笑う 平成28年3月

 3学期は、他の学期に比べ授業日数が少ないのですが、学校にとっては重要な行事が続きます。まず、3年生が上級学校進学に向けてセンター試験に挑みます。1月16日と17日に熊本県立大学で受験しました。その後私立大学を受験する生徒は、1月下旬から各私立大学の入学試験に臨みました。国公立大学は、大学個別の試験を実施します。前期が2月25日、3月になると中期及び後期試験が実施されます。3年生の皆さんはそれぞれ志望の大学を受験しています。受験生の皆さん、最後まであきらめずに頑張ってください。
 3年生の受験と同じ時期に今度は高校の入学者選抜検査が行われます。2月2日、本校では前期(特色)選抜を、理数科と美術科で行いました。3月に入り、8日と9日に後期(一般)選抜を行いました。多くの生徒の方に受検していただきありがとうございました。難関を突破され、4月になると新たな二高生となって新学期が始まります。
 前後しましたが、3月1日に卒業式を行いました。保護者の方や来賓の方もたくさんおいでいただき3年生の卒業を祝福していただきました。大変ありがとうございました。卒業式が終わった後の卒業生の笑顔を見る度に、私は教員になって本当に良かったと思います。卒業した二高生は、これから社会で更に大きく成長してくれることでしょう。
以下に、卒業式の式辞の一部を掲載します。

式辞
 ……中略……
 ただ今、卒業証書を授与した卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、本校の綱領である「自主積極・廉恥自尊・礼節協調」をよりどころとして、「学力の向上」はもとより、人としての「人格の陶冶」に向けて、日常の勉学や部活動、並びに生徒会活動を中心に、自己研鑽の日々を積み重ね、本日、晴れて卒業の日を迎えたのであります。
 ……中略……
 皆さんが本校に入学したとき、これから高校生活をどのように送ってほしいか、学校からお願いをしていました。まず、一つ目は「第二高等学校の生徒であるという、自信と誇りを持って欲しい」ということ、二つ目に「感謝の心と謙虚さを常に忘れないで欲しい」ということでした。私は卒業生の皆さんについては、三年次のこの一年間しか見ていませんが、この一年間充実した学校生活を送ってくれました。皆さんは、積極的に挨拶を励行してくれましたし、環境美化活動やボランティア活動にも一所懸命に取り組んでくれました。率先して何事にも取り組む姿勢は、二高生の伝統であり、「二高生としての自信と誇りを自分も受け継いでいくのだ」という強い意志があったからこそ、為し得たものではないかと考えます。この自信と誇りを自分のものにすることで、感謝の心と謙虚さも同時に身についたことが、皆さんの姿勢からはっきりとわかります。私も年度当初の四月に、皆さんに「二高生としての品格をさらに高めよう」とお願いしましたが、私が期待した以上に皆さんは「人間力」を高めることができたと確信しています。本校で培った人間力が、十年後、二十年後の時代になっても、皆さんの心の中でも生き続け、皆さんそれぞれの人生を支えていくものとなることを願っています。
 ……中略……
 皆さんがこれから活躍していく社会は、新しい知識・情報・技術が、政治・経済・文化をはじめ、社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す「知識基盤社会」の時代と言われています。知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間なく、驚くほどの速さで進行する社会でもあります。ニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン教授は、「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちが、大学を卒業するとき、その65パーセントは、現在は存在していない職業に就くだろう」と予測しています。65パーセントという数値はアメリカ合衆国国内を対象にした予測ですから、そのまま日本においても当てはまるものではないかもしれません。しかし、自分たちの周りを見渡すと十年前にはなかった職業も実際に存在します。このように変化が激しい社会では、これまでの知識だけでは解答を導けないような諸問題に果敢に取り組み、新たな世界を切り拓いていく力が必要となってきます。
 皆さんは、第二高校の学校生活の中で、課題研究やテーマ研究に取り組み、研究を進めていく中で、問題解決や創造性、独創性といった思考の方法、またコミュニケーションや協働といった仕事の方法を身につけてきました。皆さんが身につけた力はこれからの生活で諸問題を解決していく上で必ず役立つものと思います。
 これまでの前例が参考にならない、答えのない問題に向き合う場面が、皆さんのこれからの人生に幾度となく訪れると思います。難しい問題に直面してそれを乗り越えるのに時間がかかる場合があるかもしれません。その時は一度立ち止まって、自分が置かれている立場や状況を見つめなおしてみることも必要になってくるでしょう。
 作家である赤瀬川隼さんは「道草を食うことを恐れるな。道草とは、決められた一本の道を急ぐのではなく、好奇心を道連れに、時間をかけてらせん状にすすむことだ。」と述べています。ここで言う「道草」とは、ただ単に時間を浪費するということではありません。すぐにあきらめず、課題を乗り越えるための解決法を多方面にわたって時間をかけて探る。そうすることで、今まで気づいていなかった新たな自己の能力を発見し、その力を使って解決する道が開けてくると信じます。「道草を食うことを恐れるな。時間はかかっても必ず課題は乗り越えることができる。」
 ……中略……
 卒業生の皆さん、皆さんの前途が洋々たるものであることを信じ、将来のご多幸をお祈りして、式辞とします。