校長室からの風(メッセージ)
「くま川鉄道」に乗ろう
今、「くま川鉄道」の沿線は春爛漫です。散り始めた桜と目に眩しい黄色の菜の花が車窓を彩ります。「くま川鉄道」は球磨川に沿って、ゆっくりした速度で落ち着いた感じで走ります。春のローカル列車は趣があると思います。
「くま川鉄道」は人吉・球磨地域にはなくてはならない公共交通です。JR肥薩線と人吉駅で接続しており、人吉温泉駅から人吉盆地の東端にあたる湯前駅(湯前町)まで約25㎞を結んでいます。平成元年から人吉球磨地域の市町村と民間会社の出資による第3セクター方式で運営されていますが、もともとは旧国鉄の湯前線で、大正13年に開通した歴史があります。乗客の8割は通学する高校生だと云われ、本校の生徒の内、およそ4分の1が列車通学です。この人吉・球磨地域にある五つの県立高校はいずれも「くま川鉄道」の駅から徒歩10分以内に位置しており、安定した鉄道運行が通学に大きな役割を果たしていることを私は赴任以来実感しています。
普段は自動車に頼っている生活ですが、人吉市での会合や県立学校での会議の際には私も努めて「くま川鉄道」に乗るようにします。乗車する度に発見があり、情趣を覚えます。例えば、「くま川鉄道」の線路はほぼ一直線となっています。球磨川に沿って人吉盆地を西から東へ伸びた路線であり、気持ちが良いほど真っ直ぐな線路が続いています。また、「田園シンフォニー」と呼ばれる観光列車の車両が通勤通学時間帯にも運行しており、木材を使用した温かみのある車内で寛ぐことができます。「観光列車で通学できるなんて、君たちは幸せだよ。」と列車通学生にはよく話をします。また、歴史ある路線で、古い駅舎、鉄橋等が幾つも残っています。特に、湯前駅は大正13年の開業以来、変わらぬ佇まいを見せています。
学校を支えてくれている大事なインフラ(社会基盤の施設)であると共に、「くま川鉄道」には物語があり、この人吉球磨地域には欠かせない豊かな風景の一部となっているのです。大人の皆さんも時には「くま川鉄道」に乗車し、心地よい揺れに身をまかせ、故郷の四季の情景に浸ってほしいと願います。
まっすぐに伸びる線路(多良木駅付近から湯前方面)
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄