校長室からの風(メッセージ)
塀の向こうには彼岸花が咲いていた ~ ブロック塀撤去完了
塀の向こうには彼岸花が咲いていた ~ ブロック塀撤去完了
多良木高校の正門から南側にかけて長さ約15m、高さ1.5mのブロック塀が立っていましたが、9月18日~19日の工事で撤去されました。去る6月、大阪府北部を震源地とし最大震度6を記録した地震で、高槻市の小学校のプール脇のコンクリートブロックが倒壊し女子児童が亡くなるという事故が起きました。この痛ましい事故の発生を受け、熊本県教育委員会(施設課)による全ての県立学校のブロック塀緊急点検が行われました。その結果、本校においても正門から南側にかけてのブロック塀と、多良木町迫田の職員住宅を囲むブロック塀が撤去対象に該当することが判明し、今回の工事に至りました。
ブロック塀は、約20年で鉄筋にさびが認められるようになり、抵抗力が弱くなるそうです。日本建築学会の調査によるとブロック塀に期待できる耐久年数は約30年とされています。また、高さが1.2mを超える塀は、安定性を確保するため構造も複雑で、劣化の影響を受けやすく、倒壊した場合の被害も大きいことを緊急調査の際に配布された資料で知りました。本校のブロック塀は高さが1.5mあり、現在地に移転して数年内に築造されたと推定され、すでに40年を超えていました。内側から支える控壁(ひかえかべ)は付いていましたが、経年劣化していると判断されたのです。
学校は安全で安心な場所でなければなりません。大阪府高槻市の小学校のブロック塀の危険性が見逃されていたために悲劇が起きました。この事故が起きなければ、私たちも多良木高校のブロック塀の危険性を意識することがありませんでした。日常見ていても、意識しないと危険性を見出すことはできません。2年前の熊本地震において球磨郡は最大震度4を記録しましたが、ブロック塀に異変は生じませんでした。油断があったのです。
ブロック塀がなくなり、今まで塀で遮られていた風景が見通せるようになりました。何かとても風通しが良くなった気がします。撤去されたブロック塀の向こうには、真っ赤な彼岸花と緑から黄色に変色している稲穂の田園風景が広がっています。この夏、記録的な猛暑、台風や地震の自然災害に日本列島は見舞われました。まだその傷跡は癒えておりませんが、ようやく実りの秋を迎えようとしています。
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄