校長ブログ

2023年10月の記事一覧

23/10/27(31)人吉・球磨の秋

 球磨中央高校への異動が決まった時、人吉・球磨での勤務経験がある職員に「霧がすごいですよ」と言われました。人吉・球磨の霧の深さについては聞いたことがありましたが、こんなに周りが見えなくなるとは思いもしませんでした。 朝5時に新聞をとりに玄関を開けたら、オリオン座をはじめきれいな星々が、今にも墜ちてきそうなくらい美しく輝いています。しかし5時30分くらいには周りが白くなりはじめ、出勤するころにはあたり一面が霧に包まれています。車を運転していると、かろうじて前方を行く車のテールランプや対向車のライトでその存在が分かりますが、人や動物が急に出てきたら、対応できるのだろうかと不安でいっぱいになります。

 そういえば、自宅近くの田んぼで鹿の群れを発見しました。何頭もいると怖いものです。球磨中央百貨店の代休の日、秋晴れのもと、秋を探しに歩いてみました。あちらこちらでキンモクセイの花が咲き、素敵な香りをただよわせています。イチョウの葉も美しく色づいています。国道の一武交差点、コンビニエンスストアの対面にはコスモスが、道々にはシオンやイヌホオヅキなどのかわいらしい花が咲いています。モンシロチョウのペアも楽しそうに飛び回っていました。

 人吉・球磨の自然に、あるときは驚かされ、あるときは心をいやされながら、毎日を送っています。

    

23/10/23(30)球磨中央百貨店を終えて

 10月21日・22日に開催しました球磨中央百貨店に、多くのお客様にご来店いただきました。生徒・職員一同心から感謝申し上げます。いたらない点も多々あったかと思いますが、振り返りをしっかりと行い、来年度に活かしたいと思います。

 さて、生徒のみなさんは、球磨中央百貨店から何を学びましたか? 仕入れ、販売、広告、会計、販売戦略など、協賛事業者様や職員の支援や助言を受けながら、社会の厳しさのいったんを知ることができたのではないでしょうか。また、球磨中央百貨店を運営するにあたり、駐車場、案内、ごみの収集、トイレ清掃など、けっして目立たないけれども、とても大切な仕事がたくさんあることも分かったのではないでしょうか。なぜ球磨中央百貨店を開催するのか、球磨中央百貨店をとおしてどう成長したのか、生徒の皆さんには、この問いを自分自身に投げかけてほしいと思います。

 私から生徒の皆さんへのお願いは、「感謝」の気持ちを大切にしてほしいということです。一緒に頑張ったクラスメートへの感謝、支援していただいた事業所の皆さまや先生方への感謝、商品をお買い上げいただいたお客様への感謝、朝早くから送迎していただいた家族への感謝、その気持ちを大切にしてください。「ありがとうございます」、「おかげさまです」「ごめんなさい(或いは、すみません、申し訳ございません)」、生活する上での潤滑油とも言うべきこれらの言葉は、他者への感謝の気持ちがあってはじめて成り立つ言葉です。そして自分一人だけでは使えない言葉です。どうか、球磨中央百貨店の経験をもとに、他者を大切にする気持ち、自分の頑張りを認める気持ちを大きく育ててください。球磨中央高校の生徒は私の自慢です。素晴らしい球磨中央百貨店を有難うございました。

23/10/16(29)先生たちの学び

 10月13日(木)、熊本商業高校で開催された、商業関係主幹教諭・学科主任研修の様子を見てきました。本校からは2名の先生が参加し、高濱さおりスーパーティーチャーが、宇土中学・宇土高校のお2人のスーパーティーチャーとともに講師を務めました。来年は、全学年で新しい学習指導要領に基づいた授業が行われます。「主体的・対話的で深い学び」、「探究型授業」、「観点別評価」、「カリキュラム・マネジメント」など、未来の担い手である子どもたちの育成のため、私たち教員にも変革が求められています。

 研修では、先生たちが3〜4人で班を作り、協力しながら、探究型の「簿記」の授業について考えました。最初は硬い表情だった先生たちも、スーパーティーチャーの分かりやすいアドバイスもあって、次第に会話がはずむようになり、真剣にそして楽しく探究型の授業を作り上げました。時間の関係で2つの班の発表のみとなりましたが、どの班も素晴らしい授業デザインでした。この研修のように学びとは本来楽しいもの。球磨中央高校のワクワクする授業のため、先生たちも常に学んでいるのです。

  

23/10/06(28)生徒会就退任式でお話したこと

 まずは、旧生徒会執行部の皆さん、大変お疲れ様でした。本校に赴任してまず思ったのは生徒会執行部の皆さんの誠実さ、責任感の強さ、そして笑顔でした。体育大会をはじめとした学校行事はもちろんのこと、普段の学校生活における委員会活動もしっかりと取り組んでいただきました。本当に有難うございました。

 新生徒会執行部の皆さん、先輩方が築き上げてきた球磨中央高校の素晴らしい風土をさらによくしてください。そして、皆さん一人一人も生徒会活動を通じて大きく成長してもらいたいと思います。「ムリ・ムダ・できない」は禁句、「もう一歩踏み出す」を合言葉にしてください。それから、「先生方にお願いする、してもらう」のではなく、「先生方と一緒に考え、悩み、創造」していくという姿勢でお願いします。この1年間、球磨中央高校をよろしくお願いします。

 生徒のみなさんへ。生徒会はみなさん一人一人が会員です。普段の生活、学校行事などがうまくいくためには皆さんの取組が必要です。先月行われた立会演説会の内容は素晴らしかった。そして、それと同じくらい聞く態度が素晴らしかった。君たちなら、みんなが笑顔でいられる、明るく、楽しい球磨中央高校をつくることができます。球磨中央高校の未来を一緒に創っていきましょう。

23/10/02(27)駅の話

 幼い頃、母に連れられて、坂本村葉木(現在八代市坂本町葉木)の祖母宅に「汽車」で行くのが楽しみでした。まだ蒸気機関車が走っていましたので「汽車」と呼んでいましたが、今でも、たまに「汽車」と言うときがあります。八代駅~段(だん)駅~坂本駅~葉木駅と、20分ほどの小さな旅ですが、車窓から見る球磨川とトンネルが大好きでした。葉木駅は本当に小さな駅でしたが駅員さんがいらっしゃいました。しかし、いつの間にか無人駅に。春は桜が美しい駅でした。八代駅に掲げられていた路線図でいつも気になっていたのが湯前駅。湯前線の終着駅である湯前駅にあこがれていました。レールの終わりはどうなっているのだろう、八代駅とどっちが大きいんだろうなどと、あこがれを抱きながら、色々な想像をしていました。次第に祖母宅には父親が運転する自動車で行くことが多くなり、大人になってからは1回しか「汽車」には乗っていません。そして令和2年(2020年)7月を迎えてしまいました。現在、本校の近くの肥後西村駅~湯前駅間をくま川鉄道が運行しています。旅へのわくわく感、故郷に着いた安心感、旅立ちへの期待や不安、地域の人たちの日常、駅は人々のさまざまな思いであふれています。大学時代、私は八代駅~熊本駅を「汽車」で通学していました。昭和62年(1987年)に国鉄が民営化され、JRと名前を変えました。「汽車」の中では、語学や専門科目の勉強をしていました。朝、熊本駅に着くと、不思議と学びの意欲がわいてきました。平成21年(2009年)に東京で勤務していた時は、住宅の最寄り駅である板橋区の高島平(たかしまだいら)駅から職場の最寄り駅である千代田区の内幸町(うちさいわいちょう)駅間を、都営三田(みた)線で通勤していました。内幸町駅に着いた時の「仕事場に行きたくない。上司が怖い。」という気持ちは今でも忘れることができません。さて、4月に人吉・球磨に赴任した私ですが、5月20日、ようやく湯前駅に行くことができました。子供のころの夢がかなった日となりました。