校長室からの風(メッセージ)

校長室からの風(メッセージ)

「みんなで見たい景色がある。」

「みんなで見たい景色がある。」

100回全国高校野球選手権大会キャッチフレーズコンクール 

 
 今年の夏、甲子園球場で開催される全国高校野球選手権大会は節目の第100回を数えます。1915年(大正3年)に全国中等学校優勝野球大会として始まり、途中、戦争での中断を経て100回大会となります。このことを記念してキャッチフレーズコンクールを主催の朝日新聞社が全国の高校生に呼び掛けられました。本校では2学期の国語科「現代文」の授業において、生徒達がそれぞれキャッチフレーズを作り、応募しました。先般、その選考結果が発表され、応募総数11565点の中から100点の優秀賞が選ばれ、本校生2人の作品が入ったのです。

 
 「みんなで見たい景色がある。」

 2年2組の嶋村一馬君の作品です。嶋村君は野球部員で、甲子園出場を目指して日々厳しい練習に励んでいます。夢の甲子園球場のグラウンドに立ち、どんな景色が見えるのかを想像しながら創り上げたそうです。

 
 「歴史をつなぐ100回目の夏」

 2年1組の荒川岬君の作品です。荒川君は陸上部員で短距離の選手です。自らは野球をしていませんが、同じアスリートとして野球部員を応援する気持ちで創ったそうです。多良木高校は96年の歴史で閉校になることから、「歴史をつなぐ」という言葉が思い浮かんだと語っていました。

 
 朝日新聞社熊本総局の西田慎介総局長が3月12日(月)に来校され、2人の生徒に対し、賞状と楯、記念品等を授与して頂きました。

 2018年夏の第100回全国高校野球選手権大会は、来春96年の歴史を閉じる多良木高校にとっては、最後の挑戦の大会となります。みんなで行きたい特別な場所です。


               朝日新聞熊本総局の西田総局長と受賞の二人

 

 

生徒に負けない元気 ~ 教職員サッカー大会

生徒に負けない元気 ~ 教職員サッカー大会出場 

 伸び盛りの活力ある高校生と共に過ごし、教育的情熱をもって教え導いていく役目を担う私たち教職員は、先ず元気でなければなりません。「いつも笑顔で仕事をしてほしい」と職員の皆さんには声を掛けています。教職員が生き生きとしている姿を見せることは、生徒達にきっと良い影響を与えると信じています。

 多良木高校は小規模校ですから教職員も二十余名と少人数ですが、秋の高校教職員ハンドボール大会と冬の高校教職員サッカー大会には毎年出場してきました。今年のサッカーは人数的に難しいかなと思っていましたが、サッカーが専門の体育科の中山教諭が、「今年はミニサッカーですから7人いれば大丈夫です。女性の先生に入ってもらってでも出たいです。」と提案してくれ、学校として出場を決めました。

 3月3日(土)、会場は阿蘇市黒川のフットサル場で県高校教職員サッカー大会が開かれ、多良木高校教職員チームは今年も出場しました。選手は男性職員6人と女性職員2人、そして監督の私の計9人というぎりぎりの人数です。しかし、多良木高校の意地と誇りでは生徒に負けないとの思いで挑戦しました。頼みの中山教諭は制限選手ということでセンターラインより先には攻めることができず守備専念ですので、他の体育科の上原教諭、富﨑教諭に期待が高まります。女性の七田教諭と緒方教諭は交互に出場し、相手ゴール前に張り付いてシュートを狙う作戦を立てました。

 1試合目は先制するも逆転され1対4で敗戦。しかし、多良木高校教職員チームの戦意は却って高まり、2試合目の東海大星翔高校戦は、全員が声を出してよく走り、相手を圧倒し5対0の快勝でした。練習をしていないにも関わらずの大勝に驚くとともに、スポーツの醍醐味を満喫して笑顔で球磨郡に帰ってきました。多良木高校教職員のチームワークによる大きな勝利でした。

 小さくても活気ある学校、多良木高校。その活力の源は教職員のエネルギーなのだと気づきました。


              攻め込む多良木教職員チーム(白いユニホーム)

最後の学年へのバトンリレー

最後の学年へのバトンリレー 

 平成29年度が始まる時、1年生がいない2、3年生在籍の前例なき期間に入るという不安を抱えていました。しかし、学校生活がスタートすると3学年そろっていた昨年度までと変わらない活気が校内にあふれ、例年通りの学校行事を全て実施することができました。さらに、PTAの特別のご配慮により、初夏には阿蘇への防災研修旅行、そして2月には福岡市のキャナルシティ劇場へのミュージカル鑑賞旅行を実現でき、充実した年度だったと思います。これも、3年生がリーダーシップを発揮し2年生をよく引っ張ってくれたお蔭だと考えています。

 2月末に学校評議員さんと3年生の4人の代表生徒との懇談の場を校長室で設けました。多良木町商工会代表、町立中学校長、同窓会役員さんなど5人からなる学校評議員さんから、高校3年間を振り返っての思いやこれからの夢などについて質問があり、生徒達は落ち着いて自分の考えを述べていました。そして、学校評議員さんから「最後に何か言っておきたいことはありませんか?」と尋ねられると、代表生徒たちは口をそろえて「後輩たちが残ります。最後の学年なので、どうか応援をよろしくお願いします。」と言いました。後輩の2年生たちへの気遣いある言葉に胸を打たれました。

 3月1日(木)の多良木高校卒業式において、卒業生代表(前生徒会長)の福田空希君が立派な答辞を述べました。一つひとつの言葉に思いが込められたもので、聴く者を引き込む力がありました。答辞の最後に福田君は次のように述べて結びました。

「後輩の皆さん、私たちは卒業しても多良木ファミリーとして可能な限り学校へ出向き多良木高校を応援します。後輩のみんなは、私たち以上に力があると信じています。」

 遠く大正11年から始まったバトンリレーはこうしてアンカーにしっかりと渡されたのです。

          
           答辞を読む卒業生代表の福田空希君

旅立ちの日に ~ 第70回卒業証書授与式

旅立ちの日に ~ 第70回卒業証書授与式 

 平成30年3月1日(木)、夜半の雨も朝方には上がり薄日も射しはじめる中、午前10時から多良木高校「第70回卒業証書授与式」を挙行しました。

 卒業生67人、一人ひとりの氏名を読み上げながら、手漉き和紙の卒業証書を壇上で手渡しました。笑顔、涙顔、緊張した顔、恥ずかしそうな顔と様々な表情を見つめていると、この三か年を思い起こします。豊かな可能性を秘めた高校生の力を十分に引き出すことができたのか、開花させることができたのかと自問すれば、内心忸怩たる思いになります。もっと多良木高校ならではの教育、今の多良木高校だからこそできる教育が十分にできただろうかと反省の念にかられます。

 しかしながら、前途洋々の若人の姿に接していると、きっとこれから飛躍、成長していってくれるだろうとの希望に包まれます。人生の新しい段階へと進む瞬間の初々しさが、人を輝かせます。

 大人にならないとわからないことがあります。一方、大人になってしまったら、わからなくなることもたくさんあるのです。卒業生の皆さんが今持っている瑞々しい感受性、正義感、理想を失わず、学び続けてください。 

 自分たちで選んだ式歌「旅立ちの日に」の歌声を響かせ、3年生67人は最後の学年にバトンを渡し、多良木高校を卒業していきました。

 「今始まる 希望の道     今日までありがとうね

  思い出の校舎と別れを告げ  今新たな 扉開き

  はるかな年月経て      つぼみから花咲かせよう

  つぼみから花咲かせよう」  

                      (作詞・作曲 川嶋あい) 


 

 


最後の授業 ~ 皆さんは主権者です

最後の授業 ~ 皆さんは主権者です

 3年生は1月末の卒業考査を終えると2月は原則家庭学習期間に入り、自動車学校に通ったり、進学先からの課題の勉強に取り組んだりするのですが、数日は登校日を設け、校外から専門家を招いて「最後の授業」を設けています。税理士さんによる租税教育、八代年金事務所の方による年金の知識、そして2月20日(火)には熊本県選挙管理委員会事務局の担当者の方に来校していただき、「選挙を考えよう」という出前授業を実施していただきました。

 18歳選挙権が導入されて2年がたちました。今の3年生の中には昨年秋の衆議院議員選挙を経験した者もいて、選挙への関心は高いと思います。しかし、主権者になったということは選挙権があることにとどまりません。身近な暮らしの中に疑問を持つことから始まり、地域社会、国、そしてグローバルな問題にまで、広く当事者意識を持つことが求められると思います。3年生のおよそ4割が卒業後は就職します。所得税や住民税等を負担するからには、より社会の中の一員であることを自覚してほしいと期待します。

 わが国は「国民主権」です。自分の一票くらいでは何も変わらないと思うかもしれませんが、18歳の皆さんも、55歳の校長の私も、そして総理大臣も同じく一票しか持ちません。王様や貴族のような特権階級が国や社会の在り方を決めるのではなく、私たち一人一人が選挙を通じて選んだ代表者に委任する間接民主主義、議会制民主主義の国です。議会では異なる意見の持ち主、政党が対立して、その調整には時間がかかります。手続きは面倒に見えるかもしれません。しかし、これまでの歴史の結果、この議会制民主主義を日本は選んでいます。

 自分の一票で社会を、この国をより良くしたいという意志を持ってほしいと願います。誰かヒーローが出現して問題を解決してくれるだろうと待っていても社会は変わりません。未来は皆さん達が創っていくものなのです。


            県選挙管理委員会事務局による選挙出前授業

 

 

保育園児のみなさんからの卒業生へのエール

       育園児のみなさんからの3年生へのエール
 「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)」。『星の王子さま』(サン・テグジュペリ作)の有名な冒頭です。保育園児たちの健気な歌、一生懸命のダンスを見ているうちに、ふとこの一節が思い浮かびました。

 2月26日(月)午前、同じ多良木町内にある光台寺保育園の園児たち二十名ほどが多良木高校にやってきてくれました。同園の園児たちのことは、この「校長室からの風」にこれまで何度か登場していますが、日頃から様々な交流があります。先ず、本校の福祉教養コースの生徒にとって保育実習の場所です。そして体育大会の時に交流プログラムで出場してもらっています。また、光台寺保育園側からは、季節ごとの遠足で来校し陸上グラウンドを駆け回ったり、野球場の外野の芝生で遊んだりする場所になっています。さらに、園児たちの工作物を本校の玄関に展示しています。

 今回は、卒業を控えた3年生に対して、日頃練習している歌とピアニカ演奏、そしてダンスを園児たちが披露してくれました。最後に3年生と園児たちが大きな輪を作り、笑顔のダンスとなりました。大人への階段を上る高校3年生にとって、束の間、童心に返ったかのような時間になったと思います。園児たちのけれんみのない芸、無邪気な表情を見ているとまるで癒されたような気持に包まれました。

 中学校や小学校との教育活動の連携だけでなく、多良木高校ほど保育園との濃密な交流をしている高校は県内には他にないと自負できます。3月1日は卒業式です。今、本校の玄関では、光台寺保育園の園児たちと保育士さんたちのお手製のひな飾りが迎えてくれます。

              光台寺保育園児と3年生の交流ダンス

 



多良木高校玄関の園児たちの作品
 

 

課題意識を持とう ~ 県高等学校生徒地歴・公民科研究発表大会

課題意識を持とう ~ 県高等学校生徒地歴・公民科研究発表大会

 2月17日(土)に熊本大学(黒髪キャンパス)において、第8回熊本県高等学校生徒地歴・公民科研究発表大会が開催されました。高校生が地歴・公民科の学習を通して興味、関心を持った課題を設定し、それを調べる研究活動の発表の場です。地歴・公民の学習が知識の習得だけにとどまらず、調べる技能と態度、課題解決に向けて考える力、そして他者に説明する能力など総合的な学力を養って欲しいという教職員の願いから毎年行われています。理科(物理・化学・生物・地学)では早くからこのような研究発表大会が行われていました。遅ればせながら地歴・公民科でも人文科学の視点から調査研究に取り組ませ、根拠のある意見発表をさせたいとの高校の地歴・公民科の教員の思いから本大会が始まり、第1回大会で私は審査委員を務め講評も行いました。

 この大会に3年ぶりに多良木高校から出場するため、私も3年ぶりに会場に足を運びました。本校2年生の男子二人が、「語り継ぐ『平和』のメッセージ ~ 多良木高等女学校同窓生からの聴き取りを通して ~」のタイトルで発表しました。戦争中に女学校生活を送った卒業生の方々の記憶を聴き取り記録し、地方の普通の女学生たちの戦争中の生活を具体的に浮彫にし、改めて同窓生の方たちの平和へのメッセージを集約する内容を落ち着いた態度で発表し、頼もしく思いました。

 また、本校を含めて10校の生徒の13本の発表が行われました。研究活動はまだ粗削りですが、どの発表も高校生らしい若い感性と高い意欲が感じられ、好感を持てるものでした。高森高校の女子生徒による「有害鳥獣の食肉(ジビエ)活用の課題と展望」では、自ら狩猟免許を取得して、課題解決に向けて社会的な行動を起こすに至っています。小国高校のグループ発表では、人口減少の著しい地元の町の課題である空家対策にアイデアを提案しています。これらの課題は現在の日本の地域共通のものです。

 社会の様々な課題について、誰かが解決してくれるだろうと待つのではなく、高校生が当事者意識を持つことが大切です。「よし、この課題を解決していこう」という積極的に社会に関わっていく人材がこの大会から輩出することを願ってやみません。

           


          多良木高校生2人による発表風景(熊本大学)

 


 

城南地区駅伝大会を多良木高校で開催

熊本県高等学校城南地区新人駅伝大会
~ 多良木高校で開催 ~

 2月3日(土)、県高校城南地区新人駅伝大会が多良木高校スタート・ゴールで開催されました。男子63回、女子24回を数える伝統ある駅伝大会で、今回は男子27校、女子19校が参加しました。この城南地区駅伝大会は、八代、天草、球磨と3地区でそれぞれ3年実施の順番で開いており、昨年までは天草市本渡で行われました。今年は6年ぶりに球磨地区に担当が回ってきて、多良木高校をスタート・ゴール、あさぎり町の上総合運動公園、岡原総合運動公園の周辺を回る男子20.3㎞(5区間)、女子16.4㎞(5区間)のコースでの開催となったのです。

 来年度で閉校を迎える多良木高校としては、この城南駅伝大会をぜひ本校で開きたい、そして学校あげて関わりたいと願っていました。その思いに対し、主催者の県高体連、県教育委員会の格別のご配慮があり、本校が会場校となりました。学校としては前日を代休として2月3日(土)を登校日に振り替え、十日前から準備に取り組みました。生徒会では歓迎の手作り木製看板を作成し、正門に飾りました。書道部は、開・閉会式会場の第1体育館に大会名を力強く墨書して掲示しました。二日前には大掃除をして、グラウンド、体育館、トイレ等をすっきりした環境に整えることができました。

 当日、心配された天候も青空が広がり早春の光が射す良好なコンディションで駅伝競走大会を行うことができました。多良木町、あさぎり町の住民の方々が沿道に多数出て声援を送られる中、選手たちは懸命の走りを見せてくれました。本校も陸上部を中心に他の部からの応援を得た「オール多良木」のメンバーで男女とも出場、他の生徒たちも大会運営補助や来賓接待、応援と大会に関わることができました。

 宇土高校が強さを遺憾なく発揮して男女とも優勝し、城南地区新人駅伝大会は幕を閉じました。2年生までしか出場できないため本校にとっては最後の城南地区駅伝大会となりましたが、会場校として終日活気に満ちていた情景を永く記憶にとどめたいと思います。


 


フクシマから学ぶ ~ 修学旅行

フクシマから学ぶ ~ 修学旅行

 1月16日(火)から19日(金)にかけて2年生67人の福島、東京への修学旅行の目的の一つとして、東日本大震災からやがて7年になる福島県の現状を知ることがありました。初日の午後4時半過ぎに田村郡三春町にある「コミュタン福島」(福島県環境創造センター)を訪問しました。通常の開館は午後5時までなのですが、職員の皆様のご配慮で開館時間を20分延長していただき、見学することができました。

 「コミュタン福島」は初めて訪ねましたが、360度全球型シアターをはじめ想像以上に充実した施設であり、放射線や福島県の環境問題について視覚的、体験的に学習できる内容となっています。職員の方の説明、ガイドも親切でわかりやすく、原子力に依存しない安心、安全な持続可能な社会づくりに向けた取り組みを理解できます。もっと時間をかけて生徒たちに学ばせたい研修施設だと思いました。生徒たちも興味、関心をもって見学する姿が印象的でした。

 また、二本松市岳温泉の「陽日の郷あづま館」に宿泊しましたが、夜、女将さんの鈴木美砂子さんによる震災講話を聴くことができました。地震よりも、津波による東京電力福島原子力発電所の事故による影響がいかに甚大だったかを当時の体験を通して語られました。双葉町、大熊町等からの避難民を旅館で受け入れたこと、放射線への恐怖で従業員の方が辞めて県外へ去っていかれたこと、一時は旅館廃業も覚悟したことなどの鮮烈な体験談を生徒たちも真剣に聴いていました。「東京電力福島原子力発電所の事故は、天災ではなく人災だと私は思っています。」との女将さんの言葉は重く響きました。

 「陽日の郷あづま館」の夕食、朝食は過分な御馳走を頂きました。福島県産のお米は全量全袋を対象に放射性物質検査が行われているとのことで、食の安全について徹底されていることを知りました。福島の米、食材への自信、プライドのようなものを感じる御馳走でした。

 現在でも福島県の環境や食品に関して風評被害があるようです。ネットで根拠のない私見を述べている人はきっと実際に福島を訪ねたことがないのだろうと思います。帰還困難地域を除いて、フクシマでは人々が郷土に愛着をもって健やかに暮らされています。そして、頂いた食事は格別に美味しく感じました。


 

             「コミュタン福島」で見学する生徒たち

「旅行は大変だけど、面白い」~修学旅行

 

「旅行は大変だけど、面白い」 ~ 2年生修学旅行


 1月16日(火)から19日(金)にかけて2年生67人の福島、東京への修学旅行の引率をしてきました。天候にも恵まれ、予定通りの行程で全員元気に帰ってくることができました。これも生徒一人ひとりが自らの健康管理に努めた結果だと思います。最終日、鹿児島空港に降り立ち、午後5時頃に九州自動車道の「えびのSA」で解団式をしました。霧島連山が見える絶景の広場で、まだ修学旅行の興奮冷めやらぬ生徒たちに向かって、「旅行は大変だけど、面白いもんだろう?」と語り掛けると、皆が頷いてくれました。
 初日の東京から福島県二本松市岳温泉までの300㎞余りの距離をバスで約4時間かけての移動。長旅でした。二日目の「あだたらスキー場」では多くの生徒がスキーに悪戦苦闘。午後は強い雪が降り、雪国の厳しさも実感しました。三日目の東京での班別自由研修では様々なアクシデントが起きて戸惑い、混乱したようです。列車を乗り間違う、駅の出口を誤り迷う、路上の執拗なキャッチセールスに恐怖を覚える等。しかし、それぞれの班でトラブルを解決して門限の午後7時半までには全員無事にホテルへ帰ってきました。

 家庭、学校を中心とした日常生活と大きく異なり、旅行は思いもよらぬ出来事に遭遇し、予定通りに進まないことがよくあります。初めての体験、出会いも続きます。長時間の移動で身体的に疲労も蓄積するでしょう。しかし、大変だからこそ、面白いのです。大変な目に遭わないと、真の面白い体験は得られないと云えるのではないでしょうか。昔から「可愛い子には旅をさせろ」と言われるのは、きっと旅は人を成長させるからだと思います。

 修学旅行期間中、私がこれまで知らなかった生徒たちの一面を知ることが多々ありました。きっとクラスメイトや親友同士であっても、お互い新たな発見があったことでしょう。修学旅行によって2学年全体の絆がさらに強まったように感じます。

 

                                   あだたら高原スキー場(福島県二本松市)