2022年1月の記事一覧

春に西高で待っています ~ 高校入試(前期選抜)

 高校入試の季節となりました。1月24日(月)、県立高等学校の前期(特色)選抜検査の日で、熊本西高においても普通科体育コース及びサイエンス情報科で実施しました。それぞれ定員の50%の20人が前期の募集人員です。体育コースは39人、サイエンス情報科は30人が出願してくれました。

 前日の雨もあがり、時折、薄日が射す天候のもと、朝から受検生を迎えました。新型コロナウイルス感染の第六波のただ中であり、健康管理に神経をとがらせ、生活してきたことでしょう。自転車に乗って、または保護者の車の送りで、緊張した面持ちの受検生が集まってきました。

 9時に集合完了。体育コースは実技検査ですが、前日の雨の影響でグラウンド状態が良くなく、一部の競技は体育館2階のアリーナで実施となりました。サイエンス情報科は一人7分間の個人面接を行いました。面接を早めに終えたサイエンス情報科の受検生は順次校舎を出て、校庭を歩き、校門から帰って行くのですが、その中に、校門のところで立ち止まり、校舎側を振り向いて深々と頭を下げる者が数名見られました。校門一礼の指導を中学校で受けているのでしょうが、そのことが習慣となっている姿は深く印象に残りました。11時前後には体育コースの実技検査を受け終えた受検生たちが、談笑しながら連れ立って帰る光景が見られました。温かい陽光が注ぐ中、朝とは違い、とてもリラックスした雰囲気でした。

 繰り返しますが、前期選抜では定員の50%の20人が合格です。すなわち、一定数の受検生は不合格となるのです。その「狭き門」にあえて挑戦した、すべての受検生の皆さんの高い志に敬意を表したいと思います。西高の体育コースでトップアスリートを目指したい、サイエンス情報科で理科、数学、情報などを学びたいという受検生の熱い志望を有難く受けとめたいと思います。

 今日受検してくれた全員に合格して欲しいのですが、前期選抜ではそれができません。一部の受検生にはつらい不合格体験をさせることになります。しかし、一ヶ月後には後期(一般)選抜が控えています。より長く受験勉強することでさらに総合力が養われます。若いときの体験はどんなつらいことでも自分の成長につながるものです。後期選抜検査は2月24日(木)~25日(金)です。場合によっては、その後に二次募集の機会もあります。志望を貫いてください。

 今日、前期選抜を受検した皆さん、そして、後期選抜を受検する皆さん、春に西高で会いましょう。皆さんの入学を心から待っています。

「校長室からの風」

 

剣道部、全国選抜大会への出場を決める!

 西高剣道部が、全国高校選抜大会県予選を兼ねた県大会(1月15日、山鹿市総合体育館)で2位となり、全国選抜大会への初めての出場を決めました。これまで夏の全国高校総体へは一度出場経験がある剣道部ですが、春の全国高校選抜大会へ出場することは大きな目標でした。長年、全国王者の九州学院はじめ「剣道王国、熊本」の各強豪校の厚い壁が立ちはだかっていました。しかし、昨年秋から剣道部は上り調子で、監督の高田教諭も「全国選抜大会を狙う」と宣言し、選手を鼓舞されてきました。

 ひときわ寒さが厳しいこの冬、放課後や土日の昼間と剣道場からは熱気が生まれるほどの充実した稽古が続けられました。冬休み期間は朝8時からの寒稽古でしたが、選手たちの多くはその1時間前から登校し、自主練習に汗を流していました。剣道部は、1,2年生の男子10人、女子3人です。チームワークが良く、まとまっています。時折、私も道場に練習を見に行きますが、休息時間には部員同士の笑顔が絶えず、明るく和やかな雰囲気で、「やらされている」のではなく、主体的に進んで剣道に取り組んでいる様子が伝わってきます。練習時間も2時間未満で、密度の濃い内容です。 

 そして、何より指導者がそろっています。保健体育教諭の高田監督は、西高同窓生で、後輩に当たる部員に教育的愛情を持ち、めりはりのある指導で生徒の能力を引き出しています。また、久保孝コーチの存在も大きいものがあります。かつて本校の保健体育教諭で県の高校剣道界を牽引された方で、退職後、半ばボランティアで指導に来て頂いています。70歳近い年齢ながら、稽古で高校生に胸を貸しておられる姿に敬服します。また、顧問の橋本教諭(地歴科)も他校で剣道部の監督を務めた経験があり、生徒達を精神的に支援しています。

 「厳しい寒さ、及び新型コロナウイルス感染の蔓延という困難な環境の中、練習を続けてきたみんなは、強い。」と大会前日の練習後に私は生徒達に声をかけました。自己管理を徹底し、ベストの状態で大会に臨んだ結果と思います。感染の第六波に社会は覆われ、閉塞感が漂いますが、剣道部の快挙は学校にとって明るいニュースです。他の部活動や多くの生徒達にとって励みとなります。コロナの感染拡大が続き、学校も様々な面で我慢の時を迎えていますが、トンネルの先に光が見えたような気持ちとなりました。

 「生徒達は全国選抜大会出場が決まった喜びより、九州学院に負けた悔しさの方が大きいようです」と高田監督が報告されました。何と頼もしい生徒たちかと思います。全国選抜大会は3月下旬に愛知県で開催されます。西高剣道部はさらに強くなって、春の大舞台に挑戦します。

「校長室からの風」

生徒の皆さん、「Think big, Start small!」 ~ 3学期始業

 1月11日(火)、3学期が始まりました。

 コロナパンデミックが2年に及びます。肉眼では見えないウイルスに世界が翻弄され、私たちの生活も大きな影響を受けています。しかし、この2年間でコロナウイルスの実態がかなり明らかになりました。そもそもウイルスは単独では生存できず、動物や人間の細胞に寄生することでしか生存できません。自然界には無数のウイルスが存在し、その多くは人体に害はなく、コロナウイルスも弱毒化すれば、今のように恐れる必要はなくなると言われます。従って「ウイルスを撲滅」とか「根絶」の表現は適当ではなく、私たち人類はウイルスと共存の定めにあると言えます。

 これまで人類の歴史においてペスト、コレラ、天然痘、インフルエンザなど一部のウイルスがパンデミックを引き起こしました。パンデミックは歴史の歯車を早回しにします。14世紀のヨーロッパでペストが大流行し、甚大な犠牲者が出て人々の間で神への信仰が揺らぎました。そしてローマカトリックキリスト教の支配が弱まり、ルネサンスへと時代が動きました。19世紀のコレラの流行を克服するため、ロンドンはじめ世界の都市では下水道、上水道の整備が急速に進み、公衆衛生の考え方が普及しました。今回のコロナパンデミックにより社会はどう変わるでしょうか?確実に言えることは、学校に一人一台タブレット端末が配備されたことが示すように社会のICT化(情報通信技術化)が進むでしょう。DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を生徒の皆さんもよく耳にすると思います。デジタルテクノロジーを活用し、より良い社会に変革する動きを意味します。大きな変化の時代を私たちは迎えます。

 また、近現代、人類がヒト中心の考え方、価値観で開発を進めてきたため、熱帯雨林の減少など地球環境が悪化し生態系が乱れました。これまで自然界にとどまっていた未知のウイルスが野生動物からヒトへ次々と感染する時代に入ったと言われます。自然環境と人類が共生できる、持続可能な社会づくりは、第二、第三の新型コロナウイルス出現を防ぐためにも重要なことです。

 未来は不確実で、見通しは立ちません。しかし、未来の担い手は今の若者、皆さんです。目指したい未来の社会はどんな社会ですか?コロナパンデミックが終わっても元にもどしてはいけないことは何ですか? 皆さんには、大きく考え、小さく始める、「Think big,start small」の心構えをもってほしいと思います。地球環境や未来のあり方を考えながら、自分にできることから始めて欲しいと思います。年の初めの私の希望です。

「校長室からの風」

           オンラインでのリモート型始業式が定着

 

 

寅年、始動!

 2022年、令和4年、干支は壬寅(みずのえとら)です。熊本西高から東に約800mのところにある高橋稲荷神社に初詣へ行きました。この社は日本五大稲荷の一つに数えられ、商売の神様として知られています。社の起源は室町期に遡るようですが、小高い城山の西麓の現在地に建立されたのは江戸初期です。傾斜地で高低差のある境内の清掃ボランティアに西高生がよく参加します。そしてお正月の巫女、お守りの販売等を西高の女子生徒たちが務めています。

 参拝の階段登り口に、西高美術部が制作、奉納した寅の絵馬が飾られていました。縦90㎝、横180㎝の大型の絵馬です。この20年間、美術部は毎年の干支にちなんだ絵を描き同社に奉納を続けており、歴代の絵馬が参拝用の階段沿いに並んでいます。12月末の冬休みに美術室を訪ね、寅の絵を協働で作成している美術部員と話を交わしました。「虎はとても格好良い題材です。どんな姿を描いても絵になります!」と部長の阿津坂さん(2年)が笑顔で語ってくれました。虎と言えば、『山月記』(中島敦)を連想する高校生が多いでしょう。高校の国語の教科書では定番の小説です。『山月記』の虎は孤高のイメージがありますが、西高美術部のモチーフは大きく異なりました。虎の家族が寄り添う温かい雰囲気の画面でした。10人ほどで和気藹々と楽しそうに絵を創り上げている様子が印象的でした。彼らの思いが絵で表現されていると思います。

 正月2日に西高ラグビー部は「初蹴り」を行いました。4日には多くの部活動が練習を始めました。剣道部は朝8時からの稽古ですが、すでに7時少し過ぎには自主的に道場で稽古する部員がいました。また、隣の柔道場では、初稽古の後に保護者の方々による手作りの温かい豚汁が振る舞われました。

 1月15~16日には、全国で約53万人が受験予定の大学入学共通テストが実施されます。西高から78人の3年生が挑戦します。4日には多くの3年生が朝から登校し、教室で自学に励む姿が見られました。高校生活の集大成として全力を尽くしてくれることを期待します。

 「初暦 知らぬ月日は 美しく」(吉屋信子)

 新しい年が始まりました。これからどんな日々が待ち受けているかわかりません。先の見通せない不安な今だからこそ、未来を考えたいと思います。コロナパンデミックが終わっても元にもどしてはいけないことは何かを考えることが大切です。未来を担う高校生が共に伸びる学び舎でありたいと心から願います。

「校長室からの風」