今年3月、本校と日本製紙株式会社がガッチリ手を組んだ「産学連携協定」。
今回は、その日本製紙グループの株式会社豊徳様が、本校の果樹実習のためにと特別に送付してくださった高品質な特殊肥料「みみず太郎100」を使い、農業科2年生が土作りに挑戦した様子をお届けします!
・学校ブログはこちら:[日本製紙との産学協定について]
【問いから始まった驚きの授業】
授業の冒頭、まずは生徒たちに謎のサラサラした粉末を配布。
「これ、何だと思う?」と問いかけてみました。
実際に触ってみた生徒たちからは、次々とリアルな声が飛び交います。
「めっちゃサラサラ!」
「なんも臭わんよ?」
「土……? でも、火山灰じゃね!?」
「なんかコーヒー粕っぽくない?」
みんなであれこれ予想を膨らませたところで、「実はこれ、ミミズのフンなんだよ」と答えを明かすと、教室からはまさかの真実に「ええーっ!?」と大歓声が!
女子生徒からは「触っちゃったぁ〜!」と、ちょっとした悲鳴もあがっていました(笑)。
【すごいぞ!「みみず太郎100」の秘密】
ひとしきり盛り上がったあとは、授業担当からこの肥料のすごさについて詳しい説明がありました。
この「みみず太郎100」は、シイタケを育て終わったあとの廃菌床に牛糞や米糠を混ぜて発酵させ、それをミミズに食べてもらい、その糞土を集めて作られた究極のリサイクル肥料なのです。
この肥料のおかげで、
・土がふっかふかの「団粒構造」になる
・有機物たっぷりで、土のなかの微生物のエサが豊富になる
という素晴らしい効果があることを学び、生徒たちも「触っちゃった」驚きから、一気に「これ、めちゃくちゃ凄い肥料なんだ!」とリスペクトの目に変わっていました。
【いざ果樹園地へ!紅甘夏と柚子に想いを込めて】
仕組みを理解したら、さっそく果樹園地に移動して実習スタートです。
今回は園地にある5本の紅甘夏(ベニアマナツ)と、10本の柚子(ユズ)の樹をターゲットに施用を行いました。
プロの担当者の方から「紅甘夏1本につき6〜5kgがベスト」とアドバイスをいただき、今回の5月下旬(1回目)と、次回11月(2回目)の計2回に分けてじっくり施肥していく計画です。
2年生は、先ほど五感で確かめた肥料を、樹のまわりへ丁寧に一握りずつ撒いていきました。
生徒たちからは、
・「サラサラで全然堆肥っぽくなくて、めっちゃまきやすい!」
・「触り心地が良いけど、手にたくさんついて爪の中まで入っちゃいました(笑)」と、実際に泥臭く実習に励んだからこそのリアルな感想が。
「この肥料をたくさん吸って、甘夏たちに元気に育ってほしいな」と願いを込めながら、無事に1回目の施用を終えました。
今後は、この「みみず太郎100」を施用した紅甘夏と、そうではない通常の樹との間で、葉の繁り方や実の付き方、そして糖度などにどんな変化や違いが現れるのかを、しっかりと継続して観察・比較していく予定です。
【オフショット:実習の合間のスマイル】
実習の合間のひとコマにも、2年生らしい明るい笑顔があふれていました。
なんと、わずかな休み時間を使って、みんなで四葉のクローバー探しがスタート。
「そんな短時間で見つかるわけが……」と思いきや、
「あった!見つかった!」とまさかの大発見(笑)。
見つけるんかいっ!と突っ込みたくなるような強運を発揮していました。
ふかふかの土作りは、さっそく幸せを運んできてくれたようです。
また、施用実習を終えた男子生徒たちが仲良く一列に並んで休憩している様子も。
ひたむきな実習と、こうした爽やかな笑顔のオン・オフの切り替えが、農業科2年生の素敵なところです。
最先端の企業の技術と地域からの温かい応援を、教室でのワクワクする学びへと繋げ、それを「美味しい農産物」という形で地域へお返しする。
芦北高校農業科では、こんな地域とのリアルな結びつきを大切にしながら、これからの食と環境を支える知恵を「創造」しています。
特別にいただいた肥料の力を借りて、これから果樹たちがどんな変化を見せてくれるのか、今から観察の時間が待ちきれません。
株式会社豊徳様、日本製紙株式会社の皆様、素敵な贈り物を本当にありがとうございました。
生徒たちの夢と驚き、そして探究心をのせてスタートした新しい土作り、これからの果樹たちの成長をどうぞお楽しみに!
来月6月23日(火)・24日(水)の2日間にわたり開催される「令和8年度 第77回熊本県学校農業クラブ連盟年次大会」。
今年度は私たち芦北高校が「担当校(開催校)」を務めるため、校内では着々と準備が進められています。
本日は、この記念すべき地元開催の舞台に向けて地道な努力を重ねる、農業科3年の「2人のトップランナー」をご紹介します。
【朝:県連会長としての決意と、野菜での全国リベンジ】
大会の公式ポスターを掲げるのは、熊本県学校農業クラブ連盟の「県連会長」を務める高野くんです。
「県連会長として発表者の皆さんが発表しやすい環境を作れるように、芦北高校農業クラブ員一同頑張ります」と、頼もしい決意を語ってくれました。
そんな彼は一人の競技者として、7月28日の「農業鑑定競技会(分野:野菜)」での全国出場を目指しています。
昨年あと一歩で全国を逃した悔しさをバネに、現在は朝早くから自主登校して自習に励む日々。
隣の席で「農業技術検定」の勉強に集中するクラスメートと互いに刺激し合いながら、「昨年の反省を活かして、今年は全国目指します」と、静かな教室でひたむきにペンを走らせています。
【放課後:未来へのビジョンを言葉に宿す学校代表】
一方、日の傾きかけた放課後の教室でストップウォッチを握り締め、練習に励んでいるのが「意見発表会」で学校代表を勝ち取った内田くんです。
日頃の学びから導き出した「スマート農業を導入した稲作・畜産の複合経営」という熱いビジョンを、7分間の限られた時間で伝えるため、一言一言の表現力を研ぎ澄ましています。
体育大会では農業科の団長を務め、空手道部では未経験から全国の舞台に立った内田くん。
持ち前の不屈の精神を原稿に込め、本番のステージを見据えて熱い声を響かせています。
朝の光のなか、クラスメートと机を並べて知識を蓄える高野くん。
放課後の教室で、自らの言葉と未来に向き合う内田くん。
努力する時間や目指す舞台は違えども、同じ志を持った3年生の2人が、これからの日本の食と農を「創造」する担い手として、今、最高の輝きを放とうとしています。
大会まであと1ヶ月。
朝夕の努力を背に突き進む2人への温かい応援を、よろしくお願いいたします。
「先生、これ本当に切って良いんですか?」
「ホントにこれ……? もったいなくない?」
「なんでこれ切るん?」
本日5月26日(火)、3年農業科の「果樹」の実習園地。
5月の爽やかな青空とは裏腹に、飛び交っていたのは生徒たちの戸惑いと驚きが入り混じったリアルな声でした。
この日行われたのは、露地「不知火(シラヌイ)」の剪定実習。
例年に比べると少し時期が遅れての実施となりましたが、最高学年となった生徒たちは、真剣な表情でノコギリを握り締め、樹木へと向かい合いました。
【チョークの印を追いかける、ノコギリの音】
果樹栽培において、実の付き方や樹の寿命そのものを左右する最も重要な実習、それが「剪定(不要な枝を切り落とす実習)」です。
今回の実習では、指導する実習教師がチョークを使い、切るべき太い枝に一本ずつ「印」を付けていきました。
生徒たちの役割は、その印をめがけてノコギリを入れ、枝を落とすこと。
ーーギコギコ、ギコギコ。
ーーバサッ!
切り方そのものは非常にシンプルで、迷う余地はありません。
しかし、先生が迷いなく付けるチョークの印を見るたびに、生徒たちのノコギリを持つ手はどこか不思議そうで、実習は慎重に進んでいきます。
「切る場所」を自分たちで選んでいるわけではないからこそ、一本切り落とすたびに「なぜここを落としたのだろう?」と、その断面を真剣に見つめる生徒たちの目が印象的でした。
【「さっきの樹とぜんぜん違う!」答え合わせは数年後】
一本の樹の剪定を終え、隣の樹へと向かった生徒。
しかし、次の樹の前に立った瞬間、ある重大な事実に気がつきます。
目の前の枝ぶりをまじまじと見つめながら、ポツリ。
「さっきの樹とぜんぜん違うじゃん!」
これこそが、生きた自然を相手にする農業の難しく、見事な奥深さ。
教科書のページを開けば、理想的な樹形が綺麗な図やイラストで描かれています。
しかし、実際の園地にある「不知火」の樹は、一本として同じ形のものはありません。
成長の歴史、日当たり、風の抜け方――目の前の樹々はまさに、教科書の図とは全く違う「生きた樹が書いた難解な問題集」そのものです。
しかもこの問題集、普通の勉強とは違って、すぐに答え合わせをすることができません。
今日落とした枝の判断が正しかったのか、本当の「答え」が出るのは、次の季節、あるいは数年後の実りの姿となって現れます。
そんな簡単にはいかない時間軸のなかで「切る場所を選ぶ」というのは、先生が何年もかけて泥臭く培ってきた、文字通り職人技の領域なのです。
【限られたチャンスだからこそ、泥臭く「解き続ける」】
この「剪定」の機会は、一年にたったの一回。
高校生活の3年間をすべて合わせても、多くて3回しか訪れない、極めて貴重な瞬間です。
当然、たった1回や2回、この実習をなぞっただけで、数年後に答えが出る難問を完璧に解き明かせるような世界ではありません。
「一度でわかることではない」からこそ、生徒たちの頭の中に撒かれた「なぜ?」という探究の種が宝物になります。
この限られたチャンスのなかで何度も樹に向き合い、泥臭くノコギリを動かし続けること。
その一瞬一瞬の継続だけが、教科書を超えた本物の技術を育ててくれます。
「なぜだろう?」と立ち止まり、生きた自然の複雑さと、時間とともに導き出される答えの重みに感動すること。
芦北高校農業科では、こうした教科書には載っていないリアルな「問題集」に真っ向から挑むことで、生徒一人ひとりが未来を生きる知恵を「創造」しています。
実習が終わる頃、生徒たちが落とした枝の隙間から、心地よい初夏の光が差し込んでいました。
数年後の最高の答え合わせを目指して、3年生の挑戦はこれからも続いていきます。
本日5月25日(月)の6限目。
外は「爽やか」という言葉が吹き飛ぶほど、ジリジリと強い日差しが肌を焼き、じっとしていても汗が止まらないほどの暑さとなりました。
そんな中、農業科の農場や実習室を少し覗いてみました。
すると、外の猛暑に負けない熱気で、1年生から3年生までがそれぞれの専門科目に向き合い、まさにバラエティ豊かな「多彩な学び」を同時に展開していました。
学年を追うごとにステップアップしていく、活気あふれる授業風景をご紹介します。
【1年生:農業と環境】栽培を支える土台!植物の器官を学ぶ
高校生活にもすっかり慣れてきた1年生。
この時間の「農業と環境」では、学校の農場でも栽培している「スイートコーン(トウモロコシ)」を題材に、植物の器官(体のつくりや各部位の役割)についての学習を行っていました。
これからの実習や栽培を支える大切な理論の第一歩。
慣れない専門用語や複雑な植物の構造を真剣にノートに書き留め、丁寧に図を描いていく姿は、すっかり未来の農業人の顔です。
自分たちの手で美味しい作物を育てるための知識を、しっかりと頭に叩き込んでいました。
【2年生:草花】 教科書とワークシートで探究する「園芸療法」
続いて2年生の「草花」の授業を覗いてみると、栽培技術からさらに一歩進んだ、植物の応用価値について考えていました。
テーマは、植物をとおして人の心や体を元気にする「園芸療法」です。
花を育てること、その美しさや香りが人間の心身にどのような好影響をもたらすのか。
生徒たちは教科書とワークシートに向き合い、集中してペンを走らせていました。
「私たちが育てる草花で、誰かを笑顔にできるかもしれない」という、植物が持つ福祉的な新しい価値を、一人ひとりが自分のなかにしっかりと落とし込む実直な時間となっていました。
【3年生:食品製造】地域を五感で加工する!地元の宝「甘夏」の実習
最後に3年生の「食品製造」の加工実習室へと足を運ぶと、そこには最高学年らしいプロフェッショナルな空間が広がっていました。
挑んでいたのは、地元・芦北の誇る特産品である「甘夏」を使った加工実習です。
衛生管理を徹底した白衣に身を包み、一房ずつ丁寧に剥いていく姿は、まるで本物の食品工場の生産ラインさながら。
地域の大切な資源を預かり、付加価値の高い製品へと生まれ変わらせるこの実習は、3年生がこれまで磨いてきた技術と集中力が試される瞬間です。
外の暑さを忘れるほどの緊張感のなか、お換いに声を掛け合いながらテキパキと動く姿に、最上級生としての頼もしさが溢れていました。
1年生の「これからの栽培を支える器官の学習」、
2年生の「知見を深める園芸療法の探究」、
そして3年生の「地域に貢献する製造実習」へ。
同じ時間、同じ暑さのなかでも、芦北高校農業科では多角的な視点から「食と農」を学び、未来を切り拓く力を「創造」しています。
これからも生徒一人ひとりが個性を輝かせながら成長していく日常を、少しずつ地域にお届けしていきます。
【「最初はグー!」実習室に響く、お昼前の熱きバトル】
「じゃんけんぽん! よっしゃあー!」
本日5月22日(金)、4限目の終わりを告げるチャイムが鳴る直前、農業科3年生の男子生徒たちが集まるテーブルから、地鳴りのような歓声が湧き上がりました。
ペコペコに空いたお腹を満たすため、目の前にある極上の肉を誰が勝ち取るか――。
高校生らしい元気いっぱいのじゃんけんバトルが勃発した瞬間でした。
一見、賑やかな調理実習のご褒美タイムに見えるこの光景。
しかし実はこれ、地域の最重要産業を五感すべてで学び尽くす、非常に贅沢で真剣な特別講座の締めくくりだったのです。
【専門科目がないからこそ、貪欲に学ぶ「畜産」】
時計を少し巻き戻して、3限目。
この日、農業科3年生を対象に開催されたのは「あか牛出前講座及び試食会」です。
水俣市肉用牛繁殖農家の友田勝久様をはじめ、JAあしきた、芦北町農林水産課、芦北地域振興局の皆様をお招きしました。
現在、芦北高校農業科には「畜産」の独立した専門科目がありません。
だからこそ、大型モニターに映し出される「黒毛和牛」や「褐毛和種(あか牛)」の特徴、枝肉の格付方法、数値を左右する飼料(米ぬか)の影響など、最前線の知識に生徒たちは貪欲に耳を傾け、熱心にメモを取っていました。
普段の授業では触れる機会の少ない未知の領域は、生徒たちにとって非常に新鮮で、大きな刺激となります。
【五感を揺さぶる!4限目の贅沢な試食会】
知識を頭に叩き込んだ後は、お待ちかねの試食(官能評価)へ。
用意されたのは、贅沢にも次の2種類のモモサイコロステーキです。
A:黒毛和牛(あしきた牛)
B:くまもとあか牛
お昼ご飯前の空腹という「最高のスパイス」も手伝う中、フライパンにお肉を落とした瞬間、「ジューッ!」と弾ける小気味よい音が室内に響き渡ります。
立ち上る芳醇で香ばしい香りの湯気が鼻腔をくすぐり、じわじわとあふれ出る美しい肉汁のきらめきが食欲をそそります。
トングを持つ手にも、お肉の柔らかさと確かな弾力が伝わってきました。
焼く工程までは、みんなで「ワイワイ」と笑顔を交わしながら、素材そのものの破壊力抜群の香りに五感を刺激されていきました。
【一転して「静寂」へ。自分の味覚と向き合う時間】
しかし、いざ試食が始まると、先ほどまでの賑やかさが嘘のように、実習室は一瞬にして心地よい緊張感に包まれました。
「普段、2種類のお肉を食べ比べすることはあまりないので、すごく楽しい!」
そんなワクワクを胸に秘めながらも、生徒たちは一切れごとに口直しのお水を飲み、無言で自分の味覚と実直に向き合います。
これこそが、味の違いを正しく見極める「消費者型官能評価(味覚テスト)」の真剣勝負です。
試食を終えるとすぐに各自タブレットへと向かい、集中した様子でアンケート調査票へ評価を入力していきました。
その後、感想を聞くと実際に味わった生徒たちからは、
「わたしはあしきた牛の方が好き。味が濃くジューシー!」
「私はあか牛派。柔らかくて食べやすかった!」
「真剣に悩んだけど、結局どっちもうまい!」
といった確かな舌応えが。
――そして、すべてのデータ入力を終えて張り詰めていた緊張の糸が解けた直後、冒頭の賑やかな「じゃんけんバトル」へと繋がったのです。
地域の豊かな自然と生産者の熱意が育んだ、誇るべき2つのブランド牛。
普段は学ぶ機会のない「畜産」という分野に触れ、楽しむところは全力で楽しみ、見極めるときはプロの目で真剣に向き合うという、メリハリのある素晴らしい実習となりました。
命をいただく感謝の気持ちを胸に、今回の学びをこれからの探究へと繋げ、地域の未来を「創造」していく3年生。
素晴らしい刺激をくださった講師の皆様、本当にありがとうございました!
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