校長室からの風(メッセージ)

2017年12月の記事一覧

献血ボランティア

献血ボランティア

~ 「人間を救うのは、人間だ。」~
 

 12月8日(金)、熊本県赤十字血液センターから医師、看護師などスタッフの方が献血バス等で来校されました。多良木高校は青少年赤十字活動協力校として、毎年師走に献血ボランティア活動を行っています。先ず1限目相当時間に、後藤善隆医師から「献血セミナー」として生徒に講話を行っていただきました。

 会場の第1体育館は気温が低く冷たい環境でしたが、ユーモアを交えながらの後藤医師のわかりやすく親しみやすい語りに生徒は熱心に聴き入っていました。難病の子どもが輸血してもらうことで少しでも豊かな最期を懸命に生きる映像が流され、血液とは「命をつなぐバトン」という言葉が胸に迫りました。後藤医師が改めて、「献血」という言葉の巧みさに言及されたことも印象に残りました。自らの血液を無償で活用してほしいと誰か不特定の人にささげる「献血」という行為はまさにボランティアそのものだと強調されました。

 2限目以降、年齢や体重等の条件を満たした3年生44人が献血に協力しました。今の3年生の中には看護師や作業療法士等の医療従事者を目指して大学、専門学校に進む生徒が10人ほどいます。赤十字血液センターの看護師さんをはじめスタッフの方々の仕事ぶりに接することは生徒にとって学びの一歩となったことでしょう。

 さて、日本赤十字社のスタッフの方の名刺には「人間を救うのは、人間だ。Our world , Your move.」という言葉が印字されています。深い意味のある言葉だと感じます。国内の大規模災害現場、あるいは国外での災害、紛争地域での支援活動に率先して赴かれる日本赤十字社の方々の精神と行動に心から敬意を表します。


 


地区住民の方との合同防災避難訓練

住民の方との合同防災避難訓練 

 12月7日(木)の午後、本校としては初めて地元住民の方との合同防災避難訓練を実施しました。今年度、全ての県立高校が防災型コミュニティスクールとなったことからの取り組みです。本校が位置する多良木町六区の区長さん方と6月から4回協議し準備してきました。本校防災主任の上原教諭が区長さんと綿密に打ち合わせをして避難訓練の計画を作り、この日を迎えました。私も県から支給された防災服を着用し緊張感をもって臨みました。

 午後1時50分、地震発生を知らせる模擬音響を校内放送で流し、訓練開始です。一時避難場所の校庭に生徒は午後2時に避難完了。今回の地震が大規模であり近隣に大きな被害が出ているという想定で、第二段階に移ります。地区の公民館に避難されている住民を迎えに行く住民誘導班が車いす5台を携え出発。また、逃げ遅れている人がいないか確認する地域見回り班が5グループに分かれ出発。残った生徒と職員で第1体育館を二次避難所として設営開始し、椅子や布団、災害時用備蓄の水、乾パンを用意しました。さらに、災害時に手軽に食べられるα米の用意を女子生徒10人が調理室で行いました。

 午後2時30分頃、地区の公民館から住民の方が生徒たちに誘導されて来校。高齢の方、歩行が不自由な方の5人は生徒支援の車いすでの移動でした。そして、体育館入り口の受付で氏名を記入していただき、救護班の健康観察によって①体調良好、②体調不良、③病院搬送待機に区別し、体育館内のそれぞれのエリアに案内しました。しかし、およそ50人の住民の方々が来校されたため、この受付付近が混雑し、少し混乱が生じました。

 午後2時50分、準備ができたα米を係の生徒が住民の方、次に生徒に配布して防災避難訓練は終了。午後3時、体育館内で、訓練を視察された多良木警察署、上球磨消防署、そして六区区長の長田さんから講評があり、散会となりました。師走の平日にも関わらず、50人もの住民の方々がご協力頂いたことに深く感謝申し上げます。「高校生と手をつないで学校まで避難してきたので心強かった」、「高校が近くにあることは頼もしい」等の感想を住民の方からいただきました。初めての試みでしたが、所期の目的は達成できたと感じました。多良木高校は、閉校まで地域と共に在り続けたいと思っています。

      
        住民の方にα米を手渡す生徒たち

 


三椏(みつまた)の里、槻木

三椏(みつまた)の里、槻木(つきぎ) 

 多良木高校の卒業証書は三椏(みつまた)を原料とした手すき和紙で作られています。今年度の卒業証書の和紙製作の依頼に、多良木町槻木(つきぎ)地区を訪問しました。槻木地区は多良木高校から南におよそ20㎞離れたところにあります。多良木町の南の端に当たり、地図で見るとこの地区だけが宮崎県域にぐいと入り込んでいます。槻木地区は住民が120人ほどで高齢化率は77%に達し、住民自らが「限界集落」と称される所です。

 槻木を訪ねるのは容易ではありません。県道143号を球磨盆地側から上り、曲がりくねった細い道を走行し、標高780mの槻木峠を越えなければなりません。途中、木材を積んだトラックに出合うと離合ができず、道幅の広い場所までバックしなければならず、運転に神経を使います。しかも、現在は、峠付近が工事中で、日中、通行できる時間帯が規制されているのです。けれども、訪ねる度に素朴で清らかな山里の風情に魅了されます。

 手すき和紙を作っていらっしゃるのは椎葉袈史さんです。お仕事は林業で、ご自分の山を槻木に所有されています。昨年度まで多良木町教育長を務められました。椎葉さんの手すき和紙の一番の特徴は、原料が三椏(みつまた)である点です。一般的に和紙の原料は楮(こうぞ)ですが、楮より三椏の方が上質のものができるそうです。三椏は育ちにくいとも言われますが、槻木地区の土壌や気候が合うのか、昔から自生しています。今は、椎葉さんが自分の山をはじめ植樹されており、やがて槻木は「三椏の里」と呼ばれることになるかもしれません。

 椎葉さんのご自宅の庭にも三椏が育っています。三椏は枝が三つに分かれることからその名称がおこり、高さは大人の背丈ほどが一般的で、最大でも2mくらいだそうです。ご自宅の三椏は枝ごとにちょうど蕾が付いていました。花は春先に咲くとのことです。手すき和紙作りもこれからが佳境だそうです。多良木高校の卒業証書用に、校章の鳩の絵柄を透かしで入れて頂いています。「この透かしの技がうまくいかない」と椎葉さんは笑っておられましたが、地元の三椏で作られた手すき和紙の卒業証書を卒業生に手渡す日が待ち遠しく思われます。

          椎葉袈史さんと三椏の木(左肩後方)

 

事故の怖さを実感する交通安全教室

事故の怖さを実感する交通安全教室 

 12月5日(火)、2学期期末考査最終日。この冬一番の強い寒気に球磨地域は覆われました。冷たい風が吹く中、午後、多良木高校グラウンドで「スタントマンを活用した交通安全教室」を開催しました。熊本県警察本部とJAくま(球磨地域農業協同組合)の共催によるもので、参加者は本校生(2,3年)と球磨支援学校高等部の皆さんです。高等部の生徒の皆さんは、先週も本校野球場でティボールを楽しむスポーツ交流を行っており、二週続けての来校です。

 この交通安全教室の特色は、スタントマンによる交通事故の迫真の再現です。日頃トレーニングを重ねているスタントマンだからこそできる身体を張った危険な演出となります。歩行者と自転車、自転車と自転車、自転車と自動車といった幾つものパターンによる交通事故の再現が行われ、その度に被害者役のスタントマンは身を投げ出し、道路に転倒します。迫力ある事故シーンを見学していくことで、改めて、私たちは交通事故の恐ろしさを実感していきます。そして、生徒の皆さんが事故の怖さを正面から受け止めることによって、日頃の「まあ大丈夫だろう」という甘い認識や油断を捨て、交通安全に関してより慎重に注意深くなるように変化を期待するものです。

 私たちが暮らす人吉球磨地域は、犯罪や災害が少なく、人情も厚い平和な故郷です。しかし、最も心配されるのが交通事故です。今年度、多良木町やあさぎり町で交通死亡事故が続いていることは憂慮されます。生徒たちの話を聴くと、自転車でスピードを出しすぎた時、不用意に角を曲がる時、あるいは信号のない横断歩道を渡る時など「ヒヤリ」・「ハット」の経験が多いようです。生徒の皆さん達には、絶対に交通事故の被害者に、もちろん加害者にもなって欲しくありません。

 交通事故は一瞬で起きます。事故を防ぐにはどうすればよいのか。およそ一時間半の交通安全教室は、「どんな事故も基本的な交通ルールを守っていれば防ぐことができる」というメッセージを伝えていました。