笑顔には人を幸せにして解放してくれるのですね。あらためて実感しました。

「何かの縁で いま この場に集っている」「私とあなたの能力や思いをシンクロさせるとこんなことができるかも」と考えるだけで、心が湧き立ってきます。
生徒たちの笑顔という宝物を絶やさないために,そして笑顔のパワーを町中に広げていくために,私に何ができるのか,じっくり真剣に考えてみたいと思います。

今後とも 笑顔あふれる天草高校をどうぞよろしくお願いいたします。

お知らせ キーワードは挑戦!! (令和3年1学期 倉岳校始業式で)

 校庭の新緑が鮮やかな季節を迎えました。進級おめでとう。
 倉岳校は今年7名の先生が入れ替わりました。いつもと違う雰囲気のスタートかもしれません。

 私は,5年前も,この倉岳校でみんなの先輩の姿を見ながら1年間を過ごしました。
 その時も今も,倉岳校に来るのが楽しくて楽しくて仕方がありません。
 みんなが元気に学校に通ってきて,毎日笑顔で勉強や部活動やボランティア活動に全力で取り組んでくれているのを見ると,嬉しくなったのです。

 特に,素敵だったのが,「校訓唱和」でした。
 一人ひとりが自分の思いを込めて全力で校訓を声に出してくれました。言葉一つ一つがみんなの軀(からだ)の中に下りてきて,校訓が動き出しているような感覚があって,とても感動しました。人を感動させるというのは,とても素晴らしい才能です。これからも,是非大切にしていってください。

 さて,新しい一年の始まりにあたり,私からお願い事があります。
 それは,今年一年を「挑戦」の年にしてほしいということです。

 倉岳校には「倉校は一人一人が主役,だから君が輝く」という教育スローガンがあります。このスローガンを活かすためにも,先生方は,学習活動では,生徒一人一人の状況や興味・関心,進路希望などに応じて,わかりやすくきめ細かな指導を行います。
 また,県内唯一の海の運動会「マリンフェスタ」や,「秋桜祭(しゅうおうさい)」,をはじめとする学校行事,生徒会活動や部活動の中で,あなた方一人一人が生き生きと輝ける場面が多くあります。
 さらに,幼稚園,保育園,小学校,中学校といっしょになった避難訓練や,長距離走大会,教育活動やボランティア活動,老人会や婦人会との交流などなど,地域に根差したユニークな取組もたくさんあります。
 勉強,学校活動,地域行事,ボランティア,どの学習活動にも是非積極的に参加し,昨年の自分を一つでも二つでも上回ることができるよう,挑戦してみてください。昨年の自分との勝負です。

 皆さんのもっている可能性は無限大です。前を向いて挑戦し続けることで,自分自身を高め,才能を開花させるチャンスが増えてきます。あなたたち一人ひとりがますますキラキラに輝いてきます。そして,明日から新たに入ってくる11名の新入生たちと,その下に続く地域の中学生,小学生,幼稚園,保育園の子どもたちを,見守り導く良い先輩となってください。

 そして,自分の将来を,10年後の自分を想像して,具体的な進路を描いてください。
 描いた進路像=「夢」を実現するために,焦らずコツコツと毎日の学習を積み重ねていきましょう。「心は熱く,しかし行動は冷静に」です。

 今年一年,皆さん一人ひとりが,明るい笑顔で努力を続け,一回りも二回りも大きく成長してくれることを願って,年度始めの挨拶とします。頑張りましょう。

お知らせ 思いやりと挑戦 (令和3年1学期 定時制始業式で)

 校庭の新緑が鮮やかな季節を迎えた。進級おめでとう。
 定時制は今年は先生方が8名入れ替わりました。いつもと違う雰囲気のスタートかもしれません。私を含め,新しくおいでになった先生方も一日も早く定時制に慣れ,みんなの後押しができるよう努めていきますのでよろしくお願いいたします。

 さて,私は,5年前も,この天高定時制でみんなの先輩の姿を見ながら3年間を過ごしました。その時に忘れることができない出来事があったので,少し話させてください。

 今もそうだと思いますが,秋の定通文化大会に1年生を中心として,天定はバンドを出していました。

 その時入学してきたのは男女合わせて6人。ほとんど皆中学校の時は教室に入ることができず,その中の一人の女の子は,中学時代のいじめが原因でほとんど口をきくこともできませんでした。そうかと思うと,一人の女の子は一時間中,何かを喋っていないと居れない子で,静かになったなと思うと,机に突っ伏して寝ています。他にもバレーボールを熱心にやっていたのだけれど,友人関係が上手くいかなくなり別の高校を退学して天定に再入学してきた子とか,ちょっと突っ張って居るように見せながら,実は寂しがり屋で緊張すると鉛筆も握れなくなってしまう子や,家計を助けるために働いている子,しかも周りの助けを断り切れないために,学校が始まっているのに仕事が追われず,半べそをかきながら仕事している子とか様々でした。

 そんな子たちが初めて音楽の時間に楽器に触れ,自分の好きな楽器を選んで,ベース2人,ギター2人,キーボード1人,ドラム1人の即席バンドができあがりました。音楽の先生が選んだ課題曲は「初めてのチュウ」。「ええーっ 難しいよそんなの」って言いながら,全てを一人で弾くのは難しいんだけど,それぞれのパートをしっかり弾いていくと全体で音楽になっていくと言うことが分かって,6人はだんだん夢中になり,授業が始まる前や土日も少しずつ集まりながら練習を重ねていきました。本番の大会前には,2ヶ月前に組んだ素人バンドとは思えないくらい,きれいなメロディを流せるようになっていました。

 そして試合当日,県立劇場に行くバスの中で,ドラム担当の女の子の表情がやたら暗いのが気になっていました。彼女はとても緊張しいで,たぶんまた緊張が高ぶってきたのだろうなと思っていたのですが,案の定,本番前のリハーサルで,最初は順調にリズムを刻んでいたのですが突然動きが止まりそしてステックを投げ出すと「ダメ できん!! どきどきしてどんどん速くなる」と泣き出してしまいました。
 すると,普段ほとんど口をきかないベースの女の子が落ちていたステックを拾って,ドラムの子の手に握らせると「速くなったって大丈夫だよ。このバンドは6人の音がそろわなきゃ,私たちの音がそろわなきゃ意味がないの。リズムが速くなっても私たちが追っかけるから。叩いて」と言ったんです。

 本番まで時間は僅かしかありません。ドラムの子は,緞帳が下りたステージの内側をぐるぐるぐるぐるひたすら回り続けて,ドラムセットに近づこうとしません。周りの子は,自分のポジションに立って,唯ひたすらドラムの子が戻るのを待っています。県立劇場の進行係は,緞帳をあげて良いか繰り返し合図を求めてきます。そしてやっとその子がドラムに戻ろうとした瞬間ベルが鳴り,緞帳が上がり始めました。

 曲が始まりました。ドラムは,本当にこんな速さに付いてこれるのと言うくらいどんどんスピードが上がって,仕舞いにはまた止まってしまいました。しかし,今度はギターもキーボードもベースも,スローなテンポに変えて,ドラムの再登場を待ちます。そしてやっと最後のサビのところで,ドラムが叩かれ始め,演奏が終わると大きな拍手が会場を埋め尽くしました。

 誰だって,初めてのことに挑戦するのは怖いんです。「失敗した」って思うと,みんなに迷惑掛けたくなくて軀が固まるんです。でも,黙って支え続けてくれた仲間が居たから,彼女はドラムを叩き続けることができたんです。
 私は あの時の 6つの音が合わさったメロディーを今も忘れることができません。

 みんなもそれぞれにキツいこと逃げ出したいことがあるかもしれませんが,是非自分を信じて仲間を信じて,最後まで頑張り続けてください。

 帰りのバスの中で,彼女を励ましてくれた女の子に「ありがとうね」と言うと,「なんで? 当たり前じゃない。あのバンドは,六人の音がそろって初めてあのバンドなんだもん」って笑っていました。
 その後,卒業するまでこの子たちはバンドで演奏を続け,喧嘩をしたりもしましたが,仲良く学び,卒業後は,3人がそれぞれが行きたかった大学に進学し,2人が是非うちに来てほしいと乞われて就職し,1名は温かな家庭を築いて可愛らしい命を誕生させ,育んでいます。

 この天定で出会った仲間は生涯の友となります。自分を信じて,仲間を信じて,前向きに挑戦し,頑張っていきましょう。私たちも全力で応援します。

 以上で,令和3年度始めのあいさつとします。

お知らせ 新たな一年のスタート 未来を懼れず挑戦!! (令和3年1学期全日制始業式で)

 イソヒヨドリの澄んだ声が青空に響き渡っています。メーテルリンクの「幸せの青い鳥」のモデルとなったとも言われる鳥です。天草高校の明るい未来を象徴しているようです。

 さて,昨年は,新型コロナウイルス感染防止のために多くの学校行事が中止となりました。今年もまだその影響は残るでしょう。「先が見通せない」ということが,今後,あらゆる場面にファクターとして関わってくるような気がします。

 「先が見通せない」のはとても辛いことです。私も10年以上前になりますが,右脇のリンパに腫瘍ができ,癌なのかそうでないのか,日赤病院や熊大病院や久留米大病院を次々と2ヶ月以上廻され,「癌なら癌で良いけん 早く結論を出して!」と叫びたいような心境になったことがあります。
 どっちつかずで,もやもやの宙ぶらりん。結論が出ないから,自分の立ち向かうべき相手が見定められなくて,自分の覚悟を定められない。 ずぶずぶの沼の中で、必死にジャンプしようともがいているような感覚です。
 しかし,後で考えると,覚悟を決められなかったというのは,実は私自身の「弱さ」でした。自分で自分の将来に結論を出すことが怖くて,病院の先生に丸投げしていただけだったのです。癌であろうがなかろうが,私はこう生きると決めて貫きとおしていたら,たとえ,運悪く癌で命を落とすことになったとしても,有意義で濃密な時間を過ごすことができていたはずです。なかなか結論が下せない先の見通せない状況は,これから先の人生で,どこにでも,何度でも出てくる。だったら自ら心鍛え,律していくしかない,すなわち「自律」というのが私がその時得た答えでした。

 天草高校は今年、大きな改革に取り組みます。一人ひとりの「自ら学び志を成す」求學志成の取組をとことん応援するため朝自習を廃止し,進路目標や研究目標にあわせ自由に活動できる時間を確保します。一方で,先生方には授業の50分間を濃密な学びの場にしていくよう取り組んでもらいます。今年度から生徒全員に(3年生には秋以降になると思いますが)タブレットが導入され,ICTを活用した探究型の授業,考える授業の深化にも取り組みます。一人ひとりの学習状況に応じて「スタディサプリ」等のアプリを使った個別学習も推進します。また,基礎学力充実のために,特別講座も開設していく予定です。
 これだけたくさんのメニューを用意しますが,皆さんの力を伸ばすためには,実は大切なピースが2つ欠けています。―それは何か。
 皆さんの「自ら学ぼう」とする心,そして,楽な方に流れようとするのを自ら自制する力,すなわち「自律」です。

 どんなに環境を整えても,あなたたちが自ら動こうとしなければ,道は拓きません。世界も変わりません。ここ天草高校は,生徒も先生方も,たくさんの才能を持った人たちが集まる素晴らしい学校です。あなた方にはこれから先,世界に打って出て,誰もまだ見たことのない世界を切り拓いてほしいと思っています。夢物語ではありません。あなたたちの先輩で何人も、例えば電波時計を世界で最初に開発し世界の時間をフォーマットした人,東ティモールの和平に命がけで取り組んだ人,東北大学でICT教育の最先端を発信し続けている人たちが居ます。あなたもまたそれに連なる一人になれるはずです。

 本校の三綱領は唱います。「正大」何が正しいことか深く見る智慧を身に付け,「剛健」どのような困難にも負けない強い心と体を持ち,「寛厚」周りの人を広い心で受け入れる優しさを持ちなさい。この三つの精神を体現することで,心の弱さを自ら克服し,大きな人間に至ることができます,と。

 私は天草高校が大好きです。しかし,明日の天草を,そしてこれからの世界をつくっていくのはあなたたちです。先の見えない未来を懼(おそ)れず,前を向いて挑戦し続けてください。天草高校は全力であなた方を応援します。

 以上で,令和3年度始まりにあたっての 校長あいさつといたします。

SSH 4年目を終えて

本校では、SSHの取組の一環として、生徒が自らテーマを設定し、探究活動に取り組んでいます。そのテーマ一覧を見ると、「消波ブロックと波の干渉」、「ヒオウギガイの可能性」、「天草のための潮流発電」、「天草のアオサを使った石けん」、「ばんかんで天草救ったろ」など、天草をフィールドとしたテーマが並んでいます。
学校設定科目の開発などカリキュラムを編成し、地域に根差し、地域を愛する心を養いたいと考えている本校にとって、地域貢献をテーマとして探究する生徒の存在は頼もしいところです。
また、実社会を意識し、テーマの選定、仮説の設定、研究方法の立案と実行、データ分析、考察、発表などといった一連の探究活動は生徒の資質能力の育成にも効果が大きいと考えています。答えのない問題に対して、よりよいものを導き出そうとする探究活動は、これから加速度的に変化し、複雑で予測困難な社会をよりよく生き抜く力の育成につながると考えます。まさに生きて働く力の育成です。普通科高校におけるキャリア教育であると考えます。
来年度は、SSH指定5年間の最終年度となります。生徒の更なる資質能力の向上につながる総まとめの年度としたいと考えています。

高校生作文コンクール学校賞受賞

今般、日本大学主催の高校生作文コンクールにおいて学校賞を受賞しました。学校賞は全国で3校でした。同コンクールは、未来を担う高校生が自分の将来における生き方や進路を模索し、自発的なキャリア形成を願って企画されたものです。
今回のテーマは『ぼくたち私たちが考える「今」を生き抜く力』でした。
本校では、「求学志成」(求めて学べば志は成る)をスローガンに、変化が激しく予測困難なこれからの社会を、たくましく生き抜く力の育成に努めていますが、これが認められたようでうれしく思います。指導いただいた先生方にも感謝します。
先日の卒業式での卒業生答辞にこんな言葉がありました。『NO AMATAKA NO LIFE 天高なくして今の私たちはない』『天高で培った力は永久保存版』。
今後も、よりよい自分の未来を切り拓き、社会の担い手となる人材の育成に取り組んでいきたいと思います。

持続可能な社会の創り手をめざして

カーボンニュートラル実現を目指す動きは、日本をはじめとして国際的に広まっています。本校では、これまで環境問題をテーマに研究に取り組み、輝かしい成果を上げてきました。本年も「肥後の水とみどりの愛護賞」や「くまもとCO2ゼロびっくりアイデアコンテスト」最優秀賞、「学生国際会議(ICAST2020)」ベストプレゼンテーション賞、「未来のマークをつくろうコンテスト(サイエンスアゴラ2020)」優秀賞など、多くの賞をいただきました。SSHの活動を通して、海に囲まれ自然豊かな天草を研究テーマとすることで、持続可能な社会の創り手となる資質能力の育成を図ることができたと考えております。今後も、研究内容の情報発信に努め、環境に対する意識を高めていきたいと考えています。ご指導いただいた皆様に感謝申し上げます。

【校長ブログ】伝統つないだマラソン大会代替大会

昨日2年生、本日1年生とマラソン大会代替大会長距離走記録会を開催しました。本校にとってマラソン大会は、88回を数える歴史ある大会で、男子33K、女子20Kは県内有数の長い距離を誇る大会です。毎年、多くの地域の方々に応援いただきますし、卒業生にとっては思い出深い、同窓会では必ず話題に上る大会です。私も走り終わって自信を得ましたし、休憩所でのお菓子や果物が楽しみで、良い思い出になっています。
そんなマラソン大会を生徒たちにも味わわせたいところでしたが、今年はコロナ禍の中、残念ながら本渡運動公園陸上競技場に会場を移し、代替大会として長距離走記録会を実施しました。感染防止対策を取るとともに、5グループに分け少人数で競技を行いました。代替大会で、距離を含め方法は変わりましたが、ひたむきに走る姿、躍動感、応援する姿、これまでのマラソン大会と変わらぬ姿がそこにありました。代替大会であっても、自分と向き合い、励ましあいながら走る姿に胸が熱くなりました。また、3年生の多くの生徒が自分のこともあっただろうに協力してくれたことに感動しました。天高生は、コロナ禍にあっても剛健に、そしてしなやかに、これからも走り続けてほしいと思います。来年は、マラソン大会ができることを祈っています。

【校長ブログ】頑張れ3年生

今週から国公立大学の一般入試の出願が始まりました。現在、3年生は志望校合格を目指し個別試験対策講座に取り組んでいるところです。個別試験の科目に合わせ、講座を受講したり、図書館や学習室で学んだり、先生に質問したりしながら、真剣に取り組んでいる姿があります。
今年の入試は、大学入試改革の初年度で、3年生は第1回大学入学共通テストを受けました。しかも、コロナ禍の中の受験です。めぐり合わせとはいえ、試練が幾重にも重なり大変だったことと思います。
しかしながら、このような逆風の中、生徒、保護者、先生のチーム天高でこれまで乗り切ってきました。共通テスト出発式での全校をあげての見送り、育友会からのポケット消毒液の配付、先生方の万全の指導体制など、正に団体戦で受験を乗り切ったように思います。
共通テスト後は、自己採点の結果を基に、生徒一人一人について進路検討会を開催し、三者面談を実施しました。
今の3年生を見ると、試練に挑むたくましさを感じます。受験は総合的な人間力が試されます。知力のみならず、体力・心力をフルに発揮し頑張ってもらいたいと思います。桜咲く春はもうすぐです。

【校長ブログ】冬休みに向けて(2)

1・2年生に取り組んでほしいことを3点あげます。
1点目は、自分の目標をしっかり持つことです。この時期は、新年を迎え決意を新たにするときです。自分は何がやりたいのか、自分には何ができるのか、自分を見つめてほしいと思います。目標が定まるとより意欲が増すと思います。
2点目は、人間性を磨くということです。進学・就職試験で問われるのは総合的な人間性です。また、これからは知識よりも思考力・判断力・表現力・実行力などがより重視されます。人間性を磨くのに大切にして欲しいのが日頃の生活です。あいさつや掃除、早起きなど、生活が安定しているとぶれることがありません。落ち着いた生活が送れますし、学習にも集中できます。学習であってもその基盤は生活面です。日頃の生活を大切にしてほしいと思います。
3つ目は、社会の一員としての自覚と責任を果たしてほしいということです。コロナが感染拡大傾向にあります。県の感染リスクレベルは最も重い5の厳戒警報です。マスクの着用、手洗い、消毒、3密を避ける行動様式など感染防止に取り組んでほしいと思います。いつどこで感染するかわかりません。無症状で感染させる可能性があるかもしれません。感染拡大時の影響を自分のこととして考えてほしいと思います。
最後に、この冬休み、寒さに負けそうになるときもあるかと思いますが、ライバルは自分です。目標を胸に、自分で自分を成長させてほしいと思います。

【校長ブログ】冬休みに向けて

3年生は、先日、大学入学共通テスト30日前集会を実施しました。課外や模試を頑張ってきた3年生もいよいよテストが近づいてきました。日夜、学習に頑張っていることでしょう。既に合格している人もいますが、多くの人はこれからが正念場、入試の結果や模試の結果が気になったりするのは当然です。不安や焦りもあるでしょうが、皆同じです。先輩たちも同じように悩み、最後には合格を勝ち取ってきました。
時間が迫り精神的にも苦しい時期となりますが、自分と向き合い落ち着いて最終的な仕上げに取り組んでほしいと思います。
この時期、天高生は最後の一日まで伸びます。「できる・伸びる」です。慌てず、焦らず、諦めず、自分はできると信じて、最後まで粘ってほしいと思います。健康に留意し、一日一日を大切にして欲しいと思います。この30日を考える時に、「30日しかないではなく」、「30日ある」です。先生方のご指導のもと、計画を立て効果的に取り組んでほしいと思います。
受験は団体戦です。手はつなげませんが、心はつなげます。お互いに励まし合い、緊張感や不安を和らげましょう。保護者、先生方も応援しています。頑張れ!3年生

【校長ブログ】2学期を終えて

今日で2学期を無事に終えることができました。印象としては、新型コロナウイルス感染症対策に終始した感があります。
2学期は、休校に伴う学習時間の確保のため夏休みを短縮し例年より早く始めました。どうしても学習中心の中で、何か学校生活のメリハリとなるものができないか、何か思い出づくりとなるものができないかと生徒会を中心に取り組んできました。そんな中、新たな行事として雛鵬祭が開催され、大いに盛り上がりました。天高生としての団結力や絆、一体感が育まれたと思います。生徒の発想力、創造力、行動力はすごいと感じました。天高生のパワーを感じました。
また、部活動面においても、コロナの影響で思うような練習ができないところがありましたが、本日、運動部や文化部、応募の表彰を5団体21個人に行いました。素晴らしい成果です。その他にも、地域ボランティアにも積極的に参加しています。
このように、コロナ禍であっても、今できることを大切にし、2学期を乗り切ってきた生徒の頑張りと活躍に、心より感謝と敬意を表したいと思います。
コロナ禍では先生方も計画の変更・改善や創出など大変です。どうしても勤務時間が長くなってしまいます。アイディアを絞りながら、生徒の活動を支えていただいた先生方にも心から感謝したいと思います。

【校長ブログ】人権メッセージ(2)

前回に引き続き、人権メッセージ募集『大切な人へのメッセージ~あの人へ贈る“ありがとう”や“エール”~ 』優秀作品に選定された本校生徒のメッセージを紹介します。
作者は、「不要不急の外出をひかえ、人のために動ける人は、ほんのひと握りしかいないと思うので、その優しい心を持った人に私もなりたいです。」とコメントしています。
本校生徒の作品を含む優秀作品は、「人権メッセージ作品集『あの人へ届け』」として作成されています。医療従事者をはじめとした多くの人たちに届くことを願っています。
また、作品に応募してくれた生徒の皆さんに感謝します。

              母へ

   マスクしなさい。手洗いしなさい。
   それが最近母の口癖で
   自分は医療の最先端で働いてないけど
   患者さんと関わる仕事だから。
   と自分だけではなく周りの人のために考えて
   行動できる母が
   すごくかっこよく尊敬しています。

【校長ブログ】人権メッセージ

本校では、熊本県が実施する「令和2年度(2020年度)人権メッセージ募集『大切な人へのメッセージ~あの人へ贈る“ありがとう”や“エール”~ 』」に多くの生徒が応募しました。この度、優秀作品30点の発表がありましたが、その中に本校生徒の作品2点が選定されましたので紹介します。作者は、新型コロナウィルスや災害で苦しんでいる人が、もとの生活に少しでも早く戻って、元気を取り戻してほしいという思いを込めたそうです。

          コロナや災害で苦しんでいる人へ

   すぐに行けない、
   すぐに会えない、
   すぐに助けられない。
   でも、今は気持ちだけ早く届きますように。
   あたりまえの日常が戻りますように。
   今はただじっと耐え忍ぶしかできないけれど
   皆の所に明るい光が降り注ぎますように。

【校長ブログ】天草まちゼミ

先日、本校2年生の2チームが、「天草まちゼミ」にてビジネスプランを発表しました。
一つは、天草で生産されるモリンガのGABA成分に着目し、GABAを活用したチョコレートとモリンガティーとのセットで、受験生向けの商品として販売するプランです。
もう一つは、天草特産の晩柑に含まれる成分リモネンに着目し、リモネンを含んだ化粧水を開発するというものです。リモネンは安眠効果とリラックス効果があり、材料には廃棄される晩柑を使用するというものです。
どちらの発表にも天草の地域活性化を図りたいという思いがこもっていました。参加者からは、商品化に向け厳しくも温かいアドバイスをいただきました。いただいた助言をもとに更にブラッシュアップしてほしいと思います。

【校長ブログ】肥後の水とみどりの愛護賞

先日、本校科学部が栄えある「肥後の水とみどりの愛護賞」をいただきました。地球温暖化抑制についての研究とその情報の発信、さらに、アマモ(二酸化炭素を吸収)定植の研究に取り組んでおり、これらの成果が認められたものです。主催者からは、アカデミックな取組だとおほめの言葉をいただきました。
地球温暖化は、今年7月の豪雨をはじめとした自然災害や農水産物に影響を与えていると考えます。科学部はこれまでに、地球温暖化の抑制について、地域住民の方や地元の小学生に伝えてきました。また、沖縄県の高校生とも共同研究を開始したところです。
受賞を契機に、自然と向き合うことの大切さや環境保全の大切さを伝える取組を一層進めていきたいと思います。

【校長ブログ】育友会全国表彰

育友会の皆様には学校教育活動に対して、平素からご理解・ご協力いただき衷心より感謝申し上げます。
さて、この度、本校育友会が長年にわたる優れた組織運営とその功績を認められ、全国高等学校PTA連合会から表彰状を授与されました。全国団体表彰は本県から2団体のみです。心よりお祝い申し上げます。
表彰状を紹介しますとともに、育友会活動に改めて敬意と感謝を申し上げます。

 

 

いろどり豊かに雛鵬祭【校長ブログ】

昨日の文化の部、本日の体育の部と2日間にわたり雛鵬祭を開催することができました。今年度はコロナ対策で学校行事や部活動の大会がことごとく中止・延期となる中、何か思い出づくりとなるもの、学習中心の学校生活のメリハリとなるものができないかと考えられたのが雛鵬祭です。
初めての雛鵬祭で、準備や練習の期間も短く大変でした。しかしながら、生徒たちの発想力、創造力、行動力はすごいと感じました。
文化の部は、2年生の動画も1年生の展示もアイディアや演出を凝らし大変見応えがありました。
体育の部は、吹奏楽部によるオープニングから始まりましたが、その質の高さに鳥肌が立ちました。書道部のパフォーマンスも歓声が上がるほど見事でした。
各クラス作成のTシャツ姿で競技に臨む生徒たちは、各クラス、生徒一人一人が今回のテーマ「いろどり」豊かに輝いていました。いろんな色が豊かに重なり合い、雛鵬祭という新たな天高の文化と歴史がつくれたように思います。雛鵬祭に新たな可能性を感じました。また、伝統の“天高体操”やハチマキも健在でした。
秋の季語でもあり幸せを運ぶ今回のテーマ「いろどり」が各クラスや学校の団結力を、一人一人のかけがえのない思い出を運んでくれたと感じました。
最後になりますが、企画・準備に取り組んできた生徒会、各委員会、各学級、文化系部活動、有志の皆さんに感謝します。また、雛鵬祭を盛り上げてくれた応援団の皆さんに心から心から敬意を表します。

この勢いで公務員試験も頑張りましょう。