今年3月、本校と日本製紙株式会社がガッチリ手を組んだ「産学連携協定」。
今回は、その日本製紙グループの株式会社豊徳様が、本校の果樹実習のためにと特別に送付してくださった高品質な特殊肥料「みみず太郎100」を使い、農業科2年生が土作りに挑戦した様子をお届けします!
・学校ブログはこちら:[日本製紙との産学協定について]
【問いから始まった驚きの授業】
授業の冒頭、まずは生徒たちに謎のサラサラした粉末を配布。
「これ、何だと思う?」と問いかけてみました。
実際に触ってみた生徒たちからは、次々とリアルな声が飛び交います。
「めっちゃサラサラ!」
「なんも臭わんよ?」
「土……? でも、火山灰じゃね!?」
「なんかコーヒー粕っぽくない?」
みんなであれこれ予想を膨らませたところで、「実はこれ、ミミズのフンなんだよ」と答えを明かすと、教室からはまさかの真実に「ええーっ!?」と大歓声が!
女子生徒からは「触っちゃったぁ〜!」と、ちょっとした悲鳴もあがっていました(笑)。
【すごいぞ!「みみず太郎100」の秘密】
ひとしきり盛り上がったあとは、授業担当からこの肥料のすごさについて詳しい説明がありました。
この「みみず太郎100」は、シイタケを育て終わったあとの廃菌床に牛糞や米糠を混ぜて発酵させ、それをミミズに食べてもらい、その糞土を集めて作られた究極のリサイクル肥料なのです。
この肥料のおかげで、
・土がふっかふかの「団粒構造」になる
・有機物たっぷりで、土のなかの微生物のエサが豊富になる
という素晴らしい効果があることを学び、生徒たちも「触っちゃった」驚きから、一気に「これ、めちゃくちゃ凄い肥料なんだ!」とリスペクトの目に変わっていました。
【いざ果樹園地へ!紅甘夏と柚子に想いを込めて】
仕組みを理解したら、さっそく果樹園地に移動して実習スタートです。
今回は園地にある5本の紅甘夏(ベニアマナツ)と、10本の柚子(ユズ)の樹をターゲットに施用を行いました。
プロの担当者の方から「紅甘夏1本につき6〜5kgがベスト」とアドバイスをいただき、今回の5月下旬(1回目)と、次回11月(2回目)の計2回に分けてじっくり施肥していく計画です。
2年生は、先ほど五感で確かめた肥料を、樹のまわりへ丁寧に一握りずつ撒いていきました。
生徒たちからは、
・「サラサラで全然堆肥っぽくなくて、めっちゃまきやすい!」
・「触り心地が良いけど、手にたくさんついて爪の中まで入っちゃいました(笑)」と、実際に泥臭く実習に励んだからこそのリアルな感想が。
「この肥料をたくさん吸って、甘夏たちに元気に育ってほしいな」と願いを込めながら、無事に1回目の施用を終えました。
今後は、この「みみず太郎100」を施用した紅甘夏と、そうではない通常の樹との間で、葉の繁り方や実の付き方、そして糖度などにどんな変化や違いが現れるのかを、しっかりと継続して観察・比較していく予定です。
【オフショット:実習の合間のスマイル】
実習の合間のひとコマにも、2年生らしい明るい笑顔があふれていました。
なんと、わずかな休み時間を使って、みんなで四葉のクローバー探しがスタート。
「そんな短時間で見つかるわけが……」と思いきや、
「あった!見つかった!」とまさかの大発見(笑)。
見つけるんかいっ!と突っ込みたくなるような強運を発揮していました。
ふかふかの土作りは、さっそく幸せを運んできてくれたようです。
また、施用実習を終えた男子生徒たちが仲良く一列に並んで休憩している様子も。
ひたむきな実習と、こうした爽やかな笑顔のオン・オフの切り替えが、農業科2年生の素敵なところです。
最先端の企業の技術と地域からの温かい応援を、教室でのワクワクする学びへと繋げ、それを「美味しい農産物」という形で地域へお返しする。
芦北高校農業科では、こんな地域とのリアルな結びつきを大切にしながら、これからの食と環境を支える知恵を「創造」しています。
特別にいただいた肥料の力を借りて、これから果樹たちがどんな変化を見せてくれるのか、今から観察の時間が待ちきれません。
株式会社豊徳様、日本製紙株式会社の皆様、素敵な贈り物を本当にありがとうございました。
生徒たちの夢と驚き、そして探究心をのせてスタートした新しい土作り、これからの果樹たちの成長をどうぞお楽しみに!
来月6月23日(火)・24日(水)の2日間にわたり開催される「令和8年度 第77回熊本県学校農業クラブ連盟年次大会」。
今年度は私たち芦北高校が「担当校(開催校)」を務めるため、校内では着々と準備が進められています。
本日は、この記念すべき地元開催の舞台に向けて地道な努力を重ねる、農業科3年の「2人のトップランナー」をご紹介します。
【朝:県連会長としての決意と、野菜での全国リベンジ】
大会の公式ポスターを掲げるのは、熊本県学校農業クラブ連盟の「県連会長」を務める高野くんです。
「県連会長として発表者の皆さんが発表しやすい環境を作れるように、芦北高校農業クラブ員一同頑張ります」と、頼もしい決意を語ってくれました。
そんな彼は一人の競技者として、7月28日の「農業鑑定競技会(分野:野菜)」での全国出場を目指しています。
昨年あと一歩で全国を逃した悔しさをバネに、現在は朝早くから自主登校して自習に励む日々。
隣の席で「農業技術検定」の勉強に集中するクラスメートと互いに刺激し合いながら、「昨年の反省を活かして、今年は全国目指します」と、静かな教室でひたむきにペンを走らせています。
【放課後:未来へのビジョンを言葉に宿す学校代表】
一方、日の傾きかけた放課後の教室でストップウォッチを握り締め、練習に励んでいるのが「意見発表会」で学校代表を勝ち取った内田くんです。
日頃の学びから導き出した「スマート農業を導入した稲作・畜産の複合経営」という熱いビジョンを、7分間の限られた時間で伝えるため、一言一言の表現力を研ぎ澄ましています。
体育大会では農業科の団長を務め、空手道部では未経験から全国の舞台に立った内田くん。
持ち前の不屈の精神を原稿に込め、本番のステージを見据えて熱い声を響かせています。
朝の光のなか、クラスメートと机を並べて知識を蓄える高野くん。
放課後の教室で、自らの言葉と未来に向き合う内田くん。
努力する時間や目指す舞台は違えども、同じ志を持った3年生の2人が、これからの日本の食と農を「創造」する担い手として、今、最高の輝きを放とうとしています。
大会まであと1ヶ月。
朝夕の努力を背に突き進む2人への温かい応援を、よろしくお願いいたします。
「先生、これ本当に切って良いんですか?」
「ホントにこれ……? もったいなくない?」
「なんでこれ切るん?」
本日5月26日(火)、3年農業科の「果樹」の実習園地。
5月の爽やかな青空とは裏腹に、飛び交っていたのは生徒たちの戸惑いと驚きが入り混じったリアルな声でした。
この日行われたのは、露地「不知火(シラヌイ)」の剪定実習。
例年に比べると少し時期が遅れての実施となりましたが、最高学年となった生徒たちは、真剣な表情でノコギリを握り締め、樹木へと向かい合いました。
【チョークの印を追いかける、ノコギリの音】
果樹栽培において、実の付き方や樹の寿命そのものを左右する最も重要な実習、それが「剪定(不要な枝を切り落とす実習)」です。
今回の実習では、指導する実習教師がチョークを使い、切るべき太い枝に一本ずつ「印」を付けていきました。
生徒たちの役割は、その印をめがけてノコギリを入れ、枝を落とすこと。
ーーギコギコ、ギコギコ。
ーーバサッ!
切り方そのものは非常にシンプルで、迷う余地はありません。
しかし、先生が迷いなく付けるチョークの印を見るたびに、生徒たちのノコギリを持つ手はどこか不思議そうで、実習は慎重に進んでいきます。
「切る場所」を自分たちで選んでいるわけではないからこそ、一本切り落とすたびに「なぜここを落としたのだろう?」と、その断面を真剣に見つめる生徒たちの目が印象的でした。
【「さっきの樹とぜんぜん違う!」答え合わせは数年後】
一本の樹の剪定を終え、隣の樹へと向かった生徒。
しかし、次の樹の前に立った瞬間、ある重大な事実に気がつきます。
目の前の枝ぶりをまじまじと見つめながら、ポツリ。
「さっきの樹とぜんぜん違うじゃん!」
これこそが、生きた自然を相手にする農業の難しく、見事な奥深さ。
教科書のページを開けば、理想的な樹形が綺麗な図やイラストで描かれています。
しかし、実際の園地にある「不知火」の樹は、一本として同じ形のものはありません。
成長の歴史、日当たり、風の抜け方――目の前の樹々はまさに、教科書の図とは全く違う「生きた樹が書いた難解な問題集」そのものです。
しかもこの問題集、普通の勉強とは違って、すぐに答え合わせをすることができません。
今日落とした枝の判断が正しかったのか、本当の「答え」が出るのは、次の季節、あるいは数年後の実りの姿となって現れます。
そんな簡単にはいかない時間軸のなかで「切る場所を選ぶ」というのは、先生が何年もかけて泥臭く培ってきた、文字通り職人技の領域なのです。
【限られたチャンスだからこそ、泥臭く「解き続ける」】
この「剪定」の機会は、一年にたったの一回。
高校生活の3年間をすべて合わせても、多くて3回しか訪れない、極めて貴重な瞬間です。
当然、たった1回や2回、この実習をなぞっただけで、数年後に答えが出る難問を完璧に解き明かせるような世界ではありません。
「一度でわかることではない」からこそ、生徒たちの頭の中に撒かれた「なぜ?」という探究の種が宝物になります。
この限られたチャンスのなかで何度も樹に向き合い、泥臭くノコギリを動かし続けること。
その一瞬一瞬の継続だけが、教科書を超えた本物の技術を育ててくれます。
「なぜだろう?」と立ち止まり、生きた自然の複雑さと、時間とともに導き出される答えの重みに感動すること。
芦北高校農業科では、こうした教科書には載っていないリアルな「問題集」に真っ向から挑むことで、生徒一人ひとりが未来を生きる知恵を「創造」しています。
実習が終わる頃、生徒たちが落とした枝の隙間から、心地よい初夏の光が差し込んでいました。
数年後の最高の答え合わせを目指して、3年生の挑戦はこれからも続いていきます。
本日5月25日(月)の6限目。
外は「爽やか」という言葉が吹き飛ぶほど、ジリジリと強い日差しが肌を焼き、じっとしていても汗が止まらないほどの暑さとなりました。
そんな中、農業科の農場や実習室を少し覗いてみました。
すると、外の猛暑に負けない熱気で、1年生から3年生までがそれぞれの専門科目に向き合い、まさにバラエティ豊かな「多彩な学び」を同時に展開していました。
学年を追うごとにステップアップしていく、活気あふれる授業風景をご紹介します。
【1年生:農業と環境】栽培を支える土台!植物の器官を学ぶ
高校生活にもすっかり慣れてきた1年生。
この時間の「農業と環境」では、学校の農場でも栽培している「スイートコーン(トウモロコシ)」を題材に、植物の器官(体のつくりや各部位の役割)についての学習を行っていました。
これからの実習や栽培を支える大切な理論の第一歩。
慣れない専門用語や複雑な植物の構造を真剣にノートに書き留め、丁寧に図を描いていく姿は、すっかり未来の農業人の顔です。
自分たちの手で美味しい作物を育てるための知識を、しっかりと頭に叩き込んでいました。
【2年生:草花】 教科書とワークシートで探究する「園芸療法」
続いて2年生の「草花」の授業を覗いてみると、栽培技術からさらに一歩進んだ、植物の応用価値について考えていました。
テーマは、植物をとおして人の心や体を元気にする「園芸療法」です。
花を育てること、その美しさや香りが人間の心身にどのような好影響をもたらすのか。
生徒たちは教科書とワークシートに向き合い、集中してペンを走らせていました。
「私たちが育てる草花で、誰かを笑顔にできるかもしれない」という、植物が持つ福祉的な新しい価値を、一人ひとりが自分のなかにしっかりと落とし込む実直な時間となっていました。
【3年生:食品製造】地域を五感で加工する!地元の宝「甘夏」の実習
最後に3年生の「食品製造」の加工実習室へと足を運ぶと、そこには最高学年らしいプロフェッショナルな空間が広がっていました。
挑んでいたのは、地元・芦北の誇る特産品である「甘夏」を使った加工実習です。
衛生管理を徹底した白衣に身を包み、一房ずつ丁寧に剥いていく姿は、まるで本物の食品工場の生産ラインさながら。
地域の大切な資源を預かり、付加価値の高い製品へと生まれ変わらせるこの実習は、3年生がこれまで磨いてきた技術と集中力が試される瞬間です。
外の暑さを忘れるほどの緊張感のなか、お換いに声を掛け合いながらテキパキと動く姿に、最上級生としての頼もしさが溢れていました。
1年生の「これからの栽培を支える器官の学習」、
2年生の「知見を深める園芸療法の探究」、
そして3年生の「地域に貢献する製造実習」へ。
同じ時間、同じ暑さのなかでも、芦北高校農業科では多角的な視点から「食と農」を学び、未来を切り拓く力を「創造」しています。
これからも生徒一人ひとりが個性を輝かせながら成長していく日常を、少しずつ地域にお届けしていきます。
【「最初はグー!」実習室に響く、お昼前の熱きバトル】
「じゃんけんぽん! よっしゃあー!」
本日5月22日(金)、4限目の終わりを告げるチャイムが鳴る直前、農業科3年生の男子生徒たちが集まるテーブルから、地鳴りのような歓声が湧き上がりました。
ペコペコに空いたお腹を満たすため、目の前にある極上の肉を誰が勝ち取るか――。
高校生らしい元気いっぱいのじゃんけんバトルが勃発した瞬間でした。
一見、賑やかな調理実習のご褒美タイムに見えるこの光景。
しかし実はこれ、地域の最重要産業を五感すべてで学び尽くす、非常に贅沢で真剣な特別講座の締めくくりだったのです。
【専門科目がないからこそ、貪欲に学ぶ「畜産」】
時計を少し巻き戻して、3限目。
この日、農業科3年生を対象に開催されたのは「あか牛出前講座及び試食会」です。
水俣市肉用牛繁殖農家の友田勝久様をはじめ、JAあしきた、芦北町農林水産課、芦北地域振興局の皆様をお招きしました。
現在、芦北高校農業科には「畜産」の独立した専門科目がありません。
だからこそ、大型モニターに映し出される「黒毛和牛」や「褐毛和種(あか牛)」の特徴、枝肉の格付方法、数値を左右する飼料(米ぬか)の影響など、最前線の知識に生徒たちは貪欲に耳を傾け、熱心にメモを取っていました。
普段の授業では触れる機会の少ない未知の領域は、生徒たちにとって非常に新鮮で、大きな刺激となります。
【五感を揺さぶる!4限目の贅沢な試食会】
知識を頭に叩き込んだ後は、お待ちかねの試食(官能評価)へ。
用意されたのは、贅沢にも次の2種類のモモサイコロステーキです。
A:黒毛和牛(あしきた牛)
B:くまもとあか牛
お昼ご飯前の空腹という「最高のスパイス」も手伝う中、フライパンにお肉を落とした瞬間、「ジューッ!」と弾ける小気味よい音が室内に響き渡ります。
立ち上る芳醇で香ばしい香りの湯気が鼻腔をくすぐり、じわじわとあふれ出る美しい肉汁のきらめきが食欲をそそります。
トングを持つ手にも、お肉の柔らかさと確かな弾力が伝わってきました。
焼く工程までは、みんなで「ワイワイ」と笑顔を交わしながら、素材そのものの破壊力抜群の香りに五感を刺激されていきました。
【一転して「静寂」へ。自分の味覚と向き合う時間】
しかし、いざ試食が始まると、先ほどまでの賑やかさが嘘のように、実習室は一瞬にして心地よい緊張感に包まれました。
「普段、2種類のお肉を食べ比べすることはあまりないので、すごく楽しい!」
そんなワクワクを胸に秘めながらも、生徒たちは一切れごとに口直しのお水を飲み、無言で自分の味覚と実直に向き合います。
これこそが、味の違いを正しく見極める「消費者型官能評価(味覚テスト)」の真剣勝負です。
試食を終えるとすぐに各自タブレットへと向かい、集中した様子でアンケート調査票へ評価を入力していきました。
その後、感想を聞くと実際に味わった生徒たちからは、
「わたしはあしきた牛の方が好き。味が濃くジューシー!」
「私はあか牛派。柔らかくて食べやすかった!」
「真剣に悩んだけど、結局どっちもうまい!」
といった確かな舌応えが。
――そして、すべてのデータ入力を終えて張り詰めていた緊張の糸が解けた直後、冒頭の賑やかな「じゃんけんバトル」へと繋がったのです。
地域の豊かな自然と生産者の熱意が育んだ、誇るべき2つのブランド牛。
普段は学ぶ機会のない「畜産」という分野に触れ、楽しむところは全力で楽しみ、見極めるときはプロの目で真剣に向き合うという、メリハリのある素晴らしい実習となりました。
命をいただく感謝の気持ちを胸に、今回の学びをこれからの探究へと繋げ、地域の未来を「創造」していく3年生。
素晴らしい刺激をくださった講師の皆様、本当にありがとうございました!
暦の上では本日、二十四節気の「小満(しょうまん)」を迎えました。
あらゆる生命が次第に満ち満ちていく、という意味があるこの季節。
近頃は真夏日を記録するほどの厳しい暑さが続いていましたが、小満の当日はあいにくの、いえ、万物を潤す恵みの雨模様となりました。
真っ青な空に響く蝉の鳴き声すら予感させたこれまでの熱気を、優しく静めるように降り注ぐ雨。
農場を歩けば、この潤いを待っていたかのように植物たちが生き生きと緑を濃くし、まさに命が「満ちていく」エネルギーを全身で放っています。
■ 学校全体で繋ぐ、応援のバトン
雨の涼しさとは裏腹に、校内は今、静かな熱気に包まれています。
いよいよ来週には、高校総体、そして高校総合文化祭(総文祭)の開会式が控えています。
ふと図書館に足を運ぶと、そこには総体・総文に向けて用意された「部活小説」の特設コーナーが設けられていました。
ページをめくれば、そこにあるのは主人公たちのひたむきな汗と涙。
これから大舞台へ臨む仲間たちの背中を、言葉の力で後押ししたい――そんな温かい想いが、ディスプレイから伝わってくるようです。
グラウンドや体育館、部室棟だけでなく、この雨の日の静かな図書館まで。
学校全体がひとつのチームとなって、次なる舞台へ挑む生徒たちを盛り上げる。
そんな一体感が校内のあちこちに満ち満ちています。
■ 実りへの確かな一歩
運動部・文化部を問わず、それぞれの部活動に所属する生徒たちにとっては、これまでの努力の集大成を発揮する特別な舞台です。
週4日のタフな実習や課題研究をこなし、雨にも負けず、放課後はそれぞれの場所で一歩も引くことなく汗を流し、また感性を磨く。
じりじりと照りつける太陽のもとでも、今日のような雨の中でも、ひたむきに自らを高めようとする生徒たちの姿は、農場で力強く根を張る植物たちと見事に重なります。
大切なのは、結果の先にあるもの。
これまでの努力のすべてを注ぎ込み、自らの力を100%出し切ること。
激しい一戦のなかでも、繊細な表現や発表のなかでも、壁を乗り越えた先にある「やりきった」という本物の充実感を、その肌で、心で掴み取ってくれることこそが、私たちの一番の願いです。
雨が万物を潤し、さらなる成長を促すこの良き日に、自分の限界に挑戦する芦北高校の生徒たち。
来週の総体・総文祭という大きな舞台で、彼らの情熱が最高の形で完全燃焼することを、農業科一同、心から応援しています。
「小満(しょうまん)」
満ちゆく緑と、雨にも負けない生徒たちのひたむきな情熱に未来を重ねる芦北高校より。
本日の農業科2年生「食品製造」の実習室は、いつも以上にピリッとした緊張感と、甘く香ばしい香りに包まれました。
挑戦したのは、洋菓子の定番でありながら、高度な技術と集中力を要する「シュー・ア・ラ・クレーム(シュークリーム)」の製造です。
【ただ混ぜるのではなく、五感での観察】
中に詰めるカスタードクリーム、そして土台となるシュー生地。
どちらの製造においても、最大のポイントは「ただ機械的に混ぜるのではない」という点にあります。
焦げ付きやダマを防ぎ、なめらかに仕上げるため、生徒たちは絶えず鍋底やボウルの感触に集中し、全体の色の変化が均一であるかを注意深く観察し続けました。
木べらを掲げて状態を確認するその目は、まさにプロの職人そのものです。
【膨らむための絶対条件「糊化」(こか)への挑戦】
さらに、シュー・ア・ラ・クレームには「生地が大きく美しく膨らむこと」という厳しい最低条件があります。
鍋でバターを完全に沸騰させ、一気に小麦粉を投入して手早く混ぜることで、熱によりデンプンを結合させる「糊化(こか)」を促します。
ここからが、まさに「食品製造」という名の実験室。
材料の正確な「計量」はもちろん、火からおろす一瞬の「タイミング」、生地の温度を見極めながら卵を加えていく最適な「割合」、そして木べらを通じて指先に伝わる生地の粘り気の「感覚」まで。
そのすべてが論理的な条件で成り立っています。
どれか一つでも数値や感覚が狂えば、オーブンの中で生地は絶対に膨らみません。
「食品製造」とは、五感と知識でコントロールする極めて繊細な「化学」の世界です。
【見事な焼き上がり、解き明かされる明暗】
多くの班では、オーブンのガラス越しに生地がふっくらと黄金色に立ち上がり、見事なシュー皮が焼き上がりました。
綺麗に膨らんだ歓声のなか、なめらかなカスタードをたっぷりと絞り入れ、美しい「シュー・ア・ラ・クレーム」が次々と完成していきます。
しかし、実習を行った10班のうち、1班だけどうしても上手く膨らまない班がありました。
原因を突き詰めると、生地作りの工程におけるわずかな「火加減」のズレ。
周囲が成功する中で理想の形には届かず、悔しさが残る結果となりましたが、いざ試食してみると
――「食べたら美味しい!」と、味の仕上がりには笑みがこぼれました。
実習を終えた生徒たちからは、「コンビニやスーパーで何気なく並んでいるシュークリームを見る目が変わった」という声が。
いつも均一に、美しく膨らんでいる商品の裏にある職人技や企業努力の凄さを、身をもって実感しました。
成功から自信を得るだけでなく、失敗から原因を分析し、日常の景色さえも学びに変えていく。
自らの手と五感を使って、新しい価値や気づきを「創造」していく2年生の、さらなる成長が楽しみになる実習となりました。
── 相棒図鑑 其の四 「三脚脚立」 ──
果樹園の隅、出番を待つアルミニウムの塊があります。
エンジンもなければ、華やかなハイテク機能もありません。
状態を知らせる液晶画面も、始動するためのスイッチやボタンすら、そこには一切存在しないのです。
しかし、彼らがいなければ、私たちは樹の頂で「一番良い顔」をして実る果実に触れることすら叶いません。
今回の相棒は、不動の構えで高みを目指す「三本足の修行僧」、三脚脚立(さんきゃくきゃたつ)です。
本校の「修行場(果樹園)」には、可愛らしい3段から、見上げるような12段まで、歴代の相棒たちが揃っています。
彼らの最大の特徴は、四本足ではなく「三本足」であること。
不整地や傾斜地という不安定な大地において、一点の迷いもなく地面を確実に捉える。
それは、自然という厳しい道場で生き抜くために研ぎ澄まされた、究極の機能美です。
時には、木の枝をまたぐようにして、一本の後脚を樹の懐深くへと滑り込ませることもあります。
もし彼らに心があるならば、自らの身を挺して、乗り手が最も安全に空へと手を伸ばせる「座禅の場(足場)」を足元で整えてくれているのかもしれません。
この修行僧と呼吸を合わせ、その不動の境地を共有するには、単なる「道具扱い」を超えた、現場に対する深い畏敬の念が必要なのです。
しかし、この相棒は実直であると同時に、掟(ルール)に極めて厳格な側面も持っています。
もし乗り手が慢心し、設置の甘さやチェーンの緩みを見過ごせば、修行僧は沈黙したまま、静かにその構えを崩します。
ほんの数センチのズレ、あるいは「これくらい大丈夫だろう」という甘い見通し。
それは修行僧にとって、最も許しがたい不作法です。
一瞬の揺らぎとともに地面へと叩きつけられる衝撃は、慢心した乗り手への「修行僧からのお仕置き」。
怪我と隣り合わせのその厳しさは、命を預かる現場の重さを教え込む、寡黙な教育者の姿でもあります。
だからこそ、私たちは彼らと向き合うとき、決して欠かさない「対話(儀式)」があります。
・「間のチェーン」をピンと張り、足が広がるのを防ぐこと。
・「設置の角度」を厳しく見極め、安定を確保すること。
・「天板(一番上)には決して乗らない」という、相棒との絶対の掟。
生徒たちが踏みしめるステップの擦り減りは、歴代の先輩たちが安全と向き合い、一歩ずつ高みを目指した「修行の足跡」そのものです。
派手な主役ではないけれど、誰かが理想の果実を求めて「高度」を上げるとき、必ずその足元を支えている。
厳しさがあるからこそ、本物の信頼が生まれる。
芦北高校の果樹園には、今日も静かに、そして力強く大地を掴む「相棒」の姿があります。
「道具の限界を知り、その掟を敬う。安全を確保するその手間こそが、自分と仲間を守るプロへの第一歩です」
5月も半ばを過ぎ、芦北高校の農場には今日も初夏らしい元気な声が響いています。
これまでも日々ひたむきに実習に励んできた1年農業科の面々ですが、本ブログに登場するのは今回が初めて。
まだピカピカで真新しい実習服に身を包み、農場をエネルギッシュに駆け回る40名の生き生きとした姿をお届けします。
【夏を思わせる日差しの中、それぞれの実習を展開】
この日は、真夏を思わせる強い日差しと気温。
ジリジリと照りつける太陽の下、生徒たちはそれぞれ分担された実習に分かれ、暑さにも負けずスイートコーンへの液肥施用とキュウリの袋詰めに並行して取り組みました。
【スイートコーン:秀品づくりのポイントを学ぶ液肥やり】
スイートコーンを担当する生徒たちは、なかなかの重さがあるジョウロを手に、一株ずつ丁寧に液体肥料をまいていきました。
スイートコーン栽培において、今回の液肥やりは「秀品(質の高い美しい成果物)」を育てるための極めて重要なポイント。
暑さのなか、額に汗を浮かべながら一本一本へ真摯に向き合う実習。
重いジョウロを抱えた生徒からは、「おもいわぁ……」と思わず本音がポロリ。
その言葉通り、作物へ注ぐ「重い(強い)想い」がたっぷりと詰まった時間となりました。
【キュウリ:向きが逆!?失敗から生まれるプロの視点】
一方、キュウリを担当する生徒たちは、実習室での袋詰め実習に集中。
立派に育ったキュウリを前に、農場でのダイナミックな動きとは一転して、みんな真剣で繊細な手つきになります。
大切な農産物を傷つけないよう、プロの商品として丁寧に袋へと収めていきました。
そんな実習の最中、詰められたキュウリを確認すると、綺麗に並ぶ中で「逆向き」に入っているものが数本。
「だれだぁ、逆に入れたのぉ〜」
実習室にそんな微笑ましい声が響くのも、教科書には載っていない生きた学びの瞬間です。
ただ袋に入れるだけではなく、「お店に並んだとき、どうすれば美しく見えるか」。
自分たちの手がけた作物を手に取る消費者の気持ちを想像し、思いやりを持てるプロの農業人を目指して、40名は失敗さえも確かな経験へと変えていきます。
それぞれの場所で、真新しい実習服を土や汗で少しずつ汚していく生徒たち。
その汚れこそが、立派な農業人へと歩みを進めている誇り高き証拠です。
日々の実習から多くの気づきを得て、彼らは自分たちの手で未来の「みのり」を「創造」していきます。
これからの1年農業科の確かな歩みと成長を、どうぞ温かく見守りください。
芦北高校農業科 「品種名鑑」 #03
【品種名鑑 #02:「M16 知ればあなたも 目利きなり】はこちら
果樹専攻の主役が「不知火」なら、本校草花専攻を支える不動の主役は、やはりこの花。
「シクラメン」です。
※昨年11月の温室内の様子
●品種データ
科名: サクラソウ科
和名: 篝火花(カガリビバナ)
花言葉: 「内気」「はにかみ」「遠慮」
この「内気」「遠慮」という控えめな花言葉。
温室の片隅で、俯きかげんに、けれど凛と咲くその佇まいは、生徒たちの実習の様子とどこか重なります。
華やかな舞台では少し照れくさそうに言葉を飲み込み、けれど実習棟の中では誰よりもひたむきに、土の匂いに包まれながら黙々と花と向き合い続ける草花専攻生たち。
その「はにかみ」ながらも内に熱い想いを秘めた誠実な背中は、どこかシクラメンの美しさと似ている気がします。
●教室で共に過ごした半年間
本校のシクラメンは、その「息の長さ」が自慢です。
昨年11月に温室を出て、教室へと置かれた一鉢。
半年が過ぎた5月の今、ようやく花を休め、青々とした葉を蓄えた状態で農場へ戻ってきました。
毎日、生徒たちが登校し、チャイムが鳴り、放課後を迎える。
その日常の風景の中に、いつもこの花がありました。
花が上がらなくなった今の姿は、半年間、教室の主役として共に過ごした時間の証でもあります。
●命を繋ぐ、一年のバトン
役目を終えて戻ってきた株の近くでは、次の冬に向けて命を繋ぐ「新しい苗」たちが、小さな葉を一生懸命に広げ始めています。
シクラメンの栽培期間は、実に1年。
ようやく今、力強い葉を広げ始めたところです。
この長い時間のバトンタッチは、農業高校ならではの「命の授業」です。
●葉の数だけ、花は咲く
そんな彼らが学ぶ、栽培の鉄則があります。
それは、「たくさんの花を咲かせることは、まず葉を増やすことから始まる」ということ。
シクラメンには「葉の数だけ花が咲く」という言葉があります。
葉の1枚1枚が、その付け根に眠る花芽の大切なエネルギー源だからです。
溢れんばかりの花を咲かせたいなら、まずは地道に、健康な葉を1枚ずつ丁寧に育てる。
急がば回れ。
この自然の摂理こそが、シクラメン栽培の極意です。
※花苗を持つ草花専攻性
1滴の水やり、1℃の温度管理、そしてこれから始まる「葉組み(はぐみ)」という指先の魔法。
今、ポットの中で並んでいる小さな葉の1枚1枚が、冬には燃えるような「カガリビバナ」へと姿を変えます。
目に見えない「根」や「葉」の成長を信じてお世話を続ける。
それは、自分たちの将来の可能性を信じて学ぶ、生徒たちの姿その物です。
和名である「カガリビバナ」の名の通り、鮮やかな花弁には、生徒たちが注いできた粘り強い愛情の火が灯っています。
「1年の月日を詰め込んだ、命の結晶。芦高のシクラメンには、生徒たちの粘り強い愛情が息づいています」
本日の3年農業科「食品製造」は、製パン実習。
最高学年として、材料の計量から袋詰め、そして自分たちの手による校内販売まで、「製造から流通までの一連の流れ」を実践的に学びました。
【身だしなみと正確さ、それが信頼の証】
鏡の前で髪一本落とさないよう身だしなみを整えるところから、私たちの「実習」は始まります。
実習が始まれば、リズムよく生地を切り分け、手際よく計量。
3年生ともなればその手つきは慣れたもので、迷いなく正確に分量を導き出していきます。
この地道なプロ意識の積み重ねが、美味しい製品への第一歩です。
【協力して命を吹き込む「成形」】
最も技術を要する「成形」の工程では、手のひらで生地の感触を確かめ、丁寧に丸めていきます。
実習室ではお互いにアドバイスを送り合い、協力して一つひとつのパンを最高の形に仕上げていきました。
【届けたいのは、焼きたての温もり】
オーブンから黄金色のパンが焼き上がると、すぐに袋詰めをして校内販売へ。
自分たちで作ったものを、自分たちの手で、直接お客様へ届ける。
手渡した瞬間に「ありがとうございます!」と感謝を伝える。
その時に広がる相手の喜びこそが、教室だけでは学べない、この実習の真の醍醐味です。
真っさらな粉から、心を込めて形を創り、届ける。
私たちが今日、実習室で作っていたのは、単なるパンではありません。
その一口で誰かを幸せにするための、たくさんの「笑顔」です。
今週の芦北高校は、全国への発信から農場での真剣勝負まで、熱いニュースが目白押しです!
「観る・守る・繋ぐ・彩る」の4つの視点から、私たちの現在地をお届けします。
1.【観る】「ミライのタネ」アーカイブ公開!
5月9日に放映された番組が、ついにYouTubeで公開されました。
伝統の「甘夏マーマレード製造」に打ち込む生徒たちの瑞々しい姿を、ぜひご覧ください。
受け継がれてきた味を、次の時代へとつなぐ情熱が詰まっています。
●ミライのタネ RKK熊本放送: [番組アーカイブはこちら]
●取材の様子はこちら: [ブログ:ピンマイク 「これが業界」 加工室]
2.【守る】謎の影を特定。だが、戦いはこれから。
先日の「草刈り作戦」が功を奏し、自動撮影カメラが深夜の訪問者を捉えました。
画像をAIで解析し、対話を重ねて導き出された正体は「おそらくアナグマ」。
しかし、姿を捉えたのは対策の第一歩に過ぎません。
正体が判明した今、ここからが防除の「本番」です。
大切な果樹を守り抜くため、さらなる知恵を「創造」し、私たちは立ち向かいます。
●対決の始まりはこちら: [ブログ:グラウンド 砂舞う裏で 獣(しし)を追う]
3.【繋ぐ】ふるさと納税、出品完了。
生徒たちが丹精込めて作り上げた実習製品が、今年度「ふるさと納税」の返礼品として出品されました。
私たちの活動を支えてくださる全国の皆様へ、芦北の豊かな恵みを感謝とともに届けます。
地域への貢献を実感する、私たちの誇りです。
関係者の皆様、出品にご尽力いただいた皆様大変ありがとうございました。
※写真は昨年度の卒業生です
●ふるさと納税ポータルサイトの例: [ふるさとチョイス] [ふるなび] [楽天市場]
●こだわりの撮影風景はこちら: [ブログ:「不知火」に 生徒の真心 「あしポン」へ]
4.【彩る】プロの感性に触れる、フラワーアレンジ実習
農場での「静かな戦い」の一方で、実習室は鮮やかな花々に包まれました。
本日は外部講師をお招きし、フラワーアレンジメントの授業を実施。
プロの技術と感性に触れながら、生徒たちはそれぞれの個性を形にしていきました。
農業高校ならではの、豊かな感性と「美しさを創る」学びの時間です。
【今日の一枚:旬を味わい、次を創る】
最後は、3年生の果樹専攻生による試食の様子。
自分たちが育てた果実の味を知ることも、次なる「美味しい」を「創造」するための大切なステップ。
弾ける笑顔とともに、次代への意欲が溢れます!
5月12日、農業科2年生を対象に「お茶の出前講座」を実施しました。
水俣・芦北地域において、お茶は柑橘やサラダタマネギに次ぐ主要な農産物です。
地域の伝統産業を次代へ繋ぐため、専門の講師をお招きして、その歴史から淹れ方までを深く学びました。
【「急須がない」からのスタート】
授業の冒頭、生徒たちに「普段、お茶を飲みますか?」と問いかけると、ほとんどの生徒が「あまり飲まない」との回答。
中には「家に急須がない」という生徒もおり、現代のリアルな食生活が浮き彫りになる幕開けとなりました。
しかし、そんな「身近なようで遠い」お茶の世界を紐解く2時間は、驚きと発見の連続でした。
【五感で驚く、6種類の飲み比べ】
後半の「淹れ方教室」では、豪華6種類の試飲に挑戦。
ウーロン茶・紅茶・緑茶・煎茶・釜炒り製玉緑茶・ほうじ茶
同じ茶葉から作られるお茶が、加工一つでこれほどまでに変化することに、生徒たちは釘付けです。
「茶葉によって味がこんなにも違うことに驚いた!」
「飲み比べが楽しくて、お茶のイメージが変わった」
実習室にはそんな弾んだ声が響き、最後には「今日で『お茶のちがいがわかる農業高校生』になれたと思う」という頼もしい宣言も飛び出しました。
【伝統をつなぐ、最初の一杯】
地域の農産物を知り、その価値を五感で理解することは、伝統を未来へ繋ぐ大切な一歩です。
「家に急須がない」と言っていた生徒たちも、今日をきっかけに、まずは自分の一杯を淹れてみませんか?
本日学んだ知識と「ちがい」がわかる自信が、いつか地域の農業を支える誇りへと育っていくことを願っています。
講師を務めていただいた芦北地域振興局の吉川様、貴重な学びをありがとうございました!
5月8日。
校内は明日9日に控えた「体育大会」の準備で沸き立っています。
練習に励む生徒たちの熱気と砂埃、そして響き渡る歓声。
しかし、その華やかな喧騒から離れた静かな果樹園では、もう一つの「負けられない戦い」が続いています。
【深夜の果樹園、カメラが捉えた動かぬ証拠】
生徒たちがグラウンドで汗を流している間も、果樹園に潜む「敵」には関係ありません。
設置した自動撮影カメラを確認すると、深夜の静寂を破り、不気味にうごめく「謎の獣」の姿が記録されていました。
白黒の映像に浮かび上がるシルエット……。
イノシシか、あるいはアナグマか。
繁茂した草に遮られ、その正体を特定するには至りません。
ただ、私たちの果樹園を荒らす存在であることは確かです。
「今度こそ、その姿を鮮明に捉えてやる!」
正体を突き止め、万全の対策を講じるため、急遽カメラ周辺の草刈りを実施。
障害物を取り除き、次なる決戦に備えます。
【告知:明日放映!伝統をつなぐ「甘夏マーマレード」】
農場を守り抜くこうした地道な日常を、別角度から取材していただいた番組がいよいよ明日、放映されます。
テーマは、本校が長年大切にしてきた実習「甘夏マーマレード製造」(教科:食品製造)です。
●番組名: ミライのタネ(公式ホームページ)
●放映日時: 5月9日(土) 午後4時54分〜
●取材の様子はこちら ⇒ 「ピンマイク 「これが業界」 加工室」
実習室で甘夏と向き合い、先輩たちから受け継いだ独自の味、その伝統をつなぐべく奮闘する生徒たちの姿をぜひご覧ください。
【つなぐ、守る、未来へ。】
グラウンドでバトンを繋ぎ、果樹園で伝統の樹を守り、実習室で伝統の味をつなぐ。
一見バラバラに見える活動も、その根底にあるのは「大切なものを次代へ届けたい」という生徒たちの純粋な想いです。
その想いこそが、まさに未来を創る「ミライのタネ」なのだと感じます。
明日はグラウンドで青春を爆発させ、夕方は画面越しに私たちの情熱をお届けします。
皆様、どうぞ温かいご声援をよろしくお願いいたします!
Global Series Vol. 4:Ashikita Vitality
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第4回は、4月21日の「3年生・果樹実習(草刈り)」の記録です。
[Global Series Vol. 3:Golden Fruits, Shared Dreams はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 4: Senior Fruit Tree Practice — Orchard Mowing (Apr 21st).
[Click here for Global Series Vol. 3:Golden Fruits, Shared Dreams]
— Senior Fruit Tree Practice: Mowing the Orchard Under the Spring Sun —
A clear blue sky hints at the coming summer. Under the stinging sunlight, the scent of engine oil wafts through the air—a sign of preparation. Soon, the roar of engines shatters the silence. Today, our third-year students conducted orchard mowing as part of their "Fruit Tree Practice."
■ Putting Machinery Training into Action!
Working in pairs, the students took turns every 15 minutes. They used brush cutters equipped with nylon cords for enhanced safety. This was the moment to apply the results of their previous machinery training to a real-world setting. Though cautious at first, they moved forward steadily, relying on the knowledge they had worked hard to gain.
The area around the base of the trees requires delicate control to clear the weeds without nicking the trunk. Watching the seniors skillfully maneuver their machines, their backs looked more dependable than ever.
■ Spring Buds are Waking Up
Turning our gaze toward the trees, we see countless flower buds on the "Sweet Spring" citrus branches, nearly ready to bloom.
New shoots are sprouting vigorously from the main trunks; you can almost feel the heartbeat of spring growth.
■ A "Selfish Wish" from the Instructor
Looking out over the neatly trimmed orchard after the practice, a thought often crosses my mind. "I wish the weeds at my feet wouldn't grow at all. Yet, I want the buds and flowers on the trees to grow with limitless vitality."
"Dry up, weeds; grow tall, buds." I couldn't help but smile at my own selfish desire. However, perhaps it is within this contradictory dilemma that the true depth of agriculture—the act of cherishing life—resides.
The third-year students successfully turned their training into tangible results. Thanks to their careful work, our Sweet Spring trees are ready to welcome their blossoms in comfort.
暦の上では、まもなく5月5日に二十四節気の「立夏(りっか)」を迎えます。
春が極まり、夏の気配が立ち始めるこの時期。
今日は清々しい晴天に恵まれました。
日差しには力強さが増していますが、農場を歩けば、木陰を吹き抜けるそよ風が少し冷たく、心地よく肌を撫でていきます。
農場では、出番を待つ花や野菜の苗たちが、今か今かとその時を待っています。
瑞々しく青々と育った苗たちの姿は、これから始まる眩しい季節への期待感を高めてくれるようです。
明日からはいよいよゴールデンウィーク。
ですが、学校は今日から5月9日の体育大会に向けた、終日の練習や準備という大きな節目を迎えました。
■ 団結の汗、初夏の風に乗せて
今日から始まった体育大会の全体練習。
グラウンドや体育館からは、生徒たちの活気ある声が響いています。
農場での実習で見せる真剣な眼差しはそのままに、各団が一致団結し、練習は初日から熱を帯びています。
今年度は全校生徒によるフォークダンスも行われます。
練習の輪の中では、少し照れくさそうにしながらも、弾けるような笑顔で楽しんでいる生徒たちの姿が印象的でした。
ダンスの練習もいよいよ佳境。
時折吹き抜ける涼やかな風は、全力で体を動かす生徒たちの熱を心地よく鎮め、次の一歩を後押ししてくれる「恵みの風」となっています。
■ 眩しい舞台を待つ、静かな情熱
立夏を過ぎれば、季節はいよいよ眩しい夏へと向かいます。
最後に、本校農業科を牽引する団長と副団長の3人をパシャリ。
頼もしい彼らのリーダーシップに、本当に期待しています!
生徒たちのひたむきな努力が結実する体育大会。
その舞台を最高のコンディションで迎えられるよう、この連休でしっかりと英気を養い、心身ともに「立夏」にふさわしい清々しい姿で再会できることを楽しみにしています。
皆さま、どうぞ素敵なゴールデンウィークをお過ごしください。
「立夏(りっか)」
初夏の風と、生徒たちの歓声が響く芦北高校より。
4月30日、本日はあいにくの雨。
晴れていれば農場で「甘夏」の剪定に汗を流す予定でしたが、本日は室内での実習に切り替えました。
●初めて手にする「不知火」の重み
2年生の果樹班は、本校の特産品「不知火(しらぬい)」の出荷調整に取り組みました。
1年生のときには触れる機会のなかった果実。
それを一つひとつ丁寧に拭き上げ、箱に詰め、お客様へ届ける形に整えていきます。
先輩たちが繋いできた努力を、自分たちの手で「商品」として完成させる瞬間。
そこには、単なる作業以上の、プロとしての責任感が漂います。
●食レポの向こう側にあるもの
実習の合間、味を確認するために試食を行いました。
感想を尋ねると、返ってきたのは「……甘いです!」という、真っ当で、でも少し素朴すぎる答え。
「もっと上手に食レポしてよ!」と笑い合いながら、ふと思いました。
農業科職員室の出入り口にある掲示板。
そこに私が掲げている「あの言葉」を、今、この実習を通して肌で感じてほしい、と。
私たちが箱詰めしているのは、単なる果実ではありません。
それを手に取り、口にした瞬間にこぼれる「笑顔」そのものを作っているのです。
「どんな味?」という問いに言葉を尽くそうとする姿勢は、その先にいる誰かの喜びを、どれだけ真剣に想像できているかの証(あかし)でもあります。
●想像力が「創造」を変える
雨音を聞きながら向き合った不知火の味。
次に「どんな味?」と聞かれたときには、今日感じたみずみずしさの先に、誰かの喜ぶ顔を思い浮かべて語れるようになってほしい。
毎日、職員室の前を通るたびに目にするあの言葉が、知識ではなく「実感」として彼らの中に溶け込んでいくことを願っています。
技術を磨き、感性を磨き、そして「笑顔」を届ける。
雨の日の静かな学びは、農業科としてのプライドを育む大切な時間となりました。
本日の農業科は、いつもの農場とは少し違う風景。
「泥にまみれてばかりではない」農業科の、知的探究の一日をご紹介します。
【3年:農業機械】トラクタの「心臓部」を解き明かす
3年生は、農業を支える動力源「エンジン」の座学。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いを学び、さらに「乗用車とトラクタの構造的な違い」についても例を挙げながら学習しました。
スピードを追求する乗用車と、過酷な現場で粘り強い力を発揮するトラクタ。
その設計思想の違いを学ぶことで、普段操作している機械への敬意と理解がより一層深まったようです。
【2年:農業と情報】「音」が変わったタイピング
2年生の教室では、ICTの基礎体力を養うタイピング練習に励んでいました。
当初はキーの場所を「確認しながら」叩いていた生徒たちも、今では「パチ、パチ、パチ!」とリズム良い音に変わってきています。
もともと入力が早かった生徒はさらにその精度を上げ、クラス全体で現代農業に必須の「情報を扱うスキル」を着実に自分のものにしています。
■洗練されたスマート農業を目指して
今、農業界では自動運転やAI活用といった「洗練されたスマート農業」が注目されています。
しかし、それらを自在に使いこなすために必要なのは、機械の仕組みを知る「基礎」であり、情報を正確に扱う「基本」です。
泥臭い現場の実習と、教室での緻密な座学。
どちらもスマートな未来を創るために欠かせない、学びの「両輪」として私たちは大切にしています。
本日は「甘夏」と「露地不知火(しらぬい)」の草刈りを行いました。
この時期、どうしても草刈りの投稿が続いてしまいますが、今の農場にはこの季節にしか出会えない風景があります。
■無数の白い花と、虫たちの往来
今、甘夏の木々を埋め尽くしているのは、可憐な真っ白の花。
顔を近づけると、控えめで上品な香りがかすかに漂います。
その花々の間を、蜜を求めて虫たちがせわしなく飛び交う様子は、まさに初夏の農場ならではの光景です。
この小さな花一つひとつが、やがて大きな果実へと育っていく——。
そんな生命のサイクルを感じながら、晴れ間を縫って一歩ずつ作業を進めました。
■「環境を整える」という仕事
草刈りは、単に見た目をきれいにするだけではありません。
足元を整えることで、木々への日当たりを確保し、風通しを良くする。
地道な実習ですが、美味しい果実を育てるための「土台づくり」として欠かせない工程です。
真っ白な花に囲まれて進める作業は、どこか背筋が伸びるような心地よさがあります。
12月の収穫の日を思い描きながら、明日からも丁寧な管理を続けていきます!
先週17日から本日24日にかけて。
農業科3年生の集大成である「課題研究」が、いよいよ本格始動しました。
生徒たちは4つの専門班に分かれ、1月の発表会というゴールを目指して1年間走り抜けます。
■現場はすでにフル回転!
実習の時間ながら、ICTの活用や黒板を前にした議論など、各班の個性が光るスタートとなった1週間でした。
「次はどうする?」(食品班)
タブレット端末を駆使して先輩の研究を徹底分析。
自分たちが追求すべき新たなテーマを絞り込みます。
「納得いくまで!」(草花班)
黒板の前に集まり、年間の栽培・研究スケジュールを検討。
白熱した議論で自分たちのロードマップを描きます。
「待ったなし!」(果樹班)
容赦なく襲来する獣害への対策に、さっそく追われる日々。
「自分たちの園地を守る」という自覚がその表情に宿っています。
「前例なき挑戦」(野菜班)
ペピーノ、水耕栽培、高濃度酸素水。
未知の領域へ踏み出すべく、まずは多様な試行錯誤からスタートです。
■一生モノの「思考のツール」を
課題研究の肝は、「PDCA(計画・実行・評価・改善)」のサイクルにあります。
農業は自然相手。
計画通りにいかないことの連続ですが、上手くいかない時こそPDCAの回しどきです。
「次はどうする?」と仲間と話し合い、改善を繰り返すその時間こそが、実は一番の学びになります。
壁にぶつかり、悩み、試行錯誤するプロセスすべてを「楽しんで」ほしい。
ここで身につける思考法は、卒業後、どんな道に進んでも皆さんを支える強力な武器になります。
1月、彼らがどんな「答え」を収穫するのか。
このブログでも随時、その過程をお伝えしていきます。
農業科3年生の挑戦を、どうぞ温かく見守ってください!
本日は3年農業科の「食品製造」の実習。
今日はいつもと少し雰囲気が違います。
なんと、RKK熊本放送が番組「ミライのタネ」の取材のために、食品加工実習室へ来てくれました!
■剪定から瓶詰めまで 自分たちの手で
今回製造したのは、本校自慢の「甘夏マーマレード」。
この甘夏は、木々の剪定(せんてい)から収穫、そして一つひとつの選別に至るまで、すべて生徒たちが自分たちの手で丁寧に行ってきたものです。
そんな思い入れの深い自分たちの製品が、先日2年生が一生懸命に準備してくれた材料(※準備の様子はこちら)を経て、いよいよ最終工程の瓶詰めへ。
丹精込めて育てた素材が形になっていく喜びと、それをプロのカメラが追いかけているという高揚感が、実習室に満ちていました。
■さながらアナウンサー!?
実習中、一人の生徒がインタビューを受けることに。
プロのスタッフさんと入念に打ち合わせをし、襟元にピンマイクをつけてもらうその姿は、まるで本物のアナウンサーか女優さんのよう!
収録後、カメラマンと一緒にモニターに映し出された自分のインタビュー映像を真剣な表情で確認する姿は、まさに現場の表現者そのものでした。
一連の撮影を終えた彼女に、私が「取材を受けてみた感想は?」と尋ねてみました。
すると、その答えがまた秀逸でした。
「これがテレビ業界ですね。」
その落ち着き払った、どこか達観したような一言に、少し笑ってしまいました。
テレビの裏側を肌で感じ、緊張すらもユーモアに変えて楽しんでしまう彼らの姿に、日頃の実習とはまた違う、頼もしさと個性を感じる一幕でした。
■食レポの行方は……?
試食シーンでは、急きょ「食レポ」を求められる場面も。
味の魅力を上手く表現できて満足げな生徒、言葉が出てこず悔しがる生徒、そして「映りたくない!」と必死にカメラを避ける生徒……。
果たして、本番の放送で彼らの奮闘は採用されるのか!?
最後にはクラス全員での撮影も行い、無事に取材が終了しました。
プロの仕事に触れ、自分たちの学びを言葉にする。
3年生にとって、また一つ、忘れられない良い経験となりました。
■放映予定のお知らせ
今回の実習の様子は、以下の日程で放映される予定です。
5月9日(土曜日) RKK熊本放送「ミライのタネ」 16:54~
皆様、本番の放送をぜひお楽しみに!
体育大会本番まで、登校する日は残すところあと10日。
今日の学年練習のメニューは、注目の「ダンス練習」です。
■農場では見せない「熱」
舞台は農場から体育館へ。
農業科3年生のダンスリーダーたちが中心となり、練習の指揮を執ります。
体育館に移動させた電子黒板には、スロー再生される振り付けの動画。
リーダーたちは画面を食い入るように見つめ、一つひとつの動きを確認します。
その表情からは、普段の実習中とはまた違う、行事にかける並々ならぬ「熱」が伝わってきます。
■至難の業「笑顔のメンタルをのせる」
複雑な振りを覚え、それを仲間に教えるだけでも大変な大役です。
しかし、リーダーたちが目指しているのはさらにその先。
ステップやキレといった「技術」以上に、いかにして「皆が楽しめる気持ち」や「笑顔でやり切れるメンタル」を、クラス全体に浸透させていくか――。
ただ正確に踊るだけでなく、見ている人も思わず笑顔になるような、農業科らしい一体感。
そのポジティブな空気感を全員で共有するのは、まさに至難の業です。
■歩み寄るリーダー、食らいつく仲間
「こないだやったとこだよぉ、頑張ろう!」
「今の動き、うまいうまい!」
「みんなできてる? わからない人いるかな?」
体育館には、リーダーたちの鼓舞する声と、周囲を置いていかないための細やかな気遣いが響きます。
一方、ダンスが苦手な生徒たちも、必死にリーダーの動きを追い、何度も手足を動かして食らいついていきます。
戸惑いながらも、教えに耳を傾け、一歩ずつ振りを揃えていく仲間たち。
高い目標を掲げ、クラスのために奔走するリーダー。
そして、その熱意に応えようと、苦手なりに一生懸命ついていく生徒たち。
互いに歩み寄りながら、一つのものを作り上げようとするその姿に、「やっぱり、この子達いいものもっているなぁ」と、改めて彼らの魅力を再発見した思いです。
■頑張れ! 農業科!
残された時間はあとわずか。
けれど、この試行錯誤と歩み寄りの時間が、本番で「最高の笑顔」が溢れ出すパフォーマンスに変わるはずです。
頑張れ、ダンスリーダー! 頑張れ、農業科3年生!
保護者の皆様、彼らが心を通わせ、笑顔で作り上げるステージを、当日どうぞお楽しみに!
夏を予感させる抜けるような青空。
じりじりと照りつける日差しに汗ばむ陽気の中、実習室周辺には準備で漂うオイルの香りが広がります。
やがて静寂を破るように響き渡るエンジン音――。
本日は3年農業科の「果樹実習」として、果樹園の草刈りを行いました。
■機械講習の成果を発揮!
今回の実習では、二人一組のペアを組み、15分交代で2セット実施。
使用したのは、安全性を考慮したナイロンコードのカッターです。
これまでに受けてきた機械講習の成果を、本番の現場で発揮するとき。
操作に慣れるまでは慎重に、けれど講習で学んだ知識を頼りに、着実に実習を進めていきました。
特に樹の株元は、機械を当てることなく草だけを刈る繊細なコントロールが求められます。
刈り払い機を自在に操る3年生の背中は、頼もしさを増していました。
■いよいよ春芽が動きだす
ふと視線を樹に向ければ、スイートスプリングの枝には無数の花の蕾がつき、開花はもう目前です。
主幹部からも勢いよく新芽が芽吹き出し、いよいよ春芽が本格的に動き出す鼓動を感じます。
■担当者の「わがままな願い」
実習を終え、スッキリと整った果樹園を眺めながら、ふと思うことがあります。
足元の草は、できることなら生えないでほしい。
でも、樹木の芽や花は、どこまでも旺盛に育ってほしい。
「草は枯れろ、芽は伸びろ」なんて、我ながらなかなかわがままな願いだな……と苦笑いしてしまいました。
しかし、そんな矛盾した板挟みの中にこそ、命を慈しむ農業の奥深さがあるのかもしれません。
講習の成果をしっかりと形にしてくれた3年生。
彼らの丁寧な実習のおかげで、スイートスプリングも気持ちよく開花を迎えられそうです。
二十四節気では、まもなく「穀雨(こくう)」を迎えます。
「百穀(ひゃっこく)を潤す春の雨」という意味があり、種まきを終えた田畑に恵みの雨が降り注ぎ、作物が力強く芽吹く大切な時期です。
今日は穏やかな晴天に恵まれましたが、ここ数日のしっとりとした雨のおかげで、農場の植物たちは潤いをたっぷりと湛え、日に日にその緑を濃く、大きく成長しています。
冬の刺すような冷たさが消え、風の中に初夏の湿度を感じるこの頃。
季節は着実に次へと動いています。
■ 三者三様、それぞれの「一歩」
新年度が始まって約二週間。
農場では各学年がそれぞれの「新しい顔」を見せてくれています。
● 1年生:まっさらな実習服と、学びの予感
先日、新入生たちの実習服の試着が行われました。
まだ糊の効いた、まっさらな実習服。
袖を通した時の少しはにかんだような、それでいてピリッと引き締まった表情が印象的でした。
彼らがこれから土に触れ、命を育てる「農業」という営みから、一体何を学び、どんな発見をしていくのか。
その成長の過程を見守るのが、今から楽しみでなりません。
● 2年生:葛藤を越えた先の「総合実習」
2年生は「果樹」と「草花」の班分けが行われました。
より専門的な学びへと足を踏み入れる大切な分かれ道ですが、人数の都合上、全員が希望通りというわけにはいきませんでした。
そんな中、全体のバランスを考えて自ら希望を変更してくれた生徒、そして面談を重ねて納得し、新たな道を選んでくれた生徒たちがいました。
自分の希望を譲り、仲間のために、そして科全体の学びのために一歩引いてくれたその姿勢に、深い敬意を表したいと思います。
その利他の心こそが、これからの実習をより豊かなものにしてくれるはずです。
●3年生:さらなる成長への「四日間」
そして3年生。
彼らは木曜日を除く週4日間、実習を伴う授業に臨んでいます。
農場の中心として動く彼らの動きには、もはや迷いはありません。
下級生を導き、最高学年としての確かな「自覚」を背中で語る姿は、後輩たちにとって何よりの道標です。
実習の多さは、それだけ命と向き開う時間が多いということ。
この濃密な日々を経て、彼らがさらに逞しく成長していくことを心から期待しています。
■ 志(ね)を張る季節
「穀雨」の雨が植物の根を強くするように、1年生の期待、2年生の思いやり、そして3年生の責任感という名の「志」も、この芦北の豊かな土壌にしっかりと根を張ろうとしています。
雨の日も晴れの日も、私たち農業科一同、焦らず、着実に、自分たちの「実り」を目指して歩みを進めていきたいと思います
「穀雨(こくう)」
雨を味方に、成長を加速させる芦北高校より。
じりじりと肌を焼く夏を思わせる日差し。
けれど、一歩木陰に入れば、頬をなでる春風の涼しさにホッとする。
そんな季節の変わり目を感じさせる空の下、今日は2年生にとって、初めての「果樹実習」が行われました。
■「はじめて」の連続
学校生活には慣れている2年生ですが、果樹園に一歩入れば、そこは未知の世界です。
●道具(鋏やノコギリ)の名称と正しい扱い方
●道具の置き場所、さらに徹底した片付け方
●果樹園の場所と、そこに並ぶ品種の名前
●実習日誌の書き方
覚えるべきことは山ほどあります。
特に果樹の実習では、鋭利な道具の使用やハウス内での高所作業、脚立の上での作業など、一歩間違えれば怪我に繋がる場面も少なくありません。
まずは何よりも「安全第一」。
その基本を体に叩き込むことから始まります。
■改めて感じる「3年生」の偉大さ
一つひとつ丁寧に指導しながら、ふと思い出したのは3年生たちの姿です。
安全を当たり前に確認し、流れるように準備と片付けを済ませる。
昨日も当たり前のようにこなしていたあの姿は、決して一朝一夕で身についたものではなかったのだと、2年生の初々しい格闘ぶりを見て改めて痛感しました。
「あいつら、実はすごいことやってたんだな……」
そんな思いが込み上げ、「明日の実習では、いつもより少し多めに3年生のことを褒めよう」と心の中で決めました。
■まだ、始まったばかり
慣れない手つきで甘夏の剪定に挑む2年生たち。
今はまだ、道具の名前を覚えるだけで精一杯かもしれません。
けれど、この一歩一歩が、いつか先輩たちのような頼もしい背中へと繋がっていきます。
始まったばかりの彼らの成長を、そして頼れる先輩へと育った3年生たちの姿を、これからもじっくりと見守っていきたいと思います。
あいにくの雨となった今日、実習室では2年生による「食品製造」の実習が行われました。
作るのは、爽やかな香りが広がる「甘夏マーマレード」です。
■丁寧な下準備から始まる
今日は仕上げに向けた大切な下準備。
まずは皮を一つひとつ四角く成形し、機械へ投入します。
すると機械からは、細長い短冊状にカットされた皮が次々と出てきます。
一方で、甘夏の実(じょうのう)は熱湯へと移されます。
「熱湯へ入れ、取り出す」
この実習工程を、3回。
その後、じっくりと熱湯で煮詰めていきます。次回はいよいよ仕上げの予定です。
■「なぜ?」から始まる学び
実習中、実を熱湯に入れている男子3人組に声をかけてみました。
「なぜ、3回も熱湯に浸すのかな?」
すると、生徒からは自信満々にこんな答えが。
「冷凍保存していたので、解凍してるんです!」
確かに、素材の状態を考えれば「解凍」も間違いではありません。
……が、あと一歩足りなかった!
そばにいた担当職員からは、すかさず愛のある訂正と嘆きが入ります。
「苦みを抜くためたいっ! 頼むから、話をきいといてくれよぉ……」
■工程の意味を考える
言われた通りに実習をこなすだけでなく、「なぜこの工程が必要なのか?」を考える。
「3回繰り返す」という手間には、甘夏特有の強い苦みを和らげ、最高に美味しいマーマレードにするための先人の知恵が詰まっています。
今回のユニークな回答も、本質を知るための大切なステップ。
「なぜだろう?」と疑問を持ち、先生の話をしっかり聞いて、その理由を深く考える。
そんな積み重ねが、技術だけでなく「食」に向き合う姿勢を育ててくれるはずです。
次回の仕上げ実習では、苦みがきれいに抜けた甘夏の香りが、実習室いっぱいに広がるのが楽しみです。
今日はあいにくの雨。
ハウスの中では昨日に引き続き、役目を果たした紐の撤去が淡々と進められています。
一方で、実習室は「不知火(しらぬい)」の出荷調整で活気づいています。
■卒業生から受け継ぐ「実り」
並んでいる不知火の多くは、この春に学び舎を巣立っていった先輩たちが、一年かけて大切に育て、2月に収穫してくれたものです。
収穫後の予措(よそ)、貯蔵、そして厳密な計量。
卒業生たちが一つひとつ積み重ねてきた丁寧な仕事のバトンを、今度は最高学年となった3年生たちがしっかりと受け取ります。
■一玉に込める「想像力」
出荷調整に臨む3年生たち。
検定を行い、一玉一玉を優しく拭き上げ、キャップを被せ、仕上げのシールを丁寧に貼っていきます。
「手に取ってくださる方は、どんな笑顔で食べてくれるかな?」
と想像を膨らませながら扱う手つきには、これまでの実習で培ってきた確かな優しさと責任感が宿っています。
先輩たちが守り抜いてきた実りを、最高の状態で届けたい。
外の雨音を忘れるほど集中した実習室で、3年生の手によって磨き上げられた不知火が、誇らしげに輝いています。
2月に「不知火」の収穫を終えたハウス。
今日は、役目を果たした麻ひもを、誘引用のワイヤーから撤去する実習です。
■地道な実習、時々「強敵」
外はまだ穏やかな春の陽気ですが、一歩ハウスに足を踏み入れると、そこには初夏を思わせる熱気と湿度が立ち込めていました。
汗を拭いながら、ワイヤーに結わえられた無数のひもを一つずつ切り取っていきます。
実習自体は淡々と進みますが、時折、思わぬ「伏兵」に遭遇します。
大半のひもはスルスルと解けるのに、ふとした拍子に、なぜかガチガチに固まってワイヤーに食い込んでいる結び目が……。
そんな時、静かなハウスのどこからか、ボソッとツッコミが漏れます。
「ちょ、誰やねん……こんなガチガチに結んだの(笑)」
「これ絶対、後の人のこと考えてないやろ〜」
格闘すること数十秒。
ようやくパチンと切り落とした瞬間、小さく漏れる「ふぅ」という溜息。
そんな光景が、実習のあちこちでポツリポツリと見受けられました。
■「苦戦」が教える、未来の知恵
この「たまにやってくる苦労」を通して、生徒たちは大切なことを学びます。
吊るす時にしっかり結ぶのはプロとして当然。
けれど、「解く時の効率」まで考えて結べてこそ、本当に仕事ができるということ。
「取りやすい結び方」を習得するのは簡単ではありませんが、その一工夫が、未来の自分や仲間の時間を生む。
その重要性を、頑固な結び目と対峙することで、身をもって実感したようです。
■スッキリの裏側にある「誓い」
「次はもっと、スマートに解ける結び方にしたる……」と心の中でリベンジを誓いながら、最後の一本まで地道に撤去。
ワイヤーがスッキリと整った頃には、生徒たちの手も、そして「効率への意識」も、ひと回り成長したように見えました。
次にこのワイヤーが使われるのは、さらに気温が高くなる夏。
今日の湿気と熱気は、まさにその季節が近づいている合図でもあります。
再びやってくる「玉吊り・枝吊り」のシーズンには、今日の苦戦を糧にした、機能美あふれる結び目がハウス中を彩るはずです。
── 相棒図鑑 其の参 「柑橘選果機」 ──
機械倉庫の二階。
薄暗い隅で、十年の眠りについていた一台の機械がありました。
収穫した果実を大きさごとに転がして仕分ける「選果機(せんかき)」です。
かつては本校の出荷を支えた功労者でしたが、いつしか時代の流れとともにその役目を終え、静かな隠居生活を送っていました。
「……もう一度、あいつの力を借りたい。機械があるなら、使わない手はないじゃないか」
その復活劇が始まったのは、まだ寒さの厳しい昨年の12月のことでした。
甘夏の収穫を前に、私たちは倉庫で眠る「古兵(ふるつわもの)」のもとを訪ねました。
大人の腰ほどの高さでどっしりと構えるその姿は、長い年月を孤独に耐え抜いた風格を漂わせていました。
クレーンで吊り上げられ、十年ぶりに地上へ帰還した老将。
入念に埃を払い、一箇所ずつ丁寧に油を差し直してスイッチを入れた瞬間、低く唸るようなモーター音が響きました。
それは、老将が再び誇りを取り戻し、力強く鼓動を始めた音でした。
もし、この相棒に心があるならば、再び鎧を纏(まと)い、豪快に笑っているかもしれません。
「十年間、倉庫の二階で出番を待っておったぞ。
油を差されれば、体も心も熱くなる。
まだまだ、若造には負けませぬぞぉー!
さあ、生徒たちの『一年の証』、一玉残らず見極めてくれよう!」
コンベアの上を転がり、ブラシに磨かれ、サイズごとの穴へと吸い込まれていく甘夏たち。
その規則正しく滑らかな流れは、不思議といつまでも眺めていられるような心地よいリズムを刻んでいます。
スマートな最新技術の「新しさ」はもちろん素晴らしいものです。
しかし、こうした古く頑丈な道具が、手入れによって何度でも息を吹き返し、現場の第一線で働き続ける姿にも、捨てがたい良さがあります。
生徒たちが丹精込めて育てた一年の成果を、一分の狂いもなく仕分け、次なるステージへと送り出していく。
その姿はまさに、最前線に復帰した百戦錬磨の老將です。
十年の眠りから覚めた「相棒」は、今日も実習室に力強いリズムを響かせています。
「古いからと諦めるのではなく、手を入れ、磨き上げる。その手間こそが、道具を『相棒』へと変えていきます」
今日も農場では、3年果樹専攻の生徒たちが「不知火(しらぬい)」の出荷準備に追われています。
■技術とテンポの真剣勝負
実習台に向かい、集中した面持ちで不知火の計量を行う生徒。
50g刻みで細かく分けられたコンテナへ、迷いのない手つきでテンポよく仕分けしていきます。
その一方で、専用の装置を使い、糖度と酸度を測る「非破壊検査」で品質検定を行う生徒も。
一玉一玉の個性に科学の視点で向き合い、最高の一品を選別していきます。
■出番を待つ「主役」たち
農場にある大きな貯蔵庫。
現在は3つの貯蔵庫が、出荷の出番を待つ不知火で天井近くまで埋め尽くされています。
この膨大なコンテナの山は、これまでの地道な管理の結晶です。
■同じ道を進む、妹たちへ
その中で、協力して実習を進める二人の生徒。
実はこの二人には、素敵な共通点があります。
なんと、明日の入学式で、それぞれの妹さんが同じ「農業科」へと入学してくるのです。
家では頼れる「お姉ちゃん」でしたが、明日からは同じ学び舎で、同じ志を持つ「高校の先輩」へと変わる二人。
「先輩としてのアドバイスは?」と尋ねてみました。
「高校生活は、本当に時間が経つのが早い。だから、一日一日を大切に、全力で楽しんでほしい。」
真剣な表情で語ってくれたその言葉には、この2年間を全力で駆け抜けてきた最上級生としての重みがありました。
■感動、そして……
まじめなコメントでビシッと決めてくれた後、ふと一人が呟きました。
「……次は、私らが(卒業式で体育館に)座るんかぁ。……絶対泣くわ。」
その言葉に、すかさずもう一人がツッコミを入れます。
「そっちは誰の卒業式でも泣くやろ!」
「あはは、確かに!」と弾ける笑い声。
静かな実習室に響いた、最上級生としての自覚と、卒業への実感、そして変わらない友情が交錯した、少し大人びた(?)昼下がりの一コマでした。
Global Series Vol. 3:Ashikita Seasons
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第3回は、3月9日の「不知火(しらぬい)の袋詰め実習」の記録です。
[Global Series Vol. 2:Bright Smiles, Blooming Together はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 3: Shiranui Citrus Packaging Practice (Mar 9th).
[Click here for Global Series Vol. 2:Bright Smiles, Blooming Together]
— Shiranui Citrus: Hand-wrapping Practice for the Coming Spring —
The air in the orchard has begun to soften, yet inside the practice building, the energy remains high, as if to say, "The real work is just beginning." Looking up, containers are stacked high, filled with golden "Shiranui" citrus, waiting for their turn to be shipped. The students' hands move rhythmically, carefully wrapping each fruit in a protective polybag.
During this practice, as they focus all their senses on their fingertips, a natural relaxation seems to take hold. Curiously, their hearts feel closer here than they do in the classroom.
"Sensei, I went to my sister's graduation ceremony the other day."
"Do you still remember the lyrics to your junior high school song?"
"Man, that sore throat from the flu was seriously brutal..."
From casual reports of daily life and lighthearted memories to serious discussions about their future paths, and even grand dreams of crossing the ocean—"I want to live in Korea someday!"
Their hands never stop, yet their expressions are far softer than those seen in the classroom. The way they handle each fruit with care seems like a reflection of their will to cherish and weave their own futures in the same way.
Practice is not merely a place to learn technical skills. Through the "Shiranui" citrus, we touch the rich inner colors of our students. Surrounded by these golden fruits, their dreams, too, begin to take shape.
We get to see expressions and hear thoughts that rarely emerge in a typical classroom setting. This "time for dialogue" is an irreplaceable charm of these practical lessons for us as educators as well.
二十四節気では、5日に「清明(せいめい)」を迎えます。
この季節を象徴する「清浄明潔(せいじょうめいけつ)」という言葉。
万物が清らかに、明るく生き生きと輝く季節という意味が込められています。
その言葉を体現するかのように、春休み中の農場では、新しい仲間を迎える準備が着々と進んでいます。
農業科の更衣室では、新一年生が気持ちよく最初の一歩を踏み出せるようにと、ロッカーの隅々まで丁寧に掃除し、場を清める生徒の姿がありました。
新しい風を最高の状態で迎え入れようとするその誠実な姿に、本校が大切にしてきた伝統の「土壌」を感じます。
■ 命を繋ぎ、輝きを創る
来週4月8日に挙行される入学式。
その式典を彩るため、実習棟ではフラワーアレンジメントの制作が行われていました。
制作に励んでいたのは、先月の卒業式でも見事なアレンジメントを手がけてくれた一人の生徒です。
普段から指導していただいている講師の方のアドバイスを真剣な眼差しで受け止めながらも、自ら考え、一輪一輪の花と対話するように向き合う。
その横顔には、春の柔らかな光に負けないほどの凛とした「輝き」が宿っていました。
皆さんは、花の軸を支える「ワイヤー」の存在を知っていますか?
美しい花を、最も輝く角度で、そして式典の間も長く咲き続けさせるために。
生徒は、見えないところで茎に細いワイヤーを巻き、軸を一本ずつ補強しています。
講師の教えを自分のものにしながら、迷いなく花を切り、挿していく。
その一連の動作の裏側にある、繊細で気の遠くなるような手間。
それは、自分たちが大切に育てた、あるいは誰かが想いを込めて育てた命を、自らの技術でさらに美しく昇華させ、新しい誰かへと繋いでいく尊い作業です。
「私にはとても真似できないな」と圧倒されるほどの集中力と、花を扱う優しい手付き。
卒業式からまた一歩、その技術と想いを深めた生徒の献身的な姿こそが、入学式というハレの舞台を本当の意味で輝かせる「魔法」なのだと、深い驚きとともに感動を覚えました。
■ 新しい「光」を待つ農場
清らかに整えられた場と、魔法をかけた花たちが、来週、新しい仲間という名の「光」を温かく迎え入れます。
新しい光が伝統という土を温め、土が光に応えて新たな命を育む。
この清明の季節にふさわしい、瑞々しい物語がもうすぐ始まろうとしています。
■ 輝く明日へ
万物がその命を輝かせる、この佳き日に。
生徒の誇らしい輝きを糧に、私たち農業科一同も、共に一歩ずつ成長していきたいと思います。
皆さまの周りでも、何か新しい「輝き」が見つかるような、清らかな春でありますように。
「清明(せいめい)」
万物の輝きとともに、新しい一歩を待つ芦北高校より。
4月1日。
新年度の挨拶と、期待と不安が入り混じった先生方のザワザワとした談笑。
熱気を帯びた空気の中で、新しい一年が幕を開けます。
午前中から息つく暇もなく始まる会議の連続。
分掌の実務、学級経営、膨大な年間実習計画……。
共有フォルダに積み上がるデータの山を眺めながら、正直なところ「おっと、これは……」と、頭がパンクしそうになっているのが本音です。
ようやく訪れた昼休み。
喧騒を離れ、呼吸を整えるように農場へと向かいます。
会議室の熱気とは違う、少しヒンヤリとした果樹の出荷調整室。
主役を待つ静かな食品製造実習室に響く自分だけの足音。
そして、温室内で鼻の奥をくすぐるサイネリアの香り。
誰もいない現場を歩きながら、
「正直、会議室にこもるより、ここで生徒たちと一緒に実習している方が、よっぽど性に合っているのになぁ……」
なんて、思わず苦笑いがこぼれます。
土と緑の匂いに触れて、ようやく少しだけ、深い呼吸が戻ってきます。
視界の端では、裏山を鮮やかに染める桜の薄桃色が、春風に優しく揺れています。
農業科の学びは、日々の実習という地道な積み重ねでできています。
新しい年度を迎えても、目の前の管理に一つひとつ丁寧に向き合い、毎日の実習を何よりも大切にすること。
その積み重ねの先に、生徒たちの心が満たされ、充実した顔で農場を歩く姿を目指します。
そうして一歩ずつ育んできた「実り」を、どう次へ繋げていくか。
生徒たちが登校し、農場に弾けるような活気が戻ってくるまで、あと数日。
令和8年度。
やるべきことは、山積みです。
けれど、そのすべてが、最後には生徒たちの笑顔に繋がっている。
そう信じるだけで、指先に少しだけ力が宿ります。
「カンッ」、と少し強く叩くエンターキー。
さぁ、始めますか。
芦北高校農業科 「品種名鑑」 #02
前回、芦北高校の「不知火(しらぬい)」こと「あしポン」をご紹介しましたが、実は本校の果樹園で「あしポン」として皆様にお届けしている主役たちは、ただの「不知火」ではありません。
その舞台裏を支えるのは、「肥(ひ)の豊(ゆたか)」と「不知火M16A」という、選りすぐりの二つの精鋭品種です。
見た目ではプロでも見分けがつかないほどそっくりな双子ですが、実は性格の違うこの二つの品種を、私たちが絶妙なタイミングでバトンタッチさせながらお届けしているのです。
この「リレー」の裏側を知れば、あなたも立派な「あしポン目利き」です。
■ 表には出ない、二つの生い立ち
「肥の豊(ひのゆたか)」
── 熊本生まれの「先行ランナー」
地元・熊本県で「不知火」を親として誕生しました。
名前の由来は「肥後(熊本)を豊かに」。
不知火譲りの濃厚な甘さはそのままに、酸が早く抜けるのが最大の特徴です。
シーズンの幕開けと共に、いち早く最高の味を届けてくれる、スタートダッシュのスペシャリストです。
「M16A(エムじゅうろくエー)」
── 科学の力で磨かれた「実力派アンカー」
国の研究機関で、元の不知火からウイルスを取り除き、より健やかに育つよう改良された系統です。
「M16A」というメカニックな名前は、その開発過程で付けられた管理番号。
驚異的な貯蔵性を誇り、冬を越えて春先まで美味しさをキープする、後半戦を支える頼れる守護神です。
■ 「どちらが届くか」は、プロの判断にお任せ
お客様には、お手元の「あしポン」がどちらの品種かは分かりません。
なぜなら、私たちは「その時、一番美味しい状態のもの」を、栽培方法と組み合わせて厳格に選別し、お届けしているからです。
・露地栽培
── 寒さが来る前に「年内収穫」
お正月の寒波で果実が凍らないよう、外で育つ露地ものは年内に一斉収穫します。
まずは足の速い「先行ランナー(肥の豊)」から順に旬を迎え、貯蔵のきく「アンカー(M16A)」へとバトンを繋いでいきます。
・ハウス栽培
── 樹の上でじっくり「2月収穫」
一方、ハウスものは暖かな屋根の下でさらにじっくり熟成させ、2月に入ってから収穫を迎えます。
露地栽培の在庫が終わる頃に、さらに濃厚な甘みが乗った「真打ち」として登場します。
■ 届いた一果に、物語を添えて
次に「あしポン」を手に取られた際は、ぜひその裏側にある「品種のリレー」を想像してみてください。
「今届いたのは、熊本生まれの先行ランナーかな? それとも後半を支える実力派アンカーかな?」
そんな風に、品種と栽培のドラマを語れるようになれば、あなたも立派な「あしポン目利き」です。
「届くまでのリレー。目には見えないけれど、繋がれたバトンの先には最高の『美味しい』が待っています」
■ 次回予告
次回は、冬の窓辺を彩る鮮やかな色彩。
草花専攻生が丹精込めて育てる「シクラメン」について詳しく紹介します。
お楽しみに!
自らの業務を片付け、食品製造実習室へと急ぎました。
今日の当番実習は、農業科2年生のシフォンケーキ製造。
……しかし、私が到着したときには、すでに製造の山場は越えていました。
オーブンから出てくる焼き上がりの瞬間にはなんとか立ち会えたものの、材料の計量や生地を混ぜ合わせる、あの繊細な実習プロセスを見届けることができず。
正直に言えば、実習を見逃した「残念さ」が残る到着でした。
けれど、ガランとし始めた調理場で、それ以上の驚きに出会うことになります。
担当職員が指示を出すよりも早く、誰からともなく、すいすいと片付けが始まっていました。
実習台を黙々と磨き上げる者、使用した器具を迷いなく洗浄する者、そして一列になって床を掃き清める者。
「次はどこをすべきか」「誰が足りていないか」を各自が周囲を見渡し、判断して動いています。
そこには、指示を待つ生徒の姿はありませんでした。
これは3年生としての「自覚」なのか、それとも担当者が積み重ねてきた「仕掛け」の成果なのか。
いずれにせよ、その淀みのない動きに、思わず感心していました。
私を含め2名の果樹担当者でも、ちょうど「新3年生は、自分で考えて動くようになったね」と話していたところでした。
食品担当者ともその話題になると、「本当に、成長が見られますよね」と、生徒たちの変化に深く頷き合いました。
もちろん、まだまだ改善の余地はあるかもしれません。
けれど、自分の役割を自ら見つけ、現場を動かしていくその逞しさ。
製造の核となる部分は見られず残念でしたが、もし間に合っていたら、私はこの「自ら考え、動く生徒たち」の静かな凄みに気づけなかったかもしれません。
工程が終わっていたからこそ出会えた、新3年生たちの頼もしい光景。
これからの農業科を背負って立つ彼らの飛躍に、確かな期待を寄せています。
明日、3月20日は二十四節気の「春分(しゅんぶん)」を迎えます。
太陽が真東から昇り、真西へと沈む日。
昼と夜の長さがちょうど半分ずつになり、明日を境に、私たちが見る世界は少しずつ「光の季節」へと傾いていきます。
私たち農業科の生徒が、栽培を学ぶ上で必ず出会う不思議な法則があります。
それは、植物たちが時計もカレンダーも持たずに、どうやって「今が咲く時だ」と知るのか、という謎。
その鍵を握るのが『光周性(こうしゅうせい)』です。
■ 植物たちの「こだわり」と、闇の魔法
植物には、それぞれ「このくらいの光の長さになったら花を咲かそう」という自分なりのルールがあります。
• 長日(ちょうじつ)植物
春から夏にかけて、日が長くなると「待ってました!」と花を咲かせるタイプ(ホウレンソウやレタスなど)。
• 短日(たんじつ)植物
逆に、日が短くなってくるのを感じて秋に準備を始めるタイプ(イチゴやキュウリなど)。
実は植物たちが測っているのは、光そのものではなく、光が途絶えた「連続した闇の長さ」です。
植物たちは、葉にあるセンサーで、一日のうちの「夜の時間」をじっと測っています。
春分という節目を過ぎ、闇が少しずつ短くなっていく……。
その微かな変化を感じ取り、「春が来た、今こそ芽吹く時だ」と、命のスイッチを入れるのです。
■ 幾万の夜を越え、新しい出逢いへ
果樹園の先にある「峰崎さくらの森」の大寒桜も、まさにこの闇の魔法を敏感に感じ取り、今、見事な淡紅色の花を広げています。
24年前、大松先生たちが植えられたあの苗木たち。
それから今日まで、巡り来る四季を二十四回。
三六五日の朝と夜を、幾千、幾万と積み重ねて、彼らはこの場所で静かに呼吸を続けてきました。
一晩たりとも休むことなく、凍えるような冬の闇さえもじっと数え上げ、光の訪れを信じて待つ。
その誠実な営みの果てに、今のこの美しい景観があります。
そして今、この桜たちは、もうすぐこの学び舎の門をくぐる新入生たちを迎えようと、その枝を精一杯に広げています。
■ 力を蓄え、躍動の春へ
明日の春分、農場は束の間の休息に入ります。
しかし、土の下でも、枝の先でも、植物たちの内なる時計は休むことなく時を刻み続けています。
私たちも、新しい仲間を迎える準備を整えながら、次なる農繁期への力を蓄えたいと思います。
皆さまもぜひ、足元に咲く小さな花が「どのくらいの闇を越えて、咲くスイッチを入れたのかな?」と思いを馳せてみてください。
「春分(しゅんぶん)」
闇の深さを数え、明日を待つ芦北高校より。
「自分の感覚だけで、5グラムを切り出せるか?」
甘い香りが立ち込めた食品製造の実習室。
今日の実習はクッキー製造です。
生地の計量から成型、焼き上げ、パッケージ詰めまで。
一連の工程の中でも、今日生徒たちが最も熱くなったのは、わずか「5グラム」という極小の世界との戦いでした。
実習中、私から生徒たちへ一つの挑戦を投げかけました。
「秤(はかり)を見ずに、目視だけで5グラムを測れるか?」
職人さながらの技術が問われるこの抜き打ちの挑戦に、私は二人の生徒に声をかけました。
一人目の生徒。
慎重に生地をちぎり、手のひらで転がします。
「これだ!」と自信を持って秤に載せた1回目は「7グラム」。
惜しい。
しかし、そこからの修正能力が光りました。
指先の感覚を研ぎ澄ませて挑んだ2回目。
表示された数値は、なんとピタリ「5グラム」!
実習室に小さな歓声が上がりました。
続いて二人目に声をかけます。
1回目、2回目と、結果は連続して7グラム。
「あと少しなのに!」という悔しさが表情に滲みます。
集中力を極限まで高めて迎えた3回目。
祈るように秤に置いた結果は……「6グラム」。
わずか1グラムの壁。
けれど、その「1グラム」の差にこだわり、一喜一憂する姿こそ、ものづくりに向き合う誠実さそのものでした。
たかが5グラム、されど5グラム。
普段は何気なく食べているクッキーも、こうして自分の手で均一に作り上げる難しさを知ることで、その一袋の重みが変わります。
成長のスピードや進み方は、一人ひとり異なります。
けれど、一歩ずつ技術を磨き、高い精度を追求しようとするその眼差しは、皆同じ「高み」を目指しています。
目指すは、機械よりも正確な「職人の目」と「魔法の手」。
ですが、何よりその指先に必要なのは、食べる人を想い、一グラムの差にこだわる「心」です。
焼き上がったクッキーの香ばしい匂いとともに、生徒たちの技術への探究心も、また一歩、美味しく焼き上がったようです。
「この葉の症状は、なんだと思う?」
温室に響く、東京農業大学・高畑健教授の鋭くも温かい問いかけ。
その瞬間、生徒たちの視線は、これまで見慣れていた「一葉」の奥にある「理由」へと引き込まれました。
本校が取り組む「ペピーノ」栽培。
その現場に立った教授の指導は、まさに発見の連続でした。
「この花は、蕾のときに振り落としてほしい」
なぜ、せっかく咲こうとする命を落とすのか。
その一言から、植物の生理、栄養の集中、そして「最高のひと果」を作るための勇気ある戦略が語られます。
生徒たちが日々土にまみれて感じていた「小さな気づき」が、学問という確かな裏付けによって、深い「知識」へとアップデートされていきました。
続く講義では、大学での学びやその先の広大な可能性についてお話しいただきました。
机に広げた大学のパンフレットを食い入るように見つめる生徒たち。
「今、目の前にある一株が、世界の農業課題に繋がっている」
そんなスケールの大きな視座が、生徒たちの進路への意識を静かに、けれど熱く塗り替えていきました。
講義が終わったあと、一人の生徒がポツリと、けれど晴れやかな顔で呟きました。
「マジで農大行こうかな」
その一言こそ、今日という日が彼らにとってどれほど刺激的だったかを物語っています。
栽培の「正解」を教わるだけでなく、情熱を持って研究するプロの姿に触れ、自分の未来を重ね合わせた瞬間。
芦北の温室は、間違いなく世界と、そして未来のキャンパスへと繋がっていました。
高畑教授、遠方よりお越しいただき、熱意あふれるご指導をありがとうございました。
「ペピーノ」が繋いでくれたこの特別な縁を糧に、生徒たちの夢もまた、鮮やかに色づき始めています。
農場に響き渡るエンジンの重低音と、鼻をくすぐる燃料の匂い。
目の前で巨大なトラクタが動き出すたび、生徒たちからは驚きと感心の声が上がります。
今日、2年農業科の生徒たちが向き合ったのは、泥にまみれ、汗を流して働くための力強い相棒——農業機械です。
JAあしきた様、株式会社やまびこ様、そして株式会社クボタ様をお招きし、農業機械講習会が開かれました。
農業高校生といえども、巨大な機械と向き合うのは勇気がいるものです。
しかし、ただ恐れるのではなく、正しく知り、正しい扱いを学ぶこと。
それが、自分と仲間の命を守る唯一の道です。
「農業機械は、安全が一番。一歩間違えれば命に関わる事故も起きる。
自分を守ること、そして周りを守ることが何より大切です」
JAあしきたの大園さんによる、現場の厳しさが滲む言葉から実習は始まりました。
続いて、株式会社やまびこの徳永さんより刈払機の正しい取り扱いについて。
そして、株式会社クボタの植田さんからはトラクタの取り扱いについてご指導いただきました。
特に大型のトラクタは、一瞬の油断が取り返しのつかない事故に直結します。
植田さんは、横転から身を守るための安全フレーム、体を固定するシートベルト、そしてヘルメット。
それら一つひとつの装備を正しく「扱う」ことが、なぜ命を繋ぐことになるのかを丁寧に説かれました。
ステップに足をかけ、高い運転席に座るその重みを、生徒たちは改めてその胸に刻んでいました。
講義が終わると、いよいよ実習へ。
刈払機では、作業前の点検項目や始動前のチェックポイント、安全な足の運び方を徹底して学びました。
トラクタの講習では、一人ずつ実際に運転席へ。
エンジンを始動させ、慎重にレバーを操作して前進・後退を繰り返します。
初めてトラクタを動かす生徒もおり、その視線の高さと、指先一つで巨体が動くパワーに、再び驚きの声が上がっていました。
「クラッチ」「PTO軸」「プライミングポンプ」「ストレーナー」
生徒たちにとってはまだ馴染みのない言葉ばかりかもしれません。
けれど、今はそれで大丈夫。
機械に対する「少しの恐れ」と、向き合うための「正しい知識」。
それさえあれば、自分を、そして仲間を守れます。
機械を正しく扱うことは、決して操作を覚えることだけではありません。
機械が発する小さな音や震えに意識を向け、レバーを握り、安全を確かめ、正しく動かす。
その一つひとつの所作に、相手(機械)と自分を思いやる心が宿ります。
「大切に扱えば、機械は必ず応えてくれる」
プロの言葉は、技術を超えて、プロとしての「敬愛」の教えのようにも響きます。
機械の取り扱いを学ぶことは、自分と仲間の命を預かる想像力を育むこと。
相棒の「声」を聴き、その力を正しく引き出す。
その実直な向き合い方の積み重ねが、安全を守り、確かな収穫へと繋がっていくのです。
勇気をもってトラクタに足をかけ、視点を高めることで学んだ、正しい取り扱いの極意。
この芦北の実習室で交わされたプロとの対話は、技術者として、そして一人の農業人として、大切な向き合い方を整える時間となりました。
最後になりましたが、熱心にご指導いただいた講師の皆様、そしてこのような貴重な学びの機会を支えてくださる芦北町総合支援事業に、心より感謝申し上げます。
「相棒の声に耳を傾けることもまた、農業なのだ」ということを学んだ一日でした。
今日は2年農業科によるミックスジャムの製造実習。
来週に開催される「デコポン祭」への出品に向けた、大切な準備です。
地域のみなさまと共に祭りを盛り上げたい、そんな思いで実習に励みます。
まずは全体説明を聞き、役割分担、器具の洗浄と手際よく実習を進める生徒たち。
工程の一つにクエン酸を加える実習があります。
担当職員から「色が変わるので注目」とのひとことが。
クエン酸を入れると、確かに鮮やかな色の変化が起こりました。
写真で見比べてみて、色の変化はわかりますか?
食品製造の実習には「化学の知識」が必要なのだと、改めて痛感する瞬間です。
その後は手分けをして瓶詰め実習へ。
瓶に詰め、内容量を微調整し、密閉。
担当者の厳しいチェックを経て完成です。
あとは後日、ラベルを貼ればいよいよ製品となります。
ですが、あまりの熱気と集中力のせいでしょうか。
ふと手元を見ると、瓶の口からジャムがあふれてしまう場面も。
ふり返れば、隣の生徒の帽子には、点々とジャムがはねた跡が残っていました。
そんなアクシデントも、一生懸命に実習に励んだ証です。
地域の方々に喜んでいただけるよう、生徒たちが知識と技術を詰め込んだこのミックスジャムは、来週の「デコポン祭」で販売します!
生徒たちの努力の結晶を、ぜひ会場で手に取ってみてください。
地域のみなさまとお会いできるのを、楽しみにしています!
ブログでの紹介がすっかり遅くなってしまいましたが、今、芦北高校では「町」と「企業」、そして「学校」ががっちり手を組んだ、大きなプロジェクトが進んでいます。
令和6年5月、芦北町、芦北高校、そして株式会社共立ソリューションズの3者は、「地域活性化に関する包括連携協定」を締結しました。
芦北の農業のミライを創るため、大きな一歩を踏み出したのです。
「不知火」プロジェクトの目標
この協定の大きな柱の一つが、芦北の名産「不知火」の研究です。
これまでの伝統的な育て方に加え、最新のテクノロジーを導入することで、
• 「高品質な不知火を、よりスマートに、より安定して育てること」
• 「気候変動や人手不足に負けない、持続可能な農業モデルをつくること」
これらを目標に掲げ、芦北高校がその「最先端の研究基地」となります。
その挑戦を現場でリードしてくれるのが、地域活性化企業人の石井裕美(いしい ひろみ)さん。
そして本日、ついに「不知火」の苗木の植え付け実習当日を迎えました。
今回の研究の舞台は、数年前の豪雨で被害を受け、ずっと使えなくなっていたビニールハウス。
多くの方々の協力を得て、最新の設備がそろった「驚きの研究室」へと生まれ変わりました。
実習が始まると、ハウス内は一気に活気に包まれました。
まずは、石井さんから、このハウスに備わった最新設備についての紹介がありました。
生徒たちは、これまでのハウスとは違う、自動で環境を整える「スマート農業」の仕組みに興味津々の様子です。
続いて、果樹担当から、「不知火」の苗木の扱い方や植え付けの正しい手順について説明がありました。
いよいよ植え付けのスタートです!
今回の実習では、生徒と芦北町の職員さんがペアを組み、一本ずつ丁寧に苗木を土へ据えていきました。
土に触れ、対話をしながら「ミライの研究」の土台を築いていく実習に、生徒たちの目もキラキラと輝いていました。
さらに、本日は教頭先生も実習に参加し、生徒たちと一緒に汗を流しました。
町、企業、学校。
みんなで力を合わせて、芦北のミライをつくる挑戦がいよいよ本格的にスタートです!
これから、芦北にはどんなミライが待っているのか、本当に楽しみです!
果樹園の空気も少しずつ和らいできましたが、実習棟の中は「まだまだこれから」という活気に溢れています。
視線を上げれば、積み重なったコンテナの中には、出番を待つ黄金色の「不知火」たちが、今か今かと山のように控えています。
一つひとつ丁寧に、リズミカルにポリ袋へ包んでいく生徒たちの手。
指先に全神経を集中させるこの実習の時間は、余計な力が抜けるからでしょうか。
不思議と、教室にいる時よりも心の距離が近くなります。
「先生、この間、妹の卒業式に行ってきたんですよ」
「中学校の校歌の歌詞、今でも覚えてる?」
「いやぁ、インフルの時の喉の痛み、まじできつかったっす……」
そんな日常の報告や、他愛もない思い出話。
さらには、進路の真剣な相談から「将来は韓国に住んでみたいんです!」という、海を越えた大きな夢まで。
実習の手を休めることなく、けれど表情は教室で見せるそれよりもずっと柔らかい。
一つの果実を慈しむように扱うその手つきは、自分たちの未来も同じように、大切に紡いでいこうとする意志の表れのようにも見えます。
実習は、単に技術を学ぶ場ではありません。
「不知火」を介して、生徒たちの内面にある豊かな彩りに触れる。
黄金色の果実に囲まれながら、彼らの夢も少しずつ、形を成していく。
普段、教室では見せることのない表情や、なかなか話せないことまで感じることができる。
そんな「対話の時間」こそが、私たち指導者にとっても、代えがたい実習の魅力です。
本日は入試採点日。
校内は凛とした静寂に包まれ、生徒たちの声も、足音も聞こえません。
採点処理の画面に向き合い、マウスのクリック音だけが規則正しく響く採点室。
ふと窓の外の「峰崎さくらの森」に目をやると、私の脳内では、こんな会話が勝手に動き出していました。
(ここからは、私の脳内フィクションです。)
春の柔らかな日差しが降り注ぐなか、「大寒桜」が咲き誇る山の上から、一人の女性が楽しそうに坂道を下ってきました。
近所に住む、花好きの「あし子さん」です。
「あらー、先生!山の上はたいぎゃ綺麗かったバイ!昨日のブログば見て、居ても立ってもおられんくなってね。24年も経つと、桜も立派な『大人』になっとるねぇ」
「あし子さん、お久しぶりです。満足げに下りてこられましたね」
「……で、あの中にある『あのお花』も、一緒に連れて帰りたかと思うてきたとたい。卒業式に飾ってあったつの、えらい『もぞらしか(可愛らしい)』ったもんねぇ。……先生、あいた、なんて名前やったかいね?」
「あし子さん、あれは『サイネリア』っていう花ですよ。和名では『富貴菊(ふうきぎく)』とも呼ばれていて、縁起もいいんです」
「そうそう、サイネリアたい!覚えたバイ!……で、先生、今日は買えるとね?」
「残念ながら、今日は入試で中には入れんとですよ」
「なら、あのサイネリアは、いくらね?」
「一鉢、450円ですよ」
「ばっ!そぎゃん安かつね!? 生徒さんの手塩にかけた花が、そがん値段でよかとね!? ……して、何色のあっと? うちの玄関に合うごつ、よか色のあっとよかばってん」
「紫にピンク、爽やかな青、それに白とのグラデーション……。まるで宝石箱をひっくり返したような、鮮やかな色が揃っていますよ」
「わっちゃー、迷うねぇ! なら、試験の採点の終わって門の開いたら、一番に買いに来るけんね! うちの玄関と台所に置く分と、お隣りさんにもあげたか。それから息子夫婦の分も……。あいた、一番よか色のつば『予約』しといてはいよ!」
「ははは、さすがはあし子さん、お目が高いですね。サイネリアの花言葉は『明るい笑顔』や『希望』。いつも元気で花を愛するあし子さんと、大切な方々へ贈るのに、これほど似合う花はありませんよ」
「わっちゃー!そがんとね!なら、ますます楽しみになってきたバイ!」
(ここまでが、私の脳内フィクション。)
……現実は、クリック音だけが響く静かな採点室。
もちろん、今日はあし子さんは来ませんが(笑)、温室の中では生徒たちが丹精込めて育てたサイネリアが、本当に出番を待ちわびて咲き誇っています。
■実習のポイント:サイネリア(シネラリア)
卒業式や入学式を彩る「春を告げる花」として知られています。
生徒たちが温度管理や水やりに細心の注意を払い、育て上げました。
宝石のような鮮やかさが特徴です。
現在、本校農場にてサイネリアを「絶賛販売中」です。
「あし子さん」のように、宝石のような色彩に驚き、大切な人へ「明るい笑顔」を届けたいという方は、ぜひ事前にお電話にてお問い合わせください。
採点という大きな仕事が終われば、また賑やかな農場が戻ってきます。
皆様からのお電話、お待ちしております!
連絡先(0966)82−2034 担当:松野、平松
先日、本校では卒業式が挙行され、3年生が晴れやかな表情で学び舎を後にしました。
先輩たちの賑やかな声が消え、少しだけ静かになった実習棟。
しかし、農場の時計は止まることなく、次なる季節の幕開けを告げています。
本日3月5日は、二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」を迎えました。
大地が温まり、冬ごもりをしていた虫たちが土の窓を叩いて、次々と顔を出し始める季節です。
■「三寒四温」の雨と、本格始動の号令
ここ最近は、暖かい日が続いたかと思えば、急に冷え込む雨が降る……。
まさに「三寒四温」を地で行くような天気が続いています。
一雨ごとに寒さが和らぎ、その雨が潤いとなって、土の下で眠っていた命を力強く揺り起こしているようです。
農業の世界では、この啓蟄こそが「本格始動」の号令。
果樹園の草刈りに向かうと、そこには鮮やかな「菜の花」が咲き誇り、その蜜を求めて「ミツバチ」が忙しく羽音を響かせていました。
しかし、命が動き出すのは喜ばしいことばかりではありません。
暖かさと共に、作物たちを脅かす「病害虫」もまた活動を始めます。
芽吹きの美しさに目を細める間もなく、防除や観察といった「守り」の作業に追われる日々が始まります。
この地道な戦いこそが、豊かな実りを支える屋台骨。
本格的な農繁期の到来に、身の引き締まる思いです。
■ 二十四年の時を繋ぐ、桜の記憶
果樹園で作業をしていると、ふと山手の方から淡い色彩が目に飛び込んできました。
「あぁ、もうそんな時期か」と斜面の上を仰ぎ見れば、果樹園のさらに先にある「峰崎さくらの森」が、山肌を優しく染め上げています。
誘われるように坂を登り、森へと足を運んでみると、そこにはすでに淡いピンク色の花を咲かせた、美しい桜の姿がありました。
傍らには、「大寒桜(オオカンザクラ)」という表記と共に、「大松 茂」という名が記されていました。
本校林業科の職員である大松先生です。
お話を伺うと、この桜は創立80周年の記念事業として植樹されたものだそうです。
今から約24年前、当時の先生方や生徒たちが、未来の芦北高校を想って植えた小さな苗木が、今ではこうして立派な樹となり、春の訪れを一番に伝えてくれています。
■ 受け継がれる「守り」のバトン
3年生が卒業し、新しい季節が始まります。
「さくらの森」がそうであるように、私たちが日々向き合うこの農場も、多くの先輩方が手塩にかけて繋いできてくださったものです。
その一本一歩の歩みを、これからは2年生(新3年生)が責任を持って引き継いでいきます。
三寒四温の雨が土を潤し、やがて豊かな実りを結ぶように。
24年という時間の経過と、そこに流れる伝統の継承を深く感じながら、春の良き日を噛み締めています。
「啓蟄(けいちつ)」
羽音とともに、明日への希望が膨らむ芦北高校より。
1・2限目の果樹実習。
まだ少し冷たい朝の空気の中、2年生たちが向き合っていたのは、黄金色に輝く「不知火(しらぬい)」でした。
今日の実習は、一玉ずつ丁寧にポリ袋に入れる「個包装」。
数日間にわたる「予措(よそ)」を終え、いよいよ長期の「貯蔵(ちょぞう)」へと入るための、大切な橋渡しです。
実習のポイント
「予措」とは、収穫した果実を一定期間置き、果皮の水分を適度に飛ばして乾燥を促す工程です。
これによって果実が引き締まり、貯蔵中の腐敗を防ぐことができます。
「貯蔵」は、そこからさらに寝かせることで酸味を抜き、まろやかな甘みを引き出すための時間です。
実習棟を見渡すと、生徒たちは皆、とても真剣な表情でした。
その手元には、真っ白な手袋。
「わずかに爪が当たるだけでも、果実には傷がついてしまう」
その緊張感を、言葉以上に、彼らの慎重な手つきが語っていました。
わが子を扱うようなその真剣な眼差しに、指導者として、頼もしさを感じるほどです。
これまでは、何かあればすぐに3年生の「先輩」に聞けばよかった。
けれど、もうここには先輩はいません。
これまでは「後輩」として背中を追ってきた彼らですが、この広大な果樹園も、芦北高校が守り続けてきた伝統の味も。
これからは、君たちの肩にかかっているんですよ。
袋に包んでいたのは、単なる果実ではありません。
それは、先輩から受け取った「責任」という名の重いバトン。
一玉一玉に集中して実習に没頭する彼らの横顔は、いつの間にか、立派な「農の担い手」の顔になっていました。
先日、卒業生に贈るためにみんなで真心を込めて箱詰めした「不知火」。
あの時感じた「贈る喜び」は、今日のこの地道な実習があるからこそ生まれるものです。
袋に包まれた「不知火」たちは、生徒たちの決意を閉じ込めたように、実習棟の中でつややかに並んでいます。
3年生がいない分、少し広く感じるこの場所で。
2年生たちの新しい季節が、確かに動き出しています。
来年は、君たちも不知火を「もらう喜び」を噛み締め、笑顔で卒業を迎えたいですね。
その日のために、この一玉を、自分たちの手で大切に守っていきましょう。
Global Series Vol. 2:Ashikita Connections
[JP]
芦北高校農業科の活動を世界へ届けるシリーズ。
私たちが大切にしている活動の記録を厳選し、月に一度、英語版としてお届けします。
第2回は、2月24日の「高齢者施設でのフラワーアレンジ交流会」の記録です。
[Global Series Vol. 1:Beyond One’s Sight, Into Our Shared Vision はこちら]
[EN]
Sharing the passion of Ashikita Agricultural High School with the world. Once a month, we present an English edition of our specially selected stories. Vol. 2: Flower Arrangement Exchange at a Local Senior Care Facility (Feb 24th).
[Click here for Global Series Vol. 1:Beyond One’s Sight, Into Our Shared Vision]
— 2nd Year Floriculture Students: Flower Arrangement Workshop —
On Tuesday, February 24th, second-year students from the Agricultural Department specializing in Floriculture visited a local senior care facility. They served as instructors for a flower arrangement workshop, putting their daily studies into practice.
For this event, the students carefully selected and prepared floral materials based on a specific theme, planning every detail to ensure the residents would enjoy the experience.
■ Powering Practice with Lessons from the Welfare Department
A vital part of this exchange was the collaborative lesson held beforehand with our school's Welfare Department. Thanks to their professional guidance on "respecting others" and "eye-level communication," our students were able to connect with the residents naturally and confidently.
We extend our sincere gratitude to the Welfare Department. Those lessons truly allowed "flowers of smiles" to bloom at the facility today.
■ The Difficulty of Teaching and the Joy of Connecting
After the session, students shared their honest reflections on the challenges and rewards of real-world experience:
* "Teaching while making conversation was harder than I imagined, but it was rewarding to stay smiling and create arrangements together at eye level."
* "Everyone listened to me with such kindness and smiles that my nerves disappeared. What I learned from the Welfare Department was incredibly helpful."
* "I got a bit confused trying to help multiple people at once. I want to learn even more about flowers so I can give smoother explanations next time."
While facing the difficulty of putting thoughts into words, the joy of "having a wonderful conversation" was even greater. The students learned the importance of heartfelt interaction, going beyond just technical skills.
■ Aspirations Nurtured by the Community
We would like to express our deepest gratitude to the facility staff and residents for welcoming our students so warmly. The students' newfound motivation to "learn more" and "become experts" was sparked by these warm interactions.
With the support of our community, another lesson in the Agricultural Department has blossomed into a rich, life-changing experience.
明後日の日曜日は、いよいよ卒業式。
今日は午前中に設営と予行が行われ、校内はいよいよ「その日」を迎える緊張感と寂しさに包まれました。
そんな中、農業科の2年生たちは、3年生への感謝を形にしようと、午後の時間いっぱいそれぞれの持ち場で大忙しでした。
一部の生徒たちは、3年生の教室へ。
終礼が終わってからも教室に残り、がらんとした黒板を、輝く未来へのエールで彩る装飾を担当してくれました。
何を描くかは自分たちで考えてくれたのですが、チョーク一本で描き出される世界は驚くほどダイナミックで、そして温かい!
黒板いっぱいに広がる大胆な構図と、そこにちりばめられた可愛いイラストたち。
みんなの自由な芸術的センスが爆発しています。
ちなみに、担任の私の一押しは……この写真に写っている、この「宇宙人」?
(何とも言えない絶妙な表情に、思わず笑みがこぼれてしまいました。笑)
最後は、教室を仕上げてくれたメンバーで記念にパシャリ。やり切った、いい顔をしています。
さて、その裏側では、ほかのメンバーたちもフル回転。
教室装飾と同時進行で、卒業生の胸元を飾るコサージュ作りや、式典の顔となるステージの巨大なフラワーアレンジ作成に打ち込みました。
見事な完成品は当日の様子をお伝えするブログでご確認ください。
「3年生のために」と、放課後の時間も惜しんで真剣に花材と向き合う姿は、もう立派な農業科のリーダー候補たちです。
さらに、農業科の卒業生には特別な贈り物を準備しました。
私たちが丹精込めて育てた、芦北の宝物「不知火(しらぬい)」です。
昨日、2年生果樹専攻生が「喜んでくれるかな」と一玉ずつ丁寧に、真心を込めて箱詰めしたものです。
卒業して、新しい生活が始まって、ふとした時にこの甘酸っぱい香りを嗅いで…… 芦北高校で過ごした、泥臭くも輝いていた日々を思い出してくれたら。
そんな願いを込めて送り出しました。
3年生、卒業おめでとう。
明後日、最高の門出になりますように!
〜 熟練技能者に学ぶ、2年生草花専攻生フラワーアレンジ実技指導 〜
農業科2年生の草花専攻生を対象に、フラワーアレンジメント講習会を実施しました。
本講習会は「熊本県職業能力開発協会」のご協力のもと、第一線で活躍される熟練技能者の方を講師としてお招きし、直接手ほどきを受ける貴重な実技指導の場となっています。
芦北高校ではこの「本物の技」に触れる機会を大切にしており、2年生で年間6回、3年生では年間10回という継続的な指導を通じて、基礎から応用まで着実にステップアップを図っています。
■ 「自分らしさ」を形にする。感性と個性の探究
今回の実技指導では、基礎技術の習得はもちろんのこと、生徒一人ひとりの「感性」を磨き、内に秘めた「個性」を表現することに重点が置かれました。
色とりどりの花材を前に、最初は戸惑っていた生徒たち。
しかし、熟練の技を持つ講師の先生から、花それぞれの個性を生かす捉え方や、自由な発想を大切にする姿勢について助言をいただくと、実習室の空気は一変しました。
・高低差を活かしてダイナミックな流れを作る生徒
・繊細な小花を重ねて、静かな奥行きを表現する生徒
・色彩の調和にこだわり、独自の美意識を追求する生徒
熟練の技術に裏打ちされた自由な表現を間近で見ることで、生徒たちは「正解」をなぞるのではなく、自らの感性で作品を創り上げる喜びを深く実感していました。
■ 確かな技術指導への感謝と、深まる「寄り添う心」
全6回の講習を経て、2年生の生徒たちは見違えるほど成長しました。
道具の扱いといった基本所作から、空間を捉える造形力まで、熟練技能者の方による丁寧な実技指導が、生徒たちの自信へと繋がっています。
実は、こうした日ごろの真剣な学びが、先日の「高齢者施設でのフラワーアレンジ交流会」でも大いに生かされました。
プロから学んだ「花を通じて心を届ける技術」や「相手の感性を尊重する姿勢」があったからこそ、利用者の方々の笑顔を引き出すことができたのだと、改めて実感しています。
【あわせて読みたい】高齢者施設での交流会の様子はこちら
ご指導いただいた講師の先生、そして派遣いただいた熊本県職業能力開発協会の皆様、厚く御礼申し上げます。
プロの厳しさと温かさに触れるこの時間は、生徒たちが将来、農業やものづくりの担い手として、また心豊かな表現者として羽ばたくための大きな糧となりました。
来年度、3年生になれば全10回のさらに高度な講習が待っています。
今回磨いた技術と感性を大切に、さらなる高みを目指して歩みを進めていきます。
〜 北海道大学&先端企業と描く、未来の農業体験 〜
本日、本校農業科にて「スマート農業研修」を実施しました。
本研修は、本校卒業生が北海道大学に勤務されているご縁で始まり、今年で早くも3回目を迎えます。
開会行事では、校長先生が若かりし頃に在学されていた先輩との絆についても触れられ、伝統と未来が交差する特別な一日となりました。
■【午前】データと最新技術が変える農業の姿
座学では、北海道大学の星野教授やヤンマーアグリジャパン様より「経験と勘の農業から、データに基づいた再現性のある産業への変革」について学びました。
また、サングリン太陽園様による北海道の広大なドローン活用事例や、NTT e-Drone Technology様による最新の獣害対策など、スマート農業の最前線を凝縮して吸収しました。
■【午後】五感で学ぶ!最先端の「実学」を体感
午後は武道場と圃場に分かれ、最新機器の音や振動を肌で感じるローテーション研修を行いました。
① 農業用ドローン(NTT e-Drone Technology)
圃場では、実際に水を使った薬剤散布デモンストレーションを見学しました。
プロペラが空気を切り裂く力強い風圧と、低く響くローター音。
頭上を通過する瞬間の迫力に、生徒たちからは「おぉー!」と驚きの声が漏れます。
均一に、そして力強く水が噴霧される様子を間近に見て、空から行われる効率的な農作業の形をリアルに体感しました。
② ドローンサッカー体験(サングリン太陽園)
武道場ではドローンサッカーに挑戦。
球状のガードに包まれた機体を操りますが、これが至難の業。
スティックをほんの数ミリ動かすだけで、機体は敏感に反応して大きく揺れ、あらぬ方向へ。
生徒たちは機体の挙動を必死に目で追い、プロポを握る手にじわりと汗をかきながら、繊細かつダイナミックな操作に格闘。
最新技術を「操る」難しさと面白さに没頭していました。
③ 走行アシストトラクタ・ラジコン草刈機(ヤンマーアグリジャパン)
トラクタ試乗では、エンジンの心地よい振動を全身で感じながら、最新の運転支援技術を体感しました。
1.指示を受けて乗車:高い運転席からの視界に、背筋が伸びる思いでハンドルを握ります。
2.旋回後にこの「魔法のボタン」を押す:旋回を終え、基準線に合わせてスイッチをON!
3.手を放してもまっすぐ進む:ゴツゴツとした土の感触をタイヤが拾いながらも、ハンドルが勝手にスルスルと回り、寸分違わず直進。
自分の手を離れているのに意志を持って進む機械の動きに、感動が広がります。
4.見てください、全員まっすぐの走行跡です:実習を終え、振り返ると圃場には完璧に等間隔で引かれた直線の山。
自分たちの「操縦」がデータと融合して描いた美しい景色に、農業の新しい形を確信しました。
感謝を込めて
北の大地よりお越しいただいた北海道大学の皆様、そして情熱的なご指導をいただいた企業の皆様、誠にありがとうございました。
五感で刻んだこの貴重な学びを、これからの実習や自身の進路に力強く活かしていきます!
この度、JAグループ熊本様より、農業を学ぶ高校生の学習に役立ててもらうために農業用機材をご寄贈いただきました
全体の贈呈式(3月9日)に先立ちまして、個別の本校の方で贈呈式を行いました
本校はバッテリー式刈払機2台とチェーンソー2台を寄贈していただきました
校内で行われた贈呈式では、JAグループ熊本の担当の方から「これからの熊本の農業を支える若い力に、ぜひ役立ててほしい」と温かい激励の言葉をいただきました
受け取った生徒代表も、新しい機材を前に「これからの日本の農業を背負っていけるように、新しい機材と共に頑張ります」と、目を輝かせながら抱負を語ってくれました
いただいた機材は大切に安全に生徒の実習に使わせていただきます
JAグループ熊本様本当にありがとうございました
〒869‐5431
熊本県葦北郡
芦北町乙千屋20-2
熊本県立芦北高等学校
管理責任者
校長 草野 貴光
運用担当者 広報部
TEL 0966-82-2034
FAX 0966-82-5606
E-mail
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URL http://sh.higo.ed.jp/ashikita
学校からの緊急連絡(休校、授業打切り等)、各種連絡、資料・アンケート等について、学校・保護者間連絡システム「すぐーる」にて配信しております。
また、欠席・遅刻等についても本システムから連絡いただくことが可能になっております。