校長室からの風(メッセージ)

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あきらめない夏 ~ 7月18日の高校野球逆転勝利

あきらめない夏 ~ 7月18日(月)高校野球2回戦の逆転勝利

 9回表、2点差を追う多良木高校の攻撃もすでにツーアウト、ランナーはいません。7回の攻撃で一度は逆転を果たしたものの8回裏に専大玉名高に再逆転を許し、試合の流れは明らかに劣勢となっていることをスタンドで応援する私たちも感じていました。バッターは7番の梅木君。バットを振り抜くと打球はショート正面へ緩いゴロが転がりました。万事休す、終わったと私は目を瞑りました。ところが、思わぬ歓声が回りから上がります。目を開けると、ファーストベースに頭から滑り込んでいる梅木君の姿と、横一文字に両腕を広げセーフと示している一塁塁審の姿が飛び込んできました。専大玉名の外野手は勝ったと思い内野に向かって駆け寄って来ていました。最後まであきらめない、という梅木君の執念のヘッドスライディングでした。

 ここから流れが再び変わりました。高村君、代打の赤池君がつないで1点差となり、1番の岡本君に打順が回ります。応援の人数で圧倒する多良木高校側のスタンドは総立ちで声を枯らして声援。岡本君のタイムリーヒットで同点となり、大歓声に包まれます。そして、2番の若杉君のセンターオーバーの逆転2塁打が飛び出し、スタンドは興奮の渦です。9回裏は、1年生の古堀君が落ち着いた投球で相手の攻撃を3者凡退で退けて、見事大逆転の勝利を得ました。13対11、壮絶な打撃戦を制したのです。
 勝利の校歌をグラウンドの選手とスタンドの応援団とで一緒に歌いながら、私は興奮冷めやらぬ気持ちでした。強豪校相手にも臆することなく果敢にプレーし、土壇場で底力を発揮しての同点、逆転劇に私は生徒の持っている力の大きさに驚嘆しました。9回ツーアウト、ランナー無しの追い詰められた状態からの逆転勝利はドラマ以上に劇的であり、このような試合を見せてくれた選手達に心から感謝したいと思います。

 7月18日(月)海の記念日、県営八代球場で多良木高校が逆転勝利をおさめた日に熊本県の梅雨明けが宣告されました。多良木高校野球部の「あきらめない夏」は続きます。