校長室からの風(メッセージ)

凛々しい女子高校生 ~ 空手の全国大会出場

凛々しい女子高校生 ~ 空手の全国大会出場  

 山下恵理奈さんの空手の形(かた)の演武を見て、その姿勢の良さと緩急のメリハリの利いた動作の一つ一つに目を奪われました。突きや蹴りでは、彼女の手足が伸縮自在に動きます。山下さんは、体格は大きくなく、どちらかと言えば小柄です。しかし、彼女が空手を行う姿は、誠に凛々しく、大きく見えるから不思議です。

 相良村在住の山下さんは、地元の空手道場の「神武館」に小学校から通い始め、岩下師範の教えを受け、めきめき強くなったそうです。相良中学校在学中に一度全国大会出場の経験もあります。そして、この度、4月の県大会で優勝し、6月2~3日に東京体育館(東京都渋谷区)で開催される第61回全国空手道選手権大会(日本空手協会)の高校女子の組手(くみて)と形(かた)の二部門に出場することとなりました。

 空手には、突きや蹴りなど決められた一連の動作を行う形(かた)と、相手と対戦する組手(くみて)があります。山下さんは形の方を得意としているようです。組手では相手の突きや蹴りが実際に身体に当たり、怪我をすることもあります。先日も、道場で男子高校生と組手の練習中に、相手の突きが顔に当たり、口から出血したと語っていました。しかし、それでも「もっと空手が強くなりたい」と意欲的で、夕方、相良村の「神武館」へ通い練習に打ち込んでいます。時々、多良木高校の武道場で放課後に一人で形の自主練習を行う姿も見られます。

 2020年の東京オリンピックの競技種目として空手が採用されました。まだ女子空手の競技人口は少ないようですが、オリンピック種目採用を契機に今後広がりを見せるかもしれません。山下さんはその先駆者とも云えるでしょう。 

 山下さんの全国大会出場の激励会を先日校長室で行いました。「全国大会はレベルが高いことは自分でもわかっている。」と本人は覚悟を述べました。心身ともに強さを求められるストイックな空手の道を究めようと進む山下さん。多良木高校アンカーの67人の生徒の多様性を象徴する存在です。