2018年7月の記事一覧
始球式
「ボールよ、届け」
第100回全国高等学校野球選手権熊本大会始球式
「ボールよ、届け」と念じて、税所さんは投げたそうです。そのボールは見事にストライクで捕手の井上さんのミットに収まりました。打者役の学園大学付属高校の隈部君が大きく空振りのスイングをしてくれました。スタンドの観衆から湧き起こる歓声と拍手に三人は包まれました。笑顔の税所さんは帽子を脱ぎながらマウンドを駆け下り、井上さんもホームベースから走り寄り、二人が抱き合って喜ぶ光景は輝いて見えました。
7月1日(日)、県営藤崎台球場で第100回全国高等学校野球選手権熊本大会の開会式が行われました。熊本県高等学校野球連盟の指名を受け、名誉ある選手宣誓を多良木高校の平野光主将が務めました。そして、開会式後の第100回記念の始球式の投手と捕手の大役も多良木高校生が担うことになったのです。これは、6月14日の抽選会の際、県高野連の竹下会長による抽選で決まったのです。今年度で閉校を迎える本校にとって、選手宣誓だけでなく始球式もさせて頂けるとは何という幸運でしょうか。「最後の夏」を迎える多良木高校野球部に対して、野球の神様が微笑んでくれたのかもしれません。
始球式は、6人いる本校野球部マネージャーからリーダーの税所愛莉さんとサブリーダーの井上もなみさんに決まりました。二人は、野球部の練習が始まる前、また終わってからグラウンドで特訓に取り組みました。投手と捕手の距離は18.4mと定められていますが、硬球をストライクで投げることがいかに難しいことか二人は痛感する日々でした。捕手役の井上さんは慣れないキャッチャーマスクとプロテクターを装着し、初めは自由に動くことさえできない様子でした。けれども、監督やコーチ、選手たちの指導を受け練習を重ねたのです。
多良木高校野球部の6人のマネージャーは、決して部活動の裏方ではありません。打撃練習ではグローブを着けて外野を守り、白球を追い掛けてきました。18人の選手と一緒に戦ってきた意志と体力を持っています。税所さんと井上さんはその本領を発揮したのです。
それにしても、大観衆が見守り、テレビ中継が行われている緊張感の中、よくぞストライクを投げることができたと驚きます。奇跡はやはり人が起こすものだと改めて高校生が教えてくれました。
選手宣誓 ~ 第100回全国高等学校選手権大会熊本大会
選手宣誓 ~ 第100回全国高等学校野球選手権大会記念熊本大会
「宣誓!」、出場61チーム(参加校63校)の校旗を持つキャプテン達に半円に囲まれ、多良木高校野球部主将の平野光君の選手宣誓が始まりました。
「フレンドシップ・フェアプレイ・ファイトの精神が受け継がれ、高校野球は歴史ある100年を迎えました。今、我々はその檜舞台に立っています。各学校の野球環境はそれぞれ違いますが、家族・仲間・学校・地域への感謝の思いは同じです。
今年度で多良木高校野球部は歴史に幕を閉じます。しかし、高校野球の精神や地域への感謝の思いは、必ず次の100年に繋がっていくものと確信しています。この記念すべき100回大会に参加できる喜びを胸に、私たちは一戦一戦、全力で力一杯戦っていくことを誓います。
平成30年7月1日 選手代表 熊本県立多良木高校野球部主将 平野光 」
県営藤崎台球場全体から大きな拍手が沸き起こりました。落ち着いた態度で、一つひとつの言葉に思いを込めた選手宣誓でした。平野君は、見事に大役を果たしたのです。
夏の青空の下での第100回全国高等学校野球選手権大会記念熊本大会の開会式。今年度で閉校する多良木高校にとって「最後の夏」です。熊本県高等学校野球連盟の格別の計らいによって、多良木高校野球部は第100回記念大会の名誉ある選手宣誓の指名を受けたのです。抽選会でこのことを知った主将の平野君の緊張は最高潮に達したことでしょう。しかし、彼はすぐに「しっかりやろう」と覚悟を決めます。そして、野球部の齋藤監督、高山部長等と相談しながら、「100年の歴史」、「これからの100年」、「感謝」などをキーワードに宣誓文を創り上げていったのです。
6月28日(金)の多良木高校での野球部推戴式においてリハーサルを行いましたが、その堂々とした態度に私は本番でもきっと大丈夫との確信を得ました。その期待通りの誠に立派な宣誓でした。大舞台で輝く平野君の姿をバックネット裏のスタンドから私は眩しく眺め、感無量でした。
竹下文則 熊本県高野連会長の前で宣誓する平野主将
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄