2016年11月の記事一覧
飛翔を習ふ、雛鵬たちへ
120周年記念行事を前に、ある先生がこの一文を紹介してくださいました。
「鵬(おおとり)」になろうとする「雛(ひな)」のみなさんに味わってほしいと思い、紹介します。
「つまり鵬(ほう)というのは荘子の空想の鳥だす。水に撃つこと三千里とありますから、両の翼の長さが三千里で、扶揺(ふよう)に 搏(はう)って上るもの九万里とありますから、一挙に九万里飛び上がるわけです。こんな大きな鳥は、この世には居てませんやろ。
そいじゃ、荘子はなんでこんな空想の鳥を持ち出したのか。それは人をあっと言わせるためか、それとも怖がらせるためか。わしは、そうやないと思うんです。
荘子は、わしらの住むこの世界を、ずーっと遠いところから、ずーっと外の方から眺めたかった、いや眺める必要があると思うたにちがいありません。人にしても、家にしても、国にしても、また世界にしても、内側からばかり見ていたのでは、どこがどう間違うているか、わかるものではありませんからー。
そこで、人間の住む世界を飛び出して、遠いところから、この世界がどうなっているか確かめたかったんです。それには翼の長さが三千里で、一ぺんに九万里も飛び上がれる大きな鵬が必要なわけです。(以下略)」
『橋のない川(五)』 住井すゑ 新潮文庫 p302 より引用しました。この本は、図書館にもあります。
「鵬(おおとり)」になろうとする「雛(ひな)」のみなさんに味わってほしいと思い、紹介します。
「つまり鵬(ほう)というのは荘子の空想の鳥だす。水に撃つこと三千里とありますから、両の翼の長さが三千里で、扶揺(ふよう)に 搏(はう)って上るもの九万里とありますから、一挙に九万里飛び上がるわけです。こんな大きな鳥は、この世には居てませんやろ。
そいじゃ、荘子はなんでこんな空想の鳥を持ち出したのか。それは人をあっと言わせるためか、それとも怖がらせるためか。わしは、そうやないと思うんです。
荘子は、わしらの住むこの世界を、ずーっと遠いところから、ずーっと外の方から眺めたかった、いや眺める必要があると思うたにちがいありません。人にしても、家にしても、国にしても、また世界にしても、内側からばかり見ていたのでは、どこがどう間違うているか、わかるものではありませんからー。
そこで、人間の住む世界を飛び出して、遠いところから、この世界がどうなっているか確かめたかったんです。それには翼の長さが三千里で、一ぺんに九万里も飛び上がれる大きな鵬が必要なわけです。(以下略)」
『橋のない川(五)』 住井すゑ 新潮文庫 p302 より引用しました。この本は、図書館にもあります。