若人の旅立ちに立ち会える喜び ~ 熊本西高校第46回卒業式

  「朝夕仰ぐ金峰の 雄姿に高き 希望(のぞみ)あり ~ 」

 卒業生の校歌斉唱の声の大きさに驚きました。その声量、そしてエネルギーで会場の体育館が揺れるようでした。マスクを付けての校歌斉唱は卒業式のクライマックスとなりました。入学以来、コロナ禍が長期化し、学年全体で校歌斉唱する機会はこれまでありませんでした。昨日2月28日の卒業式予行では、歌詞カードを見ながらの生徒も多く、斉唱もぎこちない感じでした。それが一日で見違えるほどの変わりようで、若さの可能性を感じました。

 3月1日(水)、熊本西高校第46回卒業式を挙行しました。コロナウイルス感染症者の減少に伴い、ようやく規制もゆるみ、卒業生の入退場はマスクを外して行いました。着席中は個人の自由に任せ、校歌斉唱の時だけはマスク着用を求めました。新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)の始まりと共に入学し、その断続的な感染の波に高校生活が翻弄された生徒たちは、最後の卒業式においても完全にマスクを外すことはできませんでした。

 卒業生総代の濱﨑さん(前生徒会長)は、答辞の中で、普通の高校生活を送ることができなかった無念さを述べると共に、そのような困難な社会環境の中で、前向きな気持ちで工夫して自分たちで学校生活を創っていったと述べました。そして結びに、自分たちを励まし、支えてくれた家族、教職員等への深い感謝の気持ちを伝えてくれました。

 式が終わり退場する時、保護者席に向かって、「おとうさん、おかあさん、これまで有難う」とクラスごとに大きな声で挨拶する光景は、思わず胸が熱くなります。きっと保護者の方々の感慨はひとしおのことと思われます。

 パンデミックで大きな影響を受けた高校生活で、彼らは特別なものを学んで卒業していくと信じます。18歳の新成人として社会へ出ていきます。パンデミックが終わっても元に戻してはいけないことがあると思います。新しい生活様式のあり方、即ち未来を、この卒業生たちの世代が創っていってくれるのではないかと期待しています。

 若人の旅立ちに立ち会えることは私たち教職員の最大の喜びです。

 卒業おめでとう。

 「校長室からの風」

              熊本西高校第46回卒業式の様子