天文台

特別教室棟の屋上にあるのは「貯水タンク」?いえいえ、「天体観測ドーム」です。


 昭和三十二年十月四日のソ連人工衛星打ち上げに始まる米ソの宇宙開発競争は、その後犬、サル、人間の打ち上げ、月、金星へと進み、四十四年七月にはついにアポロ11号の月面着陸で、人類は初めて月面に立つまでになった。
 一方、日本のロケット開発も進むなど、世界の多くの人々の目は宇宙に向けられていたのである。
 このような中で、昭和四十三年の本校の移転新築を期に、PTAから天文台が寄付されることになり、移転間もない八月二十日に工事が着手され、八月三十日竣工し、施工者の内田洋行からPTAに渡された。その後九月三日の県への寄附申出書によって手続きが済み、十月二十二日県に寄附された。
 その性能・内容をみると、面積二一・〇七四㎡、直径五mのリモコン装置付五藤式天文台ドーム、その中に屈折式口径一五cm、焦点距離二二五cmの天体望遠鏡がある。極限等級は一二、七等星までにみることができ、集光力は肉眼の四六〇倍ある。水晶発振式運転時計で正確に星の日周運動を追跡できる。赤緯時角も目盛板により詳しく測定でき、星用プリズムでスペクトル観察や写真撮影も可能である。倍率は五六倍から五六〇倍で、一度に三〇名ぐらい収容できる。総工費四六七万三千円である。
 この天文台は、地学部を中心に、月一~二回の夜間観測、毎日の太陽黒点観測や、ペルセウス座流星観測などに活用されており、その成果は研究発表会や文化祭の展示などで発表され、高く評価されている。 これからも二高生全員がこの天文台を利用し、広大な夜空を眺め、その神秘性に心を打たれ、未知への飽くなき探究心を燃え立たせてくれたらその意義は大きいと言える。
『第二高等学校 二十年史』より