校長ブログ

平成29年6月

 梅雨の時期です。熊本県は6月の上旬に梅雨に入ったと気象台が発表していましたが、熊本では6月の上旬から中旬は、雨があまり降りませんでした。日本では梅雨は南から北に向かって徐々に移動していきます。6月の中旬に、高文連の仕事で沖縄に出張しましたが、ちょうど沖縄本島付近に梅雨前線が停滞していたのか滞在した3日間すべて雨でした。沖縄県では豪雨で川の氾濫などがあったようです。6月下旬になって熊本地方も梅雨らしい天候になってきました。以前に比べ傾向として梅雨末期に集中豪雨が発生し、川の氾濫や土砂崩れが発生する頻度が高いように感じます。雨は農業等では必要ですからまったく降らないのも困りますが、逆に豪雨で災害が発生するのも困ります。
 梅雨の時期は、気温が高く湿度も高いのでカビが発生しやすい時期でもあります。カビは食品に限らず衣類など様々なものに発生します。私はカメラを持っていますがカメラのレンズの表面にもカビが発生します。ガラスなのにカビが成長するのに必要な栄養分がどこにあるのだろうかと不思議に思います。レンズにカビが生えるといけませんからカメラを使用しないときには、乾燥材を入れた密閉容器に保管をしています。本校職員の中にもカメラや写真を趣味としている人がいますが、各自が工夫してカメラのカビ対策をしているようです。
 さて、カビはこのように人間にとって悪い影響を与えることもありますが、逆にカビを生活に利用している例が多くあります。たとえば、鰹節を作る場合には、保存性を増すためにカツオの身から水分を取り除く必要がありますので、燻煙とカビをつける作業を繰り返すそうです。そうすることで水分が抜けると同時に鰹節独特のうまみ成分が多くなります。また、酒をつくる場合、アルコールを発生させるには酵母菌という微生物を使ってアルコール発酵を行います(発酵のしくみは高校では生物で学びます)が、酵母菌は、米に含まれるデンプンを直接アルコールにはできません。デンプンは、ブドウ糖という糖が多数結合したものです(糖類の分子構造は高校では化学や生物で学びます)から、デンプンの中のブドウ糖同士の結合を切って単独のブドウ糖に変える必要があります。その役割をするのがコウジカビです。コウジカビの作用によって糖化されたものが、酵母菌のエサとなり発酵に使われることができるようになるのです。日本酒をつくるには、まず米を蒸してそこに麹を混ぜ合わせ、コウジカビが繁殖し糖化が進んだ頃に酵母菌を投入しアルコール発酵をさせて日本酒を製造します。
 ところで、米を麹で糖化させ、酵母による発酵を行わせる前の状態のものが甘酒となります。本校理数科のSSH課題研究のテーマの一つとして生物班が、「抗酸化機能を持つ甘酒の研究」にも取り組んでいます。甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれ、疲労回復にも役立つとも言われている飲み物ですが、甘酒の抗酸化機能に注目し、麹の種類を変えたり、糖化させる温度を変えたりする実験をして抗酸化機能の増減について研究を進めています。
 また、科学的な研究として家庭科の授業では鰹節や昆布からとった天然だしを材料として味覚官能評価の実験を大学と共同で行ったりもしています。
 課題研究の材料は様々な分野から探して持ってきますが、科学に関する探究を進めるためには、日頃から身の回りで起こる事象に対して、いかに疑問を持つのかという課題発見能力が重要となります。課題研究で研究しているテーマについては、このHPのSSHコーナーをご覧ください。