校長室からの風(メッセージ)
全員ステージ ~ 最後の文化祭(その3)
全員ステージ ~ 最後の文化祭(その3)
在籍生徒数が千人を超える高校にかつて勤務したことがあります。9割の生徒は一度も体育館のステージ上で脚光を浴びることなく卒業していきました。大規模校の定めです。しかし多良木高校は違います。最終学年67人の学校です。閉校するとわかっていて敢えて入学してきた生徒たちの気持ちを重く受けとめ、他の学校では得られない特別な体験を積み重ねてやりたいと私たち教職員はこの3年間努めてきました。そして、最後の文化祭「木綿葉フェスタ」では、全員がステージに立つことになったのです。
「あの日に帰ろう、歌と共に! ~歌で振り返る多良木高校96年の青春~」のテーマを掲げ、午後の2時間半、手作りの歌謡祭を開きました。67人全員が歌、またはダンスなどのパフォーマンスに挑戦しました。脇を固めるのはプロの音響・照明、伴奏が音楽教師と地域の音楽愛好者の方、そして午前中にライブを開かれたORANGEの岩男さんもバイオリンを弾かれました。スポットライトを浴び、五百人の観衆とテレビ局のカメラに囲まれ、生徒達は物怖じすることなく力を発揮し、若さいっぱいの自己表現でした。
赤いリンゴを手に背筋を伸ばし「リンゴの唄」を歌った女子生徒、五人のバックダンサーの男子を従え着物姿で「お祭りマンボ」を歌い踊った女子生徒、着物姿で女装し「365歩のマーチ」を熱唱しながら観客席を回った男子生徒、派手な衣装に包まれ笑顔いっぱいでキャンディーズやピンクレディを演じた女子生徒達などなど。普段はおとなしい性格であっても、ステージ上で堂々とした姿を見せ、改めて高校生の無限の可能性を思い知らされました。
入れ替わり立ち替わり生徒たちが大正から昭和の戦前、戦後、そして平成とヒット歌謡を歌い継ぎ、最後は今年2018年に大ヒットした「USA」の生徒全員のダンスは圧巻でした。そして職員も合流し、「いつまでも」(熊本地震復興支援ソング)と校歌を全員で合唱し、フィナーレを迎えました。
同窓生及び地域の方々、そして保護者など大勢の観客の熱い思いが生徒たちの熱意に火をつけ、生徒一人一人が輝き、最後の文化祭は幕を下ろしたのです。
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄