2016年2月の記事一覧
共に楽しむ ~ 球磨支援学校とのスポーツ交流
共に楽しむ ~ 球磨支援学校とのスポーツ交流
立春は過ぎましたが、学校のある多良木町を囲む山々は冠雪しているものもあり、吹き下ろす風に思わず「春は名のみの風の寒さや」(早春賦)と口ずさみたくなります。しかし、そのような北風が吹く中、2月17日(水)の午前、多良木高校野球場では球磨支援学校高等部と多良木高校の生徒の歓声がやむことはありませんでした。
毎年恒例となった球磨支援学校高等部と多良木高校2年1組(体育コース・福祉教養コース)との交流活動が行われました。球磨支援学校も同じ多良木町にあり、1学期5月の「くましえん運動会」と2学期10月の「くましえん祭」には多良木高校からボランティアの生徒が多数訪れます。そして3学期の2月には高等部の生徒達が多良木高校を訪問して、スポーツ交流をするのです。今回は高等部の生徒30人が徒歩で来校してくれ、正門で出迎えた多良木高校2年1組40人の生徒と交流活動を行いました。
近年はティーボールというニュースポーツに取り組んでいます。ティーボールは野球に似ていますが、投手はおらず、本塁プレート後方に設置した細長い台の上にボールを載せ、それを打って走るのです。その他のルールはほとんど野球と変わりません。ティーボールの一番の良さは、誰もが一度は打者として順番が回ってくるところです。即ち、必ず出番があるのです。走れない人には代走を立てることもできますし、打球が遠くに飛ばない人のために、手前にホームランゾーンが設けてもあります。
球磨支援学校の生徒と多良木高校の生徒が混じって四つのチームを作り、自己紹介をした後、二試合実施しました。野球のルールをよく知らない生徒もいて(多良木高校の女子生徒にもいました)、珍プレーが続出し、笑いの絶えない試合となりましたが、支援学校の男子生徒の中には、見事な守備を見せ、称賛を浴びる生徒もいました。球磨支援学校の小川校長先生によると、野球が好きな生徒は、広い多良木高校野球場でティーボールができることをとても楽しみにしていたとのことでした。
同じ地域で学ぶ両校の生徒が自然体で共にスポーツを楽しみ、交流を深める姿はまことに爽やかです。2時間の交流が終わり、両校の生徒同士で写真を撮ったり、握手したりと別れを惜しみ、支援学校の生徒たちが歩いて帰るのを手を振って見送りました。
あなたは主権者です ~ 卒業していく皆さんへ
あなたは主権者です ~ 卒業していく皆さんへ
「校長先生、もし、戦前に女性に選挙権があれば戦争は止められたのではないかと私は思います。」と3年生の女子生徒が私に語ってくれたことがあります。昨年6月に公職選挙法が改正され18歳選挙権が成立して、そのことをどう思うかと私が尋ねた話の中での発言でした。この生徒は、選挙権の重みをよく理解していると思いました。
改正公職選挙法は今年6月に施行されます。そして翌7月には参議院議員選挙が予定されています。高校における主権者教育は待った無しの状況です。昨年末には総務省と文部科学省の共同で作成された教材『私たちが拓く日本の未来』が全国の高校生に送られてきました。1、2年生はこのテキストを副教材として使用し、これから主権者教育を計画的に実施できますが、3月1日に卒業する3年生にはその余裕はありません。3年生は1月下旬に卒業試験を終え、2月1日から家庭学習期間に入っています。そこで、2月9日の登校日に、私が講師役を買って出て、18歳選挙権に関する特別授業を実施しました。
「あなたは主権者です ~卒業していく皆さんへ」と題し、私が作成したパワーポイントの12枚のスライドを中心に、テキスト『私たちが拓く日本の未来』も参照しながら3年生に話をしました。
◆ 選挙権拡大の歴史から先人の努力を知ってほしい
◆ 権利は責任を伴う、棄権しないでほしい
◆ 一人一票の重みを感じてほしい
◆ 選挙運動は公職選挙法に基づきモラルとマナーを持ってほ
以上のような重点項目に言及し、結びに学校は政治的中立の場であることを強調し、まとめました。限られた時間で少々堅い内容を伝えなければならず、果たして3年生の皆さんの胸に私の言葉がどれだけ届いたか心許ない次第です。
しかし、皆さんは卒業して主権者となるのです。世界では18歳選挙権が主流です。日本の若い世代も、地域の暮らしから広く社会のことに関心を持ち、選挙権を活用して、未来を創っていくことができると期待します。自らの参加で社会が変えられかもしれない、という意識を持って、人生最初の選挙に臨んでください。
進路体験報告会
近未来の自分が見えると頑張れる ~ 進路目標を定めよう
人は、近未来の自分が見えると頑張ることができると言われます。近い将来の希望を持てれば前向きな気持ちになり、力が発揮できるのです。しかし、高校3年間は自分探しの期間と形容されるように、考えが揺れ動きます。多くのことを学び、知り、そして体験する中で、自分の興味、関心も変化し、本当にやりたいことは何か、自分でもわからなくなる時があります。大いに迷い、考え、様々な人の助言、指導を謙虚に受け、最終的には「よし!」と自分の進路を決めなければなりません。
2月3日(水)の6限目に進路体験報告会を開催し、1、2年生は、3年生の代表6人の今年度の進路体験を聴く機会を得ました。企業に内定が決まっている生徒は、3年間の成績評定の重みや、学校を欠席しないことの大切さ等が語りました。看護専門学校に進む生徒からは、進路目標を決定するまでの紆余曲折が具体的に語られ、進路について親と早い時期から相談しておいた方が良いとの助言がありました。大学進学の生徒の一人は、第一志望の大学に落ちた時の悔しさに触れると共に、なぜ不合格となったかについて冷静に分析する内容でした。
6人とも共通して、勉強を頑張ることはもちろん、部活動、ボランティア活動、そして資格試験に積極的に取り組むことが必要だと後輩に伝えてくれました。自分の体験に基づいた話しですから、借り物ではない、気持ちのこもった言葉でした。身近な先輩の言葉は大きな力があります。1、2年生も真剣な表情で聴く態度が印象的でした。
進路体験報告会の翌日、進路指導室の廊下に置いてある今年度の求人票を2年生の生徒たちが見ながら、進路についてお互いで話しをする姿を見かけました。また、ある1年生は「すぐに進路目標は見つからないかもしれません。けれども、焦らないようにします。進路目標が決まるまで、先ずは自分の実力を高めます。」と私に話してくれました。
3年生が、1,2年生の気持ちに火を付けてくれました。バトンは確実に後輩に手渡されたと思います。
オール多良木で挑んだ高校城南駅伝大会
「オール多良木」で挑んだ高校城南駅伝大会
熊本県高等学校城南地区新人駅伝競走大会のゴールのシーンはまことにドラマチックで、思い出す度に興奮してくるほどです。
女子のアンカーの椎葉さん(1年)が8位で本渡運動公園陸上競技場に帰って来ました。トラックで苓明・天草拓心高校合同チームを抜き、さらに人吉高に迫りましたが、あと一歩及ばず7位でゴール。倒れ込んで悔し涙を流す椎葉さんをサポートの生徒たちが励まし支えました。
男子のアンカーの西君(1年)は、先頭の球磨工業に続き、八代東高の選手と競り合いながら2位で競技場に帰って来ました。最後のトラック一周、両校の生徒たちの声援が飛び交い、私も八代東高校の校長先生もお互い応援。西君は身体一つ分リードを保ち、ゴールイン。生徒たちも感激して駆け寄りました。
1月30日(土)、天草市で熊本県高等学校城南地区新人駅伝競走大会が開催されました。男子は第61回、女子は第22回を数える伝統ある大会で、今回は男子30チーム、女子は22チームがエントリーし、多良木高校も男女共に出場しました。小規模校ゆえに陸上部の長距離選手だけでは人員が不足するため、5つの運動部(サッカー、バスケット、バレー、野球、ソフトテニス)から協力を得て、言わば「オール多良木」で挑んだのです。
本渡運動公園陸上競技場をスタート、ゴールとし、午前9時30分に女子がスタート。5区間12㎞を全員が懸命にたすきをつなぎました。そして午前10時50分に男子がスタート。1区の那須君と4区の村上君の区間賞をはじめ6区間20㎞を全員が上位の走りを見せ、2位を勝ち取り歓喜にわきました。
1月24日(日)から25日(月)にかけて天草地方でも大雪が降り、学校は臨時休校、道路も通行止めが相次ぎ、城南駅伝大会の開催を危ぶむ声も上がったそうです。大会前日の29日(金)も終日雨でコンディションが心配されましたが、大会当日は朝から雨が上がり、次第に陽光が差し始め、青空が広がりました。風の強い海沿いのコースを苦しい表情ながら強い意志の力で走りきる選手の姿は輝いて見えました。午後には気温も上がり、まるで春の陽気となりました。高校城南駅伝大会が天草に春を呼び覚ましたのです。
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄