2023年3月の記事一覧

私たちは「中間走者」です ~ 転・退任式

 人事異動は、私たち県立学校教職員にとっては「定め」です。この度の人事異動に伴い、下記の14人の職員が西高から転任・退任することとなりました。勤務期間の長短はありますが、私たち14人、西高生の成長に関わり、保護者・地域の皆様のご協力、ご支援を受けて西高で勤務できたことは大きな喜びです。

 私たちは「中間走者」の役割を担っていると思います。前任者からバトンを受け、次の走者へ引き継ぐまで走り切ることが使命です。皆様のご期待に応えられたどうか自信はありませんが、全力を尽くしたという気持ちです。

 令和6年に西高は創立50周年を迎えます。私たちの学校、熊本西高がさらに発展していくことを願い、転・退任の挨拶といたします。

(教科等・職名) 〔氏  名〕    (転出先等)

 

1  審議員      濵田 敏彦    八代高校・中学校(審議員)

2 主幹教諭    上渕 優     県立教育センター(主幹)

3 国語・教諭   森山 幹俊    北稜高校

4 地歴・教諭   寺尾 寛紀    菊池高校

5 数学・教諭   二子石 哲也   天草拓心高校(本渡校舎)

6 保体・教諭   西田 怜     高森高校

7 事務職員    木村 未佳    上天草市立湯島小学校

8 理科・講師   松本 肇     阿蘇中央高校

9 英語・講師   坂口 希     退職

10 公民・非常勤  本田 眞美    退職

11 英語・非常勤  山﨑 敬博    熊本高校(非常勤講師)

12 英語・非常勤  足立 桃花    退職

〔定年退職〕

13 理科・実習教師 松村 友美    熊本西高(再任用)

14 校長      粟谷 雅之

「校長室からの風」

  令和5年3月28日(火) 熊本西高校「転・退任式」(体育館)

3月24日、修了式 ~ 令和4年度修めの日

   3月24日(金)は、3学期の終業式であると共に令和4年度の修了式、修めの日です。そして、午後には合格者説明会が実施され、来年度の新入生約340人が保護者と共に来校してくれました。

 午前中、スタジオで表彰式と修了式を実施、それをオンラインで各教室と結びました。柔道部はじめeスポーツ部、ウエイトリフティング部、書道部など、そして成績優秀者(代表)、皆勤賞(代表)の生徒たちに賞状等を渡し、その努力を称えました。特に、女子柔道団体は全国選抜大会でベスト8の立派な成績を収め、念願の日本1への可能性が高まってきました。

 修了式での校長からのメッセージは、3年余りのパンデミックによって、一人一台のタブレット端末配備に象徴されるように学校教育のデジタル化が急速に進んだことをテーマとしました。私自身、まだ先の未来の教育と思っていたものが、一気に歴史の針が回りました。後戻りすることはありません。

 以前の学習は、まず暗記し、覚えることで大量の知識を身につけることが求められました。それが劇的に変化しました。人間の能力をはるかに超えたコンピュータの記憶力や計算力、情報量を利用することで、暗記や覚える学習はあまり意味がなくなりました。

 私は近視ですから、眼鏡をかけ、自分の身体の機能の弱い部分を補っています。これと同じように、タブレットやスマートホンは皆さんの身体の機能を拡張、強化してくれるもので、身体の一部のようなものです。体の一部の機能であるコンピュータに何をしてもらうのか、それを活用して、どんなことを探究していくのか。これからの学びは問われます。

 気を付けてほしいことは、学習がデジタル化したからといって、ひとりで内向きになってはいけません。一人でコンピュータゲームを楽しむのではないのです。ICTとは情報通信技術です。コンピュータで情報を共有し、多くの人とつながり、協働の学びを進めていくことです。すなわちチームワークがますます必要になってきます。コンピュータを使う基本的なマナーとモラル、そして相手を思いやる気持ちが大切になります。ネットの向こうに生身の人間がいるという事実を忘れないでください。

 デジタル化が進む社会だからこそ、スポーツをはじめ自ら身体を動かし、感受性や身体感覚を研ぎ澄ますことが必要となります。一人でスマホの画面を見て笑うのではなく、マスクを外し、学校の活動の中で友達と共に笑い合う場面が新年度は増えることを期待します。

 学校だからこそ出来る、お互いが認め合い、励まし合い、笑い合う時間が西高で広がることを願っています。

 「校長室からの風」

     表彰式、修了式、そして生徒会から新しい女子の制服モデル発表

なぎなた部と柔道部が全国選抜大会へ ~ 全国大会出場推戴式

 金峰山の山麓に霊巌洞(れいがんどう)と呼ばれる洞窟があります(西区松尾町)。江戸時代初期の剣豪、宮本武蔵がこの洞窟にこもり、兵法の書「五輪書」を著わしたことで知られています。二刀流の使い手、あるいは巌流島の決闘で有名な宮本武蔵は播磨国(現在の兵庫県)の出身で若いころは諸国をめぐったようですが、最後は熊本の大名である細川家に招かれ、61歳で亡くなるまでの晩年の5年間を熊本で過ごしました。武蔵は単なる武芸者ではありません。能を舞い、水墨画を描き、そして剣の極意を伝える書物を著わしました。文武両道という言葉はまさに武蔵のためにあるようなものです。強いだけの剣士から、高い精神的境地に達し、その精神を芸術や書物に表現できる達人になったからこそ、後の世の人にも尊敬されることになったのでしょう。武蔵の墓は北区の武蔵塚が有名ですが、実は西の武蔵塚と呼ばれる、もう一つの墓が、西区島崎にあります。霊巌洞や西の武蔵塚など、宮本武蔵はこの西区にかかわりの深い人物です。

 武蔵が亡くなって400年近く立ちますが、その文武両道の精神を受け継ぐのが西高だと私は思ってい

ます。西高の体育コースが平成3年に発足するにあたって、その専攻競技として、柔道、剣道、なぎなたの武道が選ばれ、熊本県の武道の拠点校となったことの歴史的背景には武蔵の存在があると思っています。

 あらためて、なぎなた部と柔道部が全国選抜大会に出場することを、全校生徒の皆さんと共に喜びたいと思います。

 なぎなた部は全国大会常連校で、熊本西高の名は高校なぎなた競技では広く知られています。他校からマークされ、重圧もかかるでしょう。しかし、伝統校の誇りを胸に、凛として戦ってください。

 柔道部は、3年ぶりの全国選抜大会への出場です。県大会では決勝で九州学院と対戦し、全員が攻めの姿勢を貫き、大将戦で劇的な逆転勝ちをおさめました。武道の聖地である東京の日本武道館が会場です。部員一丸となり、挑戦者として力を発揮してきてください。

 厳しい勝負の世界を生き抜いた宮本武蔵は多くの言葉を残しています。

 「心 つねに 道を離れず」

 「われ、神仏を敬い、神仏を頼らず」

 「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」

 「われ事において 後悔せず」

 武蔵の言葉をもって励ましの言葉とします。

「校長室からの風」

      なぎなた部        女子柔道部      西峰会(同窓会)から激励金

若人の旅立ちに立ち会える喜び ~ 熊本西高校第46回卒業式

  「朝夕仰ぐ金峰の 雄姿に高き 希望(のぞみ)あり ~ 」

 卒業生の校歌斉唱の声の大きさに驚きました。その声量、そしてエネルギーで会場の体育館が揺れるようでした。マスクを付けての校歌斉唱は卒業式のクライマックスとなりました。入学以来、コロナ禍が長期化し、学年全体で校歌斉唱する機会はこれまでありませんでした。昨日2月28日の卒業式予行では、歌詞カードを見ながらの生徒も多く、斉唱もぎこちない感じでした。それが一日で見違えるほどの変わりようで、若さの可能性を感じました。

 3月1日(水)、熊本西高校第46回卒業式を挙行しました。コロナウイルス感染症者の減少に伴い、ようやく規制もゆるみ、卒業生の入退場はマスクを外して行いました。着席中は個人の自由に任せ、校歌斉唱の時だけはマスク着用を求めました。新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)の始まりと共に入学し、その断続的な感染の波に高校生活が翻弄された生徒たちは、最後の卒業式においても完全にマスクを外すことはできませんでした。

 卒業生総代の濱﨑さん(前生徒会長)は、答辞の中で、普通の高校生活を送ることができなかった無念さを述べると共に、そのような困難な社会環境の中で、前向きな気持ちで工夫して自分たちで学校生活を創っていったと述べました。そして結びに、自分たちを励まし、支えてくれた家族、教職員等への深い感謝の気持ちを伝えてくれました。

 式が終わり退場する時、保護者席に向かって、「おとうさん、おかあさん、これまで有難う」とクラスごとに大きな声で挨拶する光景は、思わず胸が熱くなります。きっと保護者の方々の感慨はひとしおのことと思われます。

 パンデミックで大きな影響を受けた高校生活で、彼らは特別なものを学んで卒業していくと信じます。18歳の新成人として社会へ出ていきます。パンデミックが終わっても元に戻してはいけないことがあると思います。新しい生活様式のあり方、即ち未来を、この卒業生たちの世代が創っていってくれるのではないかと期待しています。

 若人の旅立ちに立ち会えることは私たち教職員の最大の喜びです。

 卒業おめでとう。

 「校長室からの風」

              熊本西高校第46回卒業式の様子