校長室からの風(メッセージ)

校長室からの風(メッセージ)

ゴルフ場への感謝状

ゴルフ場への感謝状 ~ 体育コースのゴルフコースラウンド実習 

 

 あさぎり町深田に「熊本クラウンゴルフ倶楽部」があります。本格的チャンピオンコースを有する会員制ゴルフ倶楽部です。ここで1214日(金)に本校体育コースのゴルフラウンド実習を実施しました。実習に先立ち、長年のゴルフ実習に対する同倶楽部のご支援に対し多良木高校から感謝状を贈りました。

 体育コースの3年次2学期の体育の授業でゴルフを行います。学校のグラウンドでボールを打つ練習を繰り返し、その集大成として最後は実際に18ホールのコースを回るラウンド実習に挑みます。整備されたゴルフコースをまわる体験はゴルフの醍醐味を知る貴重な機会となります。本来、ゴルフコースを利用することは料金が発生するものですが、「熊本クラウンゴルフ倶楽部」の格別なご配慮により、無償で生徒たちはラウンド実習をできるのです。同ゴルフ倶楽部が平成6年にオープンして以来、24年間継続してコースラウンド実習を支えていただきました。このことに対して、最後の実習に際し感謝状を贈り、学校として深い謝意をお伝えした次第です。

 「これも私たちゴルフ倶楽部の地域貢献だと思っています。」と櫻井大治郎代表取締役はおっしゃいました。誠に有難い言葉です。3年前校長に就任した時、同倶楽部のご厚意で無償のコースラウンド実習が実現できていることを知った時は大変驚きました。恐らく県内の高校では類を見ないと思います。多良木高校の教育活動がいかに地域社会の皆様にご理解いただき、ご支援を受けてきたかを示す典型だと思います。

 ゴルフはフェアプレイ精神を養うに適したスポーツと言われます。なぜなら、他のスポーツと異なり、プレイする場に審判(レフリー)はいません。スコアの申告やルールを守ることはゴルファー個人に委ねられているからです。多良木高校体育コース24人の生徒たちは、恵まれた環境の中で、ゴルフラウンド実習を満喫しました。これまでの先輩たちのように、彼らもきっと近い将来、社会人としてプレイするために「熊本クラウンゴルフ倶楽部」に行くことでしょう。


全員ステージ ~ 最後の文化祭(その3)

全員ステージ ~ 最後の文化祭(その3) 

 

 在籍生徒数が千人を超える高校にかつて勤務したことがあります。9割の生徒は一度も体育館のステージ上で脚光を浴びることなく卒業していきました。大規模校の定めです。しかし多良木高校は違います。最終学年67人の学校です。閉校するとわかっていて敢えて入学してきた生徒たちの気持ちを重く受けとめ、他の学校では得られない特別な体験を積み重ねてやりたいと私たち教職員はこの3年間努めてきました。そして、最後の文化祭「木綿葉フェスタ」では、全員がステージに立つことになったのです。

 「あの日に帰ろう、歌と共に! ~歌で振り返る多良木高校96年の青春~」のテーマを掲げ、午後の2時間半、手作りの歌謡祭を開きました。67人全員が歌、またはダンスなどのパフォーマンスに挑戦しました。脇を固めるのはプロの音響・照明、伴奏が音楽教師と地域の音楽愛好者の方、そして午前中にライブを開かれたORANGEの岩男さんもバイオリンを弾かれました。スポットライトを浴び、五百人の観衆とテレビ局のカメラに囲まれ、生徒達は物怖じすることなく力を発揮し、若さいっぱいの自己表現でした。

 赤いリンゴを手に背筋を伸ばし「リンゴの唄」を歌った女子生徒、五人のバックダンサーの男子を従え着物姿で「お祭りマンボ」を歌い踊った女子生徒、着物姿で女装し「365歩のマーチ」を熱唱しながら観客席を回った男子生徒、派手な衣装に包まれ笑顔いっぱいでキャンディーズやピンクレディを演じた女子生徒達などなど。普段はおとなしい性格であっても、ステージ上で堂々とした姿を見せ、改めて高校生の無限の可能性を思い知らされました。

 入れ替わり立ち替わり生徒たちが大正から昭和の戦前、戦後、そして平成とヒット歌謡を歌い継ぎ、最後は今年2018年に大ヒットした「USA」の生徒全員のダンスは圧巻でした。そして職員も合流し、「いつまでも」(熊本地震復興支援ソング)と校歌を全員で合唱し、フィナーレを迎えました。

 同窓生及び地域の方々、そして保護者など大勢の観客の熱い思いが生徒たちの熱意に火をつけ、生徒一人一人が輝き、最後の文化祭は幕を下ろしたのです。



書の力 ~ 最後の文化祭(その2)

書の力 ~ 最後の文化祭(その2) 

 

 多良木高校の文化祭は、書道選択者による書のパフォーマンスから始まることになっています。少なくとも私が校長就任以来4年間はこのオープニングを続けています。デジタル全盛の時代、書道はその対極のアナログな存在でしょう。しかし、だからこそ価値があるのです。コンピュータで均一な文字を早く作成しても、それは味わいも情緒もなく、個性もありません。一方、自ら筆で墨書した文字は、その人自身を雄弁に物語ります。書は人なり、です。

 最後の多良木高校文化祭「木綿葉フェスタ」においても、3年生書道選択者の書道パフォーマンスが幕開けとなりました。本校では芸術教科として書道と音楽があり選択科目ですが、1組は38人中11人、2組は29人中4人と書道選択者は少数派です。彼らが自分たちで言葉も考え、練習し、本番を迎えました。美しい文字ではありません。整ってもいません。しかし、彼らの思いが骨太に熱く表されているようで、観る者に生き物のように迫ってきます。

 1組の生徒の作品は、第1体育館のステージ中央正面に吊り下げられました。そして、相対する観客席に生徒のメッセージとして力強く届きます。2組の生徒の作品は立て板に張られた紙に墨書され、同じく第1体育館の入り口付近に観客席を背後から見守るかの如く立てられました。ステージ上の書と呼応するような立ち姿です。文化祭が終了し、会場の撤収作業が行われましたが、この二つの書の作品はそのまま残しました。本日、第1体育館で集会を開きましたが、生徒達の力作は強い気を発したままです。

 パソコンで作成された文字は何年持つのでしょうか。心細くなります。一方、墨の力が千年以上も永く持続されることを私たちは知っています。8世紀の奈良時代、いや7世紀後半の藤原時代の木簡(木札に墨で書かれた記録史料)が今に伝わり、墨痕が鮮やかに残っていることが何よりの証明です。舞台芸術に比べると地味ではありますが、書道作品は多良木高校文化祭の誇るべき成果と言えます。



多良木高校に「マルシェ」出現

多良木高校に「マルシェ」出現 ~ 最後の文化祭(その1) 

 

 「マルシェ」という言葉はもともとフランス語で「市場」という意味ですが、最近日本でも馴染みのものとなりました。屋外の広場や公園に小規模の店舗が集まり、観光客や地域の人がコミュニケーションを楽しむ場として、各種イベントで開かれるようになりました。

 12月8日(土)に開催した多良木高校最後の文化祭「木綿葉(ゆうば)フェスタ」において、初めての企画「多良木高校スペシャルマルシェ」が実現しました。昨年まではクラス(学級)やPTAのバザー(模擬店)が行われていたのですが、3年生のみの文化祭では生徒や保護者のバザー実施までは困難ということから、地域のご協力をお願いしました。くま川鉄道フェスタをはじめ各種イベントでマルシェの企画運営をされている西希さん(多良木町)にコーディネートを依頼したところ、「最後の文化祭を一緒に盛り上げましょう」と快諾されました。そして、持ち前の行動力で、店舗や諸団体に声を掛けまとめられ、最終的に11のお店で成るマルシェが本校中庭に出現しました。これに、県立南稜高校による「シクラメン」の友情販売も加わり、これまでの文化祭にない賑わいとなりました。

 ハンドメイド雑貨やアクセサリーのお店もありますが、ほとんどは飲食店舗で、メニューも多彩です。多良木町で「こども食堂」(地域の子どもに無料もしくは低額で食事を提供する場)を開設されている方たちは自慢のカレーライス。地域のグリーンツーリズム団体による地産のもち麦ご飯、豚汁。地域の婦人会の手作りお菓子。中華料理店による餃子、小龍包。そして、かつての多良木高校生が愛した懐かしのハム入りパンを復活販売したパン屋さん等いずれも個性が光りました。

 たった一日、それも2時間余りの短いスペシャルマルシェでしたが、多くの同窓生や地域の方々が買い物と飲食、そして交流を楽しまれました。日中の最高気温が10度に届かない冷え込んだ天候でしたが、マルシェは温かな特別な空間を創り上げたのです


「あの日に帰ろう、歌と共に!」

「あの日に帰ろう、歌と共に!」

~歌で振り返る多良木高校96年の青春~  

 

 今年度で閉校する多良木高校の最後の文化祭「木綿葉(ゆうば)フェスタ」を明日12月8日(土)に開催します。3年生しか在籍していないため、昨年までのような文化祭はできません。また、9月から11月にかけ就職や推薦進学の試験が続き、例年より実施時期が遅くなりました。
 異例の文化祭ですが、大きな特色が二つあります。一つは、地域の店舗のご協力で、マルシェ(青空市場)が実現することです。十の店舗の皆さんが出店予定で、食事、お菓子、アクセサリー小物類等の販売が中庭で予定されています。最後の文化祭を一緒に盛り上げようとの業者の方々の御好意に厚く感謝申し上げます。

 もう一つは、フィナーレ歌謡祭です。午後の2時間半、生徒を中心に職員有志、保護者、同窓生、地域の合唱グループの方たちが歌いまくります。テーマは「あの日に帰ろう、歌と共に!」~歌で振り返る多良木高校96年の青春~です。本校創立の大正11年に生まれた曲「シャボン玉」からスタートし、戦前、戦後の懐メロ歌謡曲から昭和後期、そして平成のヒットソングと30曲が歌い継がれます。その時代の多良木女学校生、多良木高校生が口ずさんだであろう青春ソングを歌うことで、96年を振り返ろうという試みです。
 2学期の音楽の授業はこの歌の練習に充てられてきました。生徒たちにとっては生まれる遥か前の歌を担当することもあります。「リンゴの唄」、「憧れのハワイ航路」、「青い山脈」、「高校三年生」などなど。しかし、生徒たちにとってはこれも新しい出会いです。なかには衣装も往時のものに着替えて登場する生徒もいます。高校生の豊かな表現力を期待してください。

 そして、この歌謡祭の最後、職員と生徒全員で熊本地震復興支援ソング「いつまでも」(作詞作曲:タイチジャングル)を合唱します。離れていても変わらない故郷を思う歌詞が、閉校する多良木高校に寄せる思いと重なり、練習していて胸が熱くなります。

 明日は、多良木高校最後の学年67人の歌声が体育館に響きわたり、きっと同窓生の方たちの胸を揺さぶることでしょう。

               前日のリハーサル風景