校長室からの風

地域と共に ~ 御船町災害ボランティアセンター設置運営訓練

 11月24日(日)午前、御船高校体育館を会場に「御船町災害ボランティアセンター設置運営訓練」を実施しました。主催は御船町社会福祉協議会で、御船高校は会場提供をはじめ積極的にこの訓練に関わりました。

 3年半前の熊本地震の時、多くの住民の方達が本校に避難してこられました。当時、対応に当たった職員は、学校は地域、コミュニティの拠り所であることを痛感したと語っています。県立高校といえども学校所在の地域の方々の支えなくしては成り立ちません。長い間、地元住民の方々に応援され、愛されて学校の伝統がつながっているのです。

 今回の訓練のお話が御船町社会福祉協議会から提案された時は、多くの生徒たちを参加させたいと考えました。ところが、当日は商業の検定試験と重なったうえ、11月27日(水)から2学期期末考査が始まるということで、ボランティア参加が25人に留まりました。しかし、この生徒たちは定期考査前にも関わらず自ら進んで参加しており、きっと近い将来、それぞれの地域の防災の担い手に成長してくれることでしょう。

 午前9時、「災害ボランティアセンター」の開所宣言から始まり、地元住民の方や御船高校生が災害ボランティア役として受付に集合しました。そして、オリエンテーションを受け、どんな仕事がありどんな人が何人求められているのかを知り(マッチング)、グループごとリーダーを決め、土嚢(のう)のひもを縛る体験やアルファ米による炊き出し訓練等が展開されました。生徒代表の3年生の野仲君(前生徒会長)は町福祉協議会スタッフの手伝いに回り、オリエンテーション係として落ち着いて地元住民の方にボランティア活動の注意点を説明していました。

 訓練はおよそ2時間で終了しました。ちょうど訓練中に雷雨となり、体育館から外に出ることができず、完全に屋内での訓練となりましたが、まるで災害を想像させるような悪天候は、訓練に緊張感を与えたと思います。地元住民の方たちをはじめ訓練のお手伝いにこられた上益城郡の各町、そして熊本市の社会福祉協議会の皆さんとも生徒たちは交流の機会を得ました。中には、「御船高校には初めて来ましたが、生徒の皆さんとお話して、中学生の息子を御船高校に入学させたいと思いました。」というような有難い感想を伝えられる関係者もいらっしゃいました。

 御船高校は大正、昭和、平成、令和とこの地にあって地域に支えられてきました。これからも地域と共に歩んでいきたいと思います。

 

御船高校への期待 

    秋も深まり、11月も後半となってきました。中学3年生の皆さんの進路志望が最終決定となる時期です。御船高校では、11月21日(木)、上益城郡内をはじめ各中学校の進路指導担当の先生方に集まっていただき、令和2年度生徒募集の概要説明および募集要項(願書含む)の配布を行いました。説明会はセミナーハウスで実施したのですが、会に先立ち、隣接の電子機械科実習室に中学校の先生方を案内し、生徒の学習、部活動の成果の一部を見学していただく機会を設けました。

 実習室では、芸術コース美術・デザイン専攻、そして書道専攻の生徒たちの作品を展示し、それぞれ専攻の生徒が作品解説を担当しました。また、マイコン制御部のロボット班によるロボット操作実演、そしてマイコンカー班によるマイコンカーの走行実演も生徒たちが行いました。見学された中学校の先生方は大変興味、関心を示され、生徒への質問や感想を述べられました。中には、出身中学校の生徒との再会もあり、「中学生の時に比べ、あまりに成長しているので驚きました!」と感激されている先生もおられました。

   御船高校は、モノづくりの面白さを追究する電子機械科、音楽・美術・書道を通じて創造力を養う芸術コース、多様な教科・科目を学びながら自らの進路を見つけていく普通科(特進クラス・総合クラス)と三つの特色ある学びの課程があり、それらが混然一体となり大きな学び舎となっています。即ち、多様性が魅力です。にぎやかで多彩な学校文化があり、五教科(国社数理英)中心の中学校の教育課程とは大きく異なります。

   33年高校の教職にあって感じることは、高校生の可能性は無限大ということです。高校3年間で大きく変わり、心身ともに成長していきます。近年は通信制高校も増え中学生の選択肢は広がっていますが、長く全日制高校に勤めている経験から、同世代が同じ学び舎で3年間共に過ごすことの教育効果は計り知れないものがあると思います。中学時代に必ずしも真価を発揮できず、不本意な学校生活を送った生徒でも、御船高校で新しいスタートを切ることができます。中学時代に欠席が多かった生徒が、本校ではほとんど欠席もなく、輝いて生活している生徒が幾人もいます。

   誰一人取り残さない、全員が参加して「わかる、できる」ための授業のユニバーサルデザイン化の実践、生徒一人ひとりを全職員で支援する体制づくり等の取り組みで、本校は生徒を伸ばします。

   中学校の先生方から御船高校への期待を寄せていただき、改めて本校の使命の重さを感じました。

 

学びの季節を迎えて

 文化祭「龍鳳祭」を11月15日(金)から16日(土)に開催し、にぎやかで多彩な御船高校の学校文化を発信できました。外部から特別ゲストを呼ぶことなく、生徒主体の手づくりの文化祭でした。そして、PTAバザーには50人を超える保護者の方が協力してくださり、肉うどんやカレーの調理・販売に加え、餅つき実演も行われました。また、地域の中学生や住民の皆さんが大勢来校され、笑顔の交流が見られました。

 一方、自分の夢を追い求める生徒たちは「龍鳳祭」に参加できず、それぞれのスポーツ、文化の大会に出場し、活躍しました。この「校長室からの風」で紹介した見﨑真未さん(2年生)は、11/17(日)に開催された「第39回大分国際車いすマラソン大会」のハーフマラソン部門において、1時間15分37秒の記録でカナダやロシアの有力選手をおさえ、優勝を飾りました。高校生パラ・アスリートの快挙を称えたいと思います。

 また、同じく11/17(日)に福岡市で開かれた「ジャパンマイコンカーラリー九州大会」に出場した本校マイコン制御部マイコンカー班(選手7人)も健闘し、アドバンスクラスで谷口君、カメラクラスで中村君が上位入賞を果たし、来年1月の全国大会進出(北九州市)を決めました。「マイコンカーラリー」とは聞き慣れない競技だと思います。私も10月20日(日)の県大会(八代工業高校)で初めて観戦しました。小さなコンピュータ(マイクロコンピューター)を搭載した車を自分たちで製造し、規定のコースをコンピュータで読取り自走するもので、最も出場者が多いアドバンスクラスは十数秒でレースが決着します。ロボット班と並び、本校電子機械科の面目躍如の部活動です。

 文化祭「龍鳳祭」を終え、校内の空気が変わりました。秋が深まり、学校全体が落ち着いた感じです。昨日の11月20日(水)には人権教育講演会を7限目に実施しました。今年度は水俣病問題をテーマとし、水俣市から胎児性水俣病患者で「語り部」(水俣病資料館)として活動されている永本賢二さんをお招きしました。次代の社会の担い手となる高校生に対する期待を込め、永本さんは支援者の葛西さんと対談形式で歩んでこられた道を語られました。水俣病問題から私たちが学ぶことはたくさんあると思います。人権意識や環境を大切にした社会のあり方など、改めて深く考える契機となりました。

 御船高校の象徴の「天神の森」の紅葉も見頃です。来週、11月27日(水)から2学期期末考査が控えています。生徒の皆さん、学びの季節です。

           人権教育講演会の様子

 

龍鳳祭(文化祭)を終えて

 

  「龍鳳祭」フィナーレの書道パフォーマンスの感動の余韻にいまだ包まれています。10月6日(日)、熊本城二の丸広場で開催された第1回熊本県高校生書道パフォーマンスコンテストで、御船高校書道部は優勝を飾りました。秋のお城まつりの一環として行われた行事で、会場には外国人観光客も多数いらっしゃったのですが、本校書道部の気合の入った、きびきびした動作、ダイナミックな筆遣いのパフォーマンスに魅了され、どよめきに似た歓声と拍手がわき起こったことを鮮明に覚えています。たとえ書かれてある文字の意味はわからなくても、御船高校生の書道パフォーマンスは外国の人の胸を打つのです。これが文化の力だと思いました。

    クールジャパン、「日本はかっこいい」と世界の人が称賛するものは、マンガ、アニメ、ファッション、和食、おもてなしと言われる細やかな接客サービス、そして茶道、華道、能楽、歌舞伎の伝統芸能など幅広い日本の文化です。

 文化は心の豊かさを生みます。例えば、喉の渇きをいやすだけならペットボトルのお茶を飲めば簡単です。しかし、急須に茶葉を入れ、お湯や冷水を適量そそいで、ゆっくり回し、茶碗に注ぎ、お茶の色や香りを楽しみながら一服する時間は心にゆとりと潤いを与えます。煎茶道の世界です。さらに抹茶を用い、作法様式に則った茶道の世界はもっと奥深いものがあります。

 「手仕事」や「手間ひまかける」といった麗しい日本語があります。労力や時間をかけてモノを創っていくと、唯一無二のものを生み出せます。1年4組のお化け屋敷は、大道具から小道具までこだわって製作されていました。美は細部に宿るのです。お化け屋敷がアートになっていたと思います。

    さて、文化祭に向けて、皆さんは生徒会、文化部、クラス、そして有志で取り組んで来ました。皆で協力して何かを創り上げることの難しさと面白さの両方を学んだと思います。そして、お互いの良さや個性をあらためて再発見したのではないでしょうか。普通科総合クラス・特進クラス、芸術コース、電子機械科とそれぞれ特色ある学びがあり、それらが混然一体となり御船高校という大きな学び舎となっています。御船高校の文化の森は皆さんが考えていたより多彩で奥行きのあるものだとこの文化祭で感じたと思います。 

    クールな文化祭でした。この「龍鳳祭」で御船高校の魅力を広く発信できたことを皆さんと共に喜び、講評とします。

 

「龍鳳祭」(御船高校文化祭)始まる

 令和元年の御船高校文化祭「龍鳳祭」(りゅうほうさい)が11月15日、爽やかな秋空の下、始まりました。校歌(昭和2年制定)の一節に「龍鳳となり雄飛せん」とあり、ここから本校の文化祭は「龍鳳祭」と呼ばれています。龍も鳳(ホウ、おおとり)も伝説の霊獣、霊鳥です。少年が大きく成長することを願った歌詞だと思います。

 今日は午前中、体育館で開会式に続き、2年生のインターンシップ(職場体験)発表、保健委員会の発表、1年B組制作の動画上映、そして吹奏楽部のコンサート等が行われました。明日の16日(土)は一般公開となります。大勢の皆さんのご来校をお待ちしております。

 開会式での校長挨拶を次に掲げます。 

 「令和元年の御船高校文化祭「龍鳳祭」の日を迎えました。テーマは「つなぐ ~ 次の時代へ」です。平成から令和へと時代は変わっても、「天神の森」の学び舎は、可能性豊かな若者と熱意ある教師の出会いの場であり続けます。そして2年後の創立100周年に向け、今、本校は新しい伝統を築こうと上昇気運に包まれています。

 さて、御船高校の文化の森は、学習発表、芸術文化の作品、そしてエンターテインメントの企画とカラフルでにぎやかなものになると思います。皆さん一人一人がこの文化の森を自由にめぐって、楽しんでください。きっと様々な発見と出会いがあることでしょう。

 御船高校は地域に開かれた学校でありたいと願っています。明日はきっと中学生はじめ多くのお客様が来校されることでしょう。皆さんの笑顔で迎えてください。そして、本校の魅力を伝えてほしいと思います。

 生徒の皆さんにとって、この二日間が特別な時間になり、私たちの学校、御船高校をもっと好きになることを期待し、オープニングの挨拶とします。」