校長ブログ

平成30年3月

 2月の校長室だよりは、休みをとってしまいました。申し訳ありません。
 3月1日はほとんどの県立高校で卒業式が行われました。本校も2年ぶりに体育館で卒業式を行い、第54期生を送り出すことができました。
 体育館が約1年と10か月ほど使用できませんでしたが、2月16日に全校集会を行い、体育館の復旧工事が済んだことを生徒に報告し、その後使用を開始しました。その日の放課後、体育館の部活動の様子を見に行きましたが、生徒たちが体育館で練習をしている姿を見てホッとしました。
 卒業式の話題に戻りますが、卒業式前日の2月28日は、体育館の設営作業後表彰式を行い、3年生に賞状を渡しました。午後は、卒業式の予行や同窓会入会式と予定通りに行事を進めることができました。式場の壁面(左右及び後方)には同窓会から寄贈していただいた幔幕を張り巡らし、式典会場の雰囲気がこれまで以上のものとなりました。同窓会関係者の皆様にお礼をお申し上げます。
 3月1日卒業式当日は、滞りなく終了することができました。毎年、卒業生代表の答辞は、素晴らしいものになります。今年の答辞も心のこもった私たちに感動を与えるものでした。ただ、マイクの調子が思わしくなく雑音が混じり、聞き取りにくいところがあったということを式が終わってから聞きました。私は答辞の時はステージ上に上がっていますので、そこからは生徒の声は聞こえますが雑音が聞こえません。答辞を読んでいる途中で係の職員がマイクを交換しましたので、音が小さくなって交換したものと思っていました。使用していたマイクがワイヤレスだったので、別の電波を拾ってノイズが発生したのだろうということです。このようなケースはこれまであまりありませんでした。今後は、ノイズを拾わないように、コードによるマイクを使用したいと思います。
 ・・・
 2月の校長室だよりに向けて資料は収集していましたので、その資料を見ていたら、1月31日の夜の皆既月食のものがありました。日本では3年ぶりの皆既月食となりました。午後8時48分から欠けはじめ、午後9時51分から皆既食が約1時間ほど続きました。それに合わせて全国各地で観測イベントが行われたそうです。手元にある新聞記事を見ると、東京六本木ヒルズの屋上でも観測会が行われています。また、新聞記事には東京スカイツリーと皆既月食中の月が並んだ写真が掲載されています。
 この日の月食を、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、「スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン」と呼び、いくつかの条件が重なった月食でした。まず「スーパー」とは、月(満月がわかりやすい)がいつもより大きく見えることを指します。月は地球の周りを楕円軌道で周回していますので、月と地球の距離が近いときは、月が大きく見えます。最大の時の満月は、最小の時の満月に比べて、直径で約14パーセント、面積で約30パーセントも大きいとされています。実際、1月31日前後の月は大きく見えました。
 次に「ブルー」、これはひと月に満月が2回巡ってくる来ることを指しています。今年の1月は2日と31日が満月でした。もう一つ「ブラッド」、ブラッドムーンとは、皆既月食の時の赤銅色の月のことを指しています。このようにいくつかの条件が重なった月食はまれにあるようです。今回、いつもより大きな月が、赤銅色に染まる神秘的な現象がみられました。
 ・・・
 このHPに施設の復旧状況をお知らせするコーナーを設けていますが、現在管理棟は、基礎部分のコークリート工事が進んでいます。少しずつできてきていますので、毎日工事現場を眺めるのが楽しみになってきました。生徒たちも教室棟から工事の進捗を眺めていることでしょう。

平成30年1月

 1月25日朝、関東地方では冷え込みが厳しく、東京では氷点下4℃を観測しました。これは1970年以来の記録だったということです。熊本でも厳しい寒さでした。2月の中旬くらいまでは厳しい寒さが断続的に続きますので、風邪やインフルエンザに注意しておかないといけません。手洗いやうがいの励行、部屋の換気と加湿など対策を講じながら仕事をしたいと思います。
 ・・・
 1月23日から26日まで1年生が修学旅行に行っています。23日は東京で大雪でしたので、飛行機は何とか飛んで羽田に到着しましたが、雪で高速道路が通行止めになったりしていましたので、予定していたお台場散策を中止してホテルに直行しました。迂回したルートをとりましたので、夕方遅くに嬬恋村のホテルにつく予定と聞いていました。修学旅行で雪で到着が遅くなるのはたまにありますのであまり心配はしていませんでしたが、昼前にホテルから約20km程離れた草津白根山が噴火したというニュースを見て、修学旅行団とすぐに連絡を取り情報収集を行いました。目的地の近くの山が噴火するとは誰もが想定していなかったと思いますので、保護者の皆様も心配になられたのではないかと思います。心配をおかけしながらも26日には学校に帰着の予定です。
 ・・・
 話題を変えます。先日の新聞に、新たな氷河が日本で確認されたという記事がありました。私は日本の氷河については認識不足であったため、現在の日本には氷河はないと思っていました。今回確認されたものの前にすでに3か所が確認されていたようです。ですから今回の確認で4か所目となりました。GPSの発達によりこれから調査が進みさらに日本の氷河が確認されるかもしれません。氷河といえば、ヨーロッパなどの大規模な氷河をイメージしますが、地形や気温といった条件がそろえば意外なところで氷河がみられるようです。
 ・・・
 1月13日と14日に全国でセンター試験が実施され、本校からも約400人の生徒が試験に臨みました。大学入学試験の一つの関門になります。これから私立大学や国公立大学の試験が控え、生徒たちはそれぞれの目標の達成に向けて挑戦します。これまで学習してきた成果を発揮して、目標を達成してほしいと思います。がんばれ二高生!

平成29年12月(その2)

 平成29年もあと数日となってしまいました。このHPをご覧の皆様、今年も第二高校を応援していただきありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。
 この頃、1年の長さを特に短く感じるようになってきました。平成29年度もあと3か月で終了します。このように感じるのは私だけではないのかもしれません。
 この理由については諸説あげられているようです。この話題でよく取り上げられるのが「ジャネーの法則」です。これは、時間の心理的な長さは年齢の逆数に比例するというものです。また、代謝説というのもあるようです。
 時間がもう少しほしいと思うのですが、これはどうにもなりません。それはあきらめて仕事に優先順位をつけて取り組んでいこうと思います。
 さて、来年はどのような年になるのでしょう。第二高校は新たな管理棟と図書館が完成しますので、良い年になると期待しています。
 どうぞ皆様もよいお年をお迎えください。

平成29年12月

 12月になって寒い日が続くようになってきました。プレハブの建物は、断熱効果が今一つです。管理棟と1年生の教室がプレハブですが、校長室は1階の端にあり壁を挟んで外に接しています。さらに日当たりも悪く、晴れの日であってもそのままでは部屋がなかなか暖かくなりません。寒い日はエアコンに手伝ってもらうことになります。以前の校長室は南側の日の当たる場所に面していましたので、日が当たると部屋がかなり暖かくなっていました。新しい管理棟に引っ越せるのが来年の12月頃の予定と聞いていますので、しばらくがまんの日が続きます。
 気象庁が、ペルー沖の赤道付近で「ラニーニャ現象」が発生していると発表しています。「ラニーニャ現象」が発生すると、日本は冬型の気圧配置が強まり、厳しい冬になる傾向があるとされています。西日本でも平年より気温が低くなり、日本海側では雪が多くなると気象庁は予測しています。熊本も数年に1回程度くらいの頻度で積雪が見られますので、あまり寒くならないことを願っています。
  12月上旬に高文連の全国大会が京都でありましたので、出席してきました。京都駅のお店が並んでいるところを歩いていると、どこからともなくいい香りがしてきました。数十メートル先にお香や匂い袋を売っている店がありました。また、観光施設でもお香を焚いているところもあります。私はお香のいい香りをかぐと気持ちが落ち着きます。
 お香の中で私が好きな香りが「沈香」ですが沈香にも高価なものがあり、高価な沈香の香りを経験したことがないので、普通に買い求めているお香で満足しています。お香の原料は、沈水香木(略して沈香)、白檀といった天然香木や桂皮といった木の皮、果実、動物性のものもあります。
 香道は天然香木の香りを鑑賞する芸道です。香道では、香りを「かぐ」とはいわず「聞く」と表現していますから、数行前に書いた「かぐ」は香道からすれば邪道な表現となってしまいました。
 香道は室町時代に誕生し盛んになったと言われています。香木の香りの分類する方法として「六国五味」があり、それは香木を産出地名などから六つに分類し、さらにその香りを酸(すっぱい)・苦(にがい)・甘(あまい)・辛(からい)・鹹(しおからい)の五つの味で表現するそうです。
 香りを科学的に定量化(数値化)するのはかなり難しいのではないかと個人的には考えます。香りの分析機械も市販されていますが、香り全般ではなく目的別につくられているのかもしれません。香水をつくるときのブレンドや洋酒のブレンドには、専門家としてブレンダーという人がいますが、ブレンダーは大変優れた嗅覚で臭いをかぎ分けています。
 課題研究のテーマは様々な分野から探してきます。臭いや嗅覚に関するテーマはかなりハードルが高そうですが、チャレンジしてみる価値はあると思います。

平成29年11月

 11月24日にこのコーナーにアップしていますが「よかボス宣言」について説明します。「よかボス」とは、厚生労働省やファザーリングジャパンが推進している「イクボス」の熊本県版です。「イクボス」は「男女ともに働きやすい職場環境を整備する」を推進するために群馬県がつくった造語です。イクボスは次のように定義されています。「 職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のこと。」
 「よかボス」は小山薫堂氏が命名されました。宣言書を持って写真に写らないといけないということでしたので、どうしようかと考えました。本校は理数科がありますので現校舎を建築した際に、理科棟の屋上に天体ドームが設置されていました。天体ドームがある県立高校はあまりないと思います。そこをバックにして写真を撮りました。ちなみにドームの中には、屈折式の大きな天体望遠鏡が設置されており、地学部の部活動などで使用しています。
 現在、国を挙げて「働き方改革」が議論となっています。公務員や民間企業ともに時間外勤務時間が多いので、それをどのように縮小するのかを学校現場でも取り組んでいます。学校では、学校が掲げる教育目標を達成するということを念頭に、教職員の働き方をどのように改革していくのか、学校それぞれが工夫をしながら取り組んでいます。
 すぐにでも職員の時間外の勤務時間を縮小したいのですがそうもいきません。少しずつできるところから取り組んでいくことにしています。
 11月の後半になってやっと冬らしくなってきたように感じます。冬場になるとインフルエンザが流行しますので、うがいや手洗いなど予防に心がけています。昨年の地震の影響で、現2年生は昨年に実施すべき修学旅行が行えていませんでした。旅行を12月に実施します。1年生は予定どおりの時期に修学旅行を予定しています。また、3年生は、年明けにはセンター試験が控えています。大きな行事が控えていますので生徒諸君には体調管理に十分留意してほしいと思います。

よかボス宣言

 働きやすく働きがいのある職場環境の実現を目指すため、教育長を筆頭に各学校長が「よかボス宣言」を行うことになりました。以下にその宣言を掲載します。



平成29年10月

 10月の下旬になって大きな台風が立て続けに日本にやってきました。以前はこのようなことはあまりなかったように思います。台風が日本にやってくる時期は、二百十日前後とも言われていますが、今は期間を広げて注意しておく必要があるようです。
 9月の校長室便りの続きの話題になります。先日、新聞にも取り上げられましたが、1年の美術科を対象として、絵の具をつくる実験を化学と美術の教員が協力して行いました。実験では、プルシアンブルー、クロムイエロー、ジンクホワイトの3色を作りました。プルシアンブルーは、9月で紹介したとおり「若冲」も使った青色の顔料です。ジンクホワイトの主成分は酸化亜鉛で、別名亜鉛華とも呼ばれています。ちなみにこの亜鉛華は医薬品として皮膚に塗る軟膏にも用いられています。
 さて、実験で合成した顔料で絵が描けたのでしょうか。このHPの「びとろぐ」のコーナーに写真が掲載してありますのでご覧ください。若冲の青い魚の絵に似せて色を塗った班もあったようです。この実験は美術と化学のコラボのような題材で、これを研究に発展させることも可能ではないかと思います。たとえば実験で合成したプルシアンブルーをどのようにしたらもっと「若冲の青」に近づけることができるのか・・・等、様々な観点からアプローチしてみるとおもしろいものに行き着くかもしれません。
 ところで、10月になるとどこからともなく、モクセイの花のいい香りがしてきます。本校の敷地内にもモクセイの木が何本も植えられています。主に植えられているのは、キンモクセイです。所々にギンモクセイも見られます。管理棟の解体に伴って管理棟と教室棟の間に植えられていた大きなキンモクセイが伐採されてしまいました。半円状のきれいな樹冠をしていて気に入っていたのですが、新たな管理棟を建てるために伐採ということになってしまいました。街路樹や庭木として植えられているのは、主にキンモクセイです。このキンモクセイは、ギンモクセイからできた変種とされ、江戸時代に中国から入ってきたようです。区別は、花の色でわかります。キンモクセイは黄色い花で、ギンモクセイは白い花が咲きます。においもギンモクセイの匂いはキンモクセイより穏やかになります。個人的にはギンモクセイの香りが好きです。雌雄異株であり、日本で植えられているキンモクセイのほとんどが雄株で実がなりません。
 私の実家の庭の片隅にギンモクセイの大木がありました。残念ながら数年前に枯れてしまいました。モクセイの花が咲くのが10月過ぎの秋ですから、この花の匂いが漂う頃が稲の実りの時期と重なり、稲刈り、脱穀、籾すりを思い出します。また、ギンモクセイには春に濃い青色の実がつきますので、このモクセイの実を見ると春から麦刈りの頃を連想します。日本は四季の変化が顕著ですから、季節によって生物の状況などが大きく変化します。生物の季節現象を調べる学問のことを季節学といっています。学校の敷地内にも様々な木が植えられていますので、時期によっていろんな変化を見せてくれます。本校は、敷地が広くまた騒音も少なく静かな環境でもありますから、学習するには本当によいところだと思います。施設の復旧工事が進んでいますので、大きなトラックが入ってきて不要なものを運び出したり、工事の音もして以前の学習環境とはいえませんが、もう少し辛抱すると新たな第二高校が完成します。それを心待ちにしています。

平成29年9月

 9月17日に台風18号が鹿児島県に上陸し、その後、四国、本州、北海道を通過し、サハリンに上陸して温帯低気圧となりました。観測史上初めて、日本の本土4島(九州、四国、本州、北海道)に上陸した台風となりました。毎年いくつもの台風が日本にやってきますが、今回のようなコースははじめてということで少し驚きました。台風18号がまだ東シナ海上にある時にその予想されるコースが、熊本県に上陸するような予報でしたので、心配しました。藤崎宮秋季例大祭などの行事も延期になったり中止となってしまいましたが、皆さんのご家庭では台風の影響はいかがだったでしょうか。
 さて、このHPで学校の復旧状況をその都度お知らせしています。数日前に管理棟と図書館の解体状況の写真を掲載しましたが、建物は二つともなくなり今はコンクリートや石垣のがれきを選り分けて処理しています。もう少しすると盛り土の一部が取り除かれる予定です。近くから盛り土の土の様子を観察しました。石ころなどが少なく一見表土のように見えます。以前東町に移る頃に本校に勤務された先生が、「現在地は北の方が高く南の方が低かったので、北側の土を削りその土で南側の一部を一部高くした」と話しておられました。盛り土の部分を見ると石ころがあまり含まれていませんので、表土を盛ったと考えられます。それが原因なのかわかりませんが地面が弱かったのでしょう。その上の建物がやられてしまいました。削った土はどこかに行くわけですが、専門家ではありませんが表土として使えそうな感じがします。田んぼとかの客土に使えるかもしれないと思っていたところ、削った土は震災復旧事業として秋津の農地の復旧に使われるようです。有効活用ができるということでありがたく思っています。
 ・・・
 新聞記事を読んでいたら、「豚のレバーから若冲の青を再現」という記事がありました。伊藤若冲は動植物を緻密な表現で描いた江戸時代の絵師です。その時代に西洋から「プルシアンブルー」という新しい顔料が日本に入ってきました。若冲はこの顔料をいち早く取り入れたことでも知られています。専門家のなかには、若冲は「色に執着した画家」と呼ぶ人もいるようです。このプルシアンブルーは1704年にベルリンで偶然に発見された顔料だそうで、その後この顔料が草木の灰(アルカリ)と牛の血液から製造できると発表されています。今回の新聞記事には、スーパーで買った豚のレバーを原料としてこの顔料をつくったと書いてありました。その顔料の化学成分について触れておきます。牛の血液や豚のレバーには鉄分が含まれます。その鉄分の化学変化によってこの顔料となり色素が合成されます。プルシアンブルーは和名では紺青とも呼ばれ濃青色をしています。ベルリンブルー、ターンブルブルーなどの名前で呼ばれることもあります。成分はヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)(別名:フェロシアン化鉄(Ⅲ)、ファエロシアン化第二鉄)であり、鉄(Ⅱ)イオン、鉄(Ⅲ)イオン、シアン物イオンが組み合わさった錯体です。化学の授業では、鉄の化合物の性質を調べる実験で出てきます。久しぶりに化学の教科書を開いてみました。教科書には次のように書いてあります。「鉄(Ⅲ)イオンを含む溶液に、ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸カリウム水溶液を加えると濃青色の沈殿が生じる。この沈殿がベルリン青である。」この新聞記事のことを美術科の職員に伝えると、さっそく美術作品とプルシアンブルーの関係について資料を持ってきてくれました。美術科では、SSH事業の一環で科学的に色を研究しようとしていますので、何か教材に使おうと考えているようです。生徒たちの反応が楽しみです。
 既にご存じの方も多いかと思いますが、現在熊本県立美術館で、伊藤若冲の作品が展示されています。新聞記事の若冲の話題は、展示会があることを知る前に目に止まり偶然でした。先日用事があって美術館に行き、若冲の作品を見てきました。やはり実物を見ると違います。写真では感じられないような迫力を感じました。生徒たちにも展示会があっていることを紹介したいと思っています。

平成29年8月

 残暑お見舞い申し上げます。今年も熊本県では猛烈な暑さが続いています。二十四節気の「処暑」は8月23日でした。処暑は、暑さが峠を越えて後退し始める頃とされているようですが、なかなか涼しくなりません。9月の藤崎宮の祭の頃になると涼しさを実感できるようになるのではないかと思っています。
 1学期の終業式の日に、同窓会からバス(りんどう号)を寄贈していただきました。夏休み中に部活動は合宿や遠征の日程を組みますので、その移動手段として多くの部活動がりんどう号を使用し、有効に活用させていただいています。同窓会の皆さんありがとうございます。美術科生徒のデザインで外側をラッピングしていますので、ある顧問は、「りんどう号は目立っています」と言ってくれています。りんどう号がいろんな場所で見かけることによって話題になり、第二高校の知名度がこれまで以上に上がることを期待しているところです。
 さて、熊本地震で被害を受けた施設の復旧状況について少し触れておきます。正門側の管理棟は建て替えになっていますので、取り壊す作業が続いています。壊す途中の写真はこのHPにも掲載していますが、現在、管理棟のほとんどが取り壊された状態になっています。機械でコンクリートを崩していきますが、鉄筋コンクリートが相当硬いのかはわかりませんが、プレハブの管理棟がその影響で揺れました(地震が来たのかと一瞬思いましたが)。どの部分を壊しているのだろうかと興味があったので見に行ったところ、管理棟の玄関から東部分の床のあたりを機械が壊していました。そのときには管理棟は一番東側の壁1枚が残っているだけとなっていましたので、壊していくのはあまり時間がかからないものだということを実感しました。コンクリートや鉄筋を仕分けして置いてありますが、そのうち片付いて平地になるものと思います。本校の敷地は独特な作りになっていて、管理棟、教室棟、理科棟の地面の高さは同じではありません。管理棟は、東側が盛り土をしてあって一部2階及び3階建ての構造となっていました。この盛り土が今回の地震で影響し、盛り土の上に建っていた管理棟と図書館が建て替えとなってしまいました。新しい管理棟と図書館は、盛り土の一部を削って地面を正門の水準に合わせて、そこに建てる方向で検討されているようですが、まだはっきりとした案は示されていません。新しい管理棟や図書館は、きっと外側も内側もきれいで機能的な作りになるものと思っています。
 現在、構内の至る所で工事が行われています。渡り廊下が8本全部撤去されました。また、体育館の屋根の改修工事も進んでいます。音が出る工事については、できるだけ授業に支障を来さないように日程を組んでもらっていますが、工事期間の終わり頃になるとどうしても工期に間に合わせるために、授業をしている最中にも音が生ずる場合があります。学校としてもそれは極力避けてもらうようにお願いはしていますが、できるだけ早く復旧するという計画で進んでいますので、生徒の皆さんや保護者の皆様にはどうかご理解いただきたいと思います。
  9月1日から2学期が始まります。2学期は授業日数が最も長く、生活するにも過ごしやすい季節になります。生徒諸君が気力、体力ともに充実した学校生活を送ってくれることでしょう。

平成29年7月

 暑中お見舞い申し上げます。梅雨が明けると同時に連日猛暑が続いています。日中、外に出て仕事をすると汗が噴き出してきます。全国各地で熱中症による病院搬送者が増えているようですので、熱中症には十分留意されてください。本校の部活動生にも、こまめな水分補給や休憩といった対策をお願いしています。
 本校は7月20日に1学期の終業式を行いました。体育館が工事中であることと、外で式を行うにはあまりにも暑すぎるということで、映像配信による式としました。終業式が終わってLHR後に、本校同窓会のりんどう会から本校PTAにバスを寄贈していただくことになりましたので、引き渡し式が行われました。バスには「りんどう号」という名前がつけられました。バスの写真はこのHPにも掲載しています。生徒がデザインした絵が車体に描かれています。フィルムにドットで描いて窓にも張り付けてありますが、バスの内側からは外の景色が見えます。バスを寄贈していただいた同窓会の皆様に、改めてお礼を申し上げます。早速、利用申請が部活動から出てきました。有効に活用したいと思います。
 さて、終業式前日の19日に、SSH特別講義として熊本大学教育学部から講師の先生を招いて、1年の美術科と理数科の合同講義を行いました。「肥後藩第6代藩主細川重賢はARTandSCIENCEを体現する名君だった~江戸時代の藩政改革・肥後大地震復興と文化~」という演題でお話を伺いました。この特別講義の目的は、以下のとおりとしました。「美術と科学が江戸時代からリンクし、地震後の復興や藩政改革に少なからず影響を与えていることを、画像の分析を中心に行う。熊本大学をはじめ、地震後の文化財保護が今後の熊本県の文化行政の重要な課題となる。美術科・理数科が同じ講義を聞くことで、それぞれの立場から地震からの復興や熊本の文化財保護の意識を持たせ、さらに美術と科学の関連を実感させる。」
 本校のSSHは理数科のみならず普通科・美術科の全校で取り組んでいますが、この特別講義はその中の一つの事業です。ものの見方や考え方を、「文系的な」や「理系的な」といった限定的な視点からではなく両方の視点で考察を加えることは、大変重要なことであると考えます。大学の学部や学科の中には、文理融合の専門教育を研究テーマとしている大学もあります。
 本校でも全学科で探究活動に取り組んでいます。理数科のSS(スーパーサイエンス)、美術科のAS(アートサイエンス)、普通科のGR(グローバルリサーチ)の中のそれぞれで取り組む課題研究で探究を行う場合、文系理系といった学問領域を超えた学際的な視点での考え方も必要となります。
 今後美術科では、美術を大きなテーマとしながら、顔料の研究や美術品の保存科学といった分野にも学習を広げてまいります。
 HPをご覧の皆さん、猛暑はまだ続きますがどうぞご自愛ください。

平成29年6月

 梅雨の時期です。熊本県は6月の上旬に梅雨に入ったと気象台が発表していましたが、熊本では6月の上旬から中旬は、雨があまり降りませんでした。日本では梅雨は南から北に向かって徐々に移動していきます。6月の中旬に、高文連の仕事で沖縄に出張しましたが、ちょうど沖縄本島付近に梅雨前線が停滞していたのか滞在した3日間すべて雨でした。沖縄県では豪雨で川の氾濫などがあったようです。6月下旬になって熊本地方も梅雨らしい天候になってきました。以前に比べ傾向として梅雨末期に集中豪雨が発生し、川の氾濫や土砂崩れが発生する頻度が高いように感じます。雨は農業等では必要ですからまったく降らないのも困りますが、逆に豪雨で災害が発生するのも困ります。
 梅雨の時期は、気温が高く湿度も高いのでカビが発生しやすい時期でもあります。カビは食品に限らず衣類など様々なものに発生します。私はカメラを持っていますがカメラのレンズの表面にもカビが発生します。ガラスなのにカビが成長するのに必要な栄養分がどこにあるのだろうかと不思議に思います。レンズにカビが生えるといけませんからカメラを使用しないときには、乾燥材を入れた密閉容器に保管をしています。本校職員の中にもカメラや写真を趣味としている人がいますが、各自が工夫してカメラのカビ対策をしているようです。
 さて、カビはこのように人間にとって悪い影響を与えることもありますが、逆にカビを生活に利用している例が多くあります。たとえば、鰹節を作る場合には、保存性を増すためにカツオの身から水分を取り除く必要がありますので、燻煙とカビをつける作業を繰り返すそうです。そうすることで水分が抜けると同時に鰹節独特のうまみ成分が多くなります。また、酒をつくる場合、アルコールを発生させるには酵母菌という微生物を使ってアルコール発酵を行います(発酵のしくみは高校では生物で学びます)が、酵母菌は、米に含まれるデンプンを直接アルコールにはできません。デンプンは、ブドウ糖という糖が多数結合したものです(糖類の分子構造は高校では化学や生物で学びます)から、デンプンの中のブドウ糖同士の結合を切って単独のブドウ糖に変える必要があります。その役割をするのがコウジカビです。コウジカビの作用によって糖化されたものが、酵母菌のエサとなり発酵に使われることができるようになるのです。日本酒をつくるには、まず米を蒸してそこに麹を混ぜ合わせ、コウジカビが繁殖し糖化が進んだ頃に酵母菌を投入しアルコール発酵をさせて日本酒を製造します。
 ところで、米を麹で糖化させ、酵母による発酵を行わせる前の状態のものが甘酒となります。本校理数科のSSH課題研究のテーマの一つとして生物班が、「抗酸化機能を持つ甘酒の研究」にも取り組んでいます。甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれ、疲労回復にも役立つとも言われている飲み物ですが、甘酒の抗酸化機能に注目し、麹の種類を変えたり、糖化させる温度を変えたりする実験をして抗酸化機能の増減について研究を進めています。
 また、科学的な研究として家庭科の授業では鰹節や昆布からとった天然だしを材料として味覚官能評価の実験を大学と共同で行ったりもしています。
 課題研究の材料は様々な分野から探して持ってきますが、科学に関する探究を進めるためには、日頃から身の回りで起こる事象に対して、いかに疑問を持つのかという課題発見能力が重要となります。課題研究で研究しているテーマについては、このHPのSSHコーナーをご覧ください。

平成29年5月

 日中はかなり気温が上昇して、半袖が気持ちよい季節になってきました。6月になると梅雨の時期となり、湿度が上がりじめじめしてきます。校長室は、現在プレハブ校舎の1階にありますが、心配があります。横なぐりの雨が降ったりすると雨漏りがして、外に面している壁に近い側の床が水浸しになります。校長室はプレハブ校舎の端に位置していますので、どうも壁の外側を伝わった雨が壁の隙間を通って内側にしみ出してきているようです。机などの道具が水に濡れないように対策を一応していますから、今のところ大丈夫ですが、雨水の拭き取り作業が大変です。新しい管理棟ができてそこに戻るまで、雨の日は心配事が続きそうです。
 雨に悩ませられるといえば、運動会の実施も今年は悩みました。練習期間中は雨の日が例年より少なく、練習などはある程度予定どおりにできました。5月13日の土曜日に運動会を実施する予定でしたが、その前日、金曜日の午後から激しい雨になるとの予報でそれが現実となり、金曜日の午後から雨となり、翌日午前中まで怪しいということになり順延を決定しました。強行していれば、グラウンドコンディションが良くない状況であり、開始時間を遅らせ、プログラムも縮小ということになったかもしれません。しかし、天候が良い状況で全てのプログラムを予定どおり行いたいと考え、順延としました。2年ぶりの運動会です。開会式の時から生徒たちのこの運動会に取り組む意気込みを感じました。特に、午前の最後のマスゲームでは、生徒諸君は笑顔で演技していましたので、好天のもと開催できたことを良かったと思います。
 さて、本年度から5年間、第4期目のSSH事業が始まりました。4期目の事業の概要はこのHPに掲載しています。全学科で取り組んでいくことが、今回の大きなポイントとなります。美術科でも学校設定科目「アートサイエンス(AS)」、「美術探究」で科学的探究能力の育成に取り組みます。今年から新たにというわけではありません。3期目の途中から理数科だけでなく全学科に授業を設定し取り組んできました。たとえば、SSHコーナーで、今年3月6日に掲載したものをご覧ください。
「なぜSSHのページで「松島図屏風」の鑑賞かといいますと、美術作品を鑑賞する過程で、観察力、画像を分析する能力、知識と観察を結び付ける能力、などなど科学的探究能力と言われる力を必要とするからです。
 さらに、理数科、普通科、美術科生徒達それぞれの作品の認識に特徴を見ることができ、今後の指導の参考になりそうです。
 今回の事業は熊本大学からの御紹介で、京都文化協会とキヤノンの「綴 文化財未来継承プロジェクト」の成果である俵屋宗達「松島図屏風」の高精度複製を利用した授業となりました。実社会での「サイエンス」と「アート」のコラボの成果です。」(その部分の記事を引用) 
 熊本大学との連携で「松島図屏風」と「風神雷神図」の高精度の複製を、セミナーハウスの持ち込んで授業を行いました。どちらの作品も俵屋宗達によるものです。実物を見たことはありません。複製品ですが迫力を感じました。風神雷神図は私は好きな絵の一つですが、実物と変わらない大きさで見るとやはりいつもと違います。カーテンを閉め、ろうそくに似せた明かりも置いてありました。授業では、夜、ろうそく(行灯など)の明かりで見た時にそれらの絵がどのような雰囲気を持つのかについても触れていました。風神雷神図の風神及び雷神ともに神様ですが鬼の姿で表現されています。夜、ろうそくの光でこの絵を見た時にどのように感じるでしょうか。鬼の姿ですから、本当におどろおどろしい姿が浮かび上がったのかもしれません。
 絵画を科学的な視点で分析してみることも大切なことだと思います。美術科の授業での今後の進展に興味を持っています。
 6月になると高校総体、高校総文祭が開催されます。生徒諸君のこれまでの練習の成果を発揮して、それぞれが設定している目標達成に向けて精一杯努力してくれることを期待します。

平成29年4月

 今日(14日)、本校は遠足です。生徒と職員はグリーンランドに行っています。私は、高等学校文化連盟の仕事があって、留守番を兼ねて学校で仕事をしています。天気が良くなり遠足日和となりました。本校の遠足は少し遠いところにバスで出かけます。本校OBの職員に聞いたら以前から遠出しているとのことです。
 4月10日に入学式、新任式、始業式を行いました。入学式は、県立劇場の演劇ホールをお借りし午前中に行いました。式後は普通であればHRに入ってLHRを行いますが、場所がありませんので、クラスごとに出入り口近くのホールとか、観客席の一部などに分散して、そこで担任、生徒、保護者の方々との顔合わせ程度の集会となりました。
 午後は、自転車置き場のスペースで、新任式と始業式を行いました。雨が降り風も吹くという悪天候の中で始業式などを済ませました。
 スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の事業は本年度から第4期目が始まります。昨年は、経過措置と地震の影響もあって規模を縮小して実施しましたが、今年からは防災という新たな視点を考えながら事業を進めます。5年間の中で様々な計画を考えていますので、気持ちはわくわくしながら思いを巡らせています。
 本校SSH事業の中核となる取り組みが、課題研究及びテーマ研究です。自然科学、社会科学、人文科学など様々な分野から研究テーマを設定し取り組んでいます。たとえば、理数科の宇宙工学班が「宇宙空間における植物の栽培方法の提案」というテーマで研究し、成果を東京で行われた衛星設計コンテストで発表しました。研究テーマは宇宙空間に関する分野にまで及びます。生徒の中には宇宙工学を研究したいということで、その研究分野に進学した生徒もいました。現在、火星への有人飛行計画も進んでいますから、将来その分野で活躍する二高生OBも出てくることでしょう。楽しみです。
 宇宙に関することに触れましたのでもう少し続けます。私は、高校生の頃は地学部に所属していましたので、星を見るのが好きです。少し前の新聞記事に、太陽系から最も近い恒星に探査機を送る計画があるという記事がありました。太陽系に最も近い恒星は、ケンタウルス座アルファ星で、太陽系から約4.3光年の距離にあります。近いといっても光の速さでも4.3年かかるのですから途方もない距離です。現在、木星や土星など太陽系の惑星に探査機を送っていますが、そのスピードでは何百年かかっても隣の恒星にはたどり着けませんので工夫が必要となります。シリコンバレーの大富豪の資金援助で「 ブレークスルー・スターショット」という計画が提案されました。計画者の中には理論物理学者であるスティーブン・ホーキング氏もいます。探査機の本体は、様々な機能を乗せた指先くらいの大きさのコンピュータチップに、一辺が1m位の帆を取り付けたものとなります。動力は、地上からこの帆に向かってレーザーを当てその反動を利用するものです。帆を利用して推力を得る方法は、 JAXAが建造した宇宙ヨット「イカロス」がモデルとなっていますので、日本の宇宙技術には世界最先端のものもあります。この探査機は理論的には光速の約20パーセントの速さを出すことができるようです。光速の2割の速さですからケンタウルス座α星に到達できるのが地球出発してから約20年後となり、そこで写真の撮影その他観測し、電波で地球に送り返します。電波は光速ですから約4年後に地球に届きます。まだ夢のような話ですが、2040年代半ばに実現させる計画です。今は夢のような話でも、科学技術が進展すことで実現できるようなことが、これからいくつも出てくることでしょう。本校のSSHは全学科で取り組むことになりますが、研究者となる人材を育成することも一つの目的とするプログラムです。本校のOBがそのうち新聞の1面を飾るような業績を上げてくれることを期待しています。

平成29年度転入・新任者一覧


 
職名
氏名
教科
前任校
1
教諭
 中山 諒一
数学
新採
2
教諭
 免田 隆大
生物
新採
3
教諭
 小山 學
保健体育
熊本高校
4
事務職員
 江藤 里佳
 
高道小学校
5
講師
 江原 澪
英語
熊本北高校
6
非常勤講師
 園田 彩香
数学
 
7
非常勤講師
 木村 佳奈
生物
北稜・南関高校
8
非常勤講師
 田中 基義
地学
東稜高校
9
非常勤講師
 吉井 將人
音楽
東稜高校
10
進連協事務局
伊野上 由美子
 
 

平成29年3月

○3月29日に、平成28年度末の定期異動で本校からの転退任される先生方の転退任式を行いました。昨年度は20人を超える先生方が転出されましたが、今年は8人で、かなり小規模の異動となりました。体育館がまだ使えません。二高生へ最後の話をする機会ですから、放送ではなく直接生徒に話をしてもらいたいと考え、南門近くにある自転車置き場に椅子を持ち込んでそこで式を行いました。自転車置き場は、2階建ての構造でしたが、2階部分が地震で損傷しましたので早い段階で2階部分を取り除き平地にして自転車を置いて使用していました。椅子を並べると最大で1000人位は入るスペースです。そのままでは式典会場としての雰囲気が出ませんので、2月末に同窓会から寄贈していただいた校章入りのりんどう色の幔幕を4方に張り巡らせました。2月28日の同窓会入会式や3月1日の卒業式でも使用しましたが、1年生、2年生全員が見ることができるお披露目のいい機会にもなりました。すばらしいものをいただき改めて同窓会の皆様にお礼を申し上げます。
  今年度は地震の発生、その後の対応などで様々な教育活動に支障が出ましたが、生徒、教職員が一丸となって取り組みました。また、保護者の皆様、同窓会の皆様からも御支援をいただきました。今回転出される先生方にとっては、大変なご苦労をいただいた最後の1年であったと思います。新たな任地でもますますお元気で活躍されることを願っています。ありがとうございました。
  例年であれば、3学期の終業式や転退任式の頃には、桜が開花していますが今年はどうしたことか今日(30日)になっても熊本市の開花宣言はなされていません。今年は九州ではなく東京に最初に桜前線が上陸しています。夕方帰宅途中に校庭の桜を眺めたら花を開いている樹がありましたので、第二高校では開花宣言をしてもよいのではないかと思います。

○本校は平成15年度から、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、本年度で14年目となりました。平成27年度で第3期目の指定が終了し、平成28年度に第4期目(5年間)の継続指定を受けるため文部科学省に申請を行いましたが、5年間の指定は不合格となり平成28年度1年間の指定となりました。昨年度の申請書の内容を今年度1年間かけて見直し、新たな計画を盛り込んで第4期目の申請をしていましたが、先日、文部科学省から合格の通知をいただきました。平成29年度から5年間第4期目の取り組みを進めて参ります。昨年度はご心配をおかけしましたが、第4期目は、探究活動の深化、授業改善、評価方法の研究などに工夫を加え取り組みます。第4期目の取り組みの概要については、このHPの「SSH」のコーナーに掲載しますのでどうぞご覧ください。

○本校の施設設備の復旧状況は、HPの「復旧への道」のコーナーで随時お知らせしていきますが、施設の復旧はあまり進んではいない状況です。先日ようやく、教室棟、理科棟の改修の施工業者が決まりましたので、4月になり次第工事が始まる予定です。正門が通行止めになっています。これは、管理棟を取り壊すため、そこに入っている電気設備、水道設備、放送設備、火災警報設備といったものをプレハブの管理棟へ移設し、水道管、電気配線の付け替え工事を行っていることによるものです。正門としての機能は、現在南門がその役割を果たしています。来校される時は、南門、西門、東門から入ってください。

○平成29年度が、始まります。新1年生を迎え、在校生は学年がそれぞれ上がります。生徒諸君それぞれが新たな目標を掲げて学校生活を始めます。私たち職員一同生徒の目標達成に向けて精一杯がんばりますので、二高生への応援をよろしくお願いします。

笑う 平成29年3月

     3月1日に卒業式を行いました。体育館が被災して使用できない状況ですので、3月1日に実施できるのか心配しましたが、熊本県立劇場コンサートホールをお借りして無事3年生を送り出すことができました。卒業式の会場の手配や準備などに関係していただいた方々のおかげです。皆さんにお礼を申し上げます。
  当日、卒業生諸君の表情は皆さん晴れやかでした。この1年間を乗り切ったという安堵感もあったのではないでしょうか。卒業式は終わりましたが、上級学校進学への挑戦が今も続いています。希望する進路が達成できるよう最後まで努力してほしいと思います。
  以下に、卒業式の式辞の一部を掲載します。 

 式辞
  ・・・
 ただ今、卒業証書を授与した卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、「自主積極・廉恥自尊・礼節協調」の三綱領をよりどころとして、「学力の向上」はもとより、人としての「人格の陶冶」に向けて、日常の勉学や部活動、並びに生徒会活動を中心に、自己研鑽の日々を積み重ね、三年間の教育課程を無事修了されました。
  ・・・
 平成二十八年度は私たちのほとんどが、想定もしていなかったような天災に見舞われました。自然の力がとても大きなものであることを身をもって経験しました。地震の震源に近いところでは被害が非常に大きく建物などの復旧にも時間がかかっています。本校も施設に大きな被害を受け、体育館での卒業式はかないませんでしたが、このように熊本県立劇場をお借りして、本日、卒業式をできますことは関係された方々のご尽力によるものであります。心から感謝申し上げます。
  地震後、混乱している中で皆さんは自宅または避難所などから、避難所やがれきを撤去している所へ駆けつけ、自ら進んで積極的に手伝いをしてくれました。また、家庭での後片付けにも積極的に関わってくれたと聞いています。どのようにしたら自分の力を最大限発揮できるのか、その場の状況を自ら判断して行動するのは難しい場合がありますが、皆さんはそれぞれが判断し行動に移してくれました。本校綱領の「自主積極」の姿勢が現れた行動でありました。
  さて、本校は文部科学省からスーパー・サイエンス・ハイスクールの指定を受け、皆さんが主体的に考え行動する力を身につけることができるような教育に取り組んできました。その一つが、理数科では課題研究スーパーサイエンスであり、美術科、普通科ではテーマ研究です。研究の成果は、合同の報告会という形にし、皆さん全員が聞くことができるようにしました。研究の内容が理科系、文化系限らず様々な視点から物事を考えてみることはとても重要なことだと考えます。
  明治から大正にかけて活躍した物理学者に寺田寅彦がいます。寺田寅彦は、一八九六年(明治二九年)に第五高等学校に入学します。そこで英語教師の夏目漱石、物理学教師の田丸卓郎と出会い、両者から大きな影響を受けその後、科学と文学の両方を志すこととなります。寺田寅彦は文筆活動においても有名であり、「知と疑い」という随筆の中で、次のように書いています。
 「疑うがゆえに知り、知るがゆえに疑う。疑いは知の基である。・・よく疑う者はよく知る人である。・・寺院の懸灯の動揺するを見て驚き怪しんだ子供が、イタリアピサに一人あったので、振り子の法則が世に出た。りんごの落ちるのを怪しむ人があったので、万有引力の法則は宇宙の万物を一つの糸につないだというのは、人のよく言う話である。・・学校の教科書を鵜呑みにし、先人の研究をその孫引きによって知り、さらに疑うことなくしてこれを知り博学多才となるものは、かくのごとき仕事はしとげられないのである。」寅彦は、疑うからこそ、そこに新たな学びがあり、疑うというのは学びの上で重要なものなのだと言っています。本校で経験した課題研究やテーマ研究での課題の発見や仮説の設定をするという考え方は、これから皆さんが社会に出て、答えのないような問題に直面したとき、解決していくうえで役に立つものになると思います。また、寺田は自然科学者でありながら、文学などの自然科学以外のことにも造詣が深く、随筆などを通して科学と文学といった学問領域の融合にも試みています。文系と理系の知識を統合させ、新たな知見を得る学際的な視点での考え方も、これからの社会で生活していくうえでは必要なことであると考えます。約百年前に生きた寺田寅彦は、今の社会を予見していたのかもしれません。
  卒業生の皆さん、これから皆さんが加わっていく社会は、変化が激しく、常に新しい未知の課題に、試行錯誤しながら対応していくことが求められます。そのような社会ですから、当然人生の道のりには、幾度となく壁にぶつかることになると思われます。しかし、その壁を乗り越えるため、全力で取り組んでください。そのためには、一歩を踏み出すことから始まります。
  日本経済団体連合会の副会長を務めた鈴木敏文さんは、「未来に向かって敷かれたレールはない。道は自分でつくるものである。」と述べています。さらに鈴木さんは「レールとは、ふと振り返った時に、自分が歩んできた結果として敷かれているものである。未来に向かって踏み出そうとすれば、どんな方向にも新しく踏み出すことこともできれば自分を変えることもできる。」と述べています(「わがセブン秘録」より)。皆さんが、これまで得た経験を基礎として、一歩先の未来像を描き、それを実現させるために豊かな発想力を活かして、未来に向かって一歩を踏み出してください。皆さんのこれからの活躍を期待しています。
  ・・・
 それでは卒業生の皆さん、皆さんの前途が洋々たるものであることを信じ、将来のご多幸をお祈りして、式辞とします。

    


にっこり 平成29年1月

 本校HPをご覧の皆様、平成29年もどうぞよろしくお願いします。今年の正月は冷え込みも厳しくなく過ごしやすい三が日でした。本校も1月10日に平成28年度の締めくくりである3学期を開始しました。今年は暦の関係上、始業式の4日後にセンター試験となりました。センター試験の当日は毎年寒さが厳しくなりますので、今年は寒さが厳しくならないことを願っていましたが、例年と変わらないような寒さだったように思います。本校3年生も3会場に分かれて受験し、自己採点の結果をもとにこれから国公立大学の個別試験や私立大学の試験に臨みます。生徒諸君それぞれの希望が達成できることを期待しています。
 本校でもインフルエンザに罹患する生徒が目立ち始めてきました。インフルエンザは予防接種をしていてもかかりますので注意が必要です。手洗い、うがい、マスクなどの予防対策を生徒諸君に呼びかけ感染防止に努めています。また、インフルエンザの罹患者がある程度以上の人数が出てきた場合、感染の拡大を防ぐため学級閉鎖や学年閉鎖の措置を行います。1月20日現在、2つの学級を閉鎖しています。感染拡大の防止のための措置ですのでどうぞご理解ください。
 インフルエンザの感染防止対策としては、予防接種を受けるのが効果的です。3年生はこれから受験を控えていますので、予防接種を受けている人が多いと思います。インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3型があり、さらにそれぞれの型には何種類かの亜型が存在します。ワクチンを製造す場合は、シーズンを迎える前にその年に流行する型を予測し製造しています。インフルエンザワクチンはワクチンとウイルスの型が異なると効果が落ちてしまいますので、毎年、流行する型を予測し、さらにA型から2種類、B型から2種類を混合してワクチンとしています。
 暦の上では、今が一番寒い時期(小寒・大寒)となります。これからも寒さが続きます。職員にも体調管理に努めるよう注意喚起を行いたいと思います。皆様もどうぞご自愛ください。

笑う 平成28年12月

 久しぶりに校長室だよりを更新しました。日頃からご覧になっておられる皆さんに申し訳ないと思いながら、更新が延び延びになってしまいました。
 12月22日金曜日に第2学期の終業式を行いました。現在体育館が使用できませんので、テレビ会議システムを利用して行いました。本校では2学期に各ホームルームに電子黒板が配備され、電子黒板機能を活用した授業に取り組んでいます。テレビ会議システムも可能な仕様になっていましたのでそれを活用しました。まず、画像や音声が問題なく流れるか事前に試験放送をしましたが、教室によっては画像が途中で途切れたり、音声が出なかったりと不具合があり配信用のサーバーを増やすなどの工夫することで不具合を解決することができました。終業式に先立ち、生徒の部活動等の表彰式もテレビ会議システムを使用して行いました。各種大会での優勝や入賞の成績は生徒ががんばった証となるものですから、表彰を行い全生徒に知らせることで、生徒にとってこれからの練習等の励みになるものと思っています。テレビ会議システム等のICT機器の利用は有効な手段ですので、これからも様々な場面で活用する予定です。
 8月25日に2学期を始めたことにより、2学期の授業日数は81日となりました。1学期の終了を遅らせ、2学期を早めることで、4月下旬からの休校でできなかった授業時間、学校再開後1学期間続けた5分短縮授業で短くなった分の授業時間を補うことができました。
 公共の施設は復旧工事を行うために工事を請け負う業者を入札によって決定していますが、入札に参加する企業が少なく、工事を行う業者がなかなか決まらないようです。本校の施設も復旧計画が示されており、管理棟、教室棟、体育館といった区分ごとに工事計画が立ててありますが、県内の状況がこのような状況ですから計画に遅れが出てくるかもしれません。できるだけ計画に沿った復旧が行われるように取り組んで参ります。
 さて、12月上旬に、OECD(経済協力開発機構)が「生徒の学習到達度調査」(PISA2015)の結果を公表しました。この調査は、義務教育終了段階の15歳の子どもを対象とし、日常生活などで直面する課題に即して知識や技能の活用能力を図ることを目的とした調査です。調査は3年ごとに実施され、今回は72の国と地域から計約54万人が調査対象となりました。調査は、「科学的リテラシー」、「数学的リテラシー」、「読解力」の3分野で実施されました。結果は新聞にも掲載されましたので皆さんもご存知かとは思いますが、日本は「科学的リテラシー」、「数学的リテラシー」の2分野で前回の2012年調査よりも順位を上げ、全参加国・地域中それぞれ2位と5位となりました。一方、「読解力」は8位となり前回の4位から順位を落とした結果となりました。順位は落としても国際的には上位を維持していますから、日本の力は常に高い位置にあるといってよいと思います。PISAの結果は、学力水準をつかむ一つの資料ですから私たちも参考にします。現在の高校生やこれから高校生になる年代の子どもたちが抱えている課題と思われますので、分析を行い今後の学習指導に活かしていきたいと思います。
 大学入試も改革が進んでいます。現在のセンター試験に代わる新たな入試も今後導入される予定ですので、今の3年生の進学指導に重点を置きながらも先々の入試制度改革にも対応していかないといけません。教育の「不易と流行」のどちらの面にも大切にして教育活動を進めていきます。
 平成28年は、4月に起こった地震の影響が大きかった1年でした。影響は数年間は残ることになるのでしょうが、来年はきっと良い年になると思っています。どうぞ良い年をお迎えください。 

にっこり 平成28年11月

 今年の夏は暑い日が長く続きました。10月になっても暑い日がありましたので、半袖などの夏の服装から秋冬への服装への衣替えの期間がいつもより長く続いたように感じます。
  気象庁が10月25日に11月から1月にかけての3か月間の天候の見通しを発表しました。それによると西日本では、大陸からの寒気の影響を受けやすく、向こう3か月の気温は平年並みか低いと予測しています。これまでと違ってこれから冬に向かうにつれ寒くなってきそうです。
  10月初旬にノーベル賞が発表されました。日本からは東京工業大学の大隅良典栄誉教授が生理学・医学賞を受賞されました。受賞は、細胞内部の自食作用であるオートファジーのメカニズムの解明によるものです。私は生物学が専門ではありませんので詳しいメカニズムは専門の資料を見て勉強したいと思っていますが、日本の基礎科学分野における力は大変大きなものであると感じました。
  オートファジーという現象は、生物にとって大変重要な作用です。ヒトの体の中では毎日数百gのタンパク質が合成されています。しかし、食事から摂取するたんぱく質は数十g位であり、食事からのたんぱく質だけでは賄えません。不足する分は、自分の体を構成する細胞の中にあるタンパク質を一度アミノ酸に分解し、それを再利用して必要なタンパク質を合成し補っています。大隅教授は、この機能を酵母の研究から発見しました。その後さらに研究が続き様々な面への応用が進められています。たとえば、オートファジーの機能を止めることによってがん細胞を死滅させる治療に応用できないかという研究が進められています。
  大隅教授のノーベル賞受賞は時間の問題だとも言われていました。それは大隅教授がノーベル賞予測で有名なトムソン・ロイター引用栄誉賞を2013年に受賞されていたからです。この栄誉賞は学術論文の引用データ分析から、ノーベル賞クラスと目される研究者を選出し、その卓越した研究業績をたたえる目的で設定され学術賞です。過去には、山中伸弥さんや中村修二さんも受賞されています。
  本年のトムソン・ロイター引用栄誉賞に日本から3人が受賞し、そのうち化学分野で熊本大学名誉教授で崇城大学DDS研究所の前田 浩特任教授と国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野の松村保広分野長の2人が受賞されました。どちらも熊本県にゆかりのある人ですので今年ノーベル賞受賞になるのではと期待しました。数年後には受賞されることを期待しています。
  熊本地震で本校の施設に大きな影響が出ていますが、職員室、進路指導室、事務室、校長室などが入っている第1棟(管理棟)については、11月の初旬に仮設の校舎に引っ越すことになりました。今、校長室も引っ越しに向けて書類等の整理を行っています。新たな校長室が現在の校長室より狭くなるので、すべて新しい校長室に移動することができません。校長室へ移動する物、一時保管しておく倉庫に移動する物、廃棄処分にする物に分別作業を行っています。本校に来てから一度も開けたことがないような戸棚もありそこからはかなり古い資料も出てきます。それらを仕分けして段ボール箱に詰め込んでいますが、古い資料から新たな発見もあります。
  仮設の管理棟は、ハンドボールコートにすでに建っている仮設教室棟の横に建設されました。引っ越しすると当分の間そこで過ごすこととなります。新しい校舎ができることを心待ちにしながら学校教育に取り組みたいと思います。