校長室からの風(メッセージ)
多高生よ、一歩前へ ~ 県高校総体・総文祭
多高生よ、一歩前へ ~ 県高校総体・総文祭
第46回熊本県高等学校総合体育大会のポスターを本校では体育館及び生徒昇降口に掲示していますが、印象深い作品です。男子選手のたくましく太い左足が画面いっぱいに大きく描かれており、迫力があるのです。恐らく走っている姿なのでしょう、地面を蹴った右足は薄く陰で描かれています。5月23日(水)、県高体連評議員会においてポスター制作者の第二高校3年生の西原さんが表彰され、作品の意図について「スポーツに、そして芸術活動に、私たち高校生がともに一歩前に踏み出そうとする気持ちを描きました。」と語ってくれました。
5月25日(金)の正午から、多良木高校第1体育館で「第46回熊本県高等学校総合体育大会・第30回熊本県高等学校総合文化祭」に出場する生徒達、及び第61回全国空手道選手権大会に出場する山下恵理奈さんの推戴式を行いました。多良木高校選手団の旗手の荒川岬君(陸上競技)に校旗を手渡しました。校長激励の言葉では、高校総体のポスターのモチーフをもとに「多高生よ、一歩前に」とエールを送りました。
平成31年3月をもって閉校する本校にとって、最後の高校総体・高校総文祭となります。生徒たちにとっても心中期するものは大きいと思います。しかし、県高校総体において一つ勝利すること、自己ベスト記録を出すことがいかに難しいか選手自身が一番よくわかっています。歓喜と失意、喜びと悲しみ。勝負の世界の定めです。心の底から喜びを爆発させたり、悔し涙に沈んだりできるのも若さの特権だと思います。このようなかけがえのない体験をしながら、高校生は大人になっていくのでしょう。
6月1日(金)、熊本県高校総合体育大会総合開会式(熊本市:えがお健康スタジアム)では80校が行進します。スタンドからは熊本市内の高校生を中心に約1万3千人の観客が注目します。多良木高校は72番目の予定です。30人の選手団で「ありがとう 多良木高校 ~ 96年間の思いと共に」の横断幕を掲げ、胸を張って歩きたいと思います。
最後の高校総体に向けて
最後の高校総体に向けて
第46回熊本県高等学校総合体育大会が6月1日(金)から開催されます。先行実施としてサッカーは5月26日(土)に1回戦が行われます。多良木高校にとって最後の高校総体に出場する体育系部活動はサッカー、陸上競技、男子バスケットボール、女子バレーボール、アーチェリーです。
サッカー部は部員5人。昨年秋から南稜高校と合同チームを結成し活動しています。主に南稜高校で練習するため、放課後、約6㎞離れた同校グラウンドまで自転車で移動しています。合同チームとして球磨郡の高校生の絆の強さ、たくましさを発揮してくれるものと期待します。
陸上競技部は部員7人。本校では最も伝統があり、かつては「オレンジ旋風」と呼ばれるほど多良木高校陸上部のオレンジカラーのユニホームが県大会で活躍しました。幾多の一流選手を輩出してきた部の歴史を誇りに、全員が自己ベスト記録を目指してほしいと期待します。
男子バスケットボール部は部員10人。その内、中学校でバスケットボール部に所属していなかった生徒が半分の5人です。けれども、皆がバスケットボールに情熱を傾け、自主的に朝練習に取り組むなどして着実に力を付けてきました。初のベスト16進出を期待します。
女子バレーボール部は部員6人。単独で公式戦に出場できるぎりぎりの人数ですが、抜群のチームワークで球磨選手権大会2連覇など実績を残してきました。多良木高校単独チームで出場できる喜びをかみしめ、目標のベスト16進出を勝ち取ってほしいと期待します。
アーチェリー部は女子部員2人。2人で日頃から黙々と練習を重ねています。先輩の中には世界選手権出場者もおり、本校において小さくともキラリと光る存在の部活動です。競技人口は少ないですが、自ら選んだ競技に誇りを持ち、集中と忍耐で自己記録更新を期待します。
体育系部活動の皆さん。この2年余り、部活動と学習の両立で悩んだこともあったでしょう。技量や記録が伸びずスランプに陥ったこともあったでしょう。それらの苦しい経験があったからこそ、今の皆さんがあるのです。皆さんは多良木高校のアンカーとして輝いているアスリートたちです。
体育系部活動を励ます(5月12日 体育大会)
福島からのお便り
福島からのお便り
「 福島民報の投稿をいくつも読ませていただきました。
福島県に来ていただいて ありがとうございます。
福島県に想いを寄せて下さって ありがとうございます。
一言、お礼をお伝えしたく思いました。
福島市の一主婦より 」
先日、「福島市の一主婦」の方から丁重なるお葉書を多良木高校は頂きました。本校は昨年度まで4年間、修学旅行で福島県を訪ね、震災学習とスキー研修を行いました。二本松市の岳温泉、安達太良山スキー場、いわき市のアクアマリン、羽鳥湖のスキー場等、様々な場所を生徒たちと4年間巡りました。どこを訪ねても、山も海も麗しく、人情厚く温かいおもてなしを受けました。
今年1月末、2年生67人で訪れた修学旅行において、予定より遅く到着した福島コミュタン(三春町)では閉館時間を延長して御対応いただきました。二本松市岳温泉の旅館の夕食は大変な御馳走で、福島の食材のおいしさを実感しました。女将さんの震災講話は、体験者しか語れない迫真の内容で生徒の胸を揺さぶりました。この修学旅行が本校として最後の修学旅行となりました。
この4年間、福島で生徒たちは多くのことを学び、そして豊かな体験ができました。その感謝の気持ちを福島県民の方々にお伝えしようと生徒達は修学旅行のお礼の文章を書きました。それらを福島民報に送ったところ、その中から数編が新聞の投稿欄で紹介されたと聞きました。「福島の一主婦」の方はそれをご覧になったのでしょう。県民の方々に生徒の思いが届いたのです。
福島県の先人の方々は、150年前の歴史の転換期において節義を貫かれ、苦難を乗り越えられました。そのことに深く敬意を表します。東日本大震災発生から7年が過ぎましたが、未だに帰還困難区域が残り、復興は道半ばであることに胸が痛みます。しかし、大震災と原子力発電所事故という現代の危難に対しても、県民の皆様はきっと克服していかれるものと信じております。
多良木高校が修学旅行に行くことはもうありませんが、福島県の未来への期待とこの4年間の感謝の気持ちを込め、重ねて御礼申し上げます。
「福島コミュタン」見学風景(平成30年1月16日)
笑顔と涙のフィナーレ ~ 最後の体育大会をやり遂げた生徒たち
笑顔と涙のフィナーレ ~ 最後の体育大会をやり遂げた生徒達
「飛ぶ飛ぶ雲が 青春の雲が 青く連なる 市房山の
尾根の起伏を 雲が飛ぶ 薫れ石楠花(しゃくなげ)
輝け霧氷 讃(ほ)めよ 多良木の 若き生命を」
多良木高校生徒歌の一番の歌詞です。この生徒歌は毎年体育大会の閉会式で歌います。5月12日(土)の多良木高校最後の体育大会のフィナーレは、この生徒歌合唱でした。日焼けした67人の生徒たちが肩を組み、ある者は笑顔で、ある者は感極まって涙目で歌いました。生徒全員、その胸中は「自分たちで最後の体育大会をやり遂げた」という達成感、成就感に満たされていたことと思います。
閉会後、「最初の入場行進から涙が出ました」、「体育大会を見て泣いたのはじめて」、「感激で涙がとまらなかった」と多くの保護者、同窓及び地域の方々が体育大会の感想を述べられました。生徒たちが一生懸命に競う姿、ひたむきに演じる姿が観覧の方々の胸を打ったのでしょう。広いグラウンドで躍動する高校生の姿を来年は見ることができません。最終年度、多良木高校の伝統の活力を発信し、多くの方々に元気を届けることができたと思います。そして、永い間、学校を応援し協力してくださった地域への恩返しにもなったのではないかと思います。
午前中最後のプログラム「キラリ輝く多高生」(集団演技)では、男子のたくましい体操、女子の軽快なダンス、そして体育コース生徒の高い身体能力によるパフォーマンスと続き、ラストでは全生徒が白い晒し布を使い「一生多高生」の文字を浮かび上がらせました。意表をつかれた演出で鮮やかでした。さらに赤団、青団の両団長が多良木高校のアンカーとしての決意を表明しました。
この2年余りの生徒の成長を目の当たりにして、「皆さん、ご覧ください。この生徒たちが多良木高校96年のアンカーです。」と胸を張りたい思いにとらわれました。
最後の体育大会 ~ テーマ「一勝懸命 ~ Final Lap」
最後の体育大会 ~ テーマ「一勝懸命 ~ Final Lap」
多良木高校第68回体育大会を5月12日(土)に開催しました。市房山をはじめ九州山地の鮮やかな山並みを背景とした本校グラウンドにおいて、生徒達が躍動する姿はまことに眩しく、観る者の胸に迫りました。多良木高校67人の最終走者(アンカー)は見事に自分たちの力で体育大会をやり遂げました。そのことを私は誇りに思います。
開会式における校長挨拶を次に掲げます。
「風薫る五月晴れのもと、熊本県議会議員 緒方勇二様、多良木町町長 吉瀬浩一郎様をはじめ多くのご来賓、保護者、同窓及び地域の方々に御臨席いただき、また、主催者側として熊本県教育委員会の宮尾千加子教育長、那須高久高校教育課長に御観覧いただく中、熊本県立多良木高等学校第68回体育大会を開催できますことを、皆さんと共に喜びたいと思います。
多良木高校は平成31年3月をもって閉校します。大正11年の創立以来、綿々と引き継がれてきたバトンが、最終走者である今年度の3年生に渡りました。この67人のアンカーが多良木高校のゴールに向かって、今、走っています。最終年度の本校のテーマは『ゴールに向かって、挑戦!』です。
生徒の皆さん。皆さんは『自分たちの力で最後の体育大会を創り上げたい』との熱い思いで、生徒会を中心に準備や広報に取り組むと共に、各競技・種目の練習を重ねてきました。今日はこのように大勢の方が来校されました。生徒の皆さんが輝く日です。そして、日頃から本校を応援してくださっている地元住民の方や交流のある保育園の園児たちとの合同競技も楽しみです。
今日の体育大会はきっと笑顔と歓声あふれるものになることでしょう。
結びに、ご観覧の皆様に、生徒達に対するご声援を心からお願いして、開会の挨拶といたします。」
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄