校長室からの風(メッセージ)

2017年10月の記事一覧

神輿を担ぐ多高生 ~ 伝統文化は新しい

神輿をかつぐ多高生 ~ 伝統文化は新しい
 

 「せいやー、せいやー」と勇ましい掛け声をあげ、神輿をかつぐ多良木高校3年生。沿道から「高校生がんばれー」の声援や拍手、そして時にはバケツやホースで水をかけられます。揃いの法被姿の生徒たちは肩の痛みに耐え、汗を流しながら、満面の笑顔で気勢をあげます。10月20日(金)の午後、多良木町恵比須神社の秋の大祭の神輿が国道219号を練り歩きました。

 わが国には八百万の神様がいらっしゃると云いますが、恵比須神は私たち庶民に最も親しまれる神様ではないでしょうか。恵比須神は生業守護の福神とされ、特に漁民、商人によって広く信仰されています。多良木町の中心地、役場の近くに恵比須神社があります。明治時代後期に商人の方たちが創られたと伝わっています。近年、多良木町ではこの恵比須神(地元では「えべっさん」の愛称)を町の活性化と商売繁盛のシンボルと定め、町内各所に様々な「えびす像」が設置されています。その数は十基を超え、いずれも福々しい笑顔満面の像であり、思わず気持ちが和やかになり、多良木町の名所となっています。

 多良木町恵比須神社の秋の大祭は例年10月20日から21日にかけて賑やかに行われます。10月9日を中心に開催される人吉市の青井阿蘇神社の「おくんち祭り」には、歴史、規模、格式等で遠く及びませんが、上球磨地域では毎年、多くの人が楽しみにされているお祭りです。毎年こども神輿4基、大人神輿10基が参加しますが、恵比須神社奉賛会の特別の計らいで商工会、町役場、公立病院等に交じって、多良木高校の男女がそれぞれ神輿を担ぐのです。

 継承者不足で地域の伝統行事が次々なくなっていっていると聞きます。しかし、適切に機会を設ければ、若者にとっては郷土芸能も伝統文化も新鮮なものに映り、興味をもって参加する姿が見られます。10月上旬に本校で開いた文化祭では、人吉市の鬼木臼太鼓踊り保存会にステージで踊りを披露していただきました。同保存会では小学生から高齢者までが一緒になって郷土芸能を継承されており、小学生たちの踊りも見事なものでした。

 高校生にとっては出会うものがすべて新しいのです。多くの出会い、多様な体験を用意するのが私たち学校の使命と考えています。