校長ブログ
平成30年3月
3月1日はほとんどの県立高校で卒業式が行われました。本校も2年ぶりに体育館で卒業式を行い、第54期生を送り出すことができました。
体育館が約1年と10か月ほど使用できませんでしたが、2月16日に全校集会を行い、体育館の復旧工事が済んだことを生徒に報告し、その後使用を開始しました。その日の放課後、体育館の部活動の様子を見に行きましたが、生徒たちが体育館で練習をしている姿を見てホッとしました。
卒業式の話題に戻りますが、卒業式前日の2月28日は、体育館の設営作業後表彰式を行い、3年生に賞状を渡しました。午後は、卒業式の予行や同窓会入会式と予定通りに行事を進めることができました。式場の壁面(左右及び後方)には同窓会から寄贈していただいた幔幕を張り巡らし、式典会場の雰囲気がこれまで以上のものとなりました。同窓会関係者の皆様にお礼をお申し上げます。
3月1日卒業式当日は、滞りなく終了することができました。毎年、卒業生代表の答辞は、素晴らしいものになります。今年の答辞も心のこもった私たちに感動を与えるものでした。ただ、マイクの調子が思わしくなく雑音が混じり、聞き取りにくいところがあったということを式が終わってから聞きました。私は答辞の時はステージ上に上がっていますので、そこからは生徒の声は聞こえますが雑音が聞こえません。答辞を読んでいる途中で係の職員がマイクを交換しましたので、音が小さくなって交換したものと思っていました。使用していたマイクがワイヤレスだったので、別の電波を拾ってノイズが発生したのだろうということです。このようなケースはこれまであまりありませんでした。今後は、ノイズを拾わないように、コードによるマイクを使用したいと思います。
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2月の校長室だよりに向けて資料は収集していましたので、その資料を見ていたら、1月31日の夜の皆既月食のものがありました。日本では3年ぶりの皆既月食となりました。午後8時48分から欠けはじめ、午後9時51分から皆既食が約1時間ほど続きました。それに合わせて全国各地で観測イベントが行われたそうです。手元にある新聞記事を見ると、東京六本木ヒルズの屋上でも観測会が行われています。また、新聞記事には東京スカイツリーと皆既月食中の月が並んだ写真が掲載されています。
この日の月食を、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、「スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン」と呼び、いくつかの条件が重なった月食でした。まず「スーパー」とは、月(満月がわかりやすい)がいつもより大きく見えることを指します。月は地球の周りを楕円軌道で周回していますので、月と地球の距離が近いときは、月が大きく見えます。最大の時の満月は、最小の時の満月に比べて、直径で約14パーセント、面積で約30パーセントも大きいとされています。実際、1月31日前後の月は大きく見えました。
次に「ブルー」、これはひと月に満月が2回巡ってくる来ることを指しています。今年の1月は2日と31日が満月でした。もう一つ「ブラッド」、ブラッドムーンとは、皆既月食の時の赤銅色の月のことを指しています。このようにいくつかの条件が重なった月食はまれにあるようです。今回、いつもより大きな月が、赤銅色に染まる神秘的な現象がみられました。
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このHPに施設の復旧状況をお知らせするコーナーを設けていますが、現在管理棟は、基礎部分のコークリート工事が進んでいます。少しずつできてきていますので、毎日工事現場を眺めるのが楽しみになってきました。生徒たちも教室棟から工事の進捗を眺めていることでしょう。
平成30年1月
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1月23日から26日まで1年生が修学旅行に行っています。23日は東京で大雪でしたので、飛行機は何とか飛んで羽田に到着しましたが、雪で高速道路が通行止めになったりしていましたので、予定していたお台場散策を中止してホテルに直行しました。迂回したルートをとりましたので、夕方遅くに嬬恋村のホテルにつく予定と聞いていました。修学旅行で雪で到着が遅くなるのはたまにありますのであまり心配はしていませんでしたが、昼前にホテルから約20km程離れた草津白根山が噴火したというニュースを見て、修学旅行団とすぐに連絡を取り情報収集を行いました。目的地の近くの山が噴火するとは誰もが想定していなかったと思いますので、保護者の皆様も心配になられたのではないかと思います。心配をおかけしながらも26日には学校に帰着の予定です。
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話題を変えます。先日の新聞に、新たな氷河が日本で確認されたという記事がありました。私は日本の氷河については認識不足であったため、現在の日本には氷河はないと思っていました。今回確認されたものの前にすでに3か所が確認されていたようです。ですから今回の確認で4か所目となりました。GPSの発達によりこれから調査が進みさらに日本の氷河が確認されるかもしれません。氷河といえば、ヨーロッパなどの大規模な氷河をイメージしますが、地形や気温といった条件がそろえば意外なところで氷河がみられるようです。
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1月13日と14日に全国でセンター試験が実施され、本校からも約400人の生徒が試験に臨みました。大学入学試験の一つの関門になります。これから私立大学や国公立大学の試験が控え、生徒たちはそれぞれの目標の達成に向けて挑戦します。これまで学習してきた成果を発揮して、目標を達成してほしいと思います。がんばれ二高生!
平成29年12月(その2)
この頃、1年の長さを特に短く感じるようになってきました。平成29年度もあと3か月で終了します。このように感じるのは私だけではないのかもしれません。
この理由については諸説あげられているようです。この話題でよく取り上げられるのが「ジャネーの法則」です。これは、時間の心理的な長さは年齢の逆数に比例するというものです。また、代謝説というのもあるようです。
時間がもう少しほしいと思うのですが、これはどうにもなりません。それはあきらめて仕事に優先順位をつけて取り組んでいこうと思います。
さて、来年はどのような年になるのでしょう。第二高校は新たな管理棟と図書館が完成しますので、良い年になると期待しています。
どうぞ皆様もよいお年をお迎えください。
平成29年12月
気象庁が、ペルー沖の赤道付近で「ラニーニャ現象」が発生していると発表しています。「ラニーニャ現象」が発生すると、日本は冬型の気圧配置が強まり、厳しい冬になる傾向があるとされています。西日本でも平年より気温が低くなり、日本海側では雪が多くなると気象庁は予測しています。熊本も数年に1回程度くらいの頻度で積雪が見られますので、あまり寒くならないことを願っています。
12月上旬に高文連の全国大会が京都でありましたので、出席してきました。京都駅のお店が並んでいるところを歩いていると、どこからともなくいい香りがしてきました。数十メートル先にお香や匂い袋を売っている店がありました。また、観光施設でもお香を焚いているところもあります。私はお香のいい香りをかぐと気持ちが落ち着きます。
お香の中で私が好きな香りが「沈香」ですが沈香にも高価なものがあり、高価な沈香の香りを経験したことがないので、普通に買い求めているお香で満足しています。お香の原料は、沈水香木(略して沈香)、白檀といった天然香木や桂皮といった木の皮、果実、動物性のものもあります。
香道は天然香木の香りを鑑賞する芸道です。香道では、香りを「かぐ」とはいわず「聞く」と表現していますから、数行前に書いた「かぐ」は香道からすれば邪道な表現となってしまいました。
香道は室町時代に誕生し盛んになったと言われています。香木の香りの分類する方法として「六国五味」があり、それは香木を産出地名などから六つに分類し、さらにその香りを酸(すっぱい)・苦(にがい)・甘(あまい)・辛(からい)・鹹(しおからい)の五つの味で表現するそうです。
香りを科学的に定量化(数値化)するのはかなり難しいのではないかと個人的には考えます。香りの分析機械も市販されていますが、香り全般ではなく目的別につくられているのかもしれません。香水をつくるときのブレンドや洋酒のブレンドには、専門家としてブレンダーという人がいますが、ブレンダーは大変優れた嗅覚で臭いをかぎ分けています。
課題研究のテーマは様々な分野から探してきます。臭いや嗅覚に関するテーマはかなりハードルが高そうですが、チャレンジしてみる価値はあると思います。
平成29年11月
「よかボス」は小山薫堂氏が命名されました。宣言書を持って写真に写らないといけないということでしたので、どうしようかと考えました。本校は理数科がありますので現校舎を建築した際に、理科棟の屋上に天体ドームが設置されていました。天体ドームがある県立高校はあまりないと思います。そこをバックにして写真を撮りました。ちなみにドームの中には、屈折式の大きな天体望遠鏡が設置されており、地学部の部活動などで使用しています。
現在、国を挙げて「働き方改革」が議論となっています。公務員や民間企業ともに時間外勤務時間が多いので、それをどのように縮小するのかを学校現場でも取り組んでいます。学校では、学校が掲げる教育目標を達成するということを念頭に、教職員の働き方をどのように改革していくのか、学校それぞれが工夫をしながら取り組んでいます。
すぐにでも職員の時間外の勤務時間を縮小したいのですがそうもいきません。少しずつできるところから取り組んでいくことにしています。
11月の後半になってやっと冬らしくなってきたように感じます。冬場になるとインフルエンザが流行しますので、うがいや手洗いなど予防に心がけています。昨年の地震の影響で、現2年生は昨年に実施すべき修学旅行が行えていませんでした。旅行を12月に実施します。1年生は予定どおりの時期に修学旅行を予定しています。また、3年生は、年明けにはセンター試験が控えています。大きな行事が控えていますので生徒諸君には体調管理に十分留意してほしいと思います。
よかボス宣言
働きやすく働きがいのある職場環境の実現を目指すため、教育長を筆頭に各学校長が「よかボス宣言」を行うことになりました。以下にその宣言を掲載します。
平成29年10月
9月の校長室便りの続きの話題になります。先日、新聞にも取り上げられましたが、1年の美術科を対象として、絵の具をつくる実験を化学と美術の教員が協力して行いました。実験では、プルシアンブルー、クロムイエロー、ジンクホワイトの3色を作りました。プルシアンブルーは、9月で紹介したとおり「若冲」も使った青色の顔料です。ジンクホワイトの主成分は酸化亜鉛で、別名亜鉛華とも呼ばれています。ちなみにこの亜鉛華は医薬品として皮膚に塗る軟膏にも用いられています。
さて、実験で合成した顔料で絵が描けたのでしょうか。このHPの「びとろぐ」のコーナーに写真が掲載してありますのでご覧ください。若冲の青い魚の絵に似せて色を塗った班もあったようです。この実験は美術と化学のコラボのような題材で、これを研究に発展させることも可能ではないかと思います。たとえば実験で合成したプルシアンブルーをどのようにしたらもっと「若冲の青」に近づけることができるのか・・・等、様々な観点からアプローチしてみるとおもしろいものに行き着くかもしれません。
ところで、10月になるとどこからともなく、モクセイの花のいい香りがしてきます。本校の敷地内にもモクセイの木が何本も植えられています。主に植えられているのは、キンモクセイです。所々にギンモクセイも見られます。管理棟の解体に伴って管理棟と教室棟の間に植えられていた大きなキンモクセイが伐採されてしまいました。半円状のきれいな樹冠をしていて気に入っていたのですが、新たな管理棟を建てるために伐採ということになってしまいました。街路樹や庭木として植えられているのは、主にキンモクセイです。このキンモクセイは、ギンモクセイからできた変種とされ、江戸時代に中国から入ってきたようです。区別は、花の色でわかります。キンモクセイは黄色い花で、ギンモクセイは白い花が咲きます。においもギンモクセイの匂いはキンモクセイより穏やかになります。個人的にはギンモクセイの香りが好きです。雌雄異株であり、日本で植えられているキンモクセイのほとんどが雄株で実がなりません。
私の実家の庭の片隅にギンモクセイの大木がありました。残念ながら数年前に枯れてしまいました。モクセイの花が咲くのが10月過ぎの秋ですから、この花の匂いが漂う頃が稲の実りの時期と重なり、稲刈り、脱穀、籾すりを思い出します。また、ギンモクセイには春に濃い青色の実がつきますので、このモクセイの実を見ると春から麦刈りの頃を連想します。日本は四季の変化が顕著ですから、季節によって生物の状況などが大きく変化します。生物の季節現象を調べる学問のことを季節学といっています。学校の敷地内にも様々な木が植えられていますので、時期によっていろんな変化を見せてくれます。本校は、敷地が広くまた騒音も少なく静かな環境でもありますから、学習するには本当によいところだと思います。施設の復旧工事が進んでいますので、大きなトラックが入ってきて不要なものを運び出したり、工事の音もして以前の学習環境とはいえませんが、もう少し辛抱すると新たな第二高校が完成します。それを心待ちにしています。
平成29年9月
さて、このHPで学校の復旧状況をその都度お知らせしています。数日前に管理棟と図書館の解体状況の写真を掲載しましたが、建物は二つともなくなり今はコンクリートや石垣のがれきを選り分けて処理しています。もう少しすると盛り土の一部が取り除かれる予定です。近くから盛り土の土の様子を観察しました。石ころなどが少なく一見表土のように見えます。以前東町に移る頃に本校に勤務された先生が、「現在地は北の方が高く南の方が低かったので、北側の土を削りその土で南側の一部を一部高くした」と話しておられました。盛り土の部分を見ると石ころがあまり含まれていませんので、表土を盛ったと考えられます。それが原因なのかわかりませんが地面が弱かったのでしょう。その上の建物がやられてしまいました。削った土はどこかに行くわけですが、専門家ではありませんが表土として使えそうな感じがします。田んぼとかの客土に使えるかもしれないと思っていたところ、削った土は震災復旧事業として秋津の農地の復旧に使われるようです。有効活用ができるということでありがたく思っています。
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新聞記事を読んでいたら、「豚のレバーから若冲の青を再現」という記事がありました。伊藤若冲は動植物を緻密な表現で描いた江戸時代の絵師です。その時代に西洋から「プルシアンブルー」という新しい顔料が日本に入ってきました。若冲はこの顔料をいち早く取り入れたことでも知られています。専門家のなかには、若冲は「色に執着した画家」と呼ぶ人もいるようです。このプルシアンブルーは1704年にベルリンで偶然に発見された顔料だそうで、その後この顔料が草木の灰(アルカリ)と牛の血液から製造できると発表されています。今回の新聞記事には、スーパーで買った豚のレバーを原料としてこの顔料をつくったと書いてありました。その顔料の化学成分について触れておきます。牛の血液や豚のレバーには鉄分が含まれます。その鉄分の化学変化によってこの顔料となり色素が合成されます。プルシアンブルーは和名では紺青とも呼ばれ濃青色をしています。ベルリンブルー、ターンブルブルーなどの名前で呼ばれることもあります。成分はヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)(別名:フェロシアン化鉄(Ⅲ)、ファエロシアン化第二鉄)であり、鉄(Ⅱ)イオン、鉄(Ⅲ)イオン、シアン物イオンが組み合わさった錯体です。化学の授業では、鉄の化合物の性質を調べる実験で出てきます。久しぶりに化学の教科書を開いてみました。教科書には次のように書いてあります。「鉄(Ⅲ)イオンを含む溶液に、ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸カリウム水溶液を加えると濃青色の沈殿が生じる。この沈殿がベルリン青である。」この新聞記事のことを美術科の職員に伝えると、さっそく美術作品とプルシアンブルーの関係について資料を持ってきてくれました。美術科では、SSH事業の一環で科学的に色を研究しようとしていますので、何か教材に使おうと考えているようです。生徒たちの反応が楽しみです。
既にご存じの方も多いかと思いますが、現在熊本県立美術館で、伊藤若冲の作品が展示されています。新聞記事の若冲の話題は、展示会があることを知る前に目に止まり偶然でした。先日用事があって美術館に行き、若冲の作品を見てきました。やはり実物を見ると違います。写真では感じられないような迫力を感じました。生徒たちにも展示会があっていることを紹介したいと思っています。
平成29年8月
1学期の終業式の日に、同窓会からバス(りんどう号)を寄贈していただきました。夏休み中に部活動は合宿や遠征の日程を組みますので、その移動手段として多くの部活動がりんどう号を使用し、有効に活用させていただいています。同窓会の皆さんありがとうございます。美術科生徒のデザインで外側をラッピングしていますので、ある顧問は、「りんどう号は目立っています」と言ってくれています。りんどう号がいろんな場所で見かけることによって話題になり、第二高校の知名度がこれまで以上に上がることを期待しているところです。
さて、熊本地震で被害を受けた施設の復旧状況について少し触れておきます。正門側の管理棟は建て替えになっていますので、取り壊す作業が続いています。壊す途中の写真はこのHPにも掲載していますが、現在、管理棟のほとんどが取り壊された状態になっています。機械でコンクリートを崩していきますが、鉄筋コンクリートが相当硬いのかはわかりませんが、プレハブの管理棟がその影響で揺れました(地震が来たのかと一瞬思いましたが)。どの部分を壊しているのだろうかと興味があったので見に行ったところ、管理棟の玄関から東部分の床のあたりを機械が壊していました。そのときには管理棟は一番東側の壁1枚が残っているだけとなっていましたので、壊していくのはあまり時間がかからないものだということを実感しました。コンクリートや鉄筋を仕分けして置いてありますが、そのうち片付いて平地になるものと思います。本校の敷地は独特な作りになっていて、管理棟、教室棟、理科棟の地面の高さは同じではありません。管理棟は、東側が盛り土をしてあって一部2階及び3階建ての構造となっていました。この盛り土が今回の地震で影響し、盛り土の上に建っていた管理棟と図書館が建て替えとなってしまいました。新しい管理棟と図書館は、盛り土の一部を削って地面を正門の水準に合わせて、そこに建てる方向で検討されているようですが、まだはっきりとした案は示されていません。新しい管理棟や図書館は、きっと外側も内側もきれいで機能的な作りになるものと思っています。
現在、構内の至る所で工事が行われています。渡り廊下が8本全部撤去されました。また、体育館の屋根の改修工事も進んでいます。音が出る工事については、できるだけ授業に支障を来さないように日程を組んでもらっていますが、工事期間の終わり頃になるとどうしても工期に間に合わせるために、授業をしている最中にも音が生ずる場合があります。学校としてもそれは極力避けてもらうようにお願いはしていますが、できるだけ早く復旧するという計画で進んでいますので、生徒の皆さんや保護者の皆様にはどうかご理解いただきたいと思います。
9月1日から2学期が始まります。2学期は授業日数が最も長く、生活するにも過ごしやすい季節になります。生徒諸君が気力、体力ともに充実した学校生活を送ってくれることでしょう。
平成29年7月
本校は7月20日に1学期の終業式を行いました。体育館が工事中であることと、外で式を行うにはあまりにも暑すぎるということで、映像配信による式としました。終業式が終わってLHR後に、本校同窓会のりんどう会から本校PTAにバスを寄贈していただくことになりましたので、引き渡し式が行われました。バスには「りんどう号」という名前がつけられました。バスの写真はこのHPにも掲載しています。生徒がデザインした絵が車体に描かれています。フィルムにドットで描いて窓にも張り付けてありますが、バスの内側からは外の景色が見えます。バスを寄贈していただいた同窓会の皆様に、改めてお礼を申し上げます。早速、利用申請が部活動から出てきました。有効に活用したいと思います。
さて、終業式前日の19日に、SSH特別講義として熊本大学教育学部から講師の先生を招いて、1年の美術科と理数科の合同講義を行いました。「肥後藩第6代藩主細川重賢はARTandSCIENCEを体現する名君だった~江戸時代の藩政改革・肥後大地震復興と文化~」という演題でお話を伺いました。この特別講義の目的は、以下のとおりとしました。「美術と科学が江戸時代からリンクし、地震後の復興や藩政改革に少なからず影響を与えていることを、画像の分析を中心に行う。熊本大学をはじめ、地震後の文化財保護が今後の熊本県の文化行政の重要な課題となる。美術科・理数科が同じ講義を聞くことで、それぞれの立場から地震からの復興や熊本の文化財保護の意識を持たせ、さらに美術と科学の関連を実感させる。」
本校のSSHは理数科のみならず普通科・美術科の全校で取り組んでいますが、この特別講義はその中の一つの事業です。ものの見方や考え方を、「文系的な」や「理系的な」といった限定的な視点からではなく両方の視点で考察を加えることは、大変重要なことであると考えます。大学の学部や学科の中には、文理融合の専門教育を研究テーマとしている大学もあります。
本校でも全学科で探究活動に取り組んでいます。理数科のSS(スーパーサイエンス)、美術科のAS(アートサイエンス)、普通科のGR(グローバルリサーチ)の中のそれぞれで取り組む課題研究で探究を行う場合、文系理系といった学問領域を超えた学際的な視点での考え方も必要となります。
今後美術科では、美術を大きなテーマとしながら、顔料の研究や美術品の保存科学といった分野にも学習を広げてまいります。
HPをご覧の皆さん、猛暑はまだ続きますがどうぞご自愛ください。
平成29年6月
梅雨の時期は、気温が高く湿度も高いのでカビが発生しやすい時期でもあります。カビは食品に限らず衣類など様々なものに発生します。私はカメラを持っていますがカメラのレンズの表面にもカビが発生します。ガラスなのにカビが成長するのに必要な栄養分がどこにあるのだろうかと不思議に思います。レンズにカビが生えるといけませんからカメラを使用しないときには、乾燥材を入れた密閉容器に保管をしています。本校職員の中にもカメラや写真を趣味としている人がいますが、各自が工夫してカメラのカビ対策をしているようです。
さて、カビはこのように人間にとって悪い影響を与えることもありますが、逆にカビを生活に利用している例が多くあります。たとえば、鰹節を作る場合には、保存性を増すためにカツオの身から水分を取り除く必要がありますので、燻煙とカビをつける作業を繰り返すそうです。そうすることで水分が抜けると同時に鰹節独特のうまみ成分が多くなります。また、酒をつくる場合、アルコールを発生させるには酵母菌という微生物を使ってアルコール発酵を行います(発酵のしくみは高校では生物で学びます)が、酵母菌は、米に含まれるデンプンを直接アルコールにはできません。デンプンは、ブドウ糖という糖が多数結合したものです(糖類の分子構造は高校では化学や生物で学びます)から、デンプンの中のブドウ糖同士の結合を切って単独のブドウ糖に変える必要があります。その役割をするのがコウジカビです。コウジカビの作用によって糖化されたものが、酵母菌のエサとなり発酵に使われることができるようになるのです。日本酒をつくるには、まず米を蒸してそこに麹を混ぜ合わせ、コウジカビが繁殖し糖化が進んだ頃に酵母菌を投入しアルコール発酵をさせて日本酒を製造します。
ところで、米を麹で糖化させ、酵母による発酵を行わせる前の状態のものが甘酒となります。本校理数科のSSH課題研究のテーマの一つとして生物班が、「抗酸化機能を持つ甘酒の研究」にも取り組んでいます。甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれ、疲労回復にも役立つとも言われている飲み物ですが、甘酒の抗酸化機能に注目し、麹の種類を変えたり、糖化させる温度を変えたりする実験をして抗酸化機能の増減について研究を進めています。
また、科学的な研究として家庭科の授業では鰹節や昆布からとった天然だしを材料として味覚官能評価の実験を大学と共同で行ったりもしています。
課題研究の材料は様々な分野から探して持ってきますが、科学に関する探究を進めるためには、日頃から身の回りで起こる事象に対して、いかに疑問を持つのかという課題発見能力が重要となります。課題研究で研究しているテーマについては、このHPのSSHコーナーをご覧ください。
平成29年5月
雨に悩ませられるといえば、運動会の実施も今年は悩みました。練習期間中は雨の日が例年より少なく、練習などはある程度予定どおりにできました。5月13日の土曜日に運動会を実施する予定でしたが、その前日、金曜日の午後から激しい雨になるとの予報でそれが現実となり、金曜日の午後から雨となり、翌日午前中まで怪しいということになり順延を決定しました。強行していれば、グラウンドコンディションが良くない状況であり、開始時間を遅らせ、プログラムも縮小ということになったかもしれません。しかし、天候が良い状況で全てのプログラムを予定どおり行いたいと考え、順延としました。2年ぶりの運動会です。開会式の時から生徒たちのこの運動会に取り組む意気込みを感じました。特に、午前の最後のマスゲームでは、生徒諸君は笑顔で演技していましたので、好天のもと開催できたことを良かったと思います。
さて、本年度から5年間、第4期目のSSH事業が始まりました。4期目の事業の概要はこのHPに掲載しています。全学科で取り組んでいくことが、今回の大きなポイントとなります。美術科でも学校設定科目「アートサイエンス(AS)」、「美術探究」で科学的探究能力の育成に取り組みます。今年から新たにというわけではありません。3期目の途中から理数科だけでなく全学科に授業を設定し取り組んできました。たとえば、SSHコーナーで、今年3月6日に掲載したものをご覧ください。
「なぜSSHのページで「松島図屏風」の鑑賞かといいますと、美術作品を鑑賞する過程で、観察力、画像を分析する能力、知識と観察を結び付ける能力、などなど科学的探究能力と言われる力を必要とするからです。
さらに、理数科、普通科、美術科生徒達それぞれの作品の認識に特徴を見ることができ、今後の指導の参考になりそうです。
今回の事業は熊本大学からの御紹介で、京都文化協会とキヤノンの「綴 文化財未来継承プロジェクト」の成果である俵屋宗達「松島図屏風」の高精度複製を利用した授業となりました。実社会での「サイエンス」と「アート」のコラボの成果です。」(その部分の記事を引用)
熊本大学との連携で「松島図屏風」と「風神雷神図」の高精度の複製を、セミナーハウスの持ち込んで授業を行いました。どちらの作品も俵屋宗達によるものです。実物を見たことはありません。複製品ですが迫力を感じました。風神雷神図は私は好きな絵の一つですが、実物と変わらない大きさで見るとやはりいつもと違います。カーテンを閉め、ろうそくに似せた明かりも置いてありました。授業では、夜、ろうそく(行灯など)の明かりで見た時にそれらの絵がどのような雰囲気を持つのかについても触れていました。風神雷神図の風神及び雷神ともに神様ですが鬼の姿で表現されています。夜、ろうそくの光でこの絵を見た時にどのように感じるでしょうか。鬼の姿ですから、本当におどろおどろしい姿が浮かび上がったのかもしれません。
絵画を科学的な視点で分析してみることも大切なことだと思います。美術科の授業での今後の進展に興味を持っています。
6月になると高校総体、高校総文祭が開催されます。生徒諸君のこれまでの練習の成果を発揮して、それぞれが設定している目標達成に向けて精一杯努力してくれることを期待します。
平成29年4月
4月10日に入学式、新任式、始業式を行いました。入学式は、県立劇場の演劇ホールをお借りし午前中に行いました。式後は普通であればHRに入ってLHRを行いますが、場所がありませんので、クラスごとに出入り口近くのホールとか、観客席の一部などに分散して、そこで担任、生徒、保護者の方々との顔合わせ程度の集会となりました。
午後は、自転車置き場のスペースで、新任式と始業式を行いました。雨が降り風も吹くという悪天候の中で始業式などを済ませました。
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の事業は本年度から第4期目が始まります。昨年は、経過措置と地震の影響もあって規模を縮小して実施しましたが、今年からは防災という新たな視点を考えながら事業を進めます。5年間の中で様々な計画を考えていますので、気持ちはわくわくしながら思いを巡らせています。
本校SSH事業の中核となる取り組みが、課題研究及びテーマ研究です。自然科学、社会科学、人文科学など様々な分野から研究テーマを設定し取り組んでいます。たとえば、理数科の宇宙工学班が「宇宙空間における植物の栽培方法の提案」というテーマで研究し、成果を東京で行われた衛星設計コンテストで発表しました。研究テーマは宇宙空間に関する分野にまで及びます。生徒の中には宇宙工学を研究したいということで、その研究分野に進学した生徒もいました。現在、火星への有人飛行計画も進んでいますから、将来その分野で活躍する二高生OBも出てくることでしょう。楽しみです。
宇宙に関することに触れましたのでもう少し続けます。私は、高校生の頃は地学部に所属していましたので、星を見るのが好きです。少し前の新聞記事に、太陽系から最も近い恒星に探査機を送る計画があるという記事がありました。太陽系に最も近い恒星は、ケンタウルス座アルファ星で、太陽系から約4.3光年の距離にあります。近いといっても光の速さでも4.3年かかるのですから途方もない距離です。現在、木星や土星など太陽系の惑星に探査機を送っていますが、そのスピードでは何百年かかっても隣の恒星にはたどり着けませんので工夫が必要となります。シリコンバレーの大富豪の資金援助で「 ブレークスルー・スターショット」という計画が提案されました。計画者の中には理論物理学者であるスティーブン・ホーキング氏もいます。探査機の本体は、様々な機能を乗せた指先くらいの大きさのコンピュータチップに、一辺が1m位の帆を取り付けたものとなります。動力は、地上からこの帆に向かってレーザーを当てその反動を利用するものです。帆を利用して推力を得る方法は、 JAXAが建造した宇宙ヨット「イカロス」がモデルとなっていますので、日本の宇宙技術には世界最先端のものもあります。この探査機は理論的には光速の約20パーセントの速さを出すことができるようです。光速の2割の速さですからケンタウルス座α星に到達できるのが地球出発してから約20年後となり、そこで写真の撮影その他観測し、電波で地球に送り返します。電波は光速ですから約4年後に地球に届きます。まだ夢のような話ですが、2040年代半ばに実現させる計画です。今は夢のような話でも、科学技術が進展すことで実現できるようなことが、これからいくつも出てくることでしょう。本校のSSHは全学科で取り組むことになりますが、研究者となる人材を育成することも一つの目的とするプログラムです。本校のOBがそのうち新聞の1面を飾るような業績を上げてくれることを期待しています。
平成29年度転入・新任者一覧
職名 | 氏名 | 教科 | 前任校 | |
1 | 教諭 | 中山 諒一 | 数学 | 新採 |
2 | 教諭 | 免田 隆大 | 生物 | 新採 |
3 | 教諭 | 小山 學 | 保健体育 | 熊本高校 |
4 | 事務職員 | 江藤 里佳 | 高道小学校 | |
5 | 講師 | 江原 澪 | 英語 | 熊本北高校 |
6 | 非常勤講師 | 園田 彩香 | 数学 | |
7 | 非常勤講師 | 木村 佳奈 | 生物 | 北稜・南関高校 |
8 | 非常勤講師 | 田中 基義 | 地学 | 東稜高校 |
9 | 非常勤講師 | 吉井 將人 | 音楽 | 東稜高校 |
10 | 進連協事務局 | 伊野上 由美子 |
平成29年3月
○3月29日に、平成28年度末の定期異動で本校からの転退任される先生方の転退任式を行いました。昨年度は20人を超える先生方が転出されましたが、今年は8人で、かなり小規模の異動となりました。体育館がまだ使えません。二高生へ最後の話をする機会ですから、放送ではなく直接生徒に話をしてもらいたいと考え、南門近くにある自転車置き場に椅子を持ち込んでそこで式を行いました。自転車置き場は、2階建ての構造でしたが、2階部分が地震で損傷しましたので早い段階で2階部分を取り除き平地にして自転車を置いて使用していました。椅子を並べると最大で1000人位は入るスペースです。そのままでは式典会場としての雰囲気が出ませんので、2月末に同窓会から寄贈していただいた校章入りのりんどう色の幔幕を4方に張り巡らせました。2月28日の同窓会入会式や3月1日の卒業式でも使用しましたが、1年生、2年生全員が見ることができるお披露目のいい機会にもなりました。すばらしいものをいただき改めて同窓会の皆様にお礼を申し上げます。
今年度は地震の発生、その後の対応などで様々な教育活動に支障が出ましたが、生徒、教職員が一丸となって取り組みました。また、保護者の皆様、同窓会の皆様からも御支援をいただきました。今回転出される先生方にとっては、大変なご苦労をいただいた最後の1年であったと思います。新たな任地でもますますお元気で活躍されることを願っています。ありがとうございました。
例年であれば、3学期の終業式や転退任式の頃には、桜が開花していますが今年はどうしたことか今日(30日)になっても熊本市の開花宣言はなされていません。今年は九州ではなく東京に最初に桜前線が上陸しています。夕方帰宅途中に校庭の桜を眺めたら花を開いている樹がありましたので、第二高校では開花宣言をしてもよいのではないかと思います。
○本校は平成15年度から、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、本年度で14年目となりました。平成27年度で第3期目の指定が終了し、平成28年度に第4期目(5年間)の継続指定を受けるため文部科学省に申請を行いましたが、5年間の指定は不合格となり平成28年度1年間の指定となりました。昨年度の申請書の内容を今年度1年間かけて見直し、新たな計画を盛り込んで第4期目の申請をしていましたが、先日、文部科学省から合格の通知をいただきました。平成29年度から5年間第4期目の取り組みを進めて参ります。昨年度はご心配をおかけしましたが、第4期目は、探究活動の深化、授業改善、評価方法の研究などに工夫を加え取り組みます。第4期目の取り組みの概要については、このHPの「SSH」のコーナーに掲載しますのでどうぞご覧ください。
○本校の施設設備の復旧状況は、HPの「復旧への道」のコーナーで随時お知らせしていきますが、施設の復旧はあまり進んではいない状況です。先日ようやく、教室棟、理科棟の改修の施工業者が決まりましたので、4月になり次第工事が始まる予定です。正門が通行止めになっています。これは、管理棟を取り壊すため、そこに入っている電気設備、水道設備、放送設備、火災警報設備といったものをプレハブの管理棟へ移設し、水道管、電気配線の付け替え工事を行っていることによるものです。正門としての機能は、現在南門がその役割を果たしています。来校される時は、南門、西門、東門から入ってください。
○平成29年度が、始まります。新1年生を迎え、在校生は学年がそれぞれ上がります。生徒諸君それぞれが新たな目標を掲げて学校生活を始めます。私たち職員一同生徒の目標達成に向けて精一杯がんばりますので、二高生への応援をよろしくお願いします。
平成28年度末人事異動
氏名 | |
1 | 原 孝弘 |
2 | 金子 隆博 |
3 | 栁田 綾奈 |
4 | 坂田 依久実 |
5 | 上吉 亮太 |
6 | 井上 翔平 |
7 | 松本 隆佑 |
8 | 寺﨑 つる代 |
平成29年3月
当日、卒業生諸君の表情は皆さん晴れやかでした。この1年間を乗り切ったという安堵感もあったのではないでしょうか。卒業式は終わりましたが、上級学校進学への挑戦が今も続いています。希望する進路が達成できるよう最後まで努力してほしいと思います。
以下に、卒業式の式辞の一部を掲載します。
式辞
・・・
ただ今、卒業証書を授与した卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、「自主積極・廉恥自尊・礼節協調」の三綱領をよりどころとして、「学力の向上」はもとより、人としての「人格の陶冶」に向けて、日常の勉学や部活動、並びに生徒会活動を中心に、自己研鑽の日々を積み重ね、三年間の教育課程を無事修了されました。
・・・
平成二十八年度は私たちのほとんどが、想定もしていなかったような天災に見舞われました。自然の力がとても大きなものであることを身をもって経験しました。地震の震源に近いところでは被害が非常に大きく建物などの復旧にも時間がかかっています。本校も施設に大きな被害を受け、体育館での卒業式はかないませんでしたが、このように熊本県立劇場をお借りして、本日、卒業式をできますことは関係された方々のご尽力によるものであります。心から感謝申し上げます。
地震後、混乱している中で皆さんは自宅または避難所などから、避難所やがれきを撤去している所へ駆けつけ、自ら進んで積極的に手伝いをしてくれました。また、家庭での後片付けにも積極的に関わってくれたと聞いています。どのようにしたら自分の力を最大限発揮できるのか、その場の状況を自ら判断して行動するのは難しい場合がありますが、皆さんはそれぞれが判断し行動に移してくれました。本校綱領の「自主積極」の姿勢が現れた行動でありました。
さて、本校は文部科学省からスーパー・サイエンス・ハイスクールの指定を受け、皆さんが主体的に考え行動する力を身につけることができるような教育に取り組んできました。その一つが、理数科では課題研究スーパーサイエンスであり、美術科、普通科ではテーマ研究です。研究の成果は、合同の報告会という形にし、皆さん全員が聞くことができるようにしました。研究の内容が理科系、文化系限らず様々な視点から物事を考えてみることはとても重要なことだと考えます。
明治から大正にかけて活躍した物理学者に寺田寅彦がいます。寺田寅彦は、一八九六年(明治二九年)に第五高等学校に入学します。そこで英語教師の夏目漱石、物理学教師の田丸卓郎と出会い、両者から大きな影響を受けその後、科学と文学の両方を志すこととなります。寺田寅彦は文筆活動においても有名であり、「知と疑い」という随筆の中で、次のように書いています。
「疑うがゆえに知り、知るがゆえに疑う。疑いは知の基である。・・よく疑う者はよく知る人である。・・寺院の懸灯の動揺するを見て驚き怪しんだ子供が、イタリアピサに一人あったので、振り子の法則が世に出た。りんごの落ちるのを怪しむ人があったので、万有引力の法則は宇宙の万物を一つの糸につないだというのは、人のよく言う話である。・・学校の教科書を鵜呑みにし、先人の研究をその孫引きによって知り、さらに疑うことなくしてこれを知り博学多才となるものは、かくのごとき仕事はしとげられないのである。」寅彦は、疑うからこそ、そこに新たな学びがあり、疑うというのは学びの上で重要なものなのだと言っています。本校で経験した課題研究やテーマ研究での課題の発見や仮説の設定をするという考え方は、これから皆さんが社会に出て、答えのないような問題に直面したとき、解決していくうえで役に立つものになると思います。また、寺田は自然科学者でありながら、文学などの自然科学以外のことにも造詣が深く、随筆などを通して科学と文学といった学問領域の融合にも試みています。文系と理系の知識を統合させ、新たな知見を得る学際的な視点での考え方も、これからの社会で生活していくうえでは必要なことであると考えます。約百年前に生きた寺田寅彦は、今の社会を予見していたのかもしれません。
卒業生の皆さん、これから皆さんが加わっていく社会は、変化が激しく、常に新しい未知の課題に、試行錯誤しながら対応していくことが求められます。そのような社会ですから、当然人生の道のりには、幾度となく壁にぶつかることになると思われます。しかし、その壁を乗り越えるため、全力で取り組んでください。そのためには、一歩を踏み出すことから始まります。
日本経済団体連合会の副会長を務めた鈴木敏文さんは、「未来に向かって敷かれたレールはない。道は自分でつくるものである。」と述べています。さらに鈴木さんは「レールとは、ふと振り返った時に、自分が歩んできた結果として敷かれているものである。未来に向かって踏み出そうとすれば、どんな方向にも新しく踏み出すことこともできれば自分を変えることもできる。」と述べています(「わがセブン秘録」より)。皆さんが、これまで得た経験を基礎として、一歩先の未来像を描き、それを実現させるために豊かな発想力を活かして、未来に向かって一歩を踏み出してください。皆さんのこれからの活躍を期待しています。
・・・
それでは卒業生の皆さん、皆さんの前途が洋々たるものであることを信じ、将来のご多幸をお祈りして、式辞とします。
平成29年1月
本校でもインフルエンザに罹患する生徒が目立ち始めてきました。インフルエンザは予防接種をしていてもかかりますので注意が必要です。手洗い、うがい、マスクなどの予防対策を生徒諸君に呼びかけ感染防止に努めています。また、インフルエンザの罹患者がある程度以上の人数が出てきた場合、感染の拡大を防ぐため学級閉鎖や学年閉鎖の措置を行います。1月20日現在、2つの学級を閉鎖しています。感染拡大の防止のための措置ですのでどうぞご理解ください。
インフルエンザの感染防止対策としては、予防接種を受けるのが効果的です。3年生はこれから受験を控えていますので、予防接種を受けている人が多いと思います。インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、さらにそれぞれの型には何種類かの亜型が存在します。ワクチンを製造す場合は、シーズンを迎える前にその年に流行する型を予測し製造しています。インフルエンザワクチンはワクチンとウイルスの型が異なると効果が落ちてしまいますので、毎年、流行する型を予測し、さらにA型から2種類、B型から2種類を混合してワクチンとしています。
暦の上では、今が一番寒い時期(小寒・大寒)となります。これからも寒さが続きます。職員にも体調管理に努めるよう注意喚起を行いたいと思います。皆様もどうぞご自愛ください。
平成28年12月
12月22日金曜日に第2学期の終業式を行いました。現在体育館が使用できませんので、テレビ会議システムを利用して行いました。本校では2学期に各ホームルームに電子黒板が配備され、電子黒板機能を活用した授業に取り組んでいます。テレビ会議システムも可能な仕様になっていましたのでそれを活用しました。まず、画像や音声が問題なく流れるか事前に試験放送をしましたが、教室によっては画像が途中で途切れたり、音声が出なかったりと不具合があり配信用のサーバーを増やすなどの工夫することで不具合を解決することができました。終業式に先立ち、生徒の部活動等の表彰式もテレビ会議システムを使用して行いました。各種大会での優勝や入賞の成績は生徒ががんばった証となるものですから、表彰を行い全生徒に知らせることで、生徒にとってこれからの練習等の励みになるものと思っています。テレビ会議システム等のICT機器の利用は有効な手段ですので、これからも様々な場面で活用する予定です。
8月25日に2学期を始めたことにより、2学期の授業日数は81日となりました。1学期の終了を遅らせ、2学期を早めることで、4月下旬からの休校でできなかった授業時間、学校再開後1学期間続けた5分短縮授業で短くなった分の授業時間を補うことができました。
公共の施設は復旧工事を行うために工事を請け負う業者を入札によって決定していますが、入札に参加する企業が少なく、工事を行う業者がなかなか決まらないようです。本校の施設も復旧計画が示されており、管理棟、教室棟、体育館といった区分ごとに工事計画が立ててありますが、県内の状況がこのような状況ですから計画に遅れが出てくるかもしれません。できるだけ計画に沿った復旧が行われるように取り組んで参ります。
さて、12月上旬に、OECD(経済協力開発機構)が「生徒の学習到達度調査」(PISA2015)の結果を公表しました。この調査は、義務教育終了段階の15歳の子どもを対象とし、日常生活などで直面する課題に即して知識や技能の活用能力を図ることを目的とした調査です。調査は3年ごとに実施され、今回は72の国と地域から計約54万人が調査対象となりました。調査は、「科学的リテラシー」、「数学的リテラシー」、「読解力」の3分野で実施されました。結果は新聞にも掲載されましたので皆さんもご存知かとは思いますが、日本は「科学的リテラシー」、「数学的リテラシー」の2分野で前回の2012年調査よりも順位を上げ、全参加国・地域中それぞれ2位と5位となりました。一方、「読解力」は8位となり前回の4位から順位を落とした結果となりました。順位は落としても国際的には上位を維持していますから、日本の力は常に高い位置にあるといってよいと思います。PISAの結果は、学力水準をつかむ一つの資料ですから私たちも参考にします。現在の高校生やこれから高校生になる年代の子どもたちが抱えている課題と思われますので、分析を行い今後の学習指導に活かしていきたいと思います。
大学入試も改革が進んでいます。現在のセンター試験に代わる新たな入試も今後導入される予定ですので、今の3年生の進学指導に重点を置きながらも先々の入試制度改革にも対応していかないといけません。教育の「不易と流行」のどちらの面にも大切にして教育活動を進めていきます。
平成28年は、4月に起こった地震の影響が大きかった1年でした。影響は数年間は残ることになるのでしょうが、来年はきっと良い年になると思っています。どうぞ良い年をお迎えください。
平成28年11月
気象庁が10月25日に11月から1月にかけての3か月間の天候の見通しを発表しました。それによると西日本では、大陸からの寒気の影響を受けやすく、向こう3か月の気温は平年並みか低いと予測しています。これまでと違ってこれから冬に向かうにつれ寒くなってきそうです。
10月初旬にノーベル賞が発表されました。日本からは東京工業大学の大隅良典栄誉教授が生理学・医学賞を受賞されました。受賞は、細胞内部の自食作用であるオートファジーのメカニズムの解明によるものです。私は生物学が専門ではありませんので詳しいメカニズムは専門の資料を見て勉強したいと思っていますが、日本の基礎科学分野における力は大変大きなものであると感じました。
オートファジーという現象は、生物にとって大変重要な作用です。ヒトの体の中では毎日数百gのタンパク質が合成されています。しかし、食事から摂取するたんぱく質は数十g位であり、食事からのたんぱく質だけでは賄えません。不足する分は、自分の体を構成する細胞の中にあるタンパク質を一度アミノ酸に分解し、それを再利用して必要なタンパク質を合成し補っています。大隅教授は、この機能を酵母の研究から発見しました。その後さらに研究が続き様々な面への応用が進められています。たとえば、オートファジーの機能を止めることによってがん細胞を死滅させる治療に応用できないかという研究が進められています。
大隅教授のノーベル賞受賞は時間の問題だとも言われていました。それは大隅教授がノーベル賞予測で有名なトムソン・ロイター引用栄誉賞を2013年に受賞されていたからです。この栄誉賞は学術論文の引用データ分析から、ノーベル賞クラスと目される研究者を選出し、その卓越した研究業績をたたえる目的で設定され学術賞です。過去には、山中伸弥さんや中村修二さんも受賞されています。
本年のトムソン・ロイター引用栄誉賞に日本から3人が受賞し、そのうち化学分野で熊本大学名誉教授で崇城大学DDS研究所の前田 浩特任教授と国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野の松村保広分野長の2人が受賞されました。どちらも熊本県にゆかりのある人ですので今年ノーベル賞受賞になるのではと期待しました。数年後には受賞されることを期待しています。
熊本地震で本校の施設に大きな影響が出ていますが、職員室、進路指導室、事務室、校長室などが入っている第1棟(管理棟)については、11月の初旬に仮設の校舎に引っ越すことになりました。今、校長室も引っ越しに向けて書類等の整理を行っています。新たな校長室が現在の校長室より狭くなるので、すべて新しい校長室に移動することができません。校長室へ移動する物、一時保管しておく倉庫に移動する物、廃棄処分にする物に分別作業を行っています。本校に来てから一度も開けたことがないような戸棚もありそこからはかなり古い資料も出てきます。それらを仕分けして段ボール箱に詰め込んでいますが、古い資料から新たな発見もあります。
仮設の管理棟は、ハンドボールコートにすでに建っている仮設教室棟の横に建設されました。引っ越しすると当分の間そこで過ごすこととなります。新しい校舎ができることを心待ちにしながら学校教育に取り組みたいと思います。
平成28年9月
当日も職員が学校の状況を説明しましたが、体育館、図書館、(ホームルームとして使用する)教室の一部、職員室・進路指導室などが入っている建物が使用禁止となっています。これから施設の復旧工事が本格的に始まります。本校以外にも、小学校、中学校、高校など数多くの施設が被害を受けていますから、すぐに工事が進んで復旧が完了するということにはなりません。熊本県が施設の被害状況を確認し、順番に復旧を行っていきます。施設が使えない状況でも在校生たちはがんばっています。現在使える施設を有効に活用し、生徒諸君が有意義に高校生活を過ごせるよう今後も工夫しながら教育活動を行っていく予定です。先日の学校説明会で疑問に思ったり不安に思っている方もいらっしゃることでしょう。いつでもかまいませんので学校の方にお尋ねいただきたいと思います。
9月になって夏の暑さが和らぎ秋の季節に移ってきました。「中秋の名月」は今年は9月15日でした。「中秋の名月」の日が、年によって異なるような言い方になってしまいましたが、実際に年によって「中秋の名月(芋名月)」の日は変わります。感覚的にはその日は満月になると思ってしまいがちですが、今年も満月ではありませんでした。「中秋の名月」の決め方が月の正確な満ち欠けとは少し異なっているのでずれが生じます。「中秋の名月」は旧暦の8月15日の夜の月のことをいっています。また、満月は、地球から見て月と太陽が反対方向になった瞬間の月を指しています。中秋の名月から一番近い満月は2日後の9月17日4時頃でした(詳しくは国立天文台のHPを参照してください)。このように旧暦と月の満ち欠けは微妙に違いますので、旧暦の15日と満月は少しずつずれ、さらには暦と実際の季節がずれることとなりますので、そのずれを補うために旧暦では約3年に一度閏月が挿入されることとなります。
太陽系の中で惑星と衛星の関係では、特に月は衛星として大きいので、月(衛星)の引力が地球(惑星)に及ぼす影響は大きくなります。その代表的な例が潮の干満です。私たちが住んでいる熊本県には有明海が面していますが、遠浅の部分が多いので潮の満ち引きが顕著に現れてきます。つい最近の新聞記事に、月の引力が大地震と関係しているのではないかという記事が載っていました。東京大学の研究チームが、英科学誌ネーチャージオサイエンス電子版に論文を発表しました。今回の研究では、過去に起こった1万以上の地震と月の関係を調べたところマグニチュード8.2以上の巨大地震12例のうち9例が、特に月の力が強い時に起こっていると結論づけています。ただ、マグニチュード5.5レベルの地震では明確な関係は見られなかったとしています。人間には月の引力を感じ取ることはできないようですが、潮の満ち引きからもわかるように地球には月の力が大きく影響しており、海水だけでなく地下の岩盤や岩石にも力は影響を及ぼしていますので、月の引力が大きくなるときに岩盤が崩れるのを誘発しているのかもしれません。今後の研究がどのように進展するのか興味がわいてきます。
地震の影響に関係するかどうかは不明ですが、本校のHPで生物部の活動状況をお知らせしている中で、クチナシの話題を取り上げていました。生物部の研究テーマの一つとして、クチナシの害虫である「オオスカシバ」の幼虫の食餌傾向を研究しています。生物部が育てているクチナシには今年は「オオスカシバ」の幼虫が見られず、食べた後も見られなかったようです。生物の教員に私が「地震を予感して逃げたつだろ?」と言ったものの科学的根拠はありません。人間以外の生物には私たちにはわからないことを感じ取る感覚器官を持っているのかもしれません。オオスカシバの孵化が周りの環境にどのように影響しているかなども研究材料になるのではと考えたりもします。理科の課題研究では、研究テーマになることが身近なところにいっぱいあります。本校の理数科や普通科で理系分野に進もうと考えてる中学生の皆さん、第二高校で課題研究や部活動の研究に取り組んでみませんか。
平成28年8月
平成28年7月
7月3日に台風1号が発生したと報道されていました。今頃今年最初の台風が発生していますが、この記録は統計を取り始めたこの60年あまりで2番目に遅い記録とのことです。記録では台風1号の発生が最も遅かったのが、平成10年7月9日となっています。この4、5年は毎年20個以上の台風が発生しています。梅雨が明けたと思ったら今度は台風の心配もしなければなりません。今回の熊本地震で各地で地盤が弱くなっている箇所が多くありますので、今後集中豪雨や台風の影響で二次災害が発生しないことを祈っています。
本校の施設の復旧状況については、本校のHPで今後も随時お知らせしていきたいと思っています。現在、教室棟の一部が使用できないため、ホームルームを特別教室棟や東棟などの分散させています。それを解消するため、プレハブの教室をハンドボールコートに建築中です。予定では8月中旬に完成しますので、2学期からは、分散していたホームルームをこのプレハブの教室に移し授業を始めます。また、ユニセフからいただいたテントで授業を行っていましたが、それも何とか別の場所を確保できる予定です。生徒諸君には不便をかけていますが、学習環境の整備を最優先に復旧を図って参ります。また、管理棟、教室棟、特別教室棟をつなぐ渡り廊下が現在使用禁止で出入り口が制限されています。教室棟及び特別教室棟の南側1階の外側にそれぞれ、落下物からの安全を確保するためコンパネで屋根を設置しその下を通路として使用できるようにしました。その結果、教室棟は南北両側の1階の出入り口を使用することができるようになりました。特別教室棟もこれまで体育館とをつなぐ渡り廊下からの出入り口1カ所でしたが、1階の出入り口を使用できるようになりました。
プレハブ教室は、他校ではたとえば校舎の建て替えである一定の期間利用することがよくありますが、本校の場合は、現在のところいつまでプレハブ校舎を使用するのかという見通しが立っていません。
本校も二の丸にあった頃などは、プレハブの校舎が一部あったということをりんどう会の方々から聞いています。本校は昭和37年の創立から今年で55年目を迎えました。創立からこれまでの中で最大の困難に直面していると思います。生徒、職員が一丸となってこの困難を乗り越えていきたいと思います。
最後に、学校の古い資料を探していたら、「熊本二高新聞」の創刊号(昭和37年10月13日)がありましたので、参考までにご覧ください。
平成28年6月
さらに、体育館の復旧がいまだに予定が立ちません。体育館で活動をしている部活動は練習会場を確保するのに苦労しています。高校総体では総合開会式が中止となり、各競技も震災前の予定とは違った会場で実施されることになりました。練習不足に加え、例年と違う会場で試合に臨むことになりますが、このような時こそ、生徒の皆さんの頑張りに期待したいところです。
高校総文祭も県立劇場が使用できないこと等の理由により、囲碁、将棋、百人一首かるたを除いて、パレード、ステージ及び展示部門が中止となりました。高文連会長として苦渋の決断をしなければなりませんでした。生徒たちには大変申し訳なく思います。
放課後になると、運動系、文化系部活動ともに練習に励んでいます。目標に向かい、ひた向きに部活動に取り組む姿は私たちに元気を与えてくれています。
本校も、熊本地震の前震からグラウンドが避難所となりました。本校のグラウンドにも本校の生徒が避難してきていました。避難所を開設してからすぐに、生徒たちが避難所の本部に来てボランティア活動を申し出てくれました。グラウンドに入った車が最大時は約600台くらいになり、学校への車の出入りを一方通行にせざるを得ませんでしたが、その誘導に進んで協力してくれました。また、学校の近くに集合住宅があります。そちらには、本校のグラウンドまで物資を受け取りに来られるのが困難な方もおられますので、生徒たちがリヤカーを引いて、飲料水などの物資を届けてくれました。もちろん、本校に限らずいろんな避難所で手伝いをしてくれたと聞いています。生徒の皆さんの心配りに感謝します。
本校の施設などの被災状況は、今後もお知らせしていきたいと考えています。本校の施設のつくりは他の学校の構造とはずいぶん異なっています。まず、教室棟に廊下がありません。廊下の役割をしているものが管理棟、教室棟、特別教室棟を結ぶ渡り廊下となります。地震で8本ある渡り廊下がすべて使用禁止となりました。移動に時間がかかる大きな要因になっています。
正門の大きな門柱は花崗岩でできています。今回の地震では、前震では倒れませんでしたが、本震で2つとも倒れてしましました。正門の車の出入りの妨げになっていますので、先日同窓会にお願いして門柱を移動していただきました。本校のシンボルの一つでありますが、元に戻るのには少し時間がかかると聞いています。
管理棟は、職員室、事務室、校長室、会議室などが入っています。管理棟は玄関を含む東側の部分が全て使用禁止となりました。西側の部分も県の審査の結果、生徒を入らせないという条件で使用しています。
校長室の前震の後の様子です。校訓額の下のあったガラス戸の戸棚が下に落ち、これは使用不能になりました。校訓額は落ちずにかろうじて持ちこたえていましたが、本震ではとうとう落ちてしまいました。戸棚が開いていますが、普段から開けているわけではありません。前震が主に横揺れでしたので、激しい揺れで開いてしまいました。ガラス戸も倒れソファーに倒れ掛かっています。
反対側を写した写真です。歴代校長の写真は、途中までずり落ちたものがありました。
前例にないような二度の大きな地震は、想定外の部分がたくさんありました。いまだに避難所で生活されている方々もおられます。今回の地震で被害にあわれた方々に対し心からお見舞いを申し上げます。
私たち職員は、第二高校に入学した生徒諸君が安心して学校生活が過ごせるよう最大限努力してまいりますので、今後とも御支援、御協力をよろしくお願いします。
学校再開に向けてのご挨拶
まずは今回の地震により被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、保護者の皆様には、休校が長く続いておりますことで、大変御心配をおかけしております。
先日、県の施設課の調査が行われまして、渡り廊下の使用はできないものの、全ての教室が使用可能という判断が下りました。その結果を受けまして、学校といたしましては、5月10日(火)より登校を再開することといたしました。ただ、渡り廊下が使用できないために教室棟や特別教室棟への出入口の使用に一部制限があり、現時点では全学年分の余裕を持った避難経路を完全には確保できないこと、また余震が今なお続いていること等を鑑み、生徒の安全を最優先に考えまして、少なくとも初めのうちは、登校を午前中に限って学年ごとに実施することにいたしました。具体的には10日(火)は3年生、11日(水)は2年生、12日(木)は1年生という形で、順次登校を実施いたします(詳細は本校のホームページ内にある学年のページに掲載いたしております)。まずは生徒達がホームルームで級友たちと顔を合わせ、短時間ではありますが机に向かって学習をする時間を確保し、担任による面談を実施することで、少しずつ学校としての落ち着きを取り戻したいと考えております。またその間に、県教育委員会の指導を仰ぎながら、校舎の復旧・整備等を進め、全生徒が安心して登校できる環境を構築し、生徒達が通常の学校生活に一日でも早く戻れるよう、職員全体で取り組む所存です。生徒が全員登校できるようになるまで、今しばらくは保護者の皆様には御心配をおかけいたしますが、御理解と御協力をいただければ幸甚に存じます。
最後になりましたが、温かい励ましのお言葉を戴いた多くの方々、またボランティア活動に日々励んでくれた本校の生徒や卒業生の皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
平成28年4月
平成28年度が始まりました。4月8日は、午前中に2年生と3年生で始業式を、午後は入学式を行い新入生を迎えました。3月に52期生を送り出して、1学年分生徒が少なくなっていましたが、全校生徒が揃い以前と同様に、学校に活気が戻ってきたように思います。
本年度の本校の教育目標は、昨年度と同様に「連携と共有 全人教育の推進」としました。本年度も生徒の希望が実現できるよう私たち職員一同、精一杯生徒を指導、支援して参りたいと思いますので、このHPを御覧の皆様も第二高校に対するご支援、ご協力をよろしくお願いします。
以下、始業式式辞の内容の一部を示します。
・・・昨年度、皆さんには、「切磋琢磨」及び「二高生としての品格をさらに高めよう」という2つのことをお願いしました。今年度もこの2つを皆さんに継続して求めたいと思います。昨年1年間皆さんを見てきましたが、皆さんの成長はまだ途中の段階にあるといえます。皆さんの可能性は無限大であると思っています。皆さんそれぞれの進路目標を実現するためには、お互いが意識しあい切磋琢磨しながら努力してください。また、熊本県内の同じ学年の人たちだけではなく全国の同じ学年の人たちがよきライバルであります。それぞれが勉学に励み、競い合うことでさらに学力が高まる。そして、学年全体のレベルが高まっていくと信じます。学校生活は団体戦といわれますが、皆さんがよいところを十分に発揮しながら、学校全体がより高いレベルにステップアップできることを期待したいと思います。これは学習に限らず部活動でも必要なことです。互いが技量を磨くことでチーム全体のレベルが上がります。団体戦や個人戦の結果を見るともう少しで入賞という人たちがかなり多くなってきました。文化系、運動系の部活動ともに活躍を期待します。
次に「二高生としての品格」。二高生の品格は何かと問われても簡潔明瞭な説明は難しい面があるかもしれません。しかし、これを凝縮してまとめたことばが本校の三綱領になるのではないかと考えます。本校の創立時にこの三綱領が制定され、55年変わらずに先輩諸氏が唱和し常に胸に刻み受け継がれてきたものですから、この綱領を日々実践に移すことで第二高校としての品格、さらに社会人としての品格が培われていくのだと思います。
(中略)
「土光臨調」で有名な土光敏夫さんは、石川島播磨重工業や東京芝浦電気の社長を務めました。いずれの会社も経営危機に陥った時の社長就任でしたが、その類まれな経営手腕でどちらも見事に経営を立て直されました。その後、経団連や国の第二次臨時行政調査会の会長に就任し、国が進める行政改革にも大きな足跡を残されました。
(中略)
土光さんは戦後屈指の経営者として有名な人ですから、土光さんが示した行動指針は、現在の社会人のあるべき理想として今なお読み続けられています。土光さんのことばを紹介します。
物事を成就させる力は何か、その力の中にはむろん能力があるだろう。だが、能力は、必要な条件ではあっても十分な条件ではない。十分な条件とは、その能力に、起動力・粘着力・浸透力・持続力などを与える力である。そのような様々な力を、私は執念と呼びたい。
仕事に困難や失敗はつきものだ。そのようなとき、困難に敢然と挑戦し失敗に屈せず再起させるものが、執念である。そればかりではない。およそ独創的な仕事といえるのも、執念の産物であることが多い。湯川博士は中間子理論のヒントを寝床の中で得たという。しかしその背後には、寝ても覚めてもその一事に凝り憑かれた長い執念の期間があったことを忘れてはなるまい。』(「新訂 経営の行動指針」より)
今年の卒業生は、進路でがんばって素晴らしい成績を残してくれました。これも生徒の皆さんが最後まであきらめず、目標とするところに合格するのだ、合格してそこでさらに勉強するのだ、という強い思いがあったからだと私は思います。これが今述べた執念であり二高生の伝統のひとつであると思います。・・・
生徒たちは、4月の後半から5月14日に開催する運動会の練習に取り組んでいきます。既に各団の絵看板の作成や応援団員の練習が始まっています。今年の運動会も生徒たちの取り組みによって、躍動感あふれる素晴らしい運動会にしてくれることでしょう。近隣の皆様には様々な面でご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞご声援をよろしくお願いします。
平成28年3月 その2
平成27年度末人事異動
氏 名 |
石田 智雄 先生 |
本山 雅仁 先生 |
髙田 拓 先生 |
前田 眞澄 先生 |
津留 幸江 先生 |
武田 昭博 先生 |
前田 啓志 先生 |
平川真由美 先生 |
内藤さとみ 先生 |
園田 光世 先生 |
髙島 由佳 先生 |
栁田 耕輔 先生 |
中満恵美子 先生 |
瀬上眞由美 先生 |
草留 秀人 先生 |
鋤本 誠也 先生 |
宮原 公典 先生 |
牛島 隆博 先生 |
長谷川智洋 先生 |
山口 玲奈 先生 |
田中 基義 先生 |
小林 敏夫 先生 |
澤田 一生 先生 |
平成28年3月
平成28年1月
平成27年12月
平成27年11月
11月8日(日)に、藤崎台野球場で本校と第一高校との野球の交流戦が行われました。この交流戦は、第一高校同窓会(清香会)と本校同窓会(りんどう会)の共同企画で、一昨年から始まり今年で3回目となります。結果は4対4の引き分けに終わり、第二高校の初勝利は来年にお預けとなってしまいました。しかし、野球部の諸君は一生懸命プレーをしてくれました。また吹奏楽部をはじめ多くの生徒が球場まで駆けつけ、大きな声援を送ってくれました。ありがとうございました。
試合の合間に校章のことが話題になりました。本校の校章はりんどうの花がデザイン化されており、第一高校の校章は梅の花がデザイン化されています。他の高校の校章を調べてみると、私の前任校の鹿本高校の校章は、鹿の角とイチョウの葉が盛り込まれ、先日創立120周年を迎えた熊本商業高校は、桜と錨がデザイン化されています。全ての高校の校章を見たわけではありませんが、花や葉といった植物に由来するものが盛り込まれているものが多いのではないでしょうか。
姉妹校であるアメリカモンタナ州のビッグスカイ高校のシンボル(校章と言うのかは?)は白頭鷲となっています。9月に友好訪問した際に、他校とのサッカーの試合があるということで、ビッグスカイ高校の副校長先生に会場に連れて行ってもらいともに応援しました。対戦相手は同じミズーラ市にあるセンティネル高校でしたが、ビッグスカイ高校は惜しくも敗れてしまいました。ちなみにセンティネル高校のシンボルはスパルタの兵士で、副校長先生にアメリカの高校の状況を尋ねると「元気が出るようなシンボルが多い」とのことでした。
海外旅行の話題をもう少し続けます。先月号でも少し触れましたが、私は海外に行く機会が少なく、長時間飛行機に乗ったり日付変更線を越えたりするような旅行は今回が初めてでした。旅行初日(9月18日(金))は、成田空港からシアトル空港に向かいました。飛行機は夕方5時半頃に成田空港を出発し、約9時間機内の人となります。
シアトル空港までの間、日付変更線を西から東に超えることになりますから、シアトル時間では9月18日(金)の午前11時頃の到着となります。出発前に単純に行程表で時間のみを見て、時差のことを簡単に考えていたのがいけませんでした。初日(18日)は27時間以上の行程となりかなり疲れました。疲れた原因は、
○その2…機内食が夕食、朝食と2回出され、シアトル到着後またすぐに昼食となり、常に満腹状態で過ごしたこと。
○その3…体が「jet lag(時差ぼけ)」の状態になったこと。
「jet lag」はかなりの時差がある地域間を、飛行機などで短時間に移動したときに起こる心身の不調状態のことを言います。「jet lag」の主な症状として、睡眠障害、胃腸障害、昼夜逆転等があるようですが、今回の旅行では3日目位にようやく体が現地の時間に慣れたようでした。
機内ではできるだけ睡眠を取り、食事も1日のうち何回出てどれくらいの間隔で食事するのかを把握しておくことが大切であることを痛感しました。しかし、生徒たちは疲れた様子は見受けられず、中には機内で一睡もしなかった生徒もいましたし、食事もすべて食べた生徒もいて、若い人たちは元気だなあと改めて思いました。
平成27年10月
暦をふと見ていたら、もう10月も半ばになっています。学校HPの校長室だよりを見ると、9月号には9月1日の始業式の式辞を載せていました。ずいぶん間隔があいてしまいました。
言い訳にもなりませんが、9月下旬のシルバーウィークに、本校が毎年行っているアメリカ合衆国モンタナ州ビッグスカイ高校親善訪問団の団長として、9日間学校を留守にしていましたので、あっという間に9月が終わってしまったという感じです。海外へ行く機会が少なく、この出国は私としては約30年ぶりのこととなりました。海外に出て、五感で感じ取るということがいかに大事であるかということを改めて感じた旅行でした。モンタナでの経験は、今後この校長室だよりでもお知らせできるようまとめておきたいと思います。本校はモンタナ州ミズーラ市にあるビッグスカイ高校と姉妹校を締結しています。本校からは毎年訪問団を派遣しています。ビッグスカイ高校のHPは本校のHPにリンクを張っていますので、どうぞご覧ください。
9月13日(日)と14日(月)の2日間、本校の文化祭を開催しました。1日目は学校で展示やバザーを行い、2日目は県立劇場コンサートホールでステージ発表を行いました。9月号でも述べていますが、本校の体育館の吊り天井が耐震基準をクリアできず、現在改修工事を行っています。そのため体育館が使用できないので、ステージ発表は県立劇場で行うことになりました。立派なホールで発表ができましたので、各団体とも素晴らしい内容だったと思います。
吹奏楽部の発表の中で、演奏してくれた内の一曲に『宇宙戦艦ヤマト』のテーマ曲がありました。『宇宙戦艦ヤマト』といえば、私が中学生の頃の1974年にテレビで放映されたアニメで最近リメイクもされました。この作品のストーリーは、地球外の異星人から地球が侵略を受け、放射能汚染が進行し、宇宙戦艦ヤマトが銀河系のとなりにある大マゼラン雲のイスカンダル星に、放射能除去装置であるコスモクリーナーDを受け取りにいくという壮大な物語となっています。
放射能は現実として取り去るのは無理であり、この物語は非現実的なものと考えていました。しかし、現在では常温核融合の遺産を応用して、放射線を出す原子核を別の元素の原子核に変換する研究が進んでいます。核融合の代表的なものとしては、太陽の中心部で起こっている反応があげられます。核融合反応では膨大な熱エネルギーが発生し、その熱で太陽が光り輝いています。ですから、エネルギーを得る方法として熱核融合の研究が行われていました。この反応は超高温の状態が必要となりますので、常温の状態で反応を行わせることは非常に困難です。そこで常温で核融合ができないかという研究も行われました。その研究の流れとして、現在は、放射能を持つ原子核を常温で放射能を持たない別の原子核に変換する技術の開発が進められています。原子核を別の原子核に変えるということは、たとえば炭素という元素を酸素という元素に変える、あるいは放射性セシウム原子核を放射線を発しない別の原子核に変換するという技術になります。昔でいえば錬金術です。この技術が実用化すれば、現在も進行中ですが原子力発電所の廃炉処理にも応用でき、廃炉処理や使用済み核燃料の処理にもきわめて有効な技術となることでしょう。実用化されることを期待しているところです。
暑い夏が過ぎ、気候も過ごしやすい季節になりました。秋の夜長、皆さんはどのように過ごされていますか。読書の秋、私は時間を見つけて本を読みたいと思います。
平成27年9月
本日から2学期が始まります。
7月の終わりから8月にかけては特に暑い日が続きました。連日の猛暑で、全国では熱中症による病院への搬送者数が、8月23日までの時点で5万人を超えたということです。これから少しずつ秋に向かって涼しくなっていきますが、熱中症にはこれからも注意しておく必要であるようです。
倉原さん、碇君、園田君に直接話を聞く機会がありました。3人とも、積極的にチャレンジしたと語ってくれました。積極的に何事にも挑戦していくことはとても大切で、その積み重ねが結果となって現れてきます。
本校の3綱領の一つ、「自主積極」の心を持って何事にも挑んでいく。皆さんの積極的な姿勢を今後も期待したいと思います。
平成27年8月
平成27年7月
平成27年6月
平成27年5月
4月の下旬に入ると運動会の練習が始まりました。今年は曜日、連休の関係で運動会の直前は十分な練習時間が取れないような日程設定でしたが、天候は味方したのか雨天による体育館での練習は少なかったようです。運動会前日の準の日はあいにくの天候で準備が十分にできず、当日の朝準備することになりましたが、朝早くから部活動等の生徒の皆さんのおかげで間に合いました。準備に参加してくれた生徒諸君にお礼を申し上げます。