校長室からの風(メッセージ)
杵島岳からの眺望 ~ 2年生阿蘇研修旅行
杵島岳からの眺望 ~ 2年生阿蘇研修旅行
晴れ渡った秋空の下、阿蘇五岳の一つ、標高1321mの杵島岳(きじまだけ)に登り始めました。登山口の草千里ケ浜がすでに標高1100mを超えており、登山初心者向きの山と聞いておりましたが、登山道は急勾配で足に負担はかかります。けれども、生徒たちの笑顔は絶えません。
登るにつれて視界が開け、生徒たちから歓声が上がります。雄大な眺望に思わず足が止まります。煙を噴き上げる中岳の噴火口が手にとるように近くに見え、草千里ケ浜が足元に広がっています。そして、阿蘇外輪山の切れ目の立野付近の山々には、昨年の熊本地震で発生した大崩落現場を望むことができます。畏怖すべき自然の造形力が胸に迫ります。ガイドを務める阿蘇火山博物館の学芸員の方の説明に生徒たちも真摯に耳を傾け、立野の崩落現場を見つめています。テレビのニュース等で幾度も見たはずですが、実際に肉眼で見る体験は得難いものでしょう。
およそ45分で頂上に到着。熊本地震による斜面の崩壊跡や地盤のずれが生々しく残っています。かつての噴火口跡が頂上の北側に残っています。改めて、阿蘇山は生きて活動している山であることを認識すると共に、自然の脅威を痛感しました。
PTAと学校の共同企画の2年生阿蘇研修旅行を10月27日(金)に実施しました。テーマは「防災教育」です。熊本地震の傷跡が残る阿蘇を訪ねる研修旅行の最大の目的は杵島岳登山でした。阿蘇火山博物館から強く薦められたプログラムでしたが、実際に生徒たちと登ってみて、その価値がよくわかりました。まさに百聞は一見に如かず、です。大自然の前では人はいかに小さい存在であるかを自覚します。しかし、この大自然と共生していかなければならない定めであることも感じ取ります。深い学びの研修旅行となりました。
山々の斜面には薄の群生の一面銀色の世界が見られます。草原ではのんびりと草を食む阿蘇の赤牛、黒毛和牛などの牧歌的風景も見られます。活火山の中岳からは悠久の煙が上がっています。熊本地震による亀裂は未だ癒えませんが、一歩一歩、人の営みと自然の力の融合で阿蘇は復元に向かっていることを感じた旅となりました。
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄