ご挨拶

 

校長 馬場 純二

 本日は、本校ホームページをご覧いただきありがとうございます。本校は、明治29年に創設され、今年で126年を迎える歴史と伝統を有する学校です。卒業生は3万2千人を超え、これまでに政界、経済界、教育界をはじめとする各界に多くの人材を輩出しています。また、文武両道の学校として、進路指導や部活動においても優れた実績を残しています。

 さらに、平成29年度から文部科学省スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定され、「サイエンスの宝島『天草』から世界へ」を合い言葉に、世界に飛躍する科学技術人材の育成に取り組んでいます。研究テーマは天草にこだわりながらも、活動フィールドは国内外の大学・企業と連携しており、学校全体として探究活動が充実し研究に広がりと深まりが出てきました。昨年度からは新たに海外研修の実施など、グローバル社会で活躍する人材の育成にも取り組んでいます。生徒たちは、研究発表会にも意欲的に参加し、プレゼンテーション能力が向上するなど、SSHは本校の新たな魅力となっています。

 また、定時制においても、大学進学や定通大会等において顕著な実績を残しており、天草地域における学びと成長の場として躍進しているところです。

 令和の新しい時代を担う雛鵬が、この天草高校で翼を鍛え、日々成長できるよう取り組んでまいりますので、今後ともご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

校長室より

校長室よりブログ

お祝い 麻布大学 増井光子賞 受賞!

麻布大学から嬉しいお知らせが届きました。

2015年に麻布大学獣医学部獣医学科に入学し,今春卒業した天草高校卒の黒木翔君が
令和3年度麻布大学「増井光子賞」を受賞したそうです。


「増井光子賞」とは,故・増井光子博士のご遺族から寄贈されたご遺志を活かす形で設立された賞で,専門領域において各賞の受賞など学会等で高く評価され,今後の可能性が期待されるもの又は社会活動等で顕著な功績を上げたものに寄贈される賞だそうです。

故・増井光子博士は,麻布獣医科大学(現・麻布大学)獣医学部獣医学科卒業の獣医師で,1985年(昭和60年)日本で初めてパンダの人工繁殖に成功した方として知られています。1990年(平成2年)女性初の多摩動物公園長に就任。2年後の1992年には,女性初の上野動物公園長に就任されるなど,日本の女性獣医師の草分けです。1999年(平成11年)にはよこはま動物園ズーラシア初代園長に就任,兵庫県立コウノトリの郷公園の初代園長も兼務されました。2010年(平成22年)イギリスでの馬術大会の競技中に落馬し,搬送先のケンブリッジ大学病院でお亡くなりになっています。享年73でした。


黒木 翔 君は

 第8回日本獣医病理学専門家協会学術集成 大会長賞
 日本養豚開業獣医師会会報32号 2020年度日本養豚開業獣医師協会学生アワード
の受賞が認められ,増井光子賞の受賞となったようです。

天高生は,
在校生も,卒業生もそれぞれのステージで研究に邁進し,各界に認められています。
ここ天草で揺籃の時を過ごし,学んだ内容を極めながら社会に貢献する若者が育ちつつあることを,
本当に誇らしく感じています。


詳細は麻布大学のホームページからご覧ください。
 麻布大学増井光子賞 https://www.azabu-u.ac.jp/topics/2021/0629_35272.html
 表彰式動画 https://www.azabu-u.ac.jp/movie_archives/2021/0630_35327.html

音楽 音楽と自然大好き!

新型コロナの影響で来日が遅れていたALTの先生が今日から着任です。
ウイリアム・ブラックストーン先生。音楽と自然が大好きな陽気な先生です。
天草の豊かな自然に育まれた本校生と波長が合うような予感がしています。

まん延防止重点措置も9月いっぱいで解除の方向性が見えてきました。
10月からは,部活動も含めて平常通りの学校生活が取り戻せそうです。
やっと 吹奏楽の音や部活動の生徒たちの歓声が響き合う学校生活の復活です。

ブラックストーン先生には準備が整い次第,「コミュニケーション英語」の授業を担当してもらうことになりますが,生徒諸君には,授業だけでなく放課後等も,ブラックストーン先生を囲んで会話を楽しみながら,世界の様々な価値観を知り,多文化共生に向けての力強い第一歩を踏み出してくれることを願っています。

ハート 野の花を

天草の名宿「五足の靴」オーナーの山崎博文さんが,以前,

「僕の一番の贅沢は,切り花を飾ること。
 野の花を一輪手折ってきて,花瓶に指し,毎日水をやりながら会話するのが
 一番の至福の時だね」

と話してくれたことがあります。もう何十年も前の話です。

4月から校長室には何かと季節の花があふれ,毎日至福を感じていましたが,
9月に入って,蘭も終わってしまいました。
そこで家にあった橋本不二子さんの絵ハガキを机に飾っていたら,
事務室の宮﨑先生が
「しばらく花を活けていなかったので,うまくできませんでした」と言いながら,
素敵な野の花をテーブルに活けてくださいました。
町山口川から吹き込む柔らかな風にオレンジの花が揺れています。

キラキラ 学校は 幸せをつくっている

先週受けた,小林嘉男さん((株)ディスコ経理部長)の講義の中に
素敵な言葉がありました。

  学校は 幸せをつくっている
  生徒の幸せ
  生徒の保護者の幸せ
  地域の方々の幸せ
  学校の同窓生の幸せ
  学校に関わる全ての人の幸せ

  だから
  校長は すべてを幸せにできなければならない
  「幸せの専門家」じゃないといけない
 
  どうやったら
  学校に関わるすべての人が幸せになれるか
  校長は死ぬほど考えなければならない
  幸せについて もっともっと 勉強しなければならない

  それが 校長の仕事
 
講義を聞きながらメモった中身なので
ひょっとしたら間違っているかもしれませんが
「どうやったら 学校に関わるすべての人が幸せになれるか
 校長は死ぬほど考えなければならない」
重い しかし 素敵なメッセージです。

幸せって何でしょう?
生徒の幸せ
保護者の幸せ
地域の人々の幸せ
同窓会の方々の幸せ
そして学校を取り巻く方々すべての人の幸せ・・・

イソヒヨドリのつがいが 鈍色の空に澄んだ声を響かせています。
少なくとも 一人一人を笑顔にできたら すべての人の幸せに近づいているのでしょう。

友人の詩人がこう言いました。
「私は
 誰かの心に刺さっている棘(とげ)を
 一本ずつ抜くために
 こうやって詩を詠んでいる」 と。

みんなを笑顔にできる方法――職員・生徒・保護者の方々みなさんで
一緒に しっかり 考え続けていきたいと思います。

ハート 必勝 アルコール

熊本県内の新型コロナは ピークは過ぎたようですが,
10代以下の感染は,依然高い頻度で続いているようです。
県内の小中高では,短縮授業や部活動の休止等の対応が,月末まで更に延長され,
学校活動や行事計画等にも変更が相次いでいます。

本校でも,9月10日(金)に予定していた文化祭を17日(金)に延期し,
内容も,各クラスにオンラインで配信する内容と展示部門とに編成し直して,
安全と感染防止に配慮しながら準備を進めているところです。

そんな中,本校PTAから,
進路決定を控えた3年生への激励グッズとして
「必勝 アルコール」が届けられました!!

親御さん方の思いがぎっしり詰まったこのアルコールを
両手にしっかり振りかけて
Virus と 菌 と 邪念 とを払い
残り4カ月 ともにゴールまで駆け抜けていきたいと思います。

鉛筆 ゾーンに入る

先日,校内の進路検討会で,石田教頭先生が職員に話した言葉が耳に残りました。

「ゾーンに入ると すべての感覚が研ぎ澄まされて,スローモーションを見ているような状態になるそうです。
 部活動でその経験を持つ生徒もいると思います。
 勉強でゾーンに入ったら,3倍のスピードで学ぶことができます。
 ということは,3年生は,残り6か月で18か月分の学びができるということです。
 是非,集中度をUPさせて,時間を引き延ばしてください。」

私は以前,熊本近代文学館に勤務していました。
年間3回の企画展示と,資料調査・収集・研究という膨大な作業を1人でやらなければなりません。仕事は山積みで,休日も書庫に籠る毎日です。しかし,作家さんたちの隠された一面を垣間見ることができて,とても楽しい日々でした。

その熊本近代文学館勤務で一番胃が痛かったのが,展示会のオープンでした。
まだまだ,読まなければならない資料は山積みなのに,展示会初日は確実に迫ってきます。もしオープンできなかったら,と思うと夜も眠れません。

しかし「やるしか無い」と腹を括ると,不思議なことに,展示原稿締め切り日が迫るにつれてどんどん集中力が増して,普段なら読むのに何日もかかる資料が数時間で読めてしまうし,検討しなければいけない事柄が,ページから,立体写真のように文字が浮き上がってくるのです。普段何気なく聞き流していた同僚の言葉も,VTRが巻き戻されるかのように映像として立ち上がり,別角度からの検討資料が見つかるということもよくありました。そして,一気に原稿を書き上げ,気づくと朝だった,ということもしばしばでした。

学びの世界にも,ゾーンは,確実にあります。
私の場合は,ウルトラマンのように,追い込まれなければゾーンに入ることはできませんでしたが,誰でもゾーンに入ることはできます。

石田教頭先生は言います。
「『集中力がない』と生徒たちは言いますが,
 模試等の振り返りで渡された百ページを超える解説書を,
 それこそ1日半で読み込み,チェックできているんです。
 普段これだけの厚さのレポートを渡されて,読みなさいと言われたら,何日かかりますか?
 『集中力』は,本人が気づいていないだけで,みんなが持っている能力なんです。」

2学期のテーマは「自分の良さや可能性を自ら認識して,本質を学び続ける」です。

総合型選抜,就職試験・公務員試験はいよいよ本番です。
共通テストまでは,あと4カ月となりました。みんな,腹を括って頑張れー!!

 

学校 心には何人かの自分がいます

9月1日(水)
定時制の2学期始業式で,松下宏則副校長が行った講話はとても素敵なものでしたので、紹介させてください。


 私はなまけ者で大ざっぱ,いい加減な性格ですが,周りの人からは,きっちりしていると言われます。私のことを「すぐ怒る」と言う人もいれば,いつもニコニコしているという人もいます。

 高校時代の私の部屋(弟と一緒でしたが…)は散らかり放題でしたが,ときどき整理整頓の神様が降りてきて,朝から夜中まで掃除することがありました。(弟には迷惑な話。)

 毎日決めた時間勉強しないとイライラするのに,部活動は手抜き。感情のブレが大きくて,自分勝手な行動をするので,家族や周りの人には迷惑をかけました。

 自分の中の「きっちり」さんが出てきて,友だちに強い言葉を言ってケンカに。「なまけ者」さんがひょっこり出てきて,部活動(チーム競技)に迷惑をかけたり,「イライラ」さんが出すぎて,モノを投げつけたり。なかなか自分をコントロールできず,すごくきつかった毎日を思い出します。

 でも,怒られてへこんだり,ケンカして一人ぼっちになったり,仲直りして明るい気分になったり…,いろいろな経験をとおして,「きっちり」さんも「なまけ者」さんも「イライラ」さんも,どれも自分だって思えたら,仲良く付き合うことができるようになりました。

 大人になり,仕事の時は「きっちり」さんと「ニコニコ」さんに頑張ってもらっていますが,やっぱり毎日だと疲れます。ただ,それぞれ役割分担がはっきりしてきて,仕事を一所懸命やったら,だらーっと休むし,勉強を頑張ったら,趣味を楽しんで心と体のバランスをとっています。

 心には何人かの自分がいます。特に思春期では,どれが本当の自分かわからなくなる時があります。学校は同じ世代の人が多いので,うれしいことや悩みを共感したり,ケンカしたり,毎日いろいろなことが起こります。そんな毎日を積み重ねながら,心の中にいる何人かの自分と仲良くなってください。自分を好きになると,周りの人のことももっと好きになります。

 2学期は,自分と,ここで出会った仲間のことを大切にしながら,健康に過ごしてくださいね。水前寺清子さん(知っていますか?)の歌の歌詞「一日一歩,三日で三歩,三歩進んで二歩下がる」…
 今日は,昨日よりちょっぴり成長できますように。

 

学校 全日制 2学期始業式あいさつ 「五感で学べ」「イメージせよ」

 皆さん 今年の夏休みは,どうでしたか?
 1学期終わりに 各学年「勝負の夏」と発破をかけられていたと思います。例年と比べて,一歩先へ進む取組ができたでしょうか?
 
 この夏,天草市が行った講演会に スタディサプリAI研究所所長で、東京学芸大学大学院准教授 小宮山利恵子さんの「変化の激しい時代だからこそ地方においてできること」という講演がありました。
 今から24年後の2045年,シンギュラリティ(AIやコンピュータが、大部分の人間の仕事に取って代わる転換点)を迎えると予測されているという説を引きながら,コンピュータが追いつけない世界を創り出していくためには,「共感する力」と「イメージする力」を身に付けなければならない。その力を養うための「教育資源」は,地方に,天草にこそある,という講話でした。

 シンギュラリティと大げさに言わなくとも,車の自動運転や自動精算システムはどんどん進んでいますし,NetflixやAmazon prime等の動画配信サービスに押されて,TSUTAYAもCDやDVDレンタルから撤退しそうな勢いです。皆さんが壮年期を迎える頃には,本当に今ある仕事の半分はなくなってしまっているのかもしれません。
 
 私には,この30年間 ずっと忘れることができない詩のフレーズがあります。
 「あさはこわれやすいがらすだから 東京へゆくな ふるさとを創れ」
 谷川雁という水俣出身の詩人が読んだ「東京へゆくな」という詩の一節です。
 「朝」=「壊れやすいガラス」という等式を示され,それに一点の疑いも抱くことができない以上,それに続く「東京へゆくな」「ふるさとを創れ」という二つのメッセージにも一点の疑いも抱くことはできません。このメッセージには100%頷いてしまうのです。
 事実,1950年代このメッセージを受け止めた多くの若者が,東京に行くのをやめ,自らのふるさとを「根拠地」として活動を始めました。この言葉は、当時の多くの若い日本人の心を揺り動かし,一時代を創り出す言葉となったのです。
 
 全く脈絡のない言葉から一つの象徴的なイメージを創り上げ,人々の心を貫き通すことができるのは,人間だけです。どんなに膨大な知識データを蓄積しようとも,最先端の科学データを駆使しようとも,”規則に基づいたデータ処理”という大前提がある以上,現在のスーパーコンピュータ,量子コンピュータであっても,成しえません。
 そして,人間の中にあっても,このシンボリックなイメージ作りは,五感を使ったリアルな学びで感覚を研ぎ澄ませた人々の中からしか出てきません。これこそが,「地方にこそ人間教育のための教育資源がある」といった小宮山さんの主張の根幹でしょう。
 
 そこで,皆さんに望むことは,「五感で学べ」「イメージせよ」ということです。
 目の前の一つの事柄には,その出来事が起きた背景があります。「朝」を「壊れやすいガラス」と言われて,抵抗できなくなくなってしまうのは,我々の持つ「朝」の光の中に,壊れやすいキラキラとした硬質な光を感じているからです。その本質を突かれて,無条件に納得してしまうのです。
 日々「この背景は何だろうか?」とイメージし,仲間たちと「この本質は何だろうか?」と討議を繰り返すことで,全体を覆うイメージを構築することができます。
 本当に真実を捉えたイメージならば,世界の片隅から発信されたとしても,それは瞬く間に世界を覆いつくすことができるでしょう。その発信を許容する情報ネットワークは,いま世界中に張り巡らされているのです。
 
 2学期の開始を前に,科学部が シンガポール・ベトナム・タイ・台湾等を含めた,国際大会「Global link Online2021 General部門」で,本年度の最優秀賞を受賞したというニュースが飛び込んできました。
 濱昂輝さん,小松奈桜さん,田中翔大さん,濵﨑鴻さんの4人です。
 研究発表タイトルは”Toward a more accessible global warming countermeasure to protect the future by combining sea-level prediction and eelgrass planting.”(未来を守るよりアクセス可能な地球温暖化対策としての海面予測とアマモの移植研究)。
 地球温暖化を防ぐために,天草に住む我々はどうしたら良いのか,何ができるのか、という一つ突き抜けた思いが,言葉や文化習慣を超えて,集まった他の国の人々の心も動かしたようです。「日々学んだ中身で、何ができるのかが大事だ」という,これから先の新しい教育観を自ら達成してくれた天草高校生のもつポテンシャルの高さに敬服しきりです。おめでとう。更に世界に打って出る人が続いてほしいと思っています。
 
 最後に,皆さんにお願いです。
 いよいよ,3年生にとっては,本当に勝負の2学期となります。2年生にとっては,天高の屋台骨を背負ってもらうスタートとなります。1年生にとっては,天高生として,その才能を開かせ始める時期です。
 そこで,新型コロナウイルス感染拡大防止のために,もう一度,マスクをきちんと付け続けること,食事や歯磨きでマスクを外す際には喋らないことを徹底して,安心して学べる環境づくりに協力してください。
 2学期は,文化祭も控えています。一人ひとりが持てる力を存分に発揮して,とことん成長する秋にしていきましょう。

 

学校 全日制 1学期終業式あいさつ「社会と関わるということ,未来を創るということ」

社会と関わるということ,未来を創るということ

 

 今年も 新型コロナウイルスに振り回された1学期でしたが,一人一人が自覚して,様々な工夫を凝らしながら,「先の見通せない中でも 今 自分たちにできる最大限の努力」を積み重ねてくれています。本当にありがとう。

 先日,天草の地域の方々に,「天草高校に期待すること」というテーマで,アンケート調査を行いました。寄せられた意見を集約すると,二つの柱が見えてきました。
 「天草地域唯一の進学校として,上位学校への進学率向上」
 「将来にわたり,地域を担い,地域を活性化できる人材の育成」
 どちらも,長年天草高校を支え続けてくださっている方々の,最大公約数の思いです。

 そこで,敢えて私は 皆さんに「何のために 学ぶのか?」と 問い直したいと思います。
 毎日毎日 難しい勉強を いったいなんのために 学んでいるのでしょう?
 志望校に通るため? 難関大学に通るため? 親を喜ばせるため? いいえ違います。
 答は 単純です。 「未来を創るため」です。
 「世の中の,一人でも多くの人が,笑顔で幸せに暮らせるようにするため」に,私たちは学び,そして働いているのです。
 私たち「大人」は,これまで一生懸命学んで,働いて,皆さんに「未来」を渡せるように努力してきました。しかし,私たちは「過去の住人」です。皆さんの「未来」を全部創り上げることはできません。
 皆さんの「未来」を創るのは「未来の住人」である,あなたたち自身なのです。

 改めて尋ねます。「『未来を創る』ということは あるいは 『地域を活性化する』ということは,大学に入った後じゃないとできない学びなのでしょうか?」
 たくさんの大学や専門学校が,「未来を拓く」ための挑戦を続けています。
 「地域活性化」についても,多くの大学が,例えば熊大や県立大学でも取り組んでいます。これらの学びは,大学に行かないとできないことなのでしょうか?
 いま,天草高校・天草工業高校・天草拓心高校の生徒たちが協働で,本渡中央銀天街を活性化させるための「社会実験」に取り組み始めています。
 天草島内の100名を超える高校生たちが,地域の課題を学び,地域を活性化させるための「起業」の学びを始めています。
 社会と関わるということは,いつだって誰にだって,どこでだってできます。「できる」ということに気づいていないだけです。

 私は,この1学期に,一人の社会人として,熊本市の「6割の街路樹を伐採する」という計画に対し,アクションを起こすべきだと考え,友人たちとこの問題の勉強会を開いてきました。そして,この課題の背景や他所の国での取組や熊本市の活動についても調べ,情報共有してきました。勉強会の数名が,熊日新聞に意見文を書き,ツイッターで事実を広げ,そして,熊本市長に提言書を提出しました。
 私も,熊本市長に
「熊本市の「街路樹再生計画」では,街路樹の維持管理のために,市民の協力も願うという方向性が出されています。そうであるならば,是非,次世代を担う若者も入れて,街路樹再生計画を再考いただけないでしょうか?」と6月10日に手紙を出しました。
 そして,約2週間後の6月26日,熊本市の大西市長は「街路樹再生計画の中断」と「再生計画策定員会」の再開を表明しました。この大英断には深く感謝したい思いです。
 私の手元には,7月7日付で,大西市長から「新たな視点や市民の皆様のご意見を幅広くいただきながら,必要な見直しも行い,景観や街並みの将来の姿や,十年後,五十年後,市民が誇れる街路樹再生を考えてまいります。」というお手紙もいただきました。

 世の中には「先が見通せない」中でも,判断をしなければならない場面がたくさんあります。その時は良かれと思ってやったことが,後でとんでもない間違いだったということもたくさんあります。私たちの行動もひょっとしたら50年後,間違いだったという結論が出されているかもしれません。しかし,そうならないために,常にアンテナを高くし,正確な情報を収集して,様々な人々と意見交換し,自らの取ろうとしている行動の可否判断を行う必要があるのです。ここにこそ,「学ぶ」ということの,本当の意味があります。

 皆さんに渡す「未来」は,私たち大人がしっかり智慧を絞って創っていきます。
 しかし,「未来の天草」を,そして「これからの世界」を創っていくのは,あなたたち以外には居ません。大西市長への手紙の結びに「是非,次世代を担う若者も入れて,街路樹再生計画を再考いただけないでしょうか?」と入れたのも,まさにこの思いからです。

 皆さんの「未来」を創るのは「未来の住人」である,あなたたち自身なのです。
 社会と関わること,未来を創ることは,今この瞬間からも始められます。皆さん,どうか,先の見えないことを恐れず,前を向いて,今この瞬間にできることはないかと考え,行動し学び続けてください。そして,その大きな志を持って上級学校進学・公務員を目指してください。そのことが必ずやあなたの道を拓いていくことになると信じています。

 将来の目標のために,新たな決意を抱いて,有意義な夏休みにしてください。

学校 定時制 1学期終業式あいさつ「ことばの 一つひとつを 大切にするということ」

ことばの 一つひとつを 大切にするということ

 

 今年も 新型コロナウイルスに振り回された1学期でした。しかし,一人一人が自覚して学校生活に取り組み,先生方も様々な工夫を凝らして,日々の学びと,学校行事を進めてくださっています。本当にありがとう。

 先日,天草高校と交流している韓国の土坪高校の生徒 キム ガヒョン さんから 素敵な手紙をもらいました。
中には,「私の大好きな詩を 一生懸命 日本語に訳してみました。 読んでみてください」という手紙とともに 次のような詩が入っていました。

    「揺れながら咲く花」 ト ジョンファン

  ぐらつかずに咲く花が どこに あるだろうか
  この世の どんなに美しい花たちも みな 揺れながら咲いたのだ
  揺らぎながら 茎をまっすぐに 伸ばしたのだ
  揺らがずに行く愛が どこに あるだろうか

  濡れずに咲く花が どこにあるだろうか
  この世の どんなに輝く花たちも みな 雨に打たれて咲いたのだ
  風と雨に濡れながら 自らの花びらを温かく咲かすのだ
  濡れないでいく人生が どこに あるだろうか

 この詩は 韓国ドラマ「学校2013」の中でも,お互いの気持ちがバラバラになりそうな中で,担任の先生が クラスの子どもたちに向けて朗読する場面でも使われているということです。人生の応援歌みたいでとても素敵な詩ですね。


 私の好きな詩集に,『世界はもっと美しくなる』(寮美千子編 ロクリン社 2016年)という本があります。その中の詩をいくつか紹介します。

    「弱い自分・デキない自分」

  何をしても 失敗ばかりな自分
  どんなに努力しても 空回りするばかり
  どんなに集中しても たいした結果を出せず
  頭ではわかっているのに ミスを繰り返す自分
  注意されると 反抗的な態度をとってしまう自分
  感情が 顔や態度に すぐに出てしまう自分
  短気でどうしようもない自分
  がんばって口に出さずに タメた結果
  自分を責めて モノにあたってしまう自分
  いつまでたっても 成長しない自分
  そんな自分にウンザリだし 嫌いで仕方ない

  「ガキ」みたいに なれたら
  「ガキ」みたいに いまの生活を楽しめたら
  一体どんだけ 居心地がいいだろうか

  弱音を吐きまくる自分が 情けない
  強い自分・デキる自分に なりたい


    「うれしかったこと」

  ぼくは スーパーで4年 仕事をしていました
  1年は青果部で あとの3年は鮮魚です
  最初はすごく怒られ もうやめようと思ったときもありました
  でも あきらめずに一生懸命働きました
  勤めて2年目のときに 店長から呼び出しがありました
  「社員をしないか」といわれました
  とても びっくりしました
  そして ぼくは社員になったのです
  このことが 人生で一番うれしかったことです

他にも私の好きな詩を紹介しますね。次は私の一番好きな詩です。

    「3時のホットケーキ」

  小学校3年生のとき 学校から帰ってくると
  おやつは いつも ホットケーキ
  決まって お皿の上に3枚
  友だちのところにいくときも
  ラップに包んで持っていくのが 当たり前だった

  小学校4年生のとき
  お菓子屋さんでおやつを買って食べている子たちに
  ホットケーキをバカにされた
  それが すごく悔しくて恥ずかしくて
  次の日 お皿の上のホットケーキには手をつけず
  友だちのところへ行った

  そしたら次の日 テーブルの上に ホットケーキはなかった
  次の日も その次の日も
  おやつのない日々に ガマンできなくなったぼくが
  「おやつ代 ちょうだい」といったら すごく怒られた
  「みんなと同じように お菓子屋さんでおやつを買って
   みんなといっしょに 食べたいんだよ」
  そう訴えると すごく悲しそうな顔をされた
  なんで そんな顔をするのか ぼくにはわからなかった

  いまになって わかる
  まだ若くて 急にぼくといっしょに暮らすことになった あなたは
  どう接したらいいかわからなくて 一生懸命考えて
  ホットケーキを焼いてくれていたんだね

  いま 義母のことを「オカン」と呼べるようになった
  いろんなことがあったけど 育ててくれてありがとう
  あのホットケーキ もう一度 食べたいな


 この詩集は,誰が書いたのか? イニシャルがところどころ記しているだけです。
 なぜなら 奈良少年刑務所に入所していた少年たちが書いた詩だからです。
 この少年刑務所で詩を教えることになった 詩人の 寮美千子(りょう みちこ)さんは,最初とても躊躇したと記しています。しかし
 「彼らはみな,加害者になる前に,被害者であったような子たちなんです。極度の貧困のなか,親に育児放棄や虐待をされてきた子。発達障害をかかえているために,学校でひどいいじめを受けてきた子。厳しすぎる親から,拷問のようなしつけをされてきた子。親の過度の期待を一身に受けて,頑張りすぎて心が壊れてしまった子。心に深い傷を持たない子は,一人もいません。その傷を癒せなかった子たちが,事件を起こして,ここに来ているんです。本当は,みんなやさしい,傷つきやすい心を持った子たちなんです。」と刑務官の方に話をされて,通い始めます。
 そして,詩の教室を開く中で,固く閉ざされた心の扉が開かれたとき,溢れ出てくるのは「やさしさ」でした,と語ります。


 私にとっても,この詩集の子どもたちの言葉は宝物です。

 しかし,みんなの心の扉が開かれたときに出てくる言葉は,もっともっと宝物です。
 天定(あまてい)の先生方は,毎日毎日みんなの言葉の奥底にある思いを掬えないかなと思って,何度も何度も反芻し,イメージし,考え続けています。
 同じように,彼の 彼女の あの言葉の後ろには どんな思いがあったのかな? どんな背景があったのかな? とイメージしてみると お互いの関係性が もっと 広がっていくかもしれません。

 言葉の一つ一つを大事にしながら お互いに育ちあがっていきましょう。

 夏場のキツイ時期に仕事が続く人もいるでしょうが,少しでも心と体のリセットをして,二学期また元気に会いましょう。一学期間 お疲れさまでした。

校長室へようこそ!

校長室へようこそ!

山並精神【校長ブログ】

本校の事務室には「山並精神」の額装があります。

この“山並”とは、恩師として多くの同窓生の方が尊敬してやまない山並兼武先生のことです。山並先生は、昭和22年から45年まで母校天高の体育教師として奉職されました。

山並先生については後述させていただくとして、書かれている「山並精神」を紹介したいと思います。

 

人間、如何に立派な学歴があり、豊富な知識があっても、亦如何に一芸に優れて居ても、誠実と実行とによらなければ何事も成し遂げられるものではない。口先の人となるより実践の人となること、有名人になるよう心がけるより誠実な人となるように努力すること、肩書きで光る人となることもよいが、誠実と実行を以て人知れず陰で輝く人の尊さを思い見ることが大切である。如何に奮闘努力しても立身出世出来なくても、誠実を以て世に処し、社会の為に祈りつつ働くならば立派な生活人である。

 

天草更紗

 

 

これは、中村いすず様に染めていただいた天草更紗です。更紗は、南蛮船に乗って渡来したもので、キリシタンロマンの島、天草の異国情緒を味わうことが出来るものです。昨年は、食物被服部の生徒が中村様の指導のもと天草更紗づくりに挑戦しました。 

書「玉成」【校長室より】

校長室に掲げてあるこの書は、天草(大矢野町出身)が生んだ巨星、竹添進一郎(号 井々)先生の『 玉 成 』です。竹添先生は、明治初期の激動時代に不世出の外交官・漢学者として、日本はもとより中国等においても活躍され偉大な功績を残されています。また、帝国大学(東京)教授もつとめられ、熊本県近代文化功労者としても顕彰されている方です。なお、二女は講道館柔道の始祖、嘉納治五郎に嫁いでいらっしゃいます。

この書は、竹添先生が父の墓碑を天草本渡から玉名伊倉に移すとき、高台の墓所より船積場までの石碑運搬を天草中学校の生徒達が手伝ったことに感激して、贈られたものです。

玉成とは玉の如く立派に磨き上げるの意味であり、中国、宋代の儒者、張横渠の著書「西銘」にある「貧賤憂戚、庸玉女於成也」から取ったと伝えられています。