校長室より

2021年9月の記事一覧

音楽 音楽と自然大好き!

新型コロナの影響で来日が遅れていたALTの先生が今日から着任です。
ウイリアム・ブラックストーン先生。音楽と自然が大好きな陽気な先生です。
天草の豊かな自然に育まれた本校生と波長が合うような予感がしています。

まん延防止重点措置も9月いっぱいで解除の方向性が見えてきました。
10月からは,部活動も含めて平常通りの学校生活が取り戻せそうです。
やっと 吹奏楽の音や部活動の生徒たちの歓声が響き合う学校生活の復活です。

ブラックストーン先生には準備が整い次第,「コミュニケーション英語」の授業を担当してもらうことになりますが,生徒諸君には,授業だけでなく放課後等も,ブラックストーン先生を囲んで会話を楽しみながら,世界の様々な価値観を知り,多文化共生に向けての力強い第一歩を踏み出してくれることを願っています。

ハート 野の花を

天草の名宿「五足の靴」オーナーの山崎博文さんが,以前,

「僕の一番の贅沢は,切り花を飾ること。
 野の花を一輪手折ってきて,花瓶に指し,毎日水をやりながら会話するのが
 一番の至福の時だね」

と話してくれたことがあります。もう何十年も前の話です。

4月から校長室には何かと季節の花があふれ,毎日至福を感じていましたが,
9月に入って,蘭も終わってしまいました。
そこで家にあった橋本不二子さんの絵ハガキを机に飾っていたら,
事務室の宮﨑先生が
「しばらく花を活けていなかったので,うまくできませんでした」と言いながら,
素敵な野の花をテーブルに活けてくださいました。
町山口川から吹き込む柔らかな風にオレンジの花が揺れています。

キラキラ 学校は 幸せをつくっている

先週受けた,小林嘉男さん((株)ディスコ経理部長)の講義の中に
素敵な言葉がありました。

  学校は 幸せをつくっている
  生徒の幸せ
  生徒の保護者の幸せ
  地域の方々の幸せ
  学校の同窓生の幸せ
  学校に関わる全ての人の幸せ

  だから
  校長は すべてを幸せにできなければならない
  「幸せの専門家」じゃないといけない
 
  どうやったら
  学校に関わるすべての人が幸せになれるか
  校長は死ぬほど考えなければならない
  幸せについて もっともっと 勉強しなければならない

  それが 校長の仕事
 
講義を聞きながらメモった中身なので
ひょっとしたら間違っているかもしれませんが
「どうやったら 学校に関わるすべての人が幸せになれるか
 校長は死ぬほど考えなければならない」
重い しかし 素敵なメッセージです。

幸せって何でしょう?
生徒の幸せ
保護者の幸せ
地域の人々の幸せ
同窓会の方々の幸せ
そして学校を取り巻く方々すべての人の幸せ・・・

イソヒヨドリのつがいが 鈍色の空に澄んだ声を響かせています。
少なくとも 一人一人を笑顔にできたら すべての人の幸せに近づいているのでしょう。

友人の詩人がこう言いました。
「私は
 誰かの心に刺さっている棘(とげ)を
 一本ずつ抜くために
 こうやって詩を詠んでいる」 と。

みんなを笑顔にできる方法――職員・生徒・保護者の方々みなさんで
一緒に しっかり 考え続けていきたいと思います。

ハート 必勝 アルコール

熊本県内の新型コロナは ピークは過ぎたようですが,
10代以下の感染は,依然高い頻度で続いているようです。
県内の小中高では,短縮授業や部活動の休止等の対応が,月末まで更に延長され,
学校活動や行事計画等にも変更が相次いでいます。

本校でも,9月10日(金)に予定していた文化祭を17日(金)に延期し,
内容も,各クラスにオンラインで配信する内容と展示部門とに編成し直して,
安全と感染防止に配慮しながら準備を進めているところです。

そんな中,本校PTAから,
進路決定を控えた3年生への激励グッズとして
「必勝 アルコール」が届けられました!!

親御さん方の思いがぎっしり詰まったこのアルコールを
両手にしっかり振りかけて
Virus と 菌 と 邪念 とを払い
残り4カ月 ともにゴールまで駆け抜けていきたいと思います。

鉛筆 ゾーンに入る

先日,校内の進路検討会で,石田教頭先生が職員に話した言葉が耳に残りました。

「ゾーンに入ると すべての感覚が研ぎ澄まされて,スローモーションを見ているような状態になるそうです。
 部活動でその経験を持つ生徒もいると思います。
 勉強でゾーンに入ったら,3倍のスピードで学ぶことができます。
 ということは,3年生は,残り6か月で18か月分の学びができるということです。
 是非,集中度をUPさせて,時間を引き延ばしてください。」

私は以前,熊本近代文学館に勤務していました。
年間3回の企画展示と,資料調査・収集・研究という膨大な作業を1人でやらなければなりません。仕事は山積みで,休日も書庫に籠る毎日です。しかし,作家さんたちの隠された一面を垣間見ることができて,とても楽しい日々でした。

その熊本近代文学館勤務で一番胃が痛かったのが,展示会のオープンでした。
まだまだ,読まなければならない資料は山積みなのに,展示会初日は確実に迫ってきます。もしオープンできなかったら,と思うと夜も眠れません。

しかし「やるしか無い」と腹を括ると,不思議なことに,展示原稿締め切り日が迫るにつれてどんどん集中力が増して,普段なら読むのに何日もかかる資料が数時間で読めてしまうし,検討しなければいけない事柄が,ページから,立体写真のように文字が浮き上がってくるのです。普段何気なく聞き流していた同僚の言葉も,VTRが巻き戻されるかのように映像として立ち上がり,別角度からの検討資料が見つかるということもよくありました。そして,一気に原稿を書き上げ,気づくと朝だった,ということもしばしばでした。

学びの世界にも,ゾーンは,確実にあります。
私の場合は,ウルトラマンのように,追い込まれなければゾーンに入ることはできませんでしたが,誰でもゾーンに入ることはできます。

石田教頭先生は言います。
「『集中力がない』と生徒たちは言いますが,
 模試等の振り返りで渡された百ページを超える解説書を,
 それこそ1日半で読み込み,チェックできているんです。
 普段これだけの厚さのレポートを渡されて,読みなさいと言われたら,何日かかりますか?
 『集中力』は,本人が気づいていないだけで,みんなが持っている能力なんです。」

2学期のテーマは「自分の良さや可能性を自ら認識して,本質を学び続ける」です。

総合型選抜,就職試験・公務員試験はいよいよ本番です。
共通テストまでは,あと4カ月となりました。みんな,腹を括って頑張れー!!

 

学校 心には何人かの自分がいます

9月1日(水)
定時制の2学期始業式で,松下宏則副校長が行った講話はとても素敵なものでしたので、紹介させてください。


 私はなまけ者で大ざっぱ,いい加減な性格ですが,周りの人からは,きっちりしていると言われます。私のことを「すぐ怒る」と言う人もいれば,いつもニコニコしているという人もいます。

 高校時代の私の部屋(弟と一緒でしたが…)は散らかり放題でしたが,ときどき整理整頓の神様が降りてきて,朝から夜中まで掃除することがありました。(弟には迷惑な話。)

 毎日決めた時間勉強しないとイライラするのに,部活動は手抜き。感情のブレが大きくて,自分勝手な行動をするので,家族や周りの人には迷惑をかけました。

 自分の中の「きっちり」さんが出てきて,友だちに強い言葉を言ってケンカに。「なまけ者」さんがひょっこり出てきて,部活動(チーム競技)に迷惑をかけたり,「イライラ」さんが出すぎて,モノを投げつけたり。なかなか自分をコントロールできず,すごくきつかった毎日を思い出します。

 でも,怒られてへこんだり,ケンカして一人ぼっちになったり,仲直りして明るい気分になったり…,いろいろな経験をとおして,「きっちり」さんも「なまけ者」さんも「イライラ」さんも,どれも自分だって思えたら,仲良く付き合うことができるようになりました。

 大人になり,仕事の時は「きっちり」さんと「ニコニコ」さんに頑張ってもらっていますが,やっぱり毎日だと疲れます。ただ,それぞれ役割分担がはっきりしてきて,仕事を一所懸命やったら,だらーっと休むし,勉強を頑張ったら,趣味を楽しんで心と体のバランスをとっています。

 心には何人かの自分がいます。特に思春期では,どれが本当の自分かわからなくなる時があります。学校は同じ世代の人が多いので,うれしいことや悩みを共感したり,ケンカしたり,毎日いろいろなことが起こります。そんな毎日を積み重ねながら,心の中にいる何人かの自分と仲良くなってください。自分を好きになると,周りの人のことももっと好きになります。

 2学期は,自分と,ここで出会った仲間のことを大切にしながら,健康に過ごしてくださいね。水前寺清子さん(知っていますか?)の歌の歌詞「一日一歩,三日で三歩,三歩進んで二歩下がる」…
 今日は,昨日よりちょっぴり成長できますように。

 

学校 全日制 2学期始業式あいさつ 「五感で学べ」「イメージせよ」

 皆さん 今年の夏休みは,どうでしたか?
 1学期終わりに 各学年「勝負の夏」と発破をかけられていたと思います。例年と比べて,一歩先へ進む取組ができたでしょうか?
 
 この夏,天草市が行った講演会に スタディサプリAI研究所所長で、東京学芸大学大学院准教授 小宮山利恵子さんの「変化の激しい時代だからこそ地方においてできること」という講演がありました。
 今から24年後の2045年,シンギュラリティ(AIやコンピュータが、大部分の人間の仕事に取って代わる転換点)を迎えると予測されているという説を引きながら,コンピュータが追いつけない世界を創り出していくためには,「共感する力」と「イメージする力」を身に付けなければならない。その力を養うための「教育資源」は,地方に,天草にこそある,という講話でした。

 シンギュラリティと大げさに言わなくとも,車の自動運転や自動精算システムはどんどん進んでいますし,NetflixやAmazon prime等の動画配信サービスに押されて,TSUTAYAもCDやDVDレンタルから撤退しそうな勢いです。皆さんが壮年期を迎える頃には,本当に今ある仕事の半分はなくなってしまっているのかもしれません。
 
 私には,この30年間 ずっと忘れることができない詩のフレーズがあります。
 「あさはこわれやすいがらすだから 東京へゆくな ふるさとを創れ」
 谷川雁という水俣出身の詩人が読んだ「東京へゆくな」という詩の一節です。
 「朝」=「壊れやすいガラス」という等式を示され,それに一点の疑いも抱くことができない以上,それに続く「東京へゆくな」「ふるさとを創れ」という二つのメッセージにも一点の疑いも抱くことはできません。このメッセージには100%頷いてしまうのです。
 事実,1950年代このメッセージを受け止めた多くの若者が,東京に行くのをやめ,自らのふるさとを「根拠地」として活動を始めました。この言葉は、当時の多くの若い日本人の心を揺り動かし,一時代を創り出す言葉となったのです。
 
 全く脈絡のない言葉から一つの象徴的なイメージを創り上げ,人々の心を貫き通すことができるのは,人間だけです。どんなに膨大な知識データを蓄積しようとも,最先端の科学データを駆使しようとも,”規則に基づいたデータ処理”という大前提がある以上,現在のスーパーコンピュータ,量子コンピュータであっても,成しえません。
 そして,人間の中にあっても,このシンボリックなイメージ作りは,五感を使ったリアルな学びで感覚を研ぎ澄ませた人々の中からしか出てきません。これこそが,「地方にこそ人間教育のための教育資源がある」といった小宮山さんの主張の根幹でしょう。
 
 そこで,皆さんに望むことは,「五感で学べ」「イメージせよ」ということです。
 目の前の一つの事柄には,その出来事が起きた背景があります。「朝」を「壊れやすいガラス」と言われて,抵抗できなくなくなってしまうのは,我々の持つ「朝」の光の中に,壊れやすいキラキラとした硬質な光を感じているからです。その本質を突かれて,無条件に納得してしまうのです。
 日々「この背景は何だろうか?」とイメージし,仲間たちと「この本質は何だろうか?」と討議を繰り返すことで,全体を覆うイメージを構築することができます。
 本当に真実を捉えたイメージならば,世界の片隅から発信されたとしても,それは瞬く間に世界を覆いつくすことができるでしょう。その発信を許容する情報ネットワークは,いま世界中に張り巡らされているのです。
 
 2学期の開始を前に,科学部が シンガポール・ベトナム・タイ・台湾等を含めた,国際大会「Global link Online2021 General部門」で,本年度の最優秀賞を受賞したというニュースが飛び込んできました。
 濱昂輝さん,小松奈桜さん,田中翔大さん,濵﨑鴻さんの4人です。
 研究発表タイトルは”Toward a more accessible global warming countermeasure to protect the future by combining sea-level prediction and eelgrass planting.”(未来を守るよりアクセス可能な地球温暖化対策としての海面予測とアマモの移植研究)。
 地球温暖化を防ぐために,天草に住む我々はどうしたら良いのか,何ができるのか、という一つ突き抜けた思いが,言葉や文化習慣を超えて,集まった他の国の人々の心も動かしたようです。「日々学んだ中身で、何ができるのかが大事だ」という,これから先の新しい教育観を自ら達成してくれた天草高校生のもつポテンシャルの高さに敬服しきりです。おめでとう。更に世界に打って出る人が続いてほしいと思っています。
 
 最後に,皆さんにお願いです。
 いよいよ,3年生にとっては,本当に勝負の2学期となります。2年生にとっては,天高の屋台骨を背負ってもらうスタートとなります。1年生にとっては,天高生として,その才能を開かせ始める時期です。
 そこで,新型コロナウイルス感染拡大防止のために,もう一度,マスクをきちんと付け続けること,食事や歯磨きでマスクを外す際には喋らないことを徹底して,安心して学べる環境づくりに協力してください。
 2学期は,文化祭も控えています。一人ひとりが持てる力を存分に発揮して,とことん成長する秋にしていきましょう。