2018年5月の記事一覧
凛々しい女子高校生 ~ 空手の全国大会出場
凛々しい女子高校生 ~ 空手の全国大会出場
山下恵理奈さんの空手の形(かた)の演武を見て、その姿勢の良さと緩急のメリハリの利いた動作の一つ一つに目を奪われました。突きや蹴りでは、彼女の手足が伸縮自在に動きます。山下さんは、体格は大きくなく、どちらかと言えば小柄です。しかし、彼女が空手を行う姿は、誠に凛々しく、大きく見えるから不思議です。
相良村在住の山下さんは、地元の空手道場の「神武館」に小学校から通い始め、岩下師範の教えを受け、めきめき強くなったそうです。相良中学校在学中に一度全国大会出場の経験もあります。そして、この度、4月の県大会で優勝し、6月2~3日に東京体育館(東京都渋谷区)で開催される第61回全国空手道選手権大会(日本空手協会)の高校女子の組手(くみて)と形(かた)の二部門に出場することとなりました。
空手には、突きや蹴りなど決められた一連の動作を行う形(かた)と、相手と対戦する組手(くみて)があります。山下さんは形の方を得意としているようです。組手では相手の突きや蹴りが実際に身体に当たり、怪我をすることもあります。先日も、道場で男子高校生と組手の練習中に、相手の突きが顔に当たり、口から出血したと語っていました。しかし、それでも「もっと空手が強くなりたい」と意欲的で、夕方、相良村の「神武館」へ通い練習に打ち込んでいます。時々、多良木高校の武道場で放課後に一人で形の自主練習を行う姿も見られます。
2020年の東京オリンピックの競技種目として空手が採用されました。まだ女子空手の競技人口は少ないようですが、オリンピック種目採用を契機に今後広がりを見せるかもしれません。山下さんはその先駆者とも云えるでしょう。
山下さんの全国大会出場の激励会を先日校長室で行いました。「全国大会はレベルが高いことは自分でもわかっている。」と本人は覚悟を述べました。心身ともに強さを求められるストイックな空手の道を究めようと進む山下さん。多良木高校アンカーの67人の生徒の多様性を象徴する存在です。
キャプテン(主将)の姿 ~ 県高校総体
キャプテン(主将)の姿 ~ 県高校総体
サッカーのペナルティキック戦はまことに非情です。お互い代表の5人の選手が出てきてゴールキーパーと至近距離で向き合い、シュートを放ちます。ボールを蹴る選手も守るキーパーもその緊張は最高潮に達するでしょう。観ている者も緊張感に包まれます。相手校の5人目の選手のシュートがゴールネットを揺らしました。南稜・多良木高校の合同チームの敗退が確定した瞬間です。歓声をあげて喜ぶ相手校の選手たちと、がっくりとうなだれる南稜・多良木高校の選手たちの明暗がはっきり分かれました。
5月26日(土)、正午から熊本県民総合運動公園にて県高等学校総合体育大会サッカー競技1回戦が行われました。南稜高校7人と多良木高校5人による合同チームは前半先制しましたが、後半同点に追いつかれ、延長戦でも決着がつかずPK戦にもつれこんだのです。シュート数では相手校を上回り押し気味に試合を進めながら、PK戦で涙を呑んだのでした。勝負の厳しさを思い知らされた試合でした。
しかし、勝負が決した後の南稜・多良木の合同チームの態度は爽やかでした。特に、キャプテン(主将)の福山君(多良木高校3年)の立ち居振る舞いは立派でした。整列しての挨拶、そして相手校選手と健闘をたたえ合うなど、足取りの重いチームメイトを率いる姿はさすがキャプテンと思いました。内心はきっと口惜しさでいっぱいだと思います。しかし、それを表情に出さず、ベンチの片付け、そして次の試合の学校への引き渡しを整然と行いました。試合に負けた時こそ、キャプテンの真価が発揮されることを改めて感じました。
昨日、朝の7時半頃、男子バスケットボール部キャプテンの谷山君が事務室にビニルのゴミ袋を取りに来ました。谷山君は早朝練習を欠かしたことがありませんが、練習場の第2体育館のゴミ箱があふれているのに気づき、練習開始前にゴミ袋の交換に来たとのことでした。「さすがキャプテンだ」と私は声を掛けました。サッカーの福山君もバスケットの谷山君も、技量面だけでなく、その他の面でチームを引っ張り、支えていることがわかります。彼らは、キャプテンという役割を担ったことで、人間的に大きく成長したのです。
多高生よ、一歩前へ ~ 県高校総体・総文祭
多高生よ、一歩前へ ~ 県高校総体・総文祭
第46回熊本県高等学校総合体育大会のポスターを本校では体育館及び生徒昇降口に掲示していますが、印象深い作品です。男子選手のたくましく太い左足が画面いっぱいに大きく描かれており、迫力があるのです。恐らく走っている姿なのでしょう、地面を蹴った右足は薄く陰で描かれています。5月23日(水)、県高体連評議員会においてポスター制作者の第二高校3年生の西原さんが表彰され、作品の意図について「スポーツに、そして芸術活動に、私たち高校生がともに一歩前に踏み出そうとする気持ちを描きました。」と語ってくれました。
5月25日(金)の正午から、多良木高校第1体育館で「第46回熊本県高等学校総合体育大会・第30回熊本県高等学校総合文化祭」に出場する生徒達、及び第61回全国空手道選手権大会に出場する山下恵理奈さんの推戴式を行いました。多良木高校選手団の旗手の荒川岬君(陸上競技)に校旗を手渡しました。校長激励の言葉では、高校総体のポスターのモチーフをもとに「多高生よ、一歩前に」とエールを送りました。
平成31年3月をもって閉校する本校にとって、最後の高校総体・高校総文祭となります。生徒たちにとっても心中期するものは大きいと思います。しかし、県高校総体において一つ勝利すること、自己ベスト記録を出すことがいかに難しいか選手自身が一番よくわかっています。歓喜と失意、喜びと悲しみ。勝負の世界の定めです。心の底から喜びを爆発させたり、悔し涙に沈んだりできるのも若さの特権だと思います。このようなかけがえのない体験をしながら、高校生は大人になっていくのでしょう。
6月1日(金)、熊本県高校総合体育大会総合開会式(熊本市:えがお健康スタジアム)では80校が行進します。スタンドからは熊本市内の高校生を中心に約1万3千人の観客が注目します。多良木高校は72番目の予定です。30人の選手団で「ありがとう 多良木高校 ~ 96年間の思いと共に」の横断幕を掲げ、胸を張って歩きたいと思います。
最後の高校総体に向けて
最後の高校総体に向けて
第46回熊本県高等学校総合体育大会が6月1日(金)から開催されます。先行実施としてサッカーは5月26日(土)に1回戦が行われます。多良木高校にとって最後の高校総体に出場する体育系部活動はサッカー、陸上競技、男子バスケットボール、女子バレーボール、アーチェリーです。
サッカー部は部員5人。昨年秋から南稜高校と合同チームを結成し活動しています。主に南稜高校で練習するため、放課後、約6㎞離れた同校グラウンドまで自転車で移動しています。合同チームとして球磨郡の高校生の絆の強さ、たくましさを発揮してくれるものと期待します。
陸上競技部は部員7人。本校では最も伝統があり、かつては「オレンジ旋風」と呼ばれるほど多良木高校陸上部のオレンジカラーのユニホームが県大会で活躍しました。幾多の一流選手を輩出してきた部の歴史を誇りに、全員が自己ベスト記録を目指してほしいと期待します。
男子バスケットボール部は部員10人。その内、中学校でバスケットボール部に所属していなかった生徒が半分の5人です。けれども、皆がバスケットボールに情熱を傾け、自主的に朝練習に取り組むなどして着実に力を付けてきました。初のベスト16進出を期待します。
女子バレーボール部は部員6人。単独で公式戦に出場できるぎりぎりの人数ですが、抜群のチームワークで球磨選手権大会2連覇など実績を残してきました。多良木高校単独チームで出場できる喜びをかみしめ、目標のベスト16進出を勝ち取ってほしいと期待します。
アーチェリー部は女子部員2人。2人で日頃から黙々と練習を重ねています。先輩の中には世界選手権出場者もおり、本校において小さくともキラリと光る存在の部活動です。競技人口は少ないですが、自ら選んだ競技に誇りを持ち、集中と忍耐で自己記録更新を期待します。
体育系部活動の皆さん。この2年余り、部活動と学習の両立で悩んだこともあったでしょう。技量や記録が伸びずスランプに陥ったこともあったでしょう。それらの苦しい経験があったからこそ、今の皆さんがあるのです。皆さんは多良木高校のアンカーとして輝いているアスリートたちです。
体育系部活動を励ます(5月12日 体育大会)
福島からのお便り
福島からのお便り
「 福島民報の投稿をいくつも読ませていただきました。
福島県に来ていただいて ありがとうございます。
福島県に想いを寄せて下さって ありがとうございます。
一言、お礼をお伝えしたく思いました。
福島市の一主婦より 」
先日、「福島市の一主婦」の方から丁重なるお葉書を多良木高校は頂きました。本校は昨年度まで4年間、修学旅行で福島県を訪ね、震災学習とスキー研修を行いました。二本松市の岳温泉、安達太良山スキー場、いわき市のアクアマリン、羽鳥湖のスキー場等、様々な場所を生徒たちと4年間巡りました。どこを訪ねても、山も海も麗しく、人情厚く温かいおもてなしを受けました。
今年1月末、2年生67人で訪れた修学旅行において、予定より遅く到着した福島コミュタン(三春町)では閉館時間を延長して御対応いただきました。二本松市岳温泉の旅館の夕食は大変な御馳走で、福島の食材のおいしさを実感しました。女将さんの震災講話は、体験者しか語れない迫真の内容で生徒の胸を揺さぶりました。この修学旅行が本校として最後の修学旅行となりました。
この4年間、福島で生徒たちは多くのことを学び、そして豊かな体験ができました。その感謝の気持ちを福島県民の方々にお伝えしようと生徒達は修学旅行のお礼の文章を書きました。それらを福島民報に送ったところ、その中から数編が新聞の投稿欄で紹介されたと聞きました。「福島の一主婦」の方はそれをご覧になったのでしょう。県民の方々に生徒の思いが届いたのです。
福島県の先人の方々は、150年前の歴史の転換期において節義を貫かれ、苦難を乗り越えられました。そのことに深く敬意を表します。東日本大震災発生から7年が過ぎましたが、未だに帰還困難区域が残り、復興は道半ばであることに胸が痛みます。しかし、大震災と原子力発電所事故という現代の危難に対しても、県民の皆様はきっと克服していかれるものと信じております。
多良木高校が修学旅行に行くことはもうありませんが、福島県の未来への期待とこの4年間の感謝の気持ちを込め、重ねて御礼申し上げます。
「福島コミュタン」見学風景(平成30年1月16日)
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄