2015年9月の記事一覧

笑う 平成27年9月

第2学期始業式式辞
 本日から2学期が始まります。
7月の終わりから8月にかけては特に暑い日が続きました。連日の猛暑で、全国では熱中症による病院への搬送者数が、8月23日までの時点で5万人を超えたということです。これから少しずつ秋に向かって涼しくなっていきますが、熱中症にはこれからも注意しておく必要であるようです。
 8月25日(火)の早朝には、台風が熊本地方に上陸し、農作物や建物などに大きな被害が出ました。本校でも木が倒れたりするなどの被害が出ました。風が強い台風だったのであちらこちらに木の葉や枝が散乱していましたが、翌日、部活動などの生徒の皆さんに片づけを手伝ってもらい、短時間で後片づけをすることができました。手伝ってくれた皆さんにお礼を申し上げます。
 本日の始業式はこのように放送による式となりました。これは以前、皆さんにも連絡していたとおり、体育館の吊り天井と照明設備の交換のための工事によるものです。これは、万が一強い大きな地震が来てもそれに耐えうるための改修工事ですので、皆さんにもしばらくの間不便をかけますが、11月末まで御協力をお願いします。
このような形で始業式を行った経験は私もありません。学校が新しくできて、生徒が入学しても体育館ができていないというケースでは、グラウンドで入学式を挙行したり、教室棟の廊下に並び、放送で始業式をしたりという学校も以前ありました。
 さて、夏休み中には課外を受けながら、部活動の大会やその他学校外で開催される行事に皆さんは積極的に参加してくれました。時間の関係上ここで全てを紹介することはできませんので、見事優勝の栄冠を勝ち取った生徒諸君を紹介します。
まず、沖縄で開催された九州陸上選手権大会の5000m競歩に出場した3年生の倉原菜摘(くらはらなつみ)さんが、26分42秒51のタイムで見事優勝しました。猛暑の中のレースで、競技途中は他の選手とのレースの駆け引きが大変だったそうです。よく頑張ってくれました。
 また、美術関係では、県内で最も長い歴史をもつ絵画公募展「第78回銀光展」に、3年の吉田有花(よしだゆか)さんが出品した作品が、最高賞である銀光会賞に選ばれました。吉田さんが制作した作品は「目を閉じる少女」というタイトルの油絵で見事な作品です。熊日新聞紙上でも大きく紹介されました。
 さらに、今日の朝刊で見た人も多いかもしれませんが、中国の香港で開催された第30回中国青少年科学技術イノベーションコンテストに出場した、3年の碇 和也(いかりかずや)君、園田晃史(そのだこうし)君が、国際代表部門で最高の賞である金賞を受賞しました。この部門には12カ国から17のグループが出場し、金賞は本校の他にマレーシアとルクセンブルグのグループが受賞したそうです。日本からは、本校と福島県立福島高校が出場し、福島高校は銀賞でした。昨年のこの大会では、宇土高校が銀賞を受賞しています。
 倉原さん、碇君、園田君に直接話を聞く機会がありました。3人とも、積極的にチャレンジしたと語ってくれました。積極的に何事にも挑戦していくことはとても大切で、その積み重ねが結果となって現れてきます。
本校の3綱領の一つ、「自主積極」の心を持って何事にも挑んでいく。皆さんの積極的な姿勢を今後も期待したいと思います。
 話を次に移します。先日私は、PTAの会議で岩手県盛岡市に行く機会がありました。その途上研修視察として宮城県石巻市を訪れ、東日本大震災で被災した地域を視察し、ガイドの方から説明を受けました。東日本大震災が起こったのが2011年(平成23年)3月11日ですから、4年半が経過しています。
海沿いの沿岸部をバスの中から見ましたが、被災した当時の状況そのままで、未だに取り壊されず荒れたまま立っている民家や工場の建物がありました。復興は進んでいると思いますが、このように手つかずだったり、取り壊されても、その後、何も建物が建たず更地の状態になっているところもありました。また、津波が10m以上の高さで襲ってきたところもあり、建物の3階付近まで海水につかったと、ガイドの方が実際のところを指し示しながら、説明されました。自然の力は計り知れないものがありますし、避けることができません。私たちはどのようにして被害を最小限にしていくかという、減災の考え方が重要であることをこの視察から勉強することができました。
東日本大震災の被災地の方々は、前に向かって力強く着実に歩みを進めておられます。私たちも何らかの形で応援することができればと考えます。
 岩手県出身の作家で、詩人でもある宮沢賢治が創った「生徒諸君に寄せる」という詩の一部を紹介しておきます。

諸君よ 紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか
じつに諸君はその地平線に於る
あらゆる形の山嶽でなければならぬ

諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか

それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である
(『宮沢賢治全集』より一部抜粋)

 宮沢賢治は、旧制盛岡中学校(現在の盛岡第一高等学校)から盛岡高等農林学校(現在の岩手大学農学部)に進み、花巻農学校(現在の花巻農業高等学校)の教師となります。この「生徒諸君に寄せる」という詩は、出身校である旧制盛岡中学校の求めに応じて書いた詩であるといわれています。宮沢賢治の後輩たちへの力強い思いを感じることができます。
 最後になりましたが、2学期は授業日数が長く、勉学や部活動といった学校生活を送る上で大変過ごしやすい季節です。生徒諸君各自が持つ目標に近づき、目標達成に向けてしっかりと頑張ってください。この学期が皆さんにとって実り多き学期になることを祈念して式辞とします。