御挨拶          

 

 令和6年4月より本校第37代校長として赴任いたしました、岩嵜 毅(いわさきたけし)と申します。微力ではありますが、本校の教育の充実のため尽力して参る所存です。今後とも本校の教育活動に対しまして、御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 

  さて本校は、明治29年に熊本県尋常中学済々黌天草分黌として創設され、明治42年に熊本県立天草中学校として独立、学制改革に伴い昭和23年熊本県立天草高等学校と改称、翌昭和24年天草女子校高等学校(旧本渡高等女学校)を統合し、今年で129年目を迎える歴史と伝統を有し、これまで各界に数多の人材を輩出している学校です。現在、全日制、定時制、倉岳校の3つの学びの場を有し、天草地域の進学の拠点校として、そして地域の若者の健やかな成長と人格形成の重要な場所としての役割を担っています。

 

                     

  全日制において、校訓である三綱領「正大」「剛健」「寛厚」は、大正8年に創立の志のもと、校歌とともに作られました。校歌は、教育者、作曲家として知られる犬童球渓先生が作曲を、当時の本校教職員であった舩勢直先生が作詞を担当されました。力強くも優雅な調子の中に、本校建学の精神を見事に読み込んだ本校の校歌は、生徒をはじめ教職員、そして卒業生が唱和するとき、改めてその精神が深く胸に刻まれるような力を持つ、素晴らしいものだと思います。

 

 また、教育スローガンとして今や定着している「求學志成」という言葉は、天高生一人ひとりが、学習のみならず様々な場面において、主体的で探究的に取り組むことで、それぞれの自己実現を果たそうとしていることをよく表しています。そして、スクールミッション及び3つのポリシー(アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、グラデュエーションポリシー)を指針としつつ、「雛鵬プロジェクト」と銘打った独自の教育活動を展開しています。生徒たちは、志高く、級友、先輩、後輩等とまさに「飛翔を習う雛鵬」のごとく切磋琢磨し、充実した日々を送っています。その結果は、大学進学、部活動等でも着実に現れています。

 

 さらに本校は、平成29年度から文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、「サイエンスの宝島『天草』から世界へ」を合言葉に、「探究的な問いの視点で地域を見つめ、科学的思考で持続可能な世界を創る科学技術人材育成」を目指して、様々な探究的な学習を展開しています。研究テーマを「天草」にこだわりながら、国内や海外の大学や企業・自治体との連携を図りつつ、未知の問題にも果敢に挑戦し学び続ける実践力を持った生徒が育っています。さらに、研究によって得られた成果を地域自治体や近隣の小中高等学校に還元できるよう普及活動にも力を入れているところです。

 

                     

  定時制においては、「君が輝く場所が天定(ここ)にある」の教育スローガンのもと、生徒一人ひとりに応じたきめ細やかな教育活動が行われています。勤労学生をはじめ、それぞれの置かれた状況で、一人ひとりの学びを大切にしながら教育活動が行われている点は、「天定」の最大の魅力の一つです。また、定時制ならではの学校行事も多く、就労後に登校してきた生徒も、生き生きとした表情で様々な行事に取り組み、学校生活を送っています。進学・就職をはじめ、定時制通信制体育大会・文化祭等においても顕著な実績を残しており、天草地域における大切な学びと成長の場として躍進しているところです。

 

                      

 倉岳校は、昭和27年に天草農業高等学校の別科として開設後、昭和39年に天草高等学校倉岳分校、昭和46年に熊本県立倉岳高等学校を経て、平成21年に天草高等学校倉岳校へ移行された歴史を有します。「正大」「剛健」「寛厚」の三綱領に加え、生徒たちは生徒綱領を諳んじつつ、日々の生活の道標としています。倉岳高校初代校長の光永静彦校長の作詞による校歌が引き継がれています。倉岳校は、天草上島・御所浦地域に存在する唯一の高校で、天草最高峰の秀峰倉岳を背後に、御所浦諸島の島影が映える穏やかな八代海が眼前に広がる、風光明媚な自然環境の中にあります。「倉校は一人一人が主役!だから君が輝く‼」の教育スローガンのもと、全国的にも珍しい海の体育大会「マリンフェスタ」をはじめとする学校行事など、生徒一人一人に活躍する場があり、生きる力と豊かな人間性の育成に向け、地域と連携、協力しながら日々の教育活動を行っています。

 

                        

 全日制、定時制、倉岳校と、それぞれの担うべき役割には異なる所はありますが、開校以来、本校は、地域の貴重な人材育成の場としての歴史を刻み続けて参りました。本校は現在、地域を支えるだけでなく、情報化、グローバル化がさらに進み変化の激しい社会にあっても、将来にわたり主体的に考え行動し、次世代社会の担い手となる、人生を自らの力で切り拓くことのできる人間の育成という重要な役割も担っています。そのためにも、教職員一丸となって、教育活動に取り組んで参りたいと存じます。

 令和6年(2024年)4月1日   

熊本県立天草高等学校長 岩嵜 毅