校長室からの風
モノより体験を ~ 2年生修学旅行
修学旅行は、高校3年間で一回の唯一無二の学校行事です。新型コロナウイルス感染症パンデミックが発生して以来、本校では体育コースのスキー研修を除いて修学旅行は実施できていませんでした。そして、ようやく今年度、2年生サイエンス情報科(1組)と普通科(2~6組)の合同修学旅行を実現できました。12月8日(木)~11日(日)の3泊4日、首都圏への修学旅行です。
8日の朝、体育館での出発式の際、団長として校長の私は生徒たちに語り掛けました。
「若い皆さんに必要なのはモノより体験です。旅行は大きな体験。そして旅行は、いつ、誰と一緒に行ったかが重要なのです。感受性豊かな高校生の時に級友たちと行く修学旅行はかけがえのない体験となるでしょう。」
天候に恵まれた4日間でした。よく晴れ、暖かでした。そして、私たちの予想以上にどこの観光地も大変な人出で賑わっていました。外国人観光客も多かった浅草寺の仲見世通り。夕闇のイルミネーションが華やかで幻想的だった東京スカイツリー並びにソラマチ、平日にかかわらず人人人の「夢の国」ディズニーリゾート(ランド及びシー)、クラス別研修で訪ねた原宿表参道や横浜ベイエリアや中華街の混雑ぶり等。まだコロナ禍は終息していないにもかかわらず、旅行を制限されてきたフラストレーションの反動のような状況です。
しかし、このような祝祭的ムードの中にあって、西高2年生は学びの旅の自覚をもち、節度ある行動をとり、頼もしく思いました。ディズニリゾートでは他県の高校生の乱れた制服姿に思わず眉をひそめたくなりましたが、西高生の制服姿は普段と変わらないものでした。羽田空港や熊本空港においても約200人が整然と並び、公共の場のルールを守りました。4日目の日本科学未来館(東京江東区)では、最終日の疲れも見せず、最新のテクノロジーや宇宙・生命の探究にかかわるそれぞれのコーナーで熱心に見学し、スタッフの説明に質問する姿がありました。そして、4日間を通して、生徒たちの笑顔、好奇心で輝く表情、いきいきとした様子が見られました。
全国旅行支援の地域別クーポンを東京、千葉で得られたこともあり、生徒たちはたくさんのお土産を購入していました。家族や友達へお土産の品を渡す喜びもあるでしょう。けれども、「みやげ品」よりも「みやげ話」を家族は待っておられるよと私は生徒たちに言いました。モノより豊かな体験をしてくれることを願い、保護者の方々は旅費を出されていると思います。
コロナ禍の修学旅行はリスクがあります。しかしそれでも実施することの教育効果は大きいと信じています。
「校長室からの風」