校長ブログ

笑う 平成28年9月

 9月17日(土)に本校で中学生向けの学校説明会を行いました。昨年までは8月の上旬の暑い中での開催でしたが、今年は少しずらして9月開催としました。当日はたくさんの中学生の皆さんが本校に集まってくれました。熊本地震で本校も施設が大きな被害を受けましたので、仮設のプレハブ教室などを使い説明会を実施しました。参加していただいた中学生の皆さん、大変ありがとうございました。
  当日も職員が学校の状況を説明しましたが、体育館、図書館、(ホームルームとして使用する)教室の一部、職員室・進路指導室などが入っている建物が使用禁止となっています。これから施設の復旧工事が本格的に始まります。本校以外にも、小学校、中学校、高校など数多くの施設が被害を受けていますから、すぐに工事が進んで復旧が完了するということにはなりません。熊本県が施設の被害状況を確認し、順番に復旧を行っていきます。施設が使えない状況でも在校生たちはがんばっています。現在使える施設を有効に活用し、生徒諸君が有意義に高校生活を過ごせるよう今後も工夫しながら教育活動を行っていく予定です。先日の学校説明会で疑問に思ったり不安に思っている方もいらっしゃることでしょう。いつでもかまいませんので学校の方にお尋ねいただきたいと思います。
  9月になって夏の暑さが和らぎ秋の季節に移ってきました。「中秋の名月」は今年は9月15日でした。「中秋の名月」の日が、年によって異なるような言い方になってしまいましたが、実際に年によって「中秋の名月(芋名月)」の日は変わります。感覚的にはその日は満月になると思ってしまいがちですが、今年も満月ではありませんでした。「中秋の名月」の決め方が月の正確な満ち欠けとは少し異なっているのでずれが生じます。「中秋の名月」は旧暦の8月15日の夜の月のことをいっています。また、満月は、地球から見て月と太陽が反対方向になった瞬間の月を指しています。中秋の名月から一番近い満月は2日後の9月17日4時頃でした(詳しくは国立天文台のHPを参照してください)。このように旧暦と月の満ち欠けは微妙に違いますので、旧暦の15日と満月は少しずつずれ、さらには暦と実際の季節がずれることとなりますので、そのずれを補うために旧暦では約3年に一度閏月が挿入されることとなります。
  太陽系の中で惑星と衛星の関係では、特に月は衛星として大きいので、月(衛星)の引力が地球(惑星)に及ぼす影響は大きくなります。その代表的な例が潮の干満です。私たちが住んでいる熊本県には有明海が面していますが、遠浅の部分が多いので潮の満ち引きが顕著に現れてきます。つい最近の新聞記事に、月の引力が大地震と関係しているのではないかという記事が載っていました。東京大学の研究チームが、英科学誌ネーチャージオサイエンス電子版に論文を発表しました。今回の研究では、過去に起こった1万以上の地震と月の関係を調べたところマグニチュード8.2以上の巨大地震12例のうち9例が、特に月の力が強い時に起こっていると結論づけています。ただ、マグニチュード5.5レベルの地震では明確な関係は見られなかったとしています。人間には月の引力を感じ取ることはできないようですが、潮の満ち引きからもわかるように地球には月の力が大きく影響しており、海水だけでなく地下の岩盤や岩石にも力は影響を及ぼしていますので、月の引力が大きくなるときに岩盤が崩れるのを誘発しているのかもしれません。今後の研究がどのように進展するのか興味がわいてきます。
  地震の影響に関係するかどうかは不明ですが、本校のHPで生物部の活動状況をお知らせしている中で、クチナシの話題を取り上げていました。生物部の研究テーマの一つとして、クチナシの害虫である「オオスカシバ」の幼虫の食餌傾向を研究しています。生物部が育てているクチナシには今年は「オオスカシバ」の幼虫が見られず、食べた後も見られなかったようです。生物の教員に私が「地震を予感して逃げたつだろ?」と言ったものの科学的根拠はありません。人間以外の生物には私たちにはわからないことを感じ取る感覚器官を持っているのかもしれません。オオスカシバの孵化が周りの環境にどのように影響しているかなども研究材料になるのではと考えたりもします。理科の課題研究では、研究テーマになることが身近なところにいっぱいあります。本校の理数科や普通科で理系分野に進もうと考えてる中学生の皆さん、第二高校で課題研究や部活動の研究に取り組んでみませんか。

にっこり 平成28年8月

 連日猛暑が続いていますが皆さんいかがお過ごしですか。8月11日には熊本市と佐賀市で38.1℃を観測し、全国929観測点中、35℃以上の猛暑日となったところは123地点にもなったそうです。暦の上では立秋を過ぎて秋ですが、しばらくは暑い日が続きそうです。水分補給や休憩を取るなどして、熱中症にならないようにお過ごしください。
 新聞でも報道されていましたが、7月29日に本校は終業式を行いました。熊本地震で休校になっていた分の授業を行うために夏休みを短くしました。2学期の始業式は8月25日に行います。当初の計画では4月15日に遠足を計画していました。本校では遠足は毎年グリーンランドに行っています。遠足ができていませんでしたので1学期の最終日に全学年で遠足を楽しみました。気候的には暑い時期でしたので心配しましたが、生徒諸君は満足してくれたと思います。
 現在、ハンドボールコートに第1棟目のプレハブの仮設教室ができあがりました。これまで、特別教室棟の実験実習室をホームルームとしていましたが、ようやくそれが解消できます。生徒の皆さんには不便をかけていますが、すべてをすぐに元に戻すことはできません。数年間という長い目で見ながらの復旧となります。
 第1棟目の横に第2棟目のプレハブ教室が建築中です。ここは主に現在管理棟に入っている職員室、進路指導室、事務室、校長室などが入ります。また、図書館が使用不能となっていますので、図書の貸し出し、閲覧や学習するスペースを設けます。管理棟や図書館が生徒立ち入り禁止となっていますが、第2棟が完成することで、職員室にも生徒が自由に入れるようになりますし、十分とは言えませんが図書館の機能も復活することができます。
 体育館も復旧工事を進めていますが、なかなか思うように事は進みません。櫓を組んで天井の防音板などの落下しそうなものを取り除く作業して、近場から構造体を点検しました。その結果、鉄骨の破断や接合部のボルトのゆがみ等が新たに発見され、短期間での修復が難しい状態となりました。体育館は学校の中でも重要な建物の一つです。学校行事で入学式、各学期の始業式や終業式、卒業式やPTA総会等を行う会場となりますし、屋内で行う部活動の練習場所としても使用します。部活動は、各部活動が苦労して練習場所を探し、やりくりをしています。地震の影響で練習場所を学校内に確保できない部活動は、現在練習場所として学校やその他の施設をお借りしていますが、貸していただいている施設の関係者の皆様には、感謝申し上げます。
 本校は生徒数が約1200人と、県立学校では最も生徒数が多い学校の一つですが、1200人規模の収容能力のある施設は多くはありません。始業式や終業式は、放送で今後行うこととなりますが、卒業式や入学式は他の施設を借りないといけません。学校行事の会場の確保や部活動の練習場所の調整等については、県教育委員会と相談しながら計画を立てていきたいと考えています。
 7月30日から8月3日まで広島県で全国高等学校総合文化祭が開催されました。昨年度は滋賀県で開催され、来年は宮城県、その次は長野県と、毎年各県が担当して文化祭が開催されます。総合開会式では、実施されるすべての部門を網羅した内容のもので大変素晴らしい内容のものでした。開会式の中で各都道府県の代表生徒が一言アピールを行いますが、今回は熊本県の代表として本校美術科3年の伊藤真生君がメッセージを堂々と伝えてくれました。開会式の会場では、熊本地震に対する募金も行われ、生徒の皆さんが募金を呼びかけていました。熊本県民の一人として募金活動を行っていただいた広島県の生徒の皆さん、また募金に協力をしていただいた皆様にお礼を申し上げます。
 全国高校総文祭に限らず文化系、運動系部活動の生徒の皆さんが県代表として各種の全国大会に参加してくれました。参加生徒の活躍は今後このHPで紹介して参ります。参加した生徒の皆さんご苦労様でした。

にっこり 平成28年7月

 7月になり梅雨の終盤に入ってきました。ここ数日は晴れの天気になり、雲も夏の雲が見られ気温が上昇しています。現在は湿度も高いので熱中症にも十分注意しておく必要があります。本校でも先日部活動のキャプテン等を集め、熱中症対策の研修会を開きました。梅雨では、太平洋高気圧からの暖湿な風とオホーツク海高気圧からの冷湿な風がぶつかることでそこに梅雨前線が発生します。この前線が日本付近を北上したり南下したりして各地で雨を降らせることとなります。熊本県でも局地的な豪雨で警報が出たりしていました。雨は作物の成長にとって必要なものですから全く降らないというのも困ります。ほどほどがいいのですが、こちらの思うとおりには降ってはくれません。梅雨の終盤にも豪雨になる場合もあるのでもう少し注意が必要です。
  7月3日に台風1号が発生したと報道されていました。今頃今年最初の台風が発生していますが、この記録は統計を取り始めたこの60年あまりで2番目に遅い記録とのことです。記録では台風1号の発生が最も遅かったのが、平成10年7月9日となっています。この4、5年は毎年20個以上の台風が発生しています。梅雨が明けたと思ったら今度は台風の心配もしなければなりません。今回の熊本地震で各地で地盤が弱くなっている箇所が多くありますので、今後集中豪雨や台風の影響で二次災害が発生しないことを祈っています。
 本校の施設の復旧状況については、本校のHPで今後も随時お知らせしていきたいと思っています。現在、教室棟の一部が使用できないため、ホームルームを特別教室棟や東棟などの分散させています。それを解消するため、プレハブの教室をハンドボールコートに建築中です。予定では8月中旬に完成しますので、2学期からは、分散していたホームルームをこのプレハブの教室に移し授業を始めます。また、ユニセフからいただいたテントで授業を行っていましたが、それも何とか別の場所を確保できる予定です。生徒諸君には不便をかけていますが、学習環境の整備を最優先に復旧を図って参ります。また、管理棟、教室棟、特別教室棟をつなぐ渡り廊下が現在使用禁止で出入り口が制限されています。教室棟及び特別教室棟の南側1階の外側にそれぞれ、落下物からの安全を確保するためコンパネで屋根を設置しその下を通路として使用できるようにしました。その結果、教室棟は南北両側の1階の出入り口を使用することができるようになりました。特別教室棟もこれまで体育館とをつなぐ渡り廊下からの出入り口1カ所でしたが、1階の出入り口を使用できるようになりました。
 プレハブ教室は、他校ではたとえば校舎の建て替えである一定の期間利用することがよくありますが、本校の場合は、現在のところいつまでプレハブ校舎を使用するのかという見通しが立っていません。
 本校も二の丸にあった頃などは、プレハブの校舎が一部あったということをりんどう会の方々から聞いています。本校は昭和37年の創立から今年で55年目を迎えました。創立からこれまでの中で最大の困難に直面していると思います。生徒、職員が一丸となってこの困難を乗り越えていきたいと思います。
 最後に、学校の古い資料を探していたら、「熊本二高新聞」の創刊号(昭和37年10月13日)がありましたので、参考までにご覧ください。

平成28年6月

 5月10日から学校を再開し、5月26日から全学年一斉に授業をすることができるようになりました。保護者の皆様をはじめ、関係の皆様の御尽力の賜と感謝申し上げます。しかし、授業や部活動における支障が解消されたわけではありません。教室等への移動経路が限られ、迂回して移動しなければならないこともあり、授業の間の移動休憩時間を15分取らざるを得ません。その結果、1コマ45分授業の形態がしばらく続くことになります。また、理科や家庭科の実験・実習室を急きょホームルームとして使用することになり、実習関係の授業も満足にできないような状況です。このように制限された状況での授業になりますので、各教科共に授業内容の濃度を濃くし、時間の有効活用を努めてまいります。
 さらに、体育館の復旧がいまだに予定が立ちません。体育館で活動をしている部活動は練習会場を確保するのに苦労しています。高校総体では総合開会式が中止となり、各競技も震災前の予定とは違った会場で実施されることになりました。練習不足に加え、例年と違う会場で試合に臨むことになりますが、このような時こそ、生徒の皆さんの頑張りに期待したいところです。
 高校総文祭も県立劇場が使用できないこと等の理由により、囲碁、将棋、百人一首かるたを除いて、パレード、ステージ及び展示部門が中止となりました。高文連会長として苦渋の決断をしなければなりませんでした。生徒たちには大変申し訳なく思います。
 放課後になると、運動系、文化系部活動ともに練習に励んでいます。目標に向かい、ひた向きに部活動に取り組む姿は私たちに元気を与えてくれています。
 本校も、熊本地震の前震からグラウンドが避難所となりました。本校のグラウンドにも本校の生徒が避難してきていました。避難所を開設してからすぐに、生徒たちが避難所の本部に来てボランティア活動を申し出てくれました。グラウンドに入った車が最大時は約600台くらいになり、学校への車の出入りを一方通行にせざるを得ませんでしたが、その誘導に進んで協力してくれました。また、学校の近くに集合住宅があります。そちらには、本校のグラウンドまで物資を受け取りに来られるのが困難な方もおられますので、生徒たちがリヤカーを引いて、飲料水などの物資を届けてくれました。もちろん、本校に限らずいろんな避難所で手伝いをしてくれたと聞いています。生徒の皆さんの心配りに感謝します。
 本校の施設などの被災状況は、今後もお知らせしていきたいと考えています。本校の施設のつくりは他の学校の構造とはずいぶん異なっています。まず、教室棟に廊下がありません。廊下の役割をしているものが管理棟、教室棟、特別教室棟を結ぶ渡り廊下となります。地震で8本ある渡り廊下がすべて使用禁止となりました。移動に時間がかかる大きな要因になっています。
 正門の大きな門柱は花崗岩でできています。今回の地震では、前震では倒れませんでしたが、本震で2つとも倒れてしましました。正門の車の出入りの妨げになっていますので、先日同窓会にお願いして門柱を移動していただきました。本校のシンボルの一つでありますが、元に戻るのには少し時間がかかると聞いています。
 管理棟は、職員室、事務室、校長室、会議室などが入っています。管理棟は玄関を含む東側の部分が全て使用禁止となりました。西側の部分も県の審査の結果、生徒を入らせないという条件で使用しています。
 校長室の前震の後の様子です。校訓額の下のあったガラス戸の戸棚が下に落ち、これは使用不能になりました。校訓額は落ちずにかろうじて持ちこたえていましたが、本震ではとうとう落ちてしまいました。戸棚が開いていますが、普段から開けているわけではありません。前震が主に横揺れでしたので、激しい揺れで開いてしまいました。ガラス戸も倒れソファーに倒れ掛かっています。
 反対側を写した写真です。歴代校長の写真は、途中までずり落ちたものがありました。
 前例にないような二度の大きな地震は、想定外の部分がたくさんありました。いまだに避難所で生活されている方々もおられます。今回の地震で被害にあわれた方々に対し心からお見舞いを申し上げます。
 私たち職員は、第二高校に入学した生徒諸君が安心して学校生活が過ごせるよう最大限努力してまいりますので、今後とも御支援、御協力をよろしくお願いします。

学校 学校再開に向けてのご挨拶

学校再開に向けてのご挨拶

県立第二高等学校長 那須 髙久

 まずは今回の地震により被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、保護者の皆様には、休校が長く続いておりますことで、大変御心配をおかけしております。
 先日、県の施設課の調査が行われまして、渡り廊下の使用はできないものの、全ての教室が使用可能という判断が下りました。その結果を受けまして、学校といたしましては、5月10日(火)より登校を再開することといたしました。ただ、渡り廊下が使用できないために教室棟や特別教室棟への出入口の使用に一部制限があり、現時点では全学年分の余裕を持った避難経路を完全には確保できないこと、また余震が今なお続いていること等を鑑み、生徒の安全を最優先に考えまして、少なくとも初めのうちは、登校を午前中に限って学年ごとに実施することにいたしました。具体的には10日(火)は3年生、11日(水)は2年生、12日(木)は1年生という形で、順次登校を実施いたします(詳細は本校のホームページ内にある学年のページに掲載いたしております)。まずは生徒達がホームルームで級友たちと顔を合わせ、短時間ではありますが机に向かって学習をする時間を確保し、担任による面談を実施することで、少しずつ学校としての落ち着きを取り戻したいと考えております。またその間に、県教育委員会の指導を仰ぎながら、校舎の復旧・整備等を進め、全生徒が安心して登校できる環境を構築し、生徒達が通常の学校生活に一日でも早く戻れるよう、職員全体で取り組む所存です。生徒が全員登校できるようになるまで、今しばらくは保護者の皆様には御心配をおかけいたしますが、御理解と御協力をいただければ幸甚に存じます。
 最後になりましたが、温かい励ましのお言葉を戴いた多くの方々、またボランティア活動に日々励んでくれた本校の生徒や卒業生の皆さんに心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。


平成28年4月

 平成28年度が始まりました。4月8日は、午前中に2年生と3年生で始業式を、午後は入学式を行い新入生を迎えました。3月に52期生を送り出して、1学年分生徒が少なくなっていましたが、全校生徒が揃い以前と同様に、学校に活気が戻ってきたように思います。
 本年度の本校の教育目標は、昨年度と同様に「連携と共有 全人教育の推進」としました。本年度も生徒の希望が実現できるよう私たち職員一同、精一杯生徒を指導、支援して参りたいと思いますので、このHPを御覧の皆様も第二高校に対するご支援、ご協力をよろしくお願いします。

 以下、始業式式辞の内容の一部を示します。


 ・・・昨年度、皆さんには、「切磋琢磨」及び「二高生としての品格をさらに高めよう」という2つのことをお願いしました。今年度もこの2つを皆さんに継続して求めたいと思います。昨年1年間皆さんを見てきましたが、皆さんの成長はまだ途中の段階にあるといえます。皆さんの可能性は無限大であると思っています。皆さんそれぞれの進路目標を実現するためには、お互いが意識しあい切磋琢磨しながら努力してください。また、熊本県内の同じ学年の人たちだけではなく全国の同じ学年の人たちがよきライバルであります。それぞれが勉学に励み、競い合うことでさらに学力が高まる。そして、学年全体のレベルが高まっていくと信じます。学校生活は団体戦といわれますが、皆さんがよいところを十分に発揮しながら、学校全体がより高いレベルにステップアップできることを期待したいと思います。これは学習に限らず部活動でも必要なことです。互いが技量を磨くことでチーム全体のレベルが上がります。団体戦や個人戦の結果を見るともう少しで入賞という人たちがかなり多くなってきました。文化系、運動系の部活動ともに活躍を期待します。
 次に「二高生としての品格」。二高生の品格は何かと問われても簡潔明瞭な説明は難しい面があるかもしれません。しかし、これを凝縮してまとめたことばが本校の三綱領になるのではないかと考えます。本校の創立時にこの三綱領が制定され、55年変わらずに先輩諸氏が唱和し常に胸に刻み受け継がれてきたものですから、この綱領を日々実践に移すことで第二高校としての品格、さらに社会人としての品格が培われていくのだと思います。
(中略)
 「土光臨調」で有名な土光敏夫さんは、石川島播磨重工業や東京芝浦電気の社長を務めました。いずれの会社も経営危機に陥った時の社長就任でしたが、その類まれな経営手腕でどちらも見事に経営を立て直されました。その後、経団連や国の第二次臨時行政調査会の会長に就任し、国が進める行政改革にも大きな足跡を残されました。
(中略)
 土光さんは戦後屈指の経営者として有名な人ですから、土光さんが示した行動指針は、現在の社会人のあるべき理想として今なお読み続けられています。土光さんのことばを紹介します。
『やるべきことが決まったら執念を持ってとことんまで押しつめよ。問題は能力の限界ではなく執念の欠如である。
 物事を成就させる力は何か、その力の中にはむろん能力があるだろう。だが、能力は、必要な条件ではあっても十分な条件ではない。十分な条件とは、その能力に、起動力・粘着力・浸透力・持続力などを与える力である。そのような様々な力を、私は執念と呼びたい。
 仕事に困難や失敗はつきものだ。そのようなとき、困難に敢然と挑戦し失敗に屈せず再起させるものが、執念である。そればかりではない。およそ独創的な仕事といえるのも、執念の産物であることが多い。湯川博士は中間子理論のヒントを寝床の中で得たという。しかしその背後には、寝ても覚めてもその一事に凝り憑かれた長い執念の期間があったことを忘れてはなるまい。』(「新訂 経営の行動指針」より)

今年の卒業生は、進路でがんばって素晴らしい成績を残してくれました。これも生徒の皆さんが最後まであきらめず、目標とするところに合格するのだ、合格してそこでさらに勉強するのだ、という強い思いがあったからだと私は思います。これが今述べた執念であり二高生の伝統のひとつであると思います。・・・


 生徒たちは、4月の後半から5月14日に開催する運動会の練習に取り組んでいきます。既に各団の絵看板の作成や応援団員の練習が始まっています。今年の運動会も生徒たちの取り組みによって、躍動感あふれる素晴らしい運動会にしてくれることでしょう。近隣の皆様には様々な面でご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞご声援をよろしくお願いします。


にっこり 平成28年3月 その2

 桜の花が美しい時期になりました。自衛隊通りの桜は、満開の時期を迎えると見応えがあります。この時期の週末には自動車が通行止めになり、歩行者がゆっくりと散歩しながら桜を眺めることができます。一般的に植えられている桜は「ソメイヨシノ」と呼ばれる品種です。ソメイヨシノは、江戸時代に園芸品種として創られたという説が有力です。この品種は結実してもその実から実生することはなく、各地に植えられているものはすべて接ぎ木などの方法によって繁殖されたものです。ソメイヨシノの寿命はあまり長くはないようです。自衛隊通りの桜も植えてから年数が経っているものも多く、樹勢が衰え、花の咲き具合が悪くなったものから順次植え替えられていると聞いています。実際に見てみると、所々に若い木を見ることができます。
 九州自動車道の八代から以南は山岳道路となり山間を縫って道路ができています。桜が咲く時期に山肌の木々を眺めると所々に薄ピンク色の花が咲いた木が見られますが、これは「ヤマザクラ」と考えられます。ソメイヨシノは花が葉よりも早く開きますが、このヤマザクラは花と葉芽がほぼ同時に展開するのが特徴です。南阿蘇村には樹齢400年あまりといわれる「一心行の大桜」があり、報道などでもよく紹介されますが以前はこの木の品種が、「エドヒガン」「ヤマザクラ」のいずれなのかという議論がありました。その後DNA鑑定が行われ、「ヤマザクラ」であるという結果になっています。報道されるたびに、実際に花を見ようと観光客が多く訪れるのですが、観光客の足で地面が踏み固められ樹勢が弱るため、立ち入り規制を行っているようです。自然の状態が木にとっては最も健康的でありますので、実際に見学に行っても桜の木に対する配慮が必要です。
 日本では年度が変わる時期と桜の開花が重なり、別れと出会いの季節となります。本校でも3月29日に職員の転退任式を行いました。今年は教職員の人事異動の報道発表が3月30日でしたので、一般の方が知る前の転退任式となりました。しかし、体育館には卒業生の諸君も大勢出席してもらい、厳粛な中に盛大に先生方をお送りすることができました。駆けつけて頂きました保護者、卒業生の皆さん大変ありがとうございました。本校を転退任される先生方におかれましては、本校の教育にご尽力いただきありがとうございました。先生方のご指導を忘れず、私たちは二高生のために努力して参ります。
 このHPを日頃からご覧いただいている皆様、今年1年間第二高校へのご声援ありがとうございました。次年度も第二高校へのご支援ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
 この「東町3丁目だより」も 次年度も続けていきます。1ヶ月に約1回のペースで更新して参りますが、あまり期待されずに眺めていただければ幸いです。

学校 平成27年度末人事異動

  氏  名
 石田 智雄 先生
 本山 雅仁 先生
 髙田  拓 先生
 前田 眞澄 先生
 津留 幸江 先生
 武田 昭博 先生
 前田 啓志 先生
 平川真由美 先生
 内藤さとみ 先生
 園田 光世 先生
 髙島 由佳 先生
 栁田 耕輔 先生
 中満恵美子 先生
 瀬上眞由美 先生
 草留 秀人 先生
 鋤本 誠也 先生
 宮原 公典 先生
 牛島 隆博 先生
 長谷川智洋 先生
 山口 玲奈 先生
 田中 基義 先生
 小林 敏夫 先生
 澤田 一生 先生

笑う 平成28年3月

 3学期は、他の学期に比べ授業日数が少ないのですが、学校にとっては重要な行事が続きます。まず、3年生が上級学校進学に向けてセンター試験に挑みます。1月16日と17日に熊本県立大学で受験しました。その後私立大学を受験する生徒は、1月下旬から各私立大学の入学試験に臨みました。国公立大学は、大学個別の試験を実施します。前期が2月25日、3月になると中期及び後期試験が実施されます。3年生の皆さんはそれぞれ志望の大学を受験しています。受験生の皆さん、最後まであきらめずに頑張ってください。
 3年生の受験と同じ時期に今度は高校の入学者選抜検査が行われます。2月2日、本校では前期(特色)選抜を、理数科と美術科で行いました。3月に入り、8日と9日に後期(一般)選抜を行いました。多くの生徒の方に受検していただきありがとうございました。難関を突破され、4月になると新たな二高生となって新学期が始まります。
 前後しましたが、3月1日に卒業式を行いました。保護者の方や来賓の方もたくさんおいでいただき3年生の卒業を祝福していただきました。大変ありがとうございました。卒業式が終わった後の卒業生の笑顔を見る度に、私は教員になって本当に良かったと思います。卒業した二高生は、これから社会で更に大きく成長してくれることでしょう。
以下に、卒業式の式辞の一部を掲載します。

式辞
 ……中略……
 ただ今、卒業証書を授与した卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、本校の綱領である「自主積極・廉恥自尊・礼節協調」をよりどころとして、「学力の向上」はもとより、人としての「人格の陶冶」に向けて、日常の勉学や部活動、並びに生徒会活動を中心に、自己研鑽の日々を積み重ね、本日、晴れて卒業の日を迎えたのであります。
 ……中略……
 皆さんが本校に入学したとき、これから高校生活をどのように送ってほしいか、学校からお願いをしていました。まず、一つ目は「第二高等学校の生徒であるという、自信と誇りを持って欲しい」ということ、二つ目に「感謝の心と謙虚さを常に忘れないで欲しい」ということでした。私は卒業生の皆さんについては、三年次のこの一年間しか見ていませんが、この一年間充実した学校生活を送ってくれました。皆さんは、積極的に挨拶を励行してくれましたし、環境美化活動やボランティア活動にも一所懸命に取り組んでくれました。率先して何事にも取り組む姿勢は、二高生の伝統であり、「二高生としての自信と誇りを自分も受け継いでいくのだ」という強い意志があったからこそ、為し得たものではないかと考えます。この自信と誇りを自分のものにすることで、感謝の心と謙虚さも同時に身についたことが、皆さんの姿勢からはっきりとわかります。私も年度当初の四月に、皆さんに「二高生としての品格をさらに高めよう」とお願いしましたが、私が期待した以上に皆さんは「人間力」を高めることができたと確信しています。本校で培った人間力が、十年後、二十年後の時代になっても、皆さんの心の中でも生き続け、皆さんそれぞれの人生を支えていくものとなることを願っています。
 ……中略……
 皆さんがこれから活躍していく社会は、新しい知識・情報・技術が、政治・経済・文化をはじめ、社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す「知識基盤社会」の時代と言われています。知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間なく、驚くほどの速さで進行する社会でもあります。ニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン教授は、「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちが、大学を卒業するとき、その65パーセントは、現在は存在していない職業に就くだろう」と予測しています。65パーセントという数値はアメリカ合衆国国内を対象にした予測ですから、そのまま日本においても当てはまるものではないかもしれません。しかし、自分たちの周りを見渡すと十年前にはなかった職業も実際に存在します。このように変化が激しい社会では、これまでの知識だけでは解答を導けないような諸問題に果敢に取り組み、新たな世界を切り拓いていく力が必要となってきます。
 皆さんは、第二高校の学校生活の中で、課題研究やテーマ研究に取り組み、研究を進めていく中で、問題解決や創造性、独創性といった思考の方法、またコミュニケーションや協働といった仕事の方法を身につけてきました。皆さんが身につけた力はこれからの生活で諸問題を解決していく上で必ず役立つものと思います。
 これまでの前例が参考にならない、答えのない問題に向き合う場面が、皆さんのこれからの人生に幾度となく訪れると思います。難しい問題に直面してそれを乗り越えるのに時間がかかる場合があるかもしれません。その時は一度立ち止まって、自分が置かれている立場や状況を見つめなおしてみることも必要になってくるでしょう。
 作家である赤瀬川隼さんは「道草を食うことを恐れるな。道草とは、決められた一本の道を急ぐのではなく、好奇心を道連れに、時間をかけてらせん状にすすむことだ。」と述べています。ここで言う「道草」とは、ただ単に時間を浪費するということではありません。すぐにあきらめず、課題を乗り越えるための解決法を多方面にわたって時間をかけて探る。そうすることで、今まで気づいていなかった新たな自己の能力を発見し、その力を使って解決する道が開けてくると信じます。「道草を食うことを恐れるな。時間はかかっても必ず課題は乗り越えることができる。」
 ……中略……
 卒業生の皆さん、皆さんの前途が洋々たるものであることを信じ、将来のご多幸をお祈りして、式辞とします。

にっこり 平成28年1月

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
年明けは穏やかな日が続きました。皆さんもそれぞれが、新たな年の目標を設定したことと思います。
「一日の計(はかりごと)は寅に在り、一歳(いっさい)の計(はかりごと)は春に在り」という先人の教えがあります。「一日の計は寅に在り」の寅とは十二支の寅を指し、現在の時刻でいうと午前4時頃を示しています。また、「一歳(一年)の計は春に在り」の春は年の始まりのことで、目標や計画は早めに立てるべきであるとの教えです。
私たちは何かに取り組むとき、あらかじめ目標や計画をたて実行しています。学習も同様で、一年という区切りに加えて、一日、一週間、一か月というスパンで目標を設定してみてはどうでしょうか。長期的目標と短期的目標を組み合わせることで、目標に向けた進捗状況や理解の度合いをより正確に、また具体的に把握できると思います。
 1月2日と3日の二日間、箱根駅伝が行われました。今年で92回目を迎え、国民的行事になっています。今年は往路・復路とも青山学院大学が制し、2年連続2度目の優勝を果たしました。往路・復路ともに一度もトップを明け渡さず全区間を首位で通過し優勝したのは実に39年ぶりという快挙でした。この大会の最優秀選手に送られる賞は「金栗杯」と呼ばれ、今回は青山学院大の往路1区の選手に贈られました。この金栗という冠は、熊本県玉名郡春富村(現在の和水町)出身の金栗四三という人の名に由来します。日本におけるマラソンの父と称された人で、3度オリンピックに出場されました。箱根駅伝は大正6年に第1回が開催されましたが、金栗さんはその開催に向け中心となって尽力された郷土の偉人です。今年も実況中継の合間にモノクロの当時の映像や写真が流され、開催に至る苦労や歴史がよく伝わってきました。
 金栗さんは、「体力、気力、努力」という言葉を残していらっしゃいます。この言葉は、マラソン選手として成功するための3つの条件として述べられたものと推察しますが、スポーツに留まらず私たちが生活していく上でも大切な心構えだと思います。
まず「体力」。何よりも健康で体力があること。健康な体でないといざという時に力を発揮することができません。3年生の諸君はセンター試験が目前に迫っています。体調を万全に整え、最大限の力を発揮してください。センター試験の頃になると毎年寒気が増していきます。体調管理も大切な受験への備えです。
次に「気力」。やる気、強い心。これによって行動へのモチベーションが維持できます。皆さんの大きな目標の一つに、進路実現があげられると思います。1年生、2年生の諸君は2年先、1年先に自分はこうなっているのだということをイメージしながら、気力をもって取り組んで欲しいと願います。
 3つ目に「努力」。継続して行動することが、大きな実りにつながるものと思います。皆さんの将来が全てにおいて順調であれと願いますが、実際は様々な困難に直面し、すぐには解決できない問題が大きく立ちはだかることもあるでしょう。その時、「自分には無理かもしれない」とか「だめだ」と思うと、目標実現に向けての気力が委縮してしまうかもしれません。そんな時に「もうできない」ととらえず、「まだできていないだけ」、「いつかできる」と心に強く思うことで、自己のポテンシャルを高めることができると思います。このような考え方を「成長型マインドセット」と呼びます。
 皆さんもよく知るトーマス・エジソンは「発明家」・「努力の人」と呼ばれますが、一方で、「失敗と敗北の人」とも呼ばれました。彼は次の言葉を残しています。「わたしは今までに一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を、今までに2万回したのだ。」と。発明や成功以上に失敗を経験したエジソンですが、うまくいかなかったことを失敗と捉えず、その方法ではうまくいかないということを発見したという考え方に変えたのです。「成長型マインドセット」の典型と言えるでしょう。
 今年の干支は「さる」。十干十二支の組み合わせで言えば「丙申(ひのえさる)」の歳です。申という漢字には「のばす」、「まっすぐにのびる」という意味があります。皆さんがこの一年、目標達成に向けて成長型マインドセットを発揮し、人間力を伸ばし更にレベルを上げてくれることを期待します。