校長室からの風(メッセージ)

2015年10月の記事一覧

多高プライド ~ 誰も見ていなくても

多高プライド ~ 誰も見ていなくても

                            

 10月20日(火)から21日(水)にかけ多良木町の恵比須神社秋季例大祭が開かれ、神社周辺には露天商が並び、多くの人出で賑わいました。二日目の夜9時頃、お祭りも終わって露天商の店仕舞いが始まりました。神社境内や周囲の道にはゴミが散乱していました。その時、多良木高校3年生男子の3人が自発的にゴミを拾い集め始めました。「このままの状態ではいけない、自分たちでやろう」と思ったそうです。その行為を見ておられた方が、翌朝、学校と町役場へ称賛の電話を掛けてこられました。

 また、体育部活動の生徒たちの登下校の挨拶について、よくお褒めの言葉が寄せられます。先日は、あさぎり町上にお住まいの方から、「毎夕、部活動帰りの自転車に乗った多良木高校生が気持ちの良い挨拶をしてくれます。」とお電話がありました。校内や学校周辺ではなく、遠く離れた所でも挨拶ができていることを頼もしく思います。

 多高生の皆さんが思っている以上に、地域の方々は皆さんの元気な挨拶を喜ばれます。多良木町の高齢の女性の方が、「野球場の脇の道を歩いていると、生徒さんが、こんちは!と言ってくれます。こんなばばさんにまで挨拶してくれて、うれしゅうて。」と感激して私におっしゃったことがあります。

 年度当初から、生徒の皆さんに私たち職員は「多高プライド」を呼びかけてきました。自分に恥じない高校生活を送って欲しい、大人が、あるいは他の学校の生徒がみっともない行動をしても、自分だけは流されず善く生きようと思って欲しいのです。くまがわ鉄道やバスを利用する時、「これは公共のもの、皆のものであるから、私のもの以上に大切にしなくてはいけない」と思って欲しいのです。

 あなたの行いを誰かが見ています。いや、たとえ誰も見ていなくても自分自身に誇りを持つと見苦しいことはできないはずです。そんなことをする自分を自分自身が許せない、という気持ちになってくれることを期待します。今年の文化祭のテーマは「一生多高生」でした。卒業しても、閉校となっても、多良木高校生としての誇りを一生持ち続けたいという皆さんの思いを信じています。


強歩会に向けて

強歩会に向けて

 11月6日(金)は、多良木高校の秋の恒例行事である強歩会の日です。今年のコースは、多良木高校を出発し、里の城(さとのじょう)大橋で球磨川の右岸に渡り、通称「フルーティーロード」(大規模農道)をあさぎり町深田まで歩き、明甘橋(めいはたばし)で球磨川の左岸に渡り、川沿いのサイクリングロードを多良木町に帰ってくるもので、28㎞の行程です。人吉・球磨地域は今春、日本遺産の地に認定されました。遠い昔から先人達によって受け継がれてきた貴重な文化財や豊かな風土が息づいており、今回の強歩会の道においても、歴史と信仰の遺産、そして素朴で穏やかな風景と出会うことができます。

 第1チェックポイントとなっている王宮(おうぐう)神社(多良木町)は、茅葺(かやぶき)の屋根を持つ二階建ての楼門(ろうもん)が必見です。室町時代の1416年に領主の相良氏によって建立されており、県内最古の楼門です。

 第2チェックポイントの栖山(すやま)観音堂(多良木町)は、相良三十三観音の一つで、石段を登った森の中にあります。ご本尊の木造千手観音像は高さ2m83㎝と大きなもので、鎌倉時代につくられました。現在、熊本県立美術館で開催中の「ほとけの里と相良の名宝」展に出展中で実物を見ることはできませんが、仏を守る毘沙門天(びしゃもんてん)や持国天(じこくてん)などの3体の像は残されています。

 第4チェックポイントの勝福寺(しょうふくじ)跡の荒茂(あらも)毘沙門堂には、平安時代後期につくられた毘沙門天像が安置されていますが、残念ながらこの像も県立美術館に出展中のため見られません。高さ2m43㎝の迫力ある像で、像内の墨書から、製作された年が久寿三年(西暦1156年)と特定されていますので、およそ千年間、この地を守ってこられたことになります。この他、毘沙門天や仁王像など7体の像は拝観できます。

 復路に当たる球磨川沿いのサイクリングロードは歩くのに快適な道です。清流を左手に眺め、河岸のススキの群生を吹き渡る風を感じるなど、五感全体で秋を受けとめ歩いて欲しいと思います。後半、足に疲労を覚えることでしょう。しかし、強歩会は競走ではありません。友達と共に、助け合い、励まし合いながら、しっかりと球磨の地を踏みしめ、一歩一歩を心掛けてください。私も最後尾から、皆さんの背中を追いながら、歩いて行こうと思います。


                         (王宮神社楼門)

みんな、本を読もう ~ 読書旬間に寄せて

みんな、本を読もう ~ 読書旬間に寄せて

                            

 10月26日(月)から多良木高校は読書旬間です。旬間(じゅんかん)とは10日間です。この10日間、大いに本を読もうということです。その具体的な取り組みとして、8時30分から15分間の朝読書を行います。朝読書のモットーは、「みんなでやる、毎日やる、好きな本でよい、ただ読むだけ」です。読まず嫌いの人は、この機会に読書の喜びを知って欲しいと思います。

 テレビやインターネットの動画など映像が氾濫していますが、文字で構成された本の魅力は不滅です。例えば小説であれば、文字をとおして想像力が活発化し、頭の中で様々なイメージが喚起され、自分独自の物語が創り上げられていきます。本という扉を開くと、実に広く豊かな世界が広がっていることに気づくでしょう。本校図書室には4万3千冊余りの蔵書があり、昨年度の生徒一人当たり年間貸出数は14.1冊です。県内の高等学校の平均が10冊程度だそうですから、本校は平均を上回っていると言えます。多読の生徒もいます。1年生女子ですが、入学して7か月ですでに400冊以上借りている人がいます。驚くべき数字ですね。

 読書は孤独な営みのように思われます。しかし、同じ本をクラスやグループで読み意見、感想を出し合う「読書会」、そして最近注目されているビブリオバトル、すなわち、お薦めの本を紹介し合って聴き手が最も読みたくなった本に投票する「書評合戦」は、読者同士の交流や連帯につながります。また、時空を容易に超越できるのも読書の魅力です。「徒然草」の著者の兼好法師は鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて生きた人物ですが、平安時代の古典に親しみ、その古典の筆者達のことを「見ぬ世の友」と呼びました。夏目漱石の小説「こゝろ」は大正3年に発表され、大正時代の学生の気持ちをつかみましたが、それから1世紀たった現代の高校生の皆さんにも読み継がれています。

 日暮れが早くなり、秋の夜長となりました。私が一人で住む職員住宅にはテレビもパソコンも置いていません。けれども退屈だとか寂しいとか思ったことはありません。読みかけの数冊の本と新聞をいつも手元において暮らしています。今夜も本を手に取り、自分一人だけのかけがえのない時間を楽しみます。

「ひと それぞれ書を読んでゐる良夜かな」 山口青邨


                        (多良木高校図書室)


 

地域に高校生の元気を発信 ~ 多良木町恵比須祭

地域に高校生の元気を発信 ~ 多良木町恵比須祭り

 学校の周囲の田ではすっかり稲刈りも終わり、秋祭りの季節を迎えました。多良木町では、毎年恒例の恵比須(えびす)神社秋季大祭が10月20日(火)に行われました。恵比須神社は町の中心にあり、商売繁盛の神様として信仰されていて(地元の方は「えべっさん」と言われます)、地元商工会が中心となった奉賛会によって祭がとりおこなわれています。

 祭の最大の呼び物が午後の御神輿行列です。今年も、こども神輿4基、大人神輿10基が多良木町のメインストリートである国道219号を1㎞ほど練り歩きました。この御神輿担ぎに多良木高校生が参加します。2学期中間考査が午前中に終了した後、2年生男女(計63人)がそれぞれ男神輿、女神輿を、揃いの法被姿で担ぎます。威勢のいい掛け声を発しながら進む高校生神輿に対し、沿道の見物の方々から「多良木高校がんばれ!」と温かい声援が送られました。また、所定の場所で一部の生徒がダンスパフォーマンスを披露し、大きな歓声があがりました。日射しが厳しく、気温も25度をこえ、玉の汗をかきながら生徒たちはおよそ2時間の神輿行列を果たしました。

 また、1年生の女子は町の社会福祉協議会の皆さんと募金活動を行い、男子は防犯協会のパレードに制服で参加しました。「やっぱり高校生が祭に参加すると活気が出る」と奉賛会の方がおっしゃいます。有り難い言葉です。学校としては、地域の行事に参加することで、生徒たちが異年齢の方々と交流を深め、郷土愛を養うことにつながると考えています。神輿を担ぐ生徒たちは生き生きとして表情豊かで、きっと「感動体験」を得たものと思います。

 夕方、露天商で賑わう恵比須神社境内を訪ねました。人混みの中、すらっとして清々しい感じの巫女さん2人と出会い、はっとしました。進路が決まった本校3年生女子がボランティアで巫女を務めていたのですが、普段の学校での様子とは見違えるほどの雰囲気でした。お祭りをとおし、地域において高校生が果たすことができる役割の大きさ、多様さを改めて思い知らされました。



江戸時代の民家での書道体験 ~ 国重要文化財「太田家住宅」

 江戸時代の民家での書道体験 ~ 国重要文化財「太田家住宅」

 9月に本校で始まった社会人対象の書道開放講座の第5回は、いつもの学校の書道室ではなく、多良木町にある国重要文化財「太田家住宅」にて実施しました。太田家住宅は多良木高校から自動車で10分ほどの所にあり、午後6時に学校で車に分乗し受講者の方々と一緒に私も移動しました。

 太田家は、江戸時代、農業と酒造業を営んでいたと伝えられ、江戸時代末期(19世紀中期)に建造された住宅がそのまま残されています。建物は寄棟造(よせむねづくり)で、茅葺(かやぶき)の屋根を二カ所折り曲げており、人吉球磨地方の鈎屋(かぎや)型の古民家を代表するものです。現在の管理者である多良木町教育委員会の御厚意と御協力によって、同家の畳座敷にて書道講座を行うことができました。

 夕闇迫る中、囲炉裏で桜の木材を燃やして暖をとり、二十人の参加者で古典の臨書に取り組みました。太田家の周囲は、昔ながらの細い道がめぐる農村地区で、静寂な秋の夕暮れの景色が広がっています。およそ百五十年前に建てられた古民家において、心静かに書の世界に没頭できました。当日、近隣の高校から書道の先生方が視察にみえましたが、その中のお一人が「何と豊かな時間でしょうか」と嘆声をあげられました。

 デジタル全盛の今日にあっても、書道の価値はいささかも揺らいでいないと思います。墨の濃淡、そして自在な運筆で創り上げる世界は今なお多くの人を引きつけます。奈良時代の木簡(もっかん:木札に文字を墨書したもの)が平城京跡で大量に発掘されていますが、千三百年前の墨痕の鮮やかさを見て、墨の持続力に驚かされます。

 多良木高校では芸術科の選択科目として書道の授業を実施すると共に、部活動として書道部もあります。先般開かれた本校文化祭のオープニングで書道部の書道パフォーマンスが披露され、観衆を魅了しました。高校生の皆さんにもっと書道に関心を持ってもらい、古から続く書道の果てしない世界の奥深さに触れて欲しいと願います。



 

中学三年生の皆さんへ

中学三年生の皆さんへ

 球磨・人吉の五高校校長会(人吉、球磨工、球磨商、南稜、多良木)は、この地域の中学校二、三年生保護者の方々を対象に、高校合同説明会を10月7日(水)に人吉高校(下球磨地区)、8日に南稜高校(中球磨地区)、そして13日(火)に多良木高校(上球磨地区)で開きました。

 私たちの共通の願いは、この地域の中学生の皆さんに「遠くの私学より、近くの県立」という気持ちを持って欲しいということです。球磨・人吉地域には、普通高校はじめ、工業、商業、農業の専門高校、そして多良木高校の体育コース・福祉教養コースと多様な学科やコースがあります。そして、寮や下宿で単身生活をすることと、高校まで保護者のもと安定した生活を送ることとを比較してみてください。さらに、通学の時間、費用のことも考えてください。今春、日本遺産にも認定された平和で豊かな球磨・人吉地域で高校生活を送り、友情を育て、地域の人々と交流し、故郷を愛する心を培い、大人へと自立していく力を養いましょう。

 現在の中学三年生の皆さんまで多良木高校に入学できます。来年度の入学生が90有余年の歴史を持つ多良木高校の期待と注目のアンカーとなります。多高に入学できる最後のチャンスが皆さんにはある、と思ってください。学習とスポーツの恵まれた環境の中、約200人の生徒たちが地域の方々に愛され、キラリ輝く多高生として誇りを持って生活しています。

 多良木高校は三つの約束をします。

 一 平和の校訓のもと生徒一人ひとりがのびのびと生活できます。

 二 広い敷地と充実の施設の中で自分の可能性を追求できます。

 三 地域に開かれた学校として活発な交流と感動体験ができます。

 
 皆さんの入学を地域の方々と共に待っています。


                                   (多良木高校での保護者説明会)

 

 

高校生防犯ボランティア隊「若球磨パトローラーズ」発足

 10月9日(金)、多良木警察署にて、高校生防犯ボランティア隊「若球磨パトローラーズ」が発足しました。南稜高校と多良木高校の生徒会役員を中心に結成され、隊長は多良木高校生徒会長の東尚輝君です。発足式での校長挨拶を次に掲げます。

「日頃から、上田署長様をはじめ多良木警察署の皆様方には、高校生の交通安全指導、薬物乱用防止、非行防止等、多くの面にわたって、御指導、御支援を戴いていることに深く感謝申し上げます。学校のみならず、私たち地域に住む者が、安全、安心な生活をしていくうえで、警察の皆さんほど頼りになる存在はありません。しかし、私たちは警察の皆さんに頼るだけ、依存するだけになっているのではないかと反省することがあります。

 やはり、私たちが住む町、地域は私たち自身でつくっていくという意識が必要だと思います。今回の高校生防犯ボランティア隊「若球磨パトローラーズ」の発足は、安全・安心のまちづくりに高校生も積極的に参加することになるという点で画期的だと思います。

さて、先月の秋のお彼岸、伝統の相良三十三観音一斉開帳がおこなわれ、私もこの上球磨の観音堂を二日間巡りました。まことに平和な仏の里だと実感しました。この平和な上球磨の地を守り、未来に引き継いでいくためにも、高校生の時から自分の故郷を愛する気持ちを育てていきたいと願っています。

 生徒の皆さん、ボランティアの基本は「できる人が、できる時に、できることをすること」と言われます。皆さんは南稜高校と多良木高校の生徒会役員で、高い意識を持ち、「できる人」達です。皆さんの行動は、地域に元気を発信することになると期待します。

 結びになりますが、今後とも多良木警察署の皆様をはじめ、御来賓の方々には高校生を見守って戴き、何かお気づきのことがありましたら、遠慮無く学校へお知らせ戴きたいと思います。地域の皆様と共に、次代を担う人材を育てていく所存です。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。」


舞花さんのライブ

舞花さんのライブ

 生徒の皆さんに本物の音楽ライブを体験させたいとの思いから、今年の文化祭「木綿葉(ゆうば)フェスタ」では特別企画が実現しました。スペシャルゲストとして出演してくださったのは、熊本市出身の若手シンガーソングライターの舞花(まいか)さん。映画の主題歌や銀行のCMソング等で人気、知名度と急上昇中で、声量豊かで伸びのある歌唱力に本校の音楽の教師が魅了され、無理を承知で文化祭への御出演をお願いしました。「高校の文化祭? 楽しみです。熊本の高校生が喜んでくれるなら」と舞花さんはボランティア精神で引き受けてくださり、困難と考えていた私たちは喜びを通り越して驚きの思いに包まれました。

 多良木高校文化祭「木綿葉フェスタ」2日目(10月3日)は終日一般公開です。そのフィナーレの午後2時から、第一体育館ステージで舞花さんの特別ライブが始まりました。一曲一曲、観客の心を揺さぶるよう、情熱を込めて歌い上げられます。そして歌の合間に、生徒と気さくに対話をされ、歌手になる夢を中学、高校の時から持っていたこと、夢を追いかける気持ちが大切だということ、さらに自己鍛錬の場として路上ライブを重ね、歌唱力を養ったことなどを率直に語られました。念願のプロの歌手となった舞花さんですが、さらに無限の可能性を信じ、自らの力で未来を拓いていこうというエネルギーに満ちあふれていて、自信と希望で輝いていました。

 ライブは、舞花さんを中心に生徒はじめ観衆全員が一体となり、最後は舞花さんのヒット曲「心」を合唱し、感激と興奮のエンディングを迎えました。輝いているプロの姿を身近に感じることは、高校生にとって大きな意義があると思います。自分もあんな輝く大人になろう、と一人一人が思ってほしいと願いました。

 ステージから降りられ、普段着に変わられた舞花さんは、とても自然体で自らを飾ることのない優しい女性でした。見送る私たち職員、生徒に対し、車の中から手を振り続けてくれました。本校文化祭でのライブの後に舞花さんのオフィシャルサイトに掲載されたブログの一節を紹介します。

「みんな、とっても素直で、まっすぐな心を持っていて、暖かく迎えてくれて、礼儀正しくて、本当に素晴らしくて、可愛くて可愛くてしょうがないです。」

 舞花さん、多高生は全員ファンになりました。応援します。

 

多良木高校文化祭「木綿葉フェスタ」開幕

 多良木高校文化祭「木綿葉(ゆうば)フェスタ」が10月2日(金)午後1時に開幕しました。明日、3日(土)が一般公開です。木綿葉(ゆうば)とは多良木町を流れる球磨川の古名です。開会式での校長挨拶を次に載せます。

 「平成27年度多良木高校文化祭「木綿葉フェスタ」を盛大に開催できますことを生徒の皆さんと共に喜びたいと思います。テーマは「一生多高生 ~思いをつなぐ木綿葉祭(フェスタ)」です。卒業しても一生多高生としての誇りを持ち続けようという皆さんの思いが込められた素晴らしいテーマだと思います。

 この文化祭に向け、1学期、新生徒会発足と同時に、生徒会の皆さんは企画、準備に着手しました。そして、文化部、クラスと取り掛かりましたが、ボランティア部の手話ビデオの撮影が最も早かったのではないでしょうか。校長室に撮影に来てくれたボランティア部の皆さんに「10月の文化祭を目指して、こんなに早くから撮影を始めるんだね」と声を掛けた記憶があります。

 期間の長い短いはありますが、文化祭に向けて、皆さんは生徒会、文化部、クラス、そして有志で準備に取り組んで来ました。皆で協力して何かを創り上げることの面白さと難しさの両方を学んだと思います。日本の伝統工芸を表す表現に「手仕事」という良い言葉があります。一つ一つ丹誠込めて丁寧にものを作ることを表します。できあがった作品も文化ですが、取り組む姿勢や製作の過程(プロセス)もまた文化と言えるでしょう。展示作品、映像作品、そしてステージ発表のいずれも、皆さんが労力と時間、即ち手間ひまをかけ、協力して創り上げてきたものです。鑑賞する時も、そのプロセスに思いをめぐらし、丁寧に観たいと思います。

 さて、木綿葉フェスタは多くの方の御支援、御協力があって成り立っていることを知っていて欲しいと思います。作業学習の成果物を展示してくださる球磨支援学校、書道・絵画作品を出品された近隣の中学校、そして同窓会の先輩の方々。バザーで盛り上げてくださる保護者の皆様。多良木町の活性化に取り組んでおられるNPO法人アイタルの皆さんも今年度初めて展示、ステージ双方で協力していただきます。さらに、生徒会特別企画の音楽ライブに御出演いただくシンガーソングライターの舞花さん。熊本県出身の舞花さんは、後輩の熊本の高校生が喜んでくれるならと交通費だけのノーギャラという破格の条件で来て戴くことになりました。感謝の言葉もありません。

 多良木高校は地域に開かれた学校です。明日はきっと中学生はじめ多くのお客様が来校されることでしょう。どうか、皆さんの明るい笑顔で迎えてください。結びになりますが、木綿葉フェスタによって多良木高校の元気を広く地域に発信できることを願い、開会の挨拶とします。」
                 

                (書道部の発表)