校長ブログ

平成28年4月

 平成28年度が始まりました。4月8日は、午前中に2年生と3年生で始業式を、午後は入学式を行い新入生を迎えました。3月に52期生を送り出して、1学年分生徒が少なくなっていましたが、全校生徒が揃い以前と同様に、学校に活気が戻ってきたように思います。
 本年度の本校の教育目標は、昨年度と同様に「連携と共有 全人教育の推進」としました。本年度も生徒の希望が実現できるよう私たち職員一同、精一杯生徒を指導、支援して参りたいと思いますので、このHPを御覧の皆様も第二高校に対するご支援、ご協力をよろしくお願いします。

 以下、始業式式辞の内容の一部を示します。


 ・・・昨年度、皆さんには、「切磋琢磨」及び「二高生としての品格をさらに高めよう」という2つのことをお願いしました。今年度もこの2つを皆さんに継続して求めたいと思います。昨年1年間皆さんを見てきましたが、皆さんの成長はまだ途中の段階にあるといえます。皆さんの可能性は無限大であると思っています。皆さんそれぞれの進路目標を実現するためには、お互いが意識しあい切磋琢磨しながら努力してください。また、熊本県内の同じ学年の人たちだけではなく全国の同じ学年の人たちがよきライバルであります。それぞれが勉学に励み、競い合うことでさらに学力が高まる。そして、学年全体のレベルが高まっていくと信じます。学校生活は団体戦といわれますが、皆さんがよいところを十分に発揮しながら、学校全体がより高いレベルにステップアップできることを期待したいと思います。これは学習に限らず部活動でも必要なことです。互いが技量を磨くことでチーム全体のレベルが上がります。団体戦や個人戦の結果を見るともう少しで入賞という人たちがかなり多くなってきました。文化系、運動系の部活動ともに活躍を期待します。
 次に「二高生としての品格」。二高生の品格は何かと問われても簡潔明瞭な説明は難しい面があるかもしれません。しかし、これを凝縮してまとめたことばが本校の三綱領になるのではないかと考えます。本校の創立時にこの三綱領が制定され、55年変わらずに先輩諸氏が唱和し常に胸に刻み受け継がれてきたものですから、この綱領を日々実践に移すことで第二高校としての品格、さらに社会人としての品格が培われていくのだと思います。
(中略)
 「土光臨調」で有名な土光敏夫さんは、石川島播磨重工業や東京芝浦電気の社長を務めました。いずれの会社も経営危機に陥った時の社長就任でしたが、その類まれな経営手腕でどちらも見事に経営を立て直されました。その後、経団連や国の第二次臨時行政調査会の会長に就任し、国が進める行政改革にも大きな足跡を残されました。
(中略)
 土光さんは戦後屈指の経営者として有名な人ですから、土光さんが示した行動指針は、現在の社会人のあるべき理想として今なお読み続けられています。土光さんのことばを紹介します。
『やるべきことが決まったら執念を持ってとことんまで押しつめよ。問題は能力の限界ではなく執念の欠如である。
 物事を成就させる力は何か、その力の中にはむろん能力があるだろう。だが、能力は、必要な条件ではあっても十分な条件ではない。十分な条件とは、その能力に、起動力・粘着力・浸透力・持続力などを与える力である。そのような様々な力を、私は執念と呼びたい。
 仕事に困難や失敗はつきものだ。そのようなとき、困難に敢然と挑戦し失敗に屈せず再起させるものが、執念である。そればかりではない。およそ独創的な仕事といえるのも、執念の産物であることが多い。湯川博士は中間子理論のヒントを寝床の中で得たという。しかしその背後には、寝ても覚めてもその一事に凝り憑かれた長い執念の期間があったことを忘れてはなるまい。』(「新訂 経営の行動指針」より)

今年の卒業生は、進路でがんばって素晴らしい成績を残してくれました。これも生徒の皆さんが最後まであきらめず、目標とするところに合格するのだ、合格してそこでさらに勉強するのだ、という強い思いがあったからだと私は思います。これが今述べた執念であり二高生の伝統のひとつであると思います。・・・


 生徒たちは、4月の後半から5月14日に開催する運動会の練習に取り組んでいきます。既に各団の絵看板の作成や応援団員の練習が始まっています。今年の運動会も生徒たちの取り組みによって、躍動感あふれる素晴らしい運動会にしてくれることでしょう。近隣の皆様には様々な面でご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞご声援をよろしくお願いします。


にっこり 平成28年3月 その2

 桜の花が美しい時期になりました。自衛隊通りの桜は、満開の時期を迎えると見応えがあります。この時期の週末には自動車が通行止めになり、歩行者がゆっくりと散歩しながら桜を眺めることができます。一般的に植えられている桜は「ソメイヨシノ」と呼ばれる品種です。ソメイヨシノは、江戸時代に園芸品種として創られたという説が有力です。この品種は結実してもその実から実生することはなく、各地に植えられているものはすべて接ぎ木などの方法によって繁殖されたものです。ソメイヨシノの寿命はあまり長くはないようです。自衛隊通りの桜も植えてから年数が経っているものも多く、樹勢が衰え、花の咲き具合が悪くなったものから順次植え替えられていると聞いています。実際に見てみると、所々に若い木を見ることができます。
 九州自動車道の八代から以南は山岳道路となり山間を縫って道路ができています。桜が咲く時期に山肌の木々を眺めると所々に薄ピンク色の花が咲いた木が見られますが、これは「ヤマザクラ」と考えられます。ソメイヨシノは花が葉よりも早く開きますが、このヤマザクラは花と葉芽がほぼ同時に展開するのが特徴です。南阿蘇村には樹齢400年あまりといわれる「一心行の大桜」があり、報道などでもよく紹介されますが以前はこの木の品種が、「エドヒガン」「ヤマザクラ」のいずれなのかという議論がありました。その後DNA鑑定が行われ、「ヤマザクラ」であるという結果になっています。報道されるたびに、実際に花を見ようと観光客が多く訪れるのですが、観光客の足で地面が踏み固められ樹勢が弱るため、立ち入り規制を行っているようです。自然の状態が木にとっては最も健康的でありますので、実際に見学に行っても桜の木に対する配慮が必要です。
 日本では年度が変わる時期と桜の開花が重なり、別れと出会いの季節となります。本校でも3月29日に職員の転退任式を行いました。今年は教職員の人事異動の報道発表が3月30日でしたので、一般の方が知る前の転退任式となりました。しかし、体育館には卒業生の諸君も大勢出席してもらい、厳粛な中に盛大に先生方をお送りすることができました。駆けつけて頂きました保護者、卒業生の皆さん大変ありがとうございました。本校を転退任される先生方におかれましては、本校の教育にご尽力いただきありがとうございました。先生方のご指導を忘れず、私たちは二高生のために努力して参ります。
 このHPを日頃からご覧いただいている皆様、今年1年間第二高校へのご声援ありがとうございました。次年度も第二高校へのご支援ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
 この「東町3丁目だより」も 次年度も続けていきます。1ヶ月に約1回のペースで更新して参りますが、あまり期待されずに眺めていただければ幸いです。

学校 平成27年度末人事異動

  氏  名
 石田 智雄 先生
 本山 雅仁 先生
 髙田  拓 先生
 前田 眞澄 先生
 津留 幸江 先生
 武田 昭博 先生
 前田 啓志 先生
 平川真由美 先生
 内藤さとみ 先生
 園田 光世 先生
 髙島 由佳 先生
 栁田 耕輔 先生
 中満恵美子 先生
 瀬上眞由美 先生
 草留 秀人 先生
 鋤本 誠也 先生
 宮原 公典 先生
 牛島 隆博 先生
 長谷川智洋 先生
 山口 玲奈 先生
 田中 基義 先生
 小林 敏夫 先生
 澤田 一生 先生

笑う 平成28年3月

 3学期は、他の学期に比べ授業日数が少ないのですが、学校にとっては重要な行事が続きます。まず、3年生が上級学校進学に向けてセンター試験に挑みます。1月16日と17日に熊本県立大学で受験しました。その後私立大学を受験する生徒は、1月下旬から各私立大学の入学試験に臨みました。国公立大学は、大学個別の試験を実施します。前期が2月25日、3月になると中期及び後期試験が実施されます。3年生の皆さんはそれぞれ志望の大学を受験しています。受験生の皆さん、最後まであきらめずに頑張ってください。
 3年生の受験と同じ時期に今度は高校の入学者選抜検査が行われます。2月2日、本校では前期(特色)選抜を、理数科と美術科で行いました。3月に入り、8日と9日に後期(一般)選抜を行いました。多くの生徒の方に受検していただきありがとうございました。難関を突破され、4月になると新たな二高生となって新学期が始まります。
 前後しましたが、3月1日に卒業式を行いました。保護者の方や来賓の方もたくさんおいでいただき3年生の卒業を祝福していただきました。大変ありがとうございました。卒業式が終わった後の卒業生の笑顔を見る度に、私は教員になって本当に良かったと思います。卒業した二高生は、これから社会で更に大きく成長してくれることでしょう。
以下に、卒業式の式辞の一部を掲載します。

式辞
 ……中略……
 ただ今、卒業証書を授与した卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、本校の綱領である「自主積極・廉恥自尊・礼節協調」をよりどころとして、「学力の向上」はもとより、人としての「人格の陶冶」に向けて、日常の勉学や部活動、並びに生徒会活動を中心に、自己研鑽の日々を積み重ね、本日、晴れて卒業の日を迎えたのであります。
 ……中略……
 皆さんが本校に入学したとき、これから高校生活をどのように送ってほしいか、学校からお願いをしていました。まず、一つ目は「第二高等学校の生徒であるという、自信と誇りを持って欲しい」ということ、二つ目に「感謝の心と謙虚さを常に忘れないで欲しい」ということでした。私は卒業生の皆さんについては、三年次のこの一年間しか見ていませんが、この一年間充実した学校生活を送ってくれました。皆さんは、積極的に挨拶を励行してくれましたし、環境美化活動やボランティア活動にも一所懸命に取り組んでくれました。率先して何事にも取り組む姿勢は、二高生の伝統であり、「二高生としての自信と誇りを自分も受け継いでいくのだ」という強い意志があったからこそ、為し得たものではないかと考えます。この自信と誇りを自分のものにすることで、感謝の心と謙虚さも同時に身についたことが、皆さんの姿勢からはっきりとわかります。私も年度当初の四月に、皆さんに「二高生としての品格をさらに高めよう」とお願いしましたが、私が期待した以上に皆さんは「人間力」を高めることができたと確信しています。本校で培った人間力が、十年後、二十年後の時代になっても、皆さんの心の中でも生き続け、皆さんそれぞれの人生を支えていくものとなることを願っています。
 ……中略……
 皆さんがこれから活躍していく社会は、新しい知識・情報・技術が、政治・経済・文化をはじめ、社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す「知識基盤社会」の時代と言われています。知識は日進月歩であり、競争と技術革新が絶え間なく、驚くほどの速さで進行する社会でもあります。ニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン教授は、「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちが、大学を卒業するとき、その65パーセントは、現在は存在していない職業に就くだろう」と予測しています。65パーセントという数値はアメリカ合衆国国内を対象にした予測ですから、そのまま日本においても当てはまるものではないかもしれません。しかし、自分たちの周りを見渡すと十年前にはなかった職業も実際に存在します。このように変化が激しい社会では、これまでの知識だけでは解答を導けないような諸問題に果敢に取り組み、新たな世界を切り拓いていく力が必要となってきます。
 皆さんは、第二高校の学校生活の中で、課題研究やテーマ研究に取り組み、研究を進めていく中で、問題解決や創造性、独創性といった思考の方法、またコミュニケーションや協働といった仕事の方法を身につけてきました。皆さんが身につけた力はこれからの生活で諸問題を解決していく上で必ず役立つものと思います。
 これまでの前例が参考にならない、答えのない問題に向き合う場面が、皆さんのこれからの人生に幾度となく訪れると思います。難しい問題に直面してそれを乗り越えるのに時間がかかる場合があるかもしれません。その時は一度立ち止まって、自分が置かれている立場や状況を見つめなおしてみることも必要になってくるでしょう。
 作家である赤瀬川隼さんは「道草を食うことを恐れるな。道草とは、決められた一本の道を急ぐのではなく、好奇心を道連れに、時間をかけてらせん状にすすむことだ。」と述べています。ここで言う「道草」とは、ただ単に時間を浪費するということではありません。すぐにあきらめず、課題を乗り越えるための解決法を多方面にわたって時間をかけて探る。そうすることで、今まで気づいていなかった新たな自己の能力を発見し、その力を使って解決する道が開けてくると信じます。「道草を食うことを恐れるな。時間はかかっても必ず課題は乗り越えることができる。」
 ……中略……
 卒業生の皆さん、皆さんの前途が洋々たるものであることを信じ、将来のご多幸をお祈りして、式辞とします。

にっこり 平成28年1月

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
年明けは穏やかな日が続きました。皆さんもそれぞれが、新たな年の目標を設定したことと思います。
「一日の計(はかりごと)は寅に在り、一歳(いっさい)の計(はかりごと)は春に在り」という先人の教えがあります。「一日の計は寅に在り」の寅とは十二支の寅を指し、現在の時刻でいうと午前4時頃を示しています。また、「一歳(一年)の計は春に在り」の春は年の始まりのことで、目標や計画は早めに立てるべきであるとの教えです。
私たちは何かに取り組むとき、あらかじめ目標や計画をたて実行しています。学習も同様で、一年という区切りに加えて、一日、一週間、一か月というスパンで目標を設定してみてはどうでしょうか。長期的目標と短期的目標を組み合わせることで、目標に向けた進捗状況や理解の度合いをより正確に、また具体的に把握できると思います。
 1月2日と3日の二日間、箱根駅伝が行われました。今年で92回目を迎え、国民的行事になっています。今年は往路・復路とも青山学院大学が制し、2年連続2度目の優勝を果たしました。往路・復路ともに一度もトップを明け渡さず全区間を首位で通過し優勝したのは実に39年ぶりという快挙でした。この大会の最優秀選手に送られる賞は「金栗杯」と呼ばれ、今回は青山学院大の往路1区の選手に贈られました。この金栗という冠は、熊本県玉名郡春富村(現在の和水町)出身の金栗四三という人の名に由来します。日本におけるマラソンの父と称された人で、3度オリンピックに出場されました。箱根駅伝は大正6年に第1回が開催されましたが、金栗さんはその開催に向け中心となって尽力された郷土の偉人です。今年も実況中継の合間にモノクロの当時の映像や写真が流され、開催に至る苦労や歴史がよく伝わってきました。
 金栗さんは、「体力、気力、努力」という言葉を残していらっしゃいます。この言葉は、マラソン選手として成功するための3つの条件として述べられたものと推察しますが、スポーツに留まらず私たちが生活していく上でも大切な心構えだと思います。
まず「体力」。何よりも健康で体力があること。健康な体でないといざという時に力を発揮することができません。3年生の諸君はセンター試験が目前に迫っています。体調を万全に整え、最大限の力を発揮してください。センター試験の頃になると毎年寒気が増していきます。体調管理も大切な受験への備えです。
次に「気力」。やる気、強い心。これによって行動へのモチベーションが維持できます。皆さんの大きな目標の一つに、進路実現があげられると思います。1年生、2年生の諸君は2年先、1年先に自分はこうなっているのだということをイメージしながら、気力をもって取り組んで欲しいと願います。
 3つ目に「努力」。継続して行動することが、大きな実りにつながるものと思います。皆さんの将来が全てにおいて順調であれと願いますが、実際は様々な困難に直面し、すぐには解決できない問題が大きく立ちはだかることもあるでしょう。その時、「自分には無理かもしれない」とか「だめだ」と思うと、目標実現に向けての気力が委縮してしまうかもしれません。そんな時に「もうできない」ととらえず、「まだできていないだけ」、「いつかできる」と心に強く思うことで、自己のポテンシャルを高めることができると思います。このような考え方を「成長型マインドセット」と呼びます。
 皆さんもよく知るトーマス・エジソンは「発明家」・「努力の人」と呼ばれますが、一方で、「失敗と敗北の人」とも呼ばれました。彼は次の言葉を残しています。「わたしは今までに一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を、今までに2万回したのだ。」と。発明や成功以上に失敗を経験したエジソンですが、うまくいかなかったことを失敗と捉えず、その方法ではうまくいかないということを発見したという考え方に変えたのです。「成長型マインドセット」の典型と言えるでしょう。
 今年の干支は「さる」。十干十二支の組み合わせで言えば「丙申(ひのえさる)」の歳です。申という漢字には「のばす」、「まっすぐにのびる」という意味があります。皆さんがこの一年、目標達成に向けて成長型マインドセットを発揮し、人間力を伸ばし更にレベルを上げてくれることを期待します。