校長室からの風(メッセージ)

2015年11月の記事一覧

書道パフォーマンス

書道パフォーマンス

 昭和30年(1955年)4月1日に多良木町と久米村、黒肥地村が合併し、現在の多良木町が成立して60年が経ちました。去る11月21日(土)午前に多良木町の合併60周年の記念式典が町民体育館で挙行され、私もお招きを受けました。姉妹交流の北海道南幌町の町長さんのような遠来のお客様をはじめ総勢400人ほどの出席者で会場は埋まり盛大な会でした。

 多良木町の合併当時の人口は2万人を超えていたそうですが、現在は1万人を辛うじて維持している状況です。町名のとおり「多くの良い木がある町」として檜、杉等の良材を産出し、木材の集散地としてかつて賑わいを見せた多良木町も人口減及び少子高齢化が進んでいます。しかし、60周年ということは人間の年齢でたとえるなら還暦を迎えたことになり、新たな出発を意味します。松本照彦町長も「健康で、明るく、住みよい、誇りの持てるまちづくり」の実現に向けて決意を示されました。合併60周年記念の小、中学生の作文でも、日本遺産に認定された豊富な文化財や清らかな風景、厚い人情などに思いが寄せられ、純粋な郷土愛が綴られていました。

 式典終了後、町総合グラウンドに移動し、合併60周年記念「たらぎ農林商工祭」開会式に出席しました。そして、このオープニングステージに多良木高校書道部が出演し、音楽に合わせて筆を揮うパフォーマンスを披露しました。書道部5人と吹奏楽部1人(トランペット)で、きびきびとした爽やかな演技を見せ、創り上げた作品は次のような言葉が並びました。

 いつも私たちを見守ってくれてありがとう

 多良木高校で日々成長し

 夢に向かって進んで行きます

 多高プライドを胸に


 いつも応援してくださっている地域の皆さん方への感謝の気持ちと未来に向かっての意志が伝わってきます。会場から盛大な拍手が送られる中、壇上に立つ生徒たちの姿がとても頼もしく見えました。


 


 

オープンスクール

オープンスクール

 地域に開かれた学校を多良木高校は目指しています。「情報処理」の授業の社会人聴講制度や「書道」の社会人公開講座などについては以前に御紹介しました。本校は上球磨地域の生涯学習の拠点でもあると自負しています。学校がオープンであることは、とても大切なことだと考えています。多くの方が来校され、生徒の学校生活の様子を御覧いただきたいと願っています。注目されることで人は良い緊張感を持って生活します。授業も密室で行われてはいけません。ガラス張りの中、授業も行われるべきなのです。

 多良木高校オープンスクールを11月17日(火)に実施しました。午前中は多良木町の町議会議員、教育委員会、そして小中学校の校長先生、学校評議員、同窓会の方々に授業を自由に参観いただきました。午後は、生徒の出身中学校の先生方、そして保護者の方々に授業参観をしていただき、その後、中学校の先生方と1年生との中学校別座談会も行いました。

 高校の授業については、昔ながらの一斉講義式も残ってはいますが、アクティブ・ラーニングという言葉に象徴されるように生徒の主体的、協働的な学びを引き出せるようなスタイルに変化してきています。パソコン、プロジェクター、あるいは電子黒板等のICT(Information and Communication Technologyを活用したり、グループ別に話し合わせ発表させたりと多様な授業が展開されます。学習内容も、例えば科目「生活と福祉」では認知症予防の説明があっており、参観者の方の興味を引いていました。このように学校生活の中心である授業を保護者の皆様はじめ地域の方々に参観していただくことで、高校の授業の方法、内容が変わってきていることを知っていただき、まことに有意義でした。

 「生徒の表情が良い」、「一人一人が大切にされていると感じた」、「挨拶がとても気持ち良い」、「落ち着いた雰囲気で楽しく授業を受けている」等、参観者の方からは概ね肯定的なアンケート結果をいただきましたが、まだまだ課題はあると思っています。これからも常にオープンスクールの精神で、開かれた学校づくりを進め、地域の方々から「わたしたちの学校」と愛されるように努めたいと思います。


 

しっかり歩く ~ 強歩会

しっかり歩く ~ 強歩会

 秋の上球磨、中球磨の道を全校生徒で歩き通す「強歩会」を11月6日(金)に実施しました。球磨郡特有の濃い朝霧の中、朝7時40分に学校を出発。6チェックポイントを経て学校へ帰ってくる28㎞の行程に班別(5~7人)で挑みました。私も最後尾で歩きました。

 第1チェックポイントの王宮神社(2.3㎞)では全員まだ余裕がありましたが、第2チェックポイントの栖山観音堂(7.3㎞)では急な石段が待ち構えていて、最初の難関となりました。そして、最大の難所は多良木町からあさぎり町深田に至る通称フルーティーロード(大規模農道)の約8㎞の道のりでした。ここは路肩が狭いうえに、走行する車両の多くはスピードを出しており、神経を遣いながら歩かなければなりません。そのため、心身共に疲れる区間です。途中、諏訪神社(11.5㎞)、勝福寺跡毘沙門天堂(14.3㎞)のチェックポイントで小休止を取りました。フルーティーロードに別れをつげ、深田小学校前を通り、球磨川の左岸に渡って、第5チェックポイントのめいはた橋下にたどり着いた時は安堵感に包まれました。生徒たちに笑顔が戻り、河川敷で昼食。

 復路は球磨川沿いの快適なサイクリングロードをひたすら多良木町に向かって歩きます。空は高く澄み、球磨盆地を囲む山並みはくっきりと稜線まで見えます。球磨川の清流、河岸のすすきの群生、稲刈りが終わった田、時折見かける牧牛とゆっくりと景色が移っていきます。歩きながら、「何と平和で豊かな里だろう」と実感しました。

 後半、1年生女子の生徒が足を痛め、大幅にペースダウンしましたが、3人の友達がその生徒に寄り添うように一緒に歩き、完走を目指しました。私もすぐ後に付いて励まし続けたのですが、多良木の町がなかなか近づいてこない感覚があり、これが歩くということだなあと思いました。最後は幾人もの職員が一緒に歩き始め、午後4時30分に多良木高校正門に到着しました。最も早くゴールした班から2時間遅れましたが、参加者全員が見事に歩き通したことを喜びたいと思います。ゴールは遠くに見えても、一歩一歩、友達と励まし合いながら進むと必ず目的地に着くことができるという体験、これが強歩会です。疲れても、足が痛くても、仲間がいたから歩き通したという自信が生徒たちのこれからの高校生活を支えてくれると信じています。
               (フルーティーロードを歩く)

襷(たすき)をつなぐ ~熊本県高校駅伝大会

襷(たすき)をつなぐ ~ 熊本県高校駅伝大会

 10月31日(土)に、熊本市の「うまかな・よかなスタジアム」(熊本県民総合運動公園陸上競技場)をスタートゴールとして熊本県高等学校駅伝大会が開催されました。多良木高校も男女ともに出場し、私も沿道を移動しながら声援を送りました。

 女子は午前9時30分スタート、5区間で約21㎞走ります。本校は女子の長距離選手は3人しかいませんが、普段は陸上部のマネージャーをしている2人の生徒がこの駅伝大会に向けて練習を重ね、5人そろい出場を果たしました。。また、男子は午前11時20分スタート、7区間でマラソンと同じ42.195㎞走ります。男子の長距離選手は6人で、1人足りませんでしたので、脚力ある野球部の生徒に加勢してもらいました。男女ともに懸命の走りを見せ、結果は女子27位、男子24位でゴールしました。

 駅伝は日本発祥の競技ですが、今や「EKIDEN」という言葉は世界に知られています。正月恒例の大学生の箱根駅伝大会は国民的行事となりました。襷をつないで長い距離を走り継ぐ駅伝は、一人一人に強い責任を求めると共に全体のまとまり、チームワークが必要とされます。苦しくとも襷をゴールまでつなぐための精一杯の走りに多くの人が胸を打たれるのでしょう。

 今回、沿道や中継地点で応援してみて、駅伝の魅力を存分に体感しました。駆け抜けるランナーの躍動感に目を見張り、中継地点での迫力ある襷リレーに思わず大きな声で声援している自分に気づきます。大勢の観衆の方がつめかけておられましたが、多良木高校の幟や生徒のゼッケンを見て、「たらぎ、がんばれ」と熱い応援をいただきました。女子選手の一人は、「たらぎ、たらぎ」の声援があまりにも多く、走りながら涙が出そうになったとレース後に語っていました。閉校予定の小さな学校が男女ともに出場し、懸命に走っている姿は、県民の方々に対し「多良木高校は元気です」と力強く発信できたのではないでしょうか。「多良木高校」の襷を立派につないだ生徒たちを心から称えたいと思います。