校長室からの風(メッセージ)

キャプテン(主将)の姿 ~ 県高校総体

キャプテン(主将)の姿 ~ 県高校総体 


 サッカーのペナルティキック戦はまことに非情です。お互い代表の5人の選手が出てきてゴールキーパーと至近距離で向き合い、シュートを放ちます。ボールを蹴る選手も守るキーパーもその緊張は最高潮に達するでしょう。観ている者も緊張感に包まれます。相手校の5人目の選手のシュートがゴールネットを揺らしました。南稜・多良木高校の合同チームの敗退が確定した瞬間です。歓声をあげて喜ぶ相手校の選手たちと、がっくりとうなだれる南稜・多良木高校の選手たちの明暗がはっきり分かれました。

 5月26日(土)、正午から熊本県民総合運動公園にて県高等学校総合体育大会サッカー競技1回戦が行われました。南稜高校7人と多良木高校5人による合同チームは前半先制しましたが、後半同点に追いつかれ、延長戦でも決着がつかずPK戦にもつれこんだのです。シュート数では相手校を上回り押し気味に試合を進めながら、PK戦で涙を呑んだのでした。勝負の厳しさを思い知らされた試合でした。

 しかし、勝負が決した後の南稜・多良木の合同チームの態度は爽やかでした。特に、キャプテン(主将)の福山君(多良木高校3年)の立ち居振る舞いは立派でした。整列しての挨拶、そして相手校選手と健闘をたたえ合うなど、足取りの重いチームメイトを率いる姿はさすがキャプテンと思いました。内心はきっと口惜しさでいっぱいだと思います。しかし、それを表情に出さず、ベンチの片付け、そして次の試合の学校への引き渡しを整然と行いました。試合に負けた時こそ、キャプテンの真価が発揮されることを改めて感じました。

 昨日、朝の7時半頃、男子バスケットボール部キャプテンの谷山君が事務室にビニルのゴミ袋を取りに来ました。谷山君は早朝練習を欠かしたことがありませんが、練習場の第2体育館のゴミ箱があふれているのに気づき、練習開始前にゴミ袋の交換に来たとのことでした。「さすがキャプテンだ」と私は声を掛けました。サッカーの福山君もバスケットの谷山君も、技量面だけでなく、その他の面でチームを引っ張り、支えていることがわかります。彼らは、キャプテンという役割を担ったことで、人間的に大きく成長したのです。